JP6675176B2 - ウェットマスターバッチの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合して得られるウェットマスターバッチの製造方法に関する。
従来より、タイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホースその他のゴム製品の製造分野において、充填材としてカーボンブラックを含有するゴム組成物を製造する際の作業性やカーボンブラックの分散性を向上させるために、ウェットマスターバッチを用いることが知られている。
ウェットマスターバッチは、一般に、天然ゴムラテックスに水等を加えてゴムラテックス溶液と、カーボンブラック等を水等の溶媒に分散させたスラリー溶液とを混合した後、凝固させ凝固物を含有する凝固液を形成し、形成された凝固液から凝固物を分離して取り出した後、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、乾燥させた凝固物を粒状やシート状等の所望の形状に成型して製品としてのウェットマスターバッチを形成する任意の成型工程を経て製造されている。
この天然ゴム−ウェットマスターバッチは、通常のバンバリー等によるドライ配合対比、発熱性や、耐亀裂性、耐疲労性が向上することが知られている。一方で、天然ゴム−ウェットマスターバッチのポリマー成分は、天然ゴムが100%占めており、作業性が良いものでなかった。
そのため、ゴムを製品にする際にはドライ配合対比混練り等の際に多くの時間が必要となり、また、長時間の混練りなどにより、天然ゴムの分子量が低下するため、このウェットマスターバッチを用いたゴム組成物の耐亀裂性、耐疲労性を向上させるには限界があるとの課題があった。
従来のウェットマスターバッチの製造方法としては、例えば、ゴムラテックスと、充填剤を水に分散させたスラリーとを混合し、この混合液を凝固させる混合・凝固工程を有するウェットマスターバッチの製造方法であって、前記混合液を凝固させる凝固槽に、特定条件を満たす破砕羽根を設け、前記破砕羽根を周速10m/s以上になるように回転させて前記ゴムラテックス及びスラリーを混合しながら凝固物を生成させることを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1記載のウェットマスターバッチの製造方法は、特定条件を満たす破砕羽根を設けたものであるので、作業性が悪く、ウェットマスターバッチに加えられる熱やエネルギーを未だ小さくすることができず、このウェットマスターバッチを用いたゴム組成物の性能低下を抑制するには未だ課題があるのが現状である。
特開2010−284799号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題・現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、作業性を大幅に改善するにより、ウェットマスターバッチの製造に加えられる熱やエネルギーなどを極力少なくことができると共に、ゴム組成物に用いた場合の耐亀裂性等に優れるウェットマスターバッチの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等について、これを解決すべく、鋭意検討したところ、 カーボンブラックを含有するスラリー溶液と天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合した後、混合物を凝固、乾燥、粘度調整を経てウェットマスターバッチを製造する方法であって、前記混合工程に先立って、若しくは混合工程の途中、凝固工程、乾燥工程、若しくは粘度調整工程の少なくとも一つで、前記ゴムラテックスに特定の成分を添加することなどにより、上記目的のウェットマスターバッチの製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合した後、混合物を凝固、乾燥、粘度調整を経てウェットマスターバッチを製造する方法であって、前記混合工程に先立って、若しくは混合工程の途中、凝固工程、乾燥工程、若しくは粘度調整工程の少なくとも一つで、前記ゴムラテックスに合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくも1つを添加することを特徴とするものである。
前記カーボンブラックの窒素吸着比面積(NSA)は70m/g以上であるものが好ましい。
また、合成ゴムラテックスがポリイソプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、エチレン・プロピレンゴムラテックスから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、合成ゴムがポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明方法によれば、ウェットマスターバッチ製造における作業性を大幅に改善することができることにより、ウェットマスターバッチの製造に加えられる熱やエネルギーなどを極力少なくすることができると共に、タイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホースなどのゴム製品のゴム組成物に用いた場合に耐亀裂性等に優れるウェットマスターバッチが得られるものとなる。
以下に、本発明の実施形態について詳述する。
