JP6678274B1 - 積層フィルム巻回体、ハードコートフィルム付き積層体、及び偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードコートフィルムが設けられた偏光板等のハードコートフィルム付き積層体の表面におけるスジの発生を抑制することができる積層フィルム巻回体、ハードコートフィルム付き積層体、及び偏光板を提供する。【解決手段】積層フィルム巻回体は、積層フィルムをロール状に巻取られたものである。積層フィルムは、基材層及びハードコート層を有するハードコートフィルムと、保護フィルムとを有する。ハードコートフィルムの厚みは30μm以下であり、ハードコートフィルムの巻回方向における温度23℃、相対湿度55%での引張弾性率は、3000MPa以下である。積層フィルムから剥離されたハードコートフィルムは、巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が0.25μm以下であり、鉛筆硬度が5B以上H未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルム巻回体、ハードコートフィルム付き積層体、及び偏光板に関する。
液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の表示装置では、各種の光学フィルムが用いられている。このような光学フィルムの一つとして偏光板が挙げられる。偏光板は、偏光層の片面又は両面に、偏光層を保護するための保護層を設けたものである。偏光板に用いられる保護層には、その表面硬度を向上するためにハードコート層が設けられることがある(例えば、特許文献1〜4)。
特開2005−103878号公報 特開2009−292871号公報 特開2013−136774号公報 特開2017−82240号公報
ハードコート層が設けられた保護層(以下、「HC層付きフィルム」ということがある。)は、その製造時や市場流通時(偏光層に貼合される前)にハードコート層(以下、「HC層」ということがある。)に傷がつくこと等を抑制するために、HC層付きフィルムのHC層側が保護フィルムで覆われた積層フィルムとされることがある。また、HC層付きフィルムは、偏光板を得るために偏光層表面に貼合して用いられることがあるが、偏光層とHC層付きフィルムとの貼合は、それぞれの長尺物を用いて連続的に行われることが通常である。そのため、上記した積層フィルムも長尺物として得られ、この長尺の積層フィルムがロール状に巻取られた積層フィルム巻回体とされて市場流通や保管等がなされる。
そして、偏光層とHC層付きフィルムとの貼合時には、積層フィルム巻回体を巻出して得られた積層フィルムから保護フィルムを剥離した後、HC層付きフィルムを偏光層に貼合して、HC層付きフィルムを有する偏光板を得る。このようにして得られた偏光板では、そのHC層付きフィルム側の表面にスジが視認される場合があることを本発明者らは見出した。
本発明は、ハードコートフィルムが設けられた偏光板等のハードコートフィルム付き積層体の表面におけるスジの発生を抑制することができる積層フィルム巻回体、ハードコートフィルム付き積層体、及び偏光板の提供を目的とする。
本発明は、以下に示す積層フィルム巻回体及び偏光板を提供する。
〔1〕 積層フィルムがロール状に巻取られた積層フィルム巻回体であって、
前記積層フィルムは、基材層及びハードコート層を有するハードコートフィルムと、保護フィルムとを有し、
前記ハードコートフィルムの厚みは、30μm以下であり、
前記ハードコートフィルムの巻回方向における温度23℃、相対湿度55%での引張弾性率は、3000MPa以下であり、
前記積層フィルムから剥離された前記ハードコートフィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.25μm以下であり、
前記積層フィルムから剥離された前記ハードコートフィルムの鉛筆硬度は、5B以上H未満である、積層フィルム巻回体。
〔2〕 前記保護フィルムは、前記ハードコートフィルムの前記ハードコート層側に設けられる、〔1〕に記載の積層フィルム巻回体。
〔3〕 前記保護フィルムは、前記ハードコートフィルムの前記基材層側に設けられる、〔1〕又は〔2〕に記載の積層フィルム巻回体。
〔4〕 前記積層フィルムから剥離された前記保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.68μm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層フィルム巻回体。
〔5〕 前記保護フィルムは、自己粘着性を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層フィルム巻回体。
〔6〕 前記積層フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.68μm以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層フィルム巻回体。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の積層フィルムから剥離されたハードコートフィルムと被着体とを有するハードコートフィルム付き積層体。
〔8〕 前記積層フィルムから剥離された前記ハードコートフィルムと前記被着体とは、接着層を介して積層されている、〔7〕に記載のハードコートフィルム付き積層体。
〔9〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の積層フィルムから剥離されたハードコートフィルムと偏光層とを有する偏光板。
本発明によれば、スジの発生が抑制された偏光板等のハードコートフィルム付き積層体を提供することができる。
