以下に、本発明の実施の形態にかかる加湿装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる加湿装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、加湿装置100は、吸込口1と吹出口2を連通させた風路3が内部に形成された本体6を備える。風路3には、送風手段であるシロッコファン4が設けられる。シロッコファン4は、作動時に吸込口1から吹出口2に向かう空気流を風路3内に発生させる。
風路3には、吸込口1側から順に、空気清浄フィルタ21、湿度センサ22、温度センサ23および給水槽7が設けられる。本体6には、給水槽7に給水する給水手段11が設けられる。給水手段11は、本体6に形成された給水接続口8と、給水接続口8から給水槽7に向けて延びる配管5と、配管5の開閉を行う給水弁9とを有している。給水弁9を開くことで、配管5の一端である給水口10から給水槽7に水が供給される。
給水槽7の下方となる風路3内には、風路3を通過する空気を加湿する加湿エレメント17が設けられている。給水槽7の底面には、給水手段11によって供給された水を加湿エレメント17に分散させるための複数の孔(図示せず)が形成されている。加湿エレメント17には、給水槽7から供給された水が浸透して拡散する。加湿エレメント17で気化された水によって、風路3を通過する空気が加湿される。加湿エレメント17で気化されなかった水は、加湿エレメント17の下方に設けられた排水槽12へ流れる。排水槽12の底面には、排水口14が形成されている。排水口14は、本体6に設けられた排水接続口13と接続されて排水手段15を構成する。
本体6には、操作手段20が設けられる。操作手段20の操作によって、加湿装置100の運転および停止の選択操作を行うことができる。また、操作手段20の操作によって、風量の強および弱の選択操作を行うことができる。本体6には、後述する各種情報を記憶する記憶部16が設けられる。また、本体6には、制御装置25が設けられる。制御装置25には、制御部19と記憶部16とが設けられる。制御部19は、操作手段20からの操作、及び湿度センサ22からの情報に基づいてシロッコファン4と給水弁9の動作を制御する。
なお、シロッコファン4は、加湿エレメント17よりも上流側に設けられてもよいし、加湿エレメント17よりも下流側に設けられてもよい。また、本体6の外部に設けられてダクト接続されていてもよい。また、本体6の外部に設ける場合にも、本体6よりも上流側に設けられてもよいし、本体6よりも下流側に設けられてもよい。
また、湿度センサ22は室内の湿度を検知するものであれば、本体6の外部に設けられてもよく、風路3以外に設けられてもよい。例えば、加湿対象空間内に設置されてもよい。また、操作手段20に備えられ、操作手段20が検知湿度を取得するようにしてもよい。また、加湿装置100および操作手段20以外の外部機器を温度センサとして機能させてもよい。
また、熱交換換気装置へ本発明を適用する場合には、上記の例に加えて、室内吸込口と全熱交換器を連通する排気風路内に湿度センサを設置してもよい。また、非熱交換換気装置へ本発明を適用する場合には、上記の例に加えて、室内吸込口と室外吐出口を連通する排気風路内に湿度センサを設置してもよい。また、操作手段20は、図1に示すようなリモコンではなく、本体6に備えつけられた操作スイッチであってもよい。
また、温度センサ23は加湿エレメント17を通過する前の空気の温度を検知できればよい。したがって、温度センサ23は、本体6の外部に設けられてもよく、風路3以外に設けられてもよい。例えば、室内循環型の加湿装置へ本発明を適用する場合は、加湿対象空間内に温度センサを設置してもよい。また、操作手段20に温度センサを設けてもよい。また、制御部19が、室内の温度と天井裏の温度との差を考慮した温度補正を行ってもよい。加湿装置100および操作手段20以外の外部機器を温度センサとして機能させてもよい。
また、熱交換換気装置へ本発明を適用する場合は、室内吸込口と全熱交換器を連通する排気風路内に設置された温度センサと、室外吸込口と全熱交換器を連通する給気風路内に設置された温度センサと、全熱交換器の熱交換効率から、加湿エレメント17を通過する前の空気の温度を算出するようにしてもよい。また、加湿装置100および操作手段20以外の外部機器を温度センサとして機能させてもよい。
また、非熱交換換気装置へ本発明を適用する場合は、室外吸込口と全熱交換器を連通する給気風路内に温度センサを設置してもよいし、室外に設置してもよい。また、加湿装置100および操作手段20以外の外部機器を温度センサとして機能させてもよい。
次に、加湿エレメント17に給水槽7から供給された水が十分浸透して拡散した後に、給水手段11からの給水を停止し、シロッコファン4の回転により、吸込口1から吹出口2に向かう空気流を風路3内に発生させた場合に、加湿装置100からの加湿量と加湿エレメント17の保水率がどのように推移するかを説明する。図2は、加湿装置100からの加湿量と加湿エレメント17の保水率の時間的推移を示す図である。なお、本発明の実施の形態においては、加湿装置100を選択風量「弱」で運転する場合は、選択風量「強」に比べ半分の風量が出るものとする。
ここで、図2(a)のグラフは、選択風量が「強」における給水停止後の加湿エレメント17の保水率の推移を表し、図2(b)のグラフは、選択風量が「強」における給水停止後の加湿装置100からの加湿量の推移を表している。また、図2(c)のグラフは、選択風量が「弱」における給水停止後の加湿エレメント17の保水率の推移を表し、図2(d)のグラフは、選択風量が「弱」における給水停止後の加湿装置100からの加湿量の推移を表している。なお、横軸の時間は、給水停止後、シロッコファン4の回転を開始した時刻を0としている。
まず、選択風量が「強」の場合(すなわち図2(a),(b)の場合)の加湿エレメント17の保水率の水位および加湿装置100からの加湿量の推移について説明する。時刻0の時点では、加湿エレメント17の保水率は100%、加湿装置100からの加湿量は最大の100%となっている。なお、加湿量は、加湿エレメント17の全面が湿潤している状態かつ選択風量が「強」でシロッコファン4が運転された場合の加湿量を100%としている。