本発明のゴムウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合した後、混合物を凝固、乾燥、粘度調整を経てウェットマスターバッチを製造する方法であって、前記混合工程に先立って、若しくは混合工程の途中、凝固工程、乾燥工程、若しくは粘度調整工程の少なくとも一つで、前記ゴムラテックスに合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくも1つを添加することを特徴とするものである。
〈スラリー溶液〉
本発明に用いるカーボンブラックの種類としては、特に限定されず、例えば、SAF(N110)、ISAF−HS(N234)、ISAF(N220)、ISAF−LS(N229)、HAF−HS(N339、N347)、HAF(N330)、HAF−LS(N326)、FEF−LS(N375)及びこれらの混合物等が挙げられる。
前記カーボンブラックは、窒素吸着比面積(NSA)は70m/g以上であるものを用いることが好ましい。この窒素吸着比面積(NSA)が70m/g以上の微粒子径のカーボンブラックを用いたマスターバッチでは、ウェットマスターバッチ製造における作業性を更に大幅に改善することによって、ウェットマスターバッチに加えられる熱やエネルギーを更に小さくすることができ、さまざまなゴム性能低下を抑制することができるものとなる。特に、微粒子径のカーボンブラックを用いたウェットマスターバッチでは顕著な傾向が現れ、特に好ましくは、窒素吸着比面積(NSA)が110m/g以上のものが望ましい。なお、本発明における「窒素吸着比面積(NSA)」は、ゴムとの接触界面となる比表面積を表す指標である。「窒素吸着比面積NSA」が大きいほどカーボンブラックの粒径は小さくなり、ゴム中での分散が難しくなる。
スラリー溶液中のカーボンブラック濃度は、特に限定されないが、(固形分濃度)20質量%以下であることが好ましい。カーボンブラック濃度が20質量%以下であると、カーボンブラックを水中でより安定に微分散させることができるからである。
本発明に用いるスラリー溶液は、前記カーボンブラックを水等と混合し、カーボンブラックを水中に分散させて、カーボンブラック含有のスラリー溶液を調製することができる。
また、カーボンブラックを安定に分散させるために分散剤を添加してもよい。用いることができる分散剤としては、カーボンブラックスラリー中で安定にカーボンブラックを分散させる目的で加えられるものであれば、特に限定されず、例えば、界面活性剤及び樹脂などが挙げられ、具体的には、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合体の塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体の塩、スチレン−マレイン酸共重合体の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸塩等の陰イオン性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子や、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質や、アラビアゴム、トラガントゴム等の水溶性天然ゴム類や、サポニン等のグルコシド類や、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体や、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子が挙げられる。
更に、上記カーボンブラックは、該ウェットマスターバッチの天然ゴム含有ラテックスに起因するゴム成分と添加する合成ゴムラテックス、合成ゴムとの和からなるゴム成分100質量部(以下、単に「ゴム成分100質量部」という)に対して、30質量部以上添加されることが好ましく、特に、35〜100質量部の範囲であることが好ましい。この量が30質量部未満では、十分な補強性が得られない場合があり、一方、100質量部超過であると、加工性が急激に悪化する可能性があるからである。
前記カーボンブラック含有のスラリー溶液の調製方法としては、特に限定されず、公知の手段、例えば、ミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等を用いて行うことができ、特に、メディアを用いてずり応力を加えること、撹拌羽根の回転によりせん断力を加えること、加圧噴射したカーボンブラックスラリー同士を衝突させること、のいずれかの方法で行うのが好ましい。これらによれば、カーボンブラックを更に効率良く微細に分散させることができるからである。
メディアを用いてずり応力を加えることによる分散は、例えば、ビーズミルを用いて、カーボンブラックスラリー中のカーボンブラックを湿式粉砕することにより行うことができる。ビーズミルは市販のものを用いることができる。ビーズミルの使用条件は、カーボンブラックの所望の分散の程度、すなわち、カーボンブラック含有のスラリー溶液中のカーボンブラックについて所望する粒度分布や体積平均粒径に応じて当業者が適宜設定することができる。パス回数(スラリーをミルに通す回数)も、カーボンブラックの所望の分散の程度に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。
