以下、図面を参照して、本発明のエアダンパーの一実施形態について説明する。図1〜7には、本発明に係るエアダンパーの第1実施形態が示されている。
このエアダンパー10は、相対的に近接離反する一対の部材間に配設されるものであって、例えば、自動車のインストルメントパネルに設けられたグローブボックス等の開口部に、開閉可能に取付けられた開閉体の制動用として用いることができる。図2に示すように、この実施形態においては、一方の部材1を、グローブボックス等の固定体とし、他方の部材5を、グローブボックス等の固定体の開口部に、開閉可能に取付けられたリッド等の開閉体として説明するが、一対の部材は互いに近接離反可能なものであれば、特に限定はされない。なお、一方の部材1及び他方の部材5からは、それぞれ支軸3,7が突設されている(図2参照)。
図1に示すように、このエアダンパー10は、一端側が開口し他端側が閉塞されたシリンダー20と、該シリンダー20内に摺動可能に挿入されたピストン30と、該ピストン30から延出されたロッド40と、シリンダー20の一端開口に装着されるキャップ60と、前記ピストン30の外周に装着されるシールリング80とから、主として構成されている。また、このエアダンパー10は、シリンダーの閉塞部及びピストンで囲まれる内部空間を、外部に連通させる流通路と、ピストンが前記シリンダーの閉塞部から離れる方向又は近接する方向に摺動するときに、前記流通路を狭めて前記ピストンに制動力を付与し、前記ピストンがそれとは逆方向に移動するときに、前記流通路を広げて前記ピストンの制動力を解除する、制動力付与手段とを、更に有している。なお、前記シールリング80は、ピストン30に装着される前の外力のない状態では、円形状をなしているが、図1では便宜上、シリンダー20内に挿入された状態の形状を示している。
図1に示すように、シリンダー20は、筒状に所定長さで伸びる壁部23を有しており、その一端には開口部22が設けられており、他端側は閉塞部21により閉塞されている。この実施形態の壁部23は、対向する一対の平面と、該平面の両端を連結する一対の曲面とで囲まれた細長筒状をなしている。また、シリンダー20の開口部22側であって、上記平行な平面のほぼ中央には、長孔状の係合孔22aがそれぞれ形成されている(図1参照)。更に、壁部23の開口部側端面からは、壁部23よりも薄肉の、一対の薄肉壁部25,25が突設されている。また、この実施形態におけるシリンダー20は、後述するキャップ60を介して間接的に一方の部材1に取付けられるようになっているが、シリンダー20自体は一方の部材1に直接的に取付けられていない構造とされている。
なお、この実施形態では、シリンダー20の他端に閉塞部21が設けられているが、シリンダー20の他端を開口として、この他端開口に、シリンダー20とは別体のキャップを装着することで、シリンダー20の他端開口を閉塞させてもよい。この場合、当該キャップ部材が「閉塞部」をなすこととなる。
なお、シリンダー20としては、その壁部が、角筒状をなしていたり、円筒状をなしていたりしてもよく、特に限定はされない。
図1〜3に示すように、シリンダー20内に摺動可能に挿入されるピストン30は、軸方向から見て、シリンダー20の壁部23の内周に適合する形状をなしており、その先端側(シリンダー20の閉塞部21側)の外周にフランジ部31が形成され、基端側外周にリング保持部32が形成されている。また、ピストン30の所定位置には、細孔状のオリフィス33が貫通して形成されている。前記フランジ部31と前記リング保持部32との間には、それらの間隔よりも薄肉のシールリング80が、軸方向にスライド可能に装着されている(図5(b)の矢印参照)。具体的には、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21からピストン30が離れる方向に摺動する場合に、シールリング80がフランジ部31側に移動し、一方、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21に近づく方向に摺動する場合は、シールリング80がリング保持部32側に移動する。
そして、シリンダー20内にピストン30が挿入されることにより、シリンダー20内には、壁部23、閉塞部21及びピストン30で囲まれた内部空間S1(図5及び図6参照)が形成されるが、このオリフィス33が、シリンダー20の内部空間S1を外部(ここではピストン30とキャップ60との間の、外部連通空間S2)に連通させる上記「流通路」の一つをなしている。なお、シリンダー20の閉塞部をキャップ部材とした場合には、該キャップ部材にオリフィスを設けることができ、この場合、上記「外部」とは、シリンダー20の外部を意味する。
