JP6686951B2 - 厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法 - Google Patents

厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、パイプライン、建築用鋼材、海洋構造物、造船用鋼材等に用いられる板厚が例えば50mm以上の厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法に関する。
パイプライン、建築用鋼材、海洋構造物、造船用鋼材等においては、脆性破壊に伴う事故が発生するとその影響が大きいために、鋼材として使用される厚鋼板の安全性が要求される。厚鋼板は、使用環境温度によって靭性や脆性き裂伝播停止性能が変化することが知られている。
そのため、安全性を担保するため、厚鋼板に対して脆性き裂伝播停止性能を評価することが求められ、例えば、靭性評価のために、代表的には氷点下以下-140度〜0度程度の所定の温度に試験体を維持した状態で、評価点になる部位に打撃、載荷がなされて破壊現象が評価される。
しかしながら、50mmを越える全ての厚鋼板に対して上記の試験を行うのは、コスト等の問題から困難であり、厚鋼板から小片を切り出して試験片とし、落重試験を行って厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を評価することが例えば特許文献1に提案されている。
特許文献1に開示された厚鋼板の脆性き裂伝播停止特性の判定方法は、
「脆性破壊伝播停止試験で使用する一辺が500mmの大型試験片の代わりに複数の小型試験片を使用して、厚鋼板の脆性き裂伝播停止特性を判定する方法であって、
前記各小型試験片が、厚さが16mm以上25mm以下、幅が50mm以上90mm以下、長さが130mm以上360mm以下で、かつ長手方向中央部にそれぞれノッチを有し、該各小型試験片を予め設定した各温度に冷却して、該各小型試験片を動的3点曲げ負荷により破断し、発生する脆性破壊が前記小型試験片の幅方向両端部に到達する限界温度である遷移温度を求め、
前記求めた遷移温度が、要求される保証温度T(℃)と、要求される脆性破壊伝播停止性能Kca値A(N/mm1.5)と、前記厚鋼板の板厚t(mm)とで表される換算式から得られる温度T(℃)以下である場合に、前記要求される脆性破壊伝播停止性能Kca値を満足すると判定することを特徴とする」(特許文献1の請求項1参照)ものである。
特開2009−63320号公報 WO2011/108135号公報 特許第5582233号公報
特許文献1においては、上述のように小型試験片に発生する脆性破壊(脆性き裂)が前記小型試験片の幅方向両端部に到達する限界温度である遷移温度を求めると記載されているが、脆性破壊が前記小型試験片の幅方向両端部に到達したかどうかの具体的な判定方法については記載されていない。しかし、一般的に落重試験の脆性破壊(き裂)伝播停止性能の評価においては、試験片を目視検査することで、脆性き裂が端部に及んでいるかどうかを判定している。
このような判定は、例えば特許文献2の図1Bに示されているように、脆性き裂の板厚方向断面における伝播挙動において、板厚中央部が最も脆性き裂の伝播が大きくなるような厚鋼板の場合には、試験片の表層部での評価が重要となるため、目視検査でも適切な判定が可能である。
一方、特許文献3の図4に示されたように、板厚中央部に比べて表層部の脆性き裂が長く伝播するような鋼板では、板厚中央部の脆性き裂が伝播停止すれば力学的に表層部の動的応力拡大係数は低下し、伝播停止しやすい状況になるため、板厚中央部の脆性き裂伝播停止性能が鋼板全体の脆性き裂伝播停止性能を代表する。
そのため、このような鋼板については、落重試験における遷移温度を求める際、試験片の板厚中央部での脆性き裂の伝播が端部まで到達しているか否かの評価が重要となる。
しかしながら、目視検査では、特に板厚中央部における上記の評価が難しく、適切な評価ができない場合がある。
もっとも、脆性き裂伝播の評価が難しい場合には、試験片に対してさらなる載荷、あるいは局部ガス溶断を行って破面を露出させることも可能ではあるが、この場合には、さらなる載荷等によって延性き裂が生じて、脆性き裂の適切な評価が難しくなるという問題がある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、板厚中央部に比べて表層部の脆性き裂が長く伝播するような鋼板に対しても適切な評価ができる厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法は、厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を、小型試験により推定して評価するものであって、
