JP6693333B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、部分的に硬度の異なるシートパッドと、シートパッドを覆うシートカバーと、シートパッドの溝部内に取付けられているシートカバーの吊込部材と、吊込部材を溝部内の適所に位置決めする位置決め部とを備えた乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートとして、発砲樹脂製のシートパッドと、シートカバーと、吊り込み部材と、位置決め用凸部を備えた乗物用シートが公知である(特許文献1を参照)。この乗物用シートでは、シートパッドの前面がシートカバーで覆われているとともに、シートカバーの一部が、シートパッドの前面に設けられている溝部に引込み状に係止されている。そしてシートカバーの一部の裏側には、平板状の吊り込み部材が取付けられており、この吊り込み部材が、シートカバーの一部とともに溝部内に引込まれて係止されている。また溝部内には、吊り込み部材を係止する係止具とともに、位置決め用凸部が設けられている。この位置決め用凸部は、溝部の底壁が部分的に盛り上がっている部位であり、溝部を短尺方向に横断するように設けられている。公知技術では、位置決め用凸部が、溝部の延長方向における吊り込み部材の両端付近にそれぞれ配置されている。このため係止状態の吊り込み部材が溝部の延長方向に位置ずれしようとしても、いずれかの位置決め凸部に必ず当接してしまう。こうして吊り込み部材の溝部の延長方向への移動を、位置決め凸部との当接で規制することにより、吊り込み部材を溝部の適所に位置決めして配置しておくことができる。
ところで上述の乗物用シートでは、シート性能向上の観点から、シートパッドの硬度を部分的に異ならせることがある。例えば乗物用シートにおいては、シート幅方向における中央に、通常走行時の乗員が着座している天板メイン部が設けられている。そして天板メイン部の側方に、相対的に着座側に向けて突出している天板サイド部が設けられ、この天板サイド部によって、コーナリング走行時などに乗員の側方を支持する。そこで天板メイン部を、比較的低密度の発泡樹脂で構成して相対的に柔らかくすることにより、通常走行時における乗員の着座性を向上させることができる。また天板サイド部を、比較的高密度の発砲樹脂で構成して相対的に硬くすることにより、コーナリング走行時などにおける乗員の支持性能を向上させることができる。
特開2016−88365号公報
ところで上述の技術では、相対的に柔らかい天板メイン部と、相対的に硬い天板サイド部との間に溝部が形成されることがある。この場合には、位置決め用凸部が、天板メイン部と天板サイド部を橋渡すように溝部を横断して設けられる。そしてシートパッドを成形する際には、密度の異なる発砲樹脂を成形するため、成形型のキャビティ内で二種類の成型材料を発泡させる。このため位置決め用凸部には、相対的に柔らかい天板メイン部の素材と相対的に硬い天板サイド部の素材が入り混じることとなり、この位置決め用凸部を起因としてシート性能が悪化するおそれがあった。例えば相対的に硬い天板サイド部に、位置決め用凸部から柔らかい素材が混入することで、天板サイド部が所望の形状をなさないおそれがある。また相対的に柔らかい天板メイン部に、位置決め用凸部から硬い素材が混入することで着座性が悪化するおそれがある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シート性能を極力維持しつつ、部分的に硬度の異なるシートパッドの溝部に、シートカバーの吊込部材を位置決めして配置することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、発泡樹脂製のシートパッドと、シートパッドの表面に設けられている溝部と、溝部内に突出している位置決め部と、シートパッドの表面を覆っているシートカバーと、シートカバーに取付けられている吊込部材とを備えている。そして吊込部材が溝部内に取付けられている状態で、溝部の延長方向における吊込部材の移動が位置決め部との当接にて規制されている。本発明では、シートパッドが、第一パッド部位と、第一パッド部位よりも硬い第二パッド部位とを有し、第一パッド部位と第二パッド部位を分けている線状の境目の少なくとも一部が、溝部に重複した状態で溝部と同方向に延長している。こうしてシート性能向上などの観点から、部分的に硬度の異なるシートパッドを用いるのであるが、この種の構成においては、シート性能を極力維持しつつ、シートパッドの溝部にシートカバーの吊込部材を位置決めして配置できることが望まれる。
そこで本発明では、境目と溝部が重複している部分に設けられている位置決め部が、第一パッド部位と第二パッド部位のいずれか一方で構成されているとともに、一方とは異なる第一パッド部位と第二パッド部位のいずれか他方に一体化されていない状態で配置されている。本発明では、第一パッド部位と第二パッド部位のいずれか一方で構成されている位置決め部によって、境目と溝部が重複している部分において、吊込部材を溝部の適所に位置決めしておくことができる。そして位置決め部が、第一パッド部位と第二パッド部位のいずれか他方に一体化されていないため、位置決め部を起因として、第一パッド部位と第二パッド部位が混じり合うことを極力阻止することができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、位置決め部が、第二パッド部位で構成されている。本発明では、相対的に硬い位置決め部によって、吊込部材をより安定的に位置決めしておくことができる。
第3発明の乗物用シートは、第1発明又は第2発明の乗物用シートにおいて、境目と溝部が重複している部分に設けられている位置決め部として、溝部の延長方向における吊込部材の一方の端部に当接可能な第一位置決め部と、一方とは反対側に位置する吊込部材の他方の端部に当接可能な第二位置決め部とが設けられている。そして第一位置決め部と第二位置決め部の少なくとも一方が第二パッド部位で構成されている。本発明では、第一位置決め部と第二位置決め部によって、吊込部材を両端から位置決めしておくことができる。さらに第一位置決め部と第二位置決め部の少なくとも一方を相対的に硬くしておくことにより、吊込部材を更に安定的に位置決めしておくことができる。