(積層フィルム巻回体)
本実施形態の積層フィルム巻回体は、積層フィルムがロール状に巻取られた積層フィルム巻回体である。積層フィルムはハードコートフィルム(以下、「HCフィルム」ということがある。)と保護フィルムとを有する。HCフィルムは、基材層及びハードコート層(以下、「HC層」ということがある。)を有する。HCフィルムは、例えば偏光層の表面を保護するための保護層として用いることができ、後述するように例えば偏光層に積層されて偏光板を構成することができる。保護フィルムは、HCフィルムのHC層表面を保護するための保護層として用いたり、HCフィルムを巻回体とする場合等にHC層と基材層との間にブロッキングが生じることを抑制するために用いたりすることができる。HC層表面を保護するために保護フィルムを用いる場合には、保護フィルムはHCフィルムのHC層側に設けることができる。また、HC層と基材層との間にブロッキングが生じることを抑制するために用いる場合には、保護フィルムはHCフィルムの基材層側に設けることができる。保護フィルムは、通常HCフィルムの片面に設けられるが、HCフィルムの両面に設けられてもよい。
積層フィルム巻回体において、HCフィルムの厚みは30μm以下である。HCフィルムの厚みは、28μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、23μm以下であってもよく、また、通常8μm以上であり、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよい。HCフィルムに含まれる基材層の厚みは、29μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、また、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。HCフィルムに含まれるHC層の厚みは、15μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよい。上記の範囲の厚みを有するHCフィルムにおいて、その膜厚分布の標準偏差を後述する範囲とすることにより、HCフィルム付き積層体のHCフィルム側に発生するスジを抑制することができる。HCフィルムの厚みは、後述する実施例に記載のHCフィルムの厚みの測定方法によって測定することができる。また、基材層及びHC層の厚みも、後述する実施例に記載のHCフィルムの厚みの測定方法に準じて測定することができる。
また、積層フィルム巻回体において、HCフィルムの巻回方向(流れ方向)における温度23℃、相対湿度55%での引張弾性率は、3000MPa以下である。HCフィルムの上記引張弾性率は、2800MPa以下であってもよく、2500MPa以下であってもよく、また、通常800MPa以上であり、1000MPa以上であってよく、1200MPa以上であってもよい。上記の範囲の引張弾性率を有するHCフィルムにおいて、その膜厚分布の標準偏差を後述する範囲とすることにより、HCフィルム付き積層体のHCフィルム側に発生するスジを抑制することができる。HCフィルムの巻回方向における温度23℃、相対湿度55%での引張弾性率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
積層フィルム巻回体において、積層フィルムから剥離されたHCフィルムの巻回軸方向(幅方向)の膜厚分布の標準偏差は、0.25μm以下である。HCフィルムの上記膜厚分布の標準偏差は、0.23μm以下であってもよく、0.20μm以下であってもよく、また、通常0.05μm以上であり、0.1μm以上であってもよい。HCフィルムの巻回軸方向(幅方向)の膜厚分布の標準偏差は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
積層フィルム巻回体を巻出して得られるHCフィルムは、偏光層等の被着体に積層されて偏光板等のHCフィルム付き積層体を構成することができる。積層フィルム巻回体を巻出した積層フィルムから得られるHCフィルムを被着体に積層したHCフィルム付き積層体では、そのHCフィルム側にスジが視認されることがあること、このようなスジは、HCフィルムの厚みが30μm以下であり、上記引張弾性率が3000MPa以下である場合に発生しやすいことを、本発明者らは見出した。HCフィルムに発生したスジは、HC層を有しているために加熱等の後処理によって解消することができないため、積層フィルム巻回体から得られるHCフィルムにおいてスジの発生を抑制することが望まれる。このHCフィルムに視認されるスジを抑制するための検討を行ったところ、積層フィルム巻回体を巻出した積層フィルムから得られるHCフィルムとして巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が0.25μm以下のものを用いることにより、HCフィルム付き積層体に視認されるスジを抑制できることを見出した。
HCフィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が0.25μm以下であることにより、HCフィルム付き積層体の表面でのスジの視認が抑制される理由は明らかではないが、次のように推測される。積層フィルム巻回体を巻出して得られるHCフィルムは、保護フィルムが設けられる前(積層フィルムとされる前)のHCフィルムの状態(膜厚分布の標準偏差等)、HCフィルムと保護フィルムとを貼合したときの状態(保護フィルムの膜厚分布の標準偏差、HCフィルムと保護フィルムとを貼合するときの張力等)、積層フィルム巻回体における巻回状態(巻回時の張力、巻締まりの程度)等の種々の要因の影響を反映した形状を有していると考えられる。