大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と相関性のある小型試験片の遷移温度を求める小型試験片の遷移温度測定工程と、該遷移温度測定工程で測定された小型試験片の遷移温度に基づいて前記厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を評価する評価工程を有し、
前記小型試験片の遷移温度測定工程は、
前記厚鋼板の板厚中心部(板厚の40%〜60%の位置の部分)から小片を採取して試験片を作成する試験片作成工程と、
前記試験片を予め設定した複数段階の温度に冷却して落重試験を実施する落重試験工程と、
落重試験によって前記試験片に発生する脆性き裂が、前記試験片の幅方向両端部に到達する限界温度である遷移温度を決定する遷移温度決定工程とを有し、
該遷移温度決定工程は、温度の高い試験片から順に脆性き裂の到達の有無を目視で観察して遷移温度を仮に決定する遷移温度仮決定工程と、
該遷移温度仮決定工程で仮決めした遷移温度よりも一段階高い温度の試験片に対して超音波探傷検査によって脆性き裂の到達の有無を判定する超音波判定工程と、
該超音波判定工程における判定と前記目視観察における判定との間に齟齬がないかどうかを確認し、齟齬があった場合には、前記遷移温度仮決定工程で仮決めした前記遷移温度を補正する遷移温度補正工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明においては、遷移温度を決定するに際して、温度の高い試験片から順に脆性き裂の到達の有無を目視で観察して遷移温度を仮に決定する遷移温度仮決定工程と、該遷移温度仮決定工程で仮決めした遷移温度よりも一段階高い温度の試験片に対して超音波探傷検査によって脆性き裂の到達の有無を判定する超音波判定工程と、該超音波判定工程における判定と前記目視観察における判定との間に齟齬がないかどうかを確認し、齟齬があった場合には、前記遷移温度仮決定工程で仮決めした前記遷移温度を補正する遷移温度補正工程とを備えたことにより、板厚中央部に比べて表層部の脆性き裂が長く伝播するような鋼板に対しても、大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と相関性の高い小型試験片の遷移温度を決定することができ、その結果、板厚中央部に比べて表層部の脆性き裂が長く伝播するような鋼板に対しても適切な評価ができる。
本発明の一実施の形態に係る小型試験片の遷移温度測定工程の説明図である。 本発明の一実施の形態における試験片作成工程の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態における試験片作成工程の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態における落重試験工程の説明図である。 本発明の一実施の形態における遷移温度仮決定工程の説明図である。 本発明の一実施の形態における超音波判定工程の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態における超音波判定工程の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態における超音波判定工程の説明図である(その3)。 本発明の一実施の形態における遷移温度補正工程の説明図である。 発明例における大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と、小型試験片の遷移温度との相関を表したグラフである(その1)。 比較例における大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と、小型試験片の遷移温度との相関を表したグラフである(その2)。 比較例における大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と、小型試験片の遷移温度との相関を表したグラフである(その3)。 比較例における大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と、小型試験片の遷移温度との相関を表したグラフである(その4)。
