JP6673222B2 - カーボンナノチューブ膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ膜およびその製造方法に関し、特には、複数本のカーボンナノチューブの集合体よりなるカーボンナノチューブ膜、および、当該カーボンナノチューブ膜を製造する方法に関するものである。
近年、導電性、熱伝導性および機械的特性に優れる材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)が注目されている。
しかし、CNTは直径がナノメートルサイズの微細な筒状体であるため、CNT単体では取り扱い性や加工性が悪い。そこで、例えば、複数本のCNTを膜状に集合させて「バッキーペーパー」と称されることもあるカーボンナノチューブ膜(以下、「CNT膜」と称することがある。)を形成し、当該CNT膜を導電膜などとして用いることが提案されている。具体的には、溶媒とCNTとを含むカーボンナノチューブ分散液(以下、「CNT分散液」と称することがある。)から溶媒を除去することにより成膜したCNT膜を、太陽電池やタッチパネルなどの電極を構成する部材(例えば、導電膜や触媒層など)として用いることが提案されている。そして、このCNT膜は、導電性、熱伝導性および機械的特性に優れる膜状材料として注目されている。
ここで、CNT膜にはその特性(導電性、熱伝導性、機械的特性など)の更なる向上が求められているところ、CNT膜の特性を高めるためには、優れた特性を有するCNTを高い密度で良好に集合させることが重要である。そこで、例えば特許文献1では、CNT分散液に対して100〜280MPaの高圧を印加して得た高分散液をシート化し、更に、得られたCNTシートを0.01〜100ton/cmのプレス圧力で圧延することにより、高密度化したCNT膜を得る技術が提案されている。
特開2010−105909号公報
しかし、上記従来の技術では、特性に優れるCNTシートを得るためにCNT分散液を高圧処理してCNT凝集塊を解砕しているが、CNT分散液を高圧処理するとCNTが損傷または破壊され、特性に優れるCNTシートを得ることが困難であった。その結果、CNTシートを圧延して得られるCNT膜についても、優れた特性を得ることができなかった。
そこで、本発明は、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れるカーボンナノチューブ膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、所定の構造を有するカーボンナノチューブを少なくとも一部に用いてカーボンナノチューブ膜を形成することで、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れるカーボンナノチューブ膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のカーボンナノチューブ膜は、複数本のカーボンナノチューブの集合体よりなり、前記複数本のカーボンナノチューブは、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含むことを特徴とする。このように、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを用いてカーボンナノチューブ膜を形成すれば、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れるカーボンナノチューブ膜が得られる。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ膜は、前記少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブが、カーボンナノチューブ100本中に5本以上の割合で存在することが好ましい。カーボンナノチューブ100本中に、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブが5本以上の割合で存在すれば、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができるからである。
また、本発明のカーボンナノチューブ膜は、前記複数本のカーボンナノチューブのBET比表面積が600m/g以上であることが好ましい。少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含む複数本のカーボンナノチューブのBET比表面積が600m/g以上であれば、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができるからである。
そして、本発明のカーボンナノチューブ膜は、60度における膜表面の光沢度が5以上50以下であることが好ましい。光沢度が5以上50以下であれば、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブが充分な含有割合で含まれると推定され、カーボンナノチューブ膜の導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法は、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含む複数本のカーボンナノチューブと、分散剤と、溶媒とを含有するカーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去してカーボンナノチューブ膜を成膜する工程を含むことを特徴とする。このようにして製造したカーボンナノチューブ膜は、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含み、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れている。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法は、前記溶媒中に前記複数本のカーボンナノチューブおよび前記分散剤を添加してなる粗分散液をキャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供し、カーボンナノチューブを分散させて前記カーボンナノチューブ分散液を調製する工程を更に含むことが好ましい。キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理を用いてカーボンナノチューブ分散液を調製すれば、得られるカーボンナノチューブ膜の導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができるからである。
なお、上述した本発明のカーボンナノチューブ膜は、上述した本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法を用いて良好に製造することができる。
本発明によれば、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れるカーボンナノチューブ膜を提供することができる。
フラーレン挿入処理後のCNTのTEM画像である。 図1に示すTEM画像の一部を拡大して示す拡大画像である。 (a)および(c)は、実施例1において作製したCNT膜のSEM画像であり、(b)および(d)は、比較例2において作製したCNT膜のSEM画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ膜は、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含む。そして、本発明のカーボンナノチューブ膜は、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法を用いて製造することができる。
(カーボンナノチューブ膜)