この後、シロッコファン4の回転に伴い、加湿エレメント17に保水された水が気化され、保水率は徐々に減少していく。しかし、加湿エレメント17の保水率が減少しても、しばらくの間(グラフでは、給水停止から2.0[hr]までの間)、加湿エレメント17の全面が湿潤している状態を保つため、加湿装置100からの加湿量自体は、ほぼ100%を維持することになる。
その後、加湿エレメント17に保水された水の気化がさらに進むと、加湿エレメント17の湿潤している面積が減少し始めることで、加湿装置100からの加湿量が落ちてくる。加湿装置100からの加湿量が落ちることで、加湿エレメント17の保水率の低下は鈍化することになる。その後、加湿エレメント17に保水された水の気化がさらに進むと、最終的には、保水率が0%となり(グラフでは、給水停止から3.0[hr]の時点)、加湿エレメント17が完全に乾燥した状態となる。
次に、選択風量が「弱」の場合(すなわち図2(c),(d)の場合)の加湿エレメント17の保水率の推移および加湿装置100からの加湿量の推移について説明する。時刻0の時点では、加湿エレメント17の保水率100%、加湿装置100からの加湿量は、風量が「強」の半分となるため、50%となっている。
その後、シロッコファン4の回転に伴い、加湿エレメント17に保水された水が気化され、保水率は徐々に減少していく。しかし、加湿エレメント17の保水率が減少しても、しばらくの間(グラフでは、給水停止から4.0[hr]までの間)、加湿エレメント17の全面が湿潤している状態を保つため、加湿装置100からの加湿量自体は、ほぼ一定を保つことになる。
なお、選択風量が「強」の場合に比べ、加湿装置100からの加湿量は半分となるため加湿エレメント17の保水率の減少割合も半分となる。その結果、加湿エレメント17の全面が湿潤している時間も2倍程度となる。
その後、加湿エレメント17に保水された水の気化がさらに進むと、加湿エレメント17の湿潤している面積が減少し始めることで、加湿装置100からの加湿量が落ちてくる。加湿装置100からの加湿量が落ちることで、加湿エレメント17の保水率の低下は鈍化することになる。
その後、加湿エレメント17に保水された水の気化がさらに進むと、最終的には、保水率が0%となり(グラフでは、給水停止から6.0[hr]の時点)、加湿エレメント17が完全に乾燥した状態となる。
次に、ユーザーが操作手段20を操作して加湿装置100を運転させる場合の動作の一例について説明する。図3から図8は、実施の形態1にかかる加湿装置100の制御部19による制御動作の一例を示すフローチャートである。
なお、ユーザーが操作手段20を介して行う加湿装置100の運転および停止操作には、操作手段20に備えられた運転/停止ボタン(図示せず)を直接操作して実施される場合と、操作手段20に備えられたスケジュール機能によって自動的に実施される場合とがある。
また、操作手段20に備えられたスケジュール機能における次回の運転/停止スケジュール情報は、加湿装置100の制御部19へ定期的に送信されるものとする。なお、以下の図面に示すステップは、制御部19が行う判断および制御を示している。なお、運転/停止スケジュール情報を含めた各種情報は、記憶部16に記憶される。記憶部16は、操作手段20に設けられていてもよい。
加湿装置100への電源投入後に、図3に示すステップS1において、「乾燥タイマー」を「乾燥完了時間」に設定する初期化が行われ、図4に示すステップS11に進む。本実施の形態1では、「乾燥完了時間」が「3.0hr」に設定されている。すなわち、ステップS1では、「乾燥タイマー」のカウント値が、「乾燥完了時間」である「3.0hr」に設定される。
なお、「乾燥タイマー」が「乾燥完了時間」以上となっている場合には、加湿エレメント17が完全に乾燥していると判断されることとなる。また、「乾燥タイマー」が「乾燥完了時間」未満となっている場合には、加湿エレメント17が湿潤していると判断されることとなる。「乾燥タイマー」の初期値に設定される「乾燥完了時間」は、予め決定される値であるが、操作手段20にて変更可能としてもよい。
ステップS11において、「乾燥タイマー」のカウント値が「3.0hr」以上であるか判断される。「乾燥タイマー」が「3.0hr」以上であれば(ステップS11,Yes)、ステップS12へ進む。電源投入直後であれば、ステップS1において「乾燥タイマー」のカウント値が「3.0hr」に設定されているので、「3.0hr」以上となり、ステップS12に進む。
ステップS12において、停止モードに設定してから、ステップS13において、給水弁9を閉じ、シロッコファン4を停止させ、ステップS17に進む。以下の説明において、給水弁9を閉じ、シロッコファン4を停止する制御モードを停止モードと称し、給水弁9を閉じ、シロッコファン4を回転させる制御モードを送風モードと称し、給水弁9を開き、シロッコファン4を回転させる制御モードを加湿モードと称す。
ステップS11において、「乾燥タイマー」が「3.0hr」未満であれば(ステップS11,No)、ステップS14へ進む。ステップS14において、送風モードに設定してから、ステップS15において、給水弁9を閉じ、シロッコファン4を回転させて、ステップS16において、「乾燥タイマー」のカウントを実施し、ステップS17へ進む。
なお、ステップS16において、「乾燥タイマー」は選択風量に応じてカウント方法を変更する。具体的には選択風量が「強」の場合は、1秒進むごとに1秒をカウントする。また、選択風量が「弱」の場合は、選択風量「強」の場合に比べ風量が半分となり、乾燥速度も半分になるため、2秒進むごとに1秒をカウントとする。すなわち、本実施の形態1における加湿エレメント17は、選択風量が「強」で風量一定の場合は「3.0hr」経過で、「乾燥タイマー」が「3.0hr」をカウントする。選択風量が「弱」で風量一定の場合は「6.0hr」経過で、「乾燥タイマー」が「3.0hr」をカウントする。「乾燥タイマー」は、制御装置25によってソフトウェア的に構成されてもよいし、制御装置25とは別個のハードウェアとして構成されてもよい。