例えば、積層フィルムとされる前の各フィルム(HCフィルム、保護フィルム)の膜厚分布の標準偏差が大きい場合、積層フィルム巻回体を巻出して得られるHCフィルムは、膜厚分布の標準偏差が大きくなっていると考えられる。また、HCフィルムと保護フィルムとを貼合する際や積層フィルムを巻回する際には通常フィルムに張力が付与されるが、フィルムの膜厚が異なると引き伸ばされ方も異なるため、膜厚分布の標準偏差が大きいフィルムに張力を付与するとその膜厚分布の標準偏差が大きくなると考えられる。さらに、積層フィルム巻回体は、巻回時に空気を巻込んで巻回され、巻回後に巻込まれた空気が徐々に抜けることによって巻締められる。この巻締めに伴って、積層フィルムや積層フィルムをなす各フィルムが変形すると考えられる。特に、積層フィルムや積層フィルムをなす各フィルムの膜厚分布の標準偏差が大きい場合、巻回時に巻き込まれる空気量にばらつきが生じやすく、空気の抜け具合も不均一になりやすいため、積層フィルムや積層フィルムをなす各フィルムの変形量が大きくなりやすいと考えられる。
このように、積層フィルム巻回体を巻出して得られるHCフィルムでは、上記した各種の要因の影響を受けて、そのフィルム面全体が水平面に沿って平坦とならずに部分的に変形していると考えられる。そして、巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が大きいHCフィルムでは、上記の変形部分の変形量が大きくなるため、このような巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が大きいHCフィルムを被着体に積層して得られたHCフィルム付き積層体では、その表面においてスジが視認されやすくなると考えられる。
HCフィルムの厚みが小さい場合や、上記した引張弾性率が小さい場合、上記した各種の要因の影響を受けやすくなるため、積層フィルム巻回体から得られるHCフィルムの部分的な変形の変形量は大きくなりやすい。そのため、厚みが30μm以下であり、上記引張弾性率が3000MPa以下であるHCフィルムとして、その巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が小さいものを用いることにより、HCフィルム付き積層体に発生するスジを好適に抑制することができる。
積層フィルム巻回体の積層フィルムから剥離されたHCフィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が0.25μm以下であるものは、例えば、積層フィルムとされる前のHCフィルムや保護フィルムとして膜厚分布の標準偏差の小さいものを用いる(例えば、積層フィルムとされる前のHCフィルムとして、積層フィルム巻回体の積層フィルムから剥離されたHCフィルムの膜厚分布の標準偏差よりも小さいものを用いる、あるいは、積層フィルムとされる前の保護フィルムとして、積層フィルム巻回体の積層フィルムから剥離された保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差よりも小さいものを用いる)、HCフィルムとされる前の基材層として膜厚分布の標準偏差の小さいものを用いる、HC層を形成するために基材層に塗工される光硬化性樹脂組成物の粘度を調整する、基材層上に塗工された光硬化性樹脂組成物を硬化させる場合の硬化条件(照射する光の照度や光量)を調整する、HCフィルムと保護フィルムとを積層して積層フィルムを得る際の積層条件(積層時にHCフィルムや保護フィルムに付与される張力)を調整する、積層フィルムを巻回するときの張力を調整する等によって得ることができる。
積層フィルム巻回体において、積層フィルムから剥離されたHCフィルムの鉛筆硬度は、H未満(Hよりも柔らかいもの)であってもよく、例えばF、HB、B、2B、3B、4Bであってもよく、通常5B以上である。HCフィルムの鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に規定される鉛筆硬度試験にしたがって測定することができる。HCフィルムの鉛筆硬度が低いと、上記した各種の要因の影響を受けやすくなるため、上記したHCフィルムの部分的な変形の変形量が大きくなりやすい。そのため、鉛筆硬度がH未満のHCフィルムにおいて、その巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が小さいものを用いることにより、HCフィルム付き積層体に発生するスジを好適に抑制することができる。HCフィルムの鉛筆硬度は、HC層の材料や厚み、基材層の材料や厚み等を調整することによって調整することができる。
積層フィルム巻回体において、積層フィルムから剥離された保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.68μm以下であることが好ましく、0.65μm以下であってもよく、0.60μm以下であってもよい。保護フィルムの巻回軸方向(幅方向)の膜厚分布の標準偏差は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が大きい場合、HCフィルムと貼合される前の保護フィルムの膜厚分布の標準偏差も大きいことが推測される。このような保護フィルムがHCフィルムと貼合されて積層フィルムをなし、これを巻回して積層フィルム巻回体とした場合に、HCフィルムにより大きい変形量で上記した変形を生じさせやすくなると考えられる。そのため、積層フィルムから剥離された保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は小さいことが好ましい。積層フィルム巻回体の積層フィルムから剥離された保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、積層フィルムとされる前の保護フィルムとして膜厚分布の標準偏差を調整する(例えば、積層フィルムとされる前の保護フィルムとして、積層フィルム巻回体の積層フィルムから剥離された保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差よりも小さいものを用いる)、HCフィルムと保護フィルムとを積層して積層フィルムを得る際の積層条件(積層時のHCフィルムや保護フィルムに付与される張力)を調整する、積層フィルムを巻回するときの張力を調整する等によって調整することができる。
