JP6693333B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
シートバック6は、乗員の背もたれが可能な正面視で略矩形の部材である。このシートバック6は、図1〜図5を参照して、上述の基本構成6F,6P,6Sと、複数の溝部11〜13と、複数の係止具21〜30と、複数の位置決め部41a〜41c,42a〜42c、43a,43bと、複数の吊込部材50を有している(各部材等の詳細は後述)。ここでシートバック6の着座面となる前面は、図1を参照して、天板メイン部6aと、左右の天板サイド部6bに区分けされている。天板メイン部6aは、シート幅方向における中央に形成されている相対的に凹み状とされた部位であり、通常走行時等の乗員の背もたれが可能な部位である。また天板サイド部6bは、天板メイン部6aの左方と右方において相対的に着座側に突出している部位であり、コーナリング走行時等に乗員の側方を支持することができる。
シートカバー6Sは、図1を参照して、シートバック6の意匠面を構成する面材であり、後述する複数の吊込部材50を有している。そしてシートカバー6Sは、複数の表皮ピース(第一表皮ピースSP1〜第四表皮ピースSP4等)を縫合することで形成されている。例えば第一表皮ピースSP1は、天板メイン部6aの上部を覆う表皮ピースであり、第二表皮ピースSP2は、天板メイン部6aの下部を覆う表皮ピースである。また第三表皮ピースSP3は、左側の天板サイド部6bを覆う表皮ピースであり、第四表皮ピースSP4は、右側の天板サイド部6bを覆う表皮ピースである。これら第一表皮ピースSP1〜第四表皮ピースSP4の素材として、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。なお各表皮ピースの裏側には、図5を参照して、ウレタンラミなどのパッド材7Pと、不織布などの裏面材7Sを一体化しておくことができる。
そしてシートカバー6Sには、図1を参照して、隣り合う表皮ピース(SP1とSP2、SP1とSP3、SP2とSP3、SP1とSP4、SP2とSP4)の境にそれぞれ吊込部材50が取付けられている。この吊込部材50は、図1及び図6を参照して、略矩形の帯状部材であり、後述の対をなす位置決め部の間に配置可能な長さ寸法を有している。この種の吊込部材50の素材は特に限定しないが、典型的には樹脂又は布帛又は皮革で構成することができ、シートカバー6Sに縫合可能な素材であることが望ましい。そして図6を参照して、吊込部材50の短尺方向の一端51Eには、押出成形などの手法で係止部52が一体化されている。この係止部52は、断面矢尻状の樹脂部位であり、吊込部材50の一端51Eから反対の他端52Eに向かうにつれて次第に幅広とされている。
シートパッド6Pは、図2を参照して、シート外形をなす正面視で略矩形の部材であり、第一パッド部位6Paと、左右の第二パッド部位6Pbとで構成されている。このシートパッド6Pには、後述するように、一対の境目BL1,BL2と、複数の溝部11〜13と、複数の角部C1〜C8が設けられている。第一パッド部位6Paは、天板メイン部6aをなすシートパッド部分であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。この第一パッド部位6Paは、正面視において略矩形をなしているが、シート上下方向の中央が幅狭とされており、上端及び下端に向かうにつれて次第に末広がり状に幅広とされている。また左右の第二パッド部位6Pbは、対応する天板サイド部6bをなすシートパッド部分である。これら左右の第二パッド部位6Pbは、第一パッド部位6Paに比して硬い部位であり、第一パッド部位6Paよりも高密度のポリウレタンフォームで形成することができる。
そしてシートパッド6Pの前面には、図2を参照して、第一パッド部位6Paと左右の第二パッド部位6Pbを分けている境目BL1,BL2が設けられている。すなわちシートパッド6Pの左側には、第一パッド部位6Paと左側の第二パッド部位6Pbを分ける左側境目BL1がシート上下方向に線状に設けられている。この左側境目BL1は、第一パッド部位6Paの左端形状に倣って曲線状に延長しつつ、上端及び下端に向かうにつれて次第に左方に湾曲している。またシートパッド6Pの右側にも、第一パッド部位6Paと右側の第二パッド部位6Pbを分ける右側境目BL2がシート上下方向に線状に設けられている。この右側境目BL2は、第一パッド部位6Paの右端形状に倣って曲線状に延長しつつ、上端及び下端に向かうにつれて次第に右方に湾曲している。
複数の溝部(第一溝部11,第二溝部12,第三溝部13)は、図2を参照して、それぞれシートパッド6Pの前面に設けられている凹部であり、正面視で略H字状をなすように配置されている。第一溝部11と第二溝部12は、それぞれ本発明の溝部に相当する部分であり、シートパッド6Pの前面に左右対称となるように設けられている。すなわち第一溝部11は、第一パッド部位6Paと左側の第二パッド部位6Pbの間で上下方向に延長している。この第一溝部11は、左側境目BL1に重複して配置されており、上端及び下端に向かうにつれて次第に左方に湾曲している。また第二溝部12は、第一パッド部位6Paと右側の第二パッド部位6Pbの間で上下方向に延長している。この第二溝部12は、右側境目BL2に重複して配置されており、上端及び下端に向かうにつれて次第に右方に湾曲している。そして第三溝部13は、本発明の他の溝部に相当する部分であり、第一パッド部位6Paを横断するように左右方向に延長している。この第三溝部13の左端13a及び右端13bは、先端に向かうにつれて次第に下方に湾曲しつつ、対応する天板サイド部6bにはみ出して配置されている。