本発明の一実施の形態に係る厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法は、大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と相関性のある小型試験片の遷移温度を求める小型試験片の遷移温度測定工程と、該測定された小型試験片の遷移温度に基づいて前記厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を評価する評価工程を有し、遷移温度測定工程は、図1に示すように、試験片作成工程と、落重試験工程と、遷移温度決定工程とを有し、遷移温度決定工程は、遷移温度仮決定工程と、超音波判定工程と、遷移温度補正工程とを備えている。
以下、本発明の特徴である遷移温度測定工程における各工程を詳細に説明する。
<試験片作成工程>
試験片作成工程は、前記厚鋼板の板厚中心部(板厚の40%〜60%の位置の部分)から小片を採取して試験片を作成する。
図2に示すように、厚鋼板1における例えば厚みtの半分の位置(t/2)から小片3を採取する。採取した小片3に対して、図3に示すように、小片3の表面に溶接ビード5を形成し、溶接ビード5に切欠7を形成して試験片9を作成する。
<落重試験工程>
落重試験工程は、試験片作成工程で作成された試験片9を予め設定した複数段階の温度に冷却して落重試験を実施する工程である。
落重試験としては、試験片作成工程で作成された試験片9を用いて、特許文献2で開示されたのと同様に、ASTM(Standards of American Society for Testing and Materials;米国材料試験協会規格)のE208-06に規定されたNRL(Naval Research Laboratory)落重試験を行う。
NRL落重試験は、予め設定した複数段階の温度(例えば、-65℃〜-85℃の5℃刻みの5段階の温度)に冷却し、各試験片9を図4に示すように、溶接ビード5が下になるように載置台11上に載置し、規定の形状・質量をもつ錘13を試験片9上に落下させる。試験片9の鋼材の靭性が低いと、試験温度等の条件によって、溶接ビード5の切欠7から発生した脆性き裂15が、試験片9の内部へ伝播する。
<遷移温度決定工程>
遷移温度決定工程は、落重試験によって試験片9に発生する脆性き裂が、試験片9の幅方向両端部に到達する限界温度である遷移温度(以下、「NDT温度」という場合あり)を決定する工程である。
従来は、脆性き裂の試験片9の幅方向への到達有無の判定は目視観察のみで行われていたが、本発明では、目視観察で行う遷移温度仮決定工程と、超音波探傷検査によって行う超音波判定工程と、仮決定した遷移温度を補正する遷移温度補正工程とを備えている。
《遷移温度仮決定工程》
遷移温度仮決定工程は、温度の高い試験片9から順に脆性き裂の到達の有無を目視で観察して遷移温度を仮に決定する工程である。
脆性き裂の到達の有無の判定について、図5に基づいて説明する。
図5は、試験片9の破壊面を示しており、図中のグレー色が薄い部分が伝播した脆性き裂15を示している。脆性き裂15が試験片9の端部に到達したかどうかについて、試験片9の図中左右の両側において判定し、図5の例では、隅部(図5(a)中の破線の丸で囲んだA部)と側方(図中の破線の丸で囲んだB部)で判定している。
切欠7から始まって試験片9の幅方向に伝播した脆性き裂15が、試験片9の端部まで到達した場合には、「到達」と判定し、到達していない場合には、「到達せず」と判定される。
図5(a)の例では、図中左側は側方、隅部共に「到達せず」であり、図中右側は側方は「到達」で、隅部は「到達せず」である。
図5(b)の例では、図中左側の側方は「到達」であり、隅部は「到達せず」であり、図中右側は側方、隅部共に「到達」である。
図5(c)の例では、図中左側は側方、隅部共に「到達せず」であり、図中右側は側方は「到達」で、隅部は「到達せず」である。
上記のように、試験片9の隅部と側方によって「到達」と「到達せず」の違いがあるが、本発明では、上述したように試験片9の板厚中央部での脆性き裂15の到達の有無が重要であることから、上記の例では「側方」での観察を行う。そして、側方での観察は、目視では難しい場合があることから、本発明では超音波探傷器を用いた超音波判定工程を行うこととする。
《超音波判定工程》
該遷移温度仮決定工程で仮決めした遷移温度よりも一段階高い温度の試験片9に対して超音波探傷検査によって脆性き裂の到達の有無を判定する工程である。
例えば、5℃刻みで温度設定していた場合には、仮決めした遷移温度が-75℃の場合には、-70℃の試験片9について超音波判定工程を行う。
超音波探傷検査とは、周知なように、非破壊検査の一種であり、超音波探傷器から電気パルスを超音波探触子の振動子に送信し、超音波のパルス信号として、機械的な振動を金属材料等の表面や内部に伝播させることにより、音響的に不連続な部分からの反射信号や反射強度、伝搬時間などにより、材料内部の傷や長さ、形状などを非破壊で評価する技術である。
