JP6690925B2 - 透明導電膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電膜の製造方法に関する。
近年、ITO透明導電膜の代替材料として、金属ナノワイヤ透明導電膜が注目されている。アスペクト比が高い金属ナノワイヤの網目構造により、高透明かつ高導電性の透明導電膜が作製でき、しかも、耐熱性が低いフレキシブル基板や有機TFT(thin film transistor)等のデバイスへの応用が広まって、ウェアラブルデバイス等の実現に不可欠の重要部品として研究されている。
しかし、金属ナノワイヤは、高湿度、高温度、有害ガス等により腐食反応が進行し、導電性が低くなって、デバイスの信頼性が極めて低下するため、金属ナノワイヤの保護が喫緊の課題となっている。
例えば、下記特許文献1には、フィルム基体上に、金属ナノワイヤを主成分とする透明導電層、及び透明導電層に積層した透明保護層を備える透明導電フィルムが開示されている。
また、下記特許文献2には、基材フィルムの一方の面にハードコート層を有し、基材フィルムの他方の面に銀ナノワイヤ等の線状構造体からなる導電成分を含む導電層を有するとともに、上記線状構造体にアクリル系の紫外線硬化性樹脂等の保護材を被覆した透明導電フィルムが開示されている。
以上のように、様々な保護膜や金属ナノワイヤ自体のコーティング材料が研究されているが、保護膜としてのコーティング材料により導電膜の導電性が低下することがある。
特開2014−191894号公報 特開2013−200943号公報
本発明の目的は、耐腐食性に優れ、抵抗値の経時変化が少なく信頼性の高い透明導電膜形成方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、透明導電膜の製造方法であって、透明基板の一方の主面上に、金属ナノワイヤの分散液を塗布し、前記塗布された金属ナノワイヤの分散液から分散媒を蒸発させて乾燥させることにより金属ナノワイヤの網目構造を形成し、前記金属ナノワイヤの網目構造の上に、金属化合物と分子内にアミノ基と水酸基を有する化合物とを有機溶媒に混合した前駆体溶液を塗布し、前記前駆体溶液を400℃を超えない条件下で乾燥させることを特徴とする。
前記金属化合物が亜鉛、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステンの有機カルボン酸塩、硝酸塩、塩化物、アセチルアセトン錯体の少なくとも一種であるのが好適である。
また、上記金属化合物を構成する金属原子は亜鉛であるのが好適であり、上記金属化合物は酢酸亜鉛がより好適である。
また、上記分子内にアミノ基と水酸基を有する化合物は炭素原子数が2〜9の化合物であるのが好適であり、更にモノエタノールアミン、ジエタノールアミンであるのがより好適である。
また、上記前駆体溶液の有機溶媒は2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノールからなる群のいずれかであるのが好適である。
また、上記前駆体溶液の塗布・乾燥は複数回繰り返すのが好適である。
上記金属ナノワイヤ分散液の分散媒はエタノールであるのが好適である。
本発明によれば、オーバーコート用樹脂を用いなくても耐腐食性を向上できる透明導電膜を形成できる。
パルス光の定義を説明するための図である。 実施例1及び比較例1で得られた透明導電膜の試料の、温度を100℃一定に保持した状態での電気特性の評価結果を示す図である。 実施例1及び比較例1〜3で得られた透明導電膜の試料に、紫外線を照射した場合の電気特性の評価結果を示す図である。 実施例2及び比較例4で得られた透明導電膜の試料のXRDの測定結果を示す図である。 比較例5で得られた前駆体塗布膜の試料のXPSの測定結果を示す図である。 実施例3で得られた前駆体塗布膜の試料のXPSの測定結果を示す図である。 実施例1で得られた透明導電膜の試料の断面のSEM像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
実施形態にかかる透明導電膜の製造方法は、透明基板の一方の主面上に、金属ナノワイヤの分散液(以後、金属ナノワイヤペーストということがある)を塗布し、塗布された金属ナノワイヤの分散液から分散媒を蒸発させて乾燥させることにより金属ナノワイヤの網目構造を形成し、金属ナノワイヤの網目構造の上に、金属化合物と安定剤とを有機溶媒に混合した前駆体溶液を塗布し、前駆体溶液を乾燥させる工程を含む。
