JP6702816B2 - イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体 - Google Patents

イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP6702816B2
JP6702816B2 JP2016133680A JP2016133680A JP6702816B2 JP 6702816 B2 JP6702816 B2 JP 6702816B2 JP 2016133680 A JP2016133680 A JP 2016133680A JP 2016133680 A JP2016133680 A JP 2016133680A JP 6702816 B2 JP6702816 B2 JP 6702816B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricant
magnetic
acid
ionic liquid
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016133680A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018002936A (ja
Inventor
近藤 洋文
洋文 近藤
弘毅 初田
弘毅 初田
信郎 多納
信郎 多納
バヘル パンカジュ
バヘル パンカジュ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dexerials Corp
Original Assignee
Dexerials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dexerials Corp filed Critical Dexerials Corp
Priority to JP2016133680A priority Critical patent/JP6702816B2/ja
Priority to US15/633,062 priority patent/US20180012623A1/en
Publication of JP2018002936A publication Critical patent/JP2018002936A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6702816B2 publication Critical patent/JP6702816B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
    • G11B5/72Protective coatings, e.g. anti-static or antifriction
    • G11B5/725Protective coatings, e.g. anti-static or antifriction containing a lubricant, e.g. organic compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C309/00Sulfonic acids; Halides, esters, or anhydrides thereof
    • C07C309/01Sulfonic acids
    • C07C309/02Sulfonic acids having sulfo groups bound to acyclic carbon atoms
    • C07C309/03Sulfonic acids having sulfo groups bound to acyclic carbon atoms of an acyclic saturated carbon skeleton
    • C07C309/06Sulfonic acids having sulfo groups bound to acyclic carbon atoms of an acyclic saturated carbon skeleton containing halogen atoms, or nitro or nitroso groups bound to the carbon skeleton
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C311/00Amides of sulfonic acids, i.e. compounds having singly-bound oxygen atoms of sulfo groups replaced by nitrogen atoms, not being part of nitro or nitroso groups
    • C07C311/48Amides of sulfonic acids, i.e. compounds having singly-bound oxygen atoms of sulfo groups replaced by nitrogen atoms, not being part of nitro or nitroso groups having nitrogen atoms of sulfonamide groups further bound to another hetero atom
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D233/00Heterocyclic compounds containing 1,3-diazole or hydrogenated 1,3-diazole rings, not condensed with other rings
    • C07D233/54Heterocyclic compounds containing 1,3-diazole or hydrogenated 1,3-diazole rings, not condensed with other rings having two double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D233/66Heterocyclic compounds containing 1,3-diazole or hydrogenated 1,3-diazole rings, not condensed with other rings having two double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to ring carbon atoms
    • C07D233/72Two oxygen atoms, e.g. hydantoin
    • C07D233/74Two oxygen atoms, e.g. hydantoin with only hydrogen atoms or radicals containing only hydrogen and carbon atoms, attached to other ring members
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D285/00Heterocyclic compounds containing rings having nitrogen and sulfur atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D275/00 - C07D283/00
    • C07D285/15Six-membered rings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M105/00Lubricating compositions characterised by the base-material being a non-macromolecular organic compound
    • C10M105/56Lubricating compositions characterised by the base-material being a non-macromolecular organic compound containing nitrogen
    • C10M105/70Lubricating compositions characterised by the base-material being a non-macromolecular organic compound containing nitrogen as ring hetero atom

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

本発明は、イオン液体、該イオン液体を含有する潤滑剤、及びそれを用いた磁気記録媒体に関する。
従来、薄膜磁気記録媒体では、磁気ヘッドと媒体表面における摩擦や摩耗を減少させるために磁性層表面に潤滑剤が塗布される。実際の潤滑剤の膜厚は、スティクションのような接着を避けるため、分子レベルになる。それゆえ、薄膜磁気記録媒体において、最も重要なことは、あらゆる環境下においても、優れた耐摩耗性を有する潤滑剤の選択にあるといっても過言ではない。
磁気記録媒体のライフにおいて、脱離、スピンオフ、化学的な劣化などを生じさせずに、潤滑剤を媒体表面に存在させることは重要である。潤滑剤を媒体表面に存在させることは、薄膜磁気記録媒体の表面が平滑になるほど困難となる。これは、薄膜磁気記録媒体が塗布型磁気記録媒体のような潤滑剤の補充能力を有していないからである。
また、潤滑剤と磁性層表面の保護膜との接着力が弱い場合には、加熱や摺動時に潤滑剤膜厚の減少が生じ、摩耗を加速することになるため、多量の潤滑剤が必要とされる。多量の潤滑剤は、移動性の潤滑剤となり、消失した潤滑剤の補充機能を持たせることができる。しかし、過剰な潤滑剤は、潤滑剤の膜厚を表面疎度よりも大きくするため、接着に関連する問題が生じ、致命的な場合にはスティクションとなってドライブ不良の原因になるというジレンマがある。
また図1に示すように非特許文献1において、生産品のハードディスクドライブの面内記録密度の増加率はここ数年減少しているものの年率25%を達成しており、一つの目標である4Tb/inに届こうとしている。図2に示すようにその記録密度の増加に対するヘッドディスクインターフェイス間の距離は減少していることが分かるが、それに伴い常に信頼性を改善する必要性が存在する。そのことは、例えば次の非特許文献2〜非特許文献4に述べられている。
現在の記録密度は約1Tb/inで、スペーシングは約6nm、潤滑剤の厚みは0.8nmであり、将来的な4Tb/inの記録密度ではその潤滑剤の厚さも減少させなければならない。ところが、従来のPFPE潤滑剤では膜厚を減少させるためにはその分子量を小さくする必要があるが、そうすると熱安定性が劣化してしまう欠点がある。これらの信頼性の問題は、従来のパーフルオロポリエーテル(PFPE)系潤滑剤では、十分には解決されていないことがわかる。
特に、表面平滑性の高い薄膜磁気記録媒体では、これらのトレードオフを解消するために、新規潤滑剤が分子設計され、合成されている。また、PFPEの潤滑性に関する報告が数多く提出されている。このように、磁気記録媒体において、潤滑剤は、大変重要なものである。
表1に、代表的なPFPE系潤滑剤の化学構造を示す。
表1中のZ−DOLは、一般に使用されている薄膜磁気記録媒体用の潤滑剤の一つである。また、Z−tetraol(ZTMD)は、機能性の水酸基をPFPEの主鎖にさらに導入したものであり、ヘッドメディアインターフェイスの隙間を減少させながらドライブの信頼性を高めるとの報告がある。A20Hは、PFPE主鎖のルイス酸やルイス塩基による分解を抑え、トライボロジー特性を改善するとの報告がある。一方、Monoは、高分子主鎖及び極性基が、上記のPFPEと異なり、それぞれポリノルマルプロピルオキシとアミンであり、ニアコンタクトにおける接着相互作用を減少させるとの報告がある。
しかし、融点が高く熱的に安定と考えられる一般的な固体潤滑剤では、非常に高感度である電磁変換プロセスを妨害し、また、ヘッドによって削られた摩耗粉が走行トラックに生じるために摩耗特性が悪くなる。前述のように液体潤滑剤では、ヘッドによる摩耗によって取り除かれた潤滑剤に対して隣の潤滑層から移動して補充するといった移動性がある。しかし、この移動性のために、特に高温では、ディスク稼働中にディスク表面からスピンオフして潤滑剤が減少し、その結果、防護機能が失われる。このため、粘度が高くまた低揮発性の潤滑剤が好適に用いられており、蒸発速度を抑え、ディスクドライブの寿命を延ばすことを可能としている。
これらの潤滑機構から鑑みると、薄膜磁気記録媒体に用いられる低摩擦、低摩耗の潤滑剤への要求としては、以下のようになる。
(1)低揮発性であること。
(2)表面補充機能のために低表面張力であること。
(3)末端極性基とディスク表面への相互作用があること。
(4)使用期間での分解、減少がないように、熱的及び酸化安定性が高いこと。
(5)金属、ガラス、高分子に対して化学的に不活性で、ヘッドやガイドに対して摩耗粉を生じないこと。
(6)毒性、可燃性がないこと。
(7)境界潤滑特性に優れていること。
(8)有機溶媒に溶解すること。
