JP6700910B2 - ガスセンサの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサの制御装置に関する。
従来より、内燃機関の排気ガス等の被測定ガス中に含まれる特定ガス(酸素,NOxなど)の濃度を検知できるガスセンサとして、空燃比センサやNOxセンサなどが知られている。例えば、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化する全領域空燃比センサでは、ジルコニアを主体とした固体電解質体からなる起電力セルとポンプセルとの間に、外部から被測定ガスを導入可能な中空の測定室が形成された検出素子を有している。そして、起電力セルの電極間に生じる起電力セル電圧が目標電圧になるように、ポンプセルの電極間に流れるポンプ電流を制御して、測定室内に導入された測定室内ガス中の酸素の汲み入れ汲み出しを行い、汲み出し等に要したポンプ電流の大きさによって被測定ガスの酸素濃度を検知する。目標電圧は、通常、測定室内ガスの酸素濃度が理論空燃比(ストイキオメトリー、以下、ストイキとも略称する)となる値(具体的には、目標電圧=450mV)に設定されている。
ところで、このようなガスセンサの検出素子をなす起電力セルやポンプセルは、使用等による劣化に伴いセルインピーダンスが増加することが知られている。即ち、劣化した起電力セル等では、劣化前に比して、同一温度とした場合のセルインピーダンスが相対的に高くなる。ガスセンサには、起電力セル等を加熱するヒータを有し、セル温度を一定に制御すべく、セルインピーダンスが一定となるようにヒータへの通電をフィードバック制御するものがある。このようなガスセンサでは、起電力セル等が劣化してセルインピーダンスが高くなると、このセルインピーダンスを目標値に近づけるべくセルインピーダンスを下げる方向、即ち、素子温度を上げる方向にヒータの通電制御がなされることになる。すると、ガスセンサが過昇温となり劣化がさらに促進されるほか、ポンプセルの出力に偏りが生じるなどの問題があった。
この問題を解決するため、例えば、特許文献1には、検出素子(起電力セル等)のセルインピーダンスが増加した劣化状態を判定する劣化判定手段と、検出素子が劣化状態であると判定されたときに目標抵抗を増加させる目標抵抗変更手段とを備えた酸素濃度検出装置が開示されている。そして、具体的な劣化判定手段として、ヒータに供給されるヒータ供給電力と所定の判定値とを比較するヒータ供給電力比較手段が示されている。
ところで、上述したように目標電圧は、通常、測定室内ガスの酸素濃度が理論空燃比となる値(具体的には、目標電圧=450mV)に設定する。つまり、通常の制御状態では、測定室内ガスは、理論空燃比の酸素濃度に制御されている。しかし、上述の目標電圧を変更すれば、測定室内ガスを、リッチ雰囲気やリーン雰囲気に制御することも可能である。
一方、検知されるセルインピーダンスが、測定室内ガスの酸素濃度の違いにも影響されることも判ってきた。具体的には、測定室内ガスがリッチ状態のときに検知されるセルインピーダンスは、リーン状態のときに検知されるセルインピーダンスに比べて大きい。しかも、検出素子が使用等により劣化した場合には、セルインピーダンスが劣化前に比べて相対的に高くなることに加えて、測定室内ガスがリッチ状態のときに検知されるセルインピーダンスとリーン状態のときに検知されるセルインピーダンスとの差も、劣化前に比べて大きくなることが判ってきた。
そこで、特許文献2では、起電力セル電圧の目標電圧を変更して、電流制御手段でポンプ電流を制御することにより、測定室内ガスについて酸素濃度の異なる2つの状態を作り出し、これらの状態における第1素子抵抗と第2素子抵抗との差分を用いて、ガスセンサの劣化を検知する劣化検知手段を備えたガスセンサ制御装置を開示している。
特開平10−26599号公報 特開2014−48279号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、ヒータ供給電力比較手段で、ヒータに供給されるヒータ供給電力と所定の判定値とを比較するのでは、検出素子の劣化の検知が間接的で精度が低い。また、特許文献2に記載のように、目標電圧を切り替えて測定室内ガスの酸素濃度を変化させて劣化検知を行う場合には、検知に時間が掛かる上、劣化検知の間、適切に酸素濃度(空燃比)を検知するのが難しい。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、ガスセンサの起電力セル等の劣化を、適切かつ短時間で検知できるガスセンサの制御装置を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、第1固体電解質体、この第1固体電解質体上にそれぞれ形成され基準酸素分圧の基準ガスに曝される基準電極、及び被測定ガスが流入する測定室内の測定室内ガスに曝される第1測定室電極を有し、上記基準酸素分圧と上記測定室内ガスの酸素分圧との差に応じた起電力を発生する起電力セル、及び、第2固体電解質体、この第2固体電解質体上にそれぞれ形成され上記測定室内ガスに曝される第2測定室電極、及び上記被測定ガスまたは外気に曝されるポンプ電極を有し、上記測定室内の酸素を、上記被測定ガスまたは上記外気に汲み出しまたは汲み入れるポンプセル、を備えるガスセンサの制御装置であって、上記基準電極と上記第1測定室電極との間に生じる起電力セル電圧が、上記測定室内ガスがストイキオメトリーであるときに上記起電力セルに生じるストイキ時電圧になるように、上記ポンプセルを流れるポンプ電流を制御する電流制御手段と、一定の第1電流を流す第1電流パルスを上記起電力セルに加え、上記第1電流パルスの印加中で、かつ、上記第1電流パルスの印加開始から0.2msec以上経過した第1時刻に、上記起電力セルに生じる第1セル電圧を検知する第1検知手段と、上記起電力セル電圧が上記ストイキ時電圧であるときに、上記第1検知手段による上記第1セル電圧の検知を指示する検知指示手段と、を備えるガスセンサの制御装置である。
前述したように、ガスセンサの起電力セル及びポンプセルが劣化すると、セルインピーダンスがそれぞれ増加する。しかも、その増加の程度には周波数依存性があり、低周波領域、具体的には、100Hz以下の周波数領域、特に50Hz以下の周波数領域で、劣化によりセルインピーダンスが大きく増加し、0.2msec(=200μsec)以上の長さのパルスを与えた場合に、その影響が顕在化することが判ってきた。加えて、前述したように、セルインピーダンスは、測定室内ガスの酸素濃度の違いにも影響される。
そこで、本ガスセンサの制御装置では、起電力セル電圧がストイキ時電圧である条件下で、即ち、測定室内ガスがストイキに制御されている状態で、0.2msec以上継続する第1電流パルスを起電力セルに印加し、印加開始から0.2msec以上経過した第1時刻における起電力セルに生じる第1セル電圧を検知する。なお、この第1セル電圧は、起電力セルに生じるセルインピーダンスの大きさに比例する。
これにより、測定室内ガスの酸素濃度の影響を受けることなく、劣化の影響を受けた起電力セルの第1セルインピーダンスに対応した第1セル電圧を、適切にかつ短時間で検知できる。そして、この第1セル電圧を用いることで、起電力セルを含むガスセンサの劣化の程度を、適切にかつ短時間で検知することができる。
なお、起電力セル電圧がストイキ時電圧となって、第1検知手段により第1セル電圧を検知するタイミングとしては、例えば、車両のエンジンを始動させ、ガスセンサが活性化し、かつ起電力セル電圧に基づくポンプセルへの通電制御が開始された直後で、その起電力セル電圧がストイキ時電圧となったタイミングや、エンジンブレーキ時など車両走行中にエンジンへの燃料供給がカットされたフューエルカット(以下、FCとも略称する)期間のうち、起電力セル電圧がストイキ時電圧となったタイミングが挙げられる。また、前回の第1セル電圧の取得から所定期間経過後(例えば、30日経過後)あるいは所定走行時間経過後(例えば、走行1000時間経過後)で、起電力セル電圧がストイキ時電圧となったタイミングや、運転者がキースイッチをOFFとしてエンジン停止を指示した後で、かつ、起電力セル電圧がストイキ時電圧となったタイミングも挙げられる。
また、起電力セルに加える第1電流パルスは、起電力セルに一定の第1電流を流す方形波状であり、起電力セルにこの第1電流パルスを流すことにより、起電力セルのセルインピーダンスに応じたセル電圧が発生する。前述したように、セルインピーダンスは周波数特性を有しているので、第1電流パルスを印加した後、発生するセル電圧は、時間と共に変化する。例えば、第1電流パルスの印加開始から60μsec時点のセル電圧に比して、5000μsec時点のセル電圧の方が大きくなる。なお、各時点での起電力セルのセルインピーダンスは、当該時点でのセル電圧から第1電流パルスの印加開始時点(開始時刻t0)でのセル電圧を差し引いて、第1電流で除すれば得られる。
第1時刻において第1セル電圧を検知した後は、第1電流パルスの印加を速やかに停止するのが好ましく、第1時刻は長くとも50msec以下、従って、第1電流パルスの長さも50msec以下とすると良い。長すぎると、第1電流パルスの印加に伴う測定室の酸素分圧の変化が大きくなり、第1電流パルスの終了後、直ちに、酸素濃度の検知に戻れなくなるためである。
第1セル電圧を検知する第1検知手段としては、第1セル電圧を直接取得するように構成された回路及び処理を含む手段のほか、第1セル電圧と他電圧との差電圧など、他の量を取得することにより、間接に第1セル電圧を取得するように構成された回路及び処理を含む手段も含む。
また、前述のガスセンサの制御装置であって、前記第1電流パルスの印加開始から経過時間が0.2msec経過前の第2時刻に上記起電力セルに生じた第2セル電圧を検知する第2検知手段と、前記第1セル電圧と上記第2セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、を備えるガスセンサの制御装置とすると良い。
起電力セルのセルインピーダンスは、前述した測定室内ガスの酸素濃度の違いのほか、被測定ガスの温度変化などの外乱要因によっても影響されるので、これを除外して劣化の有無や程度を判定するのが望ましい。
この制御装置では、第1セル電圧を検知するのと同じ第1電流パルスにおける第2時刻に起電力セルに生じた第2セル電圧を検知し、第1セル電圧と第2セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する。このため、測定室内ガスの酸素濃度、被測定ガスの温度変化などの外乱要因による影響をキャンセルして、劣化の判定を行うことができ、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
しかも、同じ第1電流パルスを印加した場合のうち、比較的時間経過の短い段階の第2時刻における第2セル電圧と、比較的時間経過の長い第1時刻における第1セル電圧との差電圧を得るので、低周波領域におけるセルインピーダンスの劣化によるセル電圧の変化が現れやすく、この点からも、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
なお、第2セル電圧を検知する第2検知手段としては、前述の第1検知手段と同様、第2セル電圧を直接取得するように構成された回路及び処理を含む手段のほか、第2セル電圧と他電圧との差電圧など、他の量を取得することにより、間接に第2セル電圧を取得するように構成された回路及び処理を含む手段も含む。
また劣化判定手段では、第1セル電圧と第2セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定すれば良く、第1セル電圧と第2セル電圧との差電圧のほか、この差電圧を第1電流パルスで流した一定電流で除した起電力セルのセルインピーダンスを用いて、劣化を判定しても良い。
あるいは、前述のガスセンサの制御装置であって、前記第1電流パルス印加直前の開始時刻に上記起電力セルに生じた開始時セル電圧を検知する初期検知手段と、前記第1セル電圧と上記開始時セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、を備えるガスセンサの制御装置とすると良い。
前述したように、起電力セルのセルインピーダンスは、前述した測定室内ガスの酸素濃度の違いのほか、被測定ガスの温度変化などの外乱要因によっても影響されるので、これを除外して劣化の有無や程度を判定するのが望ましい。
