以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係る印刷装置100を示す斜視図である。図2は、フロントカバー20を開けた状態の印刷装置100を示す正面図である。以下の説明では、印刷装置100を正面から見たときに、印刷装置100から遠ざかる方を前方、印刷装置100に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、印刷装置100を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、印刷装置100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Xは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Xは左右方向である。符号Yは、副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Yは前後方向である。主走査方向Xと副走査方向Yとは平面視において直交している。符号Zは、高さ方向、すなわち、上下方向を示している。ただし、主走査方向X、副走査方向Yおよび高さ方向Zは、特に限定されず、印刷装置100の形態に応じて適宜に設定可能である。本実施形態では、副走査方向Yが本発明の「第1の方向」に対応し、主走査方向Xが本発明の「第2の方向」に対応する。
本実施形態では、印刷装置100は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。また、印刷装置100は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。
印刷装置100は、立体物などの被印刷物5(図6参照)にインクを吐出して、被印刷物5に印刷を行う装置である。図1に示すように、印刷装置100は、箱状に形成されている。本実施形態では、印刷装置100は、ケース10と、フロントカバー20と、操作パネル25を備えている。ケース10は、ベース部11と、前壁部12と、後壁部13と、左壁部14と、右壁部15と、天面部16とを有している。ベース部11は、板状の部材である。前壁部12は、ベース部11の前端の右部に接続され、ベース部11の前端の右部から上方に延びている。図示は省略するが、後壁部13は、ベース部11の後端に接続され、ベース部11の後端から上方に延びている。左壁部14は、ベース部11の左端に接続され、ベース部11の左端から上方に延びている。左壁部14の後端は、後壁部13の左端に接続されている。右壁部15は、ベース部11の右端に接続され、ベース部11の右端から上方に延びている。ここでは、右壁部15の前端は、前壁部12の右端に接続され、右壁部15の後端は、後壁部13の右端に接続されている。天面部16は、前壁部12の上端、後壁部13の上端、左壁部14の上端、および、右壁部15の上端にそれぞれ接続されている。図2に示すように、ケース10の前部には、開口17が形成されている。
フロントカバー20は、ケース10の開口17を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー20は、後端を軸に回転可能なように、ケース10に支持されている。
本実施形態では、ベース部11、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20に囲まれることによって、内部空間18が形成されている。ここでは、フロントカバー20の後端を軸にして、フロントカバー20を上方に回転させることによって、内部空間18と外部空間とが連通される。内部空間18は、印刷装置100による印刷が行われる空間である。このように、印刷が行われる内部空間18がケース10およびフロントカバー20によって囲まれていることによって、印刷中、外部空間の塵および埃が内部空間18に入り込み難い。
本実施形態では、図1に示すように、フロントカバー20には、窓部21が設けられている。窓部21は、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓部21を通じて内部空間18を視認することが可能である。
操作パネル25は、ケース10の右前部に設けられている。ここでは、操作パネル25は、天面部16の右前部に設けられている。操作パネル25は、作業者が印刷に関する操作を行うパネルである。図示は省略するが、操作パネル25には、例えば、光沢感の有無などの印刷の種類、解像度、印刷の状況などの印刷に関する情報が表示される表示部、および、印刷に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。