金属ナノワイヤの分散液から分散媒を蒸発させる方法及び前駆体溶液を乾燥させる方法は限定されないが、常温で6時間から数日かけて乾燥、オーブンで短時間加熱(例えば、100〜200℃で、1分〜2時間加熱)等によることができる。
また、金属ナノワイヤの網目構造の上に塗布した前駆体溶液の乾燥は、オーブンで比較的低温での加熱またはパルス光の照射によってもよい。
本明細書中において「パルス光」とは、光照射期間(照射時間)が数マイクロ秒から数十ミリ秒の短時間の光であり、光照射を複数回繰り返す場合は図1に示すように、第一の光照射期間(on)と第二の光照射期間(on)との間に光が照射されない期間(照射間隔(off))を有する光照射を意味する。図1ではパルス光の光強度が一定であるように示しているが、1回の光照射期間(on)内で光強度が変化してもよい。上記パルス光は、キセノンフラッシュランプ等のフラッシュランプを備える光源から照射される。このような光源を使用して、基板に堆積された金属ナノワイヤの網目構造及び前駆体溶液にパルス光を照射する。n回繰り返し照射する場合は、図1における1サイクル(on+off)をn回反復する。なお、繰り返し照射する場合には、次パルス光照射を行う際に、基板を室温付近まで冷却できるようにするため基板側から冷却することが好ましい。
また、上記パルス光としては、1pm〜1mの波長範囲の電磁波を使用することができ、好ましくは10nm〜1000μmの波長範囲の電磁波(遠紫外から遠赤外まで)、さらに好ましくは100nm〜2000nmの波長範囲の電磁波を使用することができる。このような電磁波の例としては、ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線等が挙げられる。なお、熱エネルギーへの変換を考えた場合には、あまりに波長が短い場合には、透明基板(樹脂基板)等へのダメージが大きく好ましくない。また、波長が長すぎる場合には効率的に吸収して発熱することが出来ないので好ましくない。従って、波長の範囲としては、前述の波長の中でも特に紫外から赤外の範囲が好ましく、より好ましくは100〜2000nmの範囲の波長である。
パルス光の1回の照射時間(on)は、光強度にもよるが、20マイクロ秒〜50ミリ秒の範囲が好ましい。20マイクロ秒よりも短いと金属ナノワイヤの焼結が進まず、透明導電膜の性能向上の効果が低くなる。また、50ミリ秒よりも長いと光劣化、熱劣化により透明基板へ悪影響を及ぼすことがあり、また金属ナノワイヤが吹き飛びやすくなる。より好ましくは40マイクロ秒〜10ミリ秒である。上記理由により、本実施形態では連続光ではなくパルス光を用いる。パルス光の照射は単発で実施しても効果はあるが、上記の通り繰り返し実施することもできる。繰返し実施する場合照射間隔(off)は20マイクロ秒〜5秒、より好ましくは2ミリ秒〜2秒の範囲とすることが好ましい。20マイクロ秒よりも短いと、連続光に近くなってしまい、一回の照射後に放冷される間も無く照射されるので、透明基板が加熱され温度が高くなって劣化する可能性がある。また、5秒よりも長いとプロセス時間が長くなるので好ましくない。ただし、生産性を重視しない場合には照射間隔(off)を5秒より長くしてもよい。
ただし、より緻密な保護膜を得るという観点ではパルス光の照射ではなく、オーブンにより加熱を行うことが好ましく、特に金属ナノワイヤの安定性や保護膜の緻密性を考えると比較的低温で長時間をかけて前駆体溶液を乾燥することが好ましい。好ましい範囲としては対象となるものの大きさにもより、一律に規定することは難しいが、例えば100℃から200℃の間で、0.1分間から60分間、より好ましくは120℃から180℃の間で0.5分間から30分間の間で加熱することが好ましい。無論加熱装置の違いや基材の大きさによって必要な加熱温度や時間が異なってくることは言うまでもない。乾燥の目安としては、金属化合物が完全な金属酸化物にならずに、前駆体が分解し水酸化物等を持った化合物に変わった状態で存在していることが好ましく、このような状態に保てるような条件で乾燥することが必要であり、少なくともピーク温度としては400℃を超えない条件下で実施する必要があり、より好ましくは350℃を超えない条件下、さらに好ましくは300℃を超えない条件下で実施する。パルス光照射により加熱する場合には、基板に堆積された金属ナノワイヤの温度が400℃を超えない範囲で1回あるいは必要に応じて複数回パルス光照射することができる。
