JP6700762B2 - 新規化合物及び高分子分散剤及びトナー - Google Patents
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Description
[1]下記式(1)で表される化合物。
[4]前記[2]に記載の化合物である化合物Aに由来するユニットA1と、芳香族ビニルモノマーである化合物Bに由来するユニットB1、及びアクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーである化合物Cに由来するユニットC1の少なくともいずれかと、を有する高分子分散剤(以下、「第1の高分子分散剤」とも記す)。
[5]前記化合物Aの分子量を基準とする前記ユニットA1の含有量をa1モル部、前記化合物Bの分子量を基準とする前記ユニットB1の含有量をb1モル部、及び前記化合物Cの分子量を基準とする前記ユニットC1の含有量をc1モル部とした場合に、下記式(E1)の関係を満たす前記[4]に記載の高分子分散剤。
0.01≦a1/(b1+c1)≦2.00 (E1)
[6]前記[3]に記載の化合物である化合物Aと、アクリル酸またはメタクリル酸に由来するユニットを含む中間体ポリマーとの反応物である、前記化合物Aに由来するユニットA2を有する高分子分散剤(以下、「第2の高分子分散剤」とも記す)。
[7]前記中間体ポリマーが、さらに、芳香族ビニルモノマーである化合物Bに由来するユニットB2を含む前記[6]に記載の高分子分散剤。
[8]前記中間体ポリマーが、さらに、アクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーである化合物Cに由来するユニットC2を有する[7]に記載の高分子分散剤。
[9]前記化合物Cにおける前記アクリル酸モノマーまたはメタクリル酸モノマーが、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである[8]に記載の高分子分散剤。
[10]前記化合物Aの分子量を基準とする前記ユニットA2の含有量をa2モル部、前記化合物Bの分子量を基準とする前記ユニットB2の含有量をb2モル部、及び前記化合物Cの分子量を基準とする前記ユニットC2の含有量をc2モル部とした場合に、下記式(E2)の関係を満たす前記[8]に記載の高分子分散剤。
0.01≦a2/(b2+c2)≦2.00 (E2)
[11]結着樹脂、色材、高分子分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記高分子分散剤が、[4]から[10]のいずれか1項に記載の高分子分散剤であることを特徴とするトナー。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の高分子分散剤(第1の高分子分散剤)は、下記式(1)で表される化合物である化合物Aに由来するユニットA1と、芳香族ビニルモノマーである化合物Bに由来するユニットB1及びアクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーである化合物Cに由来するユニットC1の少なくともいずれかと、を有するポリマー(高分子化合物)である。
化合物Aを原料として用いて高分子分散剤を合成すると、得られる高分子分散剤の構造中に色材に対する高い吸着性能を示す吸着部位が形成される。以下、その理由について説明する。式(1)に示すように、化合物Aは、色材を構成する構造の1種であるベンズイミダゾリノン骨格をその分子構造中に含む。このため、化合物Aを用いて合成される本発明の高分子分散剤は、色材に対して高い親和性を示す。また、化合物Aは、その分子構造の中央部分にシクロヘキサンジオンが導入されているために対称性が高い。さらに、化合物Aは、その分子構造中にジケトンやアミドに由来するC=O結合及びN−H結合を複数有する。このため、化合物Aを用いて合成される本発明の高分子分散剤は、色材が持つ親水基と強く水素結合することが可能である。したがって、本発明の高分子分散剤は色材に対して高い吸着性を示す。
一般式(1)中のR1及びR2は、一方が重合性官能基、−NH2、又は−OHであり、他方が−Hである。R1及びR2の一方が重合性官能基である場合、化合物Aは他のモノマーと共重合することができる。重合性官能基は、反応性の高い官能基であることが好ましく、さらには化合物Aの溶解性に影響しない官能基であることが好ましい。重合性官能基は、下記式(I−a)、(I−b)、(II−a)、又は(II−b)で表されることが好ましい。
本発明の化合物(化合物A)は、従来公知の合成方法によって合成することが可能である。例えば、以下に示すスキーム(1)、(2)及び(3)にしたがって合成することができる。なお、合成方法における条件、例えば、反応温度、反応時間、使用する溶媒や触媒等の種類、及び合成後の精製方法などは、目的物に合わせて適宜選択すればよい。合成した化合物Aの分子構造は、NMR(核磁気共鳴装置)、IR(赤外分光光度計)、及びMS(質量分析装置)等を用いて同定することができる。
ユニットB1及びB2を構成する化合物Bは、色材を分散させる媒体に対して親和性を有する芳香族ビニルモノマーであればよい。化合物Bの具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどを挙げることができる。これらの化合物Bは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。化合物Bは、使用する媒体によって適宜選択すればよい。
ユニットC1及びC2を構成する化合物Cは、色材を分散させる媒体に対して親和性を有するアクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーであればよい。化合物Cの具体例としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、およびメタクリル酸、メタクリル酸エステル、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジルなどを挙げることができる。これらの化合物Cは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。化合物Cは、使用する媒体によって適宜選択すればよい。