次に、印刷装置100の内部構成について説明する。図3は、印刷装置100の要部を模式的に示した平面図である。なお、図3では、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20が取り外されている。図4は、キャリッジ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bを模式的に示した正面図である。図5は、印刷装置100のブロック図である。図3に示すように、印刷装置100は、ガイドレール32と、キャリッジ34と、インクヘッド36と、紫外線照射ランプ38aおよび38b(図4参照)と、テーブル50と、制御装置90(図5参照)を備えている。
ガイドレール32は、インクヘッド36を主走査方向Xにガイドするものである。図2に示すように、ガイドレール32は、主走査方向Xに延びている。本実施形態では、ケース10内には、主走査方向Xに延びた内壁41が設けられている。内壁41の左端は、左壁部14に接続され、内壁41の右端は、右壁部15に接続されている。ここでは、ガイドレール32は、内壁41に配設されており、内壁41を介して、ベース部11に固定されている。
図3に示すように、キャリッジ34は、ガイドレール32に摺動自在に設けられている。キャリッジ34は、ガイドレール32に係合している。キャリッジ34は、ガイドレール32に沿って主走査方向Xへの移動が可能である。図4に示すように、キャリッジ34には、インクヘッド36が設けられている。
本実施形態では、複数のインクヘッド36がキャリッジ34に設けられている。インクヘッド36の数は「6」であるが、インクヘッド36の数は特に限定されない。複数のインクヘッド36は、主走査方向Xに並んで配置されている。インクヘッド36は、被印刷物5に向かって紫外線硬化インクを吐出するものである。詳しくは、図示は省略するが、インクヘッド36の裏面には、複数のノズルが形成されている。インクヘッド36では、このノズルから下方に向かって紫外線硬化インクが吐出される。ここで、「紫外線硬化インク」とは、紫外線を照射させることによって硬化するインクのことである。以下の説明において、紫外線硬化インクのことを単に「インク」とも称する。
図示は省略するが、複数のインクヘッド36には、それぞれインクカートリッジ39(図2参照)が接続されている。ここでは、インクヘッド36と、インクカートリッジ39とは、インクチューブ(図示せず)によって接続されている。図2に示すように、インクカートリッジ39は、複数設けられており、それぞれ色が異なるインクが収容されている。そのため、複数のインクヘッド36からそれぞれ異なるインクが吐出される。本実施形態では、ケース10の内部であって、ベース部11の左後部には、インクカートリッジ収容部42が設けられている。インクカートリッジ39は、インクカートリッジ収容部42に収容されている。
本実施形態では、図4に示すように、キャリッジ34には、紫外線照射ランプ38aおよび38bが設けられている。紫外線照射ランプ38aおよび38bは、インクヘッド36から吐出されたインクを硬化させる紫外線を発するものである。紫外線照射ランプ38aおよび38bは、被印刷物5に吐出された紫外線硬化インクを硬化させる。ここでは、紫外線照射ランプ38aは、キャリッジ34の左部であって、インクヘッド36よりも左方に配置されている。紫外線照射ランプ38bは、キャリッジ34の右部であって、インクヘッド36よりも右方に配置されている。紫外線照射ランプ38aおよび38b、複数のインクヘッド36は、主走査方向Xに並ぶように配置されている。
キャリッジ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38a、38bは、一体となって、ガイドレール32に沿って主走査方向Xに移動する。本実施形態では、図3に示すように、キャリッジ34には、ヘッド駆動装置44が接続されている。ヘッド駆動装置44は、キャリッジ34をガイドレール32に沿って主走査方向Xに移動させる装置である。ヘッド駆動装置44が駆動することによって、キャリッジ34、インクヘッド36、紫外線照射ランプ38aおよび38bは、主走査方向Xに移動する。ヘッド駆動装置44の種類は特に限定されないが、例えば、ヘッド駆動装置44は、モータである。
次に、テーブル50について説明する。テーブル50は、被印刷物5(図6参照)が載置され、被印刷物5を副走査方向Yに搬送するものである。図2に示すように、テーブル50は、ケース10内の内部空間18に配置されている。テーブル50は、ガイドレール32およびインクヘッド36(図4参照)よりも下方に配置されている。図3に示すように、テーブル50は、平面視において、ベース部11における主走査方向Xの中央部分に配置されている。本実施形態では、テーブル50に載置された被印刷物5(図6参照)に向かって、インクヘッド36はインクを吐出する。そして、紫外線照射ランプ38aおよび38b(図4参照)は、テーブル50に載置された被印刷物5に吐出されたインクに向かって紫外線を照射することによって、被印刷物5に吐出されたインクを硬化させる。
