以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置1の概略斜視図である。図1に示す画像処理装置1は、例えば、スキャナーであり、台2と、カバー3と、入力装置4と、を有している。
台2の上部には、画像処理装置1によって画像データが読み込まれるスキャン対象物が置かれる。スキャン対象物は、例えば、原稿である。以下では、スキャン対象物を原稿として説明する。
カバー3は、台2の上部に対し、開閉できるようになっている。カバー3は、台2の上部に対して閉じられることにより、台2の上部に置かれた原稿を押さえる。
入力装置4は、例えば、キー装置やタッチパネルである。入力装置4は、ユーザーから所定の操作を受付ける。
画像処理装置1は、台2の上部に原稿が置かれて、カバー3が閉じられ、入力装置4がユーザーから所定の操作を受付けると、台2の上部に置かれた原稿の画像データを読み込む。
画像処理装置1は、画像データを読み込むと、読み込んだ画像データのエッジを抽出する(例えば、図7の(A)参照)。以下で詳述するが、画像処理装置1は、抽出したエッジに基づいて、読み込んだ画像データの非エッジ領域を検出し(例えば、図7の(B)のL1〜L3参照)、検出した非エッジ領域が、原稿部分であるか、または背景部分(例えば、原稿とともにスキャンされたカバー3の下側の面の部分)であるか、所定の条件に基づいて仮判定する。
そして、画像処置装置1は、仮判定した非エッジ領域の配置に基づいて、非エッジ領域の仮判定を補正する。例えば、画像処理装置1は、「原稿−背景−背景」や「背景−原稿−背景」といった、仮判定された非エッジ領域L1〜L3(図7の(B)参照)の並び方に基づいて、背景部分と仮判定した非エッジ領域を、原稿部分と補正したり、原稿部分と仮判定した非エッジ領域を背景部分と補正したりする。
画像処理装置1は、領域補正した原稿部分および背景部分に基づいて、読み込んだ画像データから、原稿部分を切り出す。
画像処理装置1は、切り出した原稿部分の画像データを、例えば、画像処理装置1と接続されたパーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置(図示せず)に送信する。または、画像処理装置1は、切り出した原稿部分の画像データを、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の外部メモリー(図示せず)に記憶する。これにより、ユーザーは、原稿部分のみの画像データを取得することができる。
ここで、画像処理装置1とは別の方法による原稿部分と背景部分との分離について説明する。別の方法により原稿部分と背景部分とを分離する画像処理装置は、画像データの端に接している非エッジ領域を背景部分と判定して、画像データを原稿部分と背景部分とに分ける。別の方法による画像処理装置は、画像処理装置1と同様に、台と、カバーと、入力装置とを有しているとする。
図2は、画像データを原稿部分と背景部分とに分ける方法を説明する図のその1である。図2の(A)には、画像処理装置がスキャンした原稿の画像データの例が示してある。図2の(A)に示すスキャン範囲11は、例えば、画像処理装置の台の、光が出射されるガラス面の端に対応する。すなわち、スキャン範囲11は、画像データの端である。
背景12は、原稿とともにスキャンされたカバーに対応している。原稿13は、台の上部に置かれ、スキャンされた原稿に対応している。罫線14は、原稿13に描かれている罫線に対応している。文字15は、原稿13に描かれている文字に対応している。
図2の(B)には、図2の(A)の画像データをエッジ処理したエッジデータの例が示してある。図2の(B)の白い部分がエッジ領域であり、黒い部分が非エッジ領域(エッジでない領域)である。図2の(B)の白線に示すように、背景12と原稿13との境界と、罫線14と、文字15とがエッジとして現れる。
画像処理装置は、画像データの端に接している非エッジ領域を背景と判定する。例えば、画像処理装置は、図2の(B)に示す大きい白線の四角形外の非エッジ領域を背景と判定する。そして、画像処理装置は、それ以外の領域(図2の(B)に示す大きい白線の四角形内)を原稿と判定する。
これにより、画像処理装置は、画像データを、図2の(C)に示すように、背景12の部分(黒く塗りつぶした部分)と、原稿13の部分(白く塗りつぶした部分)とに分けることができる。
図3は、画像データを原稿部分と背景部分とに分ける方法を説明する図のその2である。図3には、スキャン範囲21と、背景22と、原稿23と、罫線24と、文字25とが示してある。
図3の(A)には、原稿23がスキャン範囲21に接してまたは超えて、台に置かれ、スキャンされた場合の画像データの例が示してある。図3の(B)には、図3の(A)の画像データをエッジ処理したエッジデータの例が示してある。
画像処理装置は、図2の説明と同様に、画像データの端に接している非エッジ領域を背景と判定する。しかし、図3の(B)に示すように、3つの非エッジ領域26a〜26cは、全て画像データの端に接している。このため、画像処理装置は、原稿23も背景22と判定してしまい、画像データを背景22と原稿23とに適切に区分することは困難である。また、「A」という文字のエッジを含む非エッジ領域26aを原稿と判定しても、非エッジ領域26bは、エッジを含まないため、原稿と判定されない。
すなわち、画像処理装置は、図2に示したように、原稿13がスキャン範囲11内に収まるように、台に置かれれば、適切に原稿部分と背景部分とを分けることができるが、図3に示したように、原稿23がスキャン範囲21に接してまたは超えて、台に置かれ、スキャンされた場合、原稿部分と背景部分とを適切に分けることができない。
そこで、図1の画像処理装置1は、原稿23がスキャン範囲21に接してまたは超えて、台2に置かれても、適切に画像データの原稿部分と背景部分とを分ける。
図4は、画像処理装置1の機能ブロック構成例を示した図である。図4に示すように、画像処理装置1は、スキャン部31と、制御部32と、通信部33と、入力部34と、記憶部35とを有している。
スキャン部31は、例えば、イメージセンサー(図示せず)を備え、台2に置かれた原稿を光学的にスキャンし、原稿の画像データを出力する。スキャン部31は、例えば、カラー(RGB)の画像データを出力する。スキャン部31から出力された画像データは、記憶部35に記憶される。
制御部32は、画像処理装置1の動作を統合的に制御する。制御部32は、以下で詳述するが、スキャン部31によってスキャンされた原稿の画像データ(記憶部35に記憶された画像データ)を、背景部分と原稿部分とに分け、原稿部分を切り出す。