本発明の第1の高分子分散剤は、前述の化合物A(5)〜A(9)のような重合性官能基を有する化合物Aと、化合物B及び化合物Cの少なくともいずれかとを、公知の重合方法により共重合させることによって合成することができる。この重合方法としては、ラジカル重合法、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、及びカチオン重合などが挙げられる。なお、合成方法における条件、例えば、反応温度、反応時間、使用する溶媒や触媒等の種類、及び合成後の精製方法などは、目的物に合わせて適宜選択すればよい。第1の高分子分散剤は、化合物Aに由来するユニットA1と、化合物Bに由来するユニットB1及び化合物Cに由来するユニットC1の少なくともいずれかとが、ランダム状態で存在するものであっても、ブロック状態で存在するものであってもよい。得られた第1の高分子分散剤の構造等については、NMRやIRによる官能基の定性・定量、及び各種クロマトグラフィーによる解析などで同定することができる。
本発明の第1の高分子分散剤は、化合物Aの分子量を基準とするユニットA1の含有量をa1モル部、化合物Bの分子量を基準とするユニットB1の含有量をb1モル部、及び化合物Cの分子量を基準とするユニットC1の含有量をc1モル部とした場合に、下記式(E1)の関係を満たすことが好ましい。
0.01≦a1/(b1+c1)≦2.00 (E1)
本発明の第2の高分子分散剤は、前述の化合物A(1)〜A(4)のような、−NH2や−OH等の活性水素を含む官能基を置換基として有する化合物Aを、アクリル酸またはメタクリル酸に由来するユニットを含む中間体ポリマーに反応させることによって合成することができる。例えば、予め重合して得られたユニットB2及びアクリル酸またはメタクリル酸に由来するユニットを有する中間体ポリマーのうち、アクリル酸またはメタクリル酸に由来するユニットの少なくとも一部に化合物Aを反応させれば、ポリマー鎖中に化合物Aに由来するユニットA2を導入することができる。上記中間体ポリマーは、さらに、アクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーである化合物Cに由来するユニットC2を有していてもよい。この化合物Cにおけるアクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであることが好ましい。
本発明の第2の高分子分散剤は、化合物Aの分子量を基準とするユニットA2の含有量をa2モル部、化合物Bの分子量を基準とするユニットB2の含有量をb2モル部、及び化合物Cの分子量を基準とするユニットC2の含有量をc2モル部とした場合に、下記式(E2)の関係を満たすことが好ましい。
0.01≦a2/(b2+c2)≦2.00 (E2)
本発明の高分子分散剤を用いれば、媒体と、この媒体中に高分子分散剤によって分散された色材とを含有する色材分散体を製造することができる。本発明の高分子分散剤を適用しうる好適な色材としては、従来公知の不溶性色材などがある。色材の具体例としては、ブラック/イエロー/マゼンタ/シアン系の顔料や油溶性染料を挙げることができる。
BlackPearlsL、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1300、Monarch1400(以上、キャボット社製);
ColorBlackFW1、ColorBlackFW2、ColorBlackFW200、ColorBlack18、ColorBlackS160、ColorBlackS170、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack6、SpecialBlack550、Printex35、Printex45、Printex55、Printex85、Printex95、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上、デグッサ社製);
No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製)等の顔料、C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45等を挙げることができる。
本発明の分散剤を用いれば、媒体と、この媒体中に分散剤によって分散された色材とを含有する色材分散体を製造することができる。色材を分散させる媒体の種類は特に限定されず、インクや塗料、トナーに従来使用されている非水溶性有機溶媒、水や水溶性有機溶媒、重合性単量体、及び樹脂等を、単独又は混合して用いることができる。
前記媒体として使用可能な非水溶性有機溶媒の具体例としては、トルエン、メチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン等を挙げることができる。
本発明の高分子分散剤を使用して得られる色材分散体には、上記した成分の他に、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種の添加剤を添加してもよい。
上記のような色材を媒体中に分散させる際に用いる高分子分散剤の量は、色材100質量部に対して、0.05質量部〜200質量部であることが好ましく、0.1質量部〜100質量部であることがさらに好ましい。
本発明のトナーについて説明する。本発明のトナーは結着樹脂、色材と前記高分子分散剤とを含有するトナー粒子を有するトナーである。
本発明のトナーに用いることができる色材は、前記本発明の高分子分散剤に適用可能な色材と同様のものが使用可能である。
また本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、ビニル系樹脂、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、それらの部分構造が結合した複合樹脂など公知の樹脂を用いることができる。
ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、及びp−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、及び2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体類;が挙げられる。
これらは単独あるいは二種以上組み合わせて使用することができる。
さらに本発明で用いることができる結着樹脂としては、前記ポリマーの部分構造が共存した複合ポリマーを挙げることができる。具体的には、ポリエステル主鎖にビニル系ポリマー構造がグラフト化する場合、あるいはポリエステル構造とビニル系ポリマー構造がブロックで結合した構造を有する複合ポリマーを挙げることができる。
色材分散体は、例えば、本発明の高分子分散剤と色材を媒体中で混練することによって製造することができる。なお、以下に示す方法によって色材分散体を製造すると、色材への高分子分散剤の吸着性がより向上し、安定性の高いものとなるために好ましい。
色材分散体を製造する際に用いる分散機の種類は特に限定されず、一般に使用されている分散機を使用することができる。分散機の具体例としては、ボールミル、ビーズミル、超音波分散機、ペイントシェーカー、サンドミル、ホモジナイザー、振動ボールミル、ロールミル、ホモミキサー、商品名「マイクロフルイダイザー」(マイクロフルイデックス社製)、商品名「ナノマイザー」(ナノマイザー社製)等を挙げることができる。
次に本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナー粒子は、例えば以下の公知の方法により製造可能である。結着樹脂を得るための重合性単量体、色材、高分子分散剤、及び必要に応じて離型剤等を含む重合性単量体組成物を水系媒体中に懸濁させて、重合性単量体を重合する懸濁重合法。結着樹脂、色材、高分子分散剤などを含有する各種トナー構成材料を混練、粉砕、分級する混練粉砕法。結着樹脂を乳化して分散した分散液と、色材及び高分子分散剤の分散液並びに必要に応じて離型剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法。結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、色材及び高分子分散剤の分散液並びに必要に応じて離型剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法。結着樹脂、色材、高分子分散剤及び必要に応じて離型剤等の溶液を水系媒体中に懸濁させて造粒する溶解懸濁法。
本発明において、トナーの画質向上のために、外添剤がトナー粒子に外部添加されていることが好ましい。外添剤としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、または酸化アルミニウム微粉体のような無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。さらに、本発明のトナーは必要に応じて、前記以外の外添剤をトナー粒子に混合してもよい。
無機微粉体の総添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して、1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
以下に示す手順にしたがって、表1に示す構造を有する化合物A(1)〜A(9)を合成した。合成した中間体及び目的物の分子構造は、NMR(核磁気共鳴装置、商品名「ECA400」、日本電子社製)を用いて確認した。
[中間体(1)の合成]
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、及び温度計を取り付けた3つ口フラスコ内で、1,4−シクロヘキサンジオン−2,5−ジカルボン酸ジメチル2.28部(0.010モル)及び5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン1.49部(0.010モル)をN,N−ジメチルホルムアミド20.0部(0.274モル)に溶解させた。その後、加熱したオイルバスに3つ口フラスコを設置し、内温を100℃として反応を開始した。8時間反応させた後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水50部(2.78モル)を投入した。析出物をろ過して、下記式で表される中間体(1)を得た(収率85%)。
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、及び温度計を取り付けた3つ口フラスコ内に、中間体(1)1.73部(5.01ミリモル)、1,3−フェニレンジアミン1.62部(15.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド20.0部(0.274モル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに3つ口フラスコを設置し、内温を100℃として反応を開始した。8時間反応させた後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水50.0部(2.78モル)を投入した。析出物をろ過して化合物A(1)を得た(収率82%)。
1,3−フェニレンジアミンを1,4−フェニレンジアミンに変更したこと以外は、前述の「化合物A(1)の合成」と同様の方法で化合物A(2)を合成した。
1,3−フェニレンジアミンをm−アミノフェノールに変更したこと以外は、前述の「化合物A(1)の合成」と同様の方法で化合物A(3)を合成した。
1,3−フェニレンジアミンをp−アミノフェノールに変更したこと以外は、前述の「化合物A(1)の合成」と同様の方法で化合物A(4)を合成した。