上記金属ナノワイヤは、径がナノメーターオーダーのサイズである金属であり、ワイヤ状の形状を有する導電性材料である。なお、本実施形態では、金属ナノワイヤとともに(混合して)、または金属ナノワイヤに代えて、ポーラスあるいはノンポーラスのチューブ状の形状を有する導電性材料である金属ナノチューブを使用してもよい。本明細書において、「ワイヤ状」と「チューブ状」はいずれも線状であるが、前者は中央が中空ではないもの、後者は中央が中空であるものを意図する。性状は、柔軟であってもよく、剛直であってもよい。以下、本明細書において「金属ナノワイヤ」は金属ナノワイヤと金属ナノチューブを包括する意味で用いることがある。
金属ナノワイヤおよび金属ナノチューブの径の太さの平均は、1〜500nmが好ましく、5〜200nmがより好ましく、5〜100nmがさらに好ましく、10〜100nmが特に好ましい。また、金属ナノワイヤおよび金属ナノチューブの長軸の長さの平均は、1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、2〜50μmがさらに好ましく、5〜30μmが特に好ましい。金属ナノワイヤおよび金属ナノチューブは、径の太さの平均および長軸の長さの平均が上記範囲を満たすとともに、アスペクト比の平均が5より大きいことが好ましく、10以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましく、200以上であることが特に好ましい。ここで、アスペクト比は、金属ナノワイヤおよび金属ナノチューブの径の平均的な太さをb、長軸の平均的な長さをaと近似した場合、a/bで求められる値である。a及びbは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定できる。
金属の種類としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種およびこれら金属を組み合わせた合金等が挙げられる。低い表面抵抗かつ高い全光線透過率を有する透明導電膜を得るためには、金、銀および銅のいずれかを少なくとも1種含むことが好ましい。これらの金属は導電性が高いため、一定の表面抵抗を得る際に、面に占める金属の密度を減らすことができるので、高い全光線透過率を実現できる。
これらの金属の中でも、金または銀の少なくとも1種を含むことがより好ましい。最適な態様としては、銀のナノワイヤが挙げられる。
金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブの製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤは、ポリオール(Poly−ol)法を用いて、ポリビニルピロリドン存在下で硝酸銀を還元することによって合成することができる(Chem.Mater.,2002,14,4736参照)。金ナノワイヤも同様に、ポリビニルピロリドン存在下で塩化金酸水和物を還元することによって合成することができる(J.Am.Chem.Soc.,2007,129,1733参照)。銀ナノワイヤおよび金ナノワイヤの大規模な合成および精製の技術に関しては国際公開第2008/073143号パンフレットと国際公開第2008/046058号パンフレットに詳細な記述がある。ポーラス構造を有する金ナノチューブは、銀ナノワイヤを鋳型にして、塩化金酸溶液を還元することにより合成することができる。ここで、鋳型に用いた銀ナノワイヤは塩化金酸との酸化還元反応により溶液中に溶け出し、結果としてポーラス構造を有する金ナノチューブができる(J.Am.Chem.Soc.,2004,126,3892−3901参照)。
また、上記金属ナノワイヤ分散液において、金属ナノワイヤを分散させる分散媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコールや水、あるいはそれらの混合物が挙げられるが、沸点があまりに低いと乾燥しやすく、あまりに高いと乾燥に時間がかかるので、60℃から120℃、より好ましくは70℃から90℃程度の沸点を持つものが好ましい。ただし、t−ブチルアルコールの沸点はより好ましい範囲内であるが融点が25.7度と高いので却って扱いにくい。従って、エタノール、イソプロピルアルコールを用いることが好ましい。金属ナノワイヤ分散液中の金属ナノワイヤの濃度は、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜2質量%がさらに好ましい。
