以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、給紙された用紙に画像形成を行った後その画像形成済みの用紙に対して用紙搬送方向(以下、「副走査方向」ともいう)に垂直な方向(以下、「主走査方向」ともいう)に折り目を形成するように折り処理を施し、折り処理により形成された折り目を補強し折り高さを低減させるために、折り処理により形成された折り目を増し折りローラで押圧することで増し折り処理を施す画像形成装置を例として説明する。
このような画像形成装置において、本実施形態に係る要旨の一つは、用紙に形成された折り目を補強するために用紙を押圧する際、その用紙を折り目が形成された面から押圧することにある。本実施形態に係る画像形成装置は、このように構成されることにより、増し折り処理後に用紙に折りシワや押圧跡等が発生するといったことを防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る画像形成装置によれば、折り目を補強した後の用紙の品質を向上させることが可能となる。
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を簡略化して示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、増し折り処理ユニット4、スキャナユニット5により構成されている。
画像形成ユニット2は、入力された画像データに基づいてCMYK(Cyan Mgenta Yellow Key Plate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて、給紙された用紙に対して画像形成出力を実行する。折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して折り処理を実行する。即ち、本実施形態においては、折り処理ユニット3が折り部として機能する。増し折り処理ユニット4は、折り処理ユニット3から搬送されてきた折り処理済みの用紙に形成された折り目に対して増し折り処理を実行する。即ち、本実施形態においては、折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4が、シート処理装置として機能する。
スキャナユニット5は、複数のフォトダイオードが一列に並べられ、これに並列にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の受光素子が配置されたリニアイメージセンサにより原稿を読み取ることで原稿を電子化する。尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。尚、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ、折り処理、増し折り処理等を実現するためのエンジンを備える。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、増し折り処理ユニット4及びスキャナユニット5において専用の機能を実現するためのハードウェアであり、画像形成ユニット2においては、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、折り処理ユニット3においては、用紙を搬送する搬送機構や、搬送される用紙を折るための折り処理機構である。
また、増し折り処理ユニット4においては、折り処理ユニット3によって折り処理された上で搬送される用紙の折り目を補強するための増し折り処理機構である。また、スキャナユニット5においては、紙面上に表示されている画像を読み取る読取装置である。増し折り処理ユニット4に含まれる増し折り処理機構の構成が、本実施形態に係る要旨の1つである。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、給紙テーブル110、プリントエンジン120、折り処理エンジン130、増し折り処理エンジン140、スキャナエンジン150、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)160、排紙トレイ170、ディスプレイパネル180、ネットワークI/F190を有する。また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104及び操作表示制御部105を有する。
給紙テーブル110は、画像形成部であるプリントエンジン120に用紙を給紙する。プリントエンジン120は、画像形成ユニット2に備えられた画像形成部であり、給紙テーブル110から搬送されてきた用紙に対して画像形成出力を実行することにより画像を描画する。プリントエンジン120の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。このプリントエンジン120により画像が描画された画像形成済みの用紙は、折り処理ユニット3に搬送され、若しくは、排紙トレイ170に排紙される。
折り処理エンジン130は、折り処理ユニット3に備えられ、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して折り処理を施す。この折り処理エンジン130により折り処理が施された折り処理済みの用紙は、増し折り処理ユニット4に搬送される。増し折り処理エンジン140は、増し折り処理ユニット4に備えられ、折り処理エンジン130から搬送されてきた折り処理済みの用紙に形成された折り目に対して増し折り処理を施す。この増し折り処理エンジン140により増し折り処理が施された増し折り処理済みの用紙は、排紙トレイ170に排紙され、若しくは、ステープルやパンチ、製本処理等の後処理を実行する図示しない後処理ユニットへ搬送される。
ADF160は、スキャナユニット5に備えられ、原稿読取部であるスキャナエンジン150に原稿を自動搬送する。スキャナエンジン150は、スキャナユニット5に備えられ、光学情報を電気信号に変換する光電変換素子を含む原稿読取部であり、ADF160により自動搬送されてきた原稿、若しくは、図示しない原稿台ガラスにセットされた原稿を光学的に走査して読み取って画像情報を生成する。ADF160により自動搬送されてスキャナエンジン150により読み取られた原稿は、排紙トレイ170に排紙される。
ディスプレイパネル180は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル180は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル180は、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。
ネットワークI/F190は、画像形成装置1がネットワークを介して管理者用端末等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、FeliCa(登録商標)等のインタフェースが用いられる。ネットワークI/F190は、図2に示すI/F50によって実現される。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F190及びネットワークを介して他の装置にアクセスする。エンジン制御部102は、プリントエンジン120、折り処理エンジン130、増し折り処理エンジン140、スキャナエンジン150等の駆動部を制御し若しくは駆動させる。入出力制御部103は、ネットワークI/F190及びネットワークを介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる文書データ若しくは画像データに基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、CMYKのビットマップデータ等のデータであり、画像形成部であるプリントエンジン120が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部104は、スキャナエンジン150から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1に格納され若しくはネットワークI/F190及びネットワークを介して他の機器に送信される情報である。操作表示制御部105は、ディスプレイパネル180に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル180を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4がそれぞれ、折り処理及び増し折り処理を行う際の動作例について、図4〜6を参照して説明する。図4〜6は、本実施形態に係る折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4がそれぞれ、折り処理及び増し折り処理を実行している際の折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4を主走査方向から見た断面図である。尚、以下で説明する各動作部の動作は、主制御部101及びエンジン制御部102の制御により行われる。
本実施形態に係る画像形成装置1が折り処理ユニット3において折り処理動作を行う際にはまず、図4(a)に示すように、折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から入口ローラ対310により折り処理ユニット3に搬送されてきた画像形成済みの用紙6を、レジストローラ対320により横レジ補正して搬送のタイミングを計りながら搬送経路切替爪330に向かって搬送する。
折り処理ユニット3は、図4(b)に示すように、レジストローラ対320により搬送経路切替爪330に搬送されてきた用紙6を、搬送経路切替爪330により第一の折り処理搬送ローラ対340に誘導する。折り処理ユニット3は、図4(c)に示すように、搬送経路切替爪330により第一の折り処理搬送ローラ対340に誘導されてきた用紙6を、第一の折り処理搬送ローラ対340により第二の折り処理搬送ローラ対350に向かって搬送する。