本発明のカーボンナノチューブ膜は、複数本のカーボンナノチューブ(CNT)を膜状に集合させてなるCNTの集合体よりなる。そして、本発明のCNT膜は、集合体を構成する複数本のCNTの全部または一部が、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブ(以下、「潰れたCNT」と称することがある。)よりなることを大きな特徴の一つとする。そして、本発明のCNT膜は、潰れたCNTを含んでいるので、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れている。
なお、本発明において、カーボンナノチューブ膜は、基材などの支持体上に形成された膜(支持体付き膜)であってもよいし、自立膜であってもよい。
ここで、潰れたCNTを含む複数本のCNTを用いることでCNT膜の特性が向上する理由は、明らかではないが以下の通りであると推察される。すなわち、潰れたCNTを使用した場合、潰れた構造を有さないCNTのみを使用した場合と比較して、加圧などの付加的処理を行わずともCNT同士が良好に集合することができる。さらに、潰れたCNT自体が優れた特性を有するために、CNT膜の特性が向上すると推察される。
<カーボンナノチューブ>
CNT膜を構成する複数本のCNTは、潰れたCNTを含むことを必要とする。潰れたCNTは、一般的な円筒形のCNTとは外形および内部空間の構造が異なるので、CNT膜などに使用した際に、優れた特性を発揮できると推察される。
[少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブ]
ここで、CNTが「少なくとも一部が潰れた構造を有する」とは、CNTとフラーレン(C60)とを石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)して得られるフラーレン挿入CNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した際に、CNT中に、フラーレンが挿入されない部分を有することを指す。
例えば、図1のTEM画像において矢印で示す箇所付近は、図2に拡大して示すように、CNTの幅方向(CNTの延在方向に直行する方向)両端部のみにフラーレンが挿入されており、両端部以外にはフラーレンが挿入されていない。従って、該CNTは、フラーレンが挿入されていない部分が潰れており、潰れた構造を有することがわかる。
なお、「少なくとも一部が潰れた構造を有するCNT」は、1本のCNT内に一つの「潰れた構造」が存在してもよいし、複数の「潰れた構造」が存在していてもよい。
「少なくとも一部が潰れた構造を有するCNT」としては、グラフェンを丸めてなる筒状体であって、該筒状体の延在方向(軸線方向)に直行する断面形状の少なくとも一部が、非円形であるカーボンナノチューブが好ましい。また、該断面形状は、断面長手方向の両端部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大幅が、いずれも、断面長手方向の中央部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大幅よりも大きい形状であることがより好ましく、ダンベル状(断面長手方向中央部が潰れている形状)であることが特に好ましい。
なお、潰れたCNTの断面形状において、「断面長手方向の中央部近傍」とは、断面の長手中心線(断面の長手方向中心を通り、長手方向線に直交する直線)から、断面の長手方向幅の30%以内の領域をいい、「断面長手方向の端部近傍」とは、「断面長手方向の中央部近傍」よりも長手方向外側の領域を指す。
そして、本発明者らの研究によれば、潰れたCNTは、その合成時から少なくとも一部が潰れた構造を有しており、円筒状構造を有する通常のカーボンナノチューブや、合成時には潰れた構造を有さず、円筒状構造で形成された後に構造的変形を生じさせてなるカーボンナノチューブとは大きく異なった性質を有していると推察される。即ち、本発明にかかる潰れたCNTは、上述した「潰れた構造」を有するように、炭素原子同士がSP結合してなる六員環ネットワークが形成された物質であると推察され、公知のいずれの炭素よりなる構造体とも異なる新規物質であると考えられる。
ここで、潰れたCNTの潰れた部分(フラーレン挿入処理時にフラーレンが挿入されない部分)の平均幅長は、5nm以上9nm以下であることが好ましい。CNTの潰れた部分の平均幅長が5nm以上9nm以下であれば、CNT膜の特性を更に向上させることができるからである。
なお、本発明において、「CNTの潰れた部分の平均幅長」とは、透過型電子顕微鏡を使用し、潰れた構造を有する任意のCNT10本について潰れた部分のCNT幅方向の長さを測定して求めた算術平均値である。なお、潰れたCNTの幅方向の長さは1nm以上10nm以下の範囲内に分布することが好ましい。
[複数本のカーボンナノチューブ]
上述した潰れたCNTを含んでCNT膜を構成する複数本のCNTは、特に限定されることなく、単層構造であっても多層構造であってもよいが、単層構造であることが好ましい。すなわち、潰れたCNTを含む複数本のCNTは、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
また、複数本のCNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上であることが好ましく、50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。G/D比が10以下であることは、非晶箇所が多く存在していることを示している。G/D比とは、CNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm−1付近)とDバンド(1350cm−1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。Gバンドはグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。GバンドとDバンドのピーク強度比(G/D比)が高いものほど、結晶性の高いCNTと評価できる。
更に、複数本のCNTは、BET比表面積が、好ましくは600m/g以上、より好ましくは800m/g以上であり、好ましくは1400m/g以下、より好ましくは1200m/g以下である。複数本のCNTのBET比表面積が600m/g以上であれば、CNT膜の特性を十分に向上させることができるからである。また、複数本のCNTのBET比表面積が1400m/g以下であれば、CNTの凝集によりCNT膜の特性が低下するのを抑制することができるからである。
なお、「BET比表面積」は、77Kにおける窒素吸着等温線を測定し、BET法により求めることができる。ここで、BET比表面積の測定には、例えば、「BELSORP(登録商標)−max」(日本ベル(株)製)を用いることができる。
また、複数本のCNTは、製造時における長さが100〜5000μmであることが好ましい。
そして、複数本のCNTは、CNT100本当たり、潰れたCNTを5本以上の割合で含むことが好ましく、10本以上の割合で含むことがより好ましく、20本以上の割合で含むことが更に好ましく、30本以上の割合で含むことが特に好ましい。潰れたCNTをCNT100本中に5本以上の割合で含有すれば、CNT膜の特性を十分に高めることができるからである。
なお、本発明において、「潰れたCNTの含有割合」は、透過型電子顕微鏡を用いて任意のカーボンナノチューブ100本を観察し、その100本中に存在する上記潰れたCNTの数を数えることで求めることができる。
[複数本のカーボンナノチューブの製造方法]
なお、潰れたCNTを含む複数本のCNTは、潰れたCNTを含む複数本のCNTを合成して製造することもできるし、潰れたCNTと、一般的なCNT(円筒形のCNT)とを別々に合成した後に混合して製造することもできる。
以下では、一例として、潰れたCNTを含む複数本のCNTを合成して製造する方法について説明する。
潰れたCNTを含む複数本のCNTを合成して製造する方法は、CVD法を採用するものであり、詳しくは、
(1)アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布する工程、
(2)塗工液Aを乾燥し、基材上にアルミニウム薄膜を形成する工程、
(3)アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布する工程、