この制御装置では、同じ第1電流パルスにおける開始時刻に起電力セルに生じた開始時セル電圧を検知し、第1セル電圧と開始時セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する。このため、被測定ガスの温度変化などの外乱要因による影響をキャンセルして、劣化の判定を行うことができ、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
あるいは、前述のガスセンサの制御装置であって、前記第1セル電圧と予め記憶していた上記ガスセンサが新品時の新品第1セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、を備えるガスセンサの制御装置とすると良い。
この制御装置では、第1セル電圧と予め記憶していたガスセンサが新品時つまり劣化前の新品第1セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する。このため、個々のガスセンサにおける新品第1セル電圧のばらつきをキャンセルでき、劣化による第1セル電圧の増加分が明確になり、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
前3項のいずれかに記載のガスセンサの制御装置であって、前記劣化判定手段で前記ガスセンサの劣化と判定されたときに、上記ガスセンサの劣化を警告する劣化警告手段、を備えるガスセンサの制御装置とすると良い。
この制御装置では、ガスセンサの劣化と判定されたときに、ガスセンサの劣化を警告する。このため、警告に従って、ガスセンサの交換など適切な処理を取ることができる。
警告としては、車両の運転席の計器板(インスツルメントパネル)の警告灯を点灯させる、あるいは音声によって警告を発するなどにより、運転者にガスセンサの交換を促すなどが挙げられる。
上述のいずれかに記載のガスセンサの制御装置であって、前記ポンプ電流に対応した量値を、前記第1セル電圧に基づく量で補正するポンプ電流補正手段と、上記補正済のポンプ電流に対応した値を、外部に向けて出力する出力手段と、を備えるガスセンサの制御装置とすると良い。
ガスセンサが劣化すると、起電力セル及びポンプセルのセルインピーダンスが増加するほか、起電力セル、ポンプセルの応答性が低下するなどの特性劣化が生じる。これに伴い、ガスセンサの出力(ポンプ電流の値)が変化(ドリフト)する。
これに対し、このガスセンサの制御装置では、検知した第1セル電圧に基づく量で、取得したポンプ電流に対応した量を補正するので、ガスセンサに劣化が生じていても、これを補正して適切なガス検出信号を外部に出力することができる。
なお、ポンプ電流に対応した量としては、例えば、ポンプ電流を抵抗により電圧変換したガス検出信号が挙げられる。
また、第1セル電圧に基づく量としては、例えば、前述の第1セル電圧と第2セル電圧との差電圧や、第1セル電圧と開始時セル電圧との差電圧や、第1セル電圧と新品第1セル電圧との差電圧などの量が挙げられる。また、これらの差電圧を、第1電流で除したインピーダンス差も挙げられる。
さらに上述のいずれか1項に記載のガスセンサの制御装置であって、前記ガスセンサは、前記起電力セル及び前記ポンプセルを加熱するヒータを有し、前記第1電流パルスよりも短く一定の第2電流を流す第2電流パルスを上記起電力セルに印加し、上記第2電流パルス印加中で、かつ、上記第2電流パルスの印加開始から0.2msec経過前の第3時刻に、前記起電力セルの第3セル電圧を検知する第3検知手段と、上記第3セル電圧を用いて、上記ヒータの通電を制御するヒータ制御手段と、前記第1検知手段で検知した前記第1セル電圧に基づく量で、上記ヒータ制御手段における制御を補正するヒータ制御補正手段と、を備えるガスセンサの制御装置とすると良い。
第3セル電圧を用いてヒータの通電を制御するヒータ制御手段では、ガスセンサの劣化により起電力セルの第3セル電圧が大きくなると、あたかも素子温度が低いことが原因のように見える。このため、ヒータ制御手段は、ヒータ温度を高くするようにヒータを制御する。即ち、起電力セル(ガスセンサ)の温度が、設定よりも高い値に維持される。すると、測定室に導入される被測定ガスの量、従って、ポンプ電流で排出するべき酸素の量が増加する。このため、導入される被測定ガスの酸素濃度が同じであっても、酸素の導入量の増加に起因して,ポンプセルに流されるポンプ電流が、劣化前に比して増加する。
これに対し、このガスセンサの制御装置では、ヒータ制御補正手段により、ヒータ制御手段の制御を第1セル電圧に基づく量で補正する。これにより、ガスセンサの劣化に伴うヒータ温度のずれが無くなり、ヒータ温度のずれによるポンプ電流の増加が是正され、適切なガス検出信号を外部に出力することができる。
なお、第2電流パルスは、起電力セルに一定の第2電流を流す方形波状であり、起電力セルにこの第2電流パルスを流すことにより、起電力セルのセルインピーダンスに応じたセル電圧が発生する。
第2電流の大きさは、第1電流と異なっていても良いが、同じとすると良い。第1電流(第2電流)を流す回路構成を容易にできるからである。
第3セル電圧を検知する第3時刻は、第2電流パルスの印加開始から0.2msec経過前で有れば良いが、前述の第2検知手段を備える場合には、前述の第2セル電圧を検知する第2時刻と同じとすると良い。このようにすると、第2セル電圧の検知を、第3セル電圧の検知を同じ回路で行わせることができる。なお、第3時刻での起電力セルのセルインピーダンスは、当該第3時刻での第3セル電圧から第2電流パルスの印加開始時点でのセル電圧を差し引いて、第2電流で除すれば得られる。
ヒータ制御手段における制御の補正の手法としては、例えば、検知した第3セル電圧は、劣化に伴って高くなるので、劣化による抵抗上昇の分を相殺するように(低くなるように)、第1検知手段で検知した第1セル電圧に基づく量で、得られた第3セル電圧を補正する手法や、劣化による第3セル電圧の上昇に合わせて、第1セル電圧に基づく量で、ヒータ制御手段の目標値を補正する手法などが挙げられる。
さらに上述のガスセンサの制御装置であって、前記ヒータ制御補正手段は、前記第1セル電圧に基づく量で、前記ヒータ制御手段における目標値を補正するガスセンサの制御装置である。
ヒータ制御手段における補正手法としては、検知した第3セル電圧を補正する手法も採用しうる。但し、この場合には、第3セル電圧を検知するごとに補正の処理を行う必要がある。
これに対し、上述のガスセンサの制御装置では、第1セル電圧に基づく量でヒータ制御手段における目標値を補正するので、一旦補正をすれば、次に目標値を補正するまで(次に第1セル電圧を取得するまで)、補正を行う必要が無く、処理が容易である。具体的には、劣化による第1セル電圧の増加から、劣化による第3セル電圧の変化(増加)を推定し、その増加分を目標値に加えて、これを大きくする手法が挙げられる。また、取得した第1セル電圧に応じた補正係数を、目標値に乗ずることもできる。
実施形態に係るガスセンサ制御装置及びガスセンサを排気管に装着してエンジンの制御に利用した場合の全体構成を示す説明図である。 実施形態に係るガスセンサ制御装置の概略構成を示す説明図である。 ガスセンサの概略構成を示す断面説明図である。 電流パルス印加時間tと検知される起電力セルのセル電圧Vsとの関係を、新品及び劣化品について示すグラフである。 実施形態に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、2−1差電圧DVs21検知・記憶処理の処理動作を示すフローチャートである。 実施形態に係り、図5に示す2−1差電圧DVs21検知処理のうち、差電圧ΔVs02D,ΔVs01Dの検知処理の処理動作を示すフローチャートである。 実施形態に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、劣化検知及び劣化警告処理の処理動作を示すフローチャートである。 実施形態に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ガス検出信号の劣化補正の処理動作を示すフローチャートである。 実施形態に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ヒータ温度制御のための目標差電圧補正の処理動作を示すフローチャートである。 実施形態に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ヒータ温度制御の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態1に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、0−1差電圧ΔVs01検知・記憶処理の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態1に係り、図11に示す0−1差電圧ΔVs01検知処理のうち、セル電圧Vs1Dの検知処理の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態1に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、劣化検知及び劣化警告処理の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態1に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ガス検出信号の劣化補正の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態1に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ヒータ温度制御のための目標差電圧補正の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態2に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、第1差電圧SVs1検知・記憶処理の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態2に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、劣化検知及び劣化警告処理の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態2に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ガス検出信号の劣化補正の処理動作を示すフローチャートである。 変形形態2に係り、ガスセンサ制御装置のマイクロプロセッサにおける、ヒータ温度制御のための目標差電圧補正の処理動作を示すフローチャートである。
(実施形態)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るガスセンサ制御装置1及びガスセンサ2をエンジンの制御に用いた場合の全体構成を示す図である。また、図2は、ガスセンサ制御装置1の概略構成を示す図である。
ガスセンサ2は、車両(図示しない)のエンジンENGの排気管EPに装着され、排気ガスEG(被測定ガス)中の酸素濃度(空燃比)を検出して、エンジンENGにおける空燃比フィードバック制御に用いる全領域空燃比センサ(酸素センサ)である。このガスセンサ2は、図2に示すように、酸素濃度を検出するセンサ部3、及びセンサ部3を加熱するヒータ部4を有する。
ガスセンサ制御装置1は、このガスセンサ2に接続され、これを制御する。また、ガスセンサ制御装置1は、接続バス101を介して、車両のCANバス102に接続され、ECU100との間でデータの送受信が可能とされている。ガスセンサ制御装置1は、マイクロプロセッサ50と、ガスセンサ2のセンサ部3を制御するセンサ制御回路60と、ヒータ部4を通電制御するヒータ制御回路70とを備えている。
まず、ガスセンサ2について説明する。図3は、ガスセンサ2の概略構成を示す断面説明図である。ガスセンサ2はセンサ部3と、これに積層されたヒータ部4とからなる。このうち、センサ部3は、ポンプセル10と、多孔質層18と、起電力セル20とを、この順に積層してなり、ヒータ部4は、起電力セル20に積層されている。
起電力セル20は、ジルコニアを主体とした酸素イオン伝導性を有する固体電解質体からなる板状の電解質層21を基体とし、その両面に多孔質の白金を主体とする一対の電極22,23(多孔質電極)を有する。具体的には、電解質層21の一方の面(図中、下面)である基準室側面21eに基準電極23が、他方の面(図中、上面)である測定室側面21iに第1測定室電極22が、それぞれ形成されている。
