JP6699840B2 - フック状係合素子を有する織面ファスナー - Google Patents

フック状係合素子を有する織面ファスナー Download PDF

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Description

本発明は、基布内に織り込まれたモノフィラメントが基布表面からループ状に多数突出し、かつループの片脚が切断されてフック状係合素子となっている織面ファスナーであって、該係合素子の切断面が特定形状を有していることにより優れた係合力が得られている面ファスナーに関する。
従来から、フック状係合素子を表面に有するフック面ファスナーとループ状係合素子を表面に有するループ面ファスナーの組み合わせは、係合・剥離が容易でかつ繰り返し係合・剥離が可能であることから、取り付け部材として広く一般に用いられている。
これら面ファスナーの代表として、経糸と緯糸からなる織物基布に、経糸に平行にフック状係合素子用モノフィラメメントを織り込み、織り込んだモノフィラメントを基布の所々で基布表面にループ状に突出させ、そして熱処理によりループ形状を固定したのち、ループの片脚を切断して、ループをフック状としたフック面ファスナーが広く用いられている。
このようなフック状係合素子を有する織面ファスナーにおいて、高い係合力を有していることは最も重要な要求性能のひとつであり、以前から、面ファスナーの係合力を高める方法について種々の研究が行われており、例えば、フック状係合素子を構成するモノフィラメントの太さを太くする方法やフック状係合素子の素子密度を高める方法等が代表的な方法として挙げられる。
しかしながら、フック状係合素子を構成するモノフィラメントの太さを太くする方法は、得られる面ファスナーの肌触りが固くなったり、面ファスナーそのものが剛直となり、衣料用やベルト等の柔らかい肌触りが求められる分野には適さないものとなり、またフック状係合素子の素子密度を高める方法は、そのような高密度係合素子の面ファスナーを織ることが難しく、さらに高密集しているループの片脚のみを正確に切断してフック状係合素子とすることは極めて困難であり、製造上の困難を伴う。
このような方法に代えて、フック状係合素子の切断部に熱い空気を吹き当てて、切断末端を溶融させて拡大部分とすることにより、あるいはループの切断予定箇所を高周波加熱するとともに切断して切断部を溶融拡大させることにより、フック状係合素子に係合したループ状係合素子がフック内から離脱し難くし、それにより係合力を高める方法が提案されている(特許文献1および2)。
しかしながら、このような切断部を溶融させて末端を膨張拡大させる方法は、フック状係合素子が密集して林立しており、かつその前に行うループ形状固定のための熱処理によりフック状係合素子の形状や向きが係合素子間で相違することとなり、切断部が係合素子間で微妙に相違するフック面ファスナーにおいて、切断部あるいは切断予定部のみに集中的に熱を加えることは極めて困難であり、高速で製造されるフック面ファスナーの製造工程において、現実にそのような特定の場所のみ溶融させて末端部のみを拡大膨張させることは、実質的に不可能と言ってもよい。
特公昭47−18307号公報(特許請求の範囲の欄およびFig.2) 特開昭60−108002号公報(特許請求の範囲の欄および第3図)
本発明は、上記従来技術のように、フック状係合素子の切断部を溶融させて末端を拡大させるのではなく、フック状係合素子用モノフィラメントの片脚を切断する際の切断方法に簡単な工夫を加えることにより、切断部の形状を特殊なものとすることにより係合力の高い面ファスナーを得ることを目的とするものであり、さらに、このような面ファスナーにおいて、切断する位置を従来の一般的なものより変えることにより、より一層係合力の高い面ファスナーを得ることを目的とするものである。
すなわち、本発明は、基布内に織り込まれたモノフィラメントが基布表面からループ状に多数突出し、かつループの片脚が切断されてフック状係合素子となっている織面ファスナーにおいて、該切断箇所には、モノフィラメント表面から放射方向に突出する突起部がモノフィラメント中心部を挟んで対称に2個存在しており、突起部の突出長がモノフィラメント直径の10%以上であるフック状係合素子を有する織面ファスナーである。
そして好ましくは、このような織面ファスナーにおいて、2個の突起部のうちの少なくとも1個は突出長がモノフィラメント直径の20%以上である場合であり、また切断箇所の切断面が、2個の突起部を結ぶ線を長径とする長円形を有し、かつその表面には凹凸が存在している場合である。
また好ましくは、このような織面ファスナーにおいて、切断箇所が、フック状係合素子の頂部の基布に平行な状態から基布面に近づくために斜め下方向に曲がっている部分に形成されている場合であり、さらに好ましくは、切断箇所が、頂部からフック状係合素子高さの1/6〜1/3下がった位置に存在している場合である。