第4発明の乗物用シートは、第1発明〜第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、シートパッドの表面に、溝部と他の溝部が交わることで形成されている角部が設けられているとともに、位置決め部が、角部から溝部内に突出している。本発明においては、一方のパッド部位で構成されている角部に位置決め部を設け、この位置決め部が、他方のパッド部位と非一体化状態とされている。このため本発明では、一方のパッド部位によって規定されている角部の構成(形状や硬度など)が、位置決め部を起因として、他のパッド部位の混入によって異なってしまうことを極力阻止することができる。
第5発明の乗物用シートは、第1発明〜第4発明のいずれかの乗物用シートにおいて、溝部が、吊込部材を係止可能な係止具が配置されている底壁と、底壁から溝部の開口に向けて立ち上がっている側壁とを有し、位置決め部が、側壁から溝部内に突出している。本発明では、位置決め部が、溝部の側壁に一体化された状態で溝部内に突出している。このため位置決め部を側壁に沿って安定的に延長して溝部の奥行き方向に大きく設けることが可能となり、吊込部材をより確実に位置決めして配置することができる。
第6発明の乗物用シートは、第1発明〜第5発明のいずれかの乗物用シートにおいて、溝部の延長方向において、第一パッド部位で構成されている位置決め部と、第二パッド部位で構成されている他の位置決め部とが隣り合って設けられている。本発明では、二種類の硬度の異なる位置決め部を隣り合わせて交互に設けたことにより、吊込部材を更に確実に位置決めしておくことができる。
第7発明の乗物用シートは、第1発明〜第6発明のいずれかの乗物用シートにおいて、シートパッドが、シートの幅方向において中央に設けられている天板メイン部と、天板メイン部の側方で着座側に突出している天板サイド部とを有している。そして天板メイン部が第一パッド部位で構成されているとともに、天板サイド部が第二パッド部位で構成されている。本発明においては、天板メイン部と天板サイド部の硬度を異ならせることにより、シート性能を好適に向上させることができる。
本発明に係る第1発明によれば、シート性能を極力維持しつつ、部分的に硬度の異なるシートパッドの溝部に、シートカバーの吊込部材を位置決めして配置することができる。また第2発明によれば、シートパッドの溝部に吊込部材をより安定的に位置決めして配置することができる。また第3発明によれば、シートパッドの溝部に吊込部材を更に安定的に位置決めして配置することができる。また第4発明によれば、シート性能をより好適に維持しつつ、シートパッドの溝部に吊込部材を位置決めして配置することができる。また第5発明によれば、シートパッドの溝部に吊込部材をより確実に位置決めして配置することができる。また第6発明によれば、シートパッドの溝部に吊込部材を更に確実に位置決めして配置することができる。そして第7発明によれば、シート性能を更に好適に向上させつつ、シートパッドの溝部に吊込部材を位置決めして配置することができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートパッドの正面図である。 シートパッド左側の拡大正面図である。 シートバックの縦断面図である。 図3のV−V線断面に相当するシートバック一部の断面図である。 吊込部材の斜視図である。 係止具の斜視図である。 図3のVIII−VIII線断面に相当するシートパッドの断面図である。 変形例にかかるシートパッド一部の拡大正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図9を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を図示することがある。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4の後部にシートバック6(詳細後述)の下部が起倒可能に連結されているとともに、起立状態のシートバック6の上部にヘッドレスト8が配設されている。
[シートバック]
シートバック6は、乗員の背もたれが可能な正面視で略矩形の部材である。このシートバック6は、図1〜図5を参照して、上述の基本構成6F,6P,6Sと、複数の溝部11〜13と、複数の係止具21〜30と、複数の位置決め部41a〜41c,42a〜42c、43a,43bと、複数の吊込部材50を有している(各部材等の詳細は後述)。ここでシートバック6の着座面となる前面は、図1を参照して、天板メイン部6aと、左右の天板サイド部6bに区分けされている。天板メイン部6aは、シート幅方向における中央に形成されている相対的に凹み状とされた部位であり、通常走行時等の乗員の背もたれが可能な部位である。また天板サイド部6bは、天板メイン部6aの左方と右方において相対的に着座側に突出している部位であり、コーナリング走行時等に乗員の側方を支持することができる。
またシートバック6においては、図4を参照して、シートパッド6Pが、シートフレーム6F(図示省略)上に配設されており、さらにシートパッド6Pの前面がシートカバー6Sで覆われている。このシートカバー6Sの被覆に際しては、シートカバー6Sの一部に取付けられている吊込部材50を、後述するシートパッド6Pの溝部11等に引込みつつ、各溝部11等内の対応する後述の係止具21〜24等に係止する。さらに係止状態の吊込部材50が、各溝部11等の延長方向に移動しないように、後述の位置決め部41a〜41c等で位置決めしておく。