また、撹拌羽根の回転によりせん断力を加えることによる分散は、例えば、インラインミキサーを用いて、カーボンブラックスラリーを混合することにより行うことができる。インラインミキサーは市販のものを用いることができる。撹拌羽根の回転により与えられるせん断力の大きさは、カーボンブラックの所望の分散の程度に応じて当業者が適宜設定することができ、特に限定されない。
更に、加圧噴射したカーボンブラックスラリー同士を衝突させることによる分散は、例えば、斜向衝突チャンバーを具えたスギノマシン社製スターバースト(登録商標)等を用いて、複数方向からカーボンブラックスラリーを加圧噴射し、加圧噴射したカーボンブラックスラリー同士を衝突させることによって行うことができる。スターバーストで使用する圧力条件は、カーボンブラックの所望の分散の程度に応じて当業者が適宜設定することができ、特に限定されないが、50〜250MPaが好ましい。パス回数(スラリーを衝突させる回数)は、カーボンブラックの分散の程度に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。
〈ゴムラテックス〉
本発明に用いる天然ゴムを含有するゴムラテックスにおいて、天然ゴムとしては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱タンパク質ラテックス、それらの混合物等が挙げられる。
用いるゴムラテックスは、更なる作業性の向上の点等から、水等の分散媒によって固形分濃度が10〜30質量%になるように濃度調整することが好ましい。また、高固形分濃度のゴムラテックスでは、水等の分散媒によって上記所定の固形分濃度に調整して用いることもできる。また、当該ゴムラテックスは、所望により界面活性剤を含むことができる。この界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性界面活性剤が挙げられ、これらの中でも、アニオン系及びノニオン系界面活性剤が好ましい。
本発明では、上記で調製したカーボンブラックを含有するスラリー溶液と天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合した後、混合物を凝固、乾燥、粘度調整を経てウェットマスターバッチを製造する方法であって、前記混合工程に先立って、若しくは混合工程の途中、凝固工程、乾燥工程、若しくは粘度調整工程の少なくとも一つで、前記ゴムラテックスに合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくも1つを添加するものである。
本発明において、スラリー溶液と上記ゴムラテックスとを混合する混合工程、凝固工程は、通常のマスターバッチの製造における各工程と何等変わらないものであるが、本発明では、混合工程に先立って、若しくは、混合工程の途中、凝固工程、乾燥工程、若しくは粘度調整工程の少なくとも一つの工程等で、合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくも1つを添加するものであり、「混合工程に先立って」では、上記合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくとも1種を添加してから混合するものであり、「混合工程の途中」では、スラリー溶液と上記ゴムラテックスとを混合している途中(混合後、例えば、混合から30秒経過後)に上記合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくとも1種を添加して混合を継続するものであり、「粘度凝固工程」では、上記混合後、凝固工程に入る段階で上記合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくとも1種を添加して凝固を行うものである。
用いることができる合成ゴムラテックスとしては、例えば、ポリイソプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、エチレン・プロピレンゴムラテックスから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
用いることができる合成ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
好ましい、合成ゴムラテックス、合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴムラテックス、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)である。
更に、上記合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくとも1種は、ゴム成分100質量部中に、合成ゴムラテックス(固形分)及び/又は合成ゴムを1〜20質量部添加されることが好ましく、更に好ましくは、3〜10質量部添加されること、特に、3〜6質量部の範囲であることが好ましい。この量を1質量部以上とすることにより、作業性向上効果を発揮でき、ウェットマスターバッチの製造に加えられる熱やエネルギーなどを極力少なくすることができると共に、天然ゴムの分子量を低下させず、十分なゴム性能を発揮できるものとなり、一方、20質量部以下とすることにより、加工性を悪化させることなく、本発明の効果を維持することができるものとなる。