図6〜図8は、本実施の形態における超音波探傷検査の説明図であり、図6(a)は、落重試験を行う前の試験片9の側面図であり、図6(b)は、試験片9に超音波探触子17(プローブ)を取り付けた状態の平面図であり、図6(c)は、超音波探触子17による測定位置の説明図である。
図6(b)では、図中の右側に取り付けた超音波探触子17から伝播したパルス信号が左側の端面で反射されて戻る様子を示している。超音波探触子17は、図6(c)に示すように、側部の板厚の厚み方向の中央部に設置するのが好ましい。何故なら、本実施の形態で測定の対象とする厚板は、上述したように板厚方向の中央部(側方)において脆性き裂15の伝播が端部まで到達しているか否かの判定が重要となるからである。
落重試験を行って、図7(a)に示すように、脆性き裂15が発生した場合、図7(b)に示すように、試験片9の図中右側に超音波探触子17を設置してパルス信号を発振する。この場合、図中の上側では脆性き裂15が端部まで到達しており、図中下側では到達していない場合、図7(b)に示すように、図中の上側の超音波探触子17では脆性き裂15の部位でパルス信号が反射され、図中下側の超音波探触子17から発振されたパルス信号は図中左端端部で反射される。
この反射波を、時系列のグラフで示したものが図8であり、図8の縦軸の「上」は図7(b)の上側の超音波探触子17の結果であることを、「下」は図7(b)の下側の超音波探触子17の結果であることをそれぞれ示している。
また、図8の横軸は、超音波探触子17(プローブ)からの超音波の発信時刻からの経過時間を表している。
図8に示すように、脆性き裂15が端部まで到達していた場合には、(試験片9の長手方向長さ=130mm)/2 ×2 /(試験片9の弾性波速度(Vut))の発信経過後に、中央で反射した反射波が観測される。
他方、脆性き裂15が端部まで到達していない場合には、(試験片9の長手方向長さ=130mm) ×2 /(試験片9の弾性波速度(Vut))の発信経過後に、試験片9の他方の端部で反射された反射波が観測される。
《遷移温度補正工程》
遷移温度補正工程は、超音波判定工程における判定結果と目視観察における判定結果との間に齟齬がないかどうかを確認し、齟齬があった場合には、遷移温度仮決定工程で仮決めした遷移温度を補正する。
遷移温度補正工程について、図9に基づいて説明する。
図9(a)の表は、厚鋼板1のt/2位置で採取して作成した試験片Aについて、-65℃、-70℃、-75℃、-80℃の5℃刻みの4段階の温度で落重試験を行った場合の、目視確認による脆性き裂15(図5参照)の到達の有無と、補正前の遷移温度を示している。
また、図9(a)では、各温度において、2回の落重試験を行っており、例えば-65℃では、1回目、2回目共に「0○0」と表記しているが、これは○を挟んだ数字が試験片Aの左側と右側での脆性き裂15の長さを示しており、中央の○は脆性き裂15が「到達せず」であったことを示している。「到達」の場合には、-80℃の欄のように黒丸(●)の表記となる。
図9(a)の例では、-65℃、-70℃では脆性き裂15の発生が無く(0mm)、よって到達もしていない(図中白丸)ことを示している。-75℃では、1回目の試験では、左側に6mm、右側に11mmの脆性き裂15が発生し、2回目の試験では、左側、右側共に1mmの脆性き裂15が発生したということ示している。しかし、1回目、2回目共に脆性き裂15は到達していない。
また、-80℃では、左右共に脆性き裂15の到達があったことを示している。
したがって、図9(a)に示す目視による評価によれば、NDT温度は-80℃となる。
図9(a)の目視評価について、-80℃での結果が貫通であっため、その一つ前の段階の温度である-75℃について、超音波探傷検査を実施したとろ、1回目の試験片Aについて到達という評価となった。
そこで、図9(a)の試験結果を補正して、図9(b)ではNDT温度は-75℃とする。
以上のようにして、試験片についてNDT温度を求めたものと、大型試験との相関について検証した結果を図10〜図13に示す。
図10〜図13は、大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と、小型試験片の遷移温度との相関を表したグラフであり、縦軸がKCa6000N/mm1.5を達成する限界温度(℃)を示し、横軸がNDT温度(℃)をそれぞれ示している。
図10は、本発明例であり、厚鋼板1のt/2の部分から採取した試験片で、かつ遷移温度の決定に際して超音波探傷検査を行ってNDT温度(遷移温度)を補正したものである。図11は、厚鋼板の厚み方向のt/2の部分から採取した試験片で、目視観察のみによってNDT温度を決定したものである。図12は、厚鋼板の厚み方向のt/4の部分から試験片を採取し、目視観察のみによってNDT温度を決定したものである。図13は、厚鋼板の表面部分から試験片を採取し、目視観察のみによってNDT温度を決定したものである。