シートパッド6Pの前面は、図2を参照して、第一溝部11〜第三溝部13にて適宜の位置で分割されている。そしてシートパッド6Pの前面には、これら各溝部11〜13が交わることで複数の角部C1〜C8が形成されている。すなわち第一パッド部位6Paの前面には、各溝部11〜13が適宜の位置にて交わることで、一対の上側中央角部C1,C2と、一対の下側中央角部C3,C4が形成されている。各上側中央角部C1,C2は、第一溝部11上方で第一パッド部位6Paの左右端に配置する三角状の角部であり、各下側中央角部C3,C4は、第一溝部11下方で第一パッド部位6Paの左右端に配置する三角状の角部である。これら一対の上側中央角部C1,C2と一対の下側中央角部C3,C4は、それぞれ第一パッド部位6Paにて構成されて相対的に柔らかい角部である。
図2に示す複数の係止具21〜30は、それぞれ図6に示す吊込部材50を係止可能な部材であり、対応する溝部11〜13の適宜の位置に設けられている。本実施例においては、一つの吊込部材50を係止するために2つの係止具が用いられており、これら2つの係止具が対をなして対応する溝部11〜13の適所に配置されている。例えば第一溝部11の上部には、図3を参照して、対をなす第一係止具21と第二係止具22が設けられており、これら一対の係止具21,22は、上下方向に適宜の間隔をあけて第三溝部13の上方に配置されている。また第一溝部11の下部にも、対をなす第三係止具23と第四係止具24が設けられており、これら一対の係止具23,24は、上下方向に適宜の間隔をあけて第三溝部13の下方に配置されている。また第二溝部12においても、図2を参照して、第一溝部11と左右対称となるように複数の係止具(第五係止具25〜第八係止具28)が設けられている。また両端13a,13bを除く第三溝部13部分には、左右方向に適宜の間隔をあけて、対をなす第九係止具29と第十係止具30が設けられている。
図2に示す複数の位置決め部(41a〜41c,42a〜42c,43a,43b)は、それぞれ図6に示す吊込部材50を位置決めする部位であり、対応する溝部11〜13の適所に突出して設けられている。例えば第三溝部13には、第九係止具29と第十係止具30を挟んで、左方の第一中央位置決め部43aと、右方の第二中央位置決め部43bが設けられている。これら各中央位置決め部43a,43bは、それぞれ第三溝部13を短尺方向に縦断して上下の側壁の間に橋渡されている。
図1を参照して、シートカバー6Sにてシートパッド6Pを覆いつつ、各吊込部材50を、対応するシートカバー6Sの一部とともに図2に示す各溝部11〜13内に引込状に係止する。そして係止状態の各吊込部材50は、それぞれ対応する一対の位置決め部によって位置決めされる。例えば第一溝部11の上部には、図1に示す第一表皮ピースSP1と第三表皮ピースSP3の間の吊込部材50が引き込まれて、第一係止具21と第二係止具22に係止される。この第一溝部11の上部に係止された吊込部材50は、図3に示すように左側の第一位置決め部41aと第二位置決め部41bにて位置決めされる。また第一溝部11の下部には、図1に示す第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3の間の吊込部材50が引き込まれて、第三係止具23と第四係止具24に係止される。この第一溝部11の下部に係止された吊込部材50は、図3に示すように左側の第二位置決め部41bと第三位置決め部41cにて位置決めされる。
図1及び図2を参照して、シートバック6では、天板メイン部6aが、相対的に柔らかい第一パッド部位6Paで構成されている。こうして天板メイン部6aを柔らかくしたことにより、乗員に対する着座性を向上させることができる。このとき第一パッド部位6Paでは、左右の第一位置決め部41a,42aと第三位置決め部41c,42cから第二パッド部位6Pbが混入することが回避されている。このため天板メイン部6aにおいて、第二パッド部位6Pbの混入が原因となる異物感の発生が好適に防止されている。また左右の天板サイド部6bが、相対的に硬い第二パッド部位6Pbで構成されている。こうして左右の天板サイド部6bを硬くしたことにより、コーナリング走行時などに乗員側方をしっかりと支持することができる。このとき第二パッド部位6Pbでは、左右の第二位置決め部41b,42bから第一パッド部位6Paが混入することが回避されている。このため左右の天板サイド部6bにおいて、第一パッド部位6Paの混入が原因となる支持性能の悪化を好適に回避することができる。