本実施形態では、図示は省略するが、テーブル50には、複数の微小な孔が形成されている。テーブル50の下方には、吸引装置55(図5参照)が配置されている。吸引装置55は、テーブル50に形成された上記微小な孔を通じて、テーブル50の上方の空気をテーブル50の下方に向かって吸引することで、テーブル50に載置された被印刷物5をテーブル50に向かって吸引する。このことによって、被印刷物5をテーブル50に密着させることができる。よって、被印刷物5がテーブル50から浮き上がることに起因して、印刷が歪むことを抑制することができる。
テーブル50は、副走査方向Y(前後方向)、および、高さ方向Z(上下方向)に移動可能に構成されている。本実施形態では、図2に示すように、第1テーブル移動機構51によって、テーブル50が副走査方向Yに移動する。また、第2テーブル移動機構52によって、テーブル50が高さ方向Zに移動する。以下、第1テーブル移動機構51および第2テーブル移動機構52について説明する。本実施形態では、図3に示すように、ベース部11の主走査方向Xの中央部分には、開口11aが形成されている。第1テーブル移動機構51および第2テーブル移動機構52は、平面視において、開口11a内および開口11aの周辺に設けられている。
第1テーブル移動機構51は、第1シャフト61と、第2シャフト62と、搬送部材64と、駆動モータ67(図5参照)とを備えている。第1シャフト61および第2シャフト62は、副走査方向Yに延びている。第1シャフト61と第2シャフト62とは平行に配置されている。第1シャフト61および第2シャフト62は、ベース部11に支持されている。搬送部材64は、第1シャフト61および第2シャフト62に対して摺動自在に設けられている。本実施形態では、搬送部材64は、平板64aと、第1筒状部64bと、第2筒状部64cとを有している。平板64aは、ベース部11の開口11aの下方に位置されている。平板64aは、主走査方向Xに延びたものである。図2に示すように、平板64aには、他の部材(例えば、高さ調整部材68)を介して、テーブル50が載置される。図2に示すように、第1筒状部64bおよび第2筒状部64cは、中空の筒状のものである。第1筒状部64bは、平板64aの左端に設けられ、第2筒状部64cは、平板64aの右端に設けられている。第1筒状部64bには、第1シャフト61が摺動自在に挿入されている。第2筒状部64cには、第2シャフト62が摺動自在に挿入されている。図5に示すように、駆動モータ67は、テーブル50を副走査方向Yに移動させる駆動源である。駆動モータ67は、テーブル50に接続されている。図3に示すように、テーブル50は、駆動モータ67の駆動によって、第1シャフト61および第2シャフト62に沿って、搬送部材64が移動することで、副走査方向Yに移動する。
図2に示すように、第2テーブル移動機構52は、テーブル50を高さ方向Z(上下方向)に移動させる機構である。第2テーブル移動機構52における、テーブル50を高さ方向Zに移動させる具体的な構成は、特に限定されない。例えば、第2テーブル移動機構52は、高さ調整部材68と、駆動モータ69(図5参照)とを備えている。テーブル50は、高さ調整部材68を介して、駆動モータ69に接続されている。高さ調整部材68は、テーブル50の底面に設けられており、高さが可変な部材である。駆動モータ69は、高さ調整部材68に接続されており、駆動することで、高さ調整部材68の高さを調整する。その結果、高さ調整部材68の高さが変更されることによって、テーブル50の高さが調整される。
図5に示すように、制御装置90は、印刷に関する制御をする装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。例えば、制御装置90は、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。
制御装置90は、操作パネル25に接続されている。操作パネル25を作業者が操作することで、操作パネル25から制御装置90に信号が送信される。制御装置90は、操作パネル25から受信した信号に基づいて印刷の制御を行う。制御装置90は、キャリッジ34に接続されたヘッド駆動装置44に接続されている。制御装置90は、ヘッド駆動装置44の駆動を制御することで、キャリッジ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bにおける主走査方向Xへの移動を制御する。また、制御装置90は、複数のインクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bに接続されている。制御装置90は、テーブル50に載置された被印刷物5(図6参照)に、複数のインクヘッド36がインクを吐出するそれぞれのタイミングなどを制御する。また、制御装置90は、被印刷物5に吐出されたインクに対して、紫外線照射ランプ38aおよび38bが紫外線を照射するタイミングなどを制御する。
制御装置90は、第1テーブル移動機構51の駆動モータ67、第2テーブル移動機構52の駆動モータ69、および、吸引装置55に接続されている。制御装置90は、第1テーブル移動機構51の駆動モータ67を制御することによって、テーブル50の副走査方向Yへの移動を制御する。制御装置90は、第2テーブル移動機構52の駆動モータ69を制御することによって、テーブル50の高さ方向Zへの移動を制御する。また、制御装置90は、吸引装置55の駆動を制御することによって、テーブル50に載置された被印刷物5(図6参照)をテーブル50に吸着させるタイミングなどを制御する。