近年、蓄電材料、分離技術、触媒技術などにおいて、イオン液体が、有機や無機材料合成のための環境にやさしい溶媒の一つとして、注目を集めている。イオン液体は、低融点の溶融塩という大きな範疇に入るが、一般的には、その中でも融点が100℃以下のものをいう。潤滑剤として使用するイオン液体の重要な特性として、揮発性が低いこと、可燃性がないこと、熱的に安定であること、溶解性能に優れていることがある。
例えば金属やセラミックス表面での摩擦及び摩耗が、あるイオン液体を用いることにより、従来の炭化水素系潤滑剤と比較して低減することがある。例えばフルオロアルキル基で置換したイミダゾールカチオンベースのイオン液体が合成され、アルキルイミダゾリウムのテトラフルオロホウ酸塩やヘキサフルオロリン酸塩が、鋼、アルミニウム、銅、単結晶SiO、シリコン、サイアロンセラミックス(Si−Al−O−N)に用いた場合、環状フォスファゼン(X−1P)やPFPEよりも優れたトライボロジー特性を示すとの報告がある。また、アンモニウムベースのイオン液体では、弾性流体から境界潤滑領域において、ベースオイルよりも摩擦を低下させる報告もある。また、イオン液体は、ベースオイルへの添加剤としての効果が調べられたり、化学的な及びトライボ化学的な反応が潤滑機構を理解するうえで研究されたりしているが、分子レベルでの潤滑特性が要求される磁気記録媒体としての応用例は少ない。例えば非特許文献5ではイミダゾール系トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートのイオン液体が報告されているが、可能性が示されているだけで、具体的なトライボロジー特性までについては触れられていない。
その中でパーフルオロオクタン酸アルキルアンモニウム塩は、プロトン性イオン液体(PIL)であるが、既述のZ−DOLと比較して、著しく磁気記録媒体の摩擦低減の効果があることを報告している(例えば、特許文献1、及び2、並びに非特許文献6〜7参照)。しかし、これらのパーフルオロカルボン酸アンモニウム塩は、カチオンとアニオンの相互作用が弱く、高温での熱的な安定性が悪くなる。
ところで、ハードディスクの面記録密度の限界は、1−2.5Tb/inと言われている。現在、その限界に近付きつつあるが、磁性粒子の微細化を大前提として、大容量化技術への精力的な開発が続けられている。大容量化の技術として、実効フライングハイトの減少、Shingle Writeの導入(BMP)などがある。
また、次世代記録技術として、「熱アシスト磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording)」がある。図3に、熱アシスト磁気記録の概略を示す。この技術の課題としては、記録再生時にレーザーで記録部分を加熱するために、磁性層表面の潤滑剤の蒸発あるいは分解による耐久性の悪化が挙げられる。熱アシスト磁気記録は、短い時間ではあるが400℃以上とも言われる高温に晒される可能性があり、一般に使用されている薄膜磁気記録媒体用の潤滑剤パーフルオロポリエーテル、例えばZ−DOLやZ−TETRAOLでは、その熱的な安定性が懸念されている。
その中で渡邉らは、プロトン性イオン液体のプロトン移動性と熱的な安定性が酸と塩基のpKaの差(ΔpKa)に大きく依存し、塩基としてDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデ−7−センを用いた場合、ΔpKaが15以上となる酸を用いることにより、イオン液体の熱的安定性が大きく向上することを報告している(非特許文献8参照)。また、近藤らは、ΔpKaが大きいパーフルオロオクタンスルホン酸オクタデシルアンモニウム塩系のプロトン性イオン液体が磁気記録媒体の耐久性を改善することを報告している(非特許文献9、特許文献3参照)。しかし、イオン液体の耐熱性に関してそれを構成する分子構造と物理的又は化学的な性質との関係についてはよく理解されていない。カチオンとアニオンとのコンビネーションは、イオン液体の物理的又は化学的な性質に非常に影響を与える。アニオン部分はバライアティに富むが、構造的に類似なカチオンでなければその関係性は明確にはならない(例えば、非特許文献10参照)。例えば、ハロゲンの水素結合力が強いほど(Cl>Br>I)液体の粘性は増加する。しかし、粘性を増加させる方法はこれだけではなく、例えば、イミダゾールのアルキル鎖を変化させることによっても可能である。同様に融点、表面張力、熱安定性についても影響を与えるが、そのアニオンの効果は広範囲にわたっては研究されていない。それゆえ、カチオンやアニオンのコンビネーションにより、これらの物理的又は化学的な性質を変化させることは可能であるが、予測することは難しい。
また、ハードディスクへの応用を考えた場合には、市販のパーフルオロポリエーテルがそうであるように、生産ラインで使用されているフッ素系溶媒(例えば、デュポン社製特殊溶媒バートレル)への溶解性が必要になる。なお、フッ素系溶媒は、生産ラインを防爆仕様にする必要がない点から、ハードディスクの生産ラインにおいて、潤滑剤に使用する溶媒として好適に使用されている。しかし、パーフルオロポリエーテル系以外の化合物のフッ素系溶媒への溶解性はあまり良くなく、それゆえ潤滑特性が良いにもかかわらずハードディスクへの用途は制限されていた。
また、従来公知の潤滑剤としては、長鎖脂肪酸、又はそのエステルが用いられている。イオン液体をこれらと併用する場合には、潤滑剤に使用される炭化水素系溶媒への溶解性に優れる必要がある。
特許第2581090号公報 特許第2629725号公報 国際公開第2014/104342号パンフレット
Advances in Tribology Volume 2013, ArticleID 521086 C.M.Mate, Q. Dai, R. N. Payne, B. E. Knigge, and P. Baumgart, "Will the numbers add up for sub−7−nm magnetic spacings? Futuremetrology issues for disk drive lubricants, overcoats, and topographies," IEEE Transactions onMagnetics, vol. 41,no. 2, pp.626−631, 2005. B.Marchon and T. Olson, "Magnetic spacing trends: from LMR to PMR and beyond," IEEE Transactions on Magnetics, vol. 45, no. 10, pp. 3608−3611, 2009. J. Gui, "Tribology challenges for head−disk interface toward 1Tb/in2," IEEE Transactions on Magnetics, vol. 39, no. 2, pp. 716−721, 2003. Gong, X., Kozbial, A., Rose, F., Li, L.,Effect of π−π+ Stacking on the Layering of Ionic Liquids Confined to an Amorphous Carbon Surface., Applied Mater. Interfaces 2015, vol.7, pp.7078−7081 Kondo, H., Seki, A., Watanabe, H., & Seto, J., (1990). Frictional Properties of Novel Lubricants for Magnetic Thin Film Media, IEEE Trans. Magn. Vol.26, No. 5, (Sep. 1990), pp.2691−2693, , ISSN:0018−9464 Kondo, H., Seki, A., & Kita, A., (1994a). Comparison of an Amide and Amine Salt as Friction Modifiers for a Magnetic Thin Film Medium. Tribology Trans. Vol.37, No. 1, (Jan. 1994), pp. 99−105, ISSN: 0569−8197 Miran, M.S., Kinoshita, H., Yasuda, T., Susan, M.A.B.H., Watanabe, M., Physicochemical Properties Determined by ΔpKa for Protic Ionic Liquids Based on an Organic Super−strong Base with Various Bronsted Acids, Phys. Chem. Chem. Phys., Vol 14, pp.5178−5186 (2012) Hirofumi Kondo, Makiya Ito, Koki Hatsuda, KyungSung Yun and Masayoshi Watanabe, "Novel Ionic Lubricants for Magnetic Thin Film" Media,IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, VOL. 49, NO. 7, pp.3756−3759,JULY (2013) Dzyuba, S. V.; Bartsch, R. A. ,"Influence of Structural Variations in 1−Alkyl(aralkyl)−3−Methylimidazolium Hexafluorophosphates and Bis(trifluoromethylsulfonyl)imides on Physical Properties of the Ionic Liquids,Chem. Phys. Phys. Chem. 2002, 3, 161−166
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、フッ素系溶媒及び炭化水素系溶媒への溶解性に優れ、かつ高温においても優れた潤滑性を有するイオン液体、高温においても優れた潤滑性を有し、かつ磁気記録媒体の生産ラインへの適性に優れる潤滑剤、及び優れた実用特性を有する磁気記録媒体を提供する。
<1> 共役塩基と、共役酸とを有するイオン液体を含有し、
前記共役酸が、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基と、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基とを有し、
前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤である。
<2> 前記共役酸が、下記一般式(A)で表される前記<1>に記載の潤滑剤である。
ただし、前記一般式(A)中、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。または、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。
<3> 前記共役塩基が、下記一般式(X)、及び下記一般式(Y)のいずれかで表される前記<1>から<2>のいずれかに記載の潤滑剤である。
ただし、前記一般式(X)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
ただし、前記一般式(Y)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
<4> 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に前記<1>から<3>のいずれかに記載の潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体である。
<5> 共役塩基と、共役酸とを有し、
前記共役酸が、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基と、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基とを有し、
前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下であることを特徴とするイオン液体である。
<6> 前記共役酸が、下記一般式(A)で表される前記<5>に記載のイオン液体である。
ただし、前記一般式(A)中、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。または、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。
<7> 前記共役塩基が、下記一般式(X)、及び下記一般式(Y)のいずれかで表される前記<5>から<6>のいずれかに記載のイオン液体である。
ただし、前記一般式(X)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
ただし、前記一般式(Y)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
本発明によれば、フッ素系溶媒及び炭化水素系溶媒への溶解性に優れ、かつ高温においても優れた潤滑性を有するイオン液体、高温においても優れた潤滑性を有し、かつ磁気記録媒体の生産ラインへの適性に優れる潤滑剤、及び優れた実用特性を有する磁気記録媒体を提供できる。
