以下、添付した図面を参照しながら、本願発明に係る実施形態を説明する。図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
以下、図1〜図12を参照して、本実施形態に係る薬液投与装置100について詳述する。図1〜図8は、本実施形態に係る薬液投与装置100の各部の構成の説明に供する図である。図9〜図12は、本実施形態に係る薬液投与装置100のロック機構15の構成の説明に供する図である。
本実施形態に係る薬液投与装置100は、使用者である糖尿病患者の生体内に薬液としてのインスリンを送液する携帯型のインスリン投与装置として構成されている。以下の説明においては、薬液投与装置100をインスリン投与装置100とも称する。
図1に示すように、インスリン投与装置100は、薬液であるインスリンを生体内へ送液する送液動作を行う送液本体部10と、送液本体部10に対して各種の動作指示を行うリモコン20と、を備えている。以下、インスリン投与装置100の各部の構成について詳述する。
図2に示すように、送液本体部10は、使用者の生体内に留置するカニューレ113等を備え、使用者の生体に取り付けられる注入部11と、送液動作に必要な部材を駆動させる駆動力を生じさせる駆動機構131等を含む送液リユース部13およびインスリンが充填された薬液貯蔵部141等を含む送液ディスポ部14を備える送液部12と、を有している。
注入部11および送液部12は、連結分離可能に構成されている。使用者は、例えば、入浴等の際に、注入部11を生体に取付けたまま、インスリンが充填された薬液貯蔵部141や電気的な機構を含む送液部12を注入部11から分離する。この作業を行うことによって、薬液貯蔵部141内のインスリンが加温されることや、送液部12内の電気的な機構に液体が付着して濡れるのを防止することができる。
また、送液ディスポ部14を構成する第1ハウジング145および送液リユース部13を構成する第2ハウジング135は、連結分離可能に構成されている。所定期間の使用後、薬液貯蔵部141内のインスリン等を使い切った場合は、送液ディスポ部14を構成する第1ハウジング145と送液リユース部13を構成する第2ハウジング135とを分離し、送液ディスポ部14を使い捨て(ディスポーザブル)にして、新しいものに交換することができる。一方、送液リユース部13には、後述するモータ136や複数のギヤ137等、送液ディスポ部14に搭載される構成部材に比べて交換の頻度が少ない比較的高価な構成部材が搭載される。このように所定期間の使用後に廃棄される構成部材と比較的高価な構成部材とを異なるハウジングにそれぞれ搭載させて、比較的高価な構成部材を再利用可能とすることにより、装置の製造コストや使用に伴うコストの低減を図ることを可能にしている。以下に各構成について説明する。
まず、注入部11について説明する。注入部11は、図2等に示すように、注入本体部(クレードルとも呼ばれる)111と、注入本体部111を使用者の生体に貼り付ける貼付部112と、注入本体部111から突出し、生体内に留置されるカニューレ113と、注入本体部111に載置され、カニューレ113を支持する支持部材114と、を有している。
注入本体部111は、平板状の載置部111aと、載置部111aの外周縁部の一部を立ち上げた縦壁部111bと、を備えている。図4(A)、(B)に示すように、載置部111aには、カニューレ113を挿通可能な挿通穴111cが形成されている。
また、図2に示すように、縦壁部111bには、後述する送液ディスポ部14の第1ハウジング145との機械的な連結状態を維持するための係合部として、対向面に向かって突出した突起111dと、貫通穴111eと、が形成されている。送液ディスポ部14の第1ハウジング145を注入本体部111に対してスライド移動させて連結すると、突起111dは、第1ハウジング145の外側に形成された溝145cに嵌合する。また、貫通穴111eには、第1ハウジング145に形成された引掛部145dが引っ掛かる。なお、注入本体部111と送液ディスポ部14の第1ハウジング145を連結分離可能であれば、係合部の形状は、上記の形状に限定されない。
図3および図4(A)〜(C)に示すように、貼付部112は、略矩形状のシート状の部材により構成している。貼付部112は、注入本体部111の載置部111aにおいて、縦壁部111bが立ち上がっている側の面と反対側の面に取り付けられている。また、貼付部112において、注入本体部111に取り付けられている面と反対側の面には、接着性が付加されている。貼付部112の接着性を利用して、使用者の生体に注入部11を貼り付けることが可能になっている。なお、貼付部112において生体に貼付される接着性を備えた面には、貼付部112を覆って保護する取り外し可能な剥離紙等を使用して、貼付部112が不用意に貼り付けられるのを防止するようにしてもよい。
カニューレ113は生体に穿刺され、薬液貯蔵部141からのインスリンを生体に導入するために用いられる。図4(A)に示すように、カニューレ113は、円筒形状の部分と当該円筒形状の部分に連続して形成された円錐台形状の部分を有し、円筒形状の部分と円錐台形状の部分にはインスリンを流通させる内腔が連続して形成されている。カニューレ113は、上記のような形状を備えることにより、いわゆる漏斗のような形状を備えるように構成している。
支持部材114は、図4に示すように、カニューレ113を支持する基部114aと、送液ディスポ部14の送液管142(図8を参照)が挿入される内腔を備える接続ポート114bと、接続ポート114bを覆うようにして取り付けられるキャップ114cと、基部114aの上面(注入本体部111への載置面と反対側の面)に取り付けられた蓋部材114dと、基部114aと蓋部材114dとの間に設けられたシール部材114eと、を備えている。