折り処理ユニット3は、図5(a)に示すように、第一の折り処理搬送ローラ対340により第二の折り処理搬送ローラ対350に搬送されてきた用紙6を、第一の折り処理搬送ローラ対340及び第二の折り処理搬送ローラ対350によりさらに搬送する。折り処理ユニット3は、図5(b)に示すように、用紙6を所定の位置で折るためのタイミングを計って第二の折り処理搬送ローラ対350の回転方向を反転させることで用紙6の上記所定の位置に撓みをつくりつつ、その撓みの位置が変化しないように第一の折り処理搬送ローラ対340及び第二の折り処理搬送ローラ対350により、用紙6を折り目付け搬送ローラ対360に向かって搬送する。
このとき、折り処理ユニット3は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度及びセンサ370から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、上記タイミングを計るようになっている。
折り処理ユニット3は、図5(c)に示すように、第二の折り処理搬送ローラ対350により折り目付け搬送ローラ対360に搬送されてきた用紙6を、折り目付け搬送ローラ対360を搬送方向に回転させることで用紙6の上記撓みを挟み込んで上記所定の位置に折り目をつけると共に、その用紙6を増し折り処理ユニット4の増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間に向かって搬送する。即ち、本実施形態においては、折り目付け搬送ローラ対360が、シート搬送部として機能する。尚、図4及び図5に示すように、本実施形態においては、第一の折り処理搬送ローラ対340の一方は、折り目付け搬送ローラ対360の一方を兼任している。
このようにして折り処理が施された用紙6の形状の一例を図7(a)〜(h)に示す。図7(a)〜(h)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3により折り処理が施された折り処理済みの用紙6の形状の一例を示す図である。
そして、増し折り処理ユニット4は、図6(a)に示すように、折り目付け搬送ローラ対360により増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間に搬送されてきた用紙6を用紙支持板420により押圧方向から支持し、その用紙6に形成された折り目を増し折りローラ410を搬送方向に回転させながら押圧することで増し折りを行う。即ち、本実施形態においては、増し折りローラ410が、押圧部として機能し、用紙支持板420が、シート支持部として機能する。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報、用紙6のサイズに関する用紙情報、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、用紙6を押圧するタイミングを計るようになっている。若しくは、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度、センサ430から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、用紙6を押圧するタイミングを計るようになっている。
尚、増し折りローラ410は、図4〜図6に示すように、増し折りローラ駆動装置470からタイミングベルト472を介して伝達される増し折りローラ駆動モータ471による駆動力により駆動され、また、折り目付け搬送ローラ対360は、図示しない折り目付け搬送ローラ駆動モータにより駆動される。そして、この増し折りローラ駆動モータ471の駆動、及び、折り目付け搬送ローラ駆動モータの駆動は、エンジン制御部102の制御により行われる。即ち、本実施形態においては、増し折りローラ駆動モータ471が、回転駆動制動部として機能し、エンジン制御部102が、回転制御部、搬送制御部として機能する。
上記のようにして、増し折り処理ユニット4は、用紙6に形成された折り目を増し折りローラ410により押圧することで増し折りを行うと、その増し折り処理済みの用紙6を増し折り処理搬送ローラ対440に向かって搬送する。
増し折り処理ユニット4は、図6(b)に示すように、増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間から搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6をそのまま排紙する場合には、その用紙6を増し折り処理搬送ローラ対440により排紙ローラ対450に向かって搬送する。そして、増し折り処理ユニット4は、増し折り処理搬送ローラ対440により排紙ローラ450に搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6を、排紙ローラ450により排紙トレイ170に排紙する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1における折り処理動作及び増し折り処理動作を終了する。
一方、増し折り処理ユニット4は、図6(c)に示すように、増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間から搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6に対してステープルやパンチ、製本処理等の後処理を施す場合には、その用紙6を増し折り処理搬送ローラ対440により後処理搬送ローラ対460に向かって搬送する。そして、増し折り処理ユニット4は、増し折り処理搬送ローラ対440により後処理搬送ローラ対460に搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6を、後処理搬送ローラ対460により図示しない後処理ユニットへ搬送する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1における折り処理動作及び増し折り処理動作を終了する。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ410の構造例についてそれぞれ、図8〜図10、図11〜図13、図14〜図16、図17〜図19を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る増し折りローラ410の第一の構造例について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から見た斜視図である。図9は、本実施形態に係る増し折りローラ410を副走査方向から見た正面図である。図10は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向から見た側面図である。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、第一の構造例として、図8〜図10に示すように、複数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成される。
ここで、増し折りローラ回転軸411は、増し折り処理ユニット4に主走査方向に横架され、主走査方向に貫く軸を中心に回転する増し折りローラ410の回転軸であり、押圧力伝達部412は、特定の方向に伸縮し、伸縮した際の弾性力により、用紙6に形成された折り目に押圧力を伝えるための押圧部材である。
尚、本実施形態に係る増し折りローラ410が、図8〜図10に示すように構成されると、増し折りローラ410は、折り目を一端から他端に向かって順次押圧することができるため、折りシワの発生を防ぐことが可能となる。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ410の第二の構造例について、図11〜図13を参照して説明する図11は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から見た斜視図である。図12は、本実施形態に係る増し折りローラ410を副走査方向から見た正面図である。図13は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向から見た側面図である。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、第二の構造例として、図11〜図13に示すように、奇数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ回転軸411の主走査方向における中心を基準として対称となるように、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成される。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ410の第三の構造例について、図14〜図16を参照して説明する。図14は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から見た斜視図である。図15は、本実施形態に係る増し折りローラ410を副走査方向から見た正面図である。図16は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向から見た側面図である。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、第三の構造例として、図14〜図16に示すように、偶数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ410の主走査方向における中心を基準として対称となるように、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成される。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ410の第四の構造例について、図17〜図19を参照して説明する。図17は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から見た斜視図である。図18は、本実施形態に係る増し折りローラ410を副走査方向から見た正面図である。図19は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向から見た側面図である。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、第四の構造例として、図17〜図19に示すように、図11〜図13に示した押圧力伝達部412の増し折りローラ回転軸への配置態様と、図14〜図16に示した押圧力伝達部412の増し折りローラ回転軸への配置態様とが、増し折りローラ回転軸411の回転方向に所定の角度差をもって組み合わされた配置態様で構成される。尚、本実施形態に係る増し折りローラ410が、図17〜図19に示すように構成されると、増し折りローラ410は、主走査方向に隙間なく、即ち、用紙6に形成された折り目全域にわたって隙間なく押圧することが可能となる。
