JP6667908B2 - 免震構造及び免震木造建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、免震構造及び免震木造建築物に係り、詳しくは、建築物を支える架台を、木材を骨材にして組立てた木骨架台で構成した免震構造及びそれを備えた免震木造建築物に関する。
我が国は、地震国であり、常に大地震の恐怖に脅かされている。大地震が発生すると、多くの建築物が倒壊や半壊だけでなく、日常生活で基幹となる道路、その他の交通網などの輸送機関や電気、水道、ガスなどのインフラ設備が崩壊して地域社会を大混乱に陥れる。
この地震に対して、建築物が倒壊するのを防止乃至軽減する構造乃至工法が開発されている。これらの構造として、例えば、耐震構造(壁や柱を強化するために補強材を入れることで建築物自体を堅くして振動に対抗する構造)、また制振構造(建築物内に振動軽減装置を設置し、地震エネルギーを吸収、建築物に粘りを持たせて振動を抑える構造)、さらに免震構造(建築物と地面の間に免震装置を設置、建築物を地面から絶縁して、震動を伝えない構造)などがある。
これらのうち、免震構造は、さらに建築物内の揺れを軽減するという利点がある。すなわち、免振装置を基礎に埋め込んで、この免震装置が激しい地震エネルギーを吸収して、ゆるやかな横揺れに変え、家具の転倒などの被害を最小限に喰いとめることができるなどの利点がある。
この免震構造は、上記の利点を有することから、これまで主に高層ビル用の免震装置及び工法の研究・開発が行われ、現在、大都市の新築高層ビルや重要な公共施設などで採用されている。
日本の住宅事情は、その大半が木造であることから、この木造住宅の免震化は、一般に工事が難しく、その重量が軽いために効果が薄く、しかも施工費を含めた全体のコストが高額になるために普及し難いと言われて、これまではそれへの取組みが遅れていた。
しかし、近年、住宅メーカー及び産学共同プロジェクトなどにおいて、一般木造住宅用の免震装置及び施工技術の研究・開発が進められて、一部の住宅例えばプレハブ住宅などに採用され始め、その一方でその研究・開発の成果が特許文献でも紹介されている。
例えば下記特許文献1(特許第3827115号公報)には免震構造物が記載されている。
この免震構造物は、地盤上に設置された下部構造体と、この下部構造体の上部に位置する平面フレームと、下部構造体と水平フレームとの間に介在された免震装置と、平面フレームの上部に位置された上部構造体と、を備え、平面フレームは、鉄骨造り、木造り、鉄筋コンクリート造りであり、これらは火打ち部材で補強された構造となっている。
また、下記特許文献2(特開2008−266958号公報)には、積層材で構成した木造住宅用架台が記載されている。
この木造住宅用架台は、図8に示したように、基礎2に架台1を複数の小型の免震装置3を介して支持させ、架台を木材により組み立てて、その少なくとも周縁部を複数の針葉樹からなる積層材で構成したものである。すなわち、この架台1は、複数の木材(例えば、大引や根太など)5と締結具により中空の多角形や枠形などに組み立てられて、これらの木材5は複数の針葉樹の積層した積層材で構成され、また、この架台1は下面の複数の角部や隅部などに免震装置用の取付け板4が装着された構成となっている。
なお、この架台1は、四隅部に平面略三角形の木製補強材6を配設し、これらはボルトを含む締結具を介し嵌合させて変形を防止している。
さらに、下記特許文献3(特許第4491004号公報)には、同様の木造住宅用架台が記載されている。
この木造住宅用架台は、上記特許文献2に記載の架台を改良したものであって、架台は枠木材と複数の縦横木材とを組み合わせ、これら枠木材と複数の縦横木材との間で中空領域を形成し、この中空領域に複数の梁木材が縦、横、斜めに水平に架設されて、これらの梁木材で、地震発生時の引張りに対する強度を向上させ、架台の変形を抑制し、建設コストを低減させた構造となっている。