撹拌子を入れたナス型フラスコ内に、化合物A(1)2.11部(5.01ミリモル)、ピリジン1.19部(15.0ミリモル)、及びN,N−ジメチルホルムアミド20.0部(0.274モル)を入れた後、ガラス製三方コックで密栓した。撹拌して内容物が溶解状態となったことを確認した後、氷水冷却した。冷却した溶液を引き続き撹拌しながら密栓を解除し、メタクリロイルクロリド0.784部(7.50ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、速やかに密栓して引き続き撹拌し、氷冷下で30分反応させた後、室温で2時間反応させた。反応後、水1.00部(55.6ミリモル)を添加して過剰なメタクリル酸クロリドをメタクリル酸とした後、反応液を減圧留去した。残渣に水50.0部(2.78モル)を投入し、析出物をろ過して化合物A(5)を得た(収率78%)。
化合物A(1)を化合物A(3)に変更したこと以外は、前述の「化合物A(5)の合成」と同様の方法で化合物A(6)を合成した。
化合物A(1)を化合物A(3)変更したこと、及びメタクリロイルクロリドをアクリロイルクロリドに変更したこと以外は、前述の「化合物A(5)の合成」と同様の方法で化合物A(7)を合成した。
メタクリロイルクロリドをアクリロイルクロリドに変更したこと以外は、前述の「化合物A(5)の合成」と同様の方法で化合物A(8)を合成した。
化合物A(1)を化合物A(2)に変更したこと以外は、前述の「化合物A(5)の合成」と同様の方法で化合物A(9)を合成した。
(実施例1:高分子分散剤P1)
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、窒素導入管、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素置換した後、スチレン15.6部(0.150モル)、化合物A(5)7.34部(15.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド50部(0.560モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル0.270部(1.64ミリモル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに4つ口フラスコを設置し、内温を80℃として撹拌した。GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィ、商品名「HLC8220」、東ソー社製)で分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止して高分子分散剤P1を得た。
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、窒素導入管、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素置換した後、化合物A(5)7.34部(15.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド50部(0.684モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル0.270部(1.64ミリモル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに4つ口フラスコを設置し、内温を80℃として撹拌した。NMR及びGPCによりモニタリングしながら重合を進め、化合物A(5)が70%消費されたことを確認した後、スチレン15.6部(0.150モル)を投入し、さらに内温80℃で撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止して高分子分散剤P2を得た。
表2に示す種類(名称)の化合物A、化合物B、及び化合物Cを、それぞれの量を適宜変更して使用したこと以外は、前述の「実施例1:高分子分散剤P1」と同様の方法で高分子分散剤P3〜P20及びP36〜P46を合成した。合成した各高分子分散剤のユニットA1の含有量a1(モル部)、ユニットB1の含有量b1(モル部)、ユニットC1の含有量c1(モル部)、ポリマータイプ、及び重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
[Step1]
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、窒素導入管、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素置換した後、スチレン15.6部(0.150モル)、メタクリル酸1.29部(15.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド50部(0.560モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル0.270部(1.64ミリモル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに4つ口フラスコを設置し、内温を80℃として撹拌した。GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィ、商品名「HLC8220」、東ソー社製)で分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止して中間体ポリマー(1)を得た。得られた中間体ポリマー(1)を貧溶媒であるメタノール中で固液分離して精製した。NMR及びGPC(検出器RIと検出器UVの2種類を測定した)を用いて中間体ポリマー(1)を分析したところ、重量平均分子量は15,000であった。