図6は、本実施形態に係るテーブル50の平面図である。ところで、図6に示すように、印刷装置100は、被印刷物5にインクを吐出して、被印刷物5に対して印刷を行う。被印刷物5とは、立体物である。被印刷物5とは、例えば、スマートフォンケースである。しかしながら、被印刷物5の種類は特に限定されない。ここでは、被印刷物5は、樹脂によって形成されている。しかし、被印刷物5を形成する材料の種類は、特に限定されない。例えば、被印刷物5を形成する材料の種類は、塩化ビニル、アクリルであってもよい。
印刷装置100は、複数の被印刷物5を一度で印刷することが可能である。ここでは、一度に印刷される複数の被印刷物5は、全て同じ種類の被印刷物5であるが、異なる種類の被印刷物5であってもよい。本実施形態では、複数の被印刷物5を一度に印刷する場合、複数の被印刷物5の互いの位置がずれないように、複数の被印刷物5が収納されるパレット8が使用される。パレット8は、板状の部材であって、被印刷物5に対応した形状の配置孔8aが形成されている。配置孔8aには、被印刷物5が配置される。例えば、配置孔8aには、基準位置が設定されている。この基準位置とは、配置孔8a内に被印刷物5を配置する位置のことであり、ここでは、被印刷物5が配置孔8aの側面の一部(例えば、図6では、右方に位置する側面および下方に位置する側面)と接するような位置のことである。すなわち、被印刷物5は、配置孔8aの側面に当てつけるように配置される。ここでは、複数の配置孔8aは、主走査方向Xおよび副走査方向Yに並ぶように、パレット8に形成されている。
このように、複数の被印刷物5が配置されたパレット8をテーブル50に載置して複数の被印刷物5を印刷する場合、テーブル50に対するパレット8の位置を決定することで、テーブル50に対する複数の被印刷物5の位置を決定することが好ましい。このことによって、被印刷物5に印刷をする際、印刷が被印刷物5に対してずれることを軽減することができる。本実施形態では、位置決め機構70によって、テーブル50に対する被印刷物5の位置を決定する。
次に、本実施形態に係る位置決め機構70について説明する。印刷装置100は、位置決め機構70を備えている。位置決め機構70は、位置決め部材72と、固定具74と、バネ76と、ガイド機構78とを備えている。
位置決め部材72は、テーブル50に対する被印刷物5の位置を決定するものである。本実施形態では、位置決め部材72は、パレット8を介して、パレット8に形成された配置孔8aに配置された複数の被印刷物5におけるテーブル50に対する位置を同時に決定する。本実施形態では、位置決め部材72には、パレット8が直接接触する。しかしながら、位置決め部材72は、被印刷物5が直接接触するものであってもよい。位置決め部材72は、テーブル50に設けられた部材である。
本実施形態では、位置決め部材72は、第1位置決め部材72aと、第2位置決め部材72bとを有している。なお、ここでは、位置決め部材72の数は2つであるが、位置決め部材72の数は特に限定されず、例えば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第1位置決め部材72aは、パレット8における副走査方向Yの一端の位置を決定することで、被印刷物5における副走査方向Yの一端の位置を決定するものである。本実施形態では、第1位置決め部材72aは、主走査方向Xに延びた部材である。第1位置決め部材72aは、テーブル50の表面50aの右前部に設けられている。そのため、第1位置決め部材72aによって、テーブル50に対する被印刷物5の前端の位置が決定される。
第2位置決め部材72bは、パレット8における主走査方向Xの一端の位置を決定することで、被印刷物5における主走査方向Xの一端の位置を決定するものである。本実施形態では、第2位置決め部材72bは、副走査方向Yに延びた部材である。第2位置決め部材72bは、テーブル50の表面50aの右前部に設けられている。第2位置決め部材72bは、第1位置決め部材72aよりも後方であって、第1位置決め部材72aの右端よりも右方に配置されている。ここでは、第2位置決め部材72bは、テーブル50に対する被印刷物5の右端の位置を決定する。
本実施形態では、テーブル50には、収納穴82が形成されている。収納穴82は、位置決め部材72の少なくとも一部が収納される穴である。本実施形態では、収納穴82には、第1収納穴82aと、第2収納穴82bとが含まれている。収納穴82の数は、位置決め部材72の数と同じであり、ここでは、2つである。第1収納穴82aには、第1位置決め部材72aの少なくとも一部が収納される。第1収納穴82aの形状は、第1位置決め部材72aに対応した形状であって、ここでは、主走査方向Xに延びた形状である。第1収納穴82aは、平面視において、テーブル50における第1位置決め部材72aが配置される位置に形成されている。ここでは、第1収納穴82aは、テーブル50の右前部に形成されている。第2収納穴82bには、第2位置決め部材72bの少なくとも一部が収納される。第2収納穴82bの形状は、第2位置決め部材72bに対応した形状であって、ここでは、副走査方向Yに延びた形状である。第2収納穴82bは、平面視において、テーブル50における第2位置決め部材72bが配置される位置に形成されている。ここでは、第2収納穴82bは、テーブル50の右前部であって、第1収納穴82aよりも後方に形成されている。