また、本実施形態に係る増し折りローラ410が、図11〜図13、図14〜図16、図17〜図19に示すように構成されると、増し折りローラ410は、折り目を中央から両端に向かって順次押圧することができるため、折りシワの発生を防ぐことが可能となる。
次に、押圧力伝達部412の構造例について、図20(a)、(b)を参照して説明する。図20(a)、(b)は、本実施形態に係る押圧力伝達部412を、増し折りローラ回転軸411に配置されている状態において主走査方向から見た図である。図20(a)に示すように、本実施形態に係る押圧力伝達部412は、押圧力伝達部412を増し折りローラ回転軸411の周囲に固定するための固定部412aと、固定部412aに取り付けられ、伸縮することによりその伸縮方向へ弾性力を生む弾性体412bと、弾性体412bに取り付けられ、主走査方向に貫く軸を中心に回転する回転体により構成される押圧コロ412cとで構成される。即ち、本実施形態においては、押圧コロ412cが、押圧力作用部として機能する。
このように、押圧力伝達部412が、弾性体412bを含むように構成されるのは、弾性体412bが剛体であると仮定すると、増し折りローラ410は、押圧力伝達部412のいずれかが用紙支持板420に当接した時点で回転することができなくなってしまうためである。即ち、本実施形態においては、弾性体412bが、物理的形状が変化することでその変化量に応じた弾性力を発生する弾性体として機能する。
尚、図20(a)では、弾性体412bは、板バネにより構成されている例について示しているが、この他、圧縮スプリングやゴム、スポンジ、可塑性樹脂等の弾性により構成されていても良い。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折り処理の際、このように構成された増し折りローラ410を増し折りローラ回転軸411を回転軸として回転させることで、用紙において主走査方向に形成された折り目を、各押圧力伝達部412によりその折り目方向に向かって順次押圧することができるようになっている。
これは、本実施形態に係る増し折りローラ410は、複数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成されるためである。
そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折り処理の際、主走査方向全域にわたって押圧力が分散されるといったことがなく、各押圧力伝達部412による集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることができる。
尚、弾性体412bには回転体により構成される押圧コロ412cではなく、図20(b)に示すように、単なる押圧棒412dが取り付けられていても良い。但し、押圧力伝達部412がこのように構成された場合、押圧中に押圧棒412dが用紙6に傷をつけ、また、押圧棒412dの用紙6への当接部分の摩耗が激しくなるといった問題があるが、押圧棒412dの用紙6への当接部分を滑らかな形状とし、また、その当接部分の摩擦力が小さくなるように構成すれば、上記の問題が軽減される。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成された増し折りローラ410を増し折りローラ回転軸411を回転軸として回転させることで、主走査方向に形成された折り目を各押圧力伝達部412によりその折り目方向に向かって順次押圧することができるようになっている。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、短時間の間に各押圧力伝達部412それぞれの押圧力を折り目全域にわたって集中的にかけることが可能となる。そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させつつ、生産性を低下させることなく折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。これにより、生産性が高く小型で低コストな増し折り装置を提供することが可能となる。
次に、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を行う際の動作例の詳細について、図21を参照して説明する。図21は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を実行している際の増し折り処理ユニット4における増し折り処理に関わる機構部のみを主走査方向から見た断面図である。尚、図21においては、第一の折り目6aを有するZ折りが形成された用紙6に対して増し折り処理を施す例について説明する。以下で説明する各動作部の動作は、主制御部101及びエンジン制御部102の制御により行われる。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図21(a)に示すように、用紙6の搬送を開始すると、図21(b)に示すように、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接するまでのタイミングを計算した上で、増し折りローラ410の回転を開始させる。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報、用紙6のサイズに関する用紙情報、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。若しくは、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度、センサ430から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。
そして、増し折り処理ユニット4は、図21(c)に示すように、増し折りローラ回転軸411の直下に上記第一の折り目6aが位置するまで用紙6を搬送すると、用紙6の搬送を完全に停止させた上で、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接を開始することで第一の折り目6aに対する押圧を開始する。そして、増し折り処理ユニット4は、図21(d)に示すように、用紙6を停止させたまま増し折りローラ410を回転させ続けることで用紙6に形成された第一の折り目6aへの押圧を続ける。
このとき、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、搬送方向における前端と後端との間に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面から押圧することを要旨の一つとしている。ここで、このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が、搬送方向における前端と後端との間に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面から押圧することの意義について、図22(a)〜(c)を参照して説明する。図22(a)〜(c)は、従来の増し折り処理ユニットが、搬送方向における前端と後端との間に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面とは反対側の面から押圧した際の様子を示す図である。
図22(a)に示すように、従来の増し折り処理ユニットが、搬送方向における前端と後端との間に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面とは反対の面から押圧すると、第一の折り目6aの厚みのために、図22(b)や(c)に示すように、用紙6に押圧跡6cや折りシワ6dが発生してしまう。
そこで、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように用紙6に押圧跡6cや折りシワ6dが発生してしまうといったことを防ぐことを目的の一つとしている。そのために、上述したように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、搬送方向における前端と後端との間に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面から押圧するように構成されている。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されることにより、増し折り処理後に用紙6に折りシワや押圧跡等が発生するといったことを防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、折り目を補強した後の用紙6の品質を向上させることが可能となる。
尚、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報に基づいて各部を制御することで、第一の折り目6aが形成された面から用紙6を押圧するように、用紙6を増し折り処理が施される位置に搬送するようになっている。
その後、増し折り処理ユニット4は、図21(e)に示すように、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算した上で、増し折りローラ410が用紙6から離間した時点で用紙6の搬送を開始する。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算するようになっている。