図1は、ハードディスクドライブの面内記録密度の推移と予測を表すグラフである。 図2は、ハードディスクの面内記録密度に対するヘッドメディアスペーシング(HMS)のロードマップである。 図3は、熱アシスト磁気記録を示す概略図である。 図4は、本発明の一実施の形態に係るハードディスクの一例を示す断面図である。 図5は、本発明の一実施の形態に係る磁気テープの一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1. 潤滑剤及びイオン液体
2. 磁気記録媒体
3. 実施例
<1.潤滑剤及びイオン液体>
本発明の一実施形態として示す潤滑剤は、共役酸と、共役塩基とを有するイオン液体を含有する。
本発明の一実施形態として示すイオン液体は、共役酸と、共役塩基とを有する。
前記イオン液体において、前記共役酸は、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基と、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基とを有する。
前記イオン液体において、前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaは、10以下である。
本実施の形態におけるイオン液体は、共役酸と、共役塩基とを有し、前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下であるため、イオン間の結合が強く優れた熱安定性を発揮することができる。カチオン部分に炭素数6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を2個以上持ち、その一方の炭化水素数は14以下であるために優れた潤滑特性を併せ持ち、かつフッ素系溶媒及び炭化水素系溶媒への溶解性が改善され、ハードディスクの潤滑剤塗布工程でフッ素系溶媒としてよく使用されるCF(CHF)CFCFへの溶解性が改善するため、その結果、磁気記録媒体の生産ラインを防爆仕様にする必要がなくなる。炭化水素系溶媒への溶解性については潤滑剤として広く使用されている材料が長鎖脂肪酸あるいはそのエステルであることを考慮すると、相溶性が改善されるので、添加剤としてその効果を発揮できることを意味している。また融点の低下効果もあり、潤滑剤としての応用範囲も広がる。
ここで、イオン液体を含有する潤滑剤は、通常、イオン液体が0.05質量%程度の濃度で使用される。そのため、前記イオン液体のフッ素系溶媒に対する溶解性としては、0.05質量%以上が必要である。また、使用状況によっては、それ以上の溶解性が要求されることもある。更には、潤滑剤の使用状況、保存状況の変化等を加味すると、0.1質量%以上〔CF(CHF)CFCF100質量部に対してイオン液体が0.1質量部以上〕の溶解性が要求される。
前記pKaは、10以下の強酸であり、6.0以下が好ましい。
前記pKaの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記pKaは、−5.0以上が好ましい。
ここで、本明細書におけるpKaは、酸解離定数であって、アセトニトリル中における酸解離定数である。
<<共役塩基>>
前記共役塩基としては、元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが10以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記一般式(X)及び下記一般式(Y)で表される共役塩基以外にも、例えば、下記一般式(U)で表される共役塩基、下記一般式(V)で表される共役塩基、下記一般式(W)で表される共役塩基などが挙げられる。これらの中でも、前記イオン液体の溶媒に対する溶解性を高くできる点で、下記一般式(X)で表される共役塩基、下記一般式(Y)で表される共役塩基が好ましい。
ただし、前記一般式(X)中、lは、1以上12以下の整数を表し、1以上6以下の整数が好ましい。
ただし、前記一般式(Y)中、1は、1以上12以下の整数を表し、1以上6以下の整数が好ましい。
前記共役塩基の元となる酸(HA)としては、ビス((パーフルオロアルキル)スルホニル)イミド〔(C2l+1SONH〕(pKa=0〜0.3)、パーフルオロシクロプロパンスルホイミド(pKa=−0.8)、パーフルオロアルキルスルホン酸(C2m+1SOH)(pKa=0.7)、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド化合物〔(CFSOCH〕(pKa=−3.7)、トリシアノメタン(pKa=5.1)、無機酸〔硝酸(pKa=9.4)、硫酸(pKa=8.7)等〕、テトラフルオロホウ酸(pKa=1.8)、ヘキサフルオロ燐酸などのスーパー酸に位置づけられるブレンステッド酸が好ましい。これらのpKaは、例えば、非特許文献J. Org. Chem. Vol.76, No2, p.394に紹介されている。
<<共役酸>>
前記共役酸は、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を2個以上有し、その一方の炭化水素数は14以下である。前記炭化水素基の炭素数としては、トータルの炭素数が6以上であれば、特に制限はなく、部分フッ素化炭素を含んでいても良く、目的に応じて適宜選択することができるが、10以上が好ましい。
前記炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基の炭素数の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、原材料の調達の観点から、前記炭素数は、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。前記炭化水素基が長鎖であることにより、摩擦係数を低減し、潤滑特性を向上させることができる。
前記炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基としては、分岐していても良いが前記炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基が好ましく、部分フッ素化炭素を含んでいても良い。ただし、炭素数が多すぎると溶媒への溶解性が低下する傾向にあるため、前記炭化水素基の炭素数は、摩擦係数低減の効果と溶媒への溶解性とを考慮して決定される。
炭素数6以上14以下の直鎖状の炭化水素基についても同様であり、分岐していても良いが前記炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基が好ましく、部分フッ素化炭素を含んでいても良い。
前記共役酸は、下記一般式(A)で表されることが好ましい。
ただし、前記一般式(A)中、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。または、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。
<<イオン液体の好適例>>
前記イオン液体としては、下記一般式(1)で表されるイオン液体が好ましい。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。または、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。前記Aは、共役塩基である。
前記一般式(1)で表されるイオン液体としては、下記一般式(1−1)で表されるイオン液体、及び下記一般式(1−2)で表されるイオン液体が好ましい。
ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。または、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。1は、1以上12以下の整数を表す。
ただし、前記一般式(1−2)中、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。または、Rは、炭素数が6以上14以下の直鎖状の炭化水素基を含む基を表し、Rは、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。lは、1以上12以下の整数を表す。
前記イオン液体の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の実施例に記載の方法を参考にすることで、種々の前記イオン液体を合成することができる。
本実施の形態における潤滑剤は、前述のイオン液体を単独で使用してもよいが、従来公知の潤滑剤と組み合わせて用いてもよい。例えば、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸エステル、カルボン酸パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロポリエーテル誘導体などと組み合わせて使用することが可能である。
また、厳しい条件で潤滑効果を持続させるために、質量比30:70〜70:30程度の配合比で極圧剤を併用してもよい。前記極圧剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接触が生じたときに、これに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜を形成することにより、摩擦・摩耗防止作用を行うものである。前記極圧剤としては、例えば、リン系極圧剤、イオウ系極圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合型極圧剤などのいずれも使用できる。
また、必要に応じて防錆剤を併用してもよい。前記防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用可能であるものであればよく、例えば、フェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物などが挙げられる。また、前記防錆剤は、潤滑剤として混合して用いてもよいが、非磁性支持体上に磁性層を形成し、その上部に防錆剤層を塗布した後、潤滑剤層を塗布するというように、2層以上に分けて被着してもよい。
また、前記潤滑剤の溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール等のアルコール系溶媒などから単独又は組み合わせて使用することができる。例えば、ノルマルヘキサンのような炭化水素系溶剤やフッ素系溶媒を混合しても使用することができる。
前記溶媒としては、フッ素系溶媒が好ましい。前記フッ素系溶媒としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル〔例えば、COCH、COCH、COC、CCF(OCH)C、CF(CHF)CFCF〕などが挙げられるが、それにIPAやエタノールあるいはメタノール等のアルコールを混合して用いても良い。
前記フッ素系溶媒は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、3M社製のNovecTM 7000、7100、7200、7300、71IPA、三井・デュポン フロロケミカル株式会社製のVertrel XF、X−P10などが挙げられる。
<2.磁気記録媒体>
次に、前述の潤滑剤を用いた磁気記録媒体について説明する。本発明の一実施形態として示す磁気記録媒体は、非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有してなり、前記磁性層に前述の潤滑剤を保有してなるものである。
本実施の形態における潤滑剤は、磁性層が非磁性支持体表面に蒸着やスパッタリング等の手法により形成された、所謂、金属薄膜型の磁気記録媒体に適用することが可能である。また、非磁性支持体と磁性層との間に下地層を介した構成の磁気記録媒体にも適用することもできる。このような磁気記録媒体としては、磁気ディスク、磁気テープなどを挙げることができる。
図4は、ハードディスクの一例を示す断面図である。このハードディスクは、基板11と、下地層12と、磁性層13と、カーボン保護層14と、潤滑剤層15とが順次積層された構造を有する。
また、図5は、磁気テープの一例を示す断面図である。この磁気テープは、バックコート層25と、基板21と、磁性層22と、カーボン保護層23と、潤滑剤層24とが順次積層された構造を有する。
図4に示す磁気ディスクにおいて、非磁性支持体は、基板11、下地層12が該当し、図5に示す磁気テープにおいて、非磁性支持体は、基板21が該当する。非磁性支持体として、Al合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合、基板表面にアルマイト処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成して、その表面を硬くしてもよい。
磁性層13、22は、メッキ、スパッタリング、真空蒸着、プラズマCVD等の手法により、連続膜として形成される。磁性層13、22としては、Fe、Co、Ni等の金属や、Co−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Ni−Pt系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や、Co−Cr系合金薄膜、Co−O系薄膜等の垂直磁化記録金属磁性薄膜が例示される。