基部114aは、支持部材114の土台となる部位であり、本実施形態においては略円筒形状にて構成している。基部114aは、図4(A)等に示すようにカニューレ113を設置する内部空間114fを備えており、当該内部空間114fはカニューレ113を支持できるように、カニューレ113の形状に合わせて漏斗形状を備えるように構成している。
接続ポート114bは、図4(A)等に示すように基部114aにおいて、カニューレ113の有する円筒形状の軸と交差する方向に向かって延在している。接続ポート114bの内腔と、基部114aの内部空間114fは連通している。
キャップ114cは、後述する送液ディスポ部14の送液管142を挿し込むことができるとともに、送液管142と接続ポート114bとの間を液密に保つことができる材料によって形成されていることが好ましく、そのような材料としては、例えばゴム等が挙げられる。
図4(C)に示すように、蓋部材114dは、シール部材114eを押さえる機能を備えている。蓋部材114dには、カニューレ113の軸方向と同軸上に、後述する穿刺具Mの針Nを挿通可能な貫通穴が形成されている。
シール部材114eは、穿刺具Mの針Nを挿し込むことができるように構成されるとともに、穿刺具Mの針Nの抜去後に蓋部材114dの貫通穴からインスリンが漏れ出ることを防止する。シール部材114eの材料としては、例えばゴム等が挙げられる。なお、図4(A)、(B)に示す穿刺具Mは、詳細な構成は省略した模式図である。
カニューレ113の生体内への留置は、例えば、支持部材114に支持されたカニューレ113の内腔に挿通可能な針Nと、針Nおよびカニューレ113が載置部111aから突出する方向に向けて支持部材114および針Nに付勢力を付与する付勢部材(図示せず)と、を備える穿刺具Mにより行うことができる。
具体的には、まず、使用者は、貼付部112によって自身の体表面に注入本体部111を取付ける。次に、支持部材114の蓋部材114dに形成された貫通穴から針Nを挿入して、カニューレ113の内腔を針Nが挿通するように、支持部材114を穿刺具Mに取り付ける。次に、図4(A)に示すように、穿刺具Mを載置部111a上に取り付ける。次に、図4(B)に示すように、穿刺具Mが備える付勢部材の付勢力によって、針Nおよびカニューレ113が載置部111aから突出する方向に向けて支持部材114および針Nを射出する。次に、図4(C)に示すように、支持部材114が載置部111aに取り付けられた状態で、針Nを含む穿刺具Mを載置部111a上から取り外す。これによって、生体内にカニューレ113が留置される。
次に送液リユース部13について説明する。図2および図5(A)に示すように、送液リユース部13は、送液動作を行うために必要な部材を駆動させる駆動機構131と、送液動作によって送液されるインスリンの送液量を検出する送液量検出部132と、リモコン20と通信を行う第1通信部133と、駆動機構131や第1通信部133等を制御する第1制御部134と、これらを保持する第2ハウジング135と、を有する。なお、図5(A)において点線Xで囲まれた部分は、送液リユース部13に取り付けられる部品を表し、一点鎖線Yで囲まれた部分は、送液ディスポ部14に取り付けられる部品を表す。また、図5(A)において、理解の容易のため、第2ハウジング135は省略して示す。
図5(A)、(B)に示すように、駆動機構131は、送液ディスポ部14の電池144からの電力によって回転を生じさせる出力軸を備えたモータ136と、モータ136によって生じた回転を減速して送液ディスポ部14の押出機構143に伝達する複数のギヤ137と、を有する。
モータ136は、出力軸において押出機構143のスライド部146を移動させるために必要な駆動力を回転運動として生じさせる。モータ136は、本実施形態においてステッピングモータを利用している。しかし、回転による駆動力を発生させることができ、携帯が可能なインスリン投与装置100に搭載できるサイズであればこれに限定されず、ステッピングモータ以外にも例えばDCモータ、ACモータ等であってもよい。
複数のギヤ137は、モータ136から生じた回転の動力を、薬液貯蔵部141を押圧する押出機構143まで伝達するために用いられる。本実施形態において複数のギヤ137は、図5(B)に示すように、モータ136に接続される第1ギヤ137aと、隣接するギヤと噛み合う第2ギヤ137b、第3ギヤ137c、および第4ギヤ137dと、を有する。
第1ギヤ137aは、隣接するギヤと噛み合う歯を一種類備えている。これに対し、第2ギヤ137b、第3ギヤ137cおよび第4ギヤ137dは、隣接するギヤと噛み合う歯をギヤの回転する軸方向に2種類並べて備えている。
第2ギヤ137bは、第1ギヤ137aの回転軸と交差する方向(図5(A)、(B)の上下方向)において第1ギヤ137aおよび第3ギヤ137cに隣接して配置している。第2ギヤ137bは、第1ギヤ137aの歯と噛み合う歯137eと、第3ギヤ137cの歯137gと噛み合う歯137fと、を備えている。歯137eは、歯137fよりも直径を大きくして構成している。
第3ギヤ137cは、第1ギヤ137aの回転軸と交差する方向(図5(A)、(B)の上下方向)において第2ギヤ137bおよび第4ギヤ137dに隣接して配置している。第3ギヤ137cは、第2ギヤ137bの歯137fと噛み合う歯137gと、第4ギヤ137dの歯137iと噛み合う歯137hと、を備えている。歯137gは、歯137hよりも直径を大きくして構成している。
第4ギヤ137dは、第1ギヤ137aの回転軸と交差する方向(図5の上下方向)において第3ギヤ137cおよび送液ディスポ部14の第5ギヤ148に隣接して配置している。第4ギヤ137dは、第3ギヤの歯137hと噛み合う歯137iと、後述する送液ディスポ部14の押出機構143を構成する第5ギヤ148の歯と噛み合う歯137jと、を有する。歯137iは、歯137jよりも直径を大きくして構成している。