そしてシートパッド6Pは、図2を参照して、シート性能向上の観点から、相対的に柔らかい中央の第一パッド部位6Pa(詳細後述)と、相対的に硬い左右の第二パッド部位6Pb(詳細後述)で構成されている。さらに両パッド部位6Pa,6Pbの境目BL1,BL2が、対応する溝部11,12に重複して設けられている。この種の構成においては、各溝部11(12)の位置決め部41a〜41c(42a〜42c)が起因となって、両パッド部位6Pa,6Pbが混じり合うことでシート性能が悪化することが懸念される。そこで本実施例では、後述する構成によって、シート性能を極力維持しつつ、部分的に硬度の異なるシートパッド6Pの溝部11等に、シートカバー6Sの吊込部材50を位置決めして配置することとした。以下、各構成について詳述する。
[シートカバー]
シートカバー6Sは、図1を参照して、シートバック6の意匠面を構成する面材であり、後述する複数の吊込部材50を有している。そしてシートカバー6Sは、複数の表皮ピース(第一表皮ピースSP1〜第四表皮ピースSP4等)を縫合することで形成されている。例えば第一表皮ピースSP1は、天板メイン部6aの上部を覆う表皮ピースであり、第二表皮ピースSP2は、天板メイン部6aの下部を覆う表皮ピースである。また第三表皮ピースSP3は、左側の天板サイド部6bを覆う表皮ピースであり、第四表皮ピースSP4は、右側の天板サイド部6bを覆う表皮ピースである。これら第一表皮ピースSP1〜第四表皮ピースSP4の素材として、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。なお各表皮ピースの裏側には、図5を参照して、ウレタンラミなどのパッド材7Pと、不織布などの裏面材7Sを一体化しておくことができる。
[吊込部材]
そしてシートカバー6Sには、図1を参照して、隣り合う表皮ピース(SP1とSP2、SP1とSP3、SP2とSP3、SP1とSP4、SP2とSP4)の境にそれぞれ吊込部材50が取付けられている。この吊込部材50は、図1及び図6を参照して、略矩形の帯状部材であり、後述の対をなす位置決め部の間に配置可能な長さ寸法を有している。この種の吊込部材50の素材は特に限定しないが、典型的には樹脂又は布帛又は皮革で構成することができ、シートカバー6Sに縫合可能な素材であることが望ましい。そして図6を参照して、吊込部材50の短尺方向の一端51Eには、押出成形などの手法で係止部52が一体化されている。この係止部52は、断面矢尻状の樹脂部位であり、吊込部材50の一端51Eから反対の他端52Eに向かうにつれて次第に幅広とされている。
そして隣り合う表皮ピース同士を縫合してシートカバー6Sを作成する際に、隣り合う表皮ピースの間にそれぞれ吊込部材50を取付けることができる。ここで各吊込部材50の取付け手法は略同一であるため、例えば第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3を一例に吊込部材50の取付け手法を説明する。すなわち図5を参照して、第二表皮ピースSP2左端の縫い代E2と第三表皮ピースSP3右端の縫い代E3を中表状に重ねたのち、さらに両縫い代E2,E3に吊込部材50の他端52E側を重ねておく。そして両縫い代E2,E3を吊込部材50とともに縫合線SEWで縫合する。こうして第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3を縫合しつつ、これらの境をなす縫い代E2,E3に吊込部材50を共縫いして取付けることができる。
[シートパッド(第一パッド部位・第二パッド部位)]
シートパッド6Pは、図2を参照して、シート外形をなす正面視で略矩形の部材であり、第一パッド部位6Paと、左右の第二パッド部位6Pbとで構成されている。このシートパッド6Pには、後述するように、一対の境目BL1,BL2と、複数の溝部11〜13と、複数の角部C1〜C8が設けられている。第一パッド部位6Paは、天板メイン部6aをなすシートパッド部分であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。この第一パッド部位6Paは、正面視において略矩形をなしているが、シート上下方向の中央が幅狭とされており、上端及び下端に向かうにつれて次第に末広がり状に幅広とされている。また左右の第二パッド部位6Pbは、対応する天板サイド部6bをなすシートパッド部分である。これら左右の第二パッド部位6Pbは、第一パッド部位6Paに比して硬い部位であり、第一パッド部位6Paよりも高密度のポリウレタンフォームで形成することができる。
[境目]
そしてシートパッド6Pの前面には、図2を参照して、第一パッド部位6Paと左右の第二パッド部位6Pbを分けている境目BL1,BL2が設けられている。すなわちシートパッド6Pの左側には、第一パッド部位6Paと左側の第二パッド部位6Pbを分ける左側境目BL1がシート上下方向に線状に設けられている。この左側境目BL1は、第一パッド部位6Paの左端形状に倣って曲線状に延長しつつ、上端及び下端に向かうにつれて次第に左方に湾曲している。またシートパッド6Pの右側にも、第一パッド部位6Paと右側の第二パッド部位6Pbを分ける右側境目BL2がシート上下方向に線状に設けられている。この右側境目BL2は、第一パッド部位6Paの右端形状に倣って曲線状に延長しつつ、上端及び下端に向かうにつれて次第に右方に湾曲している。
ここでシートパッド6Pの成形手法は特に限定しないが、典型的には第一パッド部位6Paと左右の第二パッド部位6Pbを同時に成形することができる。すなわちシートパッド6Pの成形に際して、成形型のキャビティ内に、第一パッド部位6Paの成型材料と、左右の第二パッド部位6Pbの成型材料を区分けして配置する。この状態で各成型材料を同時に発泡及び硬化させることにより、第一パッド部位6Paと左右の第二パッド部位6Pbからなるシートパッド6Pを成形できる。そして第一パッド部位6Paと左右の第二パッド部位6Pbを同時に成形する場合には、両パッド部位の対応する境目BL1,BL2付近で各パッド部位の成型材料が入り混じった状態となりやすい。
[溝部]