通信部33は、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置と通信を行う。通信部33は、例えば、有線または無線によって、情報処理装置と通信を行う。
入力部34は、入力装置4から、ユーザーからの操作データを受信する。
記憶部35には、制御部32が計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部35は、制御部32が所定のアプリケーション機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶している。各種のプログラムやデータ等は、あらかじめ不揮発性の記録媒体に記憶されていてもよいし、制御部32が通信ネットワークを介してサーバーから受信して記憶部35に記憶させてもよい。記憶部35は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の各種IC(Integrated Circuit)メモリーやハードディスク、メモリーカードなどの記録媒体等により構成される。
制御部32は、エッジ抽出部41と、非エッジ領域検出部42と、仮判定部43と、補正部44と、切り出し部45とを有している。制御部32の各部は、例えば、記憶部35に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)によって、その機能が実現される。なお、制御部32の各部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのカスタムIC(Integrated Circuit)によって、その機能を実現してもよいし、CPUとASICとによって、その機能を実現してもよい。
エッジ抽出部41は、スキャン部31によってスキャンされた原稿の画像データのエッジを抽出する。例えば、スキャン部31は、図3の(A)に示すような画像データを出力したとする。この場合、エッジ抽出部41は、図3の(B)に示すようなエッジデータを出力する。
エッジ抽出部41のエッジ抽出動作について具体的に説明する。エッジ抽出部41は、スキャン部31によってスキャンされた原稿のRGBの画像データを、輝度の画像データに変換する。エッジ抽出部41は、次の式(1)によって、RGBの画像データを輝度の画像データに変換する。
次に、エッジ抽出部41は、式(1)によって算出した輝度の画像データを用いて、注目画素と、その周囲の画素との輝度平均を算出する。そして、エッジ抽出部41は、算出した輝度平均を用いて、注目画素の輝度分散を算出し、注目画素と周囲の画素との輝度分散差を算出する。
図5は、エッジ抽出部41の輝度分散差の算出例を説明する図である。図5に示すマス目は、画素を示している。「P0」は、注目画素を示している。「P1〜P8」は、注目画素の周囲の画素(注目画素に隣接している画素)を示している。以下では、注目画素の周囲の画素を、「周囲画素」と呼ぶことがある。
エッジ抽出部41は、注目画素P0と、周囲画素P1〜P8との輝度平均を算出する。具体的には、エッジ抽出部41は、次の式(2)によって、注目画素P0と、周囲画素P1〜P8との輝度平均「Yu」を算出する。
ここで、式(2)の「xj,yi」は、画素の座標を示している。「Y(xj,yi)」は、座標「xj,yi」における画素の輝度(式(1)によって算出された輝度)を示している。すなわち、エッジ抽出部41は、図5に示している太枠内の画素の輝度平均「Yu」を算出する。
エッジ抽出部41は、式(2)によって輝度平均を算出すると、算出した輝度平均を用いて、注目画素P0の輝度分散を算出する。具体的には、エッジ抽出部41は、次の式(3)によって、注目画素P0の輝度分散「Ys」を算出する。
エッジ抽出部41は、画像データの全ての画素に対し、輝度分散「Ys」を算出する。例えば、エッジ抽出部41は、注目画素P0をラスタースキャンのように移動し、画像データの全ての画素の輝度分散「Ys」を算出する。
エッジ抽出部41は、全画素の輝度分散を算出すると、注目画素の輝度分散と、周囲画素の輝度分散との輝度分散差を算出する。例えば、エッジ抽出部41は、図5に示す注目画素P0の輝度分散と、周囲画素P1〜P8のそれぞれの輝度分散との差(輝度分散差)を算出する。より具体的には、エッジ抽出部41は、周囲画素P1と、注目画素P0との輝度分散差を算出し、周囲画素P2と、注目画素P0との輝度分散差を算出し、以下同様にして、周囲画素P8と、注目画素P0との輝度分散差を算出する。
エッジ抽出部41は、注目画素と周囲画素との輝度分散差を算出すると、算出した輝度分散差に基づいて、画像データのエッジを判定する。例えば、エッジ抽出部41は、注目画素P0と、周囲画素P1〜P8との輝度分散差の絶対値が、少なくとも1つ以上、所定の閾値(以下では、「輝度分散差閾値」と呼ぶことがある)を超えている場合、注目画素P0をエッジ画素と判定する。
エッジ抽出部41は、画像データの全ての画素に対し、輝度分散差を算出する。例えば、エッジ抽出部41は、注目画素P0をラスタースキャンのように移動し、画像データの全ての画素に対して輝度分散差を算出する。そして、エッジ抽出部41は、画像データの全ての画素についてエッジを判定する。
図6は、エッジの判定例を説明する図である。図6には、スキャン部31によってスキャンされた原稿の画像データが示してある。図6において、図3と同じものには同じ符号が付してある。図6に示す輝度分散差D0〜D3のそれぞれは、矢印A0〜A3のそれぞれの矢先が示す画素の輝度分散差(絶対値)を示している。
図6に示すように、矢印A1に示す画素の輝度分散差D1は、輝度分散差閾値を超え、矢印A1に示す画素は、エッジと判定される。また、矢印A3に示す画素の輝度分散差D3は、輝度分散差閾値を超え、矢印A3に示す画素は、エッジと判定される。なお、図6には示していないが、文字25の輝度分散差は、輝度分散差閾値を超え、エッジと判定される。これにより、図6に示す画像データのエッジは、例えば、以下の図7の(A)に示すようになる。
図4の説明に戻る。非エッジ領域検出部42は、エッジ抽出部41によって抽出された画像データのエッジ(エッジデータ)に基づいて、画像データの非エッジ領域を検出する。例えば、非エッジ領域検出部42は、エッジと画像データの端とで閉じられた領域やエッジで閉じられた領域を非エッジ領域として検出する。
図7は、非エッジ領域検出部42の非エッジ領域の検出例を説明する図である。図7の(A)には、図6に示した画像データのエッジデータが示してある。非エッジ領域検出部42は、図7の(A)に示すエッジデータに基づいて、図6に示した画像データの非エッジ領域L1〜L3(図7の(B))を検出する。