撹拌子を入れたナス型フラスコ内に中間体ポリマー(1)5.00部(0.333ミリモル)とトルエン50.0部(0.543モル)を投入し、ガラス製三方コックで密栓した。撹拌して内容物が溶解状態となったことを確認した後、窒素置換してから氷冷して撹拌した。反応容器の密栓を解除して塩化オキサリル1.27部(10.0ミリモル)を滴下後、速やかに密栓して引き続き撹拌した。氷冷下で30分反応させた後、室温で2時間反応させた。N,N−ジメチルホルムアミド30.0部(0.410モル)を投入した後、トルエンと過剰な塩化オキサリルを減圧留去し、反応液中の溶媒をN,N−ジメチルホルムアミドに置換した。ガラス製三方コックで密栓した後、反応容器を氷浴内に設置して冷却しながら撹拌した。反応容器の密栓を解除して化合物A(1)1.60部(3.80ミリモル)を投入した。速やかに密栓し、引き続き撹拌して氷冷下で30分反応させた。その後、室温で2時間反応させて高分子分散剤P21を得た。
Step1で用いた中間体ポリマー及びStep2で用いた化合物Aを、それぞれの量と種類を適宜変更して使用したこと以外は、前述の「実施例21:高分子分散剤P21」と同様の方法で高分子分散剤P22〜P35を合成した。使用した中間体ポリマーの組成を表3に示す。また、合成した各高分子分散剤のユニットA2の含有量a2(モル部)、ユニットB2の含有量b2(モル部)、ユニットC2の含有量c2(モル部)、ポリマータイプ、及び重量平均分子量(Mw)を表4に示す。
表5に示す種類(名称)の化合物A、化合物B、及び化合物Cを、それぞれの量を適宜変更して使用したこと以外は、前述の「実施例1:高分子分散剤P1」と同様の方法で高分子分散剤P47〜P50を合成した。高分子分散剤P49に関しては、GPCの検出器RIの測定値から重量平均分子量を算出した。これは、他の高分子分散剤のGPCの検出器RIのデータと検出器UVのデータの相関関係にズレがなかったことから使用した。高分子分散剤P47、P48及びP50については、NMR及びGPC(検出器RIと検出器UVの2種類を測定した)を用いて重量平均分子量を測定し、各高分子分散剤のユニットA1の含有量a1(モル部)、ユニットB1の含有量b1(モル部)、ユニットC1の含有量c1(モル部)を算出した。これらのユニットA1の含有量a1(モル部)、ユニットB1の含有量b1(モル部)、ユニットC1の含有量c1(モル部)、ポリマータイプ、及び重量平均分子量(Mw)を表5に示す。
[化合物Xの合成]
特許文献1(特開2003−081948号公報)の合成例1の記載を参考にして、下記式(X)で表される化合物Xを合成した。
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、窒素導入管、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素置換した後、メタクリル酸ベンジル127部(0.720モル)、メタクリル酸24.1部(0.280モル)、N,N−ジメチルホルムアミド500部(6.84モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル3.31部(20.1ミリモル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに4つ口フラスコを設置し、内温を80℃として撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、メタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマーを得た。得られたメタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマーを透析法にて精製した。NMR及びGPCを用いて測定したメタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマーの重量平均分子量は30,000であった。また、メタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマー中の、メタクリル酸ベンジルに由来するユニットとメタクリル酸に由来するユニットのモル比は72/28であった。
得られた化合物X1.90部(4.54ミリモル)、メタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマー100部(3.33ミリモル)、及びテトラヒドロフラン−メタノール混合液(体積比で1:1)40部をロールミルで混合した。混合後、溶媒を除去することにより分散剤P51を得た。分散剤P51については、説明の便宜上、「高分子分散剤P51」と記す。なお、化合物Xの量x(モル部)は4.54、メタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマー中のユニットBの含有量b(モル部)は0である。メタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマー中のユニットCの含有量c(モル部)は、化合物Xがポリマー中のメタクリル酸部分とイオン吸着していると考えられるため、c=3.33×(72+28)−4.54=328と算出することができる。ここから算出されるx/(b+c)の値は0.014であった。また、混合比率より、化合物Xとメタクリル酸ベンジル−メタクリル酸ポリマーとの複合体の重量平均分子量(Mw)を30,570とした。得られた高分子分散剤P51のポリマータイプ、及び重量平均分子量(Mw)を表6に示す。
[化合物Yの合成]
特許文献2(特開2003−238837号公報)の合成例1の記載を参考にして、下記式(Y)で表される化合物Yを合成した。
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、窒素導入管、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素置換した後、スチレン15.6部(0.150モル)、化合物Y4.56部(15.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド50部(0.684モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル0.185部(1.13ミリモル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに4つ口フラスコを設置し、内温を80℃として撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤P52を得た。