(4)塗工液Bを温度50℃以下で乾燥し、アルミニウム薄膜上に鉄薄膜を形成することで触媒基材を得る工程、および、
(5)触媒基材に原料ガスを供給し、触媒基材上にカーボンナノチューブを成長させる工程(成長工程)、
を少なくとも含む。なお、「アルミニウム薄膜」とは金属成分としてアルミニウムを含む薄膜を指し、「鉄薄膜」とは金属成分として鉄を含む薄膜を指す。また、以下では、上記(1)と(2)の2つの工程を併せて「触媒担持層形成工程」と称し、上記(3)と(4)の2つの工程を併せて「触媒層形成工程」と称する。
そして、この製造方法によれば、ウェットプロセスにより触媒基材を作製し、かつ、乾燥により触媒層を得る際の乾燥温度が50℃以下であるため、製造当初より潰れたCNTを含むCNTを製造することができる。
[[触媒担持層形成工程]]
まず、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布し、該塗工液を乾燥することで、基材上にアルミニウム薄膜を形成する。このようにして基材上に形成されたアルミニウム薄膜は、その上に後述の鉄薄膜(触媒層)を担持する、触媒担持層として機能する。
−基材−
触媒基材に用いる基材は、例えば平板状の部材であり、500℃以上の高温でも形状を維持できるものが好ましい。具体的には、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウムおよびアンチモンなどの金属、並びに、これらの金属を含む合金および酸化物、或いは、シリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイトおよびダイヤモンドなどの非金属、並びに、セラミックなどが挙げられる。金属材料はシリコンおよびセラミックと比較して、低コスト且つ加工が容易であるから好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金などは好適である。
基材の厚さに特に制限はなく、例えば数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを用いることができる。好ましくは、基材の厚さは0.05mm以上3mm以下である。
基材の面積は特に制限はなく、好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。基材の形状は特に限定されないが、長方形または正方形とすることができる。
−塗工液A−
塗工液Aは、アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解または分散させたものである。塗工液Aに含まれるアルミニウム化合物は、アルミニウム原子を含む化合物であれば特に限定されないが、アルミニウム薄膜としてアルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物、金属塩が好ましい。
アルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシドが挙げられる。アルミニウムを含む金属有機化合物としては他に、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)などの錯体が挙げられる。アルミナ薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム等が挙げられる。これらは、単独あるいは混合物として用いることができる。
塗工液Aに含まれる有機溶剤としては、アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、エステル類、炭化水素類等の種々の有機溶剤が使用できるが、金属有機化合物および金属塩の溶解性が良いことから、アルコールまたはグリコールを用いることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが、取り扱い性、保存安定性といった点で好ましい。
塗工液Aには、金属有機化合物および金属塩の縮合重合反応を抑制するための安定剤を添加してもよい。安定剤は、β−ジケトン類およびアルカノールアミン類からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。β−ジケトン類ではアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンなどがあるが、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルを用いることが好ましい。アルカノールアミン類ではモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあるが、第2級または第3級アルカノールアミンを用いることが好ましい。
塗工液A中のアルミニウム化合物の量は特に限定されないが、有機溶剤100mL当たり、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.5g以上であり、好ましくは30g以下、より好ましくは5g以下である。
また、塗工液A中の安定剤の量は特に限定されないが、有機溶剤100mL当たり、好ましくは0.01g以上、より好ましくは0.1g以上であり、好ましくは20g以下、より好ましくは3g以下である。
−塗布−
上述の塗工液Aを、基材上に塗布する。塗工液Aを基材上に塗布する方法は、特に限定されず、スプレー、ハケ塗り等により塗布する方法、スピンコーティング、ディップコーティング等、いずれの方法を用いてもよいが、生産性および膜厚制御の観点からディップコーティングが好ましい。
ディップコーティングは、基材を、塗布対象(ここでは、塗工液A)に一定時間浸漬し、その後引き上げることで、基材表面に塗布対象を塗布する方法である。
−乾燥−
そして、基材上の塗工液Aを乾燥し、基材上にアルミニウム薄膜(触媒担持層)を形成する。基材上の塗工液Aを乾燥する方法は特に限定されないが、室温での風乾、加熱(焼成処理)などが挙げられ、加熱が好ましい。加熱温度はおよそ50℃以上400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。加熱時間は5分以上60分以下が好ましく、40分以下がより好ましい。
[[触媒層形成工程]]
次に、触媒担持層形成工程で形成されたアルミニウム薄膜上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布し、該塗工液を温度50℃以下で乾燥させ、アルミニウム薄膜上に鉄薄膜を形成する。この工程により、アルミニウム薄膜(触媒担持層)と鉄薄膜(触媒層)とを基材上に備えた触媒基材を得ることができる。
−塗工液B−
塗工液Bは、鉄化合物を有機溶剤に溶解または分散させたものである。塗工液Bに含まれる鉄化合物は、鉄原子を含む化合物であれば特に限定されないが、鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物、金属塩が好ましい。
鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、鉄ペンタカルボニル、フェロセン、アセチルアセトン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(II)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(III)等が挙げられる。鉄薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄等の無機酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、乳酸鉄等の有機酸鉄等が挙げられる。これらのなかでも、有機酸鉄を用いることが好ましい。これらは、単独で或いは混合物として用いることができる。
なお、塗工液Bに含まれる有機溶剤は、特に限定されず、上述の塗工液Aの項に記載した有機溶剤と同様のものを用いることができる。また、塗工液Bには、上述の塗工液Aの項に記載した安定剤が含まれていてもよい。
塗工液B中の鉄化合物の量は特に限定されないが、有機溶剤100mL当たり、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