非エッジ領域検出部42の動作例について具体的に説明する。まず、注目画素と参照画素の定義について説明する。
図8は、注目画素と参照画素とを説明する図である。図8に示す「注」は注目画素を示し、「参」は参照画素を示している。注目画素がエッジ画素の場合、参照画素は、図8の(A)に示すように、注目画素の左隣りの画素、左斜め上の画素、上の画素、および右斜め上の画素となる。注目画素が非エッジ画素の場合、参照画素は、図8の(B)に示すように、注目画素の左隣りの画素および上の画素となる。
非エッジ領域検出部42は、注目画素に対し、ラベル値を割り当てていく。非エッジ領域検出部42は、注目画素と同じエッジ値(エッジであるか非エッジであるかを示す値)の参照画素が存在しない場合、注目画素に最後に割り当てたラベル値に「1」を加算したラベル値を割り当てる(最初に割り当てるラベル値は「1」とする)。ただし、非エッジ領域検出部42は、注目画素と同じエッジ値の参照画素が存在する場合、その参照画素の最も小さいラベル値を、注目画素に割り当てる。また、非エッジ領域検出部42は、参照画素の最も小さいラベル値を、注目画素に割り当てた場合、注目画素と同じエッジ値の参照画素のラベル値を、その最も小さいラベル値に補正する。
図9は、非エッジ領域検出部42の非エッジ領域検出動作例を説明する図である。図9に示すマス目は、画像データの画素に対応している。ハッチングされたマス目は、非エッジ画素に対応し、ハッチングされていないマス目は、エッジ画素に対応している。また、図9に示す下線が付されたラベル値の画素は、注目画素を示している。
非エッジ領域検出部42は、図9の(A)に示すように、左上の画素から右の画素へと順に、ラベル値を割り当てる。非エッジ領域検出部42は、注目画素と同じエッジ値の参照画素が存在しない場合、注目画素に最後に割り当てたラベル値に「1」を加算したラベル値を割り当てる。また、非エッジ領域検出部42は、注目画素と同じエッジ値の参照画素が存在する場合、その参照画素の最も小さいラベル値を、注目画素に割り当てる。
例えば、図9の(A)の左上端の画素の下の画素を注目画素とする。この注目画素は、非エッジの画素である。この場合、参照画素は、図8の(B)の参照画素の定義に基づき、左上端の画素のみとなる。左上端の画素は、注目画素と同じエッジ値の非エッジの画素であり、ラベル値は、「1」であるので、注目画素のラベル値は「1」となる。
図9の(A)に示すラベル値「7」の右隣に、注目画素が移動したとする。この注目画素は、エッジ画素であるので、図8の(A)の参照画素の定義に基づき、ラベル値は、図9の(B)に示すように「2」となる。また、ラベル値「2」の注目画素の左隣りの参照画素は、注目画素と同じエッジ画素であり、非エッジ領域検出部42は、その参照画素の補正ラベル値「7」を、図9の(B)に示すように、補正ラベル値「2」に変更する。
非エッジ領域検出部42が、上記の動作を繰り返すと、画素には、図9の(C)に示すようなラベル値が割り当てられる。非エッジ領域検出部42は、全ての画素にラベル値を割り当てると、ラベル値を補正ラベル値に補正する。例えば、非エッジ領域検出部42は、ラベル値「7」を補正ラベル値「2」に補正する。これにより、画素に割り当てられたラベル値は、図9の(D)に示すようになる。
このように、非エッジ領域検出部42は、画像データのエッジ領域と非エッジ領域とにラベル値を割り当てる。これにより、非エッジ領域検出部42は、ラベル値により、画像データの非エッジ領域を区別して検出できる。例えば、非エッジ領域検出部42は、ラベル値「1」が割り当てられた非エッジ領域と、ラベル値「3」が割り当てられた非エッジ領域と、ラベル値「5」が割り当てられた非エッジ領域とを検出することができる。
なお、非エッジ領域検出部42の非エッジ領域の検出動作は、上記の動作例に限られない。画像データの非エッジ領域の検出には、一般的な画像データ処理技術を用いることができる。
図4の説明に戻る。仮判定部43は、非エッジ領域検出部42によって検出された非エッジ領域が、以下に示す2つの条件を両方満たす場合、その非エッジ領域を背景部分(背景領域)と仮判定する。一方、仮判定部43は、非エッジ領域検出部42によって検出された非エッジ領域が、以下に示す2つの条件の少なくとも一方を満たさない場合、その非エッジ領域を原稿部分(原稿領域)と仮判定する。
第1の仮判定条件:画像データの2辺以上のデータ端に接していること
第2の仮判定条件:エッジが含まれていないこと
例えば、図7の(B)には、上記で説明したように、非エッジ領域検出部42によって検出された非エッジ領域L1〜L3が示してある。非エッジ領域L1には、文字によるエッジが含まれているため、非エッジ領域L1は、第2の仮判定条件を満たさない。従って、仮判定部43は、非エッジ領域L1を原稿領域と仮判定する。これに対し、非エッジ領域L2,L3は、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件を満たす。従って、仮判定部43は、非エッジ領域L2,L3を背景領域と仮判定する。
なお、非エッジ領域L1,L3は、3辺のデータ端に接している。非エッジ領域L2は、2辺のデータ端に接している。
原稿の中がくり抜かれている場合、くり抜かれた部分の非エッジ領域は、第1の仮判定条件を満たさないため、原稿領域として仮判定される。しかし、後述するように、原稿領域は、矩形で切り出されるため、くり抜かれた部分が原稿として仮判定されても問題はない。
また、画像データの1辺だけに接する非エッジ領域としては、原稿の端が欠けたものが考えられる。この場合、非エッジ領域は、第1の仮判定条件を満たさないため、原稿領域として仮判定される。しかし、上記と同様に、原稿領域は、矩形で切り出されるため、欠けた部分が原稿として仮判定されても問題はない。
仮判定部43は、非エッジ領域にエッジ領域が含まれているか否かについて(第2の仮判定条件を満たすか否かについて)、非エッジ領域検出部42が算出したラベル値に基づいて、判定することができる。
図10は、非エッジ領域内のエッジ領域の有無判定例を説明する図である。図10には、図9の(D)に示したラベル値の例が示してある。仮判定部43は、注目画素がエッジの場合、注目画素の周囲8画素のラベル値を参照する。仮判定部43は、周囲8画素が非エッジであり、かつ、そのラベル値が1種類の場合、注目画素は非エッジ領域に含まれていると判定する。