図10〜図13を比較すると明らかなように、図10の例では相関係数R=0.70、図11の例では相関係数R=0.64、図12の例では相関係数R=0.38、図13の例では相関係数R=0.36であり、図10、図11に示した厚鋼1のt/2の部分から採取した試験片の相関性が高く、さらには、本発明例である図10に示したものの相関性が最も高いことが分かる。
以上のように、本発明によれば、板厚中央部に比べて表層部の脆性き裂が長く伝播するような鋼板に対しても、脆性き裂伝播停止性能Kca値との相関性の高い、小型試験片における遷移温度を決定することができる。
そして、このようにして決定された遷移温度に基づいて厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値を推定して評価することで、適切な評価が可能となる。
また、上記のようにして決定された遷移温度に基づいて複数の鋼種について、大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と小型試験片の遷移温度との相関曲線を作成し、該相関曲線に基づいて厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を評価するようにすれば、適切に厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を評価することができる。
なお、この場合、相関曲線の作成時において本発明の遷移温度測定工程を用いた場合には、評価の際の小型試験での遷移温度を決定する際にも本発明の遷移温度測定工程を用いることはいうまでもない。
具体的な評価方法について概説すると以下の通りである。
大型試験結果と小型試験結果の相関を示す、例えば図10に基づいて大型試験と小型試験との関係式を導く。もっとも、図10から得られる関係式は、ある程度の誤差を含んだものであるため、この誤差については推定誤差として、商品に求められる性能を推定誤差分予め厳しくしておき安全側推定とする等の方法を取ればよい。
すなわち、図10に基づいて得られる関係式を製品を出荷する際に求められる安全側推定を満たす信頼性のある関係式に補正し、以降は小型試験結果を、この信頼性のある式に入力することで、大型試験結果を実施した場合に得られる結果を評価することができる。
1 厚鋼板
3 小片
5 溶接ビード
7 切欠
9 試験片
11 載置台
13 錘
15 脆性き裂
17 超音波探触子

Claims (1)

  1. 厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を、小型試験により推定して評価する厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法であって、
    大型試験片を用いた厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能Kca値と相関性のある小型試験片の遷移温度を求める小型試験片の遷移温度測定工程と、該遷移温度測定工程で測定された小型試験片の遷移温度に基づいて前記厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能を評価する評価工程を有し、
    前記小型試験片の遷移温度測定工程は、
    前記厚鋼板の板厚中心部(板厚の40%〜60%の位置の部分)から小片を採取して試験片を作成する試験片作成工程と、
    前記試験片を予め設定した複数段階の温度に冷却して落重試験を実施する落重試験工程と、
    落重試験によって前記試験片に発生する脆性き裂が、前記試験片の幅方向両端部に到達する限界温度である遷移温度を決定する遷移温度決定工程とを有し、
    該遷移温度決定工程は、温度の高い試験片から順に脆性き裂の側方への到達の有無を目視で観察して遷移温度を仮に決定する遷移温度仮決定工程と、
    該遷移温度仮決定工程で仮決めした遷移温度よりも一段階高い温度の試験片に対して超音波探傷検査によって前記試験片の側方への脆性き裂の到達の有無を判定する超音波判定工程と、
    該超音波判定工程において前記一段階高い温度の試験片について脆性き裂の到達が有りと判定された場合には、前記遷移温度仮決定工程で仮決めした前記遷移温度を、前記一段階高い温度に補正する遷移温度補正工程とを備えたことを特徴とする厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能評価方法。
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