また、塗工液B中の安定剤の量は特に限定されないが、有機溶剤100mL当たり、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
−塗布−
塗工液Bをアルミニウム薄膜上に塗布する方法は特に限定されず、上述の触媒担持層形成工程の項に記載した方法と同様のものを用いることができる。
上述の触媒担持層形成工程における塗工液Aの塗布同様、塗工液Bの塗布方法としてはディップコーティングを用いることが好ましい。
そして、ディップコーティングを採用する場合、塗工液Bへのアルミニウム薄膜付き基材の浸漬時間は、1〜30秒間が好ましい。加えて、浸漬後、該基材を塗工液Bから引き上げる速度は、1〜5mm/秒が好ましい。引き上げ速度が5mm/秒を超えると、基材への塗工液Bの付着が十分でなく、得られるCNT中の潰れたCNTの割合が低下する虞があるからである。
−乾燥−
そして、アルミニウム薄膜上の塗工液Bを乾燥し、基材上に鉄薄膜を形成する。ここで、塗工液Bは、50℃以下で乾燥する必要があり、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下で乾燥する。乾燥温度が50℃超であると、続く成長工程において、潰れたCNTを含むCNTを合成することができない。なお、乾燥温度の下限は特に限定されないが、通常10℃以上である。そして、基材上の塗工液Bを乾燥する方法としては、通常、風乾が好ましい。乾燥温度が50℃以下であれば加熱により乾燥しても良いが、潰れたCNTを効率よく製造する観点からは、風乾が好適である。
[[フォーメーション工程]]
潰れたCNTを含むCNTの製造方法においては、成長工程の前にフォーメーション工程を行なうことが好ましい。フォーメーション工程とは、触媒の周囲環境を還元ガス(還元性を有するガス)環境とすると共に、触媒および還元ガスの少なくとも一方を加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、CNTの成長に適合した状態としての触媒の微粒子化促進、触媒の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。例えば、触媒基材が、アルミナ薄膜と鉄薄膜からなるアルミナ−鉄薄膜を備える場合、鉄触媒は還元されて微粒子化し、アルミナ薄膜(触媒担持層)上にナノメートルサイズの鉄微粒子が多数形成される。これにより鉄薄膜(触媒層)はCNTの製造に好適な状態となる。この工程を省略してもCNTを製造することは可能であるが、この工程を行なうことでCNTの製造量および品質を飛躍的に向上させることができる。
−還元ガス−
フォーメーション工程に用いる還元ガスとしては、例えば水素ガス、アンモニア、水蒸気およびそれらの混合ガスを用いることができる。また、還元ガスは、水素ガスをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスと混合した混合ガスでもよい。還元ガスは、フォーメーション工程で用いてもよく、適宜成長工程に用いてもよい。
フォーメーション工程における触媒および/または還元ガスの温度は、好ましくは400℃以上1100℃以下である。またフォーメーション工程の時間は、3分以上20分以下が好ましく、3分以上10分以下がより好ましい。これにより、フォーメーション工程中に鉄薄膜(触媒層)の焼成が進行して膜厚が減少するのを抑えることができる。
[[成長工程]]
次に、触媒担持層形成工程および触媒層形成工程を経て得られた触媒基材に原料ガスを供給し、触媒基材上にカーボンナノチューブ(CNT配向集合体)を成長させる。
そして、成長工程においては、通常、触媒層および原料ガスの少なくとも一方を加熱するが、均一な密度でCNTを成長させる観点からは、少なくとも原料ガスを加熱することが好ましい。加熱の温度は、400℃〜1100℃が好ましい。成長工程では、触媒基材を収容するCNT成長炉内に、原料ガス、不活性ガス、任意に還元ガスおよび/または触媒賦活物質を導入して行う。
なお、CNTの製造効率を高める観点からは、還元ガスおよび原料ガスをガスシャワーによって触媒基材上の触媒に供給するのが好ましい。
−原料ガス−
原料ガスとしては、CNTが成長する温度において炭素源を含むガス状物質が用いられる。なかでもメタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、プロピレンおよびアセチレンなどの炭化水素が好適である。この他にも、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトン、一酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物でもよい。これらの混合物も使用可能である。
−不活性ガス−
原料ガスは不活性ガスで希釈されてもよい。不活性ガスとしては、CNTが成長する温度で不活性であり、且つ、成長するCNTと反応しないガスであればよく、触媒の活性を低下させないものが好ましい。例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオンおよびクリプトンなどの希ガス;窒素;水素;並びにこれらの混合ガスを例示できる。
−触媒賦活物質−
CNTの成長工程において、触媒賦活物質を添加してもよい。触媒賦活物質の添加によって、CNTの生産効率や純度をより一層改善することができる。ここで用いる触媒賦活物質は、一般には酸素を含む物質であり、CNTが成長する温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であることが好ましい。例えば、水、酸素、オゾン、酸性ガス、酸化窒素、一酸化炭素および二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物;エタノール、メタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトンなどのケトン類;アルデヒド類;エステル類;並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、およびエーテル類が好ましく、特に水が好適である。
触媒賦活物質の体積濃度は、特に限定されないが微量が好ましく、例えば水の場合、炉内への導入ガスにおいて、通常、10〜10000ppm、好ましくは50〜1000ppmとする。
−その他の条件−
成長工程における反応炉内の圧力、処理時間は、他の条件を考慮して適宜設定すればよいが、例えば、圧力は1×10〜1×10Pa、処理時間は1〜60分程度とすることができる。
[[冷却工程]]
潰れたCNTを含むCNTの製造方法は、成長工程後に冷却工程を備えることが好ましい。冷却工程とは、成長工程後にCNT配向集合体、触媒基材を冷却ガス下で冷却する工程である。成長工程後のCNT配向集合体、触媒基材は高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。それを防ぐために冷却ガス環境下でCNT配向集合体、触媒基材を例えば400℃以下、さらに好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては不活性ガスが好ましく、特に安全性、コストなどの点から窒素であることが好ましい。
[[剥離工程]]
また、潰れたCNTを含むCNTの製造方法は、触媒基材上に形成されたCNT配向集合体を、触媒基材から剥離する工程(剥離工程)を備えることが好ましい。CNT配向集合体を触媒基材から剥離する方法としては、物理的、化学的あるいは機械的に触媒基材上から剥離する方法があり、たとえば電場、磁場、遠心力、表面張力を用いて剥離する方法;機械的に直接、基材より剥ぎ取る方法;圧力、熱を用いて基材より剥離する方法などが使用可能である。簡単な剥離法としては、ピンセットで直接つまんで触媒基材から剥離させる方法がある。より好適には、カッターブレードなどの薄い刃物を使用して触媒基材より切り離すこともできる。またさらには、真空ポンプ、掃除機を用い、触媒基材上より吸引し、剥ぎ取ることも可能である。なお、CNTの剥離後、触媒は基材上に残余するので、それを利用して垂直配向したCNTを新たに成長させることが可能となる。
[[製造装置]]