第1ギヤ137a、第2ギヤ137b、第3ギヤ137c、および第4ギヤ137dは、平歯車によって構成している。しかし、モータ136からの回転による動力を押出機構140に伝達できれば、これに限定されない。また、複数のギヤ137は、モータ136からのトルクを設定した値に減速して伝達できれば、ギヤの個数、歯数、歯の種類等のギヤの構成は上記に限定されない。また、本実施形態において第1ギヤ137aにあたる入力側のギヤと、第5ギヤ148にあたる出力側のギヤの回転方向は、同じ回転方向であってもよく、異なっていてもよい。
送液量検出部132は、第1ギヤ137aのモータ136側に設けられた回転板132aと、回転板132aを間に挟んで対向するように配置された送信部および受信部を備える光センサ132bと、を有する。
回転板132aは、扇風機の羽根のような略扇形の形状を第1ギヤ137aの円周方向において一定の角度間隔で複数設けている。光センサ132bの発光部から出射された光線が回転板132aの羽根形状の設けられていない箇所を通過すると、受光部は光線を受光する。反対に、光センサ132bからの光線が回転板132aの羽根形状によって遮られると、受光部は光線を受光しないことになる。回転板132aの羽根形状は一定の間隔で設けられているため、光線を受光した時間間隔(頻度)に基づいてモータ136の回転数が検出される。複数のギヤ137の減速比、および押出機構140のねじピッチ等は固定されている(可変でない)ため、モータ136の出力軸の回転数を検出することによってインスリンの送液量を検出することができる。
なお、本実施形態では、送液量検出部132によりモータ136の回転量を検出して送液量を求めたが、送液量の検出方法はこれに限定されない。例えば、モータ136に送られる制御信号から送液量を求めることも可能である。また、回転数の検出には光センサを用いているが、モータの回転量の検出ができれば光センサに限定されない。
図5(A)に示すように、第1通信部133は、リモコン20との通信に必要な電子的機器を備えている。リモコン20には後述するように第2通信部202が設けられており、送液リユース部13の第1通信部133と近距離無線通信であるBLE(Bluetooth Low Energy)通信を用いて互いに情報の送受信を行うができるように構成している。
第1制御部134は、駆動機構131を構成するモータ136、第1通信部133、送液量検出部132等の動作を制御する。第1制御部134は、CPU、RAM、ROM等を含む公知のマイクロコンピュータによって構成している。
第2ハウジング135は、図6(A)に示すように、駆動機構131、送液量検出部132、第1通信部133、および第1制御部134等の構成を覆う上面135aと、上面135aの外周縁部を一部立ち上げた第1側壁135bと、第1側壁135bに対向する側において上面135aの外周縁部を一部立ち上げた第2側壁135cと、を備える。
上面135aには、駆動機構131、送液量検出部132、第1通信部133、第1制御部134が各々動作可能に取り付けられる。
第1側壁135bは、第2ハウジング135において駆動機構131が取り付けられている側とは反対側(図6の左側)に設けられている。第1側壁135bには、後述する送液ディスポ部14を構成する第1ハウジング145の突起145eを挿通可能な挿通穴135dが設けられている。
図6(A)、(B)に示すように、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結は、第2ハウジング135の挿通穴135dに第1ハウジング145の突起145eを挿通して引っ掛けた状態で、第2ハウジング135の第2側壁135cを第1ハウジング145に相対的に接近させるようにして行われる。以下、第2ハウジング135と第1ハウジング145との相対的な接近方向を「接近移動方向D1」と称する。
第2側壁135cは、第2ハウジング135において駆動機構131の複数のギヤ137が取り付けられている側(図6の右側)に設けられている。第2側壁135cには、外方向に膨出した膨出部135eが形成されている。
膨出部135eには、図7に示すように、膨出部135eの厚み方向に貫通する貫通穴135fが形成されている。
貫通穴135fは、接近移動方向D1と直交する方向に延在している。貫通穴135fは、幅W1(接近移動方向D1に沿う長さW1)が貫通穴135fの延在方向に沿って略一定の広幅領域A1と、広幅領域A1に連なり、広幅領域A1の幅W1よりも小さい幅W2を備える狭幅領域A2と、を備える。貫通穴135fを挿通するようにして、後述するロック機構15のロック部材152が第2ハウジング135に取り付けられる(図10参照)。
本実施形態では、第2ハウジング135は、プラスチック等の樹脂部品によって構成しているが、一定程度の強度等を備えていれば、これに限定されない。
次に送液ディスポ部14について説明する。送液ディスポ部14は、図5(A)に示すようにインスリンが充填された薬液貯蔵部141と、注入部11に設けた接続ポート114bの内腔および薬液貯蔵部141を連通する送液管142と、駆動機構131に機械的に接続されて薬液貯蔵部141内のインスリンを送液管142に押し出す押出機構143と、駆動機構131等に電力を供給する電池144と、これらを保持する第1ハウジング145と、を有している。
薬液貯蔵部141は、筒状形状を備えている。薬液貯蔵部141の一端には、送液管142が接続されている。薬液貯蔵部141の他端には、開口部141aが形成されている。薬液貯蔵部141には開口部141aから後述する押出機構143のスライド部146が挿入されており、薬液貯蔵部141およびスライド部146によって仕切られた空間にインスリンが貯蔵されている。
本実施形態では、送液管142は、図8(A)、(B)に示すように、鋭利な先端形状を備える金属製の細管により構成している。図8(A)に示すように、送液部12を注入部11にスライド移動させながら連結させると、図8(B)に示すように、送液管142の鋭利な先端が注入部11のキャップ114cを貫通し、接続ポート114bの内腔に差し込まれる。