また、ステップS14に進むことは、加湿装置100の運転時に乾燥運転が完了していないことを意味し、加湿装置100の停止時に「乾燥タイマー」が「乾燥完了時間」(本実施の形態では「3.0hr」)となるまで、送風モードの動作を継続させることで、加湿エレメント17を完全に乾燥させている。
ステップS17において、操作手段20によってユーザーから加湿装置100の運転操作がされていないか判定される。加湿装置100の運転操作がされていなかった場合は(ステップS17,No)、ステップS11に戻る。一方、加湿装置100の運転操作がされていた場合は(ステップS17,Yes)、図5に示すステップS21に進む。
ステップS21において、加湿装置100の制御モードが送風モードに設定され、ステップS22において、給水弁9は閉じたままシロッコファン4が回転される。次に、ステップS23において「乾燥タイマー」のカウントを実施し、ステップS24において、操作手段20によってユーザーから加湿装置100の停止操作がされていないか判定される。
ステップS24において、加湿装置100の停止操作がされていた場合は(ステップS24,Yes)、ステップS11に戻る。一方、加湿装置100の停止操作がされていなかった場合は(ステップS24,No)、ステップS25に進む。なお、ステップS23における「乾燥タイマー」のカウントは、ステップS16同様、選択風量に応じて、カウント方法を変更するものとする。
ステップS25において、送風モードになってからの時間が、一定時間である5分が経過したかを判断する。ステップS25において、一定時間が経過していなかった場合は(ステップS25,No)、ステップS24の判断を繰り返す。一方、一定時間が経過している場合は(ステップS25,Yes)、ステップS26に進む。なお、ステップS25での判断は、湿度センサ22の検知値が安定するまで一定時間待つことが目的であり、加湿装置100の設置環境によって時間は調整されるものとする。本実施の形態1では、一定時間を5分としているが、適宜変更可能としてもよく、待ち時間なし、すなわち一定時間を0としても構わない。また、ステップS14からステップS17を経て、最初にステップS25へ進んだ場合、既に一定時間が経過している場合がある。この場合も即ステップS26へ進むことになる。
ステップS26において、「装置運転時の乾燥運転時間」を「0」に初期化し、図6に示すステップS31に進む。
ステップS31において、「停止予定時刻までの残り時間」が、「装置運転時の乾燥運転時間」以上であるか判断される。「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」以上であれば(ステップS31,Yes)、ステップS32へ進む。一方、「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」未満であれば(ステップS31,No)、ステップS33へ進む。
なお、ステップS31において、「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」未満であった場合、加湿装置100が装置運転時の乾燥運転を実施中であることを意味する。また、ステップS26を経て最初にステップS31に到達した場合には、ステップS26で「装置運転時の乾燥運転時間」を「0」に初期化しているので、ステップS32に進むこととなる。
ステップS32において、「装置運転時の乾燥運転時間」を以下の通り設定する。すなわち、選択風量が「強」の場合は、「装置運転時の乾燥運転時間」=「適正加湿量キープ時間」−「乾燥タイマー」とする。選択風量が「弱」の場合は、「装置運転時の乾燥運転時間」=(「適正加湿量キープ時間」−「乾燥タイマー」)×2とする。
ここで、本実施の形態1における「適正加湿量キープ時間」は、図2(b)において加湿エレメント17が給水停止直後の加湿量を維持する「2.0hr」に設定しておく。なお、「適正加湿量キープ時間」は、停止予定時刻において加湿対象空間(室内)における湿度が適性に保つように設定されればよく、図2(b)において、加湿量50%で停止予定時刻における快適性が確保できる場合は、加湿量50%をキープできる「2.5hr」に設定してもよい。
また、加湿モードから送風モードへ切り替わり、初めて本ステップS32に入った場合、後述するステップS46にて「乾燥タイマー」はクリアストップ、すなわち、0でカウント停止を経ているため、「装置運転時の乾燥運転時間」には、「適正加湿量キープ時間」が設定されていることになる。
ステップS33において、制御モードが加湿モードとなっているか送風モードとなっているか判断される。制御モードが加湿モードとなっていれば、図7に示すステップS41へ進み、制御モードが送風モードとなっていれば、図8に示すステップS51に進む。なお、図7に示すステップS41からステップS47までの動作は加湿モードでの動作であり、図8に示すステップS51からステップS57までの動作は送風モードでの動作となる。
まず、図7に示す加湿モードでの動作を説明する。ステップS41において、「停止予定時刻までの残り時間」が、ステップS32にて決定した「装置運転時の乾燥運転時間」未満になったか判断する。「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」未満になった場合は(ステップS41,Yes)、ステップS42へ進む。一方、「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」以上の場合は(ステップS41,No)、ステップS43へ進む。
ステップS42において、後述する運転可否決定テーブルを用いて、制御モードを移行して送風モードで運転してよいか否かが判断される。送風モードでの運転「不可」と判断された場合は(ステップS42,No)、ステップS43へ進む。一方、送風モードでの運転「可能」と判断された場合は(ステップS42,Yes)、ステップS44に進んで制御モードを送風モードへ切り替えた上で、ステップS31へ戻る。