また、ポンプセル10も、ジルコニアを主体とした酸素イオン伝導性を有する板状の固体電解質体からなる電解質層11を基体とし、その両面に多孔質の白金を主体とする一対の電極12,13(多孔質電極)が形成されている。具体的には、電解質層11の一方の面(図中、上面)である外側面11eに外側電極12が、他方の面(図中、下面)である測定室側面11iに第2測定室電極13が、それぞれ形成されている。
ポンプセル10の電解質層11の測定室側面11iは、起電力セル20の電解質層21の測定室側面21iと対向し、電解質層11と電解質層21の間には、多孔質層18が介在している。多孔質層18は、電解質層11の測定室側面11i及び電解質層21の測定室側面21iの周縁のうち、図3中左右両側に所定の長さ(奥行き方向寸法)を有する形態で設けられている。また、電解質層11と電解質層21との間には、多孔質層18のほかに、アルミナを主体とした絶縁層(図示しない)が設けられている。かくして、この絶縁層の内側面、多孔質層18の内側面、測定室側面11i及び測定室側面21iによって囲まれた中空の空間が、多孔質層18を介して排気ガスEGを導入可能な中空の測定室3Sをなしている。
この測定室3Sには、ポンプセル10の第2測定室電極13及び、起電力セル20の第1測定室電極22が露出している。これらの測定室電極13,22は、互いに電気的に導通すると共に、センサ部3の端子COMに接続している。また、ポンプセル10の外側電極12はセンサ部3の端子Ip+に接続し、起電力セル20の基準電極23はセンサ部3の端子Vs+に接続している。測定室3Sには、多孔質層18を通じて排気ガスEGが導入されている。
また、ポンプセル10の外側電極12全体は、外側電極12の被毒を抑制する保護層15に覆われている。この保護層15は、多孔質のセラミック等からなり、排気ガスEGに曝される。
ヒータ部4は、起電力セル20の電解質層21の基準室側面21e(図中、下側)に積層されており、白金からなるヒータ抵抗体41を、一対のアルミナ層42,43で挟んだ構成を有している。ヒータ部4によりセンサ部3を昇温させることにより、センサ部3の電解質層11,21を活性化させ、電解質層11,21中を酸素イオンが移動可能となる。ヒータ部4(アルミナ層42,43)は、起電力セル20の基準電極23の全体を覆うことによって、この基準電極23を封止している。なお、多孔質の基準電極23内部の空間(空孔)は、次述する内部基準酸素源として機能する基準酸素室24を構成している。
次いで、図2を参照しつつ、ガスセンサ制御装置1について説明する。センサ制御回路60は、ASICを中心に構成され、接続配線81,82,83(具体的には、回路基板上の配線及びリード線)を介して、センサ部3の3つの端子Vs+,Ip+,COMにそれぞれ接続されている。センサ制御回路60は、センサ部3の起電力セル20に所定の大きさの微小電流Icpを流しつつ、起電力セル20の両端(第1測定室電極22と基準電極23との間)に発生する起電力セル電圧Vsが450mV(=目標電圧Vrf(後述する))になるように、ポンプセル10に流すポンプ電流Ipをフィードバック制御して、測定室3S内の測定室内ガスEGS中の酸素の汲み入れ汲み出しを行う。ここで、ポンプセル10に流されるポンプ電流Ipの大きさ及び電流の方向は、多孔質層18を通じて測定室3S内に導入される排気ガスEG中の酸素濃度(空燃比)に応じて変化することから、このポンプ電流Ipの電流値(大きさ及び正負)を検知することで、排気ガスEG中の酸素濃度を検知することができる。なお、微小電流Icpは、起電力セル20に対して、測定室3Sの酸素を基準電極23(多孔質電極)に向けて汲み出す方向の電流とされている。このため、多孔質の基準電極23の空孔からなる基準酸素室24は、所定の酸素分圧の基準ガスRGを有する内部基準酸素源となっている。
このセンサ制御回路60では、センサ部3の端子COM及び端子Vs+の電位は、それぞれ図示しない回路により、COMポート55及びVsポート56を通じてマイクロプロセッサ50に入力される。起電力セル電圧Vsは、マイクロプロセッサ50において、Vsポート56とCOMポート55に入力された電位の差電圧として算出される。
また、ポンプ電流Ipの大きさは、電圧信号に変換されたガス検出信号Vipとして差動増幅回路61で検出され、出力端子60bからマイクロプロセッサ50に向けて出力される。
加えてセンサ制御回路60は、このガス検出信号Vipの検出のほかに、後述するように電流パルスを利用して、センサ部3の起電力セル20のセルインピーダンスRvsに応じて変化する差電圧ΔVsの検出を行い、差電圧出力端子60cから出力する。マイクロプロセッサ50は、ガス検出信号Vip及び差電圧ΔVsを、A/D入力ポート51,52を通じて入力可能にされている。なお、検出されたガス検出信号Vipの値は、接続バス101を通じて、ECU100に向けて送出される。
ヒータ制御回路70は、バッテリBT及び接地電位GNDに接続しているほか、2本のリード線71,72を介して、ガスセンサ2のヒータ部4に接続すると共に、マイクロプロセッサ50のPWM出力ポート54に接続されている。ヒータ制御回路70は、PWM出力ポート54から出力されるPWMパルスにより、ヒータ部4への通電をPWM制御する。
次いで、ガスセンサ2のセンサ部3を用いて酸素濃度を測定する際の、センサ制御回路60の動作について説明する。このセンサ制御回路60は、検出抵抗R1のほか、第1〜第5オペアンプOP1〜OP5、第1スイッチSW1、3つの第2スイッチSW2、2つの第3スイッチSW3、PID制御回路69、差動増幅回路61、Icp供給回路62、電流源63,64,65,66、制御部67などから構成されている。
センサ部3の端子COMは、接続配線83を介してVcent点に接続している。また、端子Ip+は、接続配線82を介して、第2オペアンプOP2の出力端子に接続している。さらに、端子Vs+は、接続配線81を介して、第4オペアンプOP4の非反転入力端子+に接続している。また、端子Vs+は、Icp供給回路62にも接続している。このIcp供給回路62は、前述した所定値の微小電流Icpを起電力セル20に流す定電流回路である。さらに、Icp供給回路62、接続配線81、起電力セル20、接続配線83は、この順に接続されて、微小電流Icpを流す電流路を構成している。
酸素濃度を測定する際には、制御部67により第1スイッチSW1がオン(第2,第3スイッチSW2,SW3はオフ)とされている。これにより、センサ部3の端子Vs+の電位は、接続配線81並びに、電圧フォロア回路をなす第4オペアンプOP4及び第1オペアンプOP1を介して、PID制御回路69の入力端子ITに入力される。なお、制御部67は、センサ制御回路60をなすASIC内に構成されたロジック回路である。この制御部67は、センサ制御回路60のコマンド受信ポート60dを通じて、マイクロプロセッサ50のシリアル送信ポート53と接続しており、マイクロプロセッサ50からの指令に基づいて、第1スイッチSW1から第3スイッチSW3のオンオフの制御などを行う。
また、第2オペアンプOP2のうち、一方の入力端子はVcent点に接続され、他方の入力端子には基準電圧Vc(=+3.6V)が印加されている。第2オペアンプOP2の出力端子は、接続配線82を介して、センサ部3の端子Ip+に接続されている。なお、Vcent点は、PID制御回路69の基準端子RTにも接続されている。
PID制御回路69は、上述の入力端子IT及び基準端子RTに加えて、出力端子OTを有し、第4オペアンプOP4及び第1オペアンプOP1を介して入力されたセンサ部3の端子Vs+の電位(入力端子IT)とVcent点の電位(基準端子RT)との電位差が目標電圧Vrf(=450mV)となるように、ポンプ電流Ipの大きさをPID制御する。具体的には、PID制御回路69において、目標電圧Vrf(=450mV)と起電力セル20の両電極22,23の間に発生する起電力セル電圧Vsとの偏差がPID演算され、第2オペアンプOP2にフィードバックされることで、第2オペアンプOP2は、ポンプセル10にポンプ電流Ipを流す。
さらに、センサ制御回路60は、ポンプ電流Ipの大きさを検出し、電圧信号に変換する検出抵抗R1を備え、この検出抵抗R1の両端電圧(電位Vcentと電位Vpidとの差電圧)は、差動増幅回路61により差動増幅され、ガス検出信号Vipとして出力端子60bからマイクロプロセッサ50に向けて出力される。前述したように、ポンプ電流Ipの大きさ及び電流の方向は、排気ガスEGの酸素濃度(空燃比)に応じて変化するので、ポンプ電流Ipを電圧信号に変換したガス検出信号Vipから、排気ガスEGの酸素濃度を検知することができる。マイクロプロセッサ50では、このガス検出信号(酸素濃度信号)VipをA/D入力ポート51を通じ、デジタル値に変換して取得し、取得した値を接続バス101を通じて、ECU100に向けて送出する。
次に、センサ制御回路60を用いた、センサ部3の起電力セル20のセルインピーダンスRvs(第1セルインピーダンスRivs,第2セルインピーダンスRpvs)の検知について説明する。但し、本実施形態のセンサ制御回路60では、セルインピーダンスRvsそのものを検知するのに代えて、セルインピーダンスRvsに応じて変化する差電圧ΔVsを検知する。
センサ制御回路60において、第1オペアンプOP1は、第1スイッチSW1及びコンデンサC1と共にサンプルホールド回路を形成している。セルインピーダンスRvsの検知(差電圧ΔVsの検知)を行う際には、第1スイッチSW1を、制御部67によりオンからオフに切り換える。これにより、このサンプルホールド回路は、差電圧ΔVsの検出動作を行う直前(開始時刻t0)のセンサ部3の端子Vs+(起電力セル20の基準電極23)の電位(第4オペアンプOP4の出力)を保持する。このため、後述する差電圧ΔVsの検出動作を行っている間(第1スイッチSW1がオフの間)は、差電圧ΔVsの検出動作を行う直前の端子Vs+の電位(第1オペアンプOP1に保持されたホールド電圧)が、PID制御回路69の入力端子ITに入力されてPID制御に用いられる。また、このホールド電圧を用いてPID制御されたガス検出信号Vipが、出力端子60bから出力される。
さらに制御部67は、第1スイッチSW1をオフにした後、3つの第2スイッチSW2をそれぞれオフからオンに切り換える。なお、第3スイッチSW3はオフとしたままとする。各第2スイッチSW2をオンとした期間だけ一時的に、電流源65、第2スイッチSW2、接続配線83、端子COM(第1測定室電極22)、起電力セル20、端子Vs+(基準電極23)、接続配線81、第2スイッチSW2、電流源63の順の電流経路が形成され、起電力セル20に一定の定電流−Iconstを流す方形波状の電流パルスが印加される。
第3オペアンプOP3は、差動増幅回路を構成しており、第1オペアンプOP1に保持されたホールド電圧(直前の端子Vs+の電位)と、起電力セル20に定電流−Iconstの電流パルスを流した際に、これに応答して生じる端子Vs+(基準電極23)の電位(第4オペアンプOP4の出力)との差に対応する電圧を出力する。この出力電圧が、差電圧ΔVsである。この差電圧ΔVsは、起電力セル20に、定電流−Iconstを流さない場合(各第2スイッチSW2をオンとする直前)と、定電流−Iconstを流した場合(各第2スイッチSW2をオンとした場合)とで、起電力セル20に生じる起電力セル電圧Vsの差を示している。この差電圧ΔVsは、定電流−Iconstを流した起電力セル20のセルインピーダンスRvsに比例した大きさとなる。
なお、起電力セル20に開始時刻t0以降、電流パルスを印加し続けた場合、起電力セル電圧Vsは、図4に示すように、徐々に増加する傾向を示す。また、図4において、新品(破線)と劣化品(実線)の2つのグラフで示すように、起電力セル電圧Vsは(従って、セルインピーダンスRvs及び差電圧ΔVsも)、ガスセンサ2(センサ部3)の使用と共に、即ち劣化と共に、その大きさが増加する傾向を示す。
第3オペアンプOP3から出力された差電圧ΔVsは、第2スイッチSW2、抵抗R2、コンデンサC2、及び第5オペアンプOP5で構成されるサンプルホールド回路に入力される。このサンプルホールド回路(第5オペアンプOP5)の出力電圧ΔVsは、第2スイッチSW2がオンである場合には、第3オペアンプOP3から入力された差電圧ΔVsと同様に変化するが、第2スイッチSW2がオフになった場合には、第2スイッチSW2がオフとされた時点での差電圧ΔVsをコンデンサC2により保持し、出力端子60cから出力し続ける。即ち、第2スイッチSW2をオンとする、差電圧ΔVsの検出動作の間は、第3オペアンプOP3で生成した差電圧ΔVsがそのまま第5オペアンプOP5から出力される。一方、第2スイッチSW2をオフとして、差電圧ΔVsの検出動作を終了した後は、第5オペアンプOP5に保持された、第2スイッチSW2をオフとした時点での、一定の差電圧ΔVsが出力され続ける。