この実施形態では、ピストン30が制動方向(シリンダー20の閉塞部21から離れる方向)に摺動すると、内部空間S1が減圧されて、ピストン30が制動方向とは反対方向(シリンダー20の閉塞部21に近づく方向)に引張られることで、ピストン30に制動力が付与されるようになっている。その際に、空気が、オリフィス33を介して外部連通空間S2から内部空間S1へと流れ込むことで(図6(b)の矢印参照)、ピストン30に付与される制動力が調整されるようになっている。
また、リング保持部32の外周、及び、ピストン30の、リング保持部32とフランジ部31との間の外周面には、シールリング80がリング保持部32に当接したときに、シールリング80の内周を通って、ピストン30とシリンダー20とで囲まれた内部空間S1を外部に連通させる複数の溝部35が形成されている(図3参照)。この溝部35は、シリンダー20の内部空間S1を外部(外部連通空間S2)に連通させる上記「流通路」の一つをなしている。
そして、図6(b),(c)に示すように、このエアダンパー10においては、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21から離れる方向に摺動すると、ピストン30のフランジ部31側にシールリング80が移動して、溝部35がシールリング80によって閉塞されるため、オリフィス33のみが流通路となる。その結果、シリンダー20の内部空間S1が減圧され、ピストン30に制動力が付与される。
一方、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21に近接する方向に摺動すると、シールリング80がリング保持部32側に移動して、シールリング80の内周に溝部35を介してシリンダー内に連通する流路が形成され、それによって流通路が広がって、該流通路を通って、シリンダー20の内部空間S1内の空気が外部連通空間S2に排気されるため、ピストン30に付与された制動力が解除されるようになっている。
このように、この実施形態においては、ピストン30、ピストン30に設けたオリフィス33及び溝部35、シールリング80が、上記「制動力付与手段」をなしている。
なお、この実施形態とは逆に、ピストンがシリンダーの閉塞部に近接する方向に摺動したときに、流通路を狭めて制動力を付与させ、離反する方向に摺動したときに、流通路を広げて制動力を解除するようにしてもよい。
また、ピストン30の先端側には、ピストン30の長手方向に交差するようにリブ状の開き止め部36が設けられている。この開き止め部36は、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21から最大限離反したときに、後述するキャップ60の一対の係合爪65,65の内側に入り込んで、その撓みを規制して、シリンダー20の開口部22からキャップ60を抜け止めするものである。
更に、ピストン30の基端側からは、ロッド40が延設されている。この実施形態のロッド40は、ピストン30の基端側であって、その長手方向端部から、シリンダー20の軸方向に沿って一対のアーム部41,41が延びており、その延出方向先端部どうしが連結されて、中央部が開口した枠状をなしている。以後の説明では、アーム部41,41のピストン30側を先端側、上記連結部側を基端側として説明する。
また、一対のアーム部41,41の基端側の連結部分からは、くびれた部分を介して板状に延出する軸受け部45が連設されている(図3参照)。軸受け部45には、丸孔状の軸受け孔46が形成されている。この軸受け孔46に、開閉体等の他方の部材5から突設した支軸7が挿入され、当該支軸7が抜け止め状態で軸支されることで、ロッド40が他方の部材5に取付けられる。すなわち、この実施形態においては、ロッド40側の軸受け部45と、他方の部材5の支軸7とによって、ロッド40が他方の部材5に取付けられるように構成されている。
なお、ロッドを他方の部材に取付けるための取付構造としては、ロッド側に支軸を設け、他方の部材側に支軸を軸支する軸受け部を設けた構造としてもよく(これについては後述する)、また、支軸及び軸受け部で取付ける構造だけではなく、ロッドを他方の部材に取付け可能な構造であれば特に限定はされない。
更に、一対のアーム部41,41の、互いに離れた外側部周縁であって、各アーム部41の厚さ方向両面からは、アーム部41の軸方向に沿って延びるガイドリブ48が形成されている。このガイドリブ48は、キャップ60の、後述する開口部62のガイド溝62a,62aに入り込んで、シリンダー20内におけるロッド40の移動をガイドするものである。
また、ロッド40の枠状をなした部分の先端側外周、すなわち、一対のアーム部41,41の軸方向基端側の外周には、テーパ壁を介して緩やかに突出する凸部49,49が形成されている。この凸部49は、図6(a)に示すように、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21に最大限近接したときに、キャップ60の、後述する開口部62のガイド溝62aの内周に圧接されるようになっている。