押出機構143は、図5(A)に示すように、薬液貯蔵部141の内部空間114fにおいて進退移動可能なスライド部146と、スライド部146に形成された雌ねじ部146dと噛合ってスライド部146を進退移動させる送りねじ147と、駆動機構131の第4ギヤ137dと噛合い、送りねじ147に接続される第5ギヤ148と、を備えている。
スライド部146は、図5(A)に示すようにインスリンがスライド部146の側に漏れ出ないようにシール性を保ちつつ薬液貯蔵部141内を進退移動可能な押出部材146aと、送りねじ147と噛み合う雌ねじ部146dが形成された送り板146bと、押出部材146aと送り板146bを連結する連結板146cと、を有している。
押出部材146aは、薬液貯蔵部141の内部空間においてインスリンを収容する空間を形成するために薬液貯蔵部141の開口部141aから挿入される。押出部材146aは、インスリンが押出部材146aと薬液貯蔵部141の筒形状の内壁面との境界から漏れ出ないように、筒形状の内壁面と嵌合しつつ、内壁面を図5(A)の左右方向に進退自在に移動する。薬液貯蔵部141における押出部材146aの位置によってインスリンを収容する収容空間(薬液貯蔵部141の内部空間)の大きさ(体積)が変化する。押出部材146aは押し子やプッシャー等と呼ばれたりもする。
送り板146bは、プレート形状に穴を設け、当該穴に送りねじ147の雄ねじと噛み合う雌ねじ部146dを形成して構成している。
連結板146cは、2枚の板を用いて押出部材146aと送り板146bとを連結している。しかし、押出部材146aと送り板146bとを連結し、両者を一体に動作させることができれば、連結板146cの形状はこれに限定されない。例えば、連結板146cは、上記以外にも例えば薬液貯蔵部141の筒形状の内壁面と嵌合する中空形状で構成してもよい。
送りねじ147は、一般的なねじの雄ねじ形状を有しており、その一部が送り板146bの雌ねじ部146dに噛み合わされる。
第5ギヤ148は、第1ハウジング145において、送液リユース部13および送液ディスポ部14を連結させた際に、第4ギヤ137dに噛み合う位置に配置している。また、第5ギヤ148の回転中心(回転軸)には、送りねじ147の一端が固着されている。
送りねじ147および第5ギヤ148は、第1ハウジング145に回転自在に取り付けている。
駆動機構131を構成する第4ギヤ137dの回転に伴い、第5ギヤ148が回転すると、送りねじ147が回転する。送りねじ147の回転に伴い、送り板146bが送りねじ147の雄ねじの螺旋形状の軸に沿って移動する。連結板146cを介して送り板146bに連結された押出部材146aは、送り板146bの移動に伴って薬液貯蔵部141内を移動する。押出部材146aが薬液貯蔵部141に押し込まれる方向(収容空間の体積が減少する方向)に移動すると、薬液貯蔵部141と押出部材146aとによって形成された収容空間内のインスリンが送液管142に送液される。
電池144は、送液ディスポ部14を構成する第1ハウジング145および送液リユース部13を構成する第2ハウジング135を連結させた際に、送液リユース部13内のモータ136、送液量検出部132、第1通信部133および第1制御部134に電気的に接続されて各部に電力を供給する。本実施形態では、電池144は、二つの電池を直列に接続することによって構成されている。ただし、電池の個数、直列や並列等の接続方法は、各部に電力を供給可能である限り、特に限定されない。
第1ハウジング145は、図6(A)、(B)に示すように、薬液貯蔵部141、送液管142、押出機構143、電池144等の構成を載置する底面145aと、底面145aの外周縁部を全周に渡って立ち上げた側壁145bと、を有する。
底面145aには、薬液貯蔵部141、送液管142、電池144が固定されている。また、底面145aには、押出機構143の各部が動作可能に取り付けられる。
側壁145bの外表面には、第2ハウジング135の第1側壁135bに設けられた挿通穴135dに挿通可能な突起145eが形成されている。
また、側壁145bには、図2に示すように、注入本体部111に形成された突起111dに嵌合可能な溝145cと、注入本体部111に形成された貫通穴111eに引っ掛かる引掛部145dと、が形成されている。第1ハウジング145を注入本体部111にスライド移動させると、注入本体部111の突起111dと第1ハウジング145の溝145cとが嵌合し、注入本体部111の貫通穴111eに第1ハウジング145の引掛部145dが引っ掛かる。これにより、第1ハウジング145が注入本体部111に連結された状態となる。
本実施形態では、第1ハウジング145は、プラスチック等の樹脂部品によって構成しているが、一定程度の強度等を備えていれば、第2ハウジング135と同様に材料はこれに限定されない。
また、送液部12は、第2ハウジング135と第1ハウジング145とが連結された連結状態の維持および解除を切り替え可能なロック機構15をさらに有している。
ロック機構15は、図9(A)〜(C)に示すように、第2ハウジング135に設けられ、付勢部材151により所定の方向に付勢されたロック部材152と、第1ハウジング145に設けられており、第2ハウジング135と第1ハウジング145とを相対的に接近移動させた際にロック部材152に当接し、付勢部材151が付与する付勢力Fに抗してロック部材152をスライド移動させる当接部153と、を備えている。図9(C)に示すように、ロック部材152は、スライド移動の後、付勢部材151の付勢力Fにより当接部153に対して係止されるロック位置へ移動するとともに、ロック位置において付勢力Fにより当接部153に対して係止された状態を維持する。