特に、面内磁化記録金属磁性薄膜を形成する場合、予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、Si、Tl等の非磁性材料を、下地層12として形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着あるいはスパッタし、磁性金属薄膜中にこれら非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保するとともに、抗磁力を向上するようにしてもよい。
また、磁性層13、22の表面に、カーボン膜、ダイヤモンド状カーボン膜、酸化クロム膜、SiO膜等の硬質な保護層14、23を形成してもよい。
このような金属薄膜型の磁気記録媒体に前述の潤滑剤を保有させる方法としては、図2及び図5に示すように、磁性層13、22の表面や、保護層14、23の表面にトップコートする方法が挙げられる。潤滑剤の塗布量としては、0.1mg/m〜100mg/mであることが好ましく、0.5mg/m〜30mg/mであることがより好ましく、0.5mg/m〜20mg/mであることが特に好ましい。
また、図5に示すように、金属薄膜型の磁気テープは、磁性層22である金属磁性薄膜の他に、バックコート層25が必要に応じて形成されていてもよい。
バックコート層25は、樹脂結合剤に導電性を付与するためのカーボン系微粉末や表面粗度をコントロールするための無機顔料を添加し塗布形成されるものである。本実施の形態においては、前述の潤滑剤を、バックコート層25に内添又はトップコートにより含有させてもよい。また、前述の潤滑剤を、磁性層22とバックコート層25のいずれにも内添、トップコートにより含有させてもよい。
また、他の実施の形態として、磁性塗料を非磁性支持体表面に塗布することにより磁性塗膜が磁性層として形成される、所謂、塗布型の磁気記録媒体にも潤滑剤の適用が可能である。塗布型の磁気記録媒体において、非磁性支持体や磁性塗膜を構成する磁性粉末、樹脂結合剤などは、従来公知のものがいずれも使用可能である。
例えば、前記非磁性支持体としては、例えば、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリカーボネート等に代表されるような高分子材料により形成される高分子支持体や、アルミニウム合金、チタン合金等からなる金属基板、アルミナガラス等からなるセラミックス基板、ガラス基板などが例示される。また、その形状も何ら限定されるものではなく、テープ状、シート状、ドラム状等、如何なる形態であってもよい。さらに、この非磁性支持体には、その表面性をコントロールするために、微細な凹凸が形成されるような表面処理が施されたものであってもよい。
前記磁性粉末としては、γ−Fe、コバルト被着γ−Fe等の強磁性酸化鉄系粒子、強磁性二酸化クロム系粒子、Fe、Co、Ni等の金属や、これらを含んだ合金からなる強磁性金属系粒子、六角板状の六方晶系フェライト微粒子等が例示される。
前記樹脂結合剤としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル等の重合体、あるいはこれら二種以上を組み合わせた共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。これら結合剤には、磁性粉末の分散性を改善するために、カルボン酸基やカルボキシル基、リン酸基等の親水性極性基が導入されてもよい。
前記磁性塗膜には、前記の磁性粉末、樹脂結合剤の他、添加剤として分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等が加えられてもよい。
このような塗布型の磁気記録媒体に前述の潤滑剤を保有させる方法としては、前記非磁性支持体上に形成される前記磁性塗膜を構成する前記磁性層中に内添する方法、前記磁性層の表面にトップコートする方法、若しくはこれら両者の併用等がある。また、前記潤滑剤を前記磁性塗膜中に内添する場合には、前記樹脂結合剤100質量部に対して0.2質量部〜20質量部の範囲で添加される。
また、前記潤滑剤を前記磁性層の表面にトップコートする場合には、その塗布量は0.1mg/m〜100mg/mであることが好ましく、0.5mg/m〜20mg/mであることがより好ましい。なお、前記潤滑剤をトップコートする場合の被着方法としては、イオン液体を溶媒に溶解し、得られた溶液を塗布若しくは噴霧するか、又はこの溶液中に磁気記録媒体を浸漬することにより行うことができる。
本実施の形態における潤滑剤を適用した磁気記録媒体は、潤滑作用により、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性等を発揮し、さらに、熱的安定性を向上させることができる。
<3.実施例>
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。本実施例では、イオン液体を合成し、イオン液体を含有する潤滑剤を作製した。そして、まずはフッ素系溶媒であるバートレル〔CF(CHF)CFCF〕及び炭化水素系のn−ヘキサンへの溶解性について調べた。その潤滑剤溶液を用いて磁気ディスク及び磁気テープの表面に塗布して、それぞれディスク耐久性及びテープ耐久性について評価した。磁気ディスクの製造、ディスク耐久性試験、磁気テープの製造、及びテープ耐久性試験は、次のように行った。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<磁気ディスクの製造>
例えば、国際公開第2005/068589号公報に従って、ガラス基板上に磁性薄膜を形成し、図4に示すような磁気ディスクを作製した。具体的には、アルミシリケートガラスからなる外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mmの化学強化ガラスディスクを準備し、その表面をRmaxが4.8nm、Raが0.43nmになるように研磨した。ガラス基板を純水及び純度99.9%以上のイソプロピルアルコール(IPA)中で、それぞれ5分間超音波洗浄を行い、IPA飽和蒸気内に1.5分間放置後、乾燥させ、これを基板11とした。
この基板11上に、DCマグネトロンスパッタリング法によりシード層としてNiAl合金(Ni:50モル%、Al:50モル%)薄膜を30nm、下地層12としてCrMo合金(Cr:80モル%、Mo:20モル%)薄膜を8nm、磁性層13としてCoCrPtB合金(Co:62モル%、Cr:20モル%、Pt:12モル%、B:6モル%)薄膜を15nmとなるように順次形成した。
次に、プラズマCVD法によりアモルファスのダイヤモンドライクカーボンからなるカーボン保護層14を5nm製膜し、そのディスクサンプルを洗浄器内に純度99.9%以上のイソプロピルアルコール(IPA)中で10分間超音波洗浄を行い、ディスク表面上の不純物を取り除いた後に乾燥させた。その後、25℃50%相対湿度(RH)の環境においてディスク表面にイオン液体のn−ヘキサンとエタノールの混合溶媒を用いてディップコート法により塗布することで、潤滑剤層15を約1nm形成した。
<熱安定性測定>
TG/DTA測定では、セイコーインスツルメント社製EXSTAR6000を使用し、200ml/minの流量で空気中を導入しながら、10℃/minの昇温速度で30℃−600℃の温度範囲で測定を行った。
測定における吸熱ピーク温度を融点とした。
<ディスク耐久性試験>
市販のひずみゲージ式ディスク摩擦・摩耗試験機を用いて、ハードディスクを14.7Ncmの締め付けトルクで回転スピンドルに装着後、ヘッドスライダーのハードディスクに対して内周側のエアベアリング面の中心が、ハードディスクの中心より17.5mmになるようにヘッドスライダーをハードディスク上に取り付けCSS耐久試験を行った。本測定に用いたヘッドは、IBM3370タイプのインライン型ヘッドであり、スライダーの材質はAl−TiC、ヘッド荷重は63.7mNである。本試験は、クリーン清浄度100、25℃60%RHの環境下で、CSS(Contact、Start、Stop)毎に摩擦力の最大値をモニターした。摩擦係数が1.0を超えた回数をCSS耐久試験の結果とした。CSS耐久試験の結果において、50,000回を超える場合には「>50,000」と表示した。また、耐熱性を調べるために、300℃の温度で3分間加熱試験を行った後のCSS耐久性試験を同様に行った。
<磁気テープの製造>
図5に示すような断面構造の磁気テープを作製した。先ず、5μm厚の東レ製ミクトロン(芳香族ポリアミド)フィルムからなる基板21に、斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚100nmの強磁性金属薄膜からなる磁性層22を形成した。次に、この強磁性金属薄膜表面にプラズマCVD法により10nmのダイヤモンドライクカーボンからなるカーボン保護層23を形成させた後、6ミリ幅に裁断した。このカーボン保護層23上にIPAに溶解したイオン液体を、膜厚が1nm程度となるように塗布して潤滑剤層24を形成し、サンプルテープを作製した。
<テープ耐久性試験>
各サンプルテープについて、温度−5℃環境下、温度40℃30%RH環境下のスチル耐久性、並びに、温度−5℃環境下、温度40℃90%RH環境下の摩擦係数及びシャトル耐久性について測定を行った。スチル耐久性は、ポーズ状態での出力が−3dB低下するまでの減衰時間を評価した。シャトル耐久性は、1回につき2分間の繰り返しシャトル走行を行い、出力が3dB低下するまでのシャトル回数で評価した。また、耐熱性を調べるために、100℃の温度で10分間加熱試験を行った後の耐久性試験も同様に行った。
本実施の形態におけるイオン液体は、共役塩基と、共役酸とを有し、前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下である。更には、共役酸(カチオン部分)に炭素数6以上の炭化水素基を2個以上持ち、その内の一つは炭素数が14以下であることが好ましい。そのようなイオン液体の熱安定性、及び前記イオン液体を用いた磁気記録媒体の耐久性についての影響を調べた。更に、炭化水素系溶媒及びフッ素系溶媒への溶解性について調べた。
ここで、本明細書においてのFTIRの測定は、日本分光社製FT/IR−460を使用し、KBrプレート法あるいはKBr錠剤法を用いて透過法で測定を行った。そのときの分解能は4cm−1である。
H−NMR及び13C−NMRスペクトルは、Varian MercuryPlus300核磁気共鳴装置(バリアン社製)で測定した。H−NMRの化学シフトは、内部標準(0ppmにおけるTMSあるいは重水素化溶媒ピーク)との比較としてppmで表した。***パターンは、一重項をs、二重項をd、三重項をt、四重項をq、五重項をquint、多重項をm、ブロードピークをbrとして示した。
(実施例1A)
<ノナフルオロブタンスルホン酸−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成は、以下のスキームにしたがって行った。
17.76gのウンデシルイミダゾールとドデシルブロミド20.00gと水酸化カリウム7.75gとをフラスコに加え、トルエン中で8.0時間加熱還流した。常温に戻した後に溶媒を除去し、n−ヘキサンと酢酸エチル9:1(n−ヘキサン:酢酸エチル(体積比))の溶媒を流出液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。27.35gの無色の液体である1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾールのガスクロマトグラフィーによる純度は98.8%以上であった。収率87.7%。
エタノールに1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾール9.04gを溶解させ、35%の濃塩酸3.18gのエタノール溶液を加えた。溶媒を除去後の無色の結晶をジクロルメタンに溶解させ、洗浄液が中性になるまで水で洗浄し、有機溶媒を除去後にn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒から再結晶を行い、1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムクロリドの無色の結晶を8.30gを得た。収率84.0%。
1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムクロリド2.67gを水とエタノールの混合溶媒を加熱して溶解させ、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム2.57gの水溶液を加えた。加熱還流を1時間行い、冷却後に水層と有機層に分離した。水層をジクロルメタンで抽出し有機層と併せて水でAgNO試験が陰性になるまで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に溶媒を除去して、ノナフルオロブタンスルホン酸−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの無色結晶4.88gを得た。収率93.1%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1135cm−1、1235cm−1、1354cm−1、1470cm−1、1522cm−1、2853cm−1、2920cm−1、3081cm−1、及び3147cm−1に吸収振動が見られた。
得られた化合物のCDCl中でのプロトン(H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