複数の溝部(第一溝部11,第二溝部12,第三溝部13)は、図2を参照して、それぞれシートパッド6Pの前面に設けられている凹部であり、正面視で略H字状をなすように配置されている。第一溝部11と第二溝部12は、それぞれ本発明の溝部に相当する部分であり、シートパッド6Pの前面に左右対称となるように設けられている。すなわち第一溝部11は、第一パッド部位6Paと左側の第二パッド部位6Pbの間で上下方向に延長している。この第一溝部11は、左側境目BL1に重複して配置されており、上端及び下端に向かうにつれて次第に左方に湾曲している。また第二溝部12は、第一パッド部位6Paと右側の第二パッド部位6Pbの間で上下方向に延長している。この第二溝部12は、右側境目BL2に重複して配置されており、上端及び下端に向かうにつれて次第に右方に湾曲している。そして第三溝部13は、本発明の他の溝部に相当する部分であり、第一パッド部位6Paを横断するように左右方向に延長している。この第三溝部13の左端13a及び右端13bは、先端に向かうにつれて次第に下方に湾曲しつつ、対応する天板サイド部6bにはみ出して配置されている。
ここで各溝部11〜13の断面形状は略同一であることから、専ら第一溝部11を一例にその詳細を説明する。この第一溝部11は、図5を参照して、吊込部材50を引き込むための開口11aと、第一溝部11の底面をなす底壁11bと、一対の側壁11c,11dを有している。底壁11bの左右方向の略中央には左側境目BL1が配置されており、この左側境目BL1から左側が第二パッド部位6Pbで構成され、左側境目BL1から右側が第一パッド部位6Paで構成されている。また左側の側壁11cは、底壁11bの左端から開口11aに向けて立ち上がっている壁面であり、第二パッド部位6Pbにて構成されている。また右側の側壁11dは、底壁11bの右端から開口11aに向けて立ち上がっている壁面であり、第一パッド部位6Paにて構成されている。これら一対の側壁11c,11dは、第一溝部11の短尺方向である左右方向に適宜の間隔をあけて対面状に配置している。そして図2を参照して、底壁11bの適宜の位置に後述する係止具21〜23が設けられており、各側壁11c,11dの適宜の位置に後述する位置決め部41a〜41cが設けられている。なお第二溝部12にも開口と底壁と各側壁が設けられており、さらに図2を参照して、底壁の略中央に右側境目BL2が配置されている。
[角部]
シートパッド6Pの前面は、図2を参照して、第一溝部11〜第三溝部13にて適宜の位置で分割されている。そしてシートパッド6Pの前面には、これら各溝部11〜13が交わることで複数の角部C1〜C8が形成されている。すなわち第一パッド部位6Paの前面には、各溝部11〜13が適宜の位置にて交わることで、一対の上側中央角部C1,C2と、一対の下側中央角部C3,C4が形成されている。各上側中央角部C1,C2は、第一溝部11上方で第一パッド部位6Paの左右端に配置する三角状の角部であり、各下側中央角部C3,C4は、第一溝部11下方で第一パッド部位6Paの左右端に配置する三角状の角部である。これら一対の上側中央角部C1,C2と一対の下側中央角部C3,C4は、それぞれ第一パッド部位6Paにて構成されて相対的に柔らかい角部である。
また左側の第二パッド部位6Pbの前面には、第一溝部11と第三溝部の左端13aが適宜の位置にて交わることで、左上側角部C5と、本発明の角部に相当する左下側角部C6が形成されている。左上側角部C5は、第二パッド部位6Pbの上右端に配置する三角状の角部であり、第一溝部11の左端13aの上方に配置されている。また左下側角部C6は、第二パッド部位6Pbの下右端に配置する三角状の角部であり、第一溝部11の左端13aの下方に配置されている。これら左上側角部C5と左下側角部C6は、第二パッド部位6Pbにて構成されて相対的に硬くシャープな形状の角部である。そして右側の第二パッド部位6Pbの前面には、第二溝部12と第三溝部の右端13bが適宜の位置にて交わることで、右上側角部C7と、本発明の角部に相当する右下側角部C8が形成されている。右上側角部C7は、第二パッド部位6Pbの上左端に配置する三角状の角部であり、右下側角部C8は、第二パッド部位6Pbの下左端に配置する三角状の角部である。これら右上側角部C7と右下側角部C8も、第二パッド部位6Pbにて構成されて相対的に硬くシャープな形状の角部である。
[係止具]
図2に示す複数の係止具21〜30は、それぞれ図6に示す吊込部材50を係止可能な部材であり、対応する溝部11〜13の適宜の位置に設けられている。本実施例においては、一つの吊込部材50を係止するために2つの係止具が用いられており、これら2つの係止具が対をなして対応する溝部11〜13の適所に配置されている。例えば第一溝部11の上部には、図3を参照して、対をなす第一係止具21と第二係止具22が設けられており、これら一対の係止具21,22は、上下方向に適宜の間隔をあけて第三溝部13の上方に配置されている。また第一溝部11の下部にも、対をなす第三係止具23と第四係止具24が設けられており、これら一対の係止具23,24は、上下方向に適宜の間隔をあけて第三溝部13の下方に配置されている。また第二溝部12においても、図2を参照して、第一溝部11と左右対称となるように複数の係止具(第五係止具25〜第八係止具28)が設けられている。また両端13a,13bを除く第三溝部13部分には、左右方向に適宜の間隔をあけて、対をなす第九係止具29と第十係止具30が設けられている。
そして各係止具21〜30は略同一の基本構成を有するため、第一溝部11に設けられている第三係止具23を一例にその詳細を説明する。この第三係止具23は、適度に撓み変形可能な樹脂製の部材であり、図7を参照して、脚部23aと、一対の腕部23b,23cを有している。脚部23aは、第一溝部11の延長方向に長尺とされた上面視で略矩形の平板部位であり、図5に示すように第一溝部11の底壁11bに埋設状に一体化されている。また各腕部23b(23c)は、第一溝部11の延長方向に長尺とされた略逆J字状の板状部位であり、先端側に内向きに張り出している返し24a(24b)が設けられている。これら一対の腕部23b,23cは、左右方向に適宜の間隔をあけて脚部23aから立ち上がっており、図5に示すように底壁11bから第一溝部11内に露出している。そして露出している一対の腕部23b,23cの間に、吊込部材50の係止部52を挟持状態で係止できる。