さらに好ましくは、このような織面ファスナーにおいて、ループの両脚間には、基布を構成する経糸が2本以上および緯糸が1本以上が存在している場合である。
そして、このような織面ファスナーにおいて、フック状係合素子と対になる切断片脚残部モノフィラメントが基布表面から突出しており、その切断箇所にも突起部が2個存在しており、その突起部の突出長がモノフィラメント直径の10%以上である場合であり、また切断片脚残部モノフィラメントの先端部が基布垂直面から10〜30°の角度を有して傾いている場合である。
本発明は、フック状係合素子を有する織面ファスナーを製造する際のフック状係合素子用ループの片脚をバリカン等の刃で切断してフック状係合素子とする際の刃として、従来のように鋭利なものを使用するのではなく、小刃が丸みを帯びているもの等を使用することにより、あるいは刃の噛み合わせを甘くしたものを用いることにより、切断面に、モノフィラメント表面から放射方向に突出する長い突起部がモノフィラメント中心部を挟んで対象に2個存在してようにしたものであり、このような長い突起部が存在していることにより、フック内に入り込んだループ状係合素子が容易にフック内から離脱しないようにした結果、高い係合力が得られることとなった。
本発明により、上記した従来技術のように、切断箇所に熱を加えて溶融させ、溶融樹脂の界面張力により玉状膨らみ部を与えるような困難で高度な装置を用いる必要がなく、従来一般に使用している切断装置の切断刃を甘くする簡単な操作だけで、高い係合力が得られることとなった。
さらにこのような切断部に長い突起部を有するフック面ファスナーにおいて、フック状係合素子用ループの片脚を切断する位置として、従来のフック状係合素子と比べて高い位置とすることによりフック内にループ状係合素子が入り易くなり、さらに係合力が向上することとなる。
本発明の織面ファスナーの好適な一例を模式的に示した斜視図である。 本発明の織面ファスナーの好適なフック状係合素子の一例を模式的に示す側面図である。 図2で示すフック状係合素子の切断部を模式的に示す拡大図である。 本発明の織面ファスナーの好適なフック状係合素子の一例を切断面から見た場合の模式図である。
本発明を図面に基づき詳細に説明する。
まず、本発明のフック状係合素子を有する織面ファスナーは、図1に示すように、基布(1)の表面からフック状係合素子(2)が多数立ち上がっている。すなわち、基布内に織り込まれたモノフィラメントが所々で基布表面からループ状に突出し、かつループの片脚が切断されてフック状係合素子となっている。そして、個々のフック状係合素子と対になって、切断片脚残部モノフィラメント(3)が存在している。
図1の織面ファスナーでは、基布表面に係合素子としてフック状係合素子しか存在していない面ファスナーであるが、この他にも基布表面にループ状係合素子がフック状係合素子と混在しているものであっても、あるいは基布裏面にもフック状係合素子やループ状係合素子が存在しているものであってもよい。
織面ファスナーのうち、フック状係合素子を有する織面ファスナーは、主として、フック状係合素子用モノフィラメント糸、経糸および緯糸から形成される。また、フック状係合素子とループ状係合素子が同一面に混在しているフック・ループ混在織面ファスナーは、主として、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸、経糸および緯糸から形成される。そして、これら面ファスナーには、必要により、これら以外の糸が織り込まれていてもよい。
これらの主要糸は、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等で代表されるポリエステル系や、ナイロン6やナイロン66等で代表されるナイロン系、ポリエチレンやポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系のものが使用される。なかでもポリエステル系の糸が高いフック形状保持性により係合力が得られる点で好ましい。
経糸としてはマルチフィラメント糸が好ましく、そして経糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、16〜96本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜250デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜45本のフィラメントからなるトータルデシテックスが100〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
緯糸としてはマルチフィラメント糸が好ましく、緯糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、24〜75本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜300デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜48本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