そして、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410から離間した用紙6を、折り目6bを押圧することなく搬送することで増し折り処理を終了する。このように、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410から離間した用紙6を、折り目6bを押圧することなく搬送するのは、折り目6bを押圧する場合、折り目側から押圧することができないためである。尚、増し折り処理ユニット4が、増し折りローラ410を、用紙支持板420に対して上下両方に備えるように構成されていれば、折り目6aと同様に、折り目6bについても折り目側から押圧することが可能である。
図21(a)〜(e)に示したように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、搬送方向における前端と後端との間に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を押圧する際、その用紙6を第一の折り目6aが形成された面から押圧するように構成されている。そして、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されていることを要旨の一つとしている。本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されることにより、増し折り処理後に用紙6に折りシワや押圧跡等が発生するといったことを防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、折り目を補強した後の用紙6の品質を向上させることが可能となる。
尚、仮に、増し折りローラ410が、図21に示した例とは反対方向に回転する場合、増し折りローラ410は、図21(c)に相当するタイミングにおいてまず用紙支持板420に衝突してから用紙6に当接することになる。従って、増し折りローラ410が、図21に示した例とは反対方向に回転する場合、増し折り処理ユニット4において、増し折りローラ410と用紙支持板420との衝突音が発生してしまう。
一方、図21に示した例では、増し折りローラ410は、用紙6のみと当接するため、用紙支持板420には用紙6を介して間接的に衝突することになる。従って、図21に示した例では、用紙6が増し折りローラ410と用紙支持板420との間の緩衝材として機能することになり、上記のような衝突音を抑えることが可能となる。このような効果は、特に、用紙6の折りの回数が多いほど得られやすくなる。これは、用紙6の折りの回数が多くなるほど用紙の重なりが増すためにその厚みが増して緩衝効果が大きくなるためである。
また、仮に、増し折りローラ410が、図21に示した例とは反対方向に回転する場合、増し折りローラ410は、図21(c)に相当するタイミングにおいてまず用紙支持板420に衝突してから用紙6に当接することになるが、第一の折り目6aの上部に形成された開放部に向かって当接することになる。従って、増し折りローラ410が、図21に示した例とは反対方向に回転する場合、用紙6に折りシワが発生し得るといった問題がある。このような問題は、特に、用紙6の折りの回数が多いほど顕著に生じる傾向にある。これは、用紙6の折りの回数が多くなるほど用紙の重なりが増してその厚みが増すためである。
一方、図21に示した例では、増し折りローラ410は、第一の折り目6aの上部に形成された開放部の反対側から当接することになる。従って、図21に示した例では、用紙6の折りの回数に関係なく、用紙6に折りシワが発生するといった問題が生じることがない。
このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、用紙6の紙種や厚さ、折り処理済みの用紙6の形状やその折り方、折りの回数、折り目の位置等に応じて増し折りローラ410の回転方向を変化させることで衝突音を抑制し、また、折りシワの発生を防止することが可能となっている。
次に、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を行う際の他の動作例の詳細について、図23を参照して説明する。図23は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を実行している際の増し折り処理ユニット4における増し折り処理に関わる機構部のみを主走査方向から見た断面図である。尚、図23においては、第二の折り目6bを有するZ折りが形成された用紙6に対して増し折り処理を施す例について説明する。以下で説明する各動作部の動作は、主制御部101及びエンジン制御部102の制御により行われる。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図23(a)に示すように、用紙6の搬送を開始すると、図23(b)に示すように、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接するまでのタイミングを計算した上で、増し折りローラ410の反転を開始させる。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報、用紙6のサイズに関する用紙情報、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。若しくは、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度、センサ430から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。
そして、増し折り処理ユニット4は、図23(c)に示すように、増し折りローラ回転軸411の直下に上記第二の折り目6bが位置するまで用紙6を搬送すると、用紙6の搬送を完全に停止させた上で、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接を開始することで第二の折り目6bに対する押圧を開始する。そして、増し折り処理ユニット4は、図23(d)に示すように、用紙6を停止させたまま増し折りローラ410を回転させ続けることで用紙6に形成された第二の折り目6bへの押圧を続ける。
このとき、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、搬送方向における前端と後端との間に第二の折り目6bが位置するように折られた用紙6を、その第二の折り目6bが形成された面から押圧することを要旨の一つとしている。このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が、搬送方向における前端と後端との間に第二の折り目6bが位置するように折られた用紙6を、その第二の折り目6bが形成された面から押圧することの意義については、図22(a)〜(c)を参照して説明した通りである。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されることにより、増し折り処理後に用紙6に折りシワや押圧跡等が発生するといったことを防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、折り目を補強した後の用紙6の品質を向上させることが可能となる。
尚、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報に基づいて各部を制御することで、第二の折り目6bが形成された面から用紙6を押圧するように、用紙6を増し折り処理が施される位置に搬送するようになっている。
その後、増し折り処理ユニット4は、図23(e)に示すように、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算した上で、増し折りローラ410が用紙6から離間した時点で用紙6の搬送を開始する。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算するようになっている。
そして、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410から離間した用紙6を、折り目6aを押圧することなく搬送することで増し折り処理を終了する。このように、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410から離間した用紙6を、折り目6aを押圧することなく搬送するのは、折り目6aを押圧する場合、折り目側から押圧することができないためである。尚、増し折り処理ユニット4が、増し折りローラ410を、用紙支持板420に対して上下両方に備えるように構成されていれば、折り目6bと同様に、折り目6aについても折り目側から押圧することが可能である。
図23(a)〜(e)に示したように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、搬送方向における前端と後端との間に第二の折り目6bが位置するように折られた用紙6を押圧する際、その用紙6を第二の折り目6bが形成された面から押圧するように構成されている。そして、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されていることを要旨の一つとしている。本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されることにより、増し折り処理後に用紙6に折りシワや押圧跡等が発生するといったことを防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、折り目を補強した後の用紙6の品質を向上させることが可能となる。
尚、仮に、増し折りローラ410が、図23に示した例とは反対方向に回転する場合、増し折りローラ410は、図23(c)に相当するタイミングにおいてまず用紙6の折り重なりがない部分に当接することになる。従って、増し折りローラ410が、図23に示した例とは反対方向に回転する場合、増し折り処理ユニット4において、増し折りローラ410と用紙支持板420との間の用紙6による緩衝作用が弱くなって衝突音が発生してしまう。
一方、図23に示した例では、増し折りローラ410は、用紙6の折り重なりがある部分のみと当接するため、用紙支持板420には用紙6の折り重なり部分を介して衝突することになる。従って、図23に示した例では、用紙6の折り重なり分が増し折りローラ410と用紙支持板420との間の緩衝材として機能することになり、上記のような衝突音を抑えることが可能となる。このような効果は、特に、用紙6の折りの回数が多いほど得られやすくなる。これは、用紙6の折りの回数が多くなるほど用紙の重なりが増すためにその厚みが増して緩衝効果が大きくなるためである。
