1.抗毛嚢炎用外用組成物
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、プエラリア・ミリフィカの抽出物を有効成分として含み、毛嚢炎の予防、改善及び治療のために使用されるものである。
毛嚢炎(毛包炎)は、毛嚢にブドウ球菌等の最近が感染して引き起こされる細菌性炎症であり、細菌感染を伴うざ瘡(赤ニキビ、化膿ニキビともいう)を含む。ざ瘡には、思春期ざ瘡(尋常性ざ瘡ともいう)、思春期後ざ瘡(大人ニキビ又は吹き出物ともいう)が含まれるが、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の適用対象として好ましくは思春期後ざ瘡である。特に、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、ステロイド剤を適用できない、若しくはステロイド剤を適用しても症状の改善が認められない毛嚢炎に対して有効である。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の適用対象として、細菌感染を伴わない面皰(白ニキビ又は黒ニキビともいう)を含めてもよいが、好ましくは除かれる。
ここで「抗毛嚢炎用」とは、上記毛嚢炎の予防用、改善用又は治療用の意味を包含するが、好ましくは改善用又は治療用である。「予防」とは、毛嚢炎の発症を抑制することを意味する。また、「改善」とは、毛嚢炎を発症した際現れる発赤、熱感、腫脹及び疼痛からなる群から選択される少なくと一つの症状を緩和することを意味する。さらに、「治療」とは、毛嚢炎を発症した際現れる発赤、熱感、腫脹及び疼痛からなる群から選択される少なくと一つの症状を治すことをいう。
本明細書において、「即効性」とは、本発明の外用組成物の塗布を開始してから、遅くとも3日以内、好ましくは2日以内に、毛嚢炎を発症した際現れる発赤、熱感、腫脹及び疼痛からなる群から選択される少なくと一つの症状を改善又は治療する効果をいう。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、有効成分としてプエラリア・ミリフィカの抽出物を含む。好ましくは、プエラリア・ミリフィカの抽出物を抗毛嚢炎の唯一の有効成分として含む。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物に使用されるプエラリア・ミリフィカは、Kwao Krua Kao(白いグアオークルア)であり、Kwao Krua Deng(赤いグワオーデン)、及びblack and dull grey Kwao Krua plants(黒いグワオーダム)、及びyellow Kwao Krua (黄グアオークルア)とは区別される。また、日本において古来より漢方薬又は食材として使用されているクズ(Pueraria lobata または Pueraria montana var. lobata)とも異なる種である。
プエラリア・ミリフィカは、タイ北部やミャンマーの山岳地帯などの亜熱帯地域が原産のマメ科の植物であるが、日本の兵庫県朝来市和田山町においても栽培されている。
プエラリア・ミリフィカの抽出物を得るための植物体として、プエラリア・ミリフィカの塊根、根、茎、葉、及び花のいずれも用いることができるが、好ましくは、塊根又は根であり、より好ましくは根塊である。
抽出に用いられる植物体は、生状態又は乾燥状態のどちらであってもよいが、好ましくは乾燥状態のものである。プエラリア・ミリフィカの塊根の乾燥粉末として、例えば和田山町特産物市場組合より販売されているプエラリア・ミリフィカの乾燥粉末「夢美人」を使用することもできる。
プエラリア・ミリフィカの抽出物には、エキス(軟エキス、乾燥エキス)、チンキ、流エキス、浸出油、精油、芳香水剤等が含まれる。「チンキ」、「エキス」、「流エキス」及び「芳香水剤」の定義は、第16改正日本局方解説書(以下、解説書とする)に定めるところによる。
プエラリア・ミリフィカのエキスを得る方法としては、解説書に記載の方法等の公知の方法を挙げることができる。例えば、プエラリア・ミリフィカの乾燥植物体の粉末100 gを浸出剤300〜2,000 mlに浸漬し、4〜30℃、好ましくは20〜28℃の環境下でで15分〜2日、好ましくは30分〜16時間程度、より好ましくは30分〜2時間程度、プエラリア・ミリフィカの成分を浸出する。浸出している間は、静置しておいてもよいが、1日に2〜3回程度撹拌してもよい。
浸出が終了後、上澄みの回収、濾過、遠心分離等の公知の方法によって固液分離し浸出液を得ることができる。エバポレーター等で浸出液中の有機溶媒を除去し、及び/又は浸出液を濃縮し、軟エキスを得ることができる。また、必要に応じて、エバポレーター等で浸出液中の有機溶媒を除去し、及び/又は浸出液を乾燥し、乾燥エキスを得ることができる。