[化合物Zの合成]
特許文献3(特表2009−501253号公報)の記載を参考にして、下記式(Z)で表される化合物Zを合成した。
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、窒素導入管、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素置換した後、スチレン15.6部(0.150モル)、化合物Z7.40部(15.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド50部(0.684モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル0.277部(1.69ミリモル)を投入して撹拌した。その後、加熱したオイルバスに4つ口フラスコを設置し、内温を80℃として撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止して高分子分散剤P53を得た。
<トナー粒子1の製造例1>
・スチレン 100.0部
・カーボンブラック(CB) 20.0部
Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製)
・高分子分散剤P1 4.0部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液1を調製した。
・着色剤分散液1 40.0部
・スチレン 33.5部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液1を得た。
T.K.ホモミクサーを備えた2リットルの四つ口フラスコ中に、イオン交換水710部に0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を徐々に添加してリン酸カルシウムを含む水系媒体を得た。得られた水系媒体に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.4部を溶解させた。次に、トナー組成物溶解液1へ重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液8部を溶解し、十分に混合したのち前記水系媒体へ投入した。これを、温度62℃、窒素雰囲気下において、12,000rpmで10分間撹拌して重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度75℃に昇温し、7.5時間重合を行い、重合反応を終了した。次いで、減圧下で残存モノマーを留去し、水系媒体を冷却しトナー粒子の分散液を得た。
トナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウムを溶解させた。これを加圧濾過器にて、固液分離を行い、トナーケーキを得た。イオン交換水を用いた洗浄操作を5回繰り返したのち乾燥し、ブラックトナー粒子(トナー粒子1)を得た。
[着色剤分散液2の調製工程]
・トルエン 350.0部
・カーボンブラック(CB) 56.0部
Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製)
・高分子分散剤P1 11.2部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液2を調製した。
・着色剤分散液2 250.0部
・スチレンアクリル樹脂 490.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=75:25(質量比)の共重合物)(Mw=28,000、Tg=57℃)
・パラフィンワックス 50.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に分散し、トナー組成物溶解液2を得た。
T.K.ホモミクサーを備えた2リットルの四つ口フラスコ中に、イオン交換水1200部に0.5M−Na3PO4水溶液300部を投入した。その後、12,000rpmに調整して60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl2水溶液25.7部を徐々に添加してリン酸カルシウムを含む水系媒体を得た。得られた水系媒体に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を溶解させた。
次に、トナー組成物溶解液2を前記水系媒体へ投入した。これを、温度65℃、窒素雰囲気下において、12,000rpmで30分間撹拌してトナー組成物溶解液2の粒子を造粒した。次いで、減圧下で溶媒のトルエンを留去し、水系媒体を冷却しトナー粒子分散液2を得た。
得られたトナー粒子分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウムを溶解させた。これを加圧濾過器にて固液分離を行い、トナーケーキを得た。次に、イオン交換水を用いて洗浄操作を5回繰り返したのち乾燥し、ブラックトナー粒子(トナー粒子2)を得た。
・スチレンアクリル樹脂 98.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=75:25(質量比)の共重合物)(Mw=28,000、Tg=57℃)
・カーボンブラック(CB) 8.0部
(Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製)
・パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
・高分子分散剤P1 1.6部