上述したCNTの製造方法に用いる製造装置としては、触媒基材を有する成長炉(反応チャンバ)を備え、CVD法によりCNTを成長させることができるものであれば、特に限定されず、熱CVD炉、MOCVD反応炉等の装置を使用できる。
なお、上述した製造方法で得られるCNTの炭素純度は、精製処理を行わなくても、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%以上である。任意で、精製処理を行ってもよい。なお、炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析により求めることができる。
<カーボンナノチューブ膜の性状>
ここで、上述した複数本のCNTの集合体よりなるカーボンナノチューブ膜は、以下の性状を有していることが好ましい。
[カーボンナノチューブの含有量]
即ち、本発明のCNT膜は、75質量%以上がCNTで構成されていることが好ましく、製造時に不可避的に混入する不純物以外の成分を含まないことがより好ましい。CNTの含有量が75質量%以上であれば、CNTの特性を良好に発揮させ、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができるからである。
[光沢度]
また、本発明のCNT膜は、60度における膜表面の光沢度が5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、また、50以下であることが好ましい。CNT膜の光沢度が5以上50以下であれば、潰れたCNTが充分な含有割合で含まれると推定され、カーボンナノチューブ膜の導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができるからである。
なお、CNT膜の光沢度は、JIS Z8741に準拠し、入射角度60度の条件で測定することができる。また、CNT膜の光沢度は、CNT膜の形成に使用するCNTの種類および量、並びに、CNT膜の形成に使用するCNT分散液の調製方法などを調整することにより調節することができる。
[密度]
更に、本発明のCNT膜の密度は、0.4g/cm以上であることが好ましく、0.6g/cm以上であることがより好ましく、0.7g/cm以上であることが更に好ましく、また、1.0g/cm以下であることが好ましい。
なお、本発明において、カーボンナノチューブ膜の密度は、CNT膜の質量、面積および厚さを測定し、CNT膜の質量を体積で割って求めることができる。
[自立性]
更に、本発明のCNT膜は、支持体が存在していなくとも膜としての形状を保つことができる自立膜であることが好ましい。具体的には、本発明のCNT膜は、厚さが10nm〜3μm、面積が1mm〜100cmのサイズにおいて支持体無しで膜としての形状を保つことがより好ましい。
(カーボンナノチューブ膜の製造方法)
本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法は、上述した本発明のカーボンナノチューブ膜を製造する際に用いることができる。そして、本発明のCNT膜の製造方法は、少なくとも一部が潰れた構造を有するCNTを含む複数本のCNTと、分散剤と、溶媒とを含有するカーボンナノチューブ分散液(CNT分散液)から溶媒を除去してカーボンナノチューブ膜を成膜する工程(成膜工程)を含むことを大きな特徴の一つとする。なお、本発明のCNT膜の製造方法は、複数本のCNT、分散剤および溶媒を含む粗分散液を分散処理してCNT分散液を調製する工程(分散液調製工程)を成膜工程の前に含んでいてもよい。
そして、本発明のCNT膜の製造方法を用いて得られるCNT膜は、潰れたCNTを含んでいるので、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れている。
<分散液調製工程>
ここで、分散液調製工程では、溶媒中に複数本のカーボンナノチューブおよび分散剤を添加してなる粗分散液をキャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供し、カーボンナノチューブを分散させてCNT分散液を調製することが好ましい。このように、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理を用いれば、CNTが良好に分散したCNT分散液が得られるからである。そして、CNTが良好に分散したCNT分散液を用いてCNT膜を調製すれば、優れた特性を有するCNTを均一に集合させて、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れるCNT膜が得られる。
なお、本発明のCNT膜の製造方法で用いるCNT分散液は、上記以外の分散処理方法を用いてCNTを溶媒中に分散させることにより調製してもよい。また、CNT分散液には、製造するCNT膜の用途に応じて、充填材、安定化剤、着色剤、電荷調整剤、滑剤などの既知の添加剤を配合してもよい。
[カーボンナノチューブ]
CNT分散液の調製に用いるCNTとしては、上述した、潰れたCNTを含む複数本のCNTを用いることができる。
[分散剤]
また、CNT分散液の調製に用いる分散剤は、CNTを分散可能であり、後述する溶媒に溶解可能であれば、特に限定されないが、界面活性剤、合成高分子または天然高分子を用いることができる。
ここで、界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、合成高分子としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
更に、天然高分子としては、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロース、並びに、その塩または誘導体が挙げられる。誘導体とはエステルやエーテルなどの従来公知の化合物を意味する。
これらの分散剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。中でも、CNTの分散性に優れることから、分散剤としては、界面活性剤が好ましく、デオキシコール酸ナトリウムなどが特に好ましい。
[溶媒]
CNT分散液の溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[分散処理]
そして、分散液調製工程では、上述した溶媒に対して上述したCNTおよび分散剤を添加してなる粗分散液を、以下に詳細に説明するキャビテーション効果が得られる分散処理または解砕効果が得られる分散処理に供し、カーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製する。
[[キャビテーション効果が得られる分散処理]]
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。この分散方法を用いることにより、CNTを良好に分散させることができる。
ここで、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波による分散処理、ジェットミルによる分散処理および高剪断撹拌による分散処理が挙げられる。これらの分散処理は一つのみを行なってもよく、複数の分散処理を組み合わせて行なってもよい。より具体的には、例えば超音波ホモジナイザー、ジェットミルおよび高剪断撹拌装置が好適に用いられる。これらの装置は従来公知のものを使用すればよい。
CNTの分散に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、粗分散液に対し、超音波ホモジナイザーにより超音波を照射すればよい。照射する時間は、CNTの量等により適宜設定すればよく、例えば、3分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、また、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。また、例えば、出力は20W以上500W以下が好ましく、100W以上500W以下がより好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合、処理回数は、CNTの量等により適宜設定すればよく、例えば、2回以上が好ましく、5回以上がより好ましく、100回以下が好ましく、50回以下がより好ましい。また、例えば、圧力は20MPa以上250MPa以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