そして、緯糸には熱融着性繊維を含んでいるのが好ましい。熱融着性繊維の代表例として、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維が挙げられる。緯糸が熱融着性繊維を含んでいることにより、フック状係合素子用糸やループ状係合素子用糸を基布に強固に固定することが可能となり、従来の面ファスナーのようにフック状係合素子用糸やループ状係合素子用糸が基布から引き抜かれることを防ぐためにポリウレタン系やアクリル系等のバックコート樹脂を面ファスナー基布裏面に塗布する必要もなくなり、工程の簡略化が可能となる。
緯糸に代えて経糸に熱融着性繊維を用いることによりフック状係合素子用糸やループ状係合素子用糸を基布に固定することも可能であるが、フック状係合素子用糸やループ状係合素子用糸は経糸に平行に基布に打ち込まれることから、経糸はフック状係合素子用糸やループ状係合素子用糸と交差する箇所が緯糸に比べてはるかに少なく、したがって熱融着性繊維を経糸にのみ用いた場合にはフック状係合素子用糸やループ状係合素子用糸が基布に強固に固定され難く、さらに経糸に熱融着性繊維を用いた場合には、面ファスナーを連続生産する上で、走行する基布に掛かる張力を一定に保つことが難しく、一定品質の面ファスナーを安定に連続生産することが困難となり易い。
織フック面ファスナーを構成するフック状係合素子には、軽い力ではフック形状が伸展されない、いわゆるフック形状保持性と剛直性が求められ、そのために太い合成樹脂製のモノフィラメント糸が用いられる。本発明において、このモノフィラメント糸として、特にフック形状保持性に優れたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレート系ポリエステルから形成されたモノフィラメント糸が好適に用いられる。
フック状係合素子用モノフィラメント糸の太さとしては、直径0.13〜0.40mmのものが係合相手となるループ状係合素子が立設している間に入り込みやすく、そして引っかかったループ状係合素子が抜けにくい点で好ましく、より好ましくは直径0.18〜0.35mmのものである。そして、該モノフィラメントの断面形状は丸断面が好ましいが、三角や四角等の多角系で代表される異形断面形状であってもよい。
以上述べた経糸、緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメント糸から、まず面ファスナー用織物を織成する。織物の織組織としては、フック状係合素子用モノフィラメント糸を経糸の一部とした平織が好ましく、係合素子用糸は、経糸と平行に存在し、組織の途中で基布面から立ち上がり、ループを形成しつつ経糸を2本以上、緯糸を1本以上飛び越えて緯糸間にもぐり込むような織組織が、フック状係合素子用ループの片足側部を効率的に切断でき、さらにフック状係合素子とループ状係合素子が係合し易く、高い係合力が得られることから好ましい。より好ましくは、基布面から立ち上がり、経糸3本および緯糸1本飛び越えてその間でループを形成している場合である。
そして、経糸の織密度としては、熱処理後の織密度で45〜90本/cmが、また緯糸の織密度としては、熱処理後の織密度で15〜30本/cmが好ましい。またフック状係合素子用モノフィラメント糸の打ち込み本数は、経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸を含む)に対して3〜6本程度が好ましい。
フック・ループ混在面ファスナーの場合には、フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の合計で経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸を含む)に対して3〜6本が好ましく、そしてフック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の本数比が40:60〜60:30の範囲が好ましい。
このように織られた面ファスナー基布の裏面にバックコート樹脂を塗布するか、あるいは緯糸に熱融着性低融点繊維が用いられている場合には熱を付与して該繊維を溶融させて基布を固定する。これにより、係合・剥離の際に係合素子が基布から引き抜かれるのを阻止することができる。バックコート樹脂を塗布する場合には、バックコート樹脂としてポリウレタン系やアクリル系の樹脂が用いられ、塗布する際には、これら樹脂の有機溶剤液または水分散液が使用される。
そして、フック状係合素子用ループのループ形状を固定するために熱処理する。なお、この熱処理は、基布に熱融着性低融点繊維が用いられている場合にはその繊維を溶融させて基布を固定する工程で兼ねることができる。
このようにして得られたフック面ファスナー用織物の基布表面に存在しているフック状係合素子用ループの側部を切断して、ループをフック状係合素子に変換する。