前記の処方の材料を、FMミキサ(日本コークス工業社製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業社製;ターボミルT250−RS型)を用いて微粉砕した。その後、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、ブラックトナー粒子(トナー粒子3)を得た。
<トナー粒子4の製造例4>
[着色剤分散液3の調製工程]
・スチレン 100.0部
・ピグメントレッド122 (PR−122) 16.7部
(Toner Magenta E[クラリアント社製])
・高分子分散剤P1 3.33部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液3を調製した。
・着色剤分散液3 53.9部
・スチレン 19.6部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液3を得た。
以降、トナー粒子製造例1と同様にしてマゼンタトナー粒子(トナー粒子4)を得た。
<トナー粒子5の製造例5>
[着色剤分散液4の調製工程]
・スチレン 100.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 16.7部
・高分子分散剤P1 3.33部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液4を調製した。
・着色剤分散液4 53.9部
・スチレン 19.6部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液4を得た。
以降、トナー粒子製造例1と同様にしてシアントナー粒子(トナー粒子5)を得た。
<トナー粒子6の製造例6>
[着色剤分散液5の調製工程]
・スチレン 100.0部
・ピグメントイエロー155 (PY−155) 16.7部
(Peliotol Yellow D1155[BASF社製])
・高分子分散剤P1 3.33部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液5を調製した。
・着色剤分散液5 53.9部
・スチレン 19.6部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に分散し、トナー組成物溶解液5を得た。以降、トナー粒子製造例1と同様にしてイエロートナー粒子(トナー粒子6)を得た。
表7に示す、処方および製造方法により、トナー粒子7〜58を得た。
得られたトナー粒子1〜58の処方(顔料および分散剤)と物性(粒径)について表7に示す。
得られたトナー粒子1〜58、100.0部と、疎水性シリカ微粉体1.5部とを三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)でそれぞれ300秒間混合し、トナー1〜58を得た。なお、用いたシリカ微粉体はヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体であり、一次粒子の数平均粒径(D1)は10nmである。
得られた化合物、高分子分散剤およびトナーの評価を以下のように行った。
(色材への吸着性)
N,N−ジメチルホルムアミド20部に化合物A(A(1)〜A(9))0.2部を溶解し、溶液(O)を調製した。この溶液(O)10部に色材としてカーボンブラック1部を加え、30分間超音波分散を行った。室温で1時間静置した後、遠心分離(10000rpm、10分間)して上澄み液を回収した。溶液(O)及び上澄み液にN,N−ジメチルホルムアミドをそれぞれ加えてサンプル毎に同じ希釈倍率に希釈し、380nmの波長における吸光度測定を行った。化合物X、化合物Y、及び化合物Zについても、前述の化合物Aの場合と同様にして測定を行った。但し、化合物Xと化合物Yについては480nm、化合物Zについては380nmの波長における吸光度をそれぞれ測定した。そして、下記式(E3)より吸着率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって各化合物の色材への吸着性を評価した。結果を表8に示す。
吸着率(%)=(1−P/Q)×100 (E3)
P:上澄み液の希釈液の吸光度
Q:溶液(O)の希釈液の吸光度
[評価基準]
A:吸着率95%以上
B:吸着率90%以上95%未満
C:吸着率90%未満
前記溶液(O)にN,N−ジメチルホルムアミドを加えて1000倍に希釈し、300nm〜700nmの吸光度を測定した。測定範囲における最大吸光度から以下の評価基準にしたがって着色性を評価した。結果を表8に示す。
[評価基準]
A:最大吸光度が0.010未満
B:最大級光度が0.010以上0.050未満
C:最大吸光度が0.050以上
(媒体への溶解性)
評価用媒体20部に高分子分散剤(P1〜P53)0.25部を添加し、以下に示す評価基準にしたがって高分子分散剤の溶解性を評価した。使用した評価用媒体の種類と結果を表9−1及び9−2に示す。
[評価基準]
A:易溶(手振り混合で溶解)
B:可溶(撹拌により溶解)
C:可溶(超音波、加熱等の使用により溶解)
D:不溶物が残る
評価用媒体20部に高分子分散剤(P1〜P53)0.25部を溶解し、高分子分散剤の溶液(S)を調製した。この溶液(S)10部に対象色材1部を加え、30分間超音波分散を行った。室温で1時間静置した後、遠心分離(20000rpm、10分間)して上澄み液を回収した。なお、高分子分散剤P49は、分散が不良であるとともに、上澄み液はほぼ透明かつ色材がほぼ沈殿していた。このため、高分子分散剤P49の評価は中断した。溶液(S)及び上澄み液に評価用媒体をそれぞれ加えてサンプル毎に同じ希釈倍率に希釈し、高分子分散剤P48〜50は280nm、高分子分散剤P51とP52は480nm、それ以外は380nmの波長における吸光度を測定した。そして、下記式(E4)より吸着率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって高分子分散剤の色材への吸着性を評価した。結果を表9−1及び9−2に示す。
吸着率(%)=(1−T/U)×100 (E4)
T:上澄み液の希釈液の吸光度
U:溶液(S)の希釈液の吸光度
[評価基準]