更に、一対のアーム部41,41の軸方向先端側の外周には、ストッパ部50,50が突設されている。このストッパ部50は、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21から最大限離れたときに、キャップ60の開口部62の裏側周縁に当接して、キャップ60の開口部62からのロッド40の引き出しを規制するものである。
そして、このエアダンパー10においては、キャップ60が一方の部材1に取付けられる構造となっている。この実施形態のキャップ60は、シリンダー20の外周形状に適合する形状をなした端面61を有している。この端面61には、ロッド40を挿出させるための、一方向に長く伸びる細長のスリット孔状をなした開口部62が、キャップ60の幅方向中央に形成されている。また、開口部62の長手方向両端部には、前記ロッド40のガイドリブ48,48をスライドガイドするガイド溝62a,62aがそれぞれ形成されている。
更に、端面61の周縁からは、環状の周壁63が所定長さで立設されている。この周壁63は、キャップ60をシリンダー20の一端開口に装着したときに、同シリンダー20の一対の薄肉壁部25,25の外周に嵌合して、シリンダー20の開口部22の外径方向への変形や撓みを抑制する部分となる。
また、図4(b)に示すように、周壁63の、長手方向に沿った平面部であって、その内面側の中央からは、一対の係合爪65,65が前記開口部62とは反対方向に向けて延設されている。更に各係合爪65の先端部外面からは、係合突部65aがそれぞれ突設されている。
そして、キャップ60をシリンダー20の一端開口に整合させて、シリンダー20側に向けてキャップ60を押し込むと、係合突部65a,65aがシリンダー20の壁部23の内周面に押圧されて、一対の係合爪65,65が互いに近づく方向に弾性変形し、係合突部65a,65aがシリンダー20側の一対の係合孔22a,22aに至ると、一対の係合爪65,65が弾性復帰して、係合突部65a,65aが係合孔22a,22aの内面側周縁に係合すると共に、シリンダー20の一対の薄肉壁部25,25の外周に、キャップ60の周壁63が嵌合して、シリンダー20の一端開口にキャップ60を装着することができる。
また、本発明のエアダンパーにおいて、キャップとシリンダーとの間には、キャップをシリンダーの一端開口に向けて押し込むことで、シリンダーの一端開口にキャップを装着させる、弾性係合構造が設けられている。すなわち、キャップをシリンダーの一端開口に向けて押し込むことで、キャップとシリンダーとの間に設けた弾性係合構造を介して、シリンダーの一端開口にキャップが装着されるようになっている。また、弾性係合構造とは、キャップ又はシリンダーの一方に設けた撓み可能な弾性係合片と、キャップ又はシリンダーの他方に設けられ、シリンダーの一端開口にキャップが押し込まれたときに、前記弾性係合片に係合する係合受け部(係合穴や、係合凹部、係合突起、係合段部等)とからなる。なお、上記の、キャップ60側の一対の係合爪65,65、及び、シリンダー20側の一対の係合孔22,22aは、上記弾性係合構造の一例であって、弾性係合構造としては、この態様に限定されるものではない。
また、図4(a)に示すように、前記端面61の開口部62の表面側(シリンダー20の内部空間に向く裏面側と反対側)であって、長手方向に沿った一側部周縁からは、板状をなした軸受け部67が所定長さで突出している。図2に示すように、この軸受け部67の先端側には、丸孔状の軸受け孔68が形成されている。この軸受け孔68に、グローブボックス等の一方の部材1から突設した支軸3が挿入され、当該支軸3が抜け止め状態で軸支されて、キャップ60が一方の部材1に取付けられる。すなわち、この実施形態においては、キャップ60側の軸受け部67と、一方の部材1の支軸3とによって、キャップ60が一方の部材1に取付けられるように構成されている。
上記の、キャップ60と一方の部材1との取付構造に関連して、一方の部材1に設けられた支軸3は、次のような関係となっている。すなわち、図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、ここではシリンダー20及びそれに装着されたキャップ60の軸方向に見たときに(以下、単に「シリンダー20の軸方向に見たときに」という)、一方の部材1の支軸3は、ロッド40の幅方向の範囲内に配置されるように設けられている。同じく図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、一方の部材1の支軸3の軸中心C3が、ロッド40の軸心C1に整合するように設けられている。
一方、本実施形態における軸受け部67は、図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、キャップ60の外周よりも内側に位置するように配置されている。