本実施形態では、第1位置決め部材72aと第2位置決め部材72bとは、配置位置が異なる以外は、同様の構成をしている。また、第1収納穴82aと第2収納穴82bとは、形成位置が異なる以外は、同様の構成をしている。そのため、以下の説明では、第1位置決め部材72aと第2位置決め部材72bのことを位置決め部材72と総称し、第1収納穴82aと第2収納穴82bのことを収納穴82と総称する。
図7および図8は、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置している状態を示す図である。図7は、平面視において、位置決め部材72の長手方向(例えば、第1位置決め部材72aの場合、主走査方向Xであり、第2位置決め部材72bの場合、副走査方向Yである。)における断面図である。図8は、平面視において、位置決め部材72の短手方向(例えば、第1位置決め部材72aの場合、副走査方向Yであり、第2位置決め部材72bの場合、主走査方向Xである。)における断面図である。図9および図10は、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置している状態を示す図である。図9は、平面視において、位置決め部材72の長手方向における断面図である。図10は、平面視において、位置決め部材72の短手方向における断面図である。
本実施形態では、位置決め部材72は、少なくとも一部が収納穴82に収納されている状態で、上下方向に移動可能である。ここでは、図7および図9に示すように、位置決め部材72は、その上端が第1の位置P1と第2の位置P2との間に位置するように移動することが可能である。ここで、図7に示すように、「第1の位置P1」とは、高さ方向Zにおいて、収納穴82の内部の位置である。ここでは、第1の位置P1とは、テーブル50の表面50aと同じ高さの位置のことである。ただし、第1の位置P1は、高さ方向Zにおいて、テーブル50の表面50aよりも低い位置であってもよい。図9に示すように、「第2の位置P2」とは、収納穴82の上方の位置であって、第1の位置P1(図7参照)の上方の位置である。ここでは、第2の位置P2は、インクヘッド36(図4参照)の裏面よりも下方の位置である。
次に固定具74について説明する。固定具74は、位置決め部材72をテーブル50に対して固定するものである。ここでは、固定具74は、図8に示すように、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置する状態、または、図10に示すように、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置する状態で、位置決め部材72をテーブル50に対して固定する。固定具74は、特に限定されないが、例えばネジである。
本実施形態では、図6に示すように、テーブル50の側部には、収納穴82と連通する連通孔84が形成されている。連通孔84には、第1連通孔84aと第2連通孔84bとが含まれる。第1連通孔84aは、テーブル50の前部の側面に形成されている。第1連通孔84aは、第1収納穴82aと連通している。第2連通孔84は、テーブル50の右部の側面に形成されている。第2連通孔84bは、第2収納穴82bと連通している。ここでは、第1連通孔84aおよび第2連通孔84bには、それぞれ固定具74が挿入される。第1連通孔84aおよび第2連通孔84bの内周面には螺旋溝が形成され、固定具74の外周面には、第1連通孔84aおよび第2連通孔84bの上記螺旋溝に係合する螺旋溝が形成されている。本実施形態では、固定具74を回転させて、第1連通孔84aおよび第2連通孔84bにそれぞれ固定具74を挿入させることで、固定具74はテーブル50に固定される。
本実施形態では、図8に示すように、位置決め部材72の側面には、固定具74の先端が接触する接触溝92が形成されている。本実施形態では、図7に示すように、接触溝92は、位置決め部材72の側面の中央部分に形成されているが、その位置は特に限定されない。接触溝92は、上下方向に延びた溝である。接触溝92の上下方向の長さは、接触溝92の水平方向の長さよりも長い。ここでは、接触溝92の水平方向の長さは、固定具74の先端の水平方向の長さよりも若干長い程度の長さである。ここでは、図8に示すように、連通孔84(第1連通孔84aおよび第2連通孔84b)を通じて、固定具74の先端が位置決め部材72(第1位置決め部材72aおよび第2位置決め部材72b)の接触溝92と接触し、かつ、接触溝92を押し当てた状態で、固定具74がテーブル50に対して固定されることで、位置決め部材72がテーブル50に対して固定される。なお、本実施形態では、接触溝92の上部(詳しくは上端)に固定具74が接触したとき、位置決め部材72の上端は第1の位置P1に位置する。図10に示すように、接触溝92の下部(詳しくは下端)に固定具74が接触したとき、位置決め部材72の上端は第2の位置P2に位置する。