特許第3827115号公報 特開2008−266958号公報 特許第4103545号公報
上記特許文献1〜3に記載の免震構造物は、いずれも地盤上に構築された基礎と、この基礎の上に位置し建築物を支える架台と、基礎と架台との間に介在されて免震機能を発揮する複数個の免震装置などの部材で構成されている。
これらの部材のうち、上記特許文献1の平面フレーム、すなわち架台は鉄骨造り、木造り、鉄筋コンクリート造りのいずれかのものになっている。
これらの架台にあって、鉄筋コンクリート製の架台は、コンクリートスラブ(床版)造りとなるので、その工法は、まず型枠を造り、次いで鉄筋の配設、コンクリート打ち込み、型枠外しなどの各工程を経たものとなり、これらの作業は面倒で手間が掛かり、その結果、工期が長く、またその重量が重く、ローコスト化ができないなどの課題がある。
また、鉄骨製の架台は、金属加工専門メーカーへの特注品となり、材料費、加工費などを含め製品が鉄筋コンクリートの架台より高価になる。
さらに木造りの架台(以下、木造架台という)は免震装置との緊締などに課題がある。なお、この課題は他の特許文献2、3の架台に関連して後記する。
上記特許文献2、3の免震構造は、木材からなる木造架台で構成されている。しかし、これらの木造架台には、以下の課題がある。
すなわち、この課題は、木造架台と免震装置との結合箇所における緊締強度(課題1)、及び木造架台のねじれ強度(課題2)である。
以下、これらの課題1、2について説明する。
課題1:木造架台と免震装置との結合箇所における緊締強度について
免震構造は、建築物と地面との間に複数個の免震装置を設置し、この建築物を地面(基礎)から絶縁して震動を伝えない構造であることから、架台と免震装置とを堅固に結合(緊締ともいう)しなければならならない。その理由は堅固に結合(緊締)しなければ建築物(架台)を地面(基礎)と絶縁できず、地震発生時の地震力により建築物が傾くなどして、免震効果が発揮されないからである。
ところが、免震構造において、架台を木材で構成すると、この木造架台と免震装置との結合は、架台木材と免震装置を構成する金属との結合となり、この結合は、地震発生時の地震力によって、緩み、動かず、移動せず、外れず(以下、総称して滑動ともいう)などしない、勿論、破壊などしない堅固で強固な緊締強度にしなければならない。しかし、木造架台との結合では、このような堅固で強固な緊締強度を確保するのが困難である。
すなわち、木造架台は木材からなり、この木材は、入手が簡単且つ加工などが容易及び安価などの利点がある一方でまた、脆弱で、腐敗などが起り易く、また経年劣化も大きくこれにより脆くなるなどの弱点があり、金属材や鉄筋コンクリ材と比べて、耐久性などに難ある。
一方、免震装置は、通常、上記特許文献2の明細書にも記載されているように、一対の受皿と、これらの受皿の間に介在する球体と、一対の受皿を接続して球体を包囲する接続体とで構成されて、これら一対の受け皿はいずれも金属材である。
そうすると、木造架台と免震装置との結合は、材料が異なる木材と金属とになり、木骨架台の木材は免震装置の金属材より脆弱であることから、これらの結合は、前記したように、滑動しない堅固で強固な緊締強度を確保が極めて困難になる。
そこで、この特許文献2は、免震装置と木造架台とを取付け板を介して結合しているが、この取付け板を介した結合だけでは、必要とする緊締強度を確保することには限界がある。また、上記特許文献1は火打ち部材を設け、この部材に免震装置を結合しているが、この結合でも必要とする緊締強度を確保するのが困難である。
課題2;木造架台のねじれ強度について
地震発生時に、建築物は強い横揺れを受けて、架台に過大な引張り力が作用して、木造架台がねじれ変形を起し易くなる。