従来は、鋭利な刃を有するバリカンを用いて切断していたが、本発明では小刃が丸みを帯びているもの等により刃の噛み合わせを甘くしたものを用いる。このような小刃を丸みを帯びたものとするためには、やすり等により小刃を削り取ればよい。
従来の面ファスナーには、鋭利な小刃を有するバリカンが用いられており、それゆえに切断面が殆どモノフィラメント断面の形状とほぼ同一であった。
それに対して本発明では、モノフィラメント表面から放射方向に突出する突起部がモノフィラメント中心部を挟んで対象に2個対称に存在するような断面形状とし、しかも、突起部の突出長はモノフィラメント直径の10%以上とする。このような長い突起部が存在していることにより、フック内に入り込んだループ状係合素子が容易にフック内から離脱しないようになり、高い係合力が得られることとなる。
なお、本発明において、上記突起部の突出長や切断位置は、任意のフック状係合素子20本を選び出し、それらの突出長や切断位置を測定し、それらの平均値を出すことにより求めたものである。
図2は、フック状係合素子用ループを切断してフック状係合素子(2)としたときの、フック状係合素子の形状を模式的に示したものである。
フック状係合素子用ループを切断してフック状係合素子とする際に、従来は、ループ高さの中央部がループが横に最も広く広がっている場所であり、切断の際に切断しない方の脚を傷付けることなく容易に切断できることから、ループの高さ中央部付近で切断していた。
本発明では、このような従来の切断位置よりやや高い、図2に示すような位置(フック頂部に近い位置)で切断するのが好ましく、このようにやや高い位置で切断されていることにより、フック状係合素子の切断箇所が、フック状係合素子の頂部の基布に平行な状態から基布面に近づくために斜め下方向に曲がっている部分に形成されることとなり、ループ状係合素子がフック状係合素子のフック内に入り込みやすくなり、高い係合力が得られる。
特に本発明では、上記したように、フック状係合素子の切断箇所には高い突起部が対称に存在していることから、フック内にループ状係合素子が入り難くなっているが、このような、切断位置をフック状係合素子の頂部に近い位置とすることにより、突起部が存在していることの問題点を解決している。したがって、切断面の形状と切断位置との相乗効果により、より高い係合力が得られている。
好適な切断面位置は、フック状係合素子の頂部からフック状係合素子高さ(図2に示す4)の1/6〜1/3下がった位置である。
さらに、本発明では、図1や図2に示すように、フック状係合素子と対になる切断片脚残部モノフィラメント(3)が基布(1)の表面から突出している。そして、その切断箇所にも、図3に示すように突起部が2個存在しており、その突起部の突出長がモノフィラメント直径の10%以上である場合が、切断片脚残部モノフィラメントもフック状係合素子と同様にループ状係合素子との係合能力を有することとなるため好ましい。このような突起部を有するような断面形状が形成されるようにするためには、フック状係合素子用ループを切断する際に、その切断面に上記突起が生じるようにすれば、切断片脚残部モノフィラメントにも同様に突起が生じるようになる。
そして、切断片脚残部モノフィラメントがより係合能を有するようにするためには、図2に示すように、その先端部が基布垂直面から10〜30°の角度を有して傾いているようにすればよい。切断片脚残部モノフィラメントの基板垂直面からの角度とは図2において8で示される角度である。切断片脚残部モノフィラメントの基板垂直面からの角度を10〜30°にするためには、フック状係合素子用ループの片脚を切断する際の切断位置を、ループの最も膨らんだ中央部で切断するのではなく、やや頂部に近い位置で切断するようにすればよい。
本発明では、フック状係合素子用ループの片脚を、小刃が丸みを帯びているもの等により、刃の噛み合わせを甘くしたバリカン等で切断する。その結果、切断箇所のモノフィラメントは刃により両側面から押し潰されるとともに切断される。それにより、該切断箇所には、モノフィラメント表面から放射方向に突出する突起部がモノフィラメント中心部を挟んで対称に2個存在しており、突起部の突出長がモノフィラメント直径の10%以上となる。
好ましくは、切断部に形成される2個の突起部のうちの少なくとも1個は突出長がモノフィラメント直径の20%以上である場合であり、より好ましくは2個の突起がともに20%以上の場合である。
なお、突起部の突出長は刃の噛み合わせの甘さや小刃の丸みの程度に比例する。あまりに突出長が長い場合には、切断の際にフック形状が損なわれることがあり、したがって突出長は80%以下が好ましい。
そして、切断箇所の切断面が、図3に示すように、2個の突起部(9)を結ぶ線を長径とする長円形を有し、かつその表面には凹凸(10)が存在しているのが、フック内に入り込んだループ状係合素子が容易に離脱するのを阻止できることから好ましい。このような表面凹凸(10)も、切断する際のバリカンの刃の噛み合わせを甘くすることにより、あるいは丸みを有する刃を使用することにより達成される。