マイクロプロセッサ50は、出力端子60cから出力された差電圧ΔVsを、A/D入力ポート52を通じて、所定時間間隔毎にデジタル値に変換して取得する。これにより、マイクロプロセッサ50では、この差電圧ΔVsから、起電力セル20のセルインピーダンスRvsを検知(算出)することが可能となる。
なお、第2スイッチSW2をオンとして、定電流−Iconstの電流パルスを流す期間、即ち、差電圧ΔVsの検出動作の期間(電流パルスの印加の開始時刻t0及び終了時刻)は、制御部67により制御される。本実施形態では、後述するように、印加終了時刻を、第1時刻t1=5000μsec(=5.0msec)、及び第3時刻t3=60μsecの2種類使い分ける。
また前述のように、第2スイッチSW2をオフとした後も、第5オペアンプOP5からは、第2スイッチSW2をオフとして時点での差電圧ΔVsが出力され続ける。このため、マイクロプロセッサ50は、差電圧ΔVsの検出動作中に差電圧ΔVsを取得する必要はなく、第2スイッチSW2がオフとなった後の任意のタイミングで、第5オペアンプOP5が保持して出力している差電圧ΔVsを取得することができる。
差電圧ΔVsの検出動作が終了すると、制御部67は、第2スイッチSW2をオフとし、その後、第3スイッチSW3を所定期間に亘りオンとする。この間も第1スイッチSW1はオフのままである。第3スイッチSW3をオンとすることにより、電流源64、第3スイッチSW3、接続配線81、端子Vs+(基準電極23)、起電力セル20、端子COM(第1測定室電極22)、接続配線83、第3スイッチSW3、及び電流源66の順に並ぶ電流経路が形成され、起電力セル20に定電流+Iconstの逆電流パルスが所定時間に亘り印加される。
この定電流+Iconstの逆電流パルスは、上述した定電流−Iconstの電流パルスとは逆極性である。本実施形態では、第3スイッチSW3をオンとする所定期間の長さは、60μsecとしている。このようにして起電力セル20に逆極性の電流パルスを流すことにより、起電力セル20に生じる起電力セル電圧Vs+が正常な値の戻るまでの時間を短縮する。起電力セル20に定電流−Iconstの電流パルスを印加したことにより、起電力セル20を構成する電解質層(固体電解質体)の配向現象が生じ、起電力セル20に生じる起電力セル電圧Vs+が影響されて、測定室内ガスEGSの酸素濃度に応じて、基準電極23と第1測定室電極22との間に生じるべき正しい起電力セル電圧を出力できない状態となっている。これを、逆電流パルスによって強制的に電解質層(固体電解質体)の配向現象を打ち消すためである。
そこで、制御部67は、第3スイッチSW3をオンにして、60μsec間、起電力セル20に定電流+Iconstの逆電流パルスを流した後、第3スイッチSW3をオフとする。その後、起電力セル20が、測定室内ガスEGSの酸素濃度に応じた起電力セル電圧Vs+を出力するまでの所定の安定化待機時間を経過した後、第1スイッチSW1をオンに戻す。
このように、センサ制御回路60では、排気ガスEGの酸素濃度に応じたガス検出信号Vipの検出することができるほか、ガス検出信号Vipの検出を行う状態から一時的に切り換えて、起電力セル20のセルインピーダンスRvsに応じて変化する差電圧ΔVsの検出し、再び、ガス検出信号Vipの検出を行う状態に戻ることができる。差電圧ΔVsを検出している間は、ガス検出信号Vipとしては、切り換え直前の起電力セル電圧Vs+を用いてPID制御された値が出力される。また、差電圧ΔVsの検出を終えた後、再びガス検出信号Vipの検出を行う状態に戻ると、差電圧ΔVsが保持された状態となる。この一連の動作は、マイクロプロセッサ50が、シリアル送信ポート53を通じて、各スイッチSW1,SW2,SW3の切り換えを指示する指示信号を制御部67に送信することにより行われる。
前述したように、差電圧ΔVsは、センサ制御回路60の出力端子60cから出力され、A/D入力ポート52を通じてマイクロプロセッサ50に入力される。かくして、マイクロプロセッサ50は、差電圧ΔVsの値を定期的に検出する。なお、この差電圧ΔVsを電流パルスとして流した定電流Iconstで除すれば、起電力セル20のセルインピーダンスRvsが得られる。
本実施形態のガスセンサ制御装置1では、ガスセンサ2のヒータ部4(ヒータ抵抗体41)にヒータ制御回路70を用いて通電し、センサ部3を所定の保持温度(本実施形態では720℃)に加熱制御している。これにより、電解質層11,21にそれぞれ酸素イオン伝導性を発現させる(活性化させる)。
起電力セル20の電解質層21は、その温度によって、セルインピーダンスRvsが変化する。具体的には、高温であるほどセルインピーダンスRvsが小さくなる。そこで本実施形態では、ガスセンサ制御装置1において、ヒータ制御回路70を用いて制御するに当たり、起電力セル20に長さ60μsecの定電流−Iconstの第2電流パルスを印加し、セルインピーダンスRvsとして、第2電流パルスの印加開始から60μsec経過した第3時刻t3における第3セルインピーダンスRpvsを取得して、これを用いてヒータ部4(ヒータ抵抗体41)のフィードバック制御を行っている。
具体的には、酸素濃度を検出している状態、即ち、起電力セル電圧Vsが、目標電圧Vrf(=450mV)となるようにポンプ電流Ipを制御した状態で、前述のようにセンサ制御回路60のスイッチSW1,SW2を切り換え、起電力セル20に、後述する第1電流パルスよりも短い、長さ60μsecで定電流−Iconstの大きさの第2電流パルスを印加する。そして、マイクロプロセッサ50で、開始時刻t0における起電力セル電圧である開始時セル電圧Vs0と、第2電流パルスの印加開始から60μsec経過した第3時刻t3における起電力セル電圧である第3セル電圧Vs3との差電圧ΔVs(=Vs3−Vs0)を、A/D入力ポート52を通じて取得する。マイクロプロセッサ50は、この第3セルインピーダンスRpvsに対応する差電圧ΔVs(後述する0−3差電圧ΔVs03)が、所定の保持温度(720℃)であるときに起電力セル20に生じる目標インピーダンスRtgに対応するΔVstgに等しくなるように、ヒータ部4に加える電力をフィードバック制御する。具体的には、差電圧ΔVs(0−3差電圧ΔVs03)に応じて、ヒータ制御回路70を通じてヒータ部4に印加するべきPWMパルスのデューティ比を演算し、PWM出力ポート54から、ヒータ制御回路70に向けて演算したデューティ比のPWMパルスを出力する。これにより、ヒータ部4(ヒータ抵抗体41)への通電がヒータ制御回路70によりオンオフされ、PWM方式でフィードバック制御される。かくして、ガスセンサ2は、そのセンサ部3が所定の保持温度となるように加熱制御され、排気ガスEGの酸素濃度を適切に検出することが可能となる。なお本実施形態のガスセンサ制御装置1では、第2電流パルスの印加による第2セルインピーダンスRpvs、具体的には、0−3差電圧ΔVs03の検知を、100msec毎に行っている。ヒータ部4(ヒータ抵抗体41)への通電におけるデューティ比のフィードバック制御を頻繁に行い、センサ部3(起電力セル20,ポンプセル10)の温度を、より精度良く所定の保持温度に保つためである。
ところで、ガスセンサ2のポンプセル10及び起電力セル20は、ガスセンサ2の使用により劣化すると、そのインピーダンスがそれぞれ増加することが判ってきた。即ち、新品のガスセンサ2の起電力セル20に、定電流−Iconstの電流パルスを開始時刻t0から印加し続けると、起電力セル20に生じる起電力セル電圧Vsは、図4に太い破線で示すように、電流パルスの印加時間tの増加と共に増加する。
一方、長時間使用してセンサ部3(起電力セル20,ポンプセル10)に劣化を生じた劣化品のガスセンサ2について、同様に定電流−Iconstの電流パルスを開始時刻t0から印加し続けた場合も、起電力セル20に生じる起電力セル電圧Vsは、図4に太い実線で示すように、電流パルスの印加時間tの増加と共に増加する。
但し、新品と劣化品の起電力セル電圧Vsの変化について比較すると、太い実線で示す劣化品のガスセンサ2の方が、太い破線で示す新品に比して、起電力セル電圧Vsが大きくなる。しかも、例えば、電流パルスの印加開始(開始時刻t0)から、60μsec経過後の第2時刻t2(第3時刻t3も同じ)における新品についての新品第2セル電圧Vs2Nと、劣化品についての劣化第2セル電圧Vs2Dとの差電圧SVs2(=Vs2D−Vs2N)に比して、5000μsec(=5msec)経過後の第1時刻t1における新品についての新品第1セル電圧Vs1Nと、劣化品についての劣化第1セル電圧Vs1Dとの差電圧SVs1(=Vs1D−Vs1N)が大きくなる(SVs1>SVs2)。即ち、新品と劣化品とのセル電圧Vsの差電圧SVsが、時間tの経過と共に、大きくなることが判る。
なお、新品のガスセンサ2について、第2時刻t2=60μsecに、前述の第5オペアンプOP5から得られる新品0−2差電圧ΔVs02Nは、開始時刻t0における起電力セル電圧である新品開始時セル電圧Vs0Nと、第2時刻t2における起電力セル電圧である新品第2セル電圧Vs2Nとの差電圧である。
また、劣化品のガスセンサ2について、第2時刻t2=60μsecに、前述の第5オペアンプOP5から得られる劣化0−2差電圧ΔVs02Dは、開始時刻t0における起電力セル電圧である劣化開始時セル電圧Vs0Dと、第2時刻t2における起電力セル電圧である劣化第2セル電圧Vs2Dとの差電圧である。
また、第2時刻t2における起電力セル20の第2セルインピーダンスRpvs(RpvsN,RpvsD)は、新品0−2差電圧ΔVs02Nあるいは劣化0−2差電圧ΔVs02Dを、定電流−Iconstで除することで得ることができる。
加えてこの図4には、前述したように、ガスセンサ2に第2電流パルスを加えることにより、(本実施形態では第2時刻t2と同じ)第3時刻t3=60μsecに、第5オペアンプOP5から得られる0−3差電圧ΔVs03も示してある。前述したように、0−3差電圧ΔVs03は、開始時セル電圧Vs0と第3セル電圧Vs3との差電圧である。
また、第3時刻t3における起電力セル20の第3セルインピーダンスRpvsは、0−3差電圧ΔVs03を、第2パルス電流で流す定電流−Iconstで除することで得ることができる。
さらに、新品のガスセンサ2について、第1時刻t1=5000μsecに、前述の第5オペアンプOP5から得られる新品0−1差電圧ΔVs01Nは、開始時刻t0における起電力セル電圧である新品開始時セル電圧Vs0Nと、第1時刻t1における起電力セル電圧である新品第1セル電圧Vs1Nとの差電圧である。
また、劣化品のガスセンサ2について、第1時刻t1=5000μsecに、前述の第5オペアンプOP5から得られる劣化0−1差電圧ΔVs01Dは、開始時刻t0における起電力セル電圧である劣化開始時セル電圧Vs0Dと、第1時刻t1における起電力セル電圧である劣化第1セル電圧Vs1Dとの差電圧である。
また、第1時刻t1における起電力セル20の第1セルインピーダンスRivs(RivsN,RivsD)は、新品0−1差電圧ΔVs01Nあるいは劣化0−1差電圧ΔVs01Dを、同じく定電流−Iconstで除することで得ることができる。
従って、図4から理解できるように、新品と劣化品についての第2セルインピーダンスRpvsNとRpvsDとの第2インピーダンス差SRpvs(あるいは新品0−2差電圧ΔVs02Nと劣化0−2差電圧ΔVs02Dとの差電圧SVs2)に比して、新品と劣化品についての第1セルインピーダンスRivsNとRivsDとの第1インピーダンス差SRivs(あるいは新品0−1差電圧ΔVs01Nと劣化0−1差電圧ΔVs01Dとの差電圧SVs1)が大きくなる。これは、起電力セル20及びポンプセル10の劣化の程度(劣化によるセルインピーダンスRvs(差電圧SVs)の増加の程度)には周波数依存性があり、低周波領域、具体的には、100Hz以下の周波数領域、特に50Hz以下の周波数領域で、劣化によるセルインピーダンスの増加が大きく現れることを示している。