[位置決め部]
図2に示す複数の位置決め部(41a〜41c,42a〜42c,43a,43b)は、それぞれ図6に示す吊込部材50を位置決めする部位であり、対応する溝部11〜13の適所に突出して設けられている。例えば第三溝部13には、第九係止具29と第十係止具30を挟んで、左方の第一中央位置決め部43aと、右方の第二中央位置決め部43bが設けられている。これら各中央位置決め部43a,43bは、それぞれ第三溝部13を短尺方向に縦断して上下の側壁の間に橋渡されている。
また第一溝部11には、図2を参照して、左側の第一位置決め部41a〜第三位置決め部41cが設けられ、第二溝部12にも、第一溝部11と左右対称となるように右側の第一位置決め部42a〜第三位置決め部42cが設けられている。そして左右の第一位置決め部41a(42a)〜第三位置決め部41c(42c)は、それぞれ本発明の位置決め部に相当し、アルファベットの対応する位置決め部は略同一の基本構成を有している。そこで以下に、第一溝部11の左側の各位置決め部41a〜41cを一例にその詳細を説明し、右側の位置決め部42a〜42cについては詳細な説明を省略する。
第一溝部11では、図3を参照して、第一位置決め部41aと、第二位置決め部41bと、第三位置決め部41cが、この順で上から下に適宜の間隔をあけて設けられている。そして第一位置決め部41aは、第一溝部11の上端に設けられており、第一係止具21の上方に配置されている。この第一位置決め部41aは、第一パッド部位6Paから第一溝部11内に向けて左方に突出する相対的に柔らかい部位である。また第二位置決め部41bは、第二係止具22と第三係止具23の間に設けられて、上下方向における第一溝部11の中間位置に配置されている。この第二位置決め部41bは、第二パッド部位6Pbの左下側角部C6から第一溝部11内である右方に突出する相対的に硬い部位である。また第三位置決め部41cは、第一溝部11の下端に設けられており、第四係止具24の下方に配置されている。この第三位置決め部41cは、第一パッド部位6Paから第一溝部11内に向けて左方に突出する相対的に柔らかい部位である。
そして各位置決め部41a〜41cは、第一溝部11内の左側境目BL1を境として左方又は右方に配置されている。例えば第二位置決め部41bは、図8を参照して、左側境目BL1よりも第一溝部11の左側に配置されており、右側の側壁11dから離間寸法D1で離間している。こうして第二パッド部位6Pbで構成されている第二位置決め部41bは、第一パッド部位6Paで構成されている右側の側壁11dに対して非一体化状態で配置されている。また図3を参照して、第一位置決め部41aと第三位置決め部41cは、それぞれ第一溝部11内で左側境目BL1よりも右側に配置されており、左側の側壁11cから離間している。こうして第一パッド部位6Paで構成されている第一位置決め部41aと第三位置決め部41cは、各々、第二パッド部位6Pbで構成されている左側の側壁11cに対して非一体化状態で配置されている。
そして各位置決め部41a〜41cは、それぞれ対応する側壁と底壁部分に一体化されて構成されている。例えば図8を参照して、第二位置決め部41bは、左側の側壁11cと底壁11bの左側部分に一体化されて構成されている。このため第二位置決め部41bを、左側の側壁11cに沿って延長して第一溝部11の奥行き方向である前後方向に高く(大きく)設けることができる。ここで第二位置決め部41bの高さ寸法H1は、吊込部材50に当接可能である限り特に限定しない。例えば第二位置決め部41bの高さ寸法H1を、係止状態の係止部52の配置位置以上に設定することで、吊込部材50の移動を好適に規制することができる。
[シートカバーの被覆作業(吊込部材の配設作業)]
図1を参照して、シートカバー6Sにてシートパッド6Pを覆いつつ、各吊込部材50を、対応するシートカバー6Sの一部とともに図2に示す各溝部11〜13内に引込状に係止する。そして係止状態の各吊込部材50は、それぞれ対応する一対の位置決め部によって位置決めされる。例えば第一溝部11の上部には、図1に示す第一表皮ピースSP1と第三表皮ピースSP3の間の吊込部材50が引き込まれて、第一係止具21と第二係止具22に係止される。この第一溝部11の上部に係止された吊込部材50は、図3に示すように左側の第一位置決め部41aと第二位置決め部41bにて位置決めされる。また第一溝部11の下部には、図1に示す第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3の間の吊込部材50が引き込まれて、第三係止具23と第四係止具24に係止される。この第一溝部11の下部に係止された吊込部材50は、図3に示すように左側の第二位置決め部41bと第三位置決め部41cにて位置決めされる。
また同様に第二溝部12においても、図1に示す第一表皮ピースSP1と第四表皮ピースSP4の間の吊込部材50と、第二表皮ピースSP2と第四表皮ピースSP4の間の吊込部材50が引き込まれる。そして第二溝部12内の各吊込部材50が、第一溝部11の場合と同様に、対応する一対の係止具25,26、27,28に係止され、さらに右側の第一位置決め部42a〜第三位置決め部42cにて位置決めされる。また第三溝部13には、図1に示す第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の間の吊込部材50が引き込まれる。そして第三溝部13内の吊込部材50も、対応する一対の係止具29,30に係止され、さらに各中央位置決め部43a,43bにて位置決めされる。