図9は、実施の形態1にかかる加湿装置100において用いられる運転可否決定テーブルを示す図である。運転可否決定テーブルでは、「停止予定時刻までの残り時間」と「検知湿度」と送風モードでの運転の可否とが関係づけられている。
この運転可否決定テーブルを参照することで、具体的には、検知湿度が、送風モードから加湿モードへの切り替え判定に用いている第2の規定湿度である「目標湿度−5%」を下回った場合でも、「停止予定時刻までの残り時間」が短い場合(例えば3分)には、ユーザーの快適性が大きく損なわれることはないと判断し、送風モードでの運転を可能とするようにしている。
一方、「停止予定時刻までの残り時間」が長い場合(例えば、1hr)は、ユーザーの快適性を大きく損ねると判断し、「目標湿度−5%」を下回った場合は、送風モードでの運転を不可とするようにしている。
ステップS43において、湿度センサ22の検知湿度が「目標湿度+5%」以上であるか判断する。検知湿度が「目標湿度+5%」未満であれば(ステップS43,No)、ステップS45へ進む。検知湿度が「目標湿度+5%」以上であれば(ステップS43,Yes)、ステップS44において制御モードを送風モードに変更した上で、ステップS31へ戻る。
なお、ステップS42において、送風モードでの運転が「不可」となった場合、ステップS43においては、必ず検知湿度が「目標湿度+5%未満」の判定となり、ステップS45へ進むことになる。また、目標湿度はユーザーが操作手段20によって予め設定しているものとする。
ステップS45において、シロッコファン4を回転したまま、給水弁9が開かれる。これにより、給水口10から給水槽7に水が供給される。そして、給水槽7を経て加湿エレメント17に水が供給される。この際、シロッコファン4が回転しているため、吸込口1から吸い込まれた空気が風路3内にある加湿エレメント17を通過し吹出口2へ流れ室内へ送風される。加湿エレメント17を空気が通過することにより、加湿エレメント17上の水は気化し、加湿された空気を室内へ供給することができる。すなわち、加湿モードでの運転が行われる。
なお、本実施の形態1にかかる加湿装置100では、加湿エレメント17に、給水手段11から塩素を含む水道水が直接供給されることで、加湿エレメント17上でカビおよび雑菌が発生しにくい構造となっている。また、給水手段11の給水能力は、加湿運転時の蒸発水量の3倍程度の水量を給水し得るものとし、給水槽7の容積および給水槽7の底面に形成される孔の密度は、給水槽7からオーバーフローしないよう設計されているものとする。また、仮に給水槽7の底面が目詰まりしてオーバーフローした場合には、排水槽12でオーバーフローした水を受容する構造とすることで、機外への漏水を防止できる。
また、加湿モード中、加湿エレメント17で気化されなかった加湿供給水の残水は排水槽12へ流れる。残水は、この排水槽12の底面に形成された排水口14から本体6に設けられた排水接続口13を通し排水される。また、本実施の形態1にかかる加湿装置100では、加湿エレメント17で気化されなかった残水が、加湿エレメント17に循環しない構造となっているので、残水が機内に留まることでカビおよび雑菌が繁殖するような不具合が発生しにくい。また、残水が再利用されないので、カルキ成分が濃縮されることもない。
ステップS46において、「乾燥タイマー」がクリアストップ、すなわち、0でカウント停止とされ、ステップS47へ進む。ステップS47において、操作手段20によってユーザーから加湿装置100の停止操作がされていないか判定される。加湿装置100の停止操作がされていた場合は(ステップS47,Yes)、ステップS11へ戻る。一方、加湿装置100の停止操作がされていなかった場合は(ステップS47,No)、ステップS31へ戻る。
次に、ステップS33にて送風モードと判定された場合の動作、すなわち図8に示す送風モードでの動作を説明する。ステップS51において、「停止予定時刻までの残り時間」が、ステップS32で設定された「装置運転時の乾燥運転時間」未満になったか判断する。「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」未満になった場合は(ステップS51,Yes)、ステップS53へ進む。一方、「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」以上の場合は(ステップS51,No)、ステップS52へ進む。
ステップS52において、湿度センサ22の検知湿度が、第2の規定湿度である「目標湿度−5%」未満であるか判断される。検知湿度が「目標湿度−5%」以上であれば(ステップS52,No)、ステップS53へ進む。一方、検知湿度が「目標湿度−5%」未満であれば(ステップS52,Yes)、ステップS54に進んで制御モードを加湿モードへ変更の上、ステップS31に戻る。
なお、第2の規定湿度「目標湿度−5%」を、第1の規定湿度「目標湿度+5%」よりも低い湿度に設定しているのは、検知湿度が目標湿度付近で上下した場合に、制御モードが加湿モードと送風モードとに頻繁に切り替わる、いわゆるチャタリングが発生することを抑えるためである。すなわち、チャタリングの発生を抑えることができるのであれば、第1の規定湿度と第2の規定湿度の大小関係は問わない。例えば、第1の規定湿度と第2の規定湿度を同じ湿度である「目標湿度」に設定した場合には、ステップS43からステップS44に進む際に、加湿モードでの動作を一定の時間継続させてから送風モードに変更するか否かの判断を行うように設定すれば、チャタリングの発生を抑えることができる。
また、ステップS53からステップS54に進む際に、送風モードでの動作を一定の時間継続させてから加湿モードに変更するか否かの判断を行うように設定すれば、チャタリングの発生を抑えることができる。加湿モードおよび送風モードを継続させる一定の時間の一例には、30分が挙げられる。