そこで、本実施形態のガスセンサ制御装置1では、センサ制御回路60のスイッチSW1,SW2を切り換え、起電力セル20に、長さ5000μsec(=5.0msec)で定電流−Iconstの大きさの第1電流パルスを印加する。そして、マイクロプロセッサ50で、第1電流パルスの印加開始(開始時刻t0)から60μsec経過した第2時刻t2に得られた劣化0−2差電圧ΔVs02D、及び5000μsec経過した第1時刻t1に得られた劣化0−1差電圧ΔVs01Dを、A/D入力ポート52を通じてそれぞれ取得する(あるいは、これらを定電流−Iconstで除して、劣化第2セルインピーダンスRpvsD及び劣化第1セルインピーダンスRivsDを得る)。これにより、ガスセンサ2(センサ部3,起電力セル20)の劣化の程度を検知することができる。
なお、本実施形態では、第1時刻t1をt1=5000μsecとしたが、このように第1時刻t1を200μsecよりも大きい時刻とし、第1セルインピーダンスRivsを、電流パルスの印加から200μsec以上経過した後に取得するとよい。セルインピーダンスRvsの劣化に伴う周波数特性の変化を考慮すると、50Hz以下の低周波領域で,大きなセルインピーダンスとなるので、この影響が現れる電流パルスの印加から200μsec以降に得たセルインピーダンスRivs(あるいは劣化0−2差電圧ΔVs02D)を用いて、劣化の大きさを評価すると、適切にかつ短時間で劣化を評価できるからである。
ところで、前述したように、起電力セル20のセルインピーダンスRvsは、測定室内ガスEGSの酸素濃度の違いにも影響される。具体的には、同じ長さ5000μsecの第1電流パルスを印加して、同様に第1セルインピーダンスRivsを検知しても、測定室内ガスEGSがリッチ状態のときに検知されるセルインピーダンスRvsの値は、測定室内ガスEGSがリーン状態のときに検知されるセルインピーダンスRvsの値に比べて大きくなる。そこで本実施形態では、この影響を抑えるべく、測定室3Sにおける測定室内ガスEGSがストイキ状態となっている条件下で、第1電流パルスを起電力セルに印加して、2−1差電圧DVs21D、あるいは2−1インピーダンス差ΔRvsを検知する。
なお、エンジンENGが駆動され、ガスセンサ2で排気ガスEGの酸素濃度を検知しているときには、前述のように、第2電流パルスの印加及び第2セルインピーダンスRpvsを、100msec毎に行っており、その途中で、長い第1電流パルスを印加し、第2セルインピーダンスRpvs及び第1セルインピーダンスRivsを検知することは好ましいとはいえない。第1電流パルスを印加している間は、現実の排気ガスEGの酸素濃度検知が不能となるからである。また、起電力セル20の温度の検知及びヒータ部4の通電制御のために第2セルインピーダンスRpvsを繰り返し短い時間間隔で(例えば、本実施形態では100msec毎に)検知するのとは異なり、ガスセンサ2の劣化の程度を、短時間で繰り返し検知することは求められない。
そこで、本実施形態のガスセンサ制御装置1では、運転者が車両のキースイッチをオフとして、エンジンENGを停止させた場合に、劣化の評価を行うこととした。即ち、エンジンENGを停止させた後も、暫時ガスセンサ制御装置1によるガスセンサ2の制御を継続し、測定室内ガスEGSがストイキ状態となった場合、即ち、起電力セル20の起電力セル電圧Vsが、測定室内ガスEGSがストイキ状態であることを示す、所定の起電力セル電圧であるストイキ時電圧Vss(具体的には、Vs=Vss=450mV)となった時点で、前述のようにして、第2時刻t2=60μsecに劣化0−2差電圧ΔVs02D(第2セルインピーダンスRpvsD)を検知し、さらに、第1時刻t1=5000μsecに劣化0−1差電圧ΔVs01D(第1セルインピーダンスRivsD)を検知し、劣化2−1差電圧DVs21D(2−1インピーダンス差ΔRvs)を記憶した後、ガスセンサ制御装置1を停止させる。さらに、次回のエンジンENG始動時に、前回の運転後に、劣化2−1差電圧DVs21D(2−1インピーダンス差ΔRvs)を用いて、ガスセンサ2の劣化を評価する。
即ち、本実施形態のガスセンサ制御装置1では、新品ではない使用中のガスセンサ2について、そのマイクロプロセッサ50により、以下のようにして2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)を検知し記憶するDVs21D検知・記憶処理を行う(図5参照)。この処理は、マイクロプロセッサ50が実行するメインルーチンからの呼び出しで実行される。マイクロプロセッサ50では、ガス検出信号Vipの取得処理、ヒータ部4の通電制御の処理のほか、このDVs21D検知・記憶処理、劣化検知・劣化警告処理(後述する)、ガス検出信号の劣化補正処理(後述する)、目標差電圧補正処理(後述する)などを行う。
なお以下では、上述した新品と劣化品との対比を離れて、使用中のガスセンサ2についてのセルインピーダンス、セル電圧、差電圧等に、新品ではないという意味で劣化の文字を含んだ各符号を流用して説明することとする。
DVs21D検知・記憶処理のうち、まずステップS1では、後述するタイマのリセットなど処置の初期設定を行う。その後ステップS2に進み、エンジンの停止指示がなされたか否かを検知する。具体的には、運転者により、車両のキースイッチ(図示しない)がOFFとされたか(運転中のON状態からOFF状態に変更されたか)否かを検知する。ここで、車両のキースイッチがOFFとされるまで待ち(No)、キースイッチがOFFとされた場合(Yes)には、ステップS3に進む。ステップS3では、第1タイマをスタートさせる。なお、ステップS4に破線で示すように、車両(エンジン)では、キースイッチがOFFとされたことにより、エンジン停止処理がなされる。
エンジンの停止に伴い、排気管EPへの燃料を燃焼させた排気ガスEGの供給が停止するので、エンジン駆動に伴う排気ガスEGにおける酸素濃度の変動がなくなる。この一方、ガスセンサ2では、測定室3S内の測定室内ガスEGSがストイキになるように制御が継続されているので、測定室3S内では、速やかに測定室内ガスEGSがストイキ状態となる。即ち、起電力セル電圧Vsが、測定室内ガスEGSがストイキ状態であることを示すストイキ時電圧Vss(具体的には、Vss=450mV)となる。そこで、ステップS5では、起電力セル電圧Vsが、Vs=Vssであるか否かを検知する。なお、前述したように、起電力セル電圧Vsは、マイクロプロセッサ50のVsポート56及びCOMポート55に入力された電位の差電圧である。ここで、Vs=Vssでない場合(No,即ち、Vs≠Vssの場合)には、ステップS6に進み、第1タイマが、5秒以上経過したか否かを検知する。5秒経過未満の場合には、ステップS5に戻る。即ち、ステップS5,6を繰り返して、Vs=Vssとなるのを待つ。但し、第1タイマが、5秒以上経過している場合には、何らかの理由で、Vs=Vssとならないと判断して、ステップS12に進む。一方、ステップS5において、Yes即ち、Vs=Vssとなった場合には、ステップS7に進む。このステップS5が、検知指示手段に相当する。
ステップS7では、前述したように、マイクロプロセッサ50のシリアル送信ポート53を通じて、センサ制御回路60の制御部67を操作し、スイッチSW1,SW2を切り換え、起電力セル20に、長さ5000μsecで定電流−Iconstの大きさの方形波状の第1電流パルスを印加する。
続くステップS8では、第1電流パルスの印加開始(開始時刻t0)から第2時刻t2=60μsec経過時点で第5オペアンプOP5から得られた劣化0−2差電圧ΔVs02Dを、A/D入力ポート52を通じてマイクロプロセッサ50で取得する。具体的には、図6に示すように、第1パルスの印加と共に、ステップS81で第2タイマをスタートさせ、ステップS82で第2タイマT2がT2≧60μsecとなるまで待ち、ステップS83で劣化0−2差電圧ΔVs02Dを取得する。なお、取得した劣化0−2差電圧ΔVs02Dに代えて、これを定電流Iconstで除して、劣化第2セルインピーダンスRpvsDの値を得ても良い。
得られた劣化0−2差電圧ΔVs02D(あるいは劣化第2セルインピーダンスRpvsD)は、セルインピーダンスの周波数特性上、起電力セル20(ガスセンサ2)のインピーダンス劣化の影響が(次述する劣化0−1差電圧ΔVs01Dに比して)少ない。
劣化0−2差電圧ΔVs02Dは、劣化開始時セル電圧Vs0Dと劣化第2セル電圧Vs2Dとの差電圧である(ΔVs02D=Vs2D−Vs0D)から、ステップS83は、間接に、劣化第2セル電圧Vs2Dを検知している。即ち、ステップS83は、第2検出手段に相当する。
続くステップS9では、第1電流パルスの印加開始(開始時刻t0)から第1時刻t1=5000μsec経過時点で第5オペアンプOP5から得られた劣化0−1差電圧ΔVs01Dを、A/D入力ポート52を通じてマイクロプロセッサ50で取得する。具体的には、図6に示すように、ステップS91で第2タイマT2がT2≧5000μsecとなるまで待ち、ステップS92で劣化0−1差電圧ΔVs01Dを取得する。なお、取得した劣化0−1差電圧ΔVs01Dを定電流Iconstで除し、劣化第1セルインピーダンスRivsDの値を得ても良い。
得られた劣化0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)は、セルインピーダンスの周波数特性上、起電力セル20(ガスセンサ2)のインピーダンス劣化による影響を多く含み、劣化0−2差電圧ΔVs02D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)よりも大きな値となっている。
劣化0−1差電圧ΔVs01Dは、劣化開始時セル電圧Vs0Dと劣化第1セル電圧Vs1Dとの差電圧である(ΔVs01D=Vs1D−Vs0D)から、ステップS92は、間接に、劣化第1セル電圧Vs1Dを検知している。即ち、ステップS92は、第1検出手段に相当する。
その後、ステップS10では、2−1差電圧DVs21Dを、DVs21D=ΔVs01D−ΔVs02Dの式により算出し、マイクロプロセッサ50内のメモリ(図示しない)に記憶する。2−1差電圧DVs21Dは、図4から容易に理解できるように、DVs21D=ΔVs01D−ΔVs02D=Vs1D−Vs2Dであり、劣化第1セル電圧Vs1Dと劣化第2セル電圧Vs2Dの差電圧にもなっている。なお、2−1差電圧DVs21Dの算出に代えて、2−1インピーダンス差ΔRvsを、ΔRvs=RivsD−RpvsD=(ΔVs01D−ΔVs02D)/Iconstの式で算出し、メモリに記憶しても良い。
続くステップS11では、印加している第1電流パルスの印加を停止する。さらに、ステップS12では、既にキースイッチがOFFとされている(ステップS2参照)ことから、ガスセンサ2及びガスセンサ制御装置1のOFFとする停止処理を行う。
このようにして本実施形態では、キースイッチをOFFとする毎に、マイクロプロセッサ50内のメモリに2−1差電圧DVs21D(2−1インピーダンス差ΔRvs)が記憶される。
なお、ガスセンサ2のPID制御を行うセンサ制御回路60が電流制御手段に相当する。また、ステップS92が第1検知手段に相当する。
次いで、例えば翌日など、その後に車両を起動(エンジンENGを始動)させた場合の処理について説明する。まず、劣化検知・劣化警告処理について、図7を参照して説明する。運転者がキースイッチをOFFからONに変更すると、即ち、エンジンENGの始動をさせると、マイクロプロセッサ50が起動し、ステップSS1では、マイクロプロセッサ50に記憶されていた2−1差電圧DVs21D(2−1インピーダンス差ΔRvs)を読み出す。
続くステップSS2では、2−1差電圧DVs21D(2−1インピーダンス差ΔRvs)が、第1しきい値TH1以上となった(DVs21D≧TH1)か否かを判定する(あるいは、ΔRvs≧TH1’か否かを判定する)。ここでNo、即ち、DVs21D<TH1(あるいはΔRvs<TH1’)の場合には、ガスセンサ2の劣化がさほど進行していないと考えられる。そこで、マイクロプロセッサ50からECU100への通知等は行わない。これにより、ステップSS5では、ECU100において、通常のエンジン駆動処理が行われ、劣化警告ランプの点灯も行わない。
一方、ステップSS2においてYes、即ち、DVs21D≧TH1(あるいはΔRvs≧TH1’)の場合には、ガスセンサ2の劣化が進行し、2−1差電圧DVs21Dが第1しきい値TH1以上となったと考えられる。そこで、ステップSS3に進み、マイクロプロセッサ50からECU100へガスセンサ2の劣化異常を通知する。これを受けて、破線で示すステップSS4において、ECU100は、劣化警告ランプを点灯させ、運転者に対し、ガスセンサ2の交換等を促す。