また、仮に、増し折りローラ410が、図23に示した例とは反対方向に回転する場合、増し折りローラ410は、図23(c)に相当するタイミングにおいてまず用紙6の折り重なりがない部分に当接することになるが、第二の折り目6bの下部に形成された開放部に向かって当接することになる。従って、増し折りローラ410が、図23に示した例とは反対方向に回転する場合、用紙6に折りシワが発生し得るといった問題がある。このような問題は、特に、用紙6の折りの回数が多いほど顕著に生じる傾向にある。これは、用紙6の折りの回数が多くなるほど用紙の重なりが増してその厚みが増すためである。
一方、図23に示した例では、増し折りローラ410は、第二の折り目6bの上部に形成された開放部の反対側から当接することになる。従って、図23に示した例では、用紙6の折りの回数に関係なく、用紙6に折りシワが発生するといった問題が生じることがない。
このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、用紙6の紙種や厚さ、折り処理済みの用紙6の形状やその折り方、折りの回数、折り目の位置等に応じて増し折りローラ410の回転方向を変化させることで衝突音を抑制し、また、折りシワの発生を防止することが可能となっている。
次に、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ回転軸411への負荷について、図24を参照して説明する。図24は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ回転軸411への負荷を示すグラフである。尚、図24においては、図17〜図19に示した増し折りローラ410の構成における増し折りローラ回転軸411への負荷の総和を実線のグラフで示している。
また、図24における破線のグラフは、図17〜図19に示した増し折りローラ410を構成する押圧力伝達部412の各組が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの増し折りローラ回転軸411への負荷を示すグラフであり、図24に向かって左から順に、図17〜図19に示した増し折りローラ410における1組目、2組目、3組目、・・・、15組目の押圧力伝達部412についてのグラフである。
尚、図17〜図19に示した増し折りローラ410において、1組目の押圧力伝達部412は、2組目〜15組目が2個の押圧力伝達部412を含むのとは異なり、1個の押圧力伝達部412しか含まない。そのため、1組目の押圧力伝達部412が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの増し折りローラ回転軸411への負荷は、他の組の押圧力伝達部412が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの半分となっている。
また、図24における一点鎖線のグラフは、従来の増し折り処理ユニットが増し折り処理動作中であるときの増し折りローラの回転軸への負荷を示すグラフである。
図24に破線で示すように、図17〜図19に示した増し折りローラ410を構成する押圧力伝達部412の各組が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの、1組当たりの増し折りローラ回転軸411への負荷は、従来の増し折り処理ユニットにおける増し折りローラの回転軸への負荷よりも小さい。
また、図24に破線で示すように、図17〜図19に示した増し折りローラ410の構成における増し折りローラ回転軸411への負荷の総和についても従来の増し折り処理ユニットにおける増し折りローラの回転軸よりも小さい。これは、図11〜図13、図14〜図16、図17〜図19にそれぞれ示したように、本実施形態に係る増し折りローラ410を構成する押圧力伝達部412の各組はそれぞれ、異なるタイミングで主走査方向に順に用紙6を押圧していくように構成されているためである。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、従来の増し折り処理ユニットにおける増し折りローラよりも小さな押圧力で同等、若しくは、それ以上の増し折り効果を得ることが可能となると共に、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させることが可能となる。即ち、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させながらも折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
次に、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクについて、図25を参照して説明する。図25は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ回転軸411にかかる回転モーメントについて説明するための図である。
図25に示すように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるとき、押圧力伝達部412の押圧コロ412cが用紙6に当接を開始してから、弾性体412bの伸縮方向が、増し折りローラ回転軸411から用紙支持板420に下ろした垂線に平行になるまでは、増し折りローラ410の回転方向と反対の方向に回転モーメントが生じる。一方、図25に示すように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるとき、弾性体412bの伸縮方向が上記垂線に平行になってから、押圧力伝達部412の押圧コロ412cが用紙6を離間するまでは、増し折りローラ410の回転方向と同じ方向に回転モーメントが生じる。
従って、本実施形態に係る増し折りローラ410を構成する押圧力伝達部412の各組が単独で用紙6を押圧していると仮定したき、これらの回転モーメントが増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクとなってしまう。
ところが、本実施形態に係る増し折りローラ410は、図11〜図13、図14〜図16、図17〜図19に示したように構成されるため、図25に示すように、ある組の押圧力伝達部412による回転モーメントと、他の組の押圧力伝達部412による回転モーメントとが互いに反対方向に生じることで、それらの回転モーメントが互いに打ち消し合って回転モーメントの総和が小さくなる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1は、増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクを低減させることが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させながらも折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
特に、図25に示すように、ある組の押圧力伝達部412を構成する弾性体412bの伸縮方向と上記垂線とのなす角の角度をαとし、他の組の押圧力伝達部412を構成する弾性体412bの伸縮方向と上記垂線とのなす角の角度をβとすると、αとβとが同一となるとき、上記ある組の押圧力伝達部412により生じた回転モーメントと、上記他の組の押圧力伝達部412により生じた回転モーメントとが互いに完全に打ち消し合ってその総和は0となる。
他方、打ち消される力はあくまでも増し折りローラ回転軸411を中心とした回転方向の力であり、増し折りローラ回転軸411から鉛直下方向への力、即ち、弾性体412bの弾性力による用紙支持板420への押圧力には影響しない。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させながらも折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
ここで、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクの変化の様子を図26に示す。図26は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中であるときの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクを示すグラフである。尚、図26においては、図17〜図19に示した増し折りローラ410の構成における増し折りローラ回転軸411を回転させたときの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクの総和を実線のグラフで示している。
また、図26における点線のグラフは、図17〜図19に示した増し折りローラ410を構成する押圧力伝達部412の各組が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクを示すグラフであり、図26に向かって左から順に、図17〜図19に示した増し折りローラ410における1組目、2組目、3組目、・・・、15組目の押圧力伝達部412についてのグラフである。
尚、図17〜図19に示した増し折りローラ410は、1組目の押圧力伝達部412は、2組目〜15組目が2個の押圧力伝達部412を含むのとは異なり、1個の押圧力伝達部412しか含まない。そのため、1組目の押圧力伝達部412が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクは、他の組の押圧力伝達部412が単独で用紙6を押圧していると仮定したきの半分となっている。