バネ76は、テーブル50に形成された収納穴82の底面と位置決め部材72との間に設けられている。バネ76は、位置決め部材72に向かって付勢する。言い換えると、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置している状態において、バネ76は、第2の位置P2の方向に付勢する。ここでは、図7に示すように、1つの位置決め部材72に、2つのバネ76が設けられている。しかし、1つの位置決め部材72に設けられるバネ76の数は特に限定されず、例えば、1つであってもよい。なお、本実施形態では、バネ76は、本発明の「付勢部材」の一例である。
本実施形態では、収納穴82の底面には、バネ76の下端が少なくとも収納される第1バネ用収納穴86が形成されている。位置決め部材72の裏面には、バネ76の上端が少なくとも収納される第2バネ用収納穴87が形成されている。位置決め部材72が収納穴82に収納されている状態において、位置決め部材72の第2バネ用収納穴87は、収納穴82の底面に形成された第1バネ用収納穴86の上方に位置している。なお、本実施形態では、第1バネ用収納穴86は、本発明の「第1付勢部材用収納穴」に対応し、第2バネ用収納穴87は、本発明の「第2付勢部材用収納穴」に対応する。
次に、ガイド機構78について説明する。ガイド機構78は、位置決め部材72の高さ方向Z(上下方向)への移動をガイドする機構である。ガイド機構78は、位置決め部材72に形成されたガイド孔95と、ガイド孔95に挿入されるガイド棒96によって構成されている。ガイド孔95は、位置決め部材72の側面における水平方向(主走査方向Xまたは副走査方向Y)の両端部に形成されている。ここでは、2つのガイド孔95の間に、上述した接触溝92が形成されている。ガイド孔95は、上下方向に延びた孔である。ガイド棒96は、収納穴82の内側面から内側に向かって突出している。位置決め部材72を収納穴82に収納した状態において、ガイド棒96は、位置決め部材72に形成されたガイド孔95に挿入可能な位置に設けられている。位置決め部材72が上下方向に移動することで、位置決め部材72のガイド孔95にガイド棒96が挿入された状態で、ガイド孔95が上下方向に移動する。なお、本実施形態では、1つの位置決め部材72に、2つのガイド孔95が形成されているが、1つの位置決め部材72に形成されるガイド孔95の数は特に限定されず、例えば、1つであってもよい。また、ガイド孔95が形成される位置も特に限定されない。
以上、本実施形態に係る位置決め機構70について説明した。次に、紙などの媒体に試しに印刷を行う試し印刷時における、位置決め機構70の使用手順について説明する。以下の説明において、事前に、図9に示すように、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置しているとする。ここで、試し印刷とは、被印刷物5への印刷に先立って、紙などの記録紙に試しに行う印刷のことをいう。試し印刷では、図6に示すように、テーブル50に、被印刷物5およびパレット8ではなく、記録紙が載置される。本実施形態では、位置決め機構70の位置決め部材72は、被印刷物5およびパレット8におけるテーブル50に対する位置を決めるものである。
ところで、記録紙として、記録紙の主走査方向Xの長さが、パレット8の主走査方向Xの長さよりも長い記録紙が使用されることがあり得る。このような記録紙に試し印刷を行う場合において、位置決め部材72がテーブル50の表面から突出していると、記録紙と位置決め部材72が干渉して、記録紙をテーブル50に適切に載置することができないおそれがある。このような記録紙に印刷を行う場合には、位置決め部材72は不必要となる。
そこで、記録紙に試し印刷を行う場合には、図7に示すように、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置するように、位置決め部材72を下方に移動させることを行う。具体的には、図10に示すように、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置している状態において、固定具74を回転することで、固定具74と位置決め部材72の接触溝92との接触具合を弱める。このことで、位置決め部材72を下方に移動させることができるようになる。次に、図7に示すように、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置するように、位置決め部材72を下方、すなわち、収納穴82の底面に近づくように移動させる。