例えば、図10に示すラベル値「6」の画素は、エッジである。これを注目画素とすると、周囲8画素は、ラベル値が1種類(ラベル値「1」)の非エッジとなる。従って、この場合、仮判定部43は、ラベル値「1」の非エッジ領域には、ラベル値「6」のエッジ領域が含まれていると判定する。すなわち、仮判定部43は、第2の判定条件を上記のようにして判定することができる。
なお、上記では、仮判定部43は、注目画素の周囲8画素のラベル値を参照するとしたが、これに限られない。例えば、仮判定部43は、n×nの周囲画素のラベル値を参照してもよい。また、非エッジ領域にエッジ領域が含まれているか否かの判定は、非エッジ領域検出部42が実行してもよい。すなわち、仮判定部43は、非エッジ領域検出部42の判定結果を用いて、第2の仮判定条件を判定してもよい。
図4の説明に戻る。補正部44は、仮判定部43によって仮判定された非エッジ領域の配置に基づいて、非エッジ領域の仮判定結果を補正する。例えば、背景領域と仮判定された2個の非エッジ領域が隣接して存在するとする。そのうちの一方は、原稿領域と仮判定された非エッジ領域に隣接し、他方は、原稿領域と仮判定された非エッジ領域に隣接していないとする。この場合、補正部44は、原稿領域と仮判定された非エッジ領域に隣接している方の、背景領域と仮判定された非エッジ領域を、原稿領域に補正する。また、補正部44は、隣接する2つの背景領域が、両方とも原稿領域に隣接していない場合、両方の背景領域を原稿領域に補正する。
例えば、図7の(B)において、背景領域と仮判定された非エッジ領域L2,L3は、隣接している。隣接する非エッジ領域L2,L3のうち、非エッジ領域L2が原稿領域の非エッジ領域L1に隣接している。従って、補正部44は、非エッジ領域L2の仮判定を原稿領域に補正する。
図11は、画像データの補正後の原稿領域および背景領域を説明する図である。図11に示す領域L1’は、画像データの原稿領域を示している。領域L3’は、画像データの背景領域を示している。図7の(B)に示した非エッジ領域L2は、図11に示すように原稿領域に補正されている。
なお、補正部44は、非エッジ領域が隣接するか否かについて、非エッジ領域検出部42が算出したラベル値に基づいて、判定することができる。
図12は、非エッジ領域の隣接判定例を説明する図である。図12には、図9の(D)に示したラベル値の例が示してある。補正部44は、注目画素がエッジの場合、例えば、注目画素の周囲5×5の範囲の画素のラベル値を参照する。補正部44は、周囲5×5の範囲に非エッジの画素が含まれ、かつ、そのラベル値が2種類以上存在する場合、周囲5×5の範囲にある非エッジ領域は隣接していると判定する。
図12の例の場合、太線で示す周囲5×5の範囲に、ラベル値「1」の非エッジ領域と、ラベル値「3」の非エッジ領域とが含まれている。従って、補正部44は、ラベル値「1」の非エッジ領域と、ラベル値「3」の非エッジ領域は隣接していると判定する。
なお、上記では、補正部44は、注目画素の周囲5×5画素のラベル値を参照するとしたが、これに限られない。例えば、補正部44は、n×nの周囲画素のラベル値を参照してもよい。また、非エッジ領域が隣接しているか否かの判定は、非エッジ領域検出部42が実行してもよい。すなわち、補正部44は、非エッジ領域検出部42の判定結果を用いて、非エッジ領域が隣接しているか否か判定してもよい。
図4の説明に戻る。切り出し部45は、補正部44によって補正された画像データの原稿領域と背景領域とに基づいて、スキャン部11から出力された画像データから、原稿部分を切り出す。
図13は、原稿の切り出し例を説明する図のその1である。図13には、補正部44が補正した画像データの原稿領域(白く塗りつぶした部分)と背景領域(黒く塗りつぶした部分)とが示してある。
切り出し部45は、画像データの右端から、左端に向けて(−x軸方向に向けて)、原稿領域を探索する。例えば、切り出し部45は、図13の矢印に示すように、−x軸方向に向けて、原稿領域を探索する。切り出し部45は、最初に探索(発見)した原稿領域の座標(x,y)を、原稿の左端座標として、記憶部35に記憶する。
なお、切り出し部45は、y座標を1ずつインクリメントしながら、−x軸方向に向けて、最初の原稿領域を探索する。
図14は、原稿の切り出し例を説明する図のその2である。図14に示す黒丸は、切り出し部45が、−x軸方向に向けて最初に探索した原稿領域の座標が示してある。なお、図14には、17個の座標しか示していないが、実際はもっと沢山存在している。
切り出し部45は、−x軸方向において探索した最初の原稿領域の座標の中央値を、原稿の右端と判定する。
図15は、原稿の切り出し例を説明する図のその3である。図15に示すように、切り出し部45は、−x軸方向に探索した原稿領域の座標を、x座標値に基づいて降順に並べ替える。そして、切り出し部45は、並べ替えたx座標値の中央値の座標を、原稿の右端として判定する。例えば、切り出し部45は、図15に示す矢印A11の座標のx座標値を、原稿の右端の座標値と判定する。
切り出し部45は、画像データの上端から、下端に向けても(+y軸方向に向けても)、図13および図14と同様にして、最初の原稿領域を探索する。そして、切り出し部45は、図15と同様にして、探索した最初の原稿領域の中央値のy座標値を、原稿の上端の座標値と判定する。
また、切り出し部45は、画像データの下端から、上端に向けても(−y軸方向に向けても)、図13および図14と同様にして、最初の原稿領域を探索する。そして、切り出し部45は、図15と同様にして、探索した最初の原稿領域の中央値のy座標値を、原稿の下端の座標値と判定する。
また、切り出し部45は、画像データの左端から、右端に向けても(+x軸方向に向けても)、図13および図14と同様にして、最初の原稿領域を探索する。そして、切り出し部45は、図15と同様にして、探索したエッジ画素の中央値のx座標値を、原稿の左端の座標値と判定する。
そして、切り出し部45は、上記のようにして判定した、原稿の上下左右の端を示す座標値(矩形領域)を用いて、スキャン部11から出力された画像データから、原稿部分を切り出す。これにより、例えば、図13に示す白い部分(原稿部分)が切り出される。
図16は、画像処理装置1の動作例を示したフローチャートである。画像処理装置1は、例えば、入力装置4がユーザーから所定の操作を受付けると、図16に示すフローチャートの処理を実行する。
まず、スキャン部11は、台2に置かれた原稿をスキャンし、原稿の画像データを出力する(ステップS1)。
次に、エッジ抽出部41は、ステップS1にて出力された画像データのエッジを抽出する(ステップS2)。