図26に示すように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理動作中である時の増し折りローラ駆動モータ471への負荷トルクの絶対値は、増し折りローラ回転軸411の回転角度が38°付近から173°付近のとき、押圧力伝達部412の各組が単独で用紙6を押圧していると仮定したきと比べて小さくなっていることがわかる。これは、上述したように、ある組の押圧力伝達部412による回転モーメントと、他の組の押圧力伝達部412による回転モーメントとが互いに打ち消し合うためである。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させながらも折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470の構造について、図27及び図28を参照して説明する。図27は、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470を主走査方向から見た図である。図28は、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470の斜視図である。
図27及び図28に示すように、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470は、増し折りローラ410の主走査方向における一端に設けられ、増し折りローラ駆動モータ471、タイミングベルト472、反転ギア473、増し折りローラ回転ギアプーリ474、増し折りローラ回転プーリ475を備える。
増し折りローラ駆動モータ471は、反転ギア473を回転させるモータである。増し折りローラ回転ギアプーリ474は、反転ギア473と噛み合うギアを備えるプーリであり、反転ギア473が回転することで反転ギア473の回転方向とは反対の方向に回転する。タイミングベルト472は、増し折りローラ回転ギアプーリ474の回転を増し折りローラ回転プーリ475に伝えるための無端状ベルトである。増し折りローラ回転プーリ475は、増し折りローラ回転軸411に連結されており、増し折りローラ回転ギアプーリ474が回転することでタイミングベルト472により増し折りローラ回転ギアプーリ474と同じ方向に回転させられることで増し折りローラ回転軸411をその回転方向に回転させる。
このように構成された増し折りローラ駆動装置470は、増し折りローラ410を図28に示す矢印の方向に回転させる場合にはまず、エンジン制御部102の制御に従って増し折りローラ駆動モータ471を図28に示す矢印とは反対の方向に回転させることで、反転ギア473を図28に示す矢印方向とは反対の方向に回転させる。これにより、増し折りローラ回転ギアプーリ474は、図28に示す矢印と同じ方向に回転し、その回転をタイミングベルト472を介して増し折りローラ回転プーリ475に伝える。
そして、増し折りローラ回転プーリ475が回転すると、その回転に連動して増し折りローラ回転軸411が回転することで増し折りローラ410が図28に示す矢印の方向に回転する。尚、増し折りローラ駆動装置470が増し折りローラ410を図28に示す矢印とは反対の方向に回転させる場合には、それぞれが上記とは反対に回転する。
以上、説明したように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折り処理において、図21(a)〜(e)及び図23(a)〜(e)に示したように、用紙6に形成された第一の折り目6a及び第二の折り目6bを補強するために用紙6を押圧する際、その用紙6を第一の折り目6a及び第二の折り目6bが形成された面から押圧するように構成されていることを要旨の一つとしている。本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成されることにより、増し折り処理後に用紙6に折りシワや押圧跡等が発生するといったことを防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、折り目を補強した後の用紙6の品質を向上させることが可能となる。
尚、本実施形態においては、図21(a)〜(e)及び図23(a)〜(e)を参照して説明したように、搬送方向における前端と後端との間に折り目が位置するように折られた用紙6を押圧する例について説明したが、例えば、図7(c)に示したように、搬送方向における前端若しくは後端に折り目が位置するように折られた用紙6を押圧する際にも本実施形態に係る効果と同様の効果を得ることが可能である。ここで、その理由について、図29(a)、(b)及び図30(a)、(b)を参照して説明する。図29(a)、(b)及び図30(a)、(b)は、従来の増し折り処理ユニットが、搬送方向における前端に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面とは反対側の面から押圧した際の様子を示す図である。
図29(a)に示すように、従来の増し折り処理ユニットが、搬送方向における前端に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面とは反対側の面から押圧すると、図29(b)に示すように、押圧コロ412cと用紙6との摩擦により、第一の折り目6aに重なった部分が増し折りローラ410の回転に追従して移動し、図22(a)に示した状態と同様の状態になる。その結果、従来の増し折り処理ユニットが、搬送方向における前端に第一の折り目6aが位置するように折られた用紙6を、その第一の折り目6aが形成された面とは反対側の面から押圧すると、図30(a)や(b)に示すように、用紙6に押圧跡6cや折りシワ6dが発生してしまう。
このように、搬送方向における前端若しくは後端に折り目が位置するように折られた用紙6を押圧する場合であっても、搬送方向における前端と後端との間に折り目が位置するように折られた用紙6を押圧する場合と同様に、用紙6に押圧跡6cや折りシワ6dが発生してしまう。従って、本実施形態においては、搬送方向における前端と後端との間に折り目が位置するように折られた用紙6を押圧する場合の他に、搬送方向における前端若しくは後端に折り目が位置するように折られた用紙6を押圧する際にも本実施形態に係る効果と同様の効果を得ることが可能となる。
また、本実施形態においては、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を一方向にのみ一回だけ回転させることで、一つの折り目に対して特定の方向から一度のみ押圧する例について説明したが、増し折りローラ410を一方向にのみ複数回回転させることで、一つの折り目に対して特定の方向から複数回押圧するように構成されても良いし、増し折りローラ410を両方向に回転させることで、一つの折り目に対して用紙搬送方向とその反対方向との両方向から複数回押圧するように構成されていても良い。このように構成されることにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、より大きな増し折り効果を得ることが可能となる。
また、本実施形態に係る増し折りローラ410は、図8〜図10、図11〜図13、図14〜図16、図17〜図19にそれぞれ示した構造だけではなく、複数個の押圧力伝達部412それぞれが、増し折りローラ回転軸411の回転に伴って変化する用紙支持板420との位置関係に応じて、少なくともいずれかの他の押圧力伝達部412と異なるタイミングで、用紙支持板420から応力を受けることで弾性体412bが伸縮するように、増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって配置されて構成されていれば同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態に係る増し折りローラ410は、このような構造の他、図31に示すように、増し折りローラ回転軸411に押圧力伝達ローラ413が取り付けられて構成されていても良い。図31は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から見た斜視図である。尚、図31において、押圧力伝達ローラ413は、用紙6を用紙支持板420に押し付けることにより、用紙6に形成された折り目に押圧力を伝えるためのローラである。
また、本実施形態においては、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、増し折り処理ユニット4、スキャナユニット5が、画像形成装置1に備えられる構成について説明したが、各ユニットそれぞれが異なる独立した装置として構成され、それらの装置が連結されて画像形成システムを構成するようにしても良い。
また、図32に示すように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、用紙6と増し折りローラ410との間に衝撃緩衝シート422を備えるように構成されていても良い。図33は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4を主走査方向から見た断面図である。本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように、用紙6と増し折りローラ410との間に衝撃緩衝シート422を備えることで、増し折りローラ410が、この衝撃緩衝シート422のみと当接して用紙6に直接触れることがないため、増し折り処理後に用紙6に折りシワや押圧跡等が発生するといったことをさらに効果的に防止することが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、折り目を補強した後の用紙6の品質をさらに向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように、用紙6と増し折りローラ410との間に衝撃緩衝シート422を備えることで、この衝撃緩衝シート422が増し折りローラ410と用紙支持板420との衝撃を緩和し、また、その際の衝突音を吸収するため上記衝突音を抑えることが可能となる。この衝撃緩衝シート422は、衝撃緩衝材421と同様に、例えば、ゴムやスポンジ、可塑性樹脂等の緩衝材で構成される。即ち、本実施形態においては、衝撃緩衝材421及び衝撃緩衝シート422が、衝撃緩衝材として機能する。
また、本実施形態においては、増し折りローラ410と用紙支持板420とが、図4(a)〜図6(c)に示したように配置されている例について説明したが、折り目が形成された面から用紙6を押圧するように配置されていれば、図4(a)〜図6(c)に示した配置と上下反転して配置されていても良い。
実施の形態2.