こうして本実施例では、各位置決め部41a〜41c,42a〜42c,43a,43bによって、係止状態の各吊込部材50を各溝部11〜13の適所に位置決めして配置しておく。すなわち係止状態の各吊込部材50が対応する溝部11〜13の延長方向に位置ずれしようとしても、いずれかの位置決部41a〜41c,42a〜42c,43a,43bに必ず当接してしまう。こうして各吊込部材50の移動を、位置決め部41a〜41c,42a〜42c,43a,43bとの当接で規制することにより、各吊込部材50を対応する溝部11〜13の適所に位置決めして配置しておくことができる。
そして本実施例においては、図2を参照して、第一パッド部位6Paと左右の第二パッド部位6Pbの境となる各境目BL1,BL2が、対応する各溝部11,12に重複して設けられている。この種の構成においては、各溝部11(12)の位置決め部41a〜41c(42a〜42c)が起因となって、両パッド部位6Pa,6Pbが混じり合うことでシート性能が悪化することが懸念される。例えば図3を参照して、左側の第二位置決め部41bが、第二パッド部位6Pbからなる左下側角部C6に配置されている。この左下側角部C6は、相対的に硬くされてシャープな形状を維持しているが、相対的に柔らかい第一パッド部位6Paが混入すると型崩れしてしまうおそれがある。また左側の第一位置決め部41aと第三位置決め部41cは、第一パッド部位6Paで構成されて相対的に柔らかくされている。そして各位置決め部41a,41cが起因となって、硬い第二パッド部位6Pbが第一パッド部位6Paに混入すると、天板メイン部6aに異物感が生じるなどして着座性が悪化するおそれがある。
そこで本実施例では、各位置決め部41a〜41c,42a〜42cが、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbのいずれか一方で構成され、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbのいずれか他方に非一体化状態とされて配置されている。例えば図3及び図8を参照して、左側の第二位置決め部41bは、第二パッド部位6Pbで構成されているとともに、第一パッド部位6Paに非一体化状態とされて配置されている。このように左下側角部C6の第二位置決め部41bを、第一パッド部位6Paと非一体化状態としておくことで、第二パッド部位6Pbにて規定されている左下側角部C6の構成(形状や硬度など)を好適に維持できる。また図3を参照して、左側の第一位置決め部41aと第三位置決め部41cは、第一パッド部位6Paで構成されているとともに、第二パッド部位6Pbに非一体化状態とされて配置されている。このように第一位置決め部41aと第三位置決め部41cを、第二パッド部位6Pbと非一体化状態としておくことで、第一パッド部位6Paが、第二パッド部位6Pbの混入で部分的に硬くなることを好適に阻止できる。また第二溝部12の右側の各位置決め部42a〜42cも、第一溝部11の左側の各位置決め部41a〜41cと略同一構成を有しているため同一の効果を奏する。
こうして本実施例においては、各位置決め部41a〜41c,42a〜42cが起因となって、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbが入り混じることで生じるシート性能の悪化を極力阻止できる。さらに本実施例では、各位置決め部41a〜41c,42a〜42cが、対応するパッド部位に非一体化状態とされているため、各溝部11、12を左右にスムーズに押し広げることができる。このため各吊込部材50の引込み作業時において、各溝部11、12を左右に適宜押し広げるなどして、各吊込部材50をスムーズに対応する係止具に係止できる。
さらに本実施例では、対をなす位置決め部によって、各吊込部材50を両端から安定的に位置決めしておく。例えば図3を参照して、第一溝部11の上部に係止された吊込部材50は、左側の第一位置決め部41aと第二位置決め部41bにて位置決めされる。このとき第二位置決め部41bが相対的に硬いことから、吊込部材50の下端部を安定的に位置決めしておくことができる。また吊込部材50の長尺方向の寸法が設計誤差などによって若干大きくなっていることがある。このような場合には相対的に柔らかい第一位置決め部41aを上方に押し退けながら第一溝部11内に吊込部材50を配置し、この吊込部材50の上端部を第一位置決め部41aで位置決めしておく。このとき第一位置決め部41aが、第二パッド部位6Pbと非一体化状態とされているため、第一位置決め部41aをスムーズに上方に撓ませて押し退けることができる。また第一溝部11の下部においても、相対的に硬い第二位置決め部41bと、相対的に柔らかい第三位置決め部41cにて吊込部材50を上下端から安定的に位置決めできる。そして同様に第二溝部12においても、各吊込部材50が、右側の第一位置決め部42a〜第三位置決め部42cにて安定的に位置決めされることとなる。
[シートバックの性能]
図1及び図2を参照して、シートバック6では、天板メイン部6aが、相対的に柔らかい第一パッド部位6Paで構成されている。こうして天板メイン部6aを柔らかくしたことにより、乗員に対する着座性を向上させることができる。このとき第一パッド部位6Paでは、左右の第一位置決め部41a,42aと第三位置決め部41c,42cから第二パッド部位6Pbが混入することが回避されている。このため天板メイン部6aにおいて、第二パッド部位6Pbの混入が原因となる異物感の発生が好適に防止されている。また左右の天板サイド部6bが、相対的に硬い第二パッド部位6Pbで構成されている。こうして左右の天板サイド部6bを硬くしたことにより、コーナリング走行時などに乗員側方をしっかりと支持することができる。このとき第二パッド部位6Pbでは、左右の第二位置決め部41b,42bから第一パッド部位6Paが混入することが回避されている。このため左右の天板サイド部6bにおいて、第一パッド部位6Paの混入が原因となる支持性能の悪化を好適に回避することができる。