なお、上述のステップSS2が劣化判定手段に相当し、ステップSS3が劣化警告手段に相当する。
起電力セル20のセルインピーダンスRvsは、測定室内ガスEGSの酸素濃度の違いのほか、排気ガスEGの温度などの外乱要因によっても影響されるので、これを除外して、起電力セル20の劣化の有無や程度を判定するのが望ましい。
本実施形態の制御装置1では、同じ第1電流パルスにおける第2時刻t2に起電力セルに生じた劣化第2セル電圧Vs2Dと、第1時刻t1に生じた劣化第1セル電圧Vs1Dとを検知し、これらの差電圧である2−1差電圧DVs21Dに基づいて、ガスセンサの劣化を判定する。このため、排気ガスEGの温度など起電力セル20の外乱要因による影響をキャンセルして、劣化の判定を行うことができ、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
しかも、同じ第1電流パルスを印加した場合のうち、比較的時間経過の短い段階の第2時刻t2(=60μsec)における第2セル電圧Vs2Dと、比較的時間経過の長い第1時刻t1(=5000μsec)における第1セル電圧Vs1Dとの間の2−1差電圧DVs21Dを判定に用いるので、低周波領域におけるセルインピーダンスの劣化によるセル電圧の変化が反映されやすく、この点からも、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
さらに本実施形態では、取得した2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)を用いて、ガス検出信号Vipを補正する(図8参照)。前述したように、センサ制御回路60では、ポンプ電流Ipの大きさは、電圧信号に変換されたガス検出信号Vipとして差動増幅回路61で検出され、マイクロプロセッサ50は出力端子60bを通じて、ガス検出信号Vipを取得する(ステップST1)。
本実施形態では、このガス検出信号Vipの出力に先立ち、ガス検出信号Vipを、劣化第1セル電圧Vs1Dに基づく量である、2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)を用いて補正する(ステップST2)。具体的には、例えば、2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)と取得したガス検出信号Vipとから、補正済のガス検出信号Vipが得られるテーブルを予め作成しておき、これを用いて、補正済のガス検出信号Vipを取得する。
その後、マイクロプロセッサ50は、補正済のガス検出信号VipをECU100に向けて出力する(ステップST3)。ECU100では、補正済のガス検出信号Vipを用いて、エンジンENGの駆動制御等を行う。このように、本実施形態では、ガスセンサ2の劣化による影響を抑制した補正済のガス検出信号Vipを得て、これを出力することができる。
なお、上述のステップST2がポンプ電流補正手段に相当し、ステップST3が出力手段に相当する。
前述したように、マイクロプロセッサ50は、センサ制御回路60を用いて、100msec毎に第2パルス電流を起電力セル20に印加し、第2パルス電流の印加開始(開始時刻t0)から第2時刻t2と同じ第3時刻t3=60μsec経過後に、0−3差電圧ΔVs03(あるいはさらに第3セルインピーダンスRpvsD)を取得し、この0−3差電圧ΔVs03が目標差電圧ΔVstgとなるように(あるいは第3セルインピーダンスRpvsDが目標インピーダンスRtg)となるように、ヒータ制御回路70を用いて、ガスセンサ2のヒータ部4(ヒータ抵抗体41)への通電を制御することにより、ガスセンサ2の温度を所定の温度に制御している。しかし、ガスセンサの劣化により、起電力セル20(電解質層21)の第3セルインピーダンスRpvsDが大きくなると、あたかも素子温度が低いために第3セルインピーダンスRpvsDが大きくなったよう見える。このため、マイクロプロセッサ50は、ヒータ部4の温度が高くなるようにヒータ部4への通電を制御する。これにより、起電力セル20(ガスセンサ)の温度が、設定よりも高い値に維持されてしまう。またこれに伴い、ポンプセル10に流されるポンプ電流Ipが劣化前に比して増加し、ポンプ電流Ip(ガス検出信号Vip)が偏る。
本実施形態のガスセンサの制御装置1では、これを抑制すべく、ヒータ制御補正手段において、取得した第1セル電圧Vs1Dに基づいて得た量である、2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)で、ヒータ制御手段SV2の制御を補正する。具体的には図9に示すように、まず取得した2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)を用いて、ガスセンサ2の温度制御に用いる目標値である目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)を補正する(ステップSU1)。本実施形態では、取得した2−1差電圧DVs21Dの値毎に定めた補正値を目標差電圧ΔVstgに加えて、補正済の目標差電圧ΔVstgとする(または、取得した2−1インピーダンス差ΔRvsの値毎に予め定めた補正値を目標インピーダンスRtgに加えて、補正済の目標インピーダンスRtgとする)。
その後、この補正済の目標差電圧ΔVstg(または補正済の目標インピーダンスRtg)を用いて、通常通りのヒータ温度制御を行う。即ち、図10に示すように、まずマイクロプロセッサ50は、センサ制御回路60を用いて、0−3差電圧ΔVs03(または第3セルインピーダンスRpvs)を取得する(ステップSV1)。次いで、この0−3差電圧ΔVs03が補正済の目標差電圧ΔVstgとなるように(または第3セルインピーダンスRpvsが補正済の目標インピーダンスRtgとなるように)、ヒータ制御回路70を用いて、ガスセンサ2のヒータ部4(ヒータ抵抗体41)への通電を制御する(ステップSV2)。これにより、ガスセンサ2に劣化が生じた場合でも、起電力セル20(ガスセンサ2)が所定の温度となるようにヒータ制御を行うことができる。
本実施形態のガスセンサ制御装置1では、2−1差電圧DVs21Dで目標差電圧ΔVstgを補正した(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvsで目標インピーダンスRtgを補正した)。具体的には、目標差電圧ΔVstgに2−1差電圧DVs21Dに応じた補正値を加えた(あるいは、目標インピーダンスRtgに2−1インピーダンス差ΔRvsに応じた補正値を加えた)。このため、一旦補正をすれば、次に目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)の補正値を変更するまで、具体的には、キースイッチがOFFとされて新たに2−1差電圧DVs21D(あるいは2−1インピーダンス差ΔRvs)が算出され、その後、キースイッチをONとするまで、目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)の補正を行う必要が無く、処理が容易である。
なお、上述のステップSV1が第3検知手段に相当し、ステップSV2がヒータ制御手段に相当する。また、ステップSU1がヒータ制御補正手段に相当する。
(変形形態1)
次いで、変形形態1のガスセンサ2の制御装置1Aについて、図11〜図15のフローチャートを参照して説明する。
上述した実施形態の制御装置1では、ガスセンサ2の劣化を検知するに当たり、ステップS5により、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssであるタイミングに、起電力セル20に第1電流パルスを印加した。そして、劣化開始時セル電圧Vs0Dと劣化第2セル電圧Vs2Dとの差電圧である劣化0−2差電圧ΔVs02Dと、劣化開始時セル電圧Vs0Dと劣化第1セル電圧Vs1Dとの差電圧である劣化0−1差電圧ΔVs01Dとを得た。そして、これらの差である2−1差電圧DVs21D(あるいは、2−1インピーダンス差ΔRvs)を算出し、これを用いてガスセンサ2(起電力セル20)の劣化の有無を判断し、あるいは、ガス検出信号Vipやヒータ温度制御の補正を行った。
これに対し、本変形形態1のガスセンサ2の制御装置1Aでは、ガスセンサ2の劣化を検知するに当たり、ステップS5により、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssであるタイミングで、第1電流パルスを印加する点は同じであるが、第2時刻t2において劣化0−2差電圧ΔVs02Dを取得せず、第1時刻t1で取得した劣化0−1差電圧ΔVs01Dのみを用いて、ガスセンサ2(起電力セル20)の劣化の有無を判断し、あるいは、ガス検出信号Vipやヒータ温度制御の補正を行う点で異なり、他は同じである。
そこで、以下では、実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化する。
図11に示すΔVs01Dの検知・記憶処理は、図5に示す実施形態のDVs21D検知・記憶処理とほぼ同じであるが、ステップS8が無く、ステップS9a,10aが異なるので、これらについて説明する。
ステップS9aでは、第1電流パルスの印加開始(開始時刻t0)から第1時刻t1=5000μsec経過時点で第5オペアンプOP5から得られた劣化0−1差電圧ΔVs01Dを、A/D入力ポート52を通じてマイクロプロセッサ50で取得する。具体的には、図12に示すように、第1パルスの印加と共に、ステップS90aで第2タイマをスタートさせ、ステップS91で第2タイマT2がT2≧5000μsecとなるまで待ち、ステップS92で劣化0−1差電圧ΔVs01Dを取得する。なお、取得した劣化0−1差電圧ΔVs01Dを定電流Iconstで除し、劣化第1セルインピーダンスRivsDを得ても良い。
その後、ステップS10aでは、ステップS9aで取得した劣化0−1差電圧ΔVs01Dを、マイクロプロセッサ50内のメモリ(図示しない)に記憶する。なお、2−1差電圧DVs21Dの算出に代えて、劣化第1セルインピーダンスRivsDを、メモリに記憶しても良い。その後は、実施形態と同じく、第1電流パルスの印加を停止し、ガスセンサ2及びガスセンサ制御装置1のOFFとする停止処理を行う(ステップS11,12)。
また、図13に示す劣化検知・劣化警告処理も、図7に示す実施形態の劣化検知・劣化警告処理とほぼ同じであるが、ステップSS1a,SS2aが異なるので、これらについて説明する。
エンジンENGの始動をさせると、マイクロプロセッサ50が起動し、ステップSS1aでは、マイクロプロセッサ50に記憶されていた劣化0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)を読み出す。
続くステップSS2aでは、劣化0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)が、第2しきい値TH2以上となった(ΔVs01D≧TH2)か否かを判定する(あるいは、RivsD≧TH2’か否かを判定する)。ここでNoの場合には、マイクロプロセッサ50からECU100への通知等は行なわず、ステップSS5で、ECU100において通常のエンジン駆動処理が行われ、劣化警告ランプの点灯も行わない。
一方、ステップSS2aにおいてYes、即ち、ΔVs01D≧TH2(あるいは、RivsD≧TH2’)の場合には、ガスセンサ2の劣化が進行したと考えられるので、ステップSS3に進み、ECU100へガスセンサ2の劣化異常を通知する。これを受けて、破線で示すステップSS4において、ECU100は劣化警告ランプを点灯させ、運転者に対しガスセンサ2の交換等を促す。
なお、上述のステップSS2aも劣化判定手段に相当する。
実施形態でも説明したように、起電力セル20のセルインピーダンスRvsは、測定室内ガスEGSの酸素濃度の違いのほか、排気ガスEGの温度などの外乱要因によっても影響される。
本変形形態1の制御装置1Aでも、開始時刻t0に起電力セルに生じた劣化開始時セル電圧Vs0Dと、その後の第1時刻に生じた劣化第1セル電圧Vs1Dとの差電圧である0−1差電圧ΔVs01Dに基づいて、ガスセンサの劣化を判定する。このため、起電力セル20の外乱要因による影響をキャンセルして、劣化の判定を行うことができ、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