実施の形態1においては、図27及び図28を参照して説明したように、増し折りローラ410が、増し折りローラ回転軸411を回転軸として時計回り、反時計回りの両方向に回転可能な構成について説明した。この場合、図21(a)〜(e)及び図23(a)〜(e)を参照して説明したように、増し折り処理ユニット4は、用紙6に形成された折り目を副走査方向において両方向から押圧することが可能となる。
一方、本実施形態においては、増し折りローラ410が、増し折りローラ回転軸411を回転軸として時計回り若しくは反時計回りのどちらか一方にのみ回転可能な構成について説明する。この場合、増し折り処理ユニット4は、用紙に形成された折り目を副走査方向において一方向からしか押圧することができないが、増し折りローラ410を回転可能な方向とは反対の方向に回転させようとするための増し折りローラ駆動モータ471の駆動力を他の駆動系に利用することが可能となる。以下、詳細に説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470の構造について、図33及び図34を参照して説明する。図33は、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470を主走査方向から見た図である。図34は、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470の斜視図である。
図33及び図34に示すように、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470は、図27及び図28に示した構造体以外に、ワンウェイクラッチ476、逆回転ギア477、ワンウェイクラッチ478、逆回転カム479を備える。
ワンウェイクラッチ476は、増し折りローラ回転プーリ475の内部に設けられており、増し折りローラ回転プーリ475が特定の方向に回転した場合にのみ増し折りローラ回転軸411を同方向に回転させ、増し折りローラ回転プーリ475が上記特定の方向とは反対の方向に回転した場合には空転して増し折りローラ回転軸411を回転させないような構成となっている。即ち、本実施形態においては、ワンウェイクラッチ476が、駆動力遮断部として機能する。
尚、本実施形態に係るワンウェイクラッチ476は、増し折りローラ回転プーリ475が図34に示す矢印Aの方向に回転した場合にのみ増し折りローラ回転軸411を同方向に回転させ、増し折りローラ回転プーリ475が図34に示す矢印Aの方向とは反対の方向に回転した場合には空転するように構成されているものとする。
逆回転ギア477は、反転ギア473と噛み合うギアであり、反転ギア473が回転することで反転ギア473の回転方向とは反対の方向に、即ち、増し折りローラ回転ギアプーリ474と同方向に回転する。ワンウェイクラッチ478は、逆回転ギア477の内部に設けられ、ワンウェイクラッチ476と同様に、逆回転ギア477が特定の方向に回転した場合にのみ逆回転カム479を同方向に回転させ、逆回転ギア477が上記特定の方向とは反対の方向に回転した場合には空転して逆回転カム479を回転させないような構成となっている。
尚、本実施形態に係るワンウェイクラッチ478は、逆回転ギア477が図34に示す矢印Bの方向に回転した場合にのみ逆回転カム479を同方向に回転させ、逆回転ギア477が図34に示す矢印Bの方向とは反対の方向に回転した場合には空転するように構成されているものとする。
ワンウェイクラッチ476とワンウェイクラッチ478とが上述したように構成されることで、増し折りローラ回転プーリ475及び逆回転カム479は、増し折りローラ駆動モータ471が回転してもどちらか一方のみが回転することになる。また、増し折りローラ回転プーリ475と逆回転カム479との回転方向は互いに反対方向となる。
逆回転カム479は、逆回転ギア477の回転軸からの距離が一定でない曲面を備え、その曲面の逆回転ギア477の回転軸からの距離が長い部分に、逆回転カム479の回転運動を増し折りローラ410以外の駆動系に伝達するための逆回転駆動伝達部480に連結されている。
このように構成された増し折りローラ駆動装置470は、増し折りローラ410を図34に示す矢印Aの方向に回転させる場合にはまず、エンジン制御部102の制御に従って増し折りローラ駆動モータ471を図34に示す矢印Aとは反対の方向に回転させることで、反転ギア473を図34に示す矢印Aの方向とは反対の方向に回転させる。これにより、増し折りローラ回転ギアプーリ474は、図34に示す矢印Aと同じ方向に回転し、その回転をタイミングベルト472を介して増し折りローラ回転プーリ475に伝える。
そして、増し折りローラ回転プーリ475が回転すると、その回転に連動して増し折りローラ回転軸411が回転することで増し折りローラ410が図28に示す方向に回転する。このとき、ワンウェイクラッチ478の機能により逆回転ギア477は回転しない。
一方、このように構成された増し折りローラ駆動装置470が増し折りローラ駆動モータ471の駆動力を他の駆動系に利用するためにはまず、エンジン制御部102の制御に従って増し折りローラ駆動モータ471を図34に示す矢印Bとは反対の方向に回転させることで、逆回転ギア477を図34に示す矢印Bの方向とは反対の方向に回転させる。
これにより、逆回転カム479は、図34に示す矢印Bと同じ方向に回転し、その回転運動を逆回転駆動伝達部480を介して増し折りローラ410以外の駆動系に伝達する。このとき、ワンウェイクラッチ476の機能により増し折りローラ回転プーリ475は回転しない。即ち、本実施形態においては、逆回転駆動伝達部480が、他駆動伝達部として機能する。
このような構成により、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を回転可能な方向とは反対の方向に回転させようとするための増し折りローラ駆動モータ471の駆動力を他の駆動系に利用することが可能となる。
尚、増し折りローラ駆動装置470がこのように構成された場合、増し折りローラ410と用紙支持板420とは、図4(a)〜図6(c)に示したように、重力方向に対して、増し折りローラ410が下側で用紙支持板420が上側となるように配置されることが望ましい。これは、増し折りローラ410が用紙6を押圧したのち、図35(a)、(b)に示すように、自重で適切な待機位置に戻ることが可能であるためである。図35(a)、(b)は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を終了した後の増し折り処理ユニット4における増し折り処理に関わる機構部のみを主走査方向から見た断面図である。
また、増し折りローラ駆動装置470がこのように構成された場合、図36に示すように、増し折りローラ410が用紙6を押圧している状態において停止した際に、用紙搬送方向の下流側から用紙6を引き抜いたとしても、増し折りローラ410はその方向に空転するため、用紙6が破れたり、各機構部が破損したりすることを防ぐことが可能となる。図36は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を実行している途中で停止した後に、用紙6を引き抜いた際の増し折り処理ユニット4における増し折り処理に関わる機構部のみを主走査方向から見た断面図である。