このとき、位置決め部材72のガイド孔95にガイド棒96が挿入されており、ガイド棒96にガイドされながら位置決め部材72は下方に移動される。そして、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置するように、位置決め部材72を移動させた後、固定具74を回転させて、固定具74の先端を収納穴82の内側に向かって挿入させることで、固定具74と位置決め部材72の接触溝92との接触具合を強め、位置決め部材72をテーブル50に対して固定する。その結果、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置しており、位置決め部材72は、テーブル50の表面よりも上方に突出していない。そのため、位置決め部材72に干渉されることなく、記録紙をテーブル50に載置して、記録紙に試し印刷をすることができる。
次に、被印刷物5およびパレット8をテーブル50に載置して、被印刷物5に印刷を行う際における、位置決め機構70の使用手順について説明する。ここでは、事前に、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置しているとする。
被印刷物5への印刷では、図10に示すように、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置するように、位置決め部材72を上方に移動させることを行う。具体的には、図8に示すように、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置している状態において、固定具74を回転させて、固定具74と位置決め部材72の接触溝92との接触具合を弱める。このことによって、位置決め部材72を上方に移動させることができるようになる。次に、図9に示すように、位置決め部材72の上端が第2の位置P2へ位置するように、ガイド棒96にガイドされながら、位置決め部材72を上方、すなわち、位置決め部材72の上端がテーブル50の表面よりも上方に突出するように移動させる。そして、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置するまで、位置決め部材72を移動させた後、図10に示すように、固定具74を回転させて、固定具74の先端を収納穴82の内側に向かって挿入させる。このことによって、固定具74と位置決め部材72の接触溝92との接触具合を強め、位置決め部材72がテーブル50に対して固定される。その結果、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置することによって、位置決め部材72の一部が、テーブル50の表面よりも上方に突出する。よって、図6に示すように、位置決め部材72の第1位置決め部材72aが突出した側面に、パレット8の前端を当てつけ、かつ、第2位置決め部材72bが突出した部分の側面に、パレット8の右端を当てつけることで、パレット8内の複数の被印刷物5におけるテーブル50に対する位置を決定することができる。
以上、本実施形態では、被印刷物5に印刷をする場合、図9に示すように、位置決め部材72の上端が第2の位置P2に位置するように、位置決め部材72を配置する。このことによって、位置決め部材72の一部がテーブル50の表面よりも上方に突出する。よって、被印刷物5をパレット8を介して位置決め部材72に押し当てることで、テーブル50に対する被印刷物5の位置を決定することができる。一方、記録紙に試し印刷をする場合、図7に示すように、位置決め部材72の上端が第1の位置P1に位置するように、位置決め部材72を配置する。このことによって、試し印刷を行う記録紙が主走査方向Xに長い紙の場合であっても、記録紙をテーブル50に載置する際、記録紙が位置決め部材72と干渉しないため、記録紙をテーブル50に適切に載置することができる。したがって、本実施形態では、被印刷物5におけるテーブル50に対する位置決めができると共に、試し印刷をする際に、試し印刷用の記録紙をテーブル50に適切に配置することができる。
例えば、図11に示した印刷装置200において、2つの第1位置決め部材172a、および、2つの第2位置決め部材172bが、テーブル150に対して取り外し可能な部材である場合、試し印刷を行う度に、第1位置決め部材172aおよび第2位置決め部材172bを取り外す必要がある。そのため、試し印刷をする際、第1位置決め部材172aおよび第2位置決め部材172bを取り外す作業が煩わしかった。しかしながら、本実施形態では、図7に示すように、試し印刷をする際、位置決め部材72をテーブル50から取り外すことなく、位置決め部材72の上端の位置が第1の位置P1となるように、位置決め部材72を下方に移動させればよい。よって、位置決め部材72をテーブル50から取り外す煩わしさをなくすことができる。