しかも、1つの第1電流パルスのうち、開始時刻t0における開始時セル電圧Vs0Dと、比較的時間経過の長い第1時刻t1(=5000μsec)における第1セル電圧Vs1Dとの間の0−1差電圧ΔVs01Dを判定に用いるので、低周波領域におけるセルインピーダンスの劣化によるセル電圧の変化が反映されやすく、この点からも、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
さらに本変形形態1でも、実施形態(図8参照)と同様に、ガス検出信号Vipを補正するが、ステップST2aにおいて、先に取得した0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)を用いて、ガス検出信号Vipを補正する点で異なる(図14参照)。即ち、ステップST2aでは、ガス検出信号Vipの出力に先立ち、ガス検出信号Vipを、劣化第1セル電圧Vs1Dに基づく量である、0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)を用いて補正する。具体的には、例えば、0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)と取得したガス検出信号Vipとから、補正済のガス検出信号Vipが得られるテーブルを予め作成しておき、これを用いて、補正済のガス検出信号Vipを取得する。なお、上述のステップST2aが、ポンプ電流補正手段に相当する。
加えて、本変形形態1のガスセンサの制御装置1Aでも、実施形態(図9,図10参照)と同じく、補正した目標差電圧ΔVstgを用いてヒータ制御を行う(図10参照)が、ステップSU1aにおいて、0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)で目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)の補正を行う(図15参照)点で異なる。即ち、本変形形態1では、ステップSU1aにおいて、0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)で補正された、補正済の目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)を得る。そして、この補正済の目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)を用いて、実施形態と同様に、ヒータ制御を行う(図10参照)。
(変形形態2)
次いで、変形形態1のガスセンサ2の制御装置1Bについて、図16〜図19のフローチャートを参照して説明する。
前述した実施形態及び変形形態1の制御装置1,1Aでは、ガスセンサ2の劣化を検知するに当たり、ステップS5により、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssであるタイミングで、起電力セル20に第1電流パルスを印加した。そして、実施形態では、劣化0−2差電圧ΔVs02Dと劣化0−1差電圧ΔVs01Dを得て、2−1差電圧DVs21D(あるいは、2−1インピーダンス差ΔRvs)を算出し、これを用いてガスセンサ2(起電力セル20)の劣化の有無を判断し、あるいは、ガス検出信号Vipやヒータ温度制御の補正を行った。また、変形形態1では、劣化0−1差電圧ΔVs01Dのみを得て、これを用いてガスセンサ2(起電力セル20)の劣化の有無を判断し、あるいは、ガス検出信号Vipやヒータ温度制御の補正を行った。
本変形形態2の制御装置1Bでも、ガスセンサ2の劣化を検知するに当たり、ステップS5により、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssであるタイミングで、起電力セル20に第1電流パルスを印加する点は、実施形態及び変形形態1と同じである。また、劣化0−1差電圧ΔVs01D(あるいは劣化第1セルインピーダンスRivsD)のみを得る点は、変形形態1と同じである。
但し、本変形形態2の制御装置1Bでは、予め得ておいた新品のガスセンサ2についての新品0−1差電圧ΔVs01N(あるいは新品第1セルインピーダンスRivsN)を記憶しておく。そして、各時点で取得する劣化0−1差電圧ΔVs01Dと記憶していた新品0−1差電圧ΔVs01Nとの差電圧である第1差電圧SVs1(あるいは、劣化第1セルインピーダンスRivsDと新品第1セルインピーダンスRivsNとの差電圧である第1インピーダンス差SRivs)を用いて、ガスセンサ2(起電力セル20)の劣化の有無を判断し、あるいは、ガス検出信号Vipやヒータ温度制御の補正を行う点で異なり、他は同じである。
そこで、以下では、実施形態あるいは変形形態1と異なる部分を中心に説明し、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化する。
図16に示すSVs1の検知・記憶処理は、図5に示す実施形態のDVs21D検知・記憶処理、及び図11に示す変形形態1のΔVs01Dの検知・記憶処理とほぼ同じであるが、ステップS10bが異なるので、これについて説明する。
変形形態1と同じく(図11,図12参照)、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssである条件(ステップS5でYes)下で、ステップS9a(ステップS92)で、第5オペアンプOP5から得られた劣化0−1差電圧ΔVs01D(あるいは、劣化第1セルインピーダンスRivsD)を取得する。
その後、ステップS10bでは、劣化0−1差電圧ΔVs01Dと、予め記憶していた新品のガスセンサ2についての新品0−1差電圧ΔVs01Nとの差電圧である第1差電圧SVs1を算出し(SVs1=ΔVs01D−ΔVs01N)、マイクロプロセッサ50内のメモリ(図示しない)に記憶する。なお、第1差電圧SVs1の算出に代えて、劣化第1セルインピーダンスRivsDと、予め記憶していた新品第1セルインピーダンスRivsNとの差電圧である第1インピーダンス差SRivsを算出し(SRivs=RivsD−RivsN)、メモリに記憶しても良い。その後は、実施形態及び変形形態1と同じく、第1電流パルスの印加を停止し、ガスセンサ2及びガスセンサ制御装置1のOFFとする停止処理を行う(ステップS11,12)。
また、図17に示す劣化検知・劣化警告処理も、図7,図13に示す実施形態及び変形形態1の劣化検知・劣化警告処理とほぼ同じであるが、ステップSS1b,SS2bが異なるので、これらについて説明する。
エンジンENGの始動をさせると、マイクロプロセッサ50が起動し、ステップSS1bでは、マイクロプロセッサ50に記憶されていた第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)を読み出す。
続くステップSS2bでは、第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)が、第3しきい値TH3以上となった(SVs1≧TH3)か否かを判定する(あるいは、SRivs≧TH3’か否かを判定する)。ここでNoの場合には、ステップSS5で、ECU100において通常のエンジン駆動処理が行われ、劣化警告ランプの点灯も行わない。一方、ステップSS2bにおいてYes、即ち、SVs1≧TH3(あるいは、Rivs≧TH3’)の場合には、ステップSS3に進み、ECU100へガスセンサ2の劣化異常を通知する。
なお、上述のステップSS2bも劣化判定手段に相当する。
実施形態及び変形形態1でも説明したように、起電力セル20のセルインピーダンスRvsは、測定室内ガスEGSの酸素濃度の違いのほか、排気ガスEGの温度などの外乱要因によっても影響される。
本変形形態2の制御装置1Bでも、劣化開始時セル電圧Vs0Dと劣化第1セル電圧Vs1Dとの差電圧である0−1差電圧ΔVs01Dに基づいて、ガスセンサの劣化を判定するので、外乱要因による影響をキャンセルして、劣化の判定を行うことができ、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
しかも、1つの第1電流パルスのうち、開始時刻t0における開始時セル電圧Vs0Dと、比較的時間経過の長い第1時刻t1(=5000μsec)における第1セル電圧Vs1Dとの間の0−1差電圧ΔVs01Dに基づく第1差電圧SVs1を判定に用いるので、低周波領域におけるセルインピーダンスの劣化によるセル電圧の変化が反映されやすく、この点からも、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
さらに、劣化0−1差電圧ΔVs01Dから新品0−1差電圧ΔVs01Nを差し引いて、第1差電圧SVs1を得るので、個々のガスセンサ2における新品0−1差電圧ΔVs01N(従って、新品第1セル電圧Vs1N)のばらつきをキャンセルでき、劣化によって生じた起電力セル20のセルインピーダンスの増加分が明確になり、より適切に劣化の有無や程度を判定することができる。
さらに本変形形態2でも、実施形態(図8参照)及び変形形態1(図14参照)と同様に、ガス検出信号Vipを補正するが、ステップST2bにおいて、先に取得した第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)を用いて、ガス検出信号Vipを補正する点で異なる(図18参照)。即ち、ステップST2bでは、ガス検出信号Vipの出力に先立ち、ガス検出信号Vipを、劣化第1セル電圧Vs1Dに基づく量である、第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)を用いて補正する。具体的には、例えば、第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)と取得したガス検出信号Vipとから、補正済のガス検出信号Vipが得られるテーブルを予め作成しておき、これを用いて、補正済のガス検出信号Vipを取得する。なお、上述のステップST2bも、ポンプ電流補正手段に相当する。
加えて、本変形形態2のガスセンサの制御装置1Bでも、実施形態(図9,図10参照)及び変形形態1(図15,図10参照)と同じく、補正した目標差電圧ΔVstgを用いてヒータ制御を行う(図10参照)が、ステップSU1bにおいて、第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)で目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)の補正を行う(図19参照)点で異なる。即ち、本変形形態2では、ステップSU1bにおいて、第1差電圧SVs1(あるいは第1インピーダンス差SRivs)で補正された、補正済の目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)を得る。そして、この補正済の目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)を用いて、実施形態と同様に、ヒータ制御を行う(図10参照)。
以上において、本発明のガスセンサ制御装置を、実施形態及び変形形態1,2に即して説明したが、本発明は上述の実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態等では、ガスセンサ2として、排気ガスEG中の酸素濃度(空燃比)を検出する空燃比センサに本発明を適用した例を示したが、「ガスセンサ」は、空燃比センサに限られず、窒素酸化物(NOx)の濃度を検出するNOxセンサなどであっても良い。
また、ガスセンサは排気管に装着されるものに限定されず、EGR装置を備えるエンジンの吸気管に装着されて、吸気ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサに本発明を適用しても良い。
また、実施形態等では、ヒータ部4の温度制御に当たり、目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)を補正した(ステップSU1参照)が、これに代えて、目標差電圧ΔVstg(あるいは目標インピーダンスRtg)は変えず、例えば100msec毎に、第3セルインピーダンスRpvsを取得するたびに、これを、2−1差電圧DVs21D、劣化0−1差電圧ΔVs01D、第1差電圧SVs1などで補正し、補正済の第3セルインピーダンスRpvsを用いてヒータ部4の温度制御を行っても良い。さらに、実施形態等では、ガスセンサ2の劣化の有無を判断し、劣化を検知した場合には、ガス検出信号Vipの補正、及びヒータ温度制御の補正の双方を行うようにした例を示した。しかし、ガスセンサ2の劣化を検知した場合に、ガス検出信号Vipの補正及びヒータ温度制御の補正のうち、一方のみ行うようにしても良い。