H−NMR(CDCl,δppm);0.856(t/J=6.8Hz,6H), 1.180−1.400(m,34H), 1.720−1.860(m,4H), 2.934(t/J=8.0Hz,2H), 3.988(t/J=7.8Hz,2H), 7.048−7.057(m,1H), 7.291−7.302(m,1H), 13.710(brs,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.070, 22.647, 24.659, 26.347, 27.342, 28.943, 29.048, 29.288, 29.335, 29.441, 29.546, 30.093, 31.865, 47.734, 119.250, 122.410, 147.347
これらのスペクトルから、生成物がノナフルオロブタンスルホン酸−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムであることが同定された。
なお、ノナフルオロブタンスルホン酸−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸(ノナフルオロブタンスルホン酸)のアセトニトリル中でのpKaは、0.7である。
(実施例2A)
<ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成>
ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成は、以下のスキームにしたがって行った。
実施例1Aで合成した1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムクロリド2.67gを加熱した純水に溶解させ、カリウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド3.88gを水とエタノールの混合溶媒に溶解させたものを加えた。加熱還流を1h行い、冷却後ジクロルメタンで抽出を行った。有機層を純水でAgNO試験が陰性になるまで洗浄を行った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去してビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウム5.53gの無色の液体を得た。収率91.1%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1077cm−1、1238cm−1、1355cm−1、1468cm−1、1601cm−1、2859cm−1、2930cm−1、及び3268cm−1に吸収振動が見られた。
得られた化合物のCDCl中でのプロトン(H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
H−NMR(CDCl,δppm);0.852(t/J=6.8Hz,3H), 0.858(t/J=6.8Hz,3H), 1.160−1.400(m,34H), 1.700(quint,t/J=7.7Hz,2H), 1.770−1.870(m,2H), 2.913(t/J=7.8Hz,2H), 4.002(t/J=7.6Hz,2H), 7.085−7.094(m,1H), 7.278−7.291(m,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.051, 22.628, 24.535, 26.336, 27.524, 28.923, 29.019, 29.288, 29.470, 29.498, 29.537, 30.064, 31.856, 47.868, 119.279, 120.601, 147.251
これらのスペクトルから、生成物がビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムであることが同定された。
なお、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸(ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド)のアセトニトリル中でのpKaは、0.0である。
(実施例3A)
<ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成は、以下のスキームにしたがって行った。
トルエン200g中に2−ウンデシルイミダゾール15.06gとオクタデシルブロミド22.62g、水酸化カリウム5.00gとをフラスコに加え、加熱還流を12時間行った。常温に戻してろ過後に溶媒を除去し、n−ヘキサンと酢酸エチル9:1(n−ヘキサン:酢酸エチル(体積比))の溶媒を流出液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。29.00gの無色の液体である1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾールを得た。収率90.2%。
AGILENT社製ガスクロ質量分析装置(6890N/5975MSD)を用いて質量分析を行ったところ、分子イオンピークは474に現れており、またガスクロによる純度は98.9%以上であった。
また、重クロロホルム中でのプロトン(1H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,δppm);0.846(t/J=7.0Hz,6H), 1.170−1.390(m,46H), 1.640−1.760(m,4H), 2.599(t/J=7.8Hz,2H), 3.772(t/J=7.2Hz,2H),6.760(d/J=1.6Hz,1H),6.890(d/J=1.6Hz,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.080, 22.647, 26.614, 26.806, 28.013, 29.144, 29.326, 29.383, 29.422, 29.498, 29.613, 29.661, 30.945, 31.875, 45.664, 118.608, 126.993, 148.123
これらのスペクトルから、生成物が1‐オクタデシル‐2‐ウンデシルイミダゾールであることが同定された。
1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾール4.70gをエタノールに溶解させ、ノナフルオロブタンスルホン酸3.01gをエタノールに溶解させたものを加え、加熱還流を1h行った。冷却後に溶媒を除去し、残存物をジクロルメタンで抽出し、有機層を純水で十分に洗浄を行った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去後、100℃で65時間真空乾燥を行い、ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウム7.04gの薄黄色の結晶を得た。収率91.7%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1060cm−1、1135cm−1、1236cm−1、1277cm−1、1354cm−1、1471cm−1、1520cm−1、1605cm−1、2852cm−1、2919cm−1、3083cm−1、3148cm−1、及び3220cm−1に吸収振動が見られた。
また、重クロロホルム中でのプロトン(1H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
1H−NMR(CDCl,δppm);0.849(t/J=6.8Hz,3H), 0.852(t/J=7.2Hz,3H), 1.180−1.410(m,46H), 1.670‐1.760(m,2H), 1.804(quint/J=6.8Hz,2H), 2.922(t/J=7.8Hz,2H), 3.993(t/J=7.4Hz,2H), 7.081(t/J=2.0Hz,1H), 7.282(t/J=2.4Hz,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.070, 14.099,22.647, 22.666, 24.640, 26.355, 27.285, 28.962, 29.029, 29.278, 29.335, 29.460, 29.498, 29.518, 29.556, 29.671, 30.083, 31.856, 31.894, 47.715, 119.135, 120.554, 147.251
これらのスペクトルから、生成物がノナフルオロブタンスルホン酸1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムであることが同定された。
なお、ノナフルオロブタンスルホン酸1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸(ノナフルオロブタンスルホン酸)のアセトニトリル中でのpKaは、0.7である。
(実施例4A)
<ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成>
ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの合成は、以下のスキームにしたがって行った。
実施例3Aで合成した1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾール3.01gをエタノールに溶解させ、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム3.92gをエタノールに溶解させた後に、加熱還流を1h行った。冷却後に溶媒を除去し、残存物をジクロルメタンで抽出し、有機層を純水で十分に洗浄を行った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去後、100℃で20時間真空乾燥を行い、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウム6.16gの薄黄色の液体を得た。収率91.9%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1077cm−1、1200cm−1、1217cm−1、1237cm−1、1354cm−1、1467cm−1、1520cm−1、1601cm−1、2856cm−1、2927cm−1、3111cm−1、3170cm−1、及び3267cm−1に吸収振動が見られた。
また、重クロロホルム中でのプロトン(1H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
1H−NMR(CDCl,δppm);0.851(t/J=6.8Hz,3H), 0.857(t/J=6.8Hz,3H), 1.180−1.400(m,46H), 1.692(quint/J=7.4Hz,2H), 1.760‐1.870(m,2H), 2.904(t/J=7.8Hz,2H), 4.019(t/J=7.4Hz,2H), 7.153(t/J=2.2Hz,1H), 7.246(t/J=2.2Hz,1H), 11.954(brs,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.022, 14.070,22.618, 22.666, 24.496, 26.298, 27.448, 28.943, 28.990, 29.259, 29.288, 29.345, 29.470, 29.498, 29.565, 29.680, 30.054, 31.837, 31.904, 47.868, 118.972, 120.937, 147.117
これらのスペクトルから、生成物がビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムであることが同定された。
なお、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸[ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド]のアセトニトリル中でのpKaは、0.0である。
(比較例1A)
<ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシルイミダゾリウムの合成>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシルイミダゾリウムについては、下記スキームによって合成した。
1−オクタデシルイミダゾールは、以下の方法で合成した。
3gのイミダゾールを100mLのアセトニトリルに溶解させ、オクタデシルブロミド14.9gと水酸化カリウム2.51gとを加えて攪拌しながら加熱して4時間還流させた。溶媒を除去後、ジクロルメタンで抽出し、カラムクロマトグラフィーで精製した。ガスクロマトグラフィーでの分析したところ98.5%以上の純度であった。
続いて、合成した1−オクタデシルイミダゾール3.27gを、エタノール50mLに溶解させ、これにノナフルオロブタンスルホン酸3.05gのエタノール溶液を徐々に滴下しながら加え、滴下終了後30分間攪拌させた後に1時間加熱還流させた。溶媒を除去後、エタノール/n−ヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶を行い、無色のノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシルイミダゾリウムを得た。収率95%。