HCフィルムと保護フィルムとを積層して積層フィルムを得る際の保護フィルムに付与される張力(積層前の張力)を調整する場合、当該張力は、0.03N/mm以上であることが好ましく、0.04N/mm以上であってもよく、また、0.35N/mm以下であることが好ましく、0.2N/mm以下であることがより好ましく、0.1N/mm以下であることがさらに好ましく、0.08N/mm以下であることが特に好ましく、0.06以下であってもよい。上記張力が小さくなると、保護フィルムが蛇行しやすくなり搬送性が低下しやすい。上記張力が大きくなると、保護フィルムを積層した後の積層フィルムに発生するカールが大きくなりやすいため、保護フィルムに変形が生じやすくなり、積層フィルム巻回体の積層フィルムから剥離されたHCフィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が大きくなりやすい。
積層フィルムを巻回するときの張力(巻取り張力)は、例えば0.05N/mm以上0.35N/mm以下とすることができる。巻取り張力が小さくなると、積層フィルム巻回体において巻きずれが生じやすくなる。巻取り張力が大きくなると、積層フィルム巻回体において円周方向に沿って突起状に観察されるコブ(巻コブ)が発生しやすくなったり、巻締めによるHCフィルムの変形が生じやすくなる。
また、積層フィルム巻回体の積層フィルムをなす保護フィルムは、自己粘着性を有することが好ましい。本明細書において自己粘着性とは、粘着剤層等の付着のための手段を設けることなくそれ自身で付着し、かつ、その付着状態を維持することが可能な性質をいう。自己粘着性を有する保護フィルムは、粘着剤層を有する保護フィルムに比較すると全体の厚みを小さくすることができる。これにより、保護フィルムが積層されているHCフィルムは、上記した各種の要因の影響を受けて変形しやすい。そのため、自己粘着性を有する保護フィルムを用いた積層フィルム巻回体からHCフィルムを用いて、HCフィルム付き積層体を得る場合、このHCフィルムとして巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が小さいものを用いることにより、HCフィルム付き積層体に発生するスジを好適に抑制することができる。
積層フィルム巻回体において、積層フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.68μm以下であることが好ましく、0.65μm以下であってもよく、0.60μm以下であってもよい。積層フィルムの巻回軸方向(幅方向)の膜厚分布の標準偏差は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。積層フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差が大きい場合、HCフィルムにもより大きい変形量で上記した変形が生じていると考えられるため、積層フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は小さいことが好ましい。積層フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、積層フィルムとされる前のHCフィルムや保護フィルムとして膜厚分布の標準偏差を調整する、HCフィルムとされる前の基材層の膜厚分布の標準偏差を調整する、HCフィルムと保護フィルムとを積層して積層フィルムを得る際の積層条件(積層時のHCフィルムや保護フィルムに付与される張力)を調整する、積層フィルムを巻回するときの張力を調整する等によって調整することができる。
(ハードコートフィルム付き積層体(HCフィルム付き積層体)及び偏光板)
本実施形態のHCフィルム付き積層体は、上記した積層フィルム巻回体が巻出された積層フィルムから剥離されたHCフィルムと被着体とを有する。HCフィルム付き積層体は、上記した積層フィルム巻回体が巻出された積層フィルムから保護フィルムを剥離してHCフィルムを得、このHCフィルムと被着体とを接着層を介して積層することによって得ることができる。上記で説明したHCフィルムを用いることにより、HCフィルム側でのスジの発生が抑制されたHCフィルム付き積層体を得ることができる。
被着体としては、表面硬度を高め、表面の擦り傷を防止することが求められる物品であれば特に限定されない。例えば、偏光層等の光学素子;タッチパネルディスプレイ;液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置のパネル;スマートフォンやタブレット端末、音楽プレーヤー、ノートパソコン等の携帯用電子機器のフロントケース、リアケース、バッテリーケース;ゴーグルやメガネ等のレンズ;CDやDVD、ブルーレイディスク等の光記録媒体;建材化粧シート;自動車のガラス、ヘッドライト、外装部品、内装部品、電装部品、サンルーフ等に用いることができる。特に、HCフィルムをなす基材層を透明基材とすることにより、光学素子や画像表示装置のパネル、光記録媒体等の光学用途に好適に用いることができる。被着体が偏光層である場合、偏光層とHCフィルムとを有するHCフィルム付き積層体は偏光板として用いることができる。
HCフィルムと被着体とを積層するための接着層としては、接着剤を用いた接着剤層、粘着剤層を用いた粘着剤層等を挙げることができる。接着層は通常1層であるが、2層以上であってもよい。