さらに、固液分離した残渣を再度浸出剤に浸漬し浸出液を固液分離する工程を2〜5回繰り返して浸出液を回収し、回収した浸出液を混合して軟エキス剤又は乾燥エキス剤を調製してもよい。
エキスを得るための浸出剤は、水、エタノール、メタノール、酢酸エチル及びこれらの混合液等の中から選択することができる。好ましくは、エタノール又は酢酸エチルである。
プエラリア・ミリフィカのチンキを得る方法としては、解説書に記載の方法等の公知の方法を挙げることができる。例えば、プエラリア・ミリフィカの乾燥植物体の粉末100 gを、抽出溶媒となるエタノール又は10〜90%のエタノール水溶液、好ましくはエタノール300〜500 mlに浸漬し、4〜30℃、好ましくは20〜28℃の環境下で15分〜2日、好ましくは30分〜16時間程度、より好ましくは30分〜2時間程度、プエラリア・ミリフィカの成分を浸出する。浸出している間は、静置しておいてもよいが、1日に2〜3回程度撹拌してもよい。
浸出終了後、上澄みの回収、濾過、遠心分離等の公知の方法によって固液分離し、チンキを得ることができる。また、固液分離した残渣に再度エタノール等を加えて浸漬し固液分離してチンキを得る工程を複数回繰り返してもよい。
プエラリア・ミリフィカの植物体の浸出油を得る方法としては、公知の方法を挙げることができる。例えば、プエラリア・ミリフィカの植物体の乾燥粉末1gに、25〜60℃、好ましくは45〜55℃に加温した常温で液体の油脂類を30〜60 ml加え混合後、4〜30℃、好ましくは20〜28℃の環境下に12〜48時間、好ましくは16〜30時間静置しプエラリア・ミリフィカの成分を浸出する。浸出終了後、上澄みの回収、濾過、遠心分離等の公知の方法によって固液分離し、浸出油を得ることができる。
浸出油を得るために使用する前記常温で液体の油脂類としては、セサミオイル、グレープシードオイル、オリーブオイル、スイートアーモンドオイル等を使用することができる。好ましくは、セサミオイル、スイートアーモンドオイルであり、より好ましくはセサミオイルである。
プエラリア・ミリフィカの植物体の流エキス、芳香水剤は、解説書に記載の方法等の公知の方法に従って得ることができる。
また、プエラリア・ミリフィカの植物体の精油は、水蒸気蒸留法、圧搾法、溶剤抽出法、アンフルラージュ法(冷浸法)、マセレーション法(温浸法)、超臨界抽出法(液化二酸化炭素抽出法・CO2蒸留法)等の公知の方法によって抽出することができる。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の剤形は、軟膏剤、クリーム剤、又は外用液剤である。
軟膏剤には、油脂性軟膏剤及び水溶性軟膏剤(マクロゴール軟膏、白色軟膏、寸水和セリン等)が含まれるが、好ましくは油脂性軟膏剤である。
クリーム剤には、油中水型(w/o型エマルジョン)クリーム剤及び水中油型(o/w型エマルジョン)クリーム剤が含まれるが、好ましくは油中水型クリーム剤である。
外用液剤にはリニメント剤及びローション剤が含まれる。リニメント剤は、皮膚にすり込んで用いる液状又は泥上の外用液剤であるが、好ましくは液状である。ローション剤には、乳剤性ローション(o/w型ローション)、溶液性ローション、懸濁性ローション剤等が含まれるが、好ましくは乳剤性ローション及び懸濁性ローションであり、より好ましくは、乳剤性ローションである。
本発明の外用組成物の基剤原料は、医薬品、医薬部外品及び化粧品を調製するために使用されるものであれば特に制限されないが、例えば、油性原料、水性原料を使用することができる。また基剤には、界面活性剤、粉体原料等を含んでいてもよい。
油性原料としては、油脂類(アボガドオイル、ツバキ油、米ぬか油、サフラワーオイル、大豆油、コーン油、ナタネ油、杏仁油、パーシック油、ヒマワリ油、桃仁油、コットンシードオイル、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリットヒマワリ油、マカデミアナッツオイル、メドウファームオイル、ヘーゼルナッツオイル、オリーブオイル、ひまし油、セサミオイル、アーモンドオイル、グレープシードオイル、シアバター、パーム核油、パーム油、ヤシ油、カカオ脂、木ロウ、アルガンオイル、ローズヒップオイル、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、馬油等)、炭化水素類(植物性スクワレン、植物性スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワセリン、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、軟質イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動ポリイソブチレン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、合成スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等)、脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミスチリン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリリン、トリミリスチン、トリオクタノイン、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等)、ロウ類(ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ、オレンジラフィー油、セラック、モンタンロウ等)、高級脂肪酸(ラウリル酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸等)、高級アルコール(ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、セタノール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等)、シリコーンオイル等が挙げられる。
油性原料として好ましくは、油脂類(アボガドオイル、ツバキ油、米ぬか油、マカデミアナッツオイル、ヘーゼルナッツオイル、オリーブオイル、ひまし油、セサミオイル、アーモンドオイル、グレープシードオイル、シアバター、パーム核油、パーム油、ヤシ油、カカオ脂、木ロウ、アルガンオイル、ローズヒップオイル)、炭化水素類(植物性スクワレン、植物性スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワセリン、スクワレン、スクワラン、合成スクワラン)、及びロウ類(ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ)からなる群から選択される少なくとも一種である。油性原料としてより好ましくは、セサミオイル、スイートアーモンドオイル、植物性スクワラン、スクワラン、ワセリン、ミツロウ、シアバター、ホホバ油等である。油性原料としてさらに好ましくは、セサミオイルであり、中でも低温で搾油したセサミオイルが好ましい。
水性原料としては、水、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、糖アルコール等)、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、単糖類(グルコース、フルクトース等)、二糖類(トレハロース、マルトース、硫酸化トレハロース、多糖類(プルラン等)、高分子類(アルギン酸、カラギーナン、寒天、グアーガム、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロ、小麦タンパク質、大豆タンパク質、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、デンプンリン酸エステル、デンプングルコール酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸塩、カチオン化グアーガム、カルボキシメチル−ヒドロキシプロピル化グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポロエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、高分子シリコーン、ベントナイト、ラポタイト、スメクタイト、微粉化珪素、コロイダルアルミナ等)、ヒドロキシカルボン酸ナトリウム、アミノ酸、尿素、酵母エキス、ローヤルゼリー、シルク抽出物、トリメチルグリシン等を挙げることができる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、オレイル、硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチルーβ-アラニントリエタノールアミン液、N-ラウロイル-L-アスパラギン酸ナトリウム塩、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、Nε-ラウロイル-L-リジン、N-ラウロイル-L-スレオニンカリウム、ステアロイル乳酸カリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンナトリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解大豆タンパク質カリウム液、ヤシ油脂肪酸加水分解トウモロコシタンパク質カリウム、ラウリルアミノプロピオン酸液,ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム等)、