本実施形態では、付勢部材151は、第2ハウジング135の貫通穴135fの延在方向(接近移動方向D1と直交する方向)に沿って延在するばねによって構成している。付勢部材151の一端は、第2ハウジング135の膨出部135eに固定されている。付勢部材151の他端は、ロック部材152に固定されている。このため、付勢部材151は、接近移動方向D1と直交する方向の付勢力Fをロック部材152に付与する。なお、本実施形態では、付勢部材151は、ばねによって構成しているが、付勢部材151は、付勢力Fをロック部材152に付与することが可能であれば特に限定されず、公知の弾性部材によって構成することができる。
ロック部材152は、図10に示すように、第2ハウジング135の外表面側に設けられる外側部材155と、第2ハウジング135の内表面側に設けられる内側部材156と、を備えている。外側部材155および内側部材156は、第2ハウジング135の貫通穴135fに挿通された状態において互いに連結されている。このように、外側部材155と内側部材156との間に第2ハウジング135の第2側壁135cを挟み込ことによって、ロック部材152は、第2側壁135cの厚み方向における動きが規制される一方、第2ハウジング135の貫通穴135fの延在方向に沿ってスライド移動可能に構成されている。
以下、ロック部材152がスライド移動する方向を「スライド方向D2」と称する(図9(B)参照)。また、スライド方向D2において、付勢部材151が設けられている側を「基端側」と称し、当接部153が設けられている側を「先端側」と称する。
外側部材155は、図10、図11(A)、(B)に示すように、スライド方向D2に延在する平板部155aと、平板部155aの先端において付勢力Fの方向に向かって突出する突起部155bと、平板部155aから内側部材156が設けられている側に向かって立ち上がる第1引掛部155cと、平板部155aから第2ハウジング135が設けられている側に向かって立ち上がる第2引掛部155dと、突起部155bの基端側に接続され、スライド方向D2に延在する円柱部155eと、を備えている。
平板部155aは、図12(A)に示すように、使用者が付勢部材151の付勢力Fに抗してロック部材152を解除位置に移動させる際に、指を添えてスライド移動させる部分である。平板部155aの外表面には、使用者の指の滑りを防止するために、外方向に突出する複数の凸部155fが設けられている。なお、本実施形態では、凸部155fの数は3つであり、各凸部155fは接近移動方向D1に向かって延在する形状を備えているが、凸部155fの数および形状は特に限定されない。また、平板部155aは凸部155fを備えなくてもよい。
平板部155aの幅W3は、図10に示すように、第2ハウジング135の貫通穴135fの広幅領域A1の幅W1よりも大きく構成している。このため、外側部材155を第2ハウジング135に取り付けた際に、平板部155aは、第2ハウジング135の第2側壁135cに対して引っ掛かる。
突起部155bは、図9(A)〜(C)に示すように、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結動作に伴って当接部153に当接する部分である。図9(B)に示すように、突起部155bにおいて当接部153に当接する側の面(以下、「スライド面155g」と称する)は、接近移動方向D1に対して傾斜している。
第1引掛部155cは、図11(A)に示すように、端部が折れ曲がった略L字形状を備えている。図10に示すように、この折れ曲がった端部が、後述する内側部材156の貫通穴156cを挿通して、内側部材156に引っ掛かることで、外側部材155と内側部材156の連結状態を維持している。なお、外側部材155および内側部材156を連結可能であれば、第1引掛部155cの形状は、上記の形状に限定されない。また、外側部材155と内側部材156を接続する方法は、上記のような機械的な接続に限定されず、接着剤等による接着によって行ってもよい。
第2引掛部155dは、図11(A)に示すように、端部が折れ曲がった略L字形状を備えている。この折れ曲がった端部が、後述する第2ハウジング135の貫通穴135fを挿通して、第2ハウジングに引っ掛かることで、外側部材155は第2ハウジング135に支持される。
円柱部155eは、突起部155bの基端面に接続されている。円柱部155eは、外側部材155と内側部材156を接続した際に、後述する内側部材156の凹部156dに収納される。
内側部材156は、厚み方向から見たときに略T字状の外形を備えるプレートによって構成している。
内側部材156には、外側部材155が設けられている側に突出した凸部156aと、外側部材155の第1引掛部155cを挿通可能な貫通穴156cと、外側部材155に面する側において、外側部材155の円柱部155eに対応した形状を備える凹部156dと、が形成されている。
図9(A)および図11(A)に示すように、凸部156aは、第2ハウジング135の貫通穴135fに挿入される部分である。凸部156aの幅W4は、第2ハウジング135の貫通穴135fの広幅領域A1の幅W1よりも小さく、かつ、狭幅領域A2の幅W2よりも大きく構成している。このため、図9(A)に示すように、第1ハウジング145と第2ハウジング135とを分離した状態では、内側部材156の先端側が、第2ハウジング135の貫通穴135fの段差部分に当接し、ロック部材152が所定の位置(以下、「初期位置」と称する)に配置されるようになっている。初期位置は、第1ハウジング145および第2ハウジング135を分離した状態から徐々に接近させていった際に、ロック部材152の突起部155bの少なくとも一部が、当接部153に当接する位置に設定されている。なお、例えば、第2ハウジング135に突起等のストッパー部材を別途設けて、初期位置を定めるようにしてもよい。