図4は、本発明の織面ファスナーを構成するフック状係合素子の片脚切断面を切断面に垂直な方向から見た図であり、モノフィラメントの断面である円形断面の手前に長円形の切断面を有している。同図では、長円形の突起部(9)が円形断面から突出しており、その突出長(11)は、円形からはみ出した部分の最長の部分の長さであることを示している。
以上モノフィラメント断面が円形である場合を例に挙げて説明したが、モノフィラメント断面が三角や四角等の異形断面である場合にも、突起部が断面からどれだけの長さで出ているかであり、考え方は基本的に円形断面の場合と同一である。
本発明において、フック状係合素子の高さとしては基布面から1.3〜3.0mmが係合力の点で、さらに係合素子の倒れ難さの点で好ましい。またフック面ファスナーにおけるフック状係合素子の素子密度、フック・ループ混在面ファスナーにおけるフック状係合素子とループ状係合素子の合計素子密度としては、係合素子が存在している基布部分基準で、それぞれ30個/cm〜60個/cm、40個/cm〜60個/cmが好ましい。そして、フック・ループ混在面ファスナーにおいて、フック状係合素子の個数とループ状係合素子の個数の比率としては、40:60〜60:40の範囲が好ましい。
本発明の織面ファスナーは、従来の一般的な面ファスナーが用いられている用途分野に用いることができ、例えば、靴、バッグ、帽子、手袋等の他、衣類、血圧計、サポーター類、荷造りの縛りバンド、結束テープ、各種おもちゃ類、土木建築用シートの固定、各種パネルや壁材の固定、太陽電池の屋根への固定、電気部品の固定、組み立て・解体自在の収納箱や梱包ケース、小物類、カーテン等の幅広い分野に使用できる。
中でも長期にわたり係合力が要求され、繰り返しの係合・剥離が行われ、かつ柔軟性が要求される用途に適していることから、血圧計用カフやサポーター類や衣類・靴等に特に適している。
以下実施例および比較例により本発明を具体的に説明する。なお、得られた面ファスナーの係合力の測定は、JIS L 3416に準拠した。
実施例1
面ファスナーの基布を構成する経糸、緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメント糸として次の糸を用意した。
[経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167dtexで30本
[緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)
・鞘成分:イソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
(軟化点:190℃)
・芯鞘比率(重量比): 70:30
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:110dtexで24本
[フック状係合素子用モノフィラメント]
・ポリエチレンテレフタレート繊維(融点:260℃)
・繊度:390dtex(直径:0.19mm)
[フック面ファスナーの製造]
上記経糸、緯糸およびフック状係合素子用マルチフィラメント糸を用いて、織組織として平織を用い、織密度が経糸55本/cm、緯糸20本/cmとなるように織った。そして、経糸4本に1本の割合でフック状係合素子用モノフィラメントを、経糸に平行に打ち込み、緯糸5本を浮沈したのちに経糸3本および緯糸1本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にループを形成した。
上記条件にて織成されたフック面ファスナー用織物を、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、フック状係合素子用モノフィラメント、さらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度である200℃で熱処理を施した。その結果、緯糸は収縮し、基布を緯糸方向に9%収縮させるとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。この熱処理によりフック状係合素子用ループのループ形状は固定された。そして、得られた織物を冷却させた。
次に、フック状係合素子用ループの片脚部を、バリカンを用いて切断してフック状係合素子を形成した。使用したバリカンは、小刃をヤスリで削り、角を取ったものであり、小刃に指を押し付けても傷をしない程度の刃の状態にした。
また、ループの片脚切断箇所は、頂部からフック状係合素子高さの1/4下がった位置で、かつフック状係合素子の頂部の基布に平行な状態から基布面に近づくために斜め下方向に曲がっている部分に形成した。