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸ポリグリセロール、セスキオレイン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸マルチトールエステル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール、ジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコシド、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンみつろう(8EO)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン液状ラノリン、ポリオキエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセテルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルアミン、ポリオキシエチレンオレイルセテルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル等)、カチオン界面活性剤(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム等)、カチオン化加水分解ポリペプチド(塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク等)、両極性界面活性剤(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン液、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン液、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N'-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジメチルアミンオキシド液、オレイルジメチルアミンオキシド等)、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DLピロリドンカルボン酸塩、塩化ジポリオキシエチレンステアリルメチルアンモニウム液、塩化トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウム(5EO)、塩化ステアリルコラミノホルミルメチルピリジニウム等が挙げられる。界面活性剤として、好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40等である。
本発明の外用組成物は、抗炎症効果、抗菌効果、抗真菌効果、創傷治癒効果、美白効果、肌荒れ防止効果、皮脂分泌抑制効果等を有するプエラリアミリフィカ以外の植物抽出物(精油、浸出油、エキス、チンキ、芳香水、芳香蒸留水、流エキス等)、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
プエラリアミリフィカ以外の植物抽出物としては、カレンデュラ抽出物(花の精油、浸出油、チンキ、エキス等)、アルニカ抽出物(花の浸出油等)、セージ抽出物(葉の精油、浸出油、チンキ、エキス等)、ローズマリー抽出物(葉の精油、浸出油、チンキ、エキス等)、ティートリー抽出物(葉の精油等)、ニーム抽出物(実の核から圧搾機で絞ったニームオイル等)、バードック抽出物(根の浸出油、エキス等)、ユーカリ抽出物(葉の精油等)、ラベンダー抽出物(花の精油、チンキ、エキス、芳香蒸留水等)、レモンバーム抽出物(葉の精油等)、ドクダミ抽出物(葉のチンキ、エキス等)、ハトムギ抽出物(実のエキス、チンキ等)、ヒース抽出物(花のエキス、チンキ等)、エキセアナ抽出物(全草のチンキ、エキス等)、ウスベニアオイ抽出物(花又は葉のエキス、チンキ等)、ジャーマンカモミール(抽出物花の精油、チンキ、エキス等)、マシュマロウ抽出物(根又は葉のエキス等)、ヤロー抽出物(花の精油、エキス、チンキ等)を挙げることができる。好ましくは、カレンデュラ抽出物(特にカレンデュラオイル)、ティートリー抽出物(葉の精油)、ドクダミ抽出物(特に葉のチンキ、エキス)、ハトムギ抽出物(実のエキス、チンキ等)であり、特に好ましくはカレンデュラオイルである。
これらの植物抽出物は、公知の方法に従って調製してもよいが、株式会社生活の木、ナチュラスサイコス(ハーバルインデックス有限会社)、株式会社ニールズヤードレメディーズ等から購入することができる。