以上説明した通り本実施例では、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbのいずれか一方で構成された各位置決め部41a〜41c等にて、境目BL1等と溝部11等が重複している部分において、各吊込部材50を溝部11等の適所に位置決めしておくことができる。そして各位置決め部41a〜41c等が、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbのいずれか他方に一体化されていないため、各位置決め部41a〜41c等を起因として、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbが混じり合うことを極力阻止することができる。また対をなす位置決め部(41aと41b、41bと41c等)によって、吊込部材50を両端から位置決めしておくことができる。このとき第二位置決め部41bを相対的に硬くしておくことにより、各吊込部材50を更に安定的に位置決めしておくことができる。また本実施例においては、第二パッド部位6Pbで構成されている角部C6等に第二位置決め部41b等を設け、この第二位置決め部41b等が、第一パッド部位6Paと非一体化状態とされている。このため第二パッド部位6Pbによって規定されている角部C6等の構成(形状や硬度など)が、第二位置決め部41b等を起因として、第一パッド部位6Paの混入によって異なってしまうことを極力阻止することができる。また各位置決め部41a〜41c等が、対応する溝部11等の側壁に一体化された状態で溝部11等内に突出している。このため各位置決め部41a〜41c等を側壁に沿って安定的に延長して溝部11等の奥行き方向に大きく設けることが可能となり、各吊込部材50をより確実に位置決めして配置することができる。そして天板メイン部6aと天板サイド部6bの硬度を異ならせることにより、シート性能を好適に向上させることができる。このため本実施例によれば、シート性能を極力維持しつつ、部分的に硬度の異なるシートパッド6Pの各溝部11等に、シートカバー6Sの吊込部材50を位置決めして配置することができる。
[変形例]
ここで位置決め部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば本変形例のシートパッド6Pには、図9を参照して、第一パッド部位6Paと、第二パッド部位6Pbと、十字状に交わる一対の溝部14,15と、境目BL3と、複数の位置決め部45a〜45dが設けられている。第一の溝部14は、第一パッド部位6Paと第二パッド部位6Pbの間に配置されて上下方向に延長している。この第一の溝部14の底壁には、上下に延長している境目BL3が重複して配置されている。また第二の溝部15は、左右方向に延長しつつ両パッド部位6Pa,6Pbに跨って配置されて、第一の溝部14に対して十字状に交わっている。そして両溝部14,15が十字状に交わることで、第二パッド部位6Pbの上右端に第一の角部C11が設けられ、第二パッド部位6Pbの下右端に第二の角部C12が設けられる。また同様に第一パッド部位6Paの上左端に第三の角部C13が設けられ、第一パッド部位6Paの下左端に第四の角部C14が設けられる。
そして本変形例では、第一の角部C11に相対的に硬い第一の位置決め部45aが設けられ、この第一の位置決め部45aが第一の溝部14内に突出している。さらに第一の位置決め部45aの上方には、第一パッド部位6Paにて構成されて相対的に柔らかい第三の位置決め部45cが、第一の溝部14内に突出しつつ第一の位置決め部45aに上下に隣り合って配置されている。そして隣り合って交互に配置された第一の位置決め部45aと第三の位置決め部45cにて、第一の溝部14の上部に配置する吊込部材50の下端部を位置決めすることができる。また第二の角部C12にも相対的に硬い第二の位置決め部45bが設けられ、この第二の位置決め部45bが第一の溝部14内に突出している。さらに第二の位置決め部45bの下方には、第一パッド部位6Paにて構成されて相対的に柔らかい第四の位置決め部45dが、第一の溝部14内に突出しつつ第二の位置決め部45bに上下に隣り合って配置されている。そして隣り合って交互に配置された第二の位置決め部45bと第四の位置決め部45dにて、第一の溝部14の下部に配置する吊込部材50の上端部を位置決めすることができる。こうして本変形例では、二種類の硬度の異なる位置決め部(45aと45c、45bと45d)を隣り合わせて交互に設けたことにより、対応する吊込部材50を更に確実に位置決めしておくことができる。なお二種類の硬度の異なる位置決め部(45aと45c、45bと45d)は、離間した状態で隣り合って配置されていてもよく、当接した状態で隣り合って配置されていてもよい。なお本変形例では、相対的に柔らかい位置決め部(45c,45d)を吊込部材50に近接配置したが、相対的に硬い位置決め部(45a,45b)を吊込部材50に近接配置してもよい。
本実施形態の乗物用シート2は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、各位置決め部41a〜41c等の構成(形状,寸法,硬さ,形成位置,形成数など)を例示したが、各位置決め部の構成を限定する趣旨ではない。例えば各位置決め部は、第一パッド部位と第二パッド部位のいずれかで構成することができ、すべての位置決め部を第一パッド部位で構成することができ、すべての位置決め部を第二パッド部位で構成することもできる。また第一パッド部位で構成された位置決め部と、第二パッド部位で構成された位置決め部を、溝部の短尺方向において対面状に配置することもできる。また溝部においては、吊込部材の一方の端部と他方の端部の少なくとも一つを位置決め部で位置決めすることができ、この場合には、各吊込部材毎に一つの位置決め部を設けることとなる。また位置決め部は、側壁と底壁の少なくとも一方に一体化されていればよい。また一方のパッド部位で構成されている位置決め部は、他方のパッド部位から離間して配置されていてもよく、他方のパッド部位に当接して配置されていてもよい。また位置決め部の吊込部材側の端部を面状として、位置決め部の面状の端部を、吊込部材の端部に面接触可能とすることもできる。なお各位置決め部は、係止状態の吊込部材に当接して配置されてもよく若干離れて配置されていてもよい。