HCフィルム付き積層体が偏光板である場合(被着体が偏光層である場合)、偏光層とHCフィルムとは接着剤層を介して積層されることが好ましい。偏光板は、偏光層の片面に接着剤層を介してHCフィルムが設けられていてもよく、偏光層の両面に接着剤層を介してHCフィルムが設けられていてもよい。また、偏光層の一方の面に接着剤層を介してHCフィルムを設け、他方の面に接着剤層を介して、HCフィルムとは別の例えばHC層を有していない基材層を保護層として設けてもよい。
以下、上記で説明した積層フィルム巻回体、ハードコートフィルム付き積層体、偏光板、及び、これらをなす各層の詳細についてさらに説明する。
(積層フィルム巻回体)
積層フィルム巻回体は、例えば積層フィルムの後述する保護フィルム側が外面となるように、巻芯に巻回して得ることができる。積層フィルム巻回体の巻回軸方向の長さは、特に限定されないが、通常800mm以上2000mm以下であり、1000mm以上であってもよく、1200mm以上であってもよく、また、1800mm以下であってもよく、1500mm以下であってもよい。積層フィルム巻回体の直径は特に限定されないが、通常50mm以上1000mm以下であり、100mm以上であってよく、300mm以上であってもよく、また、800mm以下であってもよく、500mm以下であってもよい。
(積層フィルム)
積層フィルム巻回体における積層フィルムは、巻回軸方向(幅方向)の長さは、例えば800mm以上2000mm以下であり、1000mm以上であってもよく、1200mm以上であってもよく、また、1800mm以下であってもよく、1500mm以下であってもよい。また、積層フィルム巻回体における積層フィルムの長さ(巻長)は、例えば1000m以上5000m以下とすることができ、1500m以上であってもよく、2000m以上であってもよく、また、4500m以下であってもよく、4000m以下であってもよい。
積層フィルムは、HCフィルムと保護フィルムとを積層して形成することができる。保護フィルムの粘着性(粘着剤層を有する場合は粘着剤層)を利用して、HCフィルムのHC層側や基材層側に保護フィルムを貼合すればよい。
(ハードコートフィルム(HCフィルム))
HCフィルムをなす基材層は、被着体表面を保護するとともに、HC層を支持するために用いられる。基材層としては、特に限定されないが、樹脂フィルムであることが好ましい。HCフィルムを偏光層等の光学フィルムに貼合して用いる場合には、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から形成された樹脂フィルムを用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;シクロ系及びノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう);(メタ)アクリル樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの混合物を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのいずれでもよいことを意味する。(メタ)アクリレート等の「(メタ)」も同様の意味である。
HCフィルムをなすHC層は、基材層の表面硬度を高め、表面の擦り傷を防止する等のために用いられる。HC層を形成する材料は、例えば光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を挙げることができ、これらのうち光硬化性樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂としては、(メタ)アクリル系の光硬化性樹脂を用いることが好ましく、例えば、多官能(メタ)アクリレート;多官能ウレタン化(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、及び必要に応じて水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含む光硬化性混合物等が挙げられる。このうち、基材層への接着性及び生産性の観点から、光硬化性混合物が好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパンのジ−又はトリ−(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ−又はテトラ−(メタ)アクリレート、分子内に水酸基を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートとジイソシアネートとの反応生成物である多官能ウレタン化(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記光硬化性樹脂混合物を形成する際に用いられる多官能ウレタン化(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、並びにジイソシアネートを用いて製造される。具体的には、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとポリオールから、分子内に水酸基を少なくとも1個有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを調製し、これをジイソシアネートと反応させることにより、多官能ウレタン化(メタ)アクリレートを製造することができる。このようにして製造される多官能ウレタン化(メタ)アクリレートは、前述した光硬化性樹脂としての機能を有する。