殺菌剤又は防腐剤としては、安息香酸、デヒドロ酢酸、フェニルエタノール、フェノキシイソプロピルアルコール、ヒドロキシ安息香酸エステル類、クロルクレゾール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、プロピレングリコール、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビテン酸、チモール等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等を挙げることができる。
このほかに添加剤として、紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸及びその誘導体、ケイ皮酸及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体等)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛等)、美白剤(アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、ビタミンC及びその誘導体、リノール酸等)、生体成分(コラーゲン、ヒアルロン酸、セラミド、ホルモン、胎盤抽出物等)を含んでいてもよい。
また、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物には、必要に応じて色材や香料(ローズ、ゼラニューム、ラベンダー、ハッカ、レモン、ネロリ、グレープフルーツ、オレンジ等の精油等)。pH調整剤(リン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、ジイソプロパノールアミン、酢酸、酢酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム等)を添加してもよい。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物中に含まれるプエラリア・ミリフィカエキスの含有量は、最終組成物全体の量を100重量%とした場合、プエラリア・ミリフィカ乾燥エキスが0.001〜5重量%の範囲で含まれればよく、プエラリア・ミリフィカ乾燥エキスの含有量の下限値として、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%である。プエラリア・ミリフィカ乾燥エキスの含有量の上限として、好ましくは1重量%、より好ましくは0.5重量%である。
プエラリア・ミリフィカ浸出油又はチンキを使用する場合には、最終組成物全体の量を100容量とした場合、プエラリア・ミリフィカ浸出油又はチンキが0.001〜5容量の範囲で含まれればよく、プエラリア・ミリフィカ浸出油又はチンキの含有量の下限値として、好ましくは0.01容量、より好ましくは0.05容量である。プエラリア・ミリフィカ浸出油又はチンキの含有量の上限として、好ましくは1容量、より好ましくは0.5容量である。
プエラリアミリフィカ以外の植物抽出物の含有量は、抽出物が乾燥エキスの場合には、最終組成物全体の量を100重量%とした場合、当該乾燥エキスが0.001〜5重量%の範囲で含まれればよく、当該乾燥エキスの含有量の下限値として、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%である。当該乾燥エキスの含有量の上限として、好ましくは1重量%、より好ましくは0.5重量%である。
プエラリアミリフィカ以外の植物抽出物が、浸出油、流エキス、チンキの場合には、最終組成物全体の量を100容量とした場合、当該植物抽出物が5〜90容量の範囲で含まれればよく、含有量は剤形の形状を維持できる範囲において調製することができる。当該植物浸出油の含有量の下限値として、好ましくは10容量、より好ましくは20容量、さらに好ましくは40容量である。当該植物抽出物の含有量の上限として、好ましくは80容量、より好ましくは70容量、さらに好ましくは60容量である。
プエラリアミリフィカ以外の植物抽出物が、精油の場合には、最終組成物全体の量を100容量とした場合、当該植物抽出物が0.01〜1容量の範囲で含まれればよく、含有量は剤形の形状を維持できる範囲において調製することができる。当該植物浸出油の含有量の下限値として、好ましくは0.04容量、より好ましくは0.08容量、さらに好ましくは0.1容量である。当該植物抽出物の含有量の上限として、好ましくは0.8容量、より好ましくは0.5容量、さらに好ましくは0.3容量である。
殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美白剤、生体成分等の添加剤は、最終組成物の0.00001〜10重量%の範囲の間で適宜添加することができる。
各剤形の基剤に含まれる各原料の含有量は、調製しようとする剤形を維持できる範囲において適宜設定することができる。