また、上記前駆体溶液は、金属化合物と安定剤とを有機溶媒に溶解したものである。金属化合物としては、金属化合物を構成する金属原子が亜鉛、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステンの酢酸塩等の有機カルボン酸塩、硝酸塩、塩化物やアセチルアセトン錯体等が挙げられるが、金属原子が亜鉛の化合物、具体的には亜鉛の有機カルボン酸塩、硝酸塩、塩化物やアセチルアセトン錯体が溶媒への溶解性、金属化合物の分解に伴い、金属ナノワイヤに付着する水酸化物及びその類似体の安定的な生成の点で好ましく、酢酸亜鉛がより好ましい。
また、金属化合物の有機溶媒への溶解時の安定剤としては、分子内にアミノ基と水酸基を有する化合物を用いるが、分子内にアミノ基と水酸基を有する炭素原子数が2〜9の化合物が好ましい。具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール等が挙げられる。中でもモノエタノールアミンが好ましい。
また、有機溶媒としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール等が挙げられる。前駆体溶液中の金属化合物の濃度は、0.1〜5M(mol/L)が好適である。
また、前駆体溶液中の安定剤の濃度は、0.1〜10M(mol/L)が好適である。安定剤の濃度が0.1Mより低いと反応効率が低下する。一方、10Mより高いと、原料の一部が反応せずに前駆体溶液中に残留してしまう。また、両者の配合比(金属化合物の濃度/安定剤の濃度[モル比])は、金属化合物が安定的に溶解できるような比であればよい。例えば0.5〜5.0が好適である。
金属ナノワイヤの網目構造の上に上記前駆体溶液を塗布し、前駆体溶液を乾燥させることにより、前駆体溶液中の金属化合物が分解して金属酸化物前駆体が生成し、この金属酸化物前駆体が金属ナノワイヤの表面に付着、堆積すると考えられる。ここで、金属酸化物前駆体には、水酸化亜鉛等の金属水酸化物や、酢酸亜鉛等の有機カルボン酸塩のカルボニル基がアミンと置換されたもの等が含まれると考えられる。金属酸化物前駆体が金属ナノワイヤの表面に付着すると、透明な保護膜として機能する。この結果、金属ナノワイヤで構成された透明導電膜表面が保護され、高温あるいは紫外線にさらされる環境においても金属ナノワイヤの網目構造の導電率の低下(抵抗の上昇)を抑制出来る。これにより、透明導電膜を使用したデバイスの安定性、信頼性を向上することができる。
なお、前駆体溶液の塗布量は、透明導電膜に要求される透明性等の目的に応じて、及び透明導電膜の面積に応じて適宜選択することができる。また、上記前駆体溶液塗布、乾燥の一連の工程は1回でもよいが、より確実に金属ナノワイヤ表面を保護する観点からは複数回実施することが好ましい。
また、本実施形態に係る透明導電膜形成方法では、金属ナノワイヤの網目構造を形成した後に前駆体溶液を金属ナノワイヤの網目構造の上に塗布するので、塗布後も金属ナノワイヤの接触(導電ネットワーク)が維持されており、金属水酸化物が金属ナノワイヤの表面に付着した後も、透明導電膜の導電性を高い状態で維持することができる。
本実施形態において用いることができる透明基板は透明性の高い基板であれば特に制限はない。さらに耐熱性を有することが好ましい。例えば、ガラス、プラスチック(ポレエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ4−メチルペンテン−1(TPX(登録商標))、シクロオレフィン(シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP))フィルム(例えばゼオノア(登録商標)、アペル(登録商標))、アリルエステル樹脂等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<銀ナノワイヤペーストの調製>
ポリオール法で作製した銀ナノワイヤ(SEM画像観察による任意の100本の銀ナノワイヤ平均長さ40μm以上、SEM画像観察による任意の100本の銀ナノワイヤ平均径は90nm)をエタノールに0.25質量%の濃度で分散させ、銀ナノワイヤペーストとした。
<前駆体溶液の調製>