生成物のFTIRスペクトルの帰属を以下に示した。
1134cm−1、1355cm−1、1246cm−1、1470cm−1、2852cm−1、2920cm−1、及び3158cm−1に吸収振動が見られた。
得られた化合物のCDCl中でのプロトン(H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
1H−NMR(CDCl,δppm);0.847(t,3H,J=7.2Hz), 1.222−1.282(m,30H), 1.790−1.890(m,2H), 4.181(t/J=7.2Hz,2H), 7.189(dd/J=1.8Hz,3.8Hz,1H), 7.444(dd/J=1.8Hz,3.8Hz,1H), 8.866(dd/J=1.8Hz,3.8Hz,1H), 13.200(brs,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.055, 22.648, 26.113, 28.875, 29.272, 29.318, 29.440, 30.142, 31.882, 49.847, 122.500, 122.851, 135.015
以上から、ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシルイミダゾリウムが合成されていることが確認できた。
なお、ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸〔ノナフルオロブタンスルホン酸〕のアセトニトリル中でのpKaは、0.7である。
(比較例2A)
<ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド−1−ブチル−3−n−オクタデシルイミダゾリウムの合成>
比較のために、ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド−1−ブチル−3−n−オクタデシルイミダゾリウムの合成を、以下のスキームにしたがって行った。
比較例1Aで合成した1−オクタデシルイミダゾール10.7gとブロモブタン6.03gとをアセトニトリル中に溶解させ、加熱還流を5時間行った。溶媒を除去後、n−ヘキサンとエタノールとの混合溶媒から再結晶を行い、1−ブチル−3−オクタデシルイミダゾリウムブロミドを得た。このブロミド4.57gをエタノールに溶解させ、そこへ、カリウムヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド3.31gのエタノール溶液を添加し、撹拌すると無色の沈殿が発生した。この溶液を1時間加熱還流させ、冷却後に溶媒を除去した。これにジクロルメタンを加えて溶解する部分を濾過して、その有機層を純水でAgNO試験が陰性になるまで洗浄した。乾燥させ、n−ヘキサンとエタノールとの混合溶媒から再結晶を行い、無色の結晶ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド−1−ブチル−3−n−オクタデシルイミダゾリウム6.00gを得た。収率90%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1091cm−1、1161cm−1、1356cm−1、1470cm−1、1560cm−1、2850cm−1、及び2919cm−1に吸収振動が見られた。
また、重クロロホルム中でのプロトン(1H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークとその帰属について、以下に示す。
1H−NMR(CDCl,δppm);0.850(t,3H,J=7.2Hz), 0.941(t,3H,J=7.2Hz), 1.170−1.410(m,32H), 1.835(quint,J=7.2Hz,4H), 4.160(m,4H), 7.267(d,1H,J=2.1Hz), 7.294(d,1H,J=2.1Hz), 8.749(s,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);13.254, 14.085, 19.351, 22.663, 26.113, 28.853, 29.303, 29.333, 29.448, 29.570, 29.631, 29.677, 30.127, 31.898, 32.004, 49.977, 50.244, 122.179, 122.263, 135.473
これらのスペクトルから、生成物がヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド−1−ブチル−3−n−オクタデシルイミダゾリウムであることが同定された。
なお、ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド−1−ブチル−3−n−オクタデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸〔ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド〕のアセトニトリル中でのpKaは、−0.8である。
(比較例3A)
<ノナフルオロブタンスルホン酸−2−ヘプタデシルイミダゾールの合成>
ノナフルオロブタンスルホン酸−2−ヘプタデシルイミダゾールについては、下記スキームによって合成した。
原料の2−ヘプタデシルイミダゾールは、四国化成から購入したものをエタノールで再結晶させた後に用いた。再結晶により純度を93.0%から98.5%に向上させることにより、熱安定性は向上することから、合成原料として以下で使用する2−ヘプタデシルイミダゾールについては再結晶を行って精製したものを使用した。5.10gの2−ヘプタデシルイミダゾールを100mlのエタノールに溶解させ、これにノナフルオロブタンスルホン酸5.00gを徐々に滴下しながら加え、滴下終了後30分間攪拌させた後に1時間加熱還流させた。溶媒を除去後エタノール/n−ヘキサンの混合溶媒から再結晶を行い、無色のノナフルオロブタンスルホン酸−2−ヘプタデシルイミダゾール塩を得た。収率95%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1135cm−1、1356cm−1、1238cm−1、1471cm−1、2850cm−1、2918cm−1、及び3160cm−1に吸収振動が見られた。
また、重クロロホルム中でのプロトン(1H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピーク及びその帰属について下記に示す。
1H−NMR(CDCl,δppm);0.847(t,3H,J=6.8Hz), 1.160−1.340(m,28H), 1.710−1.809(m,2H), 2.943(t,J=7.5Hz,2H), 7.130(s,2H), 11.150(brs,2H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.055, 22.663, 25.777, 27.395, 28.875, 28.967, 29.349, 29.379, 29.532, 29.654, 29.684, 31.913, 118.409, 148.584
これらのスペクトルから、生成物がノナフルオロブタンスルホン酸−2−ヘプタデシルイミダゾリウムであることが確認できた。
なお、ノナフルオロブタンスルホン酸−2−ヘプタデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸〔ノナフルオロブタンスルホン酸〕のアセトニトリル中でのpKaは、0.7である。
(比較例4A)
<ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾールの合成>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾールの合成を以下のスキームにしたがって行った。
2−ヘプタデシルイミダゾール9.18g、オクタデシルブロミド9.99g、及び水酸化カリウム1.68gをアセトニトリル100mlとトルエン100ml中に加えて3時間加熱還流させた。反応溶液をろ過して生成した塩を除去し、溶媒をエバポレーターで除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてn−ヘキサン/酢酸エチル=9/1(体積比)の混合溶媒で未反応の原料を分離し、98%以上のガスクロマトグラフィー純度で目的物1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾール14.5gを得た。
このイミダゾール4.45gをエタノールに溶解させ、ノナフルオロブタンスルホン酸2.40gをエタノールに溶解させたものを徐々に滴下しながら加えた。滴下終了後30分間攪拌後、1時間加熱還流した。溶媒を除去後エタノール/n−ヘキサンの混合溶媒から再結晶を行い、無色のノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾール塩6.43gを得た。収率94%。
生成物のFTIRスペクトルを下記に示す。
1135cm−1、1279cm−1、1357cm−1、1472cm−1、2851cm−1、2918cm−1、及び3152cm−1に吸収による振動が見られた。
また、重クロロホルム中でのプロトン1H−NMR及びカーボン13C−NMRのピークとその帰属について以下に示す。
1H−NMR(CDCl,δppm);0.848(t,6H,J=6.8Hz), 1.171‐1.307(m,58H), 1.702‐1.817(m,4H), 2.908(t,J=7.5Hz,2H), 4.003(t,J=7.5Hz,2H), 7.139(t,J=1.5Hz,1H), 7.255(t,J=1.5Hz,1H),13.285(brs,1H)
13C−NMR(CDCl,δppm);14.055, 22.648,24.602, 26.326, 27.196, 28.952, 28.998, 29.333, 29.455, 29.516, 29.562, 29.669, 30.051, 31.882, 47.725, 118.928, 120.866, 147.149
これらのスペクトルから、生成物がノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾリウムであることが確認できた。
なお、ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾリウムにおける共役塩基の元となる酸〔ノナフルオロブタンスルホン酸〕のアセトニトリル中でのpKaは、0.7である。
(比較例5A)
<ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムの合成>
比較のために、ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムの合成を、以下のスキームにしたがって行った。
ペンタデカフルオロオクタン酸4.14gとオクタデシルアミン2.69gをエタノール中に加え、加熱還流を1h行った。溶媒を除去後にn−ヘキサンとエタノールの混合溶媒から再結晶を行い、6.23gの無色板状結晶を得た。収率92.0%。
生成物のFTIR吸収を以下に示す。
1141cm−1、1201cm−1、1232cm−1、1473cm−1、1677cm−1、2851cm−1、2918cm−1、及び3000−1−3325cm−1に吸収振動が見られた。
また、重メタノール中でのプロトン(1H)NMR及びカーボン(13C)NMRのピークについて、以下に示す。
1H−NMR(CDOD,δppm);0.890(t/J=6.6Hz,3H), 1.214−1.408(m,30H), 1.590−1.690(m,2H), 2.896(t/J=7.5Hz,2H), 4.891(brs)
13C−NMR(CDOD,δppm);14.444, 23.740, 27.464, 28.578, 30.242, 30.486, 30.516, 30.669, 30.791, 33.081, 40.758
これらのスペクトルから、生成物がペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムであることが同定された。
なお、ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムにおける共役塩基の元となる酸〔ペンタデカフルオロオクタン酸〕のアセトニトリル中でのpKaは、12.7である。
上記実施例及び比較例で合成したイオン液体を以下にまとめた。
(実施例1B〜実施例5B、及び比較例1B〜比較例7B)
<溶媒への溶解性測定結果>
各実施例、各比較例で合成したイオン液体、及びZ−DOL、Z−TETRAOLに対して、フッ素系溶媒として三井・デュポン フロロケミカル株式会社製バートレルXF〔CF(CHF)CFCF〕及び純正化学社製試薬特級のn−ヘキサンを用いて溶解性試験を行った。
所定質量のバートレルXFあるいはn−ヘキサンに対してイオン液体を加え、超音波を5分間照射した後に1日間放置し、その溶解性を目視で確認した。