その製造にあたっては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、ポリオール及びジイソシアネートも同様に、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能ウレタン化(メタ)アクリレートを形成する際に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸の鎖状又は環状アルキルエステルを用いることができ、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能ウレタン化(メタ)アクリレートを形成する際に用いられるポリオールは、分子内に水酸基を少なくとも2個有する化合物であり、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸のネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等が挙げられる。
多官能ウレタン化(メタ)アクリレートを形成する際に用いられるジイソシアネートは、分子内に2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物であり、芳香族、脂肪族又は脂環式の各種ジイソシアネートを用いることができ、その具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらのうち芳香環を有するジイソシアネートの核水添物等が挙げられる。
上記光硬化性樹脂混合物を形成する際に用いられる水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーは、1つの構成単位中に水酸基を2個以上含むアルキル基を有するものであり、その具体例としては、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを構成単位として含むポリマーや、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとともに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを構成単位として含むポリマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル系の光硬化性樹脂は、光重合開始剤と組み合せて光硬化性樹脂組成物として用いることが好ましい。光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、レベリング剤、酸化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を添加することもできる。
HC層は、基材層の片面に溶媒を含むハードコート液(以下、「HC液」ということがある。)を塗布した後、HC液を乾燥させ、さらに乾燥させたHC液を硬化させることにより形成することができる。HC液は、光硬化性樹脂組成物に溶媒を添加して混合することにより調製することができる。溶媒としては、光硬化性樹脂組成物を構成する成分を溶解し得る有機溶媒から適宜選択することができる。HC液を塗布する方法は特に限定されず、バーコーターを用いて塗布する方法、スプレー等を用いて噴霧によって塗布する方法等、当該分野において公知の方法を用いることができる。基材層に塗布されたHC液の乾燥は、例えば加熱乾燥、真空乾燥、風乾等により行うことができる。乾燥後のHC液の硬化方法は、HC層を形成する材料によって適宜選択すればよく、例えば、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射する方法、加熱する方法等を挙げることができる。
(保護フィルム)
保護フィルムは、HCフィルムのHC層表面を保護するためや、HCフィルムを巻回体とする場合等にHC層と基材層とがブロッキングすることを防止するために用いることができ、HCフィルムの基材層表面にも設けられてもよい。保護フィルムは、樹脂フィルムを有していることが好ましく、樹脂フィルムが自己粘着性を有していない場合は、HCフィルムに貼合するための粘着剤層を有していてもよい。保護フィルムをなす樹脂フィルムとしては、特に限定されず、例えば、HCフィルムをなす基材層を形成するための熱可塑性樹脂から形成されたフィルムを挙げることができる。また、自己粘着性を有する保護フィルムは、例えばポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂等を用いて形成することができる。保護フィルムが有していてもよい粘着剤層をなす粘着剤としては、例えば後述するものを用いることができる。
保護フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、5μm以上200μm以下とすることができ、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、また、150μm以下であってもよく、120μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。保護フィルムが粘着剤層を有する場合、粘着剤層の厚みは、例えば、5μm以上100μm以下とすることができ、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、また、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。保護フィルムや粘着剤層の厚みは、後述する実施例に記載のHCフィルムの厚みの測定方法に準じて測定することができる。
(偏光層)
偏光層は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系樹脂フィルム」ということがある。)に、ヨウ素等の二色性色素が吸着配向しているものであってもよく、液晶化合物中で二色性色素が配向した層であってもよい。