また、実施形態では、2−1差電圧DVs21D、劣化0−1差電圧ΔVs01D、第1差電圧SVs1などを検知し記憶するタイミングを、車両の運行を終えて、運転者がキースイッチをOFFにした後で、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssであるタイミングとした(図5,図11,図16、ステップS2〜S5参照)。しかし、2−1差電圧DVs21D等を検知するタイミングとしては、起電力セル電圧Vsがストイキ時電圧Vssであるタイミングの中で、適宜設定すれば良い。
また、実施形態等では、ガスセンサ制御装置1等をECU100とは別体とする態様を示した(図1参照)が、本発明の「ガスセンサ制御装置」はこれに限られない。例えば、実施形態のガスセンサ制御装置1における機能部品(具体的には、センサ制御回路60、ヒータ制御回路70、マイクロプロセッサ50)をECU100内に設置し、このECU100にガスセンサ2を接続する態様、即ち、ECU100を「ガスセンサ制御装置」として兼用させる態様としても良い。
1 ,1A,1B ガスセンサ制御装置(ガスセンサの制御装置)
2 ガスセンサ
3 センサ部
3S 測定室
4 ヒータ部(ヒータ)
10 ポンプセル
11 電解質層(第2固体電解質体)
12 外側電極(ポンプ電極)
13 第2測定室電極
20 起電力セル
21 電解質層(第1固体電解質体)
22 第1測定室電極
23 基準電極
24 基準酸素室
Ip ポンプ電流
Vs 起電力セル電圧
Vss (測定室内ガスがストイキ状態であるときの起電力セル電圧である)ストイキ時電圧
Vs1N (第1時刻t1における、新品の起電力セル電圧である)新品第1セル電圧
Vs2N (第2時刻t2における、新品の起電力セル電圧である)新品第2セル電圧
Vs0N (開始時刻t0における、新品の起電力セル電圧である)新品開始時セル電圧
Vs1D (第1時刻t1における、劣化品の起電力セル電圧である)劣化第1セル電圧(第1セル電圧)
Vs2D (第2時刻t2における、劣化品の起電力セル電圧である)劣化第2セル電圧
Vs0D (開始時刻t0における、劣化品の起電力セル電圧である)劣化開始時セル電圧
Vs0 (開始時刻t0における、起電力セル電圧である)開始時セル電圧
Vs3 (第3時刻t3における起電力セル電圧である)第3セル電圧
ΔVs 差電圧
ΔVstg 目標差電圧(ヒータ制御手段の目標値)
ΔVs01N (第1セル電圧Vs1Nと開始時セル電圧Vs0Nとの)新品0−1差電圧
ΔVs02N (第2セル電圧Vs2Nと開始時セル電圧Vs0Nとの)新品0−2差電圧
ΔVs01D (第1セル電圧Vs1Dと開始時セル電圧Vs0Dとの)劣化0−1差電圧
ΔVs02D (第2セル電圧Vs2Dと開始時セル電圧Vs0Dとの)劣化0−2差電圧
ΔVs03 (第3セル電圧Vs3Dと開始時セル電圧Vs0Dとの)0−3差電圧
DVs21D (第1セル電圧Vs1Dと第2セル電圧Vs2Dとの)2−1差電圧
SVs1 (第1セル電圧Vs1Dと新品第1セル電圧Vs1Nとの)第1差電圧
SVs2 (第2セル電圧Vs2Dと新品第2セル電圧Vs2Nとの)第2差電圧
Rvs セルインピーダンス
Rivs,RivsN,RivsD (起電力セルの第1時刻t1における)第1セルインピーダンス
RivsN 新品第1セルインピーダンス
RivsD 劣化第1セルインピーダンス
Rpvs,RpvsN,RpvsD (起電力セルの第2時刻t2における,第3時刻t3における)第2セルインピーダンス,第3セルインピーダンス
RpvsN 新品第2セルインピーダンス
RpvsD 劣化第2セルインピーダンス
ΔRvs (起電力セルの第2時刻t2におけるセルインピーダンスRpvsDと、第1時刻t1におけるセルインピーダンスRivsDとの)2−1インピーダンス差
SRivs (起電力セルの第1時刻t1における、新品セルインピーダンスRivsNと劣化セルインピーダンスRivsDとの)第1インピーダンス差
DVs21D,ΔVs01D,SVs1,ΔRvs,RivsD,SRivs 第1セル電圧に基づく量
Vip ガス検出信号(酸素濃度信号、ポンプ電流に対応した量)
50 マイクロプロセッサ
60 センサ制御回路(電流制御手段、第1検知手段、第2検知手段)
70 ヒータ制御回路
81,82,83 接続配線
t0 開始時刻
t1 第1時刻
t2 第2時刻
t3 第3時刻
ENG エンジン
EP 排気管
EG 排気ガス(被測定ガス)
EGS 測定室内ガス
RG 基準ガス
100 ECU
Vrf 目標電圧
TH1 第1しきい値
TH2 第2しきい値
TH3 第3しきい値)
Rtg 目標インピーダンス(ヒータ制御手段の目標値)
S92 第1検知手段
S8 第2検知手段
S7 初期検知手段
S5 検知指示手段
SS2,SS2a,SS2b 劣化判定手段
SS3,SS4 劣化警告手段
ST2,ST2a,ST2b ポンプ電流補正手段
ST3 出力手段
SV1 第3検知手段
SV2 ヒータ制御手段
SU1,SU1a,SU1b ヒータ制御補正手段

Claims (7)

  1. 第1固体電解質体、
    この第1固体電解質体上にそれぞれ形成され基準酸素分圧の基準ガスに曝される基準電極、及び
    被測定ガスが流入する測定室内の測定室内ガスに曝される第1測定室電極を有し、
    上記基準酸素分圧と上記測定室内ガスの酸素分圧との差に応じた起電力を発生する起電力セル、及び、
    第2固体電解質体、
    この第2固体電解質体上にそれぞれ形成され上記測定室内ガスに曝される第2測定室電極、及び
    上記被測定ガスまたは外気に曝されるポンプ電極を有し、
    上記測定室内の酸素を、上記被測定ガスまたは上記外気に汲み出しまたは汲み入れるポンプセル、を備える
    ガスセンサの制御装置であって、
    上記基準電極と上記第1測定室電極との間に生じる起電力セル電圧が、上記測定室内ガスがストイキオメトリーであるときに上記起電力セルに生じるストイキ時電圧になるように、上記ポンプセルを流れるポンプ電流を制御する電流制御手段と、
    一定の第1電流を流す第1電流パルスを上記起電力セルに加え、上記第1電流パルスの印加中で、かつ、上記第1電流パルスの印加開始から0.2msec以上経過した第1時刻に、上記起電力セルに生じる第1セル電圧を検知する第1検知手段と、
    上記起電力セル電圧が上記ストイキ時電圧であるときに、上記第1検知手段による上記第1セル電圧の検知を指示する検知指示手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置であって、
    前記第1電流パルスの印加開始から経過時間が0.2msec経過前の第2時刻に上記起電力セルに生じた第2セル電圧を検知する第2検知手段と、
    前記第1セル電圧と上記第2セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置。
  2. 第1固体電解質体、
    この第1固体電解質体上にそれぞれ形成され基準酸素分圧の基準ガスに曝される基準電極、及び
    被測定ガスが流入する測定室内の測定室内ガスに曝される第1測定室電極を有し、
    上記基準酸素分圧と上記測定室内ガスの酸素分圧との差に応じた起電力を発生する起電力セル、及び、
    第2固体電解質体、
    この第2固体電解質体上にそれぞれ形成され上記測定室内ガスに曝される第2測定室電極、及び
    上記被測定ガスまたは外気に曝されるポンプ電極を有し、
    上記測定室内の酸素を、上記被測定ガスまたは上記外気に汲み出しまたは汲み入れるポンプセル、を備える
    ガスセンサの制御装置であって、
    上記基準電極と上記第1測定室電極との間に生じる起電力セル電圧が、上記測定室内ガスがストイキオメトリーであるときに上記起電力セルに生じるストイキ時電圧になるように、上記ポンプセルを流れるポンプ電流を制御する電流制御手段と、
    一定の第1電流を流す第1電流パルスを上記起電力セルに加え、上記第1電流パルスの印加中で、かつ、上記第1電流パルスの印加開始から0.2msec以上経過した第1時刻に、上記起電力セルに生じる第1セル電圧を検知する第1検知手段と、
    上記起電力セル電圧が上記ストイキ時電圧であるときに、上記第1検知手段による上記第1セル電圧の検知を指示する検知指示手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置であって、
    前記第1電流パルス印加直前の開始時刻に上記起電力セルに生じた開始時セル電圧を検知する初期検知手段と、
    前記第1セル電圧と上記開始時セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置。
  3. 第1固体電解質体、
    この第1固体電解質体上にそれぞれ形成され基準酸素分圧の基準ガスに曝される基準電極、及び
    被測定ガスが流入する測定室内の測定室内ガスに曝される第1測定室電極を有し、
    上記基準酸素分圧と上記測定室内ガスの酸素分圧との差に応じた起電力を発生する起電力セル、及び、
    第2固体電解質体、
    この第2固体電解質体上にそれぞれ形成され上記測定室内ガスに曝される第2測定室電極、及び
    上記被測定ガスまたは外気に曝されるポンプ電極を有し、
    上記測定室内の酸素を、上記被測定ガスまたは上記外気に汲み出しまたは汲み入れるポンプセル、を備える
    ガスセンサの制御装置であって、
    上記基準電極と上記第1測定室電極との間に生じる起電力セル電圧が、上記測定室内ガスがストイキオメトリーであるときに上記起電力セルに生じるストイキ時電圧になるように、上記ポンプセルを流れるポンプ電流を制御する電流制御手段と、
    一定の第1電流を流す第1電流パルスを上記起電力セルに加え、上記第1電流パルスの印加中で、かつ、上記第1電流パルスの印加開始から0.2msec以上経過した第1時刻に、上記起電力セルに生じる第1セル電圧を検知する第1検知手段と、
    上記起電力セル電圧が上記ストイキ時電圧であるときに、上記第1検知手段による上記第1セル電圧の検知を指示する検知指示手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置であって、
    前記第1セル電圧と予め記憶していた上記ガスセンサが新品時の新品第1セル電圧との差電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガスセンサの制御装置であって、
    前記劣化判定手段で前記ガスセンサの劣化と判定されたときに、上記ガスセンサの劣化を警告する劣化警告手段、を備える
    ガスセンサの制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のガスセンサの制御装置であって、
    前記ポンプ電流に対応した量を、前記第1セル電圧に基づく量で補正するポンプ電流補正手段と、
    上記補正済のポンプ電流に対応した量を、外部に向けて出力する出力手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のガスセンサの制御装置であって、
    前記ガスセンサは、前記起電力セル及び前記ポンプセルを加熱するヒータを有し、
    前記第1電流パルスよりも短く一定の第2電流を流す第2電流パルスを上記起電力セルに印加し、上記第2電流パルス印加中で、かつ、上記第2電流パルスの印加開始から0.2msec経過前の第3時刻に、前記起電力セルに生じる第3セル電圧を検知する第3検知手段と、
    上記第3セル電圧を用いて、上記ヒータの通電を制御するヒータ制御手段と、
    前記第1検知手段で検知した前記第1セル電圧に基づく量で、上記ヒータ制御手段における制御を補正するヒータ制御補正手段と、を備える
    ガスセンサの制御装置。
  7. 請求項6に記載のガスセンサの制御装置であって、
    前記ヒータ制御補正手段は、
    前記第1セル電圧に基づく量で、前記ヒータ制御手段における目標値を補正する
    ガスセンサの制御装置。
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