得られたフック面ファスナーのフック状係合素子密度は42個/cmであり、さらにフック状係合素子の基布面からの高さは1.8mmであった。そして、切断箇所には、モノフィラメント表面から放射方向に突出する突起部がモノフィラメント中心部を挟んで対称に2個存在しており、突起部の突出長がモノフィラメント直径の24%であり、切断箇所の切断面が、2個の突起部を結ぶ線を長径とする長円形を有し、かつその表面には筋状の凹凸が存在しており、中央部には凹状の陥没部が形成されていた。
そして、それぞれのフック状係合素子と対になる切断片脚残部モノフィラメントが基布表面から突出しており、その先端部が基布垂直面から平均で25°の角度を有して傾いており、上記フック状係合素子の切断部と同様の突起部を有していた。
以上のフック面ファスナーの係合強力を測定した。係合相手として使用したループ面ファスナーは、ループ状係合素子となるループを表面に多数有し、ループ面ファスナーとして広く使用されているトリコット生地である。測定結果を表1に示す。
比較例1
上記実施例1において、フック状係合素子用ループの片脚部を切断するのに使用するバリカンとして、通常、使用している鋭利な刃を有するもの(すなわち、小刃を削り取る操作を行っていないもの)を用いる以外は実施例1と同様にして、フック面ファスナーを製造した。
得られたフック面ファスナーのフック状係合素子の切断部は、ほとんどがモノフィラメント断面とほぼ同一であり、中にはわずかに円形から歪んだ形のものもあり、突起部と言えるような膨らみを有しているものもあったが、いずれもその突出長は5%以下であった。
このフック面ファスナーについても係合強力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
実施例2
上記実施例1において、フック状係合素子用ループの片脚切断箇所を、ループの横方向に最も広く広がった部分、すなわちフック状係合素子高さの1/2のところとする以外は実施例1と同様にしてフック面ファスナーを製造した。得られた面ファスナーの係合力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
比較例2
上記比較例1において、フック状係合素子用ループの片脚切断箇所を、ループの横方向に最も広く広がった部分、すなわちフック状係合素子高さの1/2のところとする以外は比較例1と同様にしてフック面ファスナーを製造した。そして、得られた面ファスナーの係合力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006699840
上記の表から、フック状係合素子の片脚切断部の形状が、フック面ファスナーの係合力に大きな影響を与えていることが分かる。すなわち、断面部に長い突起部が形成されている実施例の場合は、そのような突起部が形成されていない比較例と比べて係合力が3割程度高いことが分かる。
1:基布
2:フック状係合素子
3:片脚残部モノフィラメント
4:フック状係合素子高さ
5:フック状係合素子頂部
6:フック状係合素子側切断箇所
7:片脚残部モノフィラメント側切断箇所
8:片脚残部モノフィラメント先端部の基布垂直面からの角度
9:突起部
10:切断面に形成された凹凸
11:突起部長さ

Claims (8)

  1. 基布内に織り込まれたモノフィラメントが基布表面からループ状に多数突出し、かつループの片脚が切断されてフック状係合素子となっている織面ファスナーにおいて、該切断箇所には、モノフィラメント表面から放射方向に突出する突起部がモノフィラメント中心部を挟んで対称に2個存在しており、突起部の突出長がモノフィラメント直径の10%以上であるフック状係合素子を有する織面ファスナー。
  2. 2個の突起部のうちの少なくとも1個は突出長がモノフィラメント直径の20%以上である請求項1に記載の織面ファスナー。
  3. 切断箇所の切断面が、2個の突起部を結ぶ線を長径とする長円形を有し、かつその表面には凹凸が存在している請求項1または2に記載の織物面ファスナー。
  4. 切断箇所が、フック状係合素子の頂部の基布に平行な状態から基布面に近づくために斜め下方向に曲がっている部分に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の織面ファスナー。
  5. 切断箇所が、頂部からフック状係合素子高さの1/6〜1/3下がった位置に存在している請求項1〜4のいずれかに記載の織面ファスナー。
  6. ループの両脚間には、基布を構成する経糸が2本以上および緯糸が1本以上が存在している請求項1〜5のいずれかに記載の織物面ファスナー。
  7. フック状係合素子と対になる片脚切断残部モノフィラメントが基布表面から突出しており、その切断箇所にも突起部が2個存在しており、その突起部の突出長がモノフィラメント直径の10%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の織物面ファスナー。
  8. 切断片脚残部モノフィラメントの先端部が基布垂直面から10〜30°の角度を有して傾いている請求項7に記載の織物面ファスナー。
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