室温において、有機溶媒としての2−メトキシエタノール20mL中に金属化合物としての酢酸亜鉛(無水物)2.5gと安定剤としてのモノエタノールアミン1.7g[酢酸亜鉛/モノエタノールアミン=1/2(モル比)]を混合し、前駆体溶液とした。
<実施例1>
上記銀ナノワイヤペーストをソーダライムガラス(松浪硝子工業株式会社製スライドガラスS1111(30mm×25mm))に0.5gの塗布量でバーコート塗布(バーコーター番線No.3使用)した後、150℃に設定したホットプレート(アドバンテック東洋社製ホットプレートスターラー SRS266TB)上に載せ1分間乾燥し、銀ナノワイヤの網目構造を形成した。その後、形成した銀ナノワイヤの網目構造の上から上記前駆体溶液を40μl滴下し、2000rpmで15秒間スピンコートした後、上記と同様にして150℃で1分間乾燥した。この前駆体溶液滴下、塗布、乾燥工程を2回繰り返した。これにより、透明導電膜の試料を2点得た。
<比較例1>
上記銀ナノワイヤペーストを使用して実施例1と同様にして銀ナノワイヤの網目構造を形成した。本比較例では、上記前駆体溶液を塗布せず、銀ナノワイヤの網目構造のみの透明導電膜の試料を2点得た。
<比較例2、3>
実施例1における前駆体溶液の代わりに、銀ナノワイヤの網目構造の上からポリイミドフィルム(ポリイミドテープ幅25mm、日東電工(株)製)を貼り付けたものを比較例2とし、ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製 リポキシ(登録商標)SP−1509)にパーヘキサTMH((株)日油製)1phrを加えたものを実施例1と同様に塗布し、130℃−1時間の条件で硬化させたものを比較例3として、それぞれ2点得た。
<評価>
実施例1及び比較例1で得られた透明導電膜の試料について、100℃の恒温炉に入れ、温度を100℃一定に保持した状態で電気特性(シート抵抗 Ω/□)の経時変化を測定した。結果を図2に示す。
また、実施例1、比較例1〜3で得られた透明導電膜の試料について、UVランプ(アズワン株式会社 Handy UV lamp SLUV−8,254nm)により紫外光を照射しつつ、電気特性(シート抵抗 Ω/□)の経時変化を測定した。結果を図3に示す。
上記電気特性は、4端子法(株式会社 三菱化学アナリテック製 抵抗率測定装置 ロレスタ(登録商標)−GP MCP−T610を用いて測定)を用いて評価した。なお、図2、図3において、横軸は透明導電膜の製造時からの経過日数を示し、縦軸は、製造時におけるシート抵抗R0と製造時からある時間経過した時点におけるシート抵抗Rとの比(R/R0)を示している。
図2に示されるように、前駆体溶液により保護膜を形成しない比較例1(2試料のデータをそれぞれAgNW−S1、AgNW−S2と表記)の場合には、シート抵抗が10日〜15日日で大幅に高くなった。一方、前駆体溶液による保護膜が形成された実施例1(2試料のデータをそれぞれS1、S2と表記)では、30日経過後もほぼ一定水準の抵抗値が維持された。
また、図3に示されるように、前駆体溶液により保護膜を形成しない比較例1(2試料のデータをそれぞれAgNW−S1、AgNW−S2と表記)、ポリイミドフィルムを貼り付けた比較例2(2試料のデータをそれぞれPI−S1、PI−S2と表記)及びビニルエステル樹脂を塗布した後硬化させた比較例3(2試料のデータをそれぞれSP−1509−S1、SP−1509−S2と表記)の場合には、シート抵抗が10日〜20日日で大幅に高くなった。一方、前駆体溶液による保護膜が形成された実施例1では、25日を経過してもほぼ一定水準の抵抗値が維持された。
<実施例2、比較例4>
実施例1における前駆体溶液の乾燥温度を300℃、30分としたものを実施例2とし、500℃、30分としたものを比較例4として、下記条件でそれぞれXRD(薄膜X線回折)の測定を行った。結果を図4に示す。
<参考例、比較例5>
また、実施例1で使用した前駆体溶液のみを石英ガラス基板に塗布後大気雰囲気下600℃で30分間加熱乾燥した前駆体塗布膜の試料を比較例5とし、200℃で2分間乾燥した前駆体塗布膜の試料を参考例として、下記条件でそれぞれXPSの測定を行った。結果を図5(比較例5)、図6(参考例)に示す。なお、実施例2、参考例、比較例4、5における乾燥は、炉(アドバンテック社のKM−100(発熱体はカンタル))を使用して行った。
(測定条件)
・XRD(株式会社リガク製湾曲IPX線回折装置RINT−RAPIDIIを使用)の測定条件
加速電圧 :40kV
印加電流 :100mA
X線入射角:0.4−0.6°