図10および図11(A)に示すように、内側部材156の先端部において、凸部156aが設けられている側と反対側の幅W5は、第2ハウジング135の貫通穴135fの広幅領域A1の幅W1よりも大きく構成している。このため、内側部材156と外側部材155との間に第2ハウジング135の第2側壁135cを挟み込むことができる。
当接部153は、図6(A)に示すように、第1ハウジング145の側壁145bの外表面から突出する突起によって構成している。
当接部153は、図9に示すように、第1ハウジング145と第2ハウジング135との接近移動がなされる際にロック部材152と対向する側に設けられて、接近移動方向D1に対して傾斜するガイド面153aを有している。当接部153のガイド面153aと、ロック部材152の突起部155bのスライド面155gは、互いに平行に延在している。なお、ガイド面153aおよびスライド面155gの接近移動方向D1に対する傾斜角度θは、図示の角度に限定されない。傾斜角度θが大きいほど、ロック部材152を滑らかにスライド移動させることができ、傾斜角度θが小さいほど、ロック部材152は、ロック位置に移動しやすくなる。
次に、リモコン20について説明する。図1に示すように、リモコン20は、リモコン本体部201と、第1通信部133と無線通信可能な第2通信部202と、インスリン投与装置100を統括して制御する第2制御部203と、リモコン本体部201に設けられるモニタ204と、使用者からの指示内容を受付可能なボタン205と、リモコン200の各部に電力を供給する電池206と、を有している。
リモコン本体部201は、使用者が片手で持つことができる程度の大きさに構成され、プラスチック等の比較的軽量な樹脂部品によって構成している。
第2通信部202は、送液本体部10の第1通信部133との通信に必要な電子的機器を備えている。第2通信部202は、本実施形態において低電力で通信を行うことが可能な近距離無線通信技術であるBLE(Bluetooth Low Energy)通信を用いて、送液本体部10との間で情報の送受信を行うように構成されている。しかし、送液本体部10との間で無線通信を行うことができれば、通信方式はBLEに限定されない。
第2制御部203は、CPU、RAM、ROM等を含む公知のマイクロコンピュータにより構成している。CPUがROMに予め格納されている各種プログラムをそれぞれRAMに読み出して実行することにより、送液動作の制御が実施される。なお、モニタ204、ボタン205、および電池206は公知のものと同様の構成であるため、説明を省略する。
次に、インスリン投与装置100の使用例について説明する。
まず、使用者は、インスリン投与装置100の使用に先立って、注入部11を生体に装着し、前述したように、穿刺具Mを用いてカニューレ113を生体内に留置する処置を行う。
また、使用者は、インスリン投与装置100の使用に先立って、図6(A)、(B)に示すように、送液リユース部13および送液ディスポ部14を連結して一体化し、送液部12を形成する。
第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結は、第2ハウジング135の挿通穴135dに第1ハウジング145の突起145eを挿通して引っ掛けた状態で、第2ハウジング135の第2側壁135cを第1ハウジング145に相対的に接近させるようにして行われる。ロック機構15は、第1ハウジング145および第2ハウジング135において、駆動機構131および押出機構143が機械的に接続される側に設けられているため、駆動機構131と押出機構143の相対的な位置関係を適性に保った状態で、駆動機構131および押出機構143を機械的に接続することができる。このため、駆動機構131および押出機構143の機械的な接続を好適に行うことができる。
また、第1ハウジング145と第2ハウジング135を相対的に接近させるだけで、ロック部材152は、当接部153を回り込むようにしてロック位置に移動する。このため、第1ハウジング145および第2ハウジング135を容易に連結することができる。また、使用者は、第1ハウジング145と第2ハウジング135を相対的に接近させる作業を行うだけでロック機構15をロック状態に切り替えることができ、ロック状態にするために他の作業は必要ないため、ロックのし忘れを好適に防止することができる。また、ロック部材152が、当接部153を回り込んでロック位置に移動する際の係合音により、使用者は、第1ハウジング145と第2ハウジング135が連結されたことを認識することができる。
また、当接部153のガイド面153aは、接近移動方向D1に対して傾斜しているため、ロック部材152の突起部155bは、ガイド面153aに沿って滑らかにスライド移動することができる。特に、本実施形態では、突起部155bのスライド面155gと、当接部153のガイド面153aは、互いに平行に延在しているため、より滑らかにロック部材152をスライド移動させることができる。
次に、使用者はリモコン200を操作し、送液ディスポ部14の送液管142内にインスリンを充填するプライミング(第1プライミング)の指示を行う。リモコン200からの指示を受け、第1制御部134は、駆動機構131を動作させて、押出機構143のスライド部146を所定量だけ移動させることにより、薬液貯蔵部141内に収容されたインスリンを送液管142に送液し、送液管142内にインスリンを充填させる。
次に、使用者は、注入部11に送液部12を連結する。
次に、使用者は、リモコン20を操作して、カニューレ113の内腔にインスリンが満たされるようにプライミング(第2プライミング)の指示を行う。これによって、生体内へのインスリンの送液準備が整う。