次に、非エッジ領域検出部42は、ステップS2にて抽出されたエッジに基づいて、画像データの非エッジ領域を検出する(ステップS3)。
次に、仮判定部43は、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件に基づいて、ステップS3にて検出された非エッジ領域が、原稿領域であるかまたは背景領域であるか、仮判定する(ステップS4)。
次に、補正部44は、ステップS4にて仮判定された非エッジ領域を、仮判定された原稿領域と背景領域との配置に基づいて補正する(ステップS5)。
次に、切り出し部45は、ステップS5にて補正された原稿領域と背景領域とに基づいて、ステップS1にて出力された画像データから、原稿部分を切り出す(ステップS6)。そして、画像処理装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
このように、スキャン部11は、台2に置かれた原稿をスキャンし、原稿の画像データを出力する。エッジ抽出部41は、スキャン部11から出力された画像データのエッジを抽出し、非エッジ領域検出部42は、抽出されたエッジに基づいて、画像データの非エッジ領域を検出する。そして、仮判定部43は、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件に基づいて、検出された非エッジ領域を、原稿領域であるか背景領域であるか仮判定し、補正部44は、仮判定された非エッジ領域の配置に基づいて、非エッジ領域の仮判定を補正する。これにより、画像処理装置1は、画像データを原稿部分と背景部分とに適切に分けることができる。例えば、画像処理装置1は、原稿がスキャン範囲に接してまたは超えて、台2に置かれても、画像データを原稿部分と背景部分とに適切に分けることができる。
なお、図4に示した制御部32の機能は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置が有していてもよい。
図17は、情報処理装置50の機能ブロック構成例を示した図である。図17に示すように、情報処理装置50は、制御部32aと、I/F部51と、記憶部52とを有している。
図17に示す制御部32a、エッジ抽出部41a、非エッジ領域検出部42a、仮判定部43a、補正部44a、および切り出し部45aは、図4に示した制御部32、エッジ抽出部41、非エッジ領域検出部42、仮判定部43、補正部44、および切り出し部45と同様の機能を有し、その説明を省略する。
I/F部51(本発明の受信部に相当する)は、有線または無線によって、画像処理装置1のスキャン部11がスキャンした原稿の画像データを受信する。受信された画像データは、記憶部52に記憶される。
記憶部52には、制御部32aの機能を実現するアプリケーションプログラムが記憶されている。記憶部52は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。
制御部32aは、記憶部52に記憶されたアプリケーションプログラムを実行するCPUによって、その機能が実現される。制御部32aは、I/F部51によって受信された画像データ(記憶部52に記憶された画像データ)に対し、上記で説明したのと同様にして、非エッジ領域の原稿領域および背景領域を仮判定し、補正する。そして、制御部32aは、補正した画像データの原稿領域および背景領域に基づいて、画像データから原稿部分を切り出す。
このように、情報処理装置50が、画像データを、原稿領域と背景領域とに分け、原稿部分を切り出してもよい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、画像処理装置は、仮判定される非エッジ領域の配置組み合わせと、補正後の非エッジ領域の配置組合せとを対応付けて記憶した記憶部を備える。画像処理装置は、前記記憶部を参照して、仮判定した原稿領域および背景領域を補正する。
図18は、第2の実施の形態に係る画像処理装置1の機能ブロック構成例を示した図である。図18において、図4と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図4と異なる部分について説明する。
図18に示すように、画像処理装置1は、仮判定部61と、補正部62と、記憶部63とを有している。仮判定部61は、仮判定部43と同様の機能を有するが、仮判定した非エッジ領域が、画像データのどの位置に配置されているかの判定も行う。ここで、非エッジ領域の取り得るレイアウトについて説明する。
図19は、非エッジ領域のレイアウト例を示した図である。非エッジ領域は、第1の仮判定条件より、画像データの2辺以上のデータ端に接していると、背景領域と仮判定される可能性がある。一方、非エッジ領域は、画像データの2辺以上のデータ端に接していないと、原稿領域と仮判定される可能性がある。従って、背景領域および原稿領域と仮判定される非エッジ領域のレイアウトは、図19の(A)〜(C)に示すように、3つのレイアウトA〜Cが考えられる。図19に示す「2A」、「2B」…「3A」、「3B」…「4」は、レイアウトの領域の位置を示すとともに、その数字は、レイアウト端の辺に接している数を示している。
図20は、非エッジ領域がレイアウトのどの位置に配置されているかを判定するための判定条件を示した図である。図20に示す表の最左欄には、図19に示したレイアウトA〜Cの領域が示してある。図20に示す表の最上欄には、画像データのデータ端の位置が示している。図20に示す「1」は、最左欄の領域が、最上欄に示すデータ端の位置に接していることを示し、「0」は、最左欄の領域が、最上欄に示すデータ端の位置に接していないことを示している。米印は、「0」,「1」のどちらでもよいことを示している。
例えば、非エッジ領域検出部42によって検出された非エッジ領域が、画像データの左上端点と、上辺と、左辺とに接し、右上端点と、左下端点と、右下端点と、下辺と、右辺に接していないとする。この場合、仮判定部61は、図20の判定条件より、その非エッジ領域を、レイアウト(画像データ)の「2A」の位置に配置された非エッジ領域と判定する。
図18の説明に戻る。補正部62は、記憶部63を参照して、仮判定された非エッジ領域を補正する。
記憶部63には予め、仮判定部61によって仮判定される非エッジ領域の配置組み合わせと、補正後の非エッジ領域の配置組み合わせとが対応して記憶されている。なお、記憶部63には、図4で説明した記憶部35と同様の情報も記憶されている。