ここで位置決め部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば本変形例のシートパッド6Pには、図9を参照して、第一パッド部位6Paと、第二パッド部位6Pbと、十字状に交わる一対の溝部14,15と、境目BL3と、複数の位置決め部45a〜45dが設けられている。第一の溝部14は、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbの間に配置されて上下方向に延長している。この第一の溝部14の底壁には、上下に延長している境目BL3が重複して配置されている。また第二の溝部15は、左右方向に延長しつつ両パッド部位6Pa,6Pbに跨って配置されて、第一の溝部14に対して十字状に交わっている。そして両溝部14,15が十字状に交わることで、第二パッド部位6Pbの上右端に第一の角部C11が設けられ、第二パッド部位6Pbの下右端に第二の角部C12が設けられる。また同様に第一パッド部位6Paの上左端に第三の角部C13が設けられ、第一パッド部位6Paの下左端に第四の角部C14が設けられる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6a 天板メイン部
6b 天板サイド部
6F シートフレーム
6P シートパッド
6S シートカバー
6Pa 第一パッド部位
6Pb 第二パッド部位
7P パッド材
7S 裏面材
11 第一溝部(本発明の溝部)
11a 開口
11b 底壁
11c,11d 側壁
12 第二溝部(本発明の溝部)
13 第三溝部(本発明の他の溝部)
13a 第三溝部の左端
13b 第三溝部の右端
21〜30 係止具
41a〜41c 第一溝部の位置決め部(本発明の位置決め部)
42a〜42c 第二溝部の位置決め部(本発明の位置決め部)
43a,43b 第三溝部の位置決め部
50 吊込部材
52 係止部
C1〜C5、C7 角部
C6 左下側角部(本発明の角部)
C8 右下側角部(本発明の角部)
SEW 縫合線
SP1〜SP4 第一表皮ピース
BL1 左側境目
BL2 右側境目
Claims (7)
- 発泡樹脂製のシートパッドと、前記シートパッドの表面に設けられている溝部と、前記溝部内に突出している位置決め部と、前記シートパッドの表面を覆っているシートカバーと、前記シートカバーに取付けられている吊込部材とを備え、
前記吊込部材が前記溝部内に取付けられている状態で、前記溝部の延長方向における前記吊込部材の移動が前記位置決め部との当接にて規制されている乗物用シートにおいて、
前記シートパッドが、第一パッド部位と、前記第一パッド部位よりも硬い第二パッド部位とを有し、前記第一パッド部位と前記第二パッド部位を分けている線状の境目の少なくとも一部が、前記溝部に重複した状態で前記溝部と同方向に延長しており、
前記境目と前記溝部が重複している部分に設けられている前記位置決め部が、前記第一パッド部位と前記第二パッド部位のいずれか一方で構成されているとともに、前記一方とは異なる前記第一パッド部位と前記第二パッド部位のいずれか他方に一体化されていない状態で配置されている乗物用シート。 - 前記位置決め部が、前記第二パッド部位で構成されている請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記境目と前記溝部が重複している部分に設けられている前記位置決め部として、前記溝部の延長方向における前記吊込部材の一方の端部に当接可能な第一位置決め部と、前記一方とは反対側に位置する前記吊込部材の他方の端部に当接可能な第二位置決め部とが設けられ、
前記第一位置決め部と前記第二位置決め部の少なくとも一方が前記第二パッド部位で構成されている請求項1又は2に記載の乗物用シート。 - 前記シートパッドの表面に、前記溝部と他の溝部が交わることで形成されている角部が設けられているとともに、前記位置決め部が、前記角部から前記溝部内に突出している請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
- 前記溝部が、前記吊込部材を係止可能な係止具が配置されている底壁と、前記底壁から前記溝部の開口に向けて立ち上がっている側壁とを有し、前記位置決め部が、前記側壁から前記溝部内に突出している請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
- 前記溝部の延長方向において、前記第一パッド部位で構成されている位置決め部と、前記第二パッド部位で構成されている他の位置決め部とが隣り合って設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
- 前記シートパッドが、シートの幅方向において中央に設けられている天板メイン部と、前記天板メイン部の側方で着座側に突出している天板サイド部とを有し、
前記天板メイン部が前記第一パッド部位で構成されているとともに、前記天板サイド部が前記第二パッド部位で構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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