さらに、高剪断撹拌を用いる場合には、粗分散液に対し、高剪断撹拌装置により撹拌および剪断を加えればよい。旋回速度は速ければ速いほどよい。例えば、運転時間(機械が回転動作をしている時間)は3分以上4時間以下が好ましく、周速は5m/秒以上50m/秒以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
なお、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理は、50℃以下の温度で行なうことがより好ましい。溶媒の揮発による濃度変化が抑制されるからである。
[[解砕効果が得られる分散処理]]
解砕効果が得られる分散処理は、CNTを溶媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波によるCNTの損傷を抑制することができる点で一層有利である。
この解砕効果が得られる分散処理では、粗分散液にせん断力を与えてCNTの凝集体を解砕・分散させ、さらに粗分散液に背圧を負荷し、また必要に応じ、粗分散液を冷却することで、気泡の発生を抑制しつつ、CNTを溶媒中に均一に分散させることができる。
なお、粗分散液に背圧を負荷する場合、粗分散液に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
ここに、粗分散液にせん断力を与えてCNTをさらに分散させるには、例えば、以下のような構造の分散器を有する分散システムを用いればよい。
すなわち、分散器は、粗分散液の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(例えば10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)の粗分散液が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速の粗分散液は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、粗分散液の流速が低下すると共に、CNTが良好に分散する。そして、終端部から、流入した粗分散液の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、CNT分散液として流出することになる。
なお、粗分散液の背圧は、粗分散液の流れに負荷をかけることで粗分散液に負荷することができ、例えば、多段降圧器を分散器の下流側に配設することにより、粗分散液に所望の背圧を負荷することができる。
そして、粗分散液の背圧を多段降圧器により多段階で降圧することで、最終的にCNT分散液を大気圧に開放した際に、CNT分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
また、この分散器は、粗分散液を冷却するための熱交換器や冷却液供給機構を備えていてもよい。というのは、分散器でせん断力を与えられて高温になった粗分散液を冷却することにより、粗分散液中で気泡が発生するのをさらに抑制できるからである。
なお、熱交換器等の配設に替えて、粗分散液を予め冷却しておくことでも、CNTを含む溶媒中で気泡が発生することを抑制できる。
上記したように、この解砕効果が得られる分散処理では、キャビテーションの発生を抑制できるので、時として懸念されるキャビテーションに起因したCNTの損傷、特に、気泡が消滅する際の衝撃波に起因したCNTの損傷を抑制することができる。加えて、CNTへの気泡の付着や、気泡の発生によるエネルギーロスを抑制して、CNTを均一かつ効率的に分散させることができる。
以上のような構成を有する分散システムとしては、例えば、製品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)などがある。そして、解砕効果が得られる分散処理は、このような分散システムを用い、分散条件を適切に制御することで、実施することができる。
[カーボンナノチューブ分散液の粘度]
なお、CNT分散液の粘度は、0.001Pa・s以上であることが好ましく、0.01Pa・s以上であることが更に好ましく、また、0.8Pa・s以下であることが好ましく、0.6Pa・s以下であることが更に好ましい。CNT分散液の粘度が0.001Pa・s以上0.8Pa・s以下であれば、後述する成膜工程においてCNTを良好に成膜して、得られるCNT膜の導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができると共に、CNT膜を容易に製造することができるからである。なお、CNT分散液の粘度は、例えば、CNTおよび分散剤の配合量や種類を変更することにより調整することができる。
ここで、本発明において、CNT分散液の粘度は、B型粘度計を使用し、JIS K7117−1に準拠して、温度:23℃、ローター:M4、回転数:60rpmの条件下で測定することができる。
<成膜工程>
成膜工程では、上述したCNT分散液から溶媒を除去してCNT膜を成膜する。具体的には、成膜工程では、例えば下記(A)および(B)の何れかの方法を用いてCNT分散液から溶媒を除去し、CNT膜を成膜する。
(A)CNT分散液を成膜基材上に塗布した後、塗布したCNT分散液を乾燥させる方法。
(B)多孔質の成膜基材を用いてCNT分散液をろ過し、得られたろ過物を乾燥させる方法。
なお、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法では、少なくとも一部が潰れた構造を有するCNTを含む複数本のCNTを使用しているので、成膜工程においてCNT同士が互いに密に絡まり合って網目状構造を形成し、優れた特性を有するCNTが良好に集合したCNT膜が得られると推察されている。
[成膜基材]
ここで、成膜基材としては、特に限定されることなく、製造するCNT膜の用途に応じて既知の基材を用いることができる。
具体的には、上記方法(A)においてCNT分散液を塗布する成膜基材としては、樹脂基材、ガラス基材などを挙げることができる。ここで、樹脂基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどよりなる基材を挙げることができる。また、ガラス基材としては、通常のソーダガラスよりなる基材を挙げることができる。
また、上記方法(B)においてCNT分散液をろ過する成膜基材としては、ろ紙や、セルロース、ニトロセルロース、アルミナ等よりなる多孔質シートを挙げることができる。
[塗布]
上記方法(A)においてCNT分散液を成膜基材上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を採用できる。具体的には、塗布方法としては、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法などを用いることができる。
[ろ過]
上記方法(B)において成膜基材を用いてCNT分散液をろ過する方法としては、公知のろ過方法を採用できる。具体的には、ろ過方法としては、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過などを用いることができる。
[乾燥]
上記方法(A)において成膜基材上に塗布したCNT分散液または上記方法(B)において得られたろ過物を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法を採用できる。乾燥方法としては、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、室温〜200℃、乾燥時間は、特に限定されないが、通常、0.1〜150分である。
<CNT膜の後処理>
ここで、上述のようにして成膜したCNT膜は、通常、CNTおよび分散剤などのCNT分散液に含まれていた成分をCNT分散液と同様の比率で含有している。そこで、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法では、任意に、成膜工程において成膜したCNT膜を洗浄してCNT膜から分散剤を除去してもよい。CNT膜から分散剤を除去すれば、CNT膜の導電性などの特性を更に高めることができる。