PVA系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を用いて形成されたフィルムである。ポリビニルアルコール系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50質量%以上含む樹脂をいう。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂の鹸化度は、JIS K 6727(1994)に準拠して求めることができ、例えば80.0〜100.0モル%の範囲とすることができる。
ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等を挙げることができる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を挙げることができる。
PVA系樹脂フィルムの一例は、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムであってもよく、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムであってもよい。PVA系樹脂フィルムが延伸フィルムである場合、縦一軸延伸された延伸フィルムであることが好ましく、乾式延伸された延伸フィルムであることが好ましい。PVA系樹脂フィルムが延伸フィルムである場合の延伸倍率は、通常は1.1〜8倍である。
液晶化合物中で二色性色素が配向した層である偏光層としては、例えば、重合性液晶化合物中で二色性色素を配向させ、この重合性液晶化合物を重合させた硬化層としたものが挙げられる。このような偏光層は、基材フィルム上に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む偏光層形成用組成物を塗布し、重合性液晶化合物を液晶状態を保持したまま重合して硬化させて形成することができる。このようにして得られた偏光層は、基材フィルムに積層された状態にあり、基材フィルムをそのまま偏光層の他方の面(HCフィルムが設けられる側とは反対側の面)に設けられる保護層として用いてもよい。あるいは、偏光層に対して基材フィルムを剥離可能とした基材フィルム付き偏光層を、接着層を介してHCフィルムに積層した後に、基材フィルムを剥離してもよい。
(粘着剤層)
粘着剤層をなす粘着剤としては、いわゆる感圧型接着剤と称される粘着剤を挙げることができ、従来公知の粘着剤を特に制限なく用いることができる。粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等のベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤等であってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性(以下、リワーク性ともいう。)、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。
(接着剤層)
接着剤層をなす接着剤としては、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤等のうち1又は2種以上を組み合せて形成することができる。水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等を挙げることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、これらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[ハードコートフィルム(HCフィルム)の厚みの測定]
接触式膜厚計(デジマイクロMH−15M、(株)ニコン製)を用いて、HCフィルムの巻回軸方向(幅方向)の両端部より50mm内側の位置及び幅方向の中央の位置の合計3カ所の厚みを測定し、その平均値を、HCフィルムの厚みとした。
[ハードコートフィルム(HCフィルム)の引張弾性率の測定]
HCフィルムの巻回軸方向の中心部から、巻回方向(HCフィルムの長さ方向)の長さ100mm×巻回軸方向(HCフィルムの幅方向)の長さ25mmの長方形の試験片を切り出した。次いで、切り出した試験片のそれぞれを引張試験機〔(株)島津製作所製 AUTOGRAPH AG−1S試験機〕の上下つかみ具で、つかみ具の間隔が5cmとなるように上記試験片の長辺方向(巻回方向)両端を挟み、温度23℃、相対湿度55%の環境下、引張速度1mm/分で試験片を長辺方向に引張り、得られる応力−ひずみ曲線における初期の直線の傾きから、23℃でのMDにおける引張弾性率〔MPa〕を算出した。
[膜厚分布の標準偏差の測定]
積層フィルム巻回体から得たHCフィルム、保護フィルム、及び積層フィルムについて、巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差を次の手順で測定した。非接触式連続膜厚計(卓上型オフライン静電容量式厚み計測装置TOF−C、(株)山文電気製)を用い、各フィルムの巻回軸方向(幅方向)の一方の端部から他方の端部まで(幅1330mm)、1mmピッチで厚みを測定し、この測定値から標準偏差を算出した。
[鉛筆硬度の測定]
HCフィルムの鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に規定される鉛筆硬度試験にしたがって、HCフィルムをHC層側が上になるようにガラス板の上において測定した。
〔実施例1〕