油性軟膏剤は、例えば解説書とする等に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば、まず、上記油脂類、ロウ類、炭化水素類等の油性原料を約70〜80℃に加熱して油相(溶液状態)とする。別途有効成分を液状の水性又は油性原料に溶解もしくは分散させた主薬相を調製し、油相に主薬相を加え混合及び冷却し、油性軟膏剤を得ることができる。
水溶性軟膏剤も、例えば上記解説書に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば、まず、マクロゴール軟膏であれば、マクロゴール(ポリエチレングリコール)4000を約65℃で加熱し、溶液状にする。別途、有効成分を液状のマクロゴール400に溶解もしくは分散させ主薬相を調製し、溶液状にしたマクロゴール4000に主薬相を加え、混合及び冷却し、水溶性軟膏剤を得ることができる。
クリーム剤も、上記解説書等に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば、まず、水に水溶性成分を溶かし、70〜80℃に加熱して水相を調製する。別に、上記油脂類、ロウ類、炭化水素類等の油性原料及び/又は界面活性剤などを70〜80℃に加熱して油相(溶液状態)を調製する。有効成分は、その薬剤の溶解性や耐熱性などにより、水相あるいは油相に添加するか、もしくは、別に加温しない主薬相として調製することができる。油相と水相を合わせ、さらに主薬相を加え、乳化及び冷却し、クリーム剤を得ることができる。HLB(Hydrophile- Lipophile Balance、親水性親油性バランス)が3〜6であれば、w/o型エマルジョンとなり、HLBが8〜18であれば、o/w型エマルジョンとなる。
リニメント剤も、公知の方法によって調製することができる、リニメント剤は、例えばエタノール溶液に有効成分及びその他の成分を溶解し調製することができる。また、ピーナッツオイル、コットンシードオイル、オリーブオイル、ひまし油、セサミオイル等の環境温度15〜35℃で液体の油脂に有効成分及びその他の成分を直接溶解して、又は有効成分の濃縮液を希釈して調製することができる。
乳剤性ローション剤の調製もo/w型エマルジョンのクリーム剤に準ずる公知の方法にしたがい、油性原料と水溶性原料を上記界面活性剤等で乳化させ、水等の水性原料をさらに加えることにより調製することができる。
溶液性ローション剤の調製も、解説書等に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば水性原料に有効成分、必要に応じて上記添加剤を直接溶解して調製することができる。また、水に直接溶解しにくい成分については、エタノールあるいは多価アルコール等の好適な溶媒に溶解してから、これを水と合わせ、混合して溶液性ローション剤を得ることができる。
懸濁性ローション剤は、上記解説書等に記載の公知の方法によって調製することができる。例えば、添加剤等の成分をエタノールあるいは多価アルコール類などの溶媒に溶解させ、これを水と合わせた後、有効成分を主薬を分散させることにより調製できる。また、主薬や添加剤を分散させるため、少量の水溶性高分子(アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ベントナイト等)の懸濁化剤として添加することで膨潤させた水を加え、混合して懸濁性ローション剤を調製することができる。
懸濁性ローションは、静置時に油相と水相が分離している状態のものを使用時に振り混ぜて懸濁してもよい。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物には、医薬品、医薬部外品、化粧品として使用することができる。ここで、化粧品には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定される薬用化粧品(有効成分が配合された化粧品)が含まれる。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、毛嚢炎の改善又は治療するために、毛嚢炎を発症した患部に、例えば1日に1〜6回、好ましくは1日に1〜3回直接塗布又はすり込むことができる。また、毛嚢炎を予防するためには、例えば1日に1〜2回顔に当該外用組成物を塗布するか、週に1〜2回当該外用用組成物で顔をマッサージすることができる。
1日の間で、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物を使用する時間帯は、特に制限されないが、就寝前に使用することが好ましい。
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、頭皮等を含む全身の皮膚に使用することができるが、好ましくは顔、背中等の皮膚であり、より好ましくは顔の皮膚に使用することができる。
2.抗毛嚢炎用外用組成物の調製方法