A:吸着率95%以上
B:吸着率90%以上95%未満
C:吸着率80%以上90%未満
D:吸着率80%未満
評価用媒体20部に高分子分散剤(P1〜P53)0.25部を溶解し、高分子分散剤の溶液(V)を調製した。この溶液(V)10部に対象色材1部を加え、30分間超音波分散を行った後、室温で1時間静置して色材分散体を得た。得られた色材分散体を密閉状態とし、60℃で2週間保存する保存試験を行った。また、保存試験の前後で色材の体積平均粒子径を、粒度分析計(商品名「マイクロトラックUPA−EX250」、日機装社製)を用いて測定した。そして、下記式(E5)より粒子径増加率を算出し、以下示す評価基準にしたがって高分子分散剤の色材分散性を評価した。結果を表9−1及び9−2に示す。
A:粒子径増加率(%)が10%未満である。
B:粒子径増加率(%)が10%以上20%未満である。
C:粒子径増加率(%)が20%以上50%未満である。
D:粒子径増加率(%)が50%以上である。
市販のカラーレーザープリンタSatera LBP7700C(キヤノン(株)社製)用のカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1〜58(150g)を充填した。また、Satera LBP7700C(キヤノン(株)社製)を一部改造し、定着機を外して未定着画像を出力できるように変更し、さらに一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。前記カートリッジをプリンターに装着し、トナー載り量が0.30mg/cm2となるように設定して、転写材中央に6.5cm×14.0cmの長方形のベタ画像の出力を行い評価画像とした。転写材は、レターサイズのHP LASERJET PAPER(ヒューレットパッカード社製、90.0g/m2)を用いた。
LBP7700Cの外部定着機を用いて、出力した評価画像をプロセススピード280mm/sec、150℃で定着し、画像濃度を測定して着色力を評価した。尚、画像濃度の測定には「X−Riteカラー反射濃度系(color refledtion densitometer X−Rite404A)」を用いて測定した。原稿濃度が0.00の白下地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、ベタ画像の右上、左上、中央、右下、左下の5点の濃度を測定し、平均値を画像濃度とした。評価基準は以下の通りであり、C以上を本発明の効果が得られているレベルとした。各トナーの結果を表10に示す。
A:画像濃度が1.40以上
B:画像濃度が1.30以上1.40未満
C:画像濃度が1.20以上1.30未満
D:画像濃度が1.20未満
一方、高分子分散剤P53を用いたトナー58については着色力はCランクとやや良好であったが、高分子分散剤P1を用いたトナー4の場合と比べ、色相角のずれが観測された。
具体的にはトナー4とトナー58の濃度違いの画像を準備し、SpectroScan Transmission(Gretag Macbeth社製)により、それぞれa*、b*、(c*=√(a*2+b*2))を測定し、近似曲線を得る。両者のc*が75となるときのa*、b*の値を比較したところ、トナー4に比べ、トナー58のb*値が大きくプラス方向に変化していた(黄身にシフトしていた)。
また、本発明の化合物及び重合性化合物は、前記分散剤を調製する上で有用な化合物である。本発明の分散剤は、塗料、粉体塗料やトナーなどに利用され、優れた着色力を発揮する。
Claims (10)
- 前記式(1)中、R1及びR2の一方が−NH2である請求項1に記載の化合物。
- 請求項1に記載の化合物である化合物Aに由来するユニットA1と、
芳香族ビニルモノマーである化合物Bに由来するユニットB1、及びアクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーである化合物Cに由来するユニットC1の少なくともいずれかと、を有する高分子分散剤。 - 前記化合物Aの分子量を基準とする前記ユニットA1の含有量をa1モル部、前記化合物Bの分子量を基準とする前記ユニットB1の含有量をb1モル部、及び前記化合物Cの分子量を基準とする前記ユニットC1の含有量をc1モル部とした場合に、下記式(E1)の関係を満たす請求項3に記載の高分子分散剤。
0.01≦a1/(b1+c1)≦2.00 (E1) - 請求項2に記載の化合物である化合物Aと、アクリル酸またはメタクリル酸に由来するユニットを含む中間体ポリマーとの反応物である、前記化合物Aに由来するユニットA2を有する高分子分散剤。
- 前記中間体ポリマーが、さらに、芳香族ビニルモノマーである化合物Bに由来するユニットB2を含む請求項5に記載の高分子分散剤。
- 前記中間体ポリマーが、さらに、アクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーである化合物Cに由来するユニットC2を有する請求項6に記載の高分子分散剤。
- 前記化合物Cにおける前記アクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーが、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである、請求項7記載の高分子分散剤。
- 前記化合物Aの分子量を基準とする前記ユニットA2の含有量をa2モル部、前記化合物Bの分子量を基準とする前記ユニットB2の含有量をb2モル部、及び前記化合物Cの分子量を基準とする前記ユニットC2の含有量をc2モル部とした場合に、下記式(E2)の関係を満たす請求項7または8に記載の高分子分散剤。
0.01≦a2/(b2+c2)≦2.00 (E2) - 結着樹脂、色材、高分子分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該高分子分散剤が、請求項3から9のいずれか1項に記載の高分子分散剤であることを特徴とするトナー。
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