なお、CNT膜の洗浄は、分散剤を溶解可能な溶媒と接触させ、CNT膜中の分散剤を溶媒中に溶出させることにより行なうことができる。そして、CNT膜中の分散剤を溶解可能な溶媒としては、特に限定されることなく、CNT分散液の溶媒として使用し得る前述した溶媒、好ましくはCNT分散液の溶媒と同じものを使用することができる。また、CNT膜と溶媒との接触は、CNT膜の溶媒中へ浸漬、または、溶媒のCNT膜への塗布により行なうことができる。更に、洗浄後のCNT膜は、既知の方法を用いて乾燥させることができる。
また、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法では、任意に、成膜工程において成膜したCNT膜をプレス加工して密度を更に高めてもよい。但し、本発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法を用いて製造したCNT膜では、潰れたCNTの存在に起因して成膜時にCNTが十分に良好に集合しているので、CNTの損傷または破壊による特性低下を抑制する観点からは、プレス加工する際のプレス圧力は3MPa未満であることが好ましく、プレス加工を行なわないことがより好ましい。
(CNT膜の用途)
本発明のCNT膜は、太陽電池やタッチパネルなどの導電膜として特に好適に用いることができる。
なお、本発明のCNT膜は、成膜基材上に形成した状態のままで、或いは、成膜基材から剥離してから使用することができる。また、本発明のCNT膜は、任意にオーバーコート層等の既知の機能層を積層してから各種製品に使用することもできる。ここで、オーバーコート層等の機能層のCNT膜上への積層は、既知の手法を用いて行なうことができる。
<タッチパネル>
具体的には、本発明のCNT膜は、透明基板上に形成されて静電容量式タッチパネルなどのタッチパネルのタッチセンサーを構成する導電層として好適に用いることができる。
<太陽電池>
また、本発明のCNT膜は、色素増感型太陽電池などの太陽電池の電極を構成する導電層や触媒層として用いることができる。より具体的には、本発明のCNT膜は、色素増感型太陽電池の光電極を構成する導電層や、色素増感型太陽電池の対向電極(触媒電極)を構成する導電層および/または触媒層として用いることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<CNTの合成>
アルミニウム化合物としてのアルミニウムトリ−sec−ブトキシド1.9gを、有機溶剤としての2−プロパノール100mLに溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.9gを加えて溶解させて、触媒担持層形成用の塗工液Aを調製した。
また、鉄化合物としての酢酸鉄174mgを有機溶剤としての2−プロパノール100mLに溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン190mgを加えて溶解させて、触媒層形成用の塗工液Bを調製した。
基材としてのFe−Cr合金SUS430基板(JFEスチール株式会社製、40mm×100mm、厚さ0.3mm、Cr18%、算術平均粗さRa≒0.59μm)の表面に、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、ディップコーティングにより上述の塗工液Aを塗布した。具体的には、基材を塗工液Aに浸漬後、20秒間保持して、10mm/秒の引き上げ速度で基材を引き上げた。その後、5分間風乾し、温度300℃の空気環境下で30分間加熱後、室温まで冷却することにより、基材上に膜厚40nmのアルミナ薄膜(触媒担持層)を形成した。
次いで、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基材に設けられたアルミナ薄膜の上に、ディップコーティングにより上述の塗工液Bを塗布した。具体的には、アルミナ薄膜を備える基材を塗工液Bに浸漬後、20秒間保持して、3mm/秒の引き上げ速度でアルミナ薄膜を備える基材を引き上げた。その後、5分間風乾(乾燥温度45℃)することにより、膜厚3nmの鉄薄膜(触媒層)を形成した。このようにして、基材の上に、アルミナ薄膜、鉄薄膜をこの順に有してなる触媒基材1が得られた。
作製した触媒基材1を、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持されたCVD装置の反応炉内に設置し、この反応炉内に、He:100sccmおよびH:800sccmの混合ガスを10分間導入した(フォーメーション工程)。次いで、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応炉内に、He:850sccm、エチレン:100sccmおよびHO含有He(相対湿度23%):50sccmの混合ガスを8分間供給した(成長工程)。
その後、反応炉内にHe:1000sccmを供給し、残余の原料ガスおよび触媒賦活物質を排除した。これにより、CNT配向集合体1が得られた。得られたCNT配向集合体1は、収量:1.8mg/cm、G/D比:3.7、密度:0.03g/cm、BET比表面積:1,060m/g、炭素純度:99.9%であった。作製したCNT配向集合体1を触媒基材1から剥離し、CNT1を得た。
<潰れたCNTの存在の確認>
得られたCNT1を、単離精製されたフラーレン(C60)と共に石英管内に密封し、圧力1.07×10−3Paに保持したまま、温度500℃で24時間加熱処理を行うことにより、フラーレン挿入処理を行った。フラーレン挿入処理後のCNT1を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した結果、図1〜2に示すように、潰れた構造を有する単層CNTの存在が確認された。また、TEM観察により、潰れたCNTの数を確認したところ、CNT100本中に32本の潰れたCNTが存在していることが確認された。
<カーボンナノチューブ分散液の調製>
分散剤を含む溶媒としてのデオキシコール酸ナトリウム(DOC)5質量%水溶液500mLに、上述したCNT1を5.0g加え、分散剤としてDOCを含有する粗分散液を得た。このCNT1を含む粗分散液を、分散時に背圧を負荷する多段圧力制御装置(多段降圧器)を有する高圧ホモジナイザー(株式会社美粒製、製品名「BERYU SYSTEM PRO」)に充填し、100MPaの圧力で粗分散液の分散処理を行った。具体的には、背圧を負荷しつつ、粗分散液にせん断力を与えてCNT1を分散させ、CNT分散液1を得た。なお、分散処理は、高圧ホモジナイザーから流出した分散液を再び高圧ホモジナイザーに返送しつつ、10分間実施した。作製したCNT分散液1の粘度を、粘度計(東機産業株式会社製、TVE−22H)を用いて、温度23℃、回転数60rpmにて測定した結果、粘度は0.58Pa・sであった。
<カーボンナノチューブ膜の成膜>
得られたCNT分散液1を秤量し、メンブレンフィルターを備えた減圧ろ過装置を用いて0.09MPaの条件下にてろ過を実施した。ろ過終了後、イソプロピルアルコールおよび水のそれぞれを減圧ろ過装置に通過させることで、メンブレンフィルター上に形成されたCNT膜を洗浄し、その後15分間空気を通過させた。次いで、作製したCNT膜/メンブレンフィルターをエタノールに浸漬後、CNT膜を剥離することにより、厚さ50μmのCNT膜1を形成した。得られたCNT膜1の密度を測定した結果、密度は0.85g/cmであった。次いで、作製したCNT膜1について、60度における光沢度を光沢度計((株)堀場製作所製、ハンディ光沢計グロスチェッカ、波長(890nm))を使用して測定した結果、光沢度は43であった。また、CNT膜1に対し、引張試験機(テンシロン)を用いて引張試験(測定条件:温度20℃、相対湿度65%、引張速度100%/分)を行った結果、5回測定の平均値で、引張強度が85MPaであった。更に、作製したCNT膜1について、導電率計を用いて四探針法により電気伝導度を測定した結果、表面抵抗が0.67Ω/sq.であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、得られたCNT膜1を観察したところ、図3(a)および(c)に示すように、CNTが良好に集合していることが確認された。なお、図3(a)は倍率2万倍のSEM画像であり、図3(c)は倍率3.5万倍のSEM画像である。