また、前記ロッド40は、上述したように、一対のアーム部41,41の間に、シリンダー20の軸方向に沿って伸びる開口が設けられた枠状をなしているが、この枠状をなした部分の内側(一対のアーム部41,41)に、一方の部材1の支軸3が配置されるように構成されている(図5参照)。
なお、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造としては、キャップ側に支軸を設け、一方の部材側に支軸を軸支する軸受け部を設けた構造としてもよく(これについては後述する)、また、支軸及び軸受け部で取付ける構造だけではなく、キャップを一方の部材に取付け可能な構造であれば特に限定はされない。
次に、上記構成からなるエアダンパー10の作用効果について説明する。
このエアダンパー10は、キャップ60側の軸受け部67の軸受け孔68に、一方の部材1の支軸3を挿入して抜け止め状態で軸支させることで、キャップ60が一方の部材1に取付けられ、また、ロッド40側の軸受け部45の軸受け孔46に、他方の部材5の支軸7を挿入して抜け止め状態で軸支させることで、ロッド40が他方の部材5に取付けられ、一対の部材1,5の間にエアダンパー10を取付けることができる。
そして、グローブボックス等の一方の部材1に対して、開閉体等の他方の部材5が互いに近接した状態においては、図5(a)や図6(a)に示すように、シリンダー20の閉塞部21にピストン30が近接配置され、ロッド40がキャップ60の開口部62から引き込まれた状態となっている。この状態から、一方の部材1から他方の部材5が離反すると、図6(b)に示すように、ロッド40がキャップ60の開口部62から引き出されて、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21から離れる方向に摺動する。この実施形態の場合には、ロッド40の一対のアーム部41,41が、そのガイドリブ48を開口部62のガイド溝62a,62aによってガイドされながら引き出されていく。すると、ピストン30のフランジ部31側にシールリング80が移動して、溝部35がシールリング80により閉塞されて空気の流通路が狭められるので、シリンダー20の内部空間S1が減圧され、オリフィス33を通じて外部連通空間S2から内部空間S1に空気が移動して(図6(b)矢印参照)、ピストン30に制動力が付与され、開閉体等の他方の部材5を、グローブボックス等の一方の部材1の開口部から、緩やかに開くことができる(図5(b)及び図6(c)参照)。
そして、このエアダンパー10によれば、シリンダー20は一対の部材1,5に取付けられておらず、キャップ60が、一方の部材5に設けた支軸3とキャップ60に設けた軸受け部67とによって、グローブボックス等の一方の部材1に取付けられるように構成されているので、図5(b)に示すように、一対の部材1,5が最大限離反して、ピストン30を介してキャップ60に引張り力Fが作用しても、その引張り力Fは、キャップ60自体及び同キャップ60を介して一方の部材1が受け止めることとなって、シリンダー20には何ら作用しないため、シリンダー20の他端開口からキャップ60が外れてしまうことを確実に防止することができる。
また、このエアダンパー10においては、キャップ60が一方の部材1に取付けられていることで、次のような作用効果も奏する。すなわち、図7(a)に示すような、従来のエアダンパー100の場合、シリンダー102の先端部外周に、一方の部材との取付部104が設けられていた。
このようなエアダンパー100の場合、図7(b)に示すように、シリンダー102の軸心C2に対して、ロッド106が傾斜して引張られることがある。特に、一方の部材がグローブボックス等の固定体で、他方の部材がグローブボックスの開口部に開閉可能に取付けられたリッド等である場合には、リッドはグローブボックスの開口部に対して開閉軸を支点として回動して開くので、ロッド106が傾斜して引張られる。上記のように、シリンダー102の軸心C2に対してロッド106が傾斜して引張られると、ロッドに偏荷重が作用するので、ピストンとシリンダー102の閉塞部とで画成される内部空間のシール性が問題となり、ピストンによる減衰力を維持しにくくなる。その対策として、図7(a)の想像線で示すように、シリンダー102の、ロッド引出し方向とは反対側の基端部外側に、取付部108を設けることも考えられるが(この場合、シリンダー102の軸心C2とロッド106の引張り方向が一致するため、ロッドに偏荷重は作用しにくい)、その場合には、エアダンパー全体の軸方向長さが大きくなり、取付けスペースが確保しにくくなる。
これに対して本実施形態におけるエアダンパー10は、ロッド40を挿出させる開口部62を有するキャップ60自体を、支軸3と軸受け部67とによって一方の部材1に取付けるようにしたので、シリンダー20の軸心C1に対してロッド40の引張り方向を一致させて、ロッド40に偏荷重を作用させにくくすることができ、その結果、シリンダー20の閉塞部21とピストン30との内部空間S1のシール性を保持して、ピストン30による減衰力を維持することができると共に、エアダンパー10の軸方向長さを短くして比較的コンパクトに形成することができ、一対の部材1,5に対する取付けスペースを確保しやすくすることができる。