・XPS測定条件
装置 :QuanteraII(アルバックファイ社製)
X線源 :Alモノクロ(25W,15kV)
分析範囲 :100μm
電子・イオン中和銃:ON
光電子検出角度:45度
図4において、比較例4(500℃、30分乾燥)の試料では、2θ=30〜40度の間に認められる4つのピークがZnOに基づくピークである。一方、実施例2(300℃、30分乾燥)の試料では、2θ=30〜40度の間に認められる4つのピークの内、最も右側のピークのみシャープに認められ、他はブロードになっていることから、一部のみZnOになっていると考えられる。このように、乾燥温度を300℃とすると一部がZnOとなるが、500℃の乾燥の場合はほぼすべての亜鉛がZnOとなり、金属酸化物の前駆体の状態ではなくなって、保護膜としての性能が低下すると考えられる。
また、600℃加熱サンプル(比較例5)である図5の結果は、200℃加熱サンプル(参考例)の結果である図6に較べてメタル−酸素−メタル(M−O−M)の結合が主(メタル−酸素−メタル(M−O−M)のピーク面積がメタルの水酸化物(M−OH)のピーク面積より大(約3倍))となり、金属の酸化物が増加していることが分かる。一方、図6において200℃で乾燥させたサンプルは、メタルの水酸化物(M−OH)のピークが高く(メタルの水酸化物(M−OH)のピーク面積がメタル−酸素−メタル(M−O−M)のピーク面積より大(15倍以上))なっており、常温(25℃)から200℃以下で乾燥させたサンプルの表面は水酸化物になっていると考えられる。
また、図7には、実施例1で得た透明導電膜の試料の断面のSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 SU8020形を使用)像が示される。図7に示されるように、銀ナノワイヤ(AgNWと表記)の上に保護膜(水酸化亜鉛)が堆積していることがわかる。

Claims (8)

  1. 透明基板の一方の主面上に、金属ナノワイヤの分散液を塗布し、
    前記塗布された金属ナノワイヤの分散液から分散媒を蒸発させて乾燥させることにより金属ナノワイヤの網目構造を形成し、
    前記金属ナノワイヤの網目構造の上に、亜鉛化合物と分子内にアミノ基と水酸基を有する化合物とを有機溶媒に溶解した前駆体溶液を塗布し、
    前記前駆体溶液を300℃を超えない条件下で乾燥させることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  2. 前記亜鉛化合物が亜鉛の有機カルボン酸塩、硝酸塩、塩化物、アセチルアセトン錯体の少なくとも一種である、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛である、請求項に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 前記分子内にアミノ基と水酸基を有する化合物は、炭素原子数が2〜9の化合物である、請求項1からのいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
  5. 前記分子内にアミノ基と水酸基を有する炭素原子数が2〜9の化合物がモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンである、請求項に記載の透明導電膜の製造方法。
  6. 前記前駆体溶液の有機溶媒が2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノールからなる群のいずれかである、請求項1からのいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
  7. 前記前駆体溶液の塗布・乾燥を複数回繰り返す、請求項1からのいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
  8. 前記金属ナノワイヤを分散させる分散媒がエタノールである、請求項1からのいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
JP2015229572A 2015-11-25 2015-11-25 透明導電膜の製造方法 Active JP6690925B2 (ja)

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