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の調製方法は、プエラリア・ミリフィカ抽出物を用いて、抗毛嚢炎用外用組成物を調製する工程を含む。より具体的には、プエラリア・ミリフィカ抽出物を基剤と混合する工程を含む。
プエラリア・ミリフィカから抽出物を得る方法は、上記1.に記載した方法に準じて行うことができる。
プエラリア・ミリフィカ抽出物を基剤と混合する方法は、上記1.で述べた各剤形の原料を使用し、各剤形の調製方法に準じて行うことができる。
以下、本発明の実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
調製例1.プエラリア・ミリフィカの乾燥エキス(酢酸エチル抽出)
タイ産のプエラリア・ミリフィカの乾燥粉末((株)オムニカ製)1 kgを容器に入れ、酢酸エチル10 Lを加えて容器を密栓し、冷蔵庫で12時間浸漬させた。浸漬中は3時間に一度撹拌を行った。浸漬後の溶液をブフナーロートおよび濾紙を用いて濾過し、濾過後の溶液をロータリーエバポレーターを用いて乾燥後、さらに真空乾燥させて、プエラリア・ミリフィカ乾燥エキス10.5 gを得た。
調製例2.プエラリア・ミリフィカの乾燥エキス(エタノール抽出)
プエラリアミリフィカ滅菌粉末((株)オムニカ製)500 gを三角フラスコに入れ、25℃で1.5 Lのエタノールを用いて成分の30分間浸出を行った。浸出後、定性濾紙5Bを用いて粉末を濾過し、エタノール浸出液を丸底フラスコに回収した。回収後の粉末を再度三角フラスコに入れ、エタノール1.5 Lで浸出回数が5回になるまで濾過と浸出を繰り返し、得られた浸出液を丸底フラスコに回収した。ロータリーエバポレーターを用いて丸底フラスコに回収した浸出液からエタノールを除去し、さらに浸出液を真空乾燥し、褐色の乾燥エキス20.8 gを得た。
調製例3.プエラリア・ミリフィカの浸出油
ミャンマー産プエラリアミリフィカ乾燥物0.9 gを乳鉢にとり、乳棒を使用して粉砕した。粉砕後、乳鉢に50℃に加熱したセサミオイル50 mLを加え、一晩常温にて放置した。その後、濾紙(Advantec製、定性No.1)を使用して自然濾過を行い、プエラリア・ミリフィカ浸出油5 mLを得た。
調製例4.セサミオイルの調製
市販の太白ゴマ油(竹本油脂(株)製)1 Lを容器に入れ、開放系において窒素を流通させながら80℃で2時間加熱した。加熱後の油を加圧ろ過し、窒素雰囲気下5℃で1週間保管しセサミオイル950 mLを得た。
調製例5.カレンデュラオイルの調製
市販のスイートアーモンドオイル1 L(提供元:(株)生活の木)に対して、マリーゴールド乾燥花100 gを浸漬させ、5℃で2週間冷蔵保管して抽出を行った。その後固形物を濾過し、カレンデュラオイル950 mLを得た。
実施例1〜3.外用組成物の調製
表1の配合表に従い外用剤の配合を行った。使用したミツロウ、シアバターは一般的に市販されているものを購入した。
実施例1
調整例4で調整したセサミオイル100gをビーカーに入れ、調整例1に記載の方法で抽出したプエラリア・ミリフィカ乾燥エキス0.1gを加え、常温にて5分撹拌して実施例1の混合物を得た。
実施例2
市販のスイートアーモンドオイル40gおよび調整例5で調整したカレンデュラオイル40gをビーカーに入れ、調整例1に記載の方法で抽出したプエラリア・ミリフィカ乾燥エキス0.1gを加え、常温にて5分撹拌した。さらに混合物を60℃まで加温し、そこに市販のシアバター40gを加え、約15分、シアバターが完全に溶解するまで撹拌した。混合物を冷却し、外用組成物を得た。
実施例3
調整例4で調整したセサミオイル50gおよび調整例5で調整したカレンデュラオイル50gをビーカーに入れ、調整例1に記載の方法で抽出したプエラリア・ミリフィカ乾燥エキス0.1gを加え、常温にて5分撹拌した。さらに混合物を60℃まで加温し、そこに市販のミツロウ20gを加え、約15分、ミツロウが完全に溶解するまで撹拌した。混合物を冷却し、外用組成物を得た。
実験例
毛嚢炎の被験者1名(発明者)を対象として、実施例3の外用組成物を1回患部に塗布し症状が改善するか否かを検討した。毛嚢炎の状態、並びに使用後の本人の評価および医師の診断結果を表2に示す。また同被験者の患部の様子を示す写真を図1に示す。本発明の外用組成物の塗布後24時間で自覚している症状の著名な改善が見られ、塗布後48時間で医師の判定においても顕著な改善が認められると診断された。
この結果から、本発明の外用組成物は、毛嚢炎に対して有効性が高く、また即効性が高いと考えられた。
一方、一般的に毛嚢炎には、リンデロン軟膏等のステロイド配合剤は効果が認められない。また、エストロゲンを毛嚢炎に外用しても効果が認められたという例は報告されていない。このことから、プエラリア・ミリフィカ抽出物に、ミロエステロール等のフィトエストロゲンが豊富に含まれていても、毛嚢炎に対する効果はこれらのエストロゲン様物質による作用ではないと考えられた。