ところで、一方の部材がグローブボックスで、他方の部材がグローブボックスの開口部に開閉軸を介して開閉可能に取付けられたリッドである場合には、上述したように、リッドの回動動作に伴ってロッドが傾斜して引張られるので、シリンダーが傾動することとなる。このような場合でも、この実施形態においては、キャップ60は、一方の部材1又はキャップ60のどちらか一方に設けられた支軸と、一方の部材3又はキャップ60のどちらか他方に設けられ、支軸を軸支する軸受け部とによって、一方の部材1に取付けられているので、上記のようなグローブボックスとリッド等にも好適に適用することができる。
また、この実施形態においては、図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、一方の部材1の支軸3は、ロッド40の幅方向の範囲内に配置されるように設けられている。そのため、一対の部材が互いに近接離反するときに、ロッド40に偏荷重を作用させにくくして、ピストン30を傾きにくくすることができ、その結果、シリンダー20の閉塞部21及びピストン30で囲まれる内部空間S1のシール性を保持して、ダンパー性能を維持することができる。また、ロッド40が破損しにくくすることができる。
更にこの実施形態においては、図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、一方の部材1の支軸3の軸中心C3が、ロッド40の軸心C1に整合するように設けられているので、一対の部材1,5の近接離反時に、ロッド40に対して偏荷重をより作用させにくくすることができ、内部空間S1のシール性をよりしっかりと保持することができる。
また、この実施形態においては、キャップ60に設けた軸受け部67は、図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、キャップ60の外周よりも内側に位置するように配置されている。そのため、図2(b)に示すように、シリンダー20やキャップ60を軸方向に見たときに、キャップ60の取付構造である軸受け部67及び一方の部材1の支軸3と、ロッド40の取付構造であるロッド40の軸受け部45及び他方の部材5の支軸7とを近づけて配置することができるので、一対の部材1,5の近接離反時において、キャップ60側の取付構造やロッド40側の取付構造に、ねじれ荷重等が作用しにくくなり、それらの構造を破損しにくくすることができる(キャップ側の取付構造とロッド側の取付構造とが離れていると、一対の部材1,5の近接離反時に、ねじれ荷重等が作用しやすくなる)。
更にこの実施形態においては、前記ロッド40は、図5に示すように、シリンダー20の軸方向に沿って伸び、その中央部が開口した枠状をなし、この枠状をなした部分の内側(一対のアーム部41,41)に、一方の部材1の支軸3が配置されるように構成されている。その結果、図2(b)に示すように、シリンダー20の軸方向に見たときに、キャップ60側の取付構造(軸受け部67及び支軸3)とロッド40側の取付構造(軸受け部45及び支軸7)とを、より近づけて配置することができ、上記ねじれ荷重等を更に軽減することができる。
また、この実施形態においては、ロッド40の枠状をなした部分(一対のアーム部41,41)の外周には、シリンダー20の閉塞部21に対してピストン30が最大限近接したときに(図6(a)参照)、キャップ60の開口部62の内周(ここでは開口部62のガイド溝62aの内周)に圧接される凸部49が設けられている(図2(a)参照)。そのため、一対の部材1,5が互いに近接した状態において、キャップ60の開口部62に対するロッド40のガタツキを抑制することができる。
一方、一対の部材1,5が互いに離反した状態から、一方の部材1に対して他方の部材5を近接させると、ピストン30がシリンダー20の閉塞部21に近接する方向に摺動して、シールリング80がリング保持部32側に移動し、シールリング80の内周に溝部35を介してシリンダー内に連通する流路が形成されて、流通路が広がり該流通路を通って、シリンダー20の内部空間S1内の空気が外部連通空間S2に排気されて、ピストン30に付与された制動力が解除されるため、一方の部材1に他方の部材5を迅速に近接させることができる。
図8(a)〜(c)には、本発明に係るエアダンパーの第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態のエアダンパー10Aは、キャップと一方の部材との取付構造が前記実施形態と異なっている。すなわち、この実施形態の取付構造は、キャップ60Aの開口部62の表側周縁から所定長さで突出した突片69を有しており、該突片69の先端側外面から、支軸70が突設されている。この支軸70は、二つ割状をなしており、その先端部外周に係合突部71,71が形成されている。そして、この支軸70が、一方の部材1に設けた図示しない軸受け孔に挿入されて抜け止め支持されることで、キャップ60Aが一方の部材1に取付けられることとなる。すなわち、この実施形態においては、前記支軸70及び一方の部材に設けた図示しない軸受け孔が、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造をなしている。