上記カーボンブラックを含有するスラリー溶液とゴムラテックスとの混合及び/又は凝固は、例えば、ホモミキサー、乳化分散装置(例えば、乳化分散装置として市販の「エマルダー」)などを用いて行うことができる。
上記スラリー溶液を含むゴムラテックスを凝固処理して、凝固物を形成させる凝固工程において、凝固方法としては、従来公知の方法、例えば、蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩の凝固剤を用いて行われる。この凝固工程処理により形成された凝固物は、従来公知の固液分離手段を用いて、取り出され、充分に洗浄される。洗浄工程は、通常水洗法が採用される。この洗浄工程後、脱水工程、乾燥工程、粘度調整工程を経て、乾燥させた凝固物を粒状やシート状等の所望の形状に成型して製品としてのウェットマスターバッチを形成する任意の成型工程を経て製造される。
本発明において乾燥工程、粘度調整工程では、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーなどの混練機を用いて行なうことができる。本発明において、上記合成ゴムラテックス、合成ゴムの1種以上の添加は、上記混合工程に先立って、若しくは、混合工程の途中、凝固工程の他、上記合成ゴムラテックス、合成ゴムの1種以上を上記乾燥工程或いは粘度調整工程にて添加してもよいものである。
本発明方法で得られたウェッマスターバッチは、例えば、タイヤ用ゴム組成物に用いることができる。該タイヤ用ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、亜鉛華、スコーチ防止剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
また、このゴム組成物において、ゴム成分の全量中、上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。
本発明方法により得られたウェッマスターバッチは、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特に、タイヤ用ゴム組成物用として好適に使用され、例えば、トレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができ、例えば、タイヤトレッドに加工されタイヤは、耐亀裂性、低発熱性及び耐摩耗性に優れるものとなる。
このように構成される本発明のウェットマスターバッチの製造方法では、カーボンブラックを含有するスラリー溶液と天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合した後、混合物を凝固、乾燥、粘度調整を経てウェットマスターバッチを製造する方法であって、前記混合工程に先立って、若しくは混合工程の途中、凝固工程、乾燥工程、若しくは粘度調整工程の少なくとも一つで、前記ゴムラテックスに合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくも1種を添加することにより、作業性が良好な合成ゴム、合成ゴムラテックスの少なくとも1種がウェットマスターバッチ中に分散させることができるようになるものである。これにより、ウェットマスターバッチ製造における作業性を大幅に改善することができ、ウェットマスターバッチの製造に加えられる熱やエネルギーなどを極力少なくすることができると共に、タイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホースなどのゴム製品のゴム組成物に用いた場合に発熱性や耐亀裂性等に優れるウェットマスターバッチが得られるものとなる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〜31:ウェットマスターバッチの製造〕
(天然ゴム含有ラテックスの調製)
天然ゴム(NR)ラテックスと、水(精製水)とからなる天然ゴム含有ラテックスを用いた。天然ゴム(NR)ラテックス濃度30質量%であった。
〈カーボンブラック含有スラリー溶液の調製〉
水中に下記表1及び表2に示す各物性のカーボンブラック(N326,N330、微粒子系1〜4)各10質量%の割合で入れ、ミキサー(ハイシェアミキサーEX60、シルバーソン社製)にて微分散させてスラリー溶液を調製した。
〈各ウェットマスターバッチの製造〉
ウェットマスターバッチ1、10、16〜21は、インペラー型攪拌機を備えたタンクに投入して、表1、表2に記載の天然ゴム含有ラテックスとスラリー溶液とを混合、蟻酸を用いて凝固し、二軸押出機を用いて乾燥・混練を実施した後、バンバリーにて粘度調整してウェットマスターバッチを得た。
ウェットマスターバッチ2〜5、11〜13は、ミキサー(ハイシェアミキサーEX60、シルバーソン社製)にて混合、蟻酸を用いて凝固し、二軸押出機を用いて乾燥・混練を実施した後、バンバリーにて、粘度調整する際に、表1に記載の合成ゴムを各質量部数配合し、粘度調整してウェットマスターバッチを得た。
ウェットマスターバッチ6は、二軸押出機による混合に先だって、合成ゴムとしてポリイソプレンゴムを配合して混合、バンバリーにて粘度調整してウェットマスターバッチを得た。
ウェットマスターバッチ7〜9、14〜15、26〜31は、ミキサー(ハイシェアミキサーEX60、シルバーソン社製)にて混合した後、蟻酸添加により凝固する際、表1、表2に記載の合成ゴムラテックスを各質量部数配合し、二軸押出機を用いて乾燥・混練を実施した後、バンバリーにて粘度調整してウェットマスターバッチを得た。