図21は、記憶部63のデータ構成例を示した図である。図21に示すように、記憶部63は、仮判定の欄と、補正後の欄とを有している。仮判定の欄および補正後の欄のそれぞれは、図19に示したレイアウトの領域の欄を有している。
なお、レイアウトの領域の欄は、図21では、図示を一部省略しているが、仮判定と補正後とのそれぞれにおいて、15個存在する(図20の最左欄を参照)。また、レイアウトの領域の欄は、「2A」、「2B」、「2C」、「2D」…「3C」、「3D」、「4」と順に並ぶが、紙面の都合上、「2A」、「2B」、「2C」、「2D」…と順に記載することができなかった。そのため、図21に示している2つの仮判定および補正後のレイアウトの領域の列は、その記載がずれている。
仮判定の欄には、仮判定部61によって仮判定される非エッジ領域の原稿領域および背景領域の配置組み合わせが記憶されている。例えば、図21のデータD1に示すように、仮判定の欄には、「2A」の領域が存在しない場合(NAは非エッジ領域が存在しないことを示す)や、「2I」が背景領域と仮判定される場合など、原稿領域および背景領域の配置組合せが記憶される。なお、仮判定の欄のレイアウトの領域の欄は、非エッジ領域が存在しない場合と、原稿領域と仮判定される場合と、背景領域と仮判定される場合との3つがあるので、仮判定される原稿領域および背景領域の全ての配置組み合わせは、315個存在する。
補正後の欄には、仮判定の欄に対応した、補正後の非エッジ領域の原稿領域および背景領域の配置組み合わせが記憶されている。例えば、図21のデータD1に示すように、「2I」の背景領域と仮判定された非エッジ領域は、補正後の「2I」の欄より、原稿領域に補正されることが分かる。なお、補正後の欄には、仮判定された背景領域が隣接し、そのうちの一方が、原稿領域に隣接している場合、その一方の背景領域が原稿領域に補正されるように、補正後の非エッジ領域の配置組み合わせが記憶されている。
以下、図18の画像処理装置1の動作について説明する。
図22は、画像処理装置1の動作例を説明する図のその1である。図22の(A)には、スキャン部31によってスキャンされた原稿の画像データ例が示してある。図22の(A)には、スキャン範囲71aと、背景72aと、原稿73aと、罫線74aと、文字75aとが示してある。
図22の(B)には、図22の(A)の画像データのエッジ(白い部分)が示してある。エッジ抽出部41が、図22の(A)の画像データのエッジを抽出すると、そのエッジは図22の(B)に示すようになる。
図22の(C)には、図22の(B)のエッジに基づいて検出した非エッジ領域L11〜L13が示してある。非エッジ領域検出部42が、図22の(B)のエッジに基づいて、非エッジ領域を検出すると、図22の(C)に示すように、非エッジ領域L11〜L13が検出される。
図22の(D)には、図22の(C)の非エッジ領域L11〜L13の仮判定が示してある。仮判定部61が、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件に基づいて、図22の(C)の非エッジ領域L11〜L13を仮判定すると、図22の(D)に示すように、非エッジ領域L11が原稿領域と仮判定(白く塗りつぶした部分)され、非エッジ領域L12,L13が背景領域と仮判定(黒く塗りつぶした部分)される。
また、仮判定部61は、仮判定した非エッジ領域L11〜L13が、画像データのどの位置に配置されているかの判定を行う。例えば、非エッジ領域L11は、画像データの左上端点、左下端点、上辺、下辺、および左辺に接し、右上端点、右下端点、および右辺に接していない。従って、仮判定部61は、図20に示した判定条件より、非エッジ領域L11は「3A」の領域に配置されていると判定する。同様に、仮判定部61は、非エッジ領域L12は「2I」に配置され、非エッジ領域L13は「3B」に配置されていると判定する。すなわち、仮判定部61は、「3A」の領域を原稿領域と仮判定し、「2I」の領域を背景領域と仮判定し、「3B」の領域を背景領域と仮判定する。なお、図22の(D)の非エッジ領域の配置は、図19の(B)のレイアウトBに対応する。
図22の(E)には、図22の(D)の仮判定の補正後が示してある。補正部62は、記憶部63を参照して、図22の(D)の仮判定を補正する。図22の(D)の仮判定は、図21に示すデータD1の仮判定の欄に対応し、「2I」の領域は背景領域から原稿領域に補正される。
図23は、画像処理装置1の動作例を説明する図のその2である。図23の(A)には、スキャン部31によってスキャンされた原稿の画像データ例が示してある。図23の(A)には、スキャン範囲71bと、背景72bと、原稿73bと、文字74bとが示してある。図23の(A)に示す点線の四角は、台2に置かれた原稿に対応している。
図23の(B)には、図23の(A)の画像データのエッジ(白い部分)が示してある。エッジ抽出部41が、図23の(A)の画像データのエッジを抽出すると、そのエッジは図23の(B)に示すようになる。
図23の(C)には、図23の(B)のエッジに基づいて検出した非エッジ領域L21,L22が示してある。非エッジ領域検出部42が、図23の(B)のエッジに基づいて、非エッジ領域を検出すると、図23の(C)に示すように、非エッジ領域L21,L22が検出される。
図23の(D)には、図23の(C)の非エッジ領域L21,L22の仮判定が示してある。仮判定部61が、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件に基づいて、図23の(C)の非エッジ領域L21,L22を仮判定すると、図23の(D)に示すように、非エッジ領域L21が背景領域と仮判定(黒く塗りつぶした部分)され、非エッジ領域L22が原稿領域と仮判定(白く塗りつぶした部分)される。
また、仮判定部61は、仮判定した非エッジ領域L21,L22が、画像データのどの位置に配置されているかの判定を行う。例えば、非エッジ領域L21は、画像データの左上端点、上辺、および左辺に接し、右上端点、左下端点、右下端点、下辺、および右辺に接していない。従って、仮判定部61は、図20に示した判定条件より、非エッジ領域L21は「2A」に配置されていると判定する。同様に、仮判定部61は、非エッジ領域L22は「4」に配置されていると判定する。すなわち、仮判定部61は、「2A」の領域を背景領域と仮判定し、「4」の領域を原稿領域と仮判定する。なお、図23の(D)の非エッジ領域の配置は、図19の(A)のレイアウトAに対応する。
図23の(E)には、図23の(D)の仮判定の補正後が示してある。補正部62は、記憶部63を参照して、図23の(D)の仮判定を補正する。図23の(D)の仮判定は、図21に示すデータD2の仮判定の欄に対応し、「2A」の領域は背景領域から原稿領域に補正される。