次に、使用者は、リモコン20を操作して、インスリンを一定量で経時的に送液するベーサルモードや単位時間当たりのインスリンの送液量を一時的に増加して送液するボーラスモード等の送液モードを適宜選択して、生体内へのインスリンの送液を行う。この際、ロック部材152は、付勢部材151が付与する付勢力Fによってロック位置に維持されている。これにより、送液中に、第1ハウジング145または第2ハウジング135に何らかの物体が当たったとしても、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結状態を好適に維持することができる。このため、第1ハウジングと第2ハウジングが分離することにより、駆動機構131と押出機構143の機械的な接続が解除されたり、電池144と第1制御部134との電気的な接続が解除されて第1制御部134がリセットされてしまうといった事態等を防止することができる。
入浴等の際には、使用者は、リモコン20を操作して送液動作を停止する。そして、注入部11を生体に貼り付けたまま、送液部12を注入部11から取り外す。この際、ロック部材152は、付勢部材151が付与する付勢力Fによってロック位置に維持されている。このため、仮に、注入部11から取り外した送液部12を意図せず落としてしまったとしても、第1ハウジング145と第2ハウジング135の連結状態を好適に維持することができる。
所定期間の使用後、薬液貯蔵部141内のインスリンおよび電池144を使い切った場合は、送液リユース部13と送液ディスポ部14とを分離し、送液ディスポ部14を新しいものに交換する。この際、使用者は、図12(A)に示すように、ロック部材152の平板部155aに指を添えて、ロック部材152を解除位置にスライド移動させる。そして、図12(B)に示すように、第1ハウジング145と第2ハウジング135とを相対的に離間させれば、第1ハウジング145と第2ハウジング135と容易に分離することができる。このように、使用者が意図してロック部材152をスライド移動させない限り、第1ハウジング145と第2ハウジング135との連結状態は解除されない。
次に、使用者は、送液リユース部13に新しい送液ディスポ部14を連結し、リモコン20を操作して、再び第1プライミングを行う。
次に、使用者は、再び注入部11に送液部12を連結する。なお、注入部11も、送液ディスポ部14と同様に新しいものに交換してもよい。この場合は、注入部11に送液部12を連結後、再び第2プライミングを行う。
次に、使用者は、リモコン20を操作して、生体内へのインスリンの送液を再開する。
以上説明したように、本実施形態に係る薬液投与装置100は、インスリンが貯蔵された薬液貯蔵部141を保持する第1ハウジング145と、薬液貯蔵部141内のインスリンを生体内に送液する駆動力を発生する駆動機構131を保持し、第1ハウジング145に対して連結分離可能な第2ハウジング135と、第1ハウジング145および第2ハウジング135が連結された連結状態の維持および解除を切り替え可能なロック機構15と、を有する。ロック機構15は、第2ハウジング135に設けられ、付勢部材151により接近移動方向D1と直交する方向に付勢されたロック部材152と、第1ハウジング145に設けられており、第1ハウジング145と第2ハウジング135とを相対的に接近移動させた際にロック部材152と当接し、付勢部材151が付与する付勢力Fに抗してロック部材152をスライド移動させる当接部153と、を有する。ロック部材152は、スライド移動の後、付勢部材151の付勢力Fにより当接部153に対して係止されるロック位置へ移動するとともに、ロック位置において付勢力Fにより当接部153に対して係止された状態を維持する。
このため、使用者が第1ハウジング145と第2ハウジング135とを相対的に接近させるだけで、ロック部材152は、ロック位置に移動する。その結果、使用者は、第1ハウジング145と第2ハウジング135を容易に連結することができる。また、第1ハウジング145および第2ハウジング135が連結された状態では、ロック部材152は、付勢部材151が付与する付勢力Fによってロック位置に維持されるため、不用意に連結状態は解除されないようにすることができる。
また、ロック部材152は、接近移動がなされる際に当接部153と対向する側に設けられた突起部155bを有する。このため、第1ハウジング145と第2ハウジング135とを相対的に接近させた際に、ロック部材152と当接部153とをより確実に接触させることができる。
また、当接部153は、接近移動がなされる際にロック部材152と対向する側に設けられており、かつ、接近移動方向D1に対して傾斜するガイド面153aを有する。このため、より一層滑らかに、ロック部材152をスライド移動させることができる。
また、付勢部材151は、接近移動方向D1と直交する方向に付勢力Fを付与する。このため、付勢部材151は、第1ハウジング145と第2ハウジング135との接近移動に伴い、より滑らかに伸縮することができる。
また、第1ハウジング145は、駆動機構131に機械的に接続されて薬液貯蔵部141内のインスリンを生体内に押し出す押出機構143をさらに保持し、ロック機構15は、第1ハウジング145および第2ハウジング135において、駆動機構131および押出機構143が機械的に接続される側に設けられている。このため、駆動機構131と押出機構143との機械的な接続を好適に行うことができる。
(変形例1)
図13は、前述した実施形態の変形例1に係るロック機構115を示す図である。変形例1に係るロック機構115は、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結を感知するセンサ157をさらに備える点において前述した実施形態と相違する。以下、変形例1に係るロック機構115について詳述する。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、センサ157は、互いに接触することで電気的に接続される一対の電気接点157a、157bによって構成されている。