また本実施形態では、各溝部11〜13と各境目BL1,BL2の構成(形状,寸法,配置位置,形成数など)を例示したが、これらの構成を限定する趣旨ではない。例えば溝部は、シートの上下左右前後又は斜め方向などの適宜の向きに延長することができ、直線状や湾曲状や屈曲状などの各種の形状を取り得る。また溝部の断面形状は、吊込部材を配置可能な各種の形状を取り得る。また溝部に設けられる係止具の構成(形状,寸法,配置位置,溝部への取付け手法など)も適宜変更可能である。また角部は、複数の溝部が、十字やT字やL字やV字状等の各種の形で交わることで形成でき、さらに相対的に硬い角部と相対的に柔らかい角部の少なくとも一方に位置決め部を設けることができる。なおシートパッドから角部を省略することもでき、この場合には、複数の溝部が互いに交わることなく配置されている。また境目は、溝部の一部にのみ重複して形成されていてもよい。
また本実施形態では、乗物用シート2の構成(形状,寸法,構成部材など)を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではない。例えば第一パッド部位と第二パッド部位の構成(形状,寸法,配置位置,配置数など)もシート構成に応じて適宜変更可能である。また天板メイン部を第二パッド部位で構成し、天板サイド部を第一パッド部位で構成することもできる。また天板メイン部又は天板サイド部を、第一パッド部位と第二パッド部位で構成することができ、例えば天板メイン部の上部を第一パッド部位で構成し、天板メイン部の下部を第二パッド部位で構成することもできる。また本実施形態の構成は、シートバック6のほか、シートクッション4やヘッドレスト8等の各種シート構成部材に適用できる。また本実施例の構成と変形例の構成は適宜組み合わせることができる。そして本実施形態の構成は、乗物用や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6a 天板メイン部
6b 天板サイド部
6F シートフレーム
6P シートパッド
6S シートカバー
6Pa 第一パッド部位
6Pb 第二パッド部位
7P パッド材
7S 裏面材
11 第一溝部(本発明の溝部)
11a 開口
11b 底壁
11c,11d 側壁
12 第二溝部(本発明の溝部)
13 第三溝部(本発明の他の溝部)
13a 第三溝部の左端
13b 第三溝部の右端
21〜30 係止具
41a〜41c 第一溝部の位置決め部(本発明の位置決め部)
42a〜42c 第二溝部の位置決め部(本発明の位置決め部)
43a,43b 第三溝部の位置決め部
50 吊込部材
52 係止部
C1〜C5、C7 角部
C6 左下側角部(本発明の角部)
C8 右下側角部(本発明の角部)
SEW 縫合線
SP1〜SP4 第一表皮ピース
BL1 左側境目
BL2 右側境目

Claims (7)

  1. 発泡樹脂製のシートパッドと、前記シートパッドの表面に設けられている溝部と、前記溝部内に突出している位置決め部と、前記シートパッドの表面を覆っているシートカバーと、前記シートカバーに取付けられている吊込部材とを備え、
    前記吊込部材が前記溝部内に取付けられている状態で、前記溝部の延長方向における前記吊込部材の移動が前記位置決め部との当接にて規制されている乗物用シートにおいて、
    前記シートパッドが、第一パッド部位と、前記第一パッド部位よりも硬い第二パッド部位とを有し、前記第一パッド部位と前記第二パッド部位を分けている線状の境目の少なくとも一部が、前記溝部に重複した状態で前記溝部と同方向に延長しており、
    前記境目と前記溝部が重複している部分に設けられている前記位置決め部が、前記第一パッド部位と前記第二パッド部位のいずれか一方で構成されているとともに、前記一方とは異なる前記第一パッド部位と前記第二パッド部位のいずれか他方に一体化されていない状態で配置されている乗物用シート。
  2. 前記位置決め部が、前記第二パッド部位で構成されている請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記境目と前記溝部が重複している部分に設けられている前記位置決め部として、前記溝部の延長方向における前記吊込部材の一方の端部に当接可能な第一位置決め部と、前記一方とは反対側に位置する前記吊込部材の他方の端部に当接可能な第二位置決め部とが設けられ、
    前記第一位置決め部と前記第二位置決め部の少なくとも一方が前記第二パッド部位で構成されている請求項1又は2に記載の乗物用シート。
  4. 前記シートパッドの表面に、前記溝部と他の溝部が交わることで形成されている角部が設けられているとともに、前記位置決め部が、前記角部から前記溝部内に突出している請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  5. 前記溝部が、前記吊込部材を係止可能な係止具が配置されている底壁と、前記底壁から前記溝部の開口に向けて立ち上がっている側壁とを有し、前記位置決め部が、前記側壁から前記溝部内に突出している請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  6. 前記溝部の延長方向において、前記第一パッド部位で構成されている位置決め部と、前記第二パッド部位で構成されている他の位置決め部とが隣り合って設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  7. 前記シートパッドが、シートの幅方向において中央に設けられている天板メイン部と、前記天板メイン部の側方で着座側に突出している天板サイド部とを有し、
    前記天板メイン部が前記第一パッド部位で構成されているとともに、前記天板サイド部が前記第二パッド部位で構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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