ステップS53において、ステップS42と同様に、図9に示す運転可否決定テーブルを用いて送風モードでの運転の可否が判断される。送風モードの運転「可能」と判断された場合は(ステップS53,Yes)、ステップS55へ進む。一方、送風モードの運転「不可」と判断された場合は(ステップS53,No)、ステップS54にて制御モードを加湿モードへ切り替えた上で、ステップS31へ戻る。これらの送風モードでの運転の可否は、「停止予定時刻までの残り時間」および「検知湿度」に基づいて、ユーザーの快適性を大きく損ねるか否かを考慮の上で判断していると換言できる。
なお、ステップS52において、検知湿度が「目標湿度−5%」以上となった場合、ステップS53においては、必ず「送風モードでの運転可能」の判定となり、ステップS55へ進むことになる。
ステップS55において、シロッコファン4を回転したまま、給水弁9が閉じられ、ステップS56へ進む。なお、本ステップS55にて給水弁9が閉じられたことで、給水口10から給水槽7への給水が止まる。すなわち、加湿エレメント17への給水が止まる。
この結果、加湿エレメント17では気化蒸発が進むにつれ、図2に示した通りある一定時間は加湿量を維持するが、加湿エレメント17が徐々に乾燥すると、最終的には加湿された空気が供給されなくなる。なお、本実施の形態1にかかる加湿装置100においては、空気清浄フィルタ21が備え付けられているため、加湿エレメント17が完全に乾燥した状態になった後の送風モード時は、空気清浄運転を実施していると言える。
ステップS56において、「乾燥タイマー」のカウントを開始し、ステップS57へ進む。なお、加湿モードから送風モードへ切り替わり、初めて本ステップS56に入った場合、ステップS46のクリアストップを経ているため、「乾燥タイマー」は0からのカウントを開始することになる。送風モードを継続している中で、本ステップS56に入った場合は、「乾燥タイマー」はカウントを継続することになる。また、ステップS56における「乾燥タイマー」のカウントは、ステップS16同様、選択風量に応じて、カウント方法を変更するものとする。
ステップS57において、操作手段20によってユーザーから加湿装置100の停止操作がされていないか判定される。加湿装置100の停止操作がされていた場合は(ステップS57,Yes)、ステップS11へ進む。一方、加湿装置100の停止操作がされていなかった場合は(ステップS57,No)、ステップS31へ戻る。
以上のように、本実施の形態1にかかる加湿装置100は、ステップS32において、図2に示した加湿エレメント17の特性に基づき、「適正加湿量キープ時間」を設定の上、「装置運転時の乾燥運転時間」を算出し、さらに、ステップS41において、「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」未満になった場合には、ステップS42を経て、加湿モードから送風モードへの切り替えが可能となるため、加湿装置100の停止予定時刻を待たずに乾燥運転を開始することができる。制御部19が、送風モードにおける加湿エレメント17の乾燥に必要な時間に基づいて、停止予定時刻前の送風モードでの運転時間と、停止予定時刻後の送風モードでの運転時間を設定するので、加湿装置100の停止後の乾燥運転時間を極力抑制できるとともに、停止予定時刻における適正湿度も確保可能となる。
また、ステップS42およびステップS53において、送風モードでの運転可否を「停止予定時刻までの残り時間」および「検知湿度」に基づいて判断している。これは、ユーザーの快適性を大きく損ねるか否かを考慮の上で、送風モードでの運転可否を判断していると換言できる。ここで、ユーザーの快適性を損ねると判断された場合は、乾燥運転から加湿運転に切り替えることで、ユーザーの快適性を確保する制御が可能であり、一方「停止予定時刻までの残り時間」が例えば3分と短い場合には、その後加湿運転に切り替えても室内湿度の向上は期待できず非経済的と判断し、乾燥運転を継続するようにしている。すなわち、快適性と省エネ性のバランスを保つことが可能となる。
図10は、実施の形態1にかかる加湿装置100において用いられる運転可否決定テーブルの他の例を示す図である。ステップS42およびステップS53において、加湿装置100が操作手段20や外部機器に備えられた人感センサの情報を取得可能なように構成されていれば、ユーザーの在室/不在の情報を「検知湿度」等に関連付けた図10に示す運転可否決定テーブルに基づいて、送風モードでの運転可否を判断するようにしてもよい。室内にユーザーが不在であれば、室内の湿度を維持する必要がないため、無駄な加湿モードでの運転を抑制して、省エネルギー化を図ることができる。
また、ステップS11において、「乾燥タイマー」が「乾燥完了時間」未満であった場合は、ステップS14からステップS16により、送風モードでの動作を可能としているため、加湿装置100の停止時刻に乾燥運転が完了しなかった場合でも、加湿装置100の停止中に確実に加湿エレメント17を完全に乾燥させることが可能となり、カビおよび雑菌の繁殖、ならびに臭気の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態1にかかる加湿装置100では、相対湿度により各種判定を実施してもよいし、絶対湿度により各種判定を実施してもよい。
また、本実施の形態1にかかる加湿装置100では、図2に示した選択風量による加湿量の変動を考慮して、ステップS16、ステップS23およびステップ56にて「乾燥タイマー」のカウント方法を変更し、さらに、ステップS32における「装置運転時の乾燥運転時間」の算出式を変更していたが、加湿量は「乾球湿度と湿球湿度の差分」によっても変動するため、「乾球湿度と湿球湿度の差分」に応じて、「乾燥タイマー」のカウント方法、および「装置運転時の乾燥運転時間」の算出式を変更するようにしてもよい。
具体的には、選択風量が「強」の場合に、加湿量が100%となる「乾球湿度と湿球湿度の差分」が「10℃」だった場合、選択風量が「強」かつ「乾球湿度と湿球湿度の差分」が「5℃」の場合は、加湿量が50%となるため、「乾燥タイマー」のカウントを、2秒進むごとに1秒をカウントとし、「装置運転時の乾燥運転時間」の算出式は、「装置運転時の乾燥運転時間」=(「適正加湿量キープ時間」−「乾燥タイマー」)×2とする。