保護フィルムの張力(積層前の張力)が0.045N/mmとなるようにして、HCフィルムのHC層上に保護フィルムを積層し、得られた積層フィルムを巻回して積層フィルム巻回体(1)を準備した。保護フィルムは、自己粘着性を有するポリエチレンフィルム(FF1035、トレデガー社製、厚み28μm)であった。HCフィルムは、基材層が厚み25μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルムであり、HC層が厚み3μmの(メタ)アクリル系紫外線硬化樹脂の層であった。積層フィルム巻回体(1)を巻出して得られた積層フィルムから剥離したHCフィルムについて、厚み、引張弾性率、膜厚分布の標準偏差、鉛筆硬度の測定を行った。積層フィルム巻回体(1)を巻出して得られた積層フィルム、及び、当該積層フィルムから剥離した保護フィルムの膜厚分布の標準偏差の測定を行った。その結果を表1に示す。
次に、偏光層として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVA系樹脂フィルム)に、二色性色素であるヨウ素が吸着配向したものを準備した。この偏光層に、水系接着剤を用いて、積層フィルム巻回体(1)を巻出して得られた積層フィルムから剥離したHCフィルムの基材層側を積層して偏光板(1)を得た。上記水系接着剤としては、ポリビニルアルコール粉末〔日本合成化学工業(株)製の商品名「ゴーセファイマー」、平均重合度:1100〕を95℃の熱水に溶解して得られた濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液に、架橋剤〔日本合成化学工業(株)製のグリオキシル酸ナトリウム〕をポリビニルアルコール粉末10重量部に対して1重量部の割合で混合した水溶液を用いた。接着剤層の厚みは0.1μmであった。得られた偏光板(1)について、HCフィルム側から目視で観察を行ったところ、スジは視認されなかった。
〔比較例1〕
保護フィルムの張力(積層前の張力)が0.090N/mmとなるように調整したこと以外は実施例2と同様にして、積層フィルム巻回体(2)を準備した。積層フィルム巻回体(2)を巻出して得られた積層フィルムから剥離したHCフィルムについて、厚み、引張弾性率、膜厚分布の標準偏差、鉛筆硬度の測定を行った。積層フィルム巻回体(2)を巻出して得られた積層フィルム、及び、当該積層フィルムから剥離した保護フィルムの膜厚分布の標準偏差の測定を行った。その結果を表1に示す。
次に、実施例1と同様の手順で偏光板(2)を得た。得られた偏光板(2)について、HCフィルム側から目視で観察を行ったところ、積層フィルム巻回体(2)における巻回方向に沿う方向のスジが視認された。
〔参考例1〕
HCフィルムとして、基材層が厚み25μmのトリアセチルセルロースフィルムであり、HC層が厚み3μmの(メタ)アクリル系紫外線硬化樹脂の層であるものを用いたこと以外は、比較例1と同様にして積層フィルム巻回体(3)を準備した。積層フィルム巻回体(3)を巻出して得られた積層フィルムから剥離したHCフィルムについて、厚み、引張弾性率、膜厚分布の標準偏差、鉛筆硬度の測定を行った。積層フィルム巻回体(3)を巻出して得られた積層フィルム、及び、当該積層フィルムから剥離した保護フィルムの膜厚分布の標準偏差の測定を行った。その結果を表1に示す。
次に、実施例1と同様の手順で偏光板(3)を得た。得られた偏光板(3)について、HCフィルム側から目視で観察を行ったところ、スジは視認されなかった。
Figure 0006678274

Claims (9)

  1. 積層フィルムがロール状に巻取られた積層フィルム巻回体であって、
    前記積層フィルムは、基材層及びハードコート層を有するハードコートフィルムと、保護フィルムとを有し、
    前記ハードコートフィルムの厚みは、30μm以下であり、
    前記ハードコートフィルムの巻回方向における温度23℃、相対湿度55%での引張弾性率は、3000MPa以下であり、
    前記積層フィルムから剥離された前記ハードコートフィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.25μm以下であり、
    前記積層フィルムから剥離された前記ハードコートフィルムの前記ハードコート層側から測定した鉛筆硬度は、5B以上H未満である、積層フィルム巻回体。
  2. 前記保護フィルムは、前記ハードコートフィルムの前記ハードコート層側に設けられる、請求項1に記載の積層フィルム巻回体。
  3. 前記保護フィルムは、前記ハードコートフィルムの前記基材層側に設けられる、請求項1又は2に記載の積層フィルム巻回体。
  4. 前記積層フィルムから剥離された前記保護フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.68μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム巻回体。
  5. 前記保護フィルムは、自己粘着性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム巻回体。
  6. 前記積層フィルムの巻回軸方向の膜厚分布の標準偏差は、0.68μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム巻回体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムから剥離されたハードコートフィルムと被着体とを有するハードコートフィルム付き積層体。
  8. 前記積層フィルムから剥離された前記ハードコートフィルムと前記被着体とは、接着層を介して積層されている、請求項7に記載のハードコートフィルム付き積層体。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムから剥離されたハードコートフィルムと偏光層とを有する偏光板。
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