具体的には、バートレルXF(25℃)100質量部に対して、0.2質量部それぞれのイオン液体、Z−DOL、又はZ−TETRAOLを加え、超音波を5分間照射した後に1日間放置したのちに、その溶解性を目視で確認し、以下の評価基準で評価した。n−ヘキサンの場合には、同様に25℃において、100質量部に対して、0.5質量部それぞれのイオン液体、Z−DOL、又はZ−TETRAOLを加え、超音波を5分間照射した後に1日間放置したのちに、その溶解性を目視で確認し、以下の評価基準で評価した。
なお、目視で確認し、透明である場合を溶解していると判断した。また、不透明である又は不溶分が見られる場合を溶解していない(不溶)と判断した。
結果を表2に示す。
〔評価基準〕
<<バートレルXF>>
・0.2質量%以上:
0.2質量部の添加で溶解している。
・0.2質量%未満:
0.2質量部の添加では不溶である。
<<n−ヘキサン>>
・0.5質量%以上:
0.5質量部の添加で溶解している。
・0.5質量%未満:
0.5質量部の添加では不溶である。
実施例1Aのイオン液体のバートレルXFへの溶解性は0.2質量%以上、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%以上であった。
実施例2Aのイオン液体のバートレルXFへの溶解性は0.2質量%以上、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%以上であった。
実施例3Aのイオン液体のバートレルXFへの溶解性は0.2質量%以上、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%以上であった。
実施例4Aのイオン液体のバートレルXFへの溶解性は0.2質量%以上、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%以上であった。
比較例1A〜比較例4Aのイオン液体のバートレルXFへの溶解性は0.2質量%未満であり、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%未満であった。比較例5Aのイオン液体のバートレルXFへの溶解性は0.2質量%未満であったが、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%以上であった。Z−DOL、Z−TETRAOLのバートレルXFへの溶解性は0.2質量%以上であったが、n−ヘキサンへの溶解性は0.5質量%未満であった。
これからわかるように、実施例で用いたイオン液体は、非極性溶媒であるバートレルXFやn−ヘキサンへの溶解性が改善されていることが分かる。これは潤滑剤として広く使用されている材料が長鎖脂肪酸あるいはそのエステルであることを考慮すると、添加剤としてその効果を発揮できることを意味している。また炭化水素の長さが11と12のイミダゾール誘導体である実施例1B〜2Bでは、フッ素系溶媒であるバートレルXFに対しての溶解性が改善しており、ハードディスク用途としての生産に用いるには十分である。また実施例3B〜4Bと比較例4Bを比べることにより、共役酸であるイミダゾリウム骨格に含まれる2個の炭化水素のうちの一方の炭化水素の炭素数が11と小さい炭化水素鎖を用いることによりその溶解性が改善されていることがわかる。また実施例3B〜4Bと比較例1B及び比較例3Bと比べてわかるように、炭化水素鎖が1個のものでは溶解性が不十分で、2個を導入することにより溶解性は改善する。同様に実施例3B〜4Bと比較例2Bを比べるとわかるように、2個の炭化水素を持つものでも一方の炭化水素鎖の炭化水素数が4ではその溶解性が不十分である。
炭素数が1個のイミダゾール系イオン液体、長鎖の炭化水素を2個以上導入したもの、あるいは炭化水素鎖が2個でも片方の炭素数が4と短いイミダゾール系イオン液体では、比較例1B〜比較例3Bからわかるように、バートレルXFやn−ヘキサンへの溶解性は低い。つまり分子設計手法として炭素数が6以上の炭化水素が2個以上導入され、その一方の炭化水素数は14以下にすることが溶剤への溶解性に対して有効であることが分かる。
本発明者らの検討結果から、イオン液体に対して長鎖の炭化水素が2個以上導入されその一方の炭化水素数を14以下することによりフッ素系溶媒及び炭化水素系溶媒への溶解性が改善することが分かった。またアニオンとしてビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドを持つものはノナフルオロブタンスルホン酸よりも溶解性は総じて高い。
(実施例1C)
<熱安定性測定結果>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ349.4℃、374.1℃、398.9℃であり、比較例として示した一般的に磁気記録媒体用途の潤滑剤として知られている市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)と比較すると170℃以上、またZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても100℃以上高いことが分かる。
(実施例2C)
<熱安定性測定結果>
ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−ドデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ337.7℃、361.6℃、383.8℃であった。市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)やZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても、それぞれ約160℃、100℃以上熱安定性が改善されていることが分かる。
(実施例3C)
<熱安定性測定結果>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ328.3℃、368.1℃、396.7℃であり、比較例として示した一般的に磁気記録媒体用途の潤滑剤として知られている市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)と比較すると170℃以上、またZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても80℃以上高いことが分かる。
(実施例4C)
<熱安定性測定結果>
ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド−1−オクタデシル−2−ウンデシルイミダゾリウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ329.1℃、362.4℃、388.4℃であった。市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)やZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても、それぞれ160℃、90℃以上熱安定性が改善されていることが分かる。
(比較例1C)
<熱安定性測定結果>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシルイミダゾリウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ349.3℃、375.0℃、397.5℃であった。イオン液体であるために市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)やZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても、熱安定性は高い。
(比較例2C)
<熱安定性測定結果>
ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド−1−ブチル−3−n−オクタデシルイミダゾリウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ347.2℃、367.0℃、387.8℃であった。イオン液体であるために市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)やZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても、熱安定性は高い。
(比較例3C)
<熱安定性測定結果>
ノナフルオロブタンスルホン酸−2−ヘプタデシルイミダゾールの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ365.4℃、390.5℃、414.3℃であった。イオン液体であるために市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)やZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても、熱安定性は高い。
(比較例4C)
<熱安定性測定結果>
ノナフルオロブタンスルホン酸−1−オクタデシル−2−ヘプタデシルイミダゾールの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ338.2℃、365.9℃、390.1℃であった。イオン液体であるために市販品のパーフルオロポリエーテルZ−DOL(比較例6C)やZ−TETRAOL(比較例7C)と比較しても、熱安定性は高い。
(比較例5C)
<熱安定性測定結果>
ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ206.9℃、215.8℃、223.4℃であった。イオン液体ではあるが、酸のpKaが10よりも大きいためにイオン間の結合力が弱く、熱安定性に欠ける結果となっている。この比較例の場合にはイオン液体ではあるが市販品のパーフルオロポリエーテルZ‐DOL(比較例6C)やZ‐TETRAOL(比較例7C)と比較しても、熱安定性は大きくは改善していない。
(比較例6C)
<熱安定性測定結果>
比較例6Cとして、末端に水酸基をもつ分子量約2000の市販品のパーフルオロポリエーテルZ‐DOLの測定を行った結果、5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ165.0℃、197.0℃、226.0℃であり、重量減少は蒸発に起因している。
(比較例7C)
<熱安定性測定結果>
市販品で磁気記録媒体用潤滑剤として一般的に使用されている、末端に水酸基を複数個持つ分子量約2000のパーフルオロポリエーテル(Z‐TETRAOL)を潤滑剤として用いた。Z‐TETRAOLの5%、10%、20%重量減少温度は、それぞれ240.0℃、261.0℃、282.0℃であり、Z‐DOL同様に重量減少は蒸発に起因している。
実施例1C〜実施例4C、比較例1C〜比較例7Cの結果を、融点とともに、表3にまとめた。
このように実施例1A〜実施例4A、比較例1A〜比較例4Aの長鎖炭化水素基を持つイミダゾール系イオン液体系の潤滑剤は、市販品のパーフルオロポリエーテルであるZ−DOL、及びZ−TETRAOLと比較して熱安定性に圧倒的に優れていることが分かる。比較例5Aのイオン液体は前述したように、カルボン酸でありpKaが高いために、イオン間の結合力が弱く、熱安定性に欠ける結果となっている。
熱安定性についての長鎖炭化水素基を持つイミダゾール系イオン液体の中での比較では系統的な差は見出せないが、十分な熱安定性を持つものと考えられる。
実施例のイオン液体は、比較例1A〜4Aのイオン液体と比較しても融点が低く、潤滑剤としての応用の範囲が広くなるメリットがある。
(実施例1D〜実施例4D、及び比較例1D〜比較例4D)
<ディスク耐久性試験>
実施例1D〜実施例4D、及び比較例1D〜比較例4Dのそれぞれのイオン液体を含有する潤滑剤を塗布して、磁気ディスクを作製した。表4に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超え、加熱試験後のCSS測定も50,000回を超え、優れた耐久性を示した。
(比較例5D)
<ディスク耐久性試験>
ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表4に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超えたものの、加熱試験後のCSS測定は891回であり、加熱試験により耐久性が悪化した。ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウムは比較例12に示したように、イオン液体ではあるが、酸のpKaが10よりも大きいためにイオン間の結合力が弱く熱安定性が低下し、加熱試験後の特性が悪化したものと考えられる。
(比較例6D)
<ディスク耐久性試験>
Z−DOLを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表4に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超えたものの、加熱試験後のCSS測定は12,000回であり、加熱試験により耐久性が悪化した。
(比較例7D)
<ディスク耐久性試験>
Z−TETRAOLを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表4に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超えたものの、加熱試験後のCSS測定は36,000回であり、加熱試験により耐久性が悪化した。