選択風量が「弱」で、かつ「乾球湿度と湿球湿度の差分」が「5℃」だった場合は、「乾燥タイマー」のカウントを、4秒進むごとに1秒をカウントとし、「装置運転時の乾燥運転時間」の算出式は、「装置運転時の乾燥運転時間」=(「適正加湿量キープ時間」−「乾燥タイマー」)×4とする。
また、湿球温度については、個別にセンサを設けるようにしてもよいし、温度センサ23の検知する乾球温度と湿度センサ22の検知する相対湿度から算出するようにしてもよい。
なお、乾球温度と湿球温度を計測または算出するための各種温度センサ及び湿度センサは、加湿エレメント17の直前に配置することが望ましい。このため、ステップS42、ステップS43、ステップS52、およびステップS53の判定で用いる「室内湿度」検知用のセンサは、乾球温度と湿球温度を計測または算出するための各種センサとは、別個に設けるようにしてもよい。
また、本実施の形態1にかかる加湿装置100では、「停止予定時刻」を操作手段20に備えられたスケジュール機能における次回の運転/停止スケジュール情報により設定していたが、操作手段20のスケジュール機能でなく、過去の運転/停止履歴情報を加湿装置100または操作手段20が蓄積し、次回の「停止予定時刻」を推定するようにしてもよい。
実施の形態2.
図11から図13は、実施の形態2にかかる加湿装置の制御部による制御動作の一例を示すフローチャートである。なお、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能および構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、実施の形態1と同一の機能および構成についての説明は省略する。
実施の形態1との相違点は、「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」に達した場合に、加湿モードと送風モードの判定閾値を実施の形態1における第1の規定湿度である「目標湿度+5%」を第3の規定湿度である「目標湿度+8%」へ変更し、第2の規定湿度である「目標湿度−5%」を第4の規定湿度である「目標湿度+2%」へ変更することにより、「装置運転時の乾燥運転時間」に到達する前に、室内湿度をユーザーの快適性が損なわれない範囲でなるべく高い「目標湿度+2%」から「目標湿度+8%」に上げるように制御する点にある。
以下に、上記実施の形態との相違点となるステップについて説明する。図11に示すように、ステップS32において、「装置運転時の乾燥運転時間」を設定後、ステップS231において、「乾燥運転準備時間」を以下の式で設定する。すなわち、「乾燥運転準備時間」=「装置運転時の乾燥運転時間」+第1の規定時間に設定する。本実施の形態2において、第1の規定時間は「60min」としておく。
図12に示すように、ステップS43において、湿度センサ22の検知湿度が第1の規定湿度である「目標湿度+5%」以上であると判断されると、ステップS241へ進む。ステップS241において、「停止予定時刻までの残り時間」がステップS231にて設定された「乾燥運転準備時間」未満であるかが判断される。「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」未満の場合(ステップS241,Yes)、ステップS242へ進む。一方、「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」以上の場合(ステップS241,No)、ステップS44にて制御モードを送風モードへ変更の上、ステップS31に戻る。
ステップS242において、湿度センサ22の検知湿度が第3の規定湿度である「目標湿度+8%」以上であるかが判断される。検知湿度が「目標湿度+8%」未満の場合は(ステップS242,No)、ステップS45へ進む。一方、検知湿度が「目標湿度+8%」以上の場合は(ステップS242,Yes)、ステップS44にて制御モードを送風モードへ変更の上、ステップS31へ戻る。
図13に示すように、ステップS51において、「停止予定時刻までの残り時間」が「装置運転時の乾燥運転時間」以上であると判断されると(ステップS51,No)、ステップS251へ進む。
ステップS251において、「停止予定時刻までの残り時間」がステップS231にて設定された「乾燥運転準備時間」未満であるかが判断される。「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」未満の場合(ステップS251,Yes)、ステップS252へ進む。一方、「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」以上の場合(ステップS251,No)、ステップS52に進む。
ステップS252において、湿度センサ22の検知湿度が第4の規定湿度である「目標湿度+2%」未満であるかが判断される。検知湿度が「目標湿度+2%」以上の場合は(ステップS252,No)、ステップS52へ進む。一方、検知湿度が「目標湿度+2%」未満の場合は(ステップS252,Yes)、ステップS54にて制御モードを加湿モードへ変更の上、ステップS31へ戻る。
以上のように、本実施の形態2にかかる加湿装置100は、ステップS231にて「乾燥運転準備時間」を設定し、「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」に到達した場合に、加湿モードと送風モードを切り替える判定閾値を切り替える。具体的には、実施の形態1における第1の規定湿度である「目標湿度+5%」および第2の規定湿度である「目標湿度−5%」をそれぞれ第3の規定湿度である「目標湿度+8%」および第4の規定湿度である「目標湿度+2%」へ変更することにより、「装置運転時の乾燥運転時間」に到達する前に、予めユーザーの快適性が損なわれない範囲でなるべく高い「目標湿度+2%」から「目標湿度+8%」に室内湿度を上げるよう制御しているため、「装置運転時の乾燥運転」を開始後、加湿量の低下が始まった場合でも、停止予定時刻になるまで、快適性を確保できるようになる。
実施の形態3.