ウェットマスターバッチ22〜25は、ミキサー(ハイシェアミキサーEX60、シルバーソン社製)よる混合に先だって、表2に記載の合成ゴムを各質量部数配合して混合、蟻酸を用いて凝固し、二軸押出機を用いて乾燥・混練を実施した後、バンバリーにて粘度調整してウェットマスターバッチを得た。
〔実施例1〜23及び比較例1〜19〕
(実施例1〜8及び比較例1〜4)
実施例1〜8は、表1で得られたウェットマスターバッチ2〜9を用いた。
比較例1〜3は、下記表3に示す配合処方、ゴム成分(天然ゴム、ポリイソプレンゴム)と、カーボンブラック(N330)〕とを混合した未加硫ゴムを用いた。比較例4は、表1で得られたウェットマスターバッチ1を用いた。
実施例1〜8及び比較例1〜4のウェットマスターバッチ1〜9、各未加硫ゴムについて、下記評価方法により作業性、耐亀裂性について評価した。
これらの結果を下記表3に示す。
(実施例9〜13及び比較例5〜7)
実施例9〜13は、表1で得られたウェットマスターバッチ11〜15を用いた。
比較例5、6は、下記表4に示す配合処方、ゴム成分(天然ゴム、ポリイソプレンゴム)と、カーボンブラック(N330、微粒子径1)〕とを混合した未加硫ゴムを用いた。比較例7は、表1で得られたウェットマスターバッチ10を用いた。
実施例9〜13及び比較例5〜7のウェットマスターバッチ10〜15、各未加硫ゴムについて、下記評価方法により作業性、耐亀裂性について評価した。
これらの結果を下記表4に示す。
(実施例14〜23及び比較例8〜19)
実施例14〜23は、表1及び表2で得られたウェットマスターバッチ22〜31を用いた。
比較例8〜13は、下記表5に示す配合処方、ゴム成分(天然ゴム、ポリイソプレンゴム)と、カーボンブラック(N326、N330、微粒子径1〜4)〕とを混合した未加硫ゴムを用いた。比較例14〜19は、表2で得られたウェットマスターバッチ16〜21を用いた。
実施例14〜23及び比較例8〜19のウェットマスターバッチ16〜31、各未加硫ゴムについて、下記評価方法により作業性、耐亀裂性について評価した。
これらの結果を下記表5に示す。
(作業性の評価方法)
配合後の未加硫ゴム約250gを、6インチロールを用い、温度65℃、ギャップ2mmの条件で未加硫ゴムがロールに巻き付き且つ穴がなくなるまでの時間を計測し、比較例1、5、8の結果をそれぞれ100として、指数表示した。数値が高いほど良好であり、作業性に優れることを示す。
(耐亀裂性の評価法)
サンプルとしては形状をダンベル型の3号試験片(JIS#3)に切り出した。このサンプルを用いて、クリープ試験機(島津製作所製)で定荷重モードテストを行った。即ち、試験条件:繰り返し引張試験;荷重:1.5kg;周波数:5Hzであった。その際の破断までの繰り返し引張回数を、比較例1、5、8の結果を100として、指数表示した。数値が高いほど耐亀裂性に優れることを示す。
Figure 0006675176
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上記表1〜表5の結果に示すように、本発明となる実施例1〜23は、本発明の範囲外となる比較例1〜19に較べて、作業性、耐亀裂性に優れることを確認できた。
比較例を個別的にみると、比較例1〜3、5、6、8〜13は、マスターバッチとすることなく、通常配合による未加硫ゴムであり、比較例4、7、14〜19は、従来と同様のウェットマスターバッチの製造であり、これらの場合は、作業性、耐亀裂性に劣ることが判った。
本発明方法により得られるウェットマスターバッチは、作業性、耐亀裂性に優れるので、タイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホースその他のゴム製品の製造分野において好適に用いることができる。特に、タイヤ用ゴム組成物に用いる場合は、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. カーボンブラックを固形分濃度で20質量%以下含有するスラリー溶液と固形分濃度で10〜30質量%の天然ゴムを含有するゴムラテックスとを混合した後、混合物を凝固、乾燥、粘度調整を経てウェットマスターバッチを製造する方法であって、粘度調整工程で、前記ゴムラテックスに合成ゴムラテックス、合成ゴムの少なくも1つを添加すると共に、その添加量は、ゴム成分100質量部中に、合成ゴムラテックス(固形分)及び/又は合成ゴムを1〜10質量部添加されることを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記カーボンブラックの窒素吸着比面積(NSA)が70m/g以上であることを特徴とする請求項1記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  3. 合成ゴムラテックスがポリイソプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、エチレン・プロピレンゴムラテックスから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  4. 合成ゴムがポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
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