また、増し折りローラ駆動装置470がこのように構成された場合、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410の回転を停止させようとすると、まず、増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させるが、ワンウェイクラッチ476の機能により、増し折りローラ410は自身の慣性力による回転モーメントによってしばらくは同方向に回転し続けることになる。これは、増し折りローラ駆動モータ471の回転が停止しても、ワンウェイクラッチ476の機能により、増し折りローラ410の回転方向とは反対方向からその慣性力による回転モーメントを打ち消すことができないためである。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させたつもりでも、実際には増し折りローラ410はその所定の角度θ以上に回転して停止することになるめ、増し折りローラ410の正確な回転角を見失ってしまうことになる。
そこで、増し折りローラ駆動装置470がこのように構成された場合、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで精確に停止させるための停止装置が必要になる。そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を所定の位置で停止させるための停止装置490を備えている。即ち、本実施形態においては、停止装置490が、回転停止部として機能する。
ここで、本実施形態に係る停止装置490の構造について、図37〜図39を参照して説明する。図37は、本実施形態に係る停止装置490の斜視図である。図38は、本実施形態に係る停止装置490を主走査方向と副走査方向とで形成される平面に垂直な方向から見た透過図である。図39は、本実施形態に係る停止装置490を主走査方向から見た図である。
図37〜図39に示すように、本実施形態に係る停止装置490は、増し折りローラ410の主走査方向に対して、増し折りローラ駆動装置470の反対側に備えられ、停止装置固定部491、回転部492、回転ネジ493、連結部494、回転停止部495、トーションスプリング496、センサ497、センサ遮蔽部498、回転停止作用部499を備える。
停止装置固定部491は、停止装置490を増し折り処理ユニット4に固定するための固定部である。回転部492は、回転ネジ493を回転軸として図37及び図39に示す矢印Cの方向に回転可能なように、回転ネジ493により停止装置固定部491に固定されている。回転ネジ493は、自身が回転部492の回転軸となるように、回転部492を図37及び図39に示す矢印Cの方向に回転可能なように停止装置固定部491に固定する。連結部494は、回転部492と回転停止部495とを連結する。回転停止部495は、連結部494により回転部492と連結されることで、回転ネジ493を回転軸として図37及び図39に示す矢印Dの方向に回転する。
トーションスプリング496は、回転ネジ493による回転部492の停止装置固定部491への取り付け部分の周囲に取り付けられたトーションスプリングであり、片方は停止装置固定部491に固定され、もう一方は回転停止部495に固定されている。このような構成とすることにより、トーションスプリング496は、自身の弾性力により、回転ネジ493を回転軸とした回転停止部495の回転を阻止しようとする力が働き、回転停止部495を元の位置に戻すことが可能となる。尚、本実施形態に係るトーションスプリング496の弾性力は、増し折りローラ410の慣性力よりも大きい。
センサ497は、赤外線を照射する赤外線照射部とその赤外線を受光する赤外線受光部とから構成され、赤外線照射部から赤外線受光部に向けて照射された赤外線がセンサ遮蔽部498により遮蔽されると、その旨をエンジン制御部102に通知する。センサ遮蔽部498は、増し折りローラ回転軸411に固定されて増し折りローラ410と共に回転し、増し折りローラ410が所定の角度θだけ回転するとセンサ497における赤外線照射部から赤外線受光部に向けて照射された赤外線を遮蔽する。このような構成とすることにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、センサ遮蔽部498がセンサ497を上記のように遮蔽することで、増し折りローラ410が所定の角度θだけ回転したことを検知することが可能となり、その時点で増し折りローラ410を停止させるための制御、即ち、増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させるための制御を行うことが可能となる。
回転停止作用部499は、センサ遮蔽部498の先端に設けられ、増し折りローラ410が上記所定の角度θだけ回転すると、回転停止部495と接触するように構成されている。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成された停止装置490を備えることにより、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させようとして増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させた際に、増し折りローラ410の慣性力による回転モーメントをその反対方向から打ち消すことが可能となる。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ駆動装置470が図33及び図34に示すように構成されている場合であっても、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させようとした際に、増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させてもしばらく増し折りローラ410が同方向に回転し続けるといったことを防ぐことが可能となる。
即ち、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させたつもりでも、実際には増し折りローラ410はその所定の角度θ以上に回転してから停止するといったことがない。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ駆動装置470が図33及び図34に示すように構成されている場合であっても、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで精確に停止させることが可能となり、増し折りローラ410の正確な回転角を常時把握することができる。