図14および図15は、実施の形態3にかかる加湿装置の制御部による制御動作の一例を示すフローチャートである。なお、特に記述しない項目については実施の形態2と同様とし、同一の機能および構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、実施の形態2と同一の機能および構成についての説明は省略する。
上記実施の形態2との相違点は、「強風量時の湿度変化率」と「弱風量時の湿度変化率」を算出し、さらに「加湿量0時の湿度変化率」を推定することで、「装置運転時の乾燥運転時間」をより長く補正可能にした点にある。以下に、上記実施の形態2との相違点となるステップについて説明する。
まず、図15に示すステップS361からステップS376における「加湿量0時の湿度変化率」を推定する制御フローについて説明する。ステップS361において、「停止予定時刻までの残り時間」が、図14に示すステップS231にて設定された「乾燥運転準備時間」以上であるかが判断される。「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」未満の場合(ステップS361,No)、ステップS367へ進む。一方、「停止予定時刻までの残り時間」が「乾燥運転準備時間」以上の場合(ステップS361,Yes)、ステップS362にて「弱風量時の湿度変化率」をクリアし、ステップS363にて、「弱風量かつ加湿モードでの運転タイマー」をクリアし、ステップS364にて、「強風量時の湿度変化率」をクリアし、ステップS365にて「強風量かつ加湿モードでの運転タイマー」をクリアし、ステップS366にて、「加湿量0時の湿度変化率」をクリアの上、ステップS41へ進む。
ステップS367において、「弱風量時の湿度変化率」が記憶されているか判断される。「弱風量時の湿度変化率」が記憶されている場合は(ステップS367,Yes)、ステップS371へ進む。一方、「弱風量時の湿度変化率」が記憶されていない場合は(ステップS367,No)、ステップS368へ進む。
ステップS368において「弱風量」へ変更され、ステップS369において「弱風量かつ加湿モードでの運転タイマー」がカウントされるとともに、カウント値が規定時間(本実施の形態3においては20分とする)以上か判断される。「弱風量かつ加湿モードでの運転タイマー」が20分未満の場合は(ステップS369,No)、ステップS41へ進む。一方、「弱風量かつ加湿モードでの運転タイマー」が20分以上となった場合は(ステップS369,Yes)、ステップS370にて「10分前の検知湿度」と「現在の検知湿度」との差分を「弱風量時の湿度変化率」として記憶の上、ステップS371へ進む。
ここで、「湿度変化率」の算出時に規定時間である「20分前の検知湿度」ではなく「10分前の検知湿度」を参照したのは、ステップS368にて風量が「強」から「弱」へ変更があった場合の湿度変化率が安定するまでの時間を考慮するためである。
ステップS371において「強風量時の湿度変化率」が記憶されているか判断される。「強風量時の湿度変化率」が記憶されている場合は(ステップS371,Yes)、ステップS41へ進む。一方、「強風量時の湿度変化率」が記憶されていない場合は(ステップS371,No)、ステップS372へ進む。
ステップS372において「強風量」へ変更され、ステップS373において、「強風量かつ加湿モードでの運転タイマー」がカウントされるとともに、カウント値が規定時間(本実施の形態3においては20分とする)以上か判断される。「強風量かつ加湿モードでの運転タイマー」が20分未満の場合は(ステップS373,No)、ステップS41へ進む。一方、「強風量かつ加湿モードでの運転タイマー」が20分以上となった場合は(ステップS373,Yes)、ステップS374にて「10分前の検知湿度」と「現在の検知湿度」との差分を「強風量時の湿度変化率」として記憶の上、ステップS375に進む。
ステップS375において、「加湿量0時の湿度変化率」を以下の式で推定して記憶する。「加湿量0時の湿度変化率」=「弱風量時の湿度変化率」−(「強風量時の湿度変化率」−「弱風量時の湿度変化率」)とする。
具体的には、「強風量時の湿度変化率」が、「10分で+0.5%」、「弱風量時の湿度変化率」が、「10分で−0.5%」の場合、「加湿量0時の湿度変化率」は「10分で−1.5%」とする。また、「強風量時の湿度変化率」が、「10分で+2.0%」、「弱風量時の湿度変化率」が、「10分で+0.5%」の場合、「加湿量0時の湿度変化率」は「10分で−1.0%」とする。
なお、湿度変化率は、加湿装置100からの加湿量の他に、換気により加湿対象空間へ流入する室外空気の温湿度や給気量、換気により加湿対象空間から排出される室内空気の排気量、全熱交換器を有する換気装置においては、全熱交換器により回収される湿度分等、様々な要因により変動するが、加湿装置100以外の上記要因に大きな変化がなければ、本発明の実施の形態のように少なくとも2つの加湿量にて、加湿装置を運転することで、「加湿量0時の湿度変化率」の推定が可能となる。
ステップ375にて「加湿量0時の湿度変化率」を記憶した後に、ステップS376において、ユーザーの設定した「選択風量」へ設定される。
図14に示すステップS331では、「加湿量0時の湿度変化率」が記憶されているか判断される。「加湿量0時の湿度変化率」が記憶されている場合は(ステップS331,Yes)、ステップS332へ進む。一方、「加湿量0時の湿度変化率」が記憶されていない場合は(ステップS331,No)、ステップS32へ進み、その後、ステップS335にて「装置運転時の乾燥運転時間」を「補正未完」に設定の上、ステップS231に進む。
ステップS332において「装置運転時の乾燥運転時間」の補正が完了しているか判断される。補正が完了している場合は(ステップS332,Yes)、ステップS231へ進む。一方、補正が完了していない場合は(ステップS332,No)、ステップS333へ進む。