実施例1D〜実施例4D、及び比較例1D〜比較例7Dの結果を、表4にまとめた。
(実施例1E〜実施例4E、比較例1E〜比較例7E)
実施例1A〜実施例4Aのイオン液体、比較例1A〜比較例5Aのイオン液体、Z−DOL、及びZ−Tetraolをそれぞれ含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した後に、以下の測定を行った。
・100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数
温度−5℃の環境下、又は温度40℃、相対湿度90%環境下
・スチル耐久試験
温度−5℃の環境下、又は温度40℃、相対湿度30%環境下
・シャトル耐久試験
温度−5℃の環境下、又は温度40℃、相対湿度90%環境下
・加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数
温度−5℃の環境下、又は温度40℃、相対湿度90%環境下
・加熱試験後のスチル耐久試験
温度−5℃の環境下、又は温度40℃、相対湿度30%環境下
・加熱試験後のシャトル耐久試験
温度−5℃の環境下、又は温度40℃、相対湿度90%環境下
実施例1E〜4E、及び比較例1E〜7Eの結果を、表5−1及び表5−2にまとめる。
表中、スチル耐久性の「>60」は、60分超であることを表す。
表中、シャトル耐久性の「>200」は、200回超であることを表す。
以下のことが確認できた。
実施例1A〜実施例4Aのそれぞれのイオン液体を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を有することが分かった。
比較例1A〜比較例4Aのそれぞれのイオン液体を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を有することが分かった。この比較例潤滑剤はイオン液体であるゆえに加熱試験後にも優れた磁気テープ耐久性を示した。
比較例5Aのイオン液体を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を示したが、加熱試験後に磁気テープ耐久性が大きく劣化した。
Z−DOLを塗布した磁気テープは、スチル耐久性、及びシャトル耐久性の劣化が大きいことが分かった。
Z−Tetraolを塗布した磁気テープは、スチル耐久性、及びシャトル耐久性の劣化が大きいことが分かった。
表5−1及び表5−2から、共役塩基と、共役酸とを有するイオン液体を含有し、前記共役酸が、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を2個以上有し、その一方の炭化水素数は14以下であり、前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが10以下であると、優れた耐熱性、並びに磁気テープ、及び磁気ディスクにおける耐久性を得られることが分かった。更には、耐熱性及び磁気記録媒体の耐久性に優れるばかりでなく、イオン液体でありながら希釈剤としてn−ヘキサンにも溶解するので、これは潤滑剤として広く使用されている長鎖脂肪酸あるいはそのエステルに対する添加剤としてその効果を発揮できることを意味している。またその中にはフッ素系溶媒であるバートレルにも溶解するものもあるので、特にハードディスクやマイクロマシン等への応用を考えたときに製造プロセスの上でも問題はない。
以上の説明からも明らかなように、共役塩基と、共役酸とを有するイオン液体を含有し、前記共役酸が、炭素数が6以上の直鎖状の炭化水素基を2個以上の有し、その一方の炭化水素数は14以下であり、前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下であるイオン液体系潤滑剤は、分解温度及び5%、10%、20%重量減少温度が高く熱安定性に優れる。また高温条件下においても従来のパーフルオロポリエーテルと比較しても優れた潤滑性を保つことができ、また、長期に亘って潤滑性を保つことができる。したがって、このイオン液体を含有する潤滑剤を用いた磁気記録媒体は、非常に優れた走行性、耐摩耗性、及び耐久性を得ることができる。
11 基板
12 下地層
13 磁性層
14 カーボン保護層
15 潤滑剤層
21 基板
22 磁性層
23 カーボン保護層
24 潤滑剤層
25 バックコート層

Claims (3)

  1. 共役塩基と、共役酸とを有するイオン液体を含有し、
    前記共役酸が、下記一般式(A)で表され、
    前記共役塩基が、下記一般式(X)、及び下記一般式(Y)のいずれかで表され、
    前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤。
    ただし、前記一般式(A)中、Rは、炭素数が11以上18以下の直鎖状の炭化水素基を表し、Rは、炭素数が11以上14以下の直鎖状の炭化水素基を表す。または、Rは、炭素数が11以上14以下の直鎖状の炭化水素基を表し、Rは、炭素数が11以上18以下の直鎖状の炭化水素基を表す。
    ただし、前記一般式(X)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
    ただし、前記一般式(Y)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
  2. 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に請求項1に記載の潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 共役塩基と、共役酸とを有し、
    前記共役酸が、下記一般式(A)で表され、
    前記共役塩基が、下記一般式(X)、及び下記一般式(Y)のいずれかで表され、
    前記共役塩基の元となる酸のアセトニトリル中でのpKaが、10以下であることを特徴とするイオン液体。
    ただし、前記一般式(A)中、Rは、炭素数が11以上18以下の直鎖状の炭化水素基を表し、Rは、炭素数が11以上14以下の直鎖状の炭化水素基を表す。または、Rは、炭素数が11以上14以下の直鎖状の炭化水素基を表し、Rは、炭素数が11以上18以下の直鎖状の炭化水素基を表す。
    ただし、前記一般式(X)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
    ただし、前記一般式(Y)中、lは、1以上12以下の整数を表す。
JP2016133680A 2016-07-05 2016-07-05 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体 Active JP6702816B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016133680A JP6702816B2 (ja) 2016-07-05 2016-07-05 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
US15/633,062 US20180012623A1 (en) 2016-07-05 2017-06-26 Ionic Liquid, Lubricant, and Magnetic Recording Medium

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016133680A JP6702816B2 (ja) 2016-07-05 2016-07-05 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018002936A JP2018002936A (ja) 2018-01-11
JP6702816B2 true JP6702816B2 (ja) 2020-06-03

Family

ID=60911026

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016133680A Active JP6702816B2 (ja) 2016-07-05 2016-07-05 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20180012623A1 (ja)
JP (1) JP6702816B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20080014421A1 (en) * 2006-07-13 2008-01-17 Aharon Inspektor Coated cutting tool with anodized top layer and method of making the same
EP2087931A3 (de) * 2008-02-05 2011-08-31 Evonik Goldschmidt GmbH Entschäumung von ionischen Flüssigkeiten
DE102012021452A1 (de) * 2012-10-31 2014-04-30 Merck Patent Gmbh Salze mit Trihydroperfluoralkoxybutansulfonat- oder Trihydroperfluoralkoxypropansulfonat-Anion
JP6283515B2 (ja) * 2012-12-28 2018-02-21 デクセリアルズ株式会社 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
US9450537B2 (en) * 2014-08-25 2016-09-20 Tensorcom, Inc. Method and apparatus to detect LO leakage and image rejection using a single transistor
JP6546031B2 (ja) * 2015-08-06 2019-07-17 デクセリアルズ株式会社 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6663793B2 (ja) * 2016-02-15 2020-03-13 デクセリアルズ株式会社 イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018002936A (ja) 2018-01-11
US20180012623A1 (en) 2018-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6305844B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6294158B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6374708B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
US20200216773A1 (en) Ionic Liquid, Lubricant, and Magnetic Recording Medium
JP6862254B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6305845B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
WO2017141775A1 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6702778B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6576656B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6780965B2 (ja) 潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6702816B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6663793B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6546031B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
WO2017030122A1 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
JP6780945B2 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体
WO2016121439A1 (ja) イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190121

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200310

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200507

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6702816

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250