(実施例2)
カーボンナノチューブ分散液の調製時に、分散剤を含む溶媒としてデオキシコール酸ナトリウム(DOC)5質量%水溶液500mLに替えてデオキシコール酸ナトリウム(DOC)0.5質量%水溶液500mLを使用し、CNT1の添加量を0.5gとした以外は、実施例1と同様の操作によりCNT分散液2を作製した。そして、CNT分散液2を用いた以外は実施例1と同様の操作により、CNT膜2を作製した。なお、作製したCNT分散液2の粘度を実施例1と同様にして測定したところ、粘度は0.04Pa・sであった。また、作製したCNT膜2の密度は0.82g/cm、60度における光沢度は30、引張強度は65MPa、表面抵抗値は0.88Ω/sq.であった。
(実施例3)
CNTの合成時に、アルミナ薄膜を備える基材へ塗工液Bを塗布する際の引上げ速度を3mm/秒から6mm/秒に替えた以外は、実施例1と同様の操作により触媒基材2を作製した。そして、触媒基材1に替えて触媒基材2を使用した以外は実施例1と同様の操作によりCNT配向集合体2およびCNT2を作製した。得られたCNT配向集合体2は、収量:1.4mg/cm、G/D比:2.1、密度:0.03g/cm、BET比表面積:680m/g、炭素純度99.9%であった。また、得られたCNT2について実施例1と同様にして潰れたCNTの存在を確認したところ、潰れた構造を有する単層CNTの存在が確認された。また、潰れたCNTの数を確認したところ、CNT100本中に8本の潰れたCNTが存在していることが確認された。
そして、カーボンナノチューブ分散液の調製時に、CNT1に替えてCNT2を使用した以外は実施例2と同様の操作によりCNT分散液3を作製した。そして、CNT分散液3を用いた以外は実施例1と同様の操作により、CNT膜3を作製した。なお、作製したCNT分散液3の粘度を実施例1と同様にして測定したところ、粘度は0.04Pa・sであった。また、作製したCNT膜3の密度は0.64g/cm、60度における光沢度は7、引張強度は59MPa、表面抵抗値は2.0Ω/sq.であった。
(比較例1)
カーボンナノチューブ分散液の調製時に、CNT1に替えて多層カーボンナノチューブ(MWCNT;Nanostructured & Amorphous Materials Inc.社製、Lot.1232、BET比表面積:57m/g)を使用した以外は実施例1と同様の操作により比較例CNT分散液1を作製した。なお、MWCNT中には、潰れたCNTは存在しなかった。また、作製した比較例CNT分散液1の粘度を実施例1と同様にして測定したところ、粘度は0.042Pa・sであった。そして、比較例CNT分散液1を用いた以外は実施例1と同様の操作により比較例CNT膜を作製しようとしたところ、膜が切れてしまい、CNT膜を得ることができなかった。
(比較例2)
<CNTの合成>
基材としてのFe−Cr合金SUS430基板(JFEスチール株式会社製、40mm×100mm、厚さ0.3mm、Cr18%、算術平均粗さRa≒0.59μm)の表裏両面に、スパッタリング装置を用いて厚さ100nmの二酸化ケイ素膜(浸炭防止層)を製膜した。次いで、二酸化ケイ素膜を形成した基材の表面のみに、スパッタリング装置を用いて、厚さ10nmの酸化アルミニウム膜および厚さ1.0nmの鉄膜を製膜し、比較例触媒基材を作製した。次いで、実施例1と同様の条件にて、比較例CNT配向集合体および比較例CNTを作製した。得られた比較例CNT配向集合体は、収量:1.9mg/cm、G/D比:6.5、密度:0.03g/cm、BET比表面積:1,100m/g、炭素純度:99.9%であった。
<潰れたCNTの存在の確認>
得られた比較例CNTについて実施例1と同様にして潰れたCNTの存在を確認したところ、潰れた構造を有する単層CNTは確認されなかった。
<カーボンナノチューブ分散液の調製>
イソプロピルアルコール100g中に、上述した比較例CNTを1g加え、撹拌装置にて分散処理をすることにより粗分散液を得た。この比較例CNTを含む粗分散液に対し、プローブ型超音波装置(三井電気精機社製、製品名「UX300」)を用いて、出力300W、周波数20000kHzで1時間超音波照射を行なうことにより、比較例CNT分散液2を作製した。なお、作製した比較例CNT分散液2の粘度を実施例1と同様にして測定したところ、粘度は0.005Pa・sであった。
そして、比較例CNT分散液2を用いた以外は実施例2と同様の操作により比較例CNT膜2を作製した。比較例CNT膜2の密度は0.70g/cm、60度における光沢度は1、表面抵抗値は9.4Ω/sq.であった。なお、引張強度は測定下限以下であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、得られた比較例CNT膜2を観察したところ、図3(b)および(d)に示すように、CNTが粗密をもって粗く集合していることが確認された。なお、図3(b)は倍率2万倍のSEM画像であり、図3(d)は倍率3.5万倍のSEM画像である。
Figure 0006673222

表1から、実施例1〜3のCNT膜は、光沢度が高く、導電性などの特性が優れていることが分かる。
本発明によれば、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れるカーボンナノチューブ膜を提供することができる。

Claims (7)

  1. 複数本のカーボンナノチューブの集合体よりなり、
    前記複数本のカーボンナノチューブは、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含み、
    前記少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブは、フラーレン挿入処理した際に、前記カーボンナノチューブ中にフラーレンが挿入されない部分を有するカーボンナノチューブである、カーボンナノチューブ膜。
  2. 前記フラーレン挿入処理は、フラーレン及び前記カーボンナノチューブを石英管内に密閉し、圧力1.07×10 -3 Pa及び温度500度で24時間加熱処理することを含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ膜。
  3. 前記少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブが、カーボンナノチューブ100本中に5本以上の割合で存在する、請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ膜。
  4. 前記複数本のカーボンナノチューブのBET比表面積が600m2/g以上である、請求項1〜3の何れかに記載のカーボンナノチューブ膜。
  5. 60度における膜表面の光沢度が5以上50以下である、請求項1〜の何れかに記載のカーボンナノチューブ膜。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載のカーボンナノチューブ膜を製造する製造方法であって、
    少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを含む複数本のカーボンナノチューブと、分散剤と、溶媒とを含有するカーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去してカーボンナノチューブ膜を成膜する工程を含む、カーボンナノチューブ膜の製造方法。
  7. 前記溶媒中に前記複数本のカーボンナノチューブおよび前記分散剤を添加してなる粗分散液をキャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供し、カーボンナノチューブを分散させて前記カーボンナノチューブ分散液を調製する工程を更に含む、請求項に記載のカーボンナノチューブ膜の製造方法。
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