ステップS333において、「装置運転時の乾燥運転時間」を以下の通り補正する。まず、図2における「加湿量一定期間終了時」の湿度を「強風量時の湿度変化率」および「弱風量時の湿度変化率」を用いて、推定する。
なお、「加湿量一定期間終了時」とは、具体的には、図2(a),(b)における「2.0hr」時であり、図2(c),(d)における「4.0hr」時である。
選択風量が「強」の場合、「強風量時の計算結果」=現在湿度+(「装置運転時の乾燥運転時間」−現在時刻)×「強風量時の湿度変化率」と、第4の規定湿度である「目標湿度+2%」との大小関係が比較され、「強風量時の計算結果」が「目標湿度+2%」以上であれば、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」=「目標湿度+2%」とし、「強風量時の計算結果」が「目標湿度+2%」未満であれば、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」=「強風量時の計算結果」とする。
また、選択風量が「弱」の場合、「弱風量時の計算結果」=現在湿度+(「装置運転時の乾燥運転時間」−現在時刻)×「弱風量時の湿度変化率」と、第4の規定湿度である「目標湿度+2%」との大小関係が比較され、「弱風量時の計算結果」が「目標湿度+2%」以上であれば、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」=「目標湿度+2%」とし、「弱風量時の計算結果」が「目標湿度+2%」未満であれば、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」=「弱風量時の計算結果」とする。
次に、図2における「加湿量が減少する期間」において、検知湿度が第2の規定湿度である「目標湿度−5%」以上となる「補正時間」を算出する。なお、「加湿量が減少する期間」とは、具体的には、図2(a),(b)における「2.0hr」から「3.0hr」の期間であり、図2(c),(d)における「4.0hr」から「6.0hr」の期間である。
なお、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」が、第2の規定湿度である「目標湿度−5%」未満の場合、「装置運転時の乾燥運転時間」の補正は実施しない。この処理は、適正湿度(ここでは第2の規定湿度である「目標湿度−5%」)を確保できない環境下で、「装置運転時の乾燥運転時間」を延長する補正を実施することで、室内湿度がさらに悪化することを回避しているとも換言できる。
また、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」が、第2の規定湿度である「目標湿度−5%」以上かつ「加湿量0時の湿度変化率」が0以上の場合は、乾燥タイマーが「乾燥完了時間」となるまでの残り時間を、新しい「装置運転時の乾燥運転時間」として更新し、ステップS334にて「装置運転時の乾燥運転時間」を「補正完了」に設定の上、ステップS231に進む。この処理は、加湿量0時においても湿度が上昇する環境下においては、加湿量0となっても適正湿度(ここでは第2の規定湿度である「目標湿度−5%」)を確保できるため、加湿装置100の停止後の乾燥運転を省略し、消費電力を抑制可能にしているとも換言できる。
また、「加湿量一定期間終了時の推定湿度」が、第2の規定湿度である「目標湿度−5%」以上かつ「加湿量0時の湿度変化率」が0未満の場合は、「補正時間」=(「目標湿度−5%」−「加湿量一定期間終了時の推定湿度」)÷「加湿量0時の湿度変化率」を算出し、「装置運転時の乾燥運転時間」+「補正時間」を新しい「装置運転時の乾燥運転時間」として更新し、ステップS334にて「装置運転時の乾燥運転時間」を「補正完了」に設定の上、ステップS231に進む。なお、「装置運転時の乾燥運転時間」を更新する場合、乾燥タイマーが「乾燥完了時間」となるまでの残り時間を上限とするよう更新値を設定する。
ステップS33において、送風モードと判定された場合、ステップS336において、「弱風量かつ加湿モードでの運転タイマー」をクリアし、ステップS337において、「強風量かつ加湿モードでの運転タイマー」をクリアの上、ステップS51に進む。一方、ステップS33において、加湿モードと判定された場合、ステップS361へ進む。
以上のように、本実施の形態3にかかる加湿装置100は、ステップS370において「弱風量時の湿度変化率」を算出し、ステップS374において「強風量時の湿度変化率」を算出することで、ステップS375において「加湿量0時の湿度変化率」を推定したため、ステップS333において、加湿エレメント17の乾燥が進むにつれて、加湿量の低下が始まる期間においても、室内を適正湿度(本実施の形態3では、第2の規定湿度である「目標湿度−5%」とした)を保てる時間を推定することが可能となり、「装置運転時の乾燥運転時間」をより長く設定できるようになったため、「装置停止時の乾燥運転時間」がより短くなり、消費電力の低減に貢献できる。この制御は、推定された湿度変化率に基づいて、停止予定時刻前の送風モードでの運転時間を延長し、停止予定時刻後の送風モードでの運転時間を短縮する制御であるとも換言できる。これにより、雨の日等では「装置停止時の乾燥運転時間」を0にすることも可能となる。
なお、図16は、実施の形態1における制御装置25のハードウェア構成を示す図である。制御装置25は、例えばCPU(Central Processing Unit)31とメモリ32が搭載されたマイクロコンピュータ33によって実現される。マイクロコンピュータ33では、プログラムを実行することでCPU(Central Processing Unit)31が制御部19として機能する。また、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ32が記憶部16として機能する。CPU31が実行するプログラムは、記憶部16に記憶されていてもよいし、他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。