そこで、上記文献1の平面プレートは、火打ち部材を設置・補強して、平面プレートが(ねじれ)変形するのを防止している。また、上記特許文献2の架台は、架台を構成する複数の木材の交差部に補強金具を装着すると共に、架台の四隅部内に平面略三角形で木製の補強材をボルトで結合して、架台の変形を防止している。さらに、上記、特許文献3の架台は、架台の枠木材と複数の縦横木材との間に中空領域を形成し、この中空領域に複数の梁木材を縦、横、斜めに水平に架設して、強度や剛性を向上さて、架台の変形を防止している。
しかし、これらの火打ち部材、補強金具を装着した木製補強材及び梁木材は、一般にスジカイ(筋交い)と呼ばれているものであり、このようなスジカイ補強は局所的な結合、いわゆる点接触による結合であって結合面積が少なく、その結果、構造計算で必要な剛性、いわゆる床面剛性を確保することが困難になっている。
ところで、旧来からの木造在来工法においても、免震構造に対する需要は高い。特に山陰地方においては全新築個数の約65%が木造在来工法によって建築されるにも拘わらず、この木造在来工法に完成された免震技術は未だ確立されておらず、近年、住宅メーカー及び産学共同プロジェクトなどにおいて、この住宅用の免振装置及び施工技術の研究・開発が進められて、一部の住宅例えばプレハブ住宅などに採用され始めている程度である。
免震住宅の設計・施工技術は、新しい技術であり、構造設計は中央官庁において個別に審査され高いハードルとなっており、地方の民間企業独自ではこのハードルを越えて設計・施工することが大変困難になっている。すなわち、免震構造は建築基準法では特定行政庁での構造審査は認められていない、いわゆる専門機関による構造計算適合性判定が必要な物件となる構法である。そこで、この免震構造は、免震告示に示された方法で構造計算を行う必要があり、この計算は上部構造(建築物)、免震層、下部構造(基礎)及び相互の接合部について構造設計を行う計算であって、木造建築物の免震架台の設計においては、木造架台に所定の床面剛性、すなわち面内せん断剛性、面外曲げ剛性及びねじれ剛性によって、免震告示に示された規準を満たす剛性が要求されている。
本発明者らは、木造りの架台は、上記課題1、2を抱え、これらは上記特許文献1〜3に記載の架台でも困難を極め解決が難しくなっていることから、それらを構解決すべく、木造在来工法による免震戸建て住宅の設計及び実験、具体的には、山陰地方の気候風土に適した建築デザインをベースに、近年需要の多い変則的平面形状や立体形状の住宅デザインも含めて展開した。
この展開において、まず、上記課題1の緊締強度は、プレート受木骨及び免震プレートなどを設けることにより解決でき、また上記課題2の木造架台のねじれ強度は、木造りの架台とプレート受木骨との結合を局所的な点結合でなく、より面積が大きい面接触結合により行い、しかも免震装置とを所定大きさの免震プレートを介して結合し、その際に、免震プレートの大きさは、採用・使用する免震装置の地震時の建物の応答変位量(移動量)に一定の余りを加算し、この加算値をベースして計算した大きさ(なお、この大きさは免震建築物に不可欠な免震クリアランスと関係している)にすることによって、木造架台は、構造計算で要求される床面剛性が確保できることに想到し本発明を完成させるに至ったものである。なお、免震クリアアランスは地震が起きたときに免震装置が変位し、建築物(建物)が揺れても安全な基礎と建物との隙間(クリアランス)である。
本発明の目的は、建築物を支える架台を、木材を骨材にして組立てた木骨架台で構成し、この木骨架台により、免震装置などとの間で生じる課題を解決し、免震装置との結合において強固な緊締強度を確保すると共に架台は構造計算で要求される床面剛性を確保し、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などを実現して、トータルローコスト化を図って木造住宅への適用を容易にした免震構造を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の目的を有する免震構造を備え、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などを実現し、トータルコストの低減が実現でき、しかも近年需要の多い変則的平面形状、や立体形状の住宅デザインの免震木造建築物を提供することにある。