図9(a)〜(c)には、本発明に係るエアダンパーの第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この第3実施形態のエアダンパー10Bは、ロッド40Bの形状が前記実施形態と異なっている。すなわち、このロッド40Bは、図示しないピストンの先端部側から長板状に延出した形状をなしており、一対のアーム部41,41を有さず、中央部が埋められた形状をなしている。但し、ロッド40Bの中央部には、一方の部材の支軸との干渉を防ぐための凹部40aが設けられている。また、このロッド40Bの長手方向両側縁部であって、キャップ60の軸受け部67側の面からは、ガイドリブ48が形成されている。なお、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造は、前記第1実施形態と同様である。
図10(a)〜(c)には、本発明に係るエアダンパーの第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この第4実施形態のエアダンパー10Cは、キャップ60Cに設けた軸受け部67の位置及びロッド40Cの形状が前記実施形態と異なっている。すなわち、キャップ60Cの軸受け部67は、シリンダー20やキャップ60Cを軸方向に見たときに、キャップ中央寄りに配置されており(図10(b)参照)、これに隣接した位置にロッド40Cが配置されている。また、ロッド40Cの長手方向両側縁部であって、キャップ60Cの軸受け部67側の面から、図9の第3実施形態よりも高く立設したガイドリブ48が形成されている。なお、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造は、前記第1実施形態と同様である。
図11(a)〜(c)には、本発明に係るエアダンパーの第5実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この第5実施形態のエアダンパー10D、及び、後述する第6実施形態のエアダンパー10E(図12参照)、第7実施形態のエアダンパー10F(図13参照)は、いずれもシリンダー20Dの壁部23Dが円筒形状をなしている。また、シリンダー形状に対応して図示しないピストンや、キャップ60D、60E(図12参照)、60F(図13参照)も、その外形が円形状をなしたものとなっている。
この第5実施形態のエアダンパー10Dにおいては、ロッド40Dが、前記第3実施形態のロッド40B(図9参照)と同様に、図示しないピストンの先端部側から長板状に延出した形状をなしている。なお、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造は、前記第1実施形態と同様である。
図12(a)〜(c)には、本発明に係るエアダンパーの第6実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この第6実施形態のエアダンパー10Eにおいては、ロッド40Dの形状が前記第5実施形態と同様である。また、キャップ60Eは、図8に示す第2実施形態と似た構造を採用している。すなわち、キャップ60Eの表側外周縁から所定長さで突出した突片69を有し、その先端側外面から、先端に係合突部71,71を設けた二つ割状の支軸70が突設されている。すなわち、この実施形態においては、図8の第2実施形態と同様に、前記支軸70及び一方の部材に設けた図示しない軸受け孔が、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造をなしている。
図13(a)〜(c)には、本発明に係るエアダンパーの第7実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この第7実施形態のエアダンパー10Fは、図9に示す第3実施形態と似た構造を採用している。すなわち、キャップ60Fの軸受け部67は、シリンダー20Dやキャップ60Fを軸方向に見たときに、キャップ中央寄りに配置されており(図13(b)参照)、これに隣接した位置にロッド40Fが配置されている。また、ロッド40Fの、キャップ60Fの軸受け部67とは反対側の面は、前記実施形態のものと比べて肉厚となっている。なお、キャップを一方の部材に取付けるための取付構造は、前記第1実施形態と同様である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。