一方の電気接点157aは、第1ハウジング145の当接部153において、第1ハウジング145および第2ハウジング135を連結した際に突起部155bに面する側の面に設けられている。他方の電気接点157bは、第2ハウジング135の突起部155bにおいて、第1ハウジング145および第2ハウジング135を連結した際に当接部153に面する側の面に設けられている。なお、電気接点157a、157bを設ける位置は、第1ハウジング145および第2ハウジング135を連結させた際に互いに接触可能な位置である限り、特に限定されない。
第1制御部134は、電気接点157a、157bが電気的に接続されたことを検知可能に構成されている。
第1制御部134は、電気接点157a、157bが電気的に接続したことを検知しない限り、使用者がリモコン20を介して送液指示を行ったとしても、送液動作を行わないように構成されている。
また、第1制御部134は、電気接点157a、157bが電気的に接続したことを検知して、使用者に第1ハウジング145および第2ハウジング135が連結された旨を報知するように構成されている。報知方法は特に限定されず、例えば、音、光、モニタ204への表示等によって行うことができる。
さらに、第1制御部134は、電気接点157a、157bが電気的に接続しれていない状態で、使用者がリモコン20を介して送液指示を行った場合に、使用者に、第1ハウジング145および第2ハウジング135が連結されていない旨を警告するように構成されている。警告方法は特に限定されず、例えば、音、光、モニタ204への表示等によって行うことができる。
以上、変形例に係るロック機構115によれば、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結を感知するセンサ157をさらに備える。このため、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結状態に関する情報を活用して、送液動作の制限や使用者への連結状態の報知等の各種の動作を行うことが可能となる。
なお、センサ157は、第1ハウジング145および第2ハウジング135の連結を検知することができれば、上記構成に限定されない。例えば、センサ157は、第1ハウジング145と第2ハウジング135の連結分離動作に伴いON/OFFの位置が機械的に切替わるスイッチにより構成してもよいし、磁気的な接触により第1ハウジングと第2ハウジングの連結状態を検知するセンサによって構成してもよい。
(変形例2)
図14は、前述した実施形態の変形例2に係るロック機構215を示す図である。変形例2に係るロック機構215は、接近移動方向D1に延在する付勢部材216をさらに備える点において前述した実施形態と相違する。以下、変形例2に係るロック機構215について詳述する。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図14(A)示すように、第1ハウジング145の側壁145bの外周縁には、接近移動方向D1に延在する付勢部材216が固定されている。付勢部材216は、例えば、ばね等の弾性部材によって構成することができる。
図14(B)示すように、付勢部材216は、第1ハウジング145および第2ハウジング135を連結すると収縮する。このため、第1ハウジング145および第2ハウジング135を分離させる際に、付勢部材216は、第1ハウジング145および第2ハウジング135を相対的に離間させる方向の付勢力を第1ハウジング145および第2ハウジング135に付与する。その結果、第1ハウジング145および第2ハウジング135をより容易に分離することができる。
以上のように実施形態および複数の変形例を通じて本発明に係る薬液投与装置を説明したが、本発明に係る薬液投与装置は説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
前述した実施形態では、送液する薬液としてインスリンを用いた例を説明したがこれに限定されない。例えば、抗生物質、栄養剤、鎮痛剤、ホルモン剤等の薬液の投与に用いることも可能である。
また、第1ハウジングおよび第2ハウジングの形状は、連結分離可能である限り特に限定されない。
また、前述した実施形態では、ロック部材および付勢部材は、送液リユース部を構成する第2ハウジングに設けられており、当接部が送液ディスポ部を構成する第1ハウジングに設けられている場合を説明したが、ロック部材および付勢部材が、送液ディスポ部を構成する第1ハウジングに設けられ、当接部が送液リユース部を構成する第2ハウジングに設けられていてもよい。
また、前述した実施形態では、ロック機構は、第1ハウジングおよび第2ハウジングにおいて、駆動機構および押出機構が機械的に接続される側に設けられる場合を説明したが、ロック機構を設ける位置は、特に限定されない。
また、前述した実施形態では、押出機構は、送液ディスポ部を構成する第1ハウジングに保持されている場合を説明したが、押出機構は、送液リユース部を構成する第2ハウジングに保持されていてもよい。
また、前述した実施形態では、ロック部材は接近移動方向と直交する方向にスライド移動し、付勢部材は、接近移動方向と直交する方向の付勢力をロック部材に付与する場合を説明したが、ロック部材のスライド移動方向および付勢力の方向は、接近移動方向と交差する方向である限り特に限定されない。
また、ロック部材および当接部の形状は、接近移動に伴って互いに当接可能である限り特に限定されない。例えば、前述した実施形態では、ロック部材および当接部は、接近移動方向に対して傾斜する傾斜面において当接する場合を説明したが、ロック部材または当接部のいずか一方が接近移動方向に対して傾斜する傾斜面を備え、他方は、傾斜面を備えない構成であってもよい。少なくとも一方が傾斜面を備えていれば、ロック部材を滑らかにスライド移動させることができる。