図24は、画像処理装置1の動作例を説明する図のその3である。図24の(A)には、スキャン部31によってスキャンされた原稿の画像データ例が示してある。図24の(A)には、スキャン範囲71cと、背景72c,73cと、原稿74cと、文字75cと、下線76cとが示してある。文字75cと下線76cはつながっているとする。図24の(A)に示す点線の四角は、台2に置かれた原稿に対応している。
図24の(B)には、図24の(A)の画像データのエッジ(白い部分)が示してある。エッジ抽出部41が、図24の(A)の画像データのエッジを抽出すると、そのエッジは図24の(B)に示すようになる。
図24の(C)には、図24の(B)のエッジに基づいて検出した非エッジ領域L31〜L34が示してある。非エッジ領域検出部42が、図24の(B)のエッジに基づいて、非エッジ領域を検出すると、図24の(C)に示すように、非エッジ領域L31〜L34が検出される。
図24の(D)には、図24の(C)の非エッジ領域L31〜L34の仮判定が示してある。仮判定部61が、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件に基づいて、図24の(C)の非エッジ領域L31〜L34を仮判定すると、図24の(D)に示すように、非エッジ領域L31〜L34が背景領域と仮判定(黒く塗りつぶした部分)される。
また、仮判定部61は、仮判定した非エッジ領域L31〜L34が、画像データのどの位置に配置されているかの判定を行う。例えば、非エッジ領域L33は、画像データの右上端点、上辺、左辺、および右辺に接し、左上端点、左下端点、右下端点、および下辺に接していない。従って、仮判定部61は、図20に示した判定条件より、非エッジ領域L33は「3C」に配置されていると判定する。同様に、仮判定部61は、非エッジ領域L31は「2A」に配置されていると判定し、非エッジ領域L32は「2C」に配置されていると判定し、非エッジ領域L34は「3D」に配置されていると判定する。すなわち、仮判定部61は、「2A」、「2C」、「3C」、「3D」の領域を背景領域と判定する。なお、図24の(D)の非エッジ領域の配置は、図19の(C)のレイアウトCに対応する。
図24の(E)には、図24の(D)の補正後が示してある。補正部62は、記憶部63を参照して、図24の(D)の仮判定を補正する。図24の(D)の仮判定は、図21に示すデータD3の仮判定の欄に対応し、「2A」、「2C」、「3C」、「3D」の領域は背景領域から原稿領域に補正される。
図18の画像処理装置1のフローチャートは、図16に示したフローチャートと同様になるが、ステップS4,S5の処理が異なる。図18の画像処理装置1は、図16のステップS4にて、非エッジ領域の仮判定を行うとともに、その非エッジ領域が画像データのどの位置に配置されているか判定する。そして、画像処理装置1は、ステップS5にて、記憶部63を参照し、仮判定を補正する。
このように、記憶部63は、仮判定部61によって仮判定される非エッジ領域の配置組み合わせと、補正後の非エッジ領域の配置組合せとを対応付けて記憶する。そして、補正部62は、記憶部63を参照して、非エッジ領域の仮判定を補正する。これにより、画像処理装置1は、画像データを原稿部分と背景部分とに適切に分けることができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、画像処理装置は、仮判定された非エッジ領域のレイアウトを、単純化したレイアウトに変換する。そして、画像処理装置は、仮判定部によって仮判定される非エッジ領域のレイアウト変換後の配置組合せと、補正後の非エッジ領域の配置組み合わせとを対応付けて記憶した記憶部を備え、その記憶部を参照して、仮判定した原稿領域および背景領域を補正する。
図25は、第3の実施の形態に係る画像処理装置1の機能ブロック構成例を示した図である。図25において、図18と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図18と異なる部分について説明する。
図25に示すように、画像処理装置1は、変換部81と、補正部82と、記憶部83とを有している。変換部81は、仮判定部61によって仮判定された非エッジ領域のレイアウトを、単純化したレイアウトに変換する。
図26は、レイアウト変換を説明する図である。隣接する非エッジ領域の配置に着目すれば、図19に示したレイアウトは、図26に示すように単純化できる。そこで、変換部81は、以下で説明する変換条件に従って、図19に示したレイアウトA〜Cのそれぞれを、図26に示すレイアウトa〜cのそれぞれに変換する。
図27は、レイアウトの変換条件を示した図である。例えば、図27の「レイアウトAの変換条件」の1行目に示すように、図26のレイアウトaの2aが、NAと変換される条件は、図19のレイアウトAの「2A」〜「2D」の領域の全てが「NA」の場合である。また、例えば、図27の「レイアウトBの変換条件」の6行目に示すように、図26のレイアウトbの「3a」の領域は、図19のレイアウトBの「3A」の仮判定に従う。また、例えば、図27の「レイアウトCの変換条件」の2行目に示すように、図26のレイアウトcの「2a」の領域が、原稿領域と変換される条件は、図19のレイアウトCの「2A」、「2B」の中で、背景領域が1個以下の場合である。
図25の説明に戻る。補正部82は、記憶部83を参照して、仮判定された非エッジ領域を補正する。
記憶部83には予め、仮判定部61によって仮判定される非エッジ領域のレイアウト変換後の配置組合せと、補正後の非エッジ領域の配置組み合わせとが対応づけて記憶される。なお、記憶部83には、図4で説明した記憶部35と同様の情報も記憶されている。
図28は、記憶部83のデータ構成例を示した図のその1である。図28に示すように、記憶部83は、仮判定の欄と、補正後の欄とを有している。仮判定の欄および補正後の欄のそれぞれは、図26に示したレイアウトの領域の欄を有している。
仮判定の欄には、仮判定部61よって仮判定される非エッジ領域の原稿領域および背景領域の、レイアウト変換後の配置組み合わせが記憶されている。補正後の欄には、仮判定の欄に対応した、補正後の非エッジ領域の原稿領域および背景領域の配置組み合わせが記憶されている。なお、図28に示すデータD12,D21は、1回補正された後、その一部(3a’,3b’)がデータD31によってさらに補正される。また、データD13,D22は、1回補正された後、その一部(3a’,3b’)がデータD32によってさらに補正される。