本実施形態では、図8および図10に示すように、固定具74は、位置決め部材72の上端が第1の位置P1および第2の位置P2のうち何れ一方の位置に配置された状態で、位置決め部材72をテーブル50に固定する。具体的には、ここでは、テーブル50の側面には、収納穴82と連通する連通孔84が形成されている。この連通孔84には、固定具74が挿入される。このように、本実施形態では、固定具74を連通孔84に挿入することで、固定具74の先端が収納穴82内に入り込む。このとき、固定具74の先端が、収納穴82に収納された位置決め部材72と接触し、位置決め部材72を押し当てることによって、位置決め部材72をテーブル50に固定することができる。
本実施形態では、位置決め部材72の側面には、連通孔84に挿入された固定具74が接触する接触溝92が形成されている。このことによって、固定具74が接触溝92と接触して、位置決め部材72を押し当てた際、固定具74が位置決め部材72に対してずれることを抑制することができる。
また、本実施形態では、接触溝92は、上下方向に延びた溝である。このことによって、位置決め部材72が上下方向に移動できる程度に、接触溝92と固定具74との接触具合を弱めた状態で、位置決め部材72を上下方向に移動させるとき、位置決め部材72の移動をガイドする役割を固定具74が担うことができる。よって、位置決め部材72を上下方向に移動させ易い。
本実施形態では、バネ76は、収納穴82の底面と、位置決め部材72との間に設けられている。バネ76は、位置決め部材72に向かって付勢されている。このことによって、位置決め部材72の上端の位置を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動させるように、位置決め部材72を上方に移動させる際、バネ76の付勢力によって、位置決め部材72を容易に移動させることができる。
また、本実施形態では、図7に示すように、収納穴82の底面には、バネ76の下端が収納される第1バネ用収納穴86が形成されている。位置決め部材72の裏面には、バネ76の上端が収納される第2バネ用収納穴87が形成されている。このように、第1バネ用収納穴86にバネ76の下端が収納されていることで、バネ76が収納穴82の底面に対して位置がずれることを抑制することができる。また、第2バネ用収納穴87にバネ76の上端が収納されていることで、バネ76が位置決め部材72に対して位置がずれることを抑制することができる。
本実施形態では、位置決め部材72には、上下方向に延びたガイド孔95が形成されている。テーブル50に形成された収納穴82の内周面には、収納穴82の内部に向かって延び、ガイド孔95に挿入されるガイド棒96が設けられている。このことによって、位置決め部材72が上下方向に移動するとき、位置決め部材72のガイド孔95にガイド棒96が挿入されているため、位置決め部材72が水平方向にずれにくくすることができる。
また、本実施形態では、1つの位置決め部材72において、2つのガイド孔95が形成されている。ここでは、ガイド孔95は、位置決め部材72の両端部に形成されている。このことによって、位置決め部材72が回転することを抑制することができる。
本実施形態では、図6に示すように、位置決め部材72は、被印刷物5における副走査方向Yの一端の位置を決定する第1位置決め部材72aと、被印刷物5における主走査方向Xの一端の位置を決定する第2位置決め部材72bとを備えている。第1位置決め部材72aは、主走査方向Xに延びた部材であり、第2位置決め部材72bは、副走査方向Yに延びた部材である。収納穴82には、第1位置決め部材72aの少なくとも一部が収納可能な第1収納穴82aと、第2位置決め部材72bの少なくとも一部が収納可能な第2収納穴82bとが含まれる。このことによって、第1位置決め部材72aの上端と、第2位置決め部材72bの上端とがそれぞれ第2の位置P2に位置している状態において、第1位置決め部材72aの側面に、被印刷物5が配置されたパレット8の副走査方向Yの一端(本実施形態では、前端)を押し当てることで、被印刷物5の副走査方向Yの位置を決定することができる。同様に、第2位置決め部材72bの側面に、被印刷物5が配置されたパレット8の主走査方向Xの一端(本実施形態では、右端)を押し当てることで、被印刷物5の主走査方向Xの位置を決定することができる。
上記実施形態では、第1位置決め部材72aおよび第2位置決め部材72bは、テーブル50の表面50aの右前部に設けられていた。しかしながら、第1位置決め部材72aおよび第2位置決め部材72bの位置は特に限定されない。例えば、第1位置決め部材72aおよび第2位置決め部材72bは、テーブル50の表面50aの左後部に設けられていてもよい。この場合、第1位置決め部材72aは、第2位置決め部材72bよりも後方であって、第2位置決め部材72bのよりも右方に配置されているとよい。また、第1位置決め部材72aがテーブル50の表面の右前部に設けられ、第2位置決め部材72bがテーブル50の表面の左前部に設けられていてもよい。
上記実施形態では、位置決め部材72の数は、第1位置決め部材72aと第2位置決め部材72bの2つであった。しかしながら、位置決め部材72の数は、2つに限定されず、例えば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。