また、記憶部83にはさらに予め、図26に示したレイアウトを、図19のレイアウトに戻す情報が記憶されている。
図29は、記憶部83のデータ構成例を示した図のその2である。図29に示すように、記憶部83には、単純化されたレイアウトの領域と、単純化される前のレイアウトの領域とが対応付けて記憶されている。
以下、図25の画像処理装置1の動作について説明する。
図30は、画像処理装置1の動作例を説明する図のその1である。図30の(A)〜(D)は、図22の(A)〜(D)の非エッジ領域の仮判定およびレイアウト判定まで同様であり、その説明を省略する。
変換部81は、仮判定部61によって、「3A」の領域が原稿領域と判定され、「2I」の領域が背景領域と判定され、「3B」の領域が背景領域と判定(以下では、「3B:背景」等と簡略して記載することがある)されると、図27に示したレイアウト変換条件に基づき、レイアウト変換を行う。図30の(D)の例の場合、「3A:原稿」、「2I:背景」、「3B:背景」は、図26の(B)のレイアウトbに変換され、「3a:原稿」、「2e:背景」、「3b:背景」に変換される。
補正部82は、変換部81によって、レイアウト変換がされると、図28の記憶部83を参照し、仮判定を補正する。上記例の場合、補正部82は、図28のデータD12,D21,D31に基づいて、「3a:原稿」、「2e:原稿」、「3b:背景」と補正する。そして、変換部81は、図29の記憶部83を参照し、元のレイアウト(図19のレイアウトB)に戻す。
これにより、図30の(D)に示す非エッジ領域の仮判定「3A:原稿」、「2I:背景」、「3B:背景」は、図30の(E)に示すように、「3A:原稿」、「2I:原稿」、「3B:背景」と補正される。すなわち、非エッジ領域L11は原稿に補正され、非エッジ領域L12は原稿に補正され、非エッジ領域L13は背景に補正される。
図31は、画像処理装置1の動作例を説明する図のその2である。図31の(A)〜(D)は、図23の(A)〜(D)の非エッジ領域の仮判定およびレイアウト判定まで同様であり、その説明を省略する。
変換部81は、仮判定部61によって、「2A」の領域が背景領域と判定され、「4」の領域が原稿領域と判定されると、図27に示したレイアウト変換条件に基づき、レイアウト変換を行う。図31の(D)の例の場合、「2A:背景」、「4:原稿」は、図26の(A)のレイアウトaに変換され、「2a:原稿」、「4:原稿」に変換される。
補正部82は、変換部81によって、レイアウト変換がされると、図28の記憶部83を参照し、仮判定を補正する。上記例の場合、補正部82は、図28のデータD11に基づいて、「2a:原稿」、「4:原稿」と補正する。そして、変換部81は、図29の記憶部83を参照し、元のレイアウト(図19のレイアウトA)に戻す。
これにより、図31の(D)に示す非エッジ領域の仮判定「2A:背景」、「4原稿」は、図31の(E)に示すように、「2A:原稿」、「4:原稿」と補正される。すなわち、非エッジ領域L21,L22は原稿に補正される。
図32は、画像処理装置1の動作例を説明する図のその3である。図32の(A)〜(D)は、図24の(A)〜(D)の非エッジ領域の仮判定およびレイアウト判定まで同様であり、その説明を省略する。
変換部81は、仮判定部61によって、「2A」の領域が背景領域と判定され、「2C」の領域が背景領域と判定され、「3C」の領域が背景領域と判定され、「3D」の領域が背景領域と判定されると、図27に示したレイアウトの変換条件に基づき、レイアウト変換を行う。図32の(D)の例の場合、「2A:背景」、「2C:背景」、「3C:背景」、「3D:背景」は、図26の(C)のレイアウトcに変換され、「2a:原稿」、「2c:原稿」、「3a:背景」、「3b:背景」に変換される。
補正部82は、変換部81によって、レイアウト変換がされると、図28の記憶部83を参照し、仮判定を補正する。上記例の場合、補正部82は、図28のデータD13,D22,D32に基づいて、「2a:原稿」、「2c:原稿」、「3a:原稿」、「3b:原稿」と補正する。そして、変換部81は、図29の記憶部83を参照し、元のレイアウト(図19のレイアウトC)に戻す。
これにより、図32の(D)に示す非エッジ領域の仮判定「2A:背景」、「2C:背景」、「3C:背景」、「3D:背景」は、図32の(E)に示すように、「2A:原稿」、「2A:原稿」、「3A:原稿」、「3A:原稿」と補正される。すなわち、非エッジ領域L31〜L34は原稿に補正される。
図33は、画像処理装置1の動作例を示したフローチャートである。図33において、図16と同じ処理には同じ符号が付してある。以下では、図16と異なる処理について説明する。
ステップS11において、仮判定部61は、第1の仮判定条件および第2の仮判定条件に基づいて、ステップS3にて検出された非エッジ領域を、原稿領域であるかまたは背景領域であるか、仮判定するとともに、仮判定した非エッジ領域が、画像データのどの位置に配置されているか判定する。
次に、変換部81は、ステップS11にて仮判定された非エッジ領域のレイアウト変換を行う(ステップS12)。
次に、補正部82は、記憶部83を参照して、ステップS12にてレイアウト変換された、仮判定された非エッジ領域を補正し、元のレイアウトに戻す(ステップS13)。
このように、変換部81は、仮判定された非エッジ領域のレイアウトを、単純化したレイアウトに変換する。記憶部83は、仮判定部61によって仮判定される非エッジ領域のレイアウト変換後の配置組合せと、補正後の非エッジ領域の配置組み合わせとを対応付けて記憶する。そして、補正部82は、記憶部83を参照して、非エッジ領域の仮判定を補正する。これにより、画像処理装置1は、記憶部83の記憶容量を低減することができる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、画像処理装置1および情報処理装置50の機能構成は、その構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。画像処理装置1および情報処理装置50の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。例えば、各実施の形態を組み合わせてもよい。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、本発明は、画像処理装置1および情報処理装置50の機能を実現するプログラム、当該プログラムを記憶した記憶媒体として提供することもできる。