本発明の第1の態様の免震構造は、地盤上に構築された基礎と、前記基礎の上に配列された複数個の免震装置と、前記各免震装置に固定される複数枚の免震プレートと、前記各免震プレートが固定されて木造建築物を支える木造りの木骨架台と、を備えた免震構造にあって、前記木骨架台は、内部に所定大きさの空間を設けた外周枠と、前記外周枠内に複数本の内枠材を縦横に所定間隔をあけて格子状に区分して形成した所定大きさの複数個の格子枠を有し、前記複数個の格子枠のうち、前記各免震装置に対応する格子枠にそれぞれ嵌挿・固定されたプレート受木骨と、で構成されて、当該木骨架台は、前記各免震装置との間にそれぞれ前記免震プレートを介在させて、前記各免震プレートは、表裏面の一方の面が前記各免震装置に、他方の面が前記各格子枠を形成する周辺の枠材及び前記プレート受木骨に結合されていることを特徴とする。
本発明の第2の態様の免震構造は、第1の態様の免震構造において、前記免震装置、前記免震プレート及び前記木骨架台の前記プレート受木骨の接触結合面の面積をそれぞれA1、A2及びA3としたとき、これらは以下の関係、
A2>A1,A2>A3
にあることを特徴とする。
本発明の第の態様の免震構造は、第1または第2の態様の免震構造において、前記木骨架台を構成する外周枠、格子枠及びプレート受木骨はいずれも積層材形成されていることを特徴とする。
本発明の第態様の木造免震建築物は、第1〜第の態様のいずれかの免震構造を備えたことを特徴とする。
本発明の第1の態様の免震構造は、地盤上に構築された基礎と、前記基礎の上に配列された複数個の免震装置と、前記各免震装置に固定される複数枚の免震プレートと、前記各免震プレートが固定されて木造建築物を支える木造りの木骨架台と、を備えた免震構造にあって、前記木骨架台は、内部に所定大きさの空間を設けた外周枠と、前記外周枠内に複数本の内枠材を縦横に所定間隔をあけて格子状に区分して形成した所定大きさの複数個の格子枠を有し、前記複数個の格子枠のうち、前記各免震装置に対応する格子枠にそれぞれ嵌挿・固定されたプレート受木骨と、で構成されて、当該木骨架台は、前記各免震装置との間にそれぞれ前記免震プレートを介在させて、前記各免震プレートは、表裏面の一方の面が前記各免震装置に、他方の面が前記各格子枠を形成する周辺の枠材及び前記プレート受木骨に結合された構成を有する。
この構成により、まず、木骨架台は、木造りなので、他のコンクリート造り、鉄骨造りと比べて、安価且つ加工が容易で製作が簡単になる。また、免震装置に対応する格子枠内にプレート受木骨が略均等且つバランスよく組込み・固定されるので、軽量にして堅固になる。さらに、免震プレートが固定さるので堅固になる。
その結果、木造りの木骨架台にあって、免震装置との間などで生じる課題、例えば、免震装置との結合で強固な緊締強度が確保できしかも構造計算で要求される床面剛性が確保され、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などが実現でき、トータルローコスト化を図って木造住宅への適用が容易になる。
本発明の第2の態様の免震構造によれば、免震プレート及び木骨架台のプレート受木骨の接触結合面の面積をそれぞれA1、A2及びA3とし、それらの大きさが、A2>A1,A2>A3とされているので、構造計算で求められる床面剛性を確保できる。すなわち、木骨架台は、面内せん断剛性、面外曲げ剛性及びねじれ剛性によって、免震告示に示された規準を満たす剛性が確保できる。
本発明の第の態様の免震構造によれば、木骨架台を構成する外周枠、格子枠及びプレート受木骨はいずれも積層材で形成されているので、入手、加工容易、安価に所望の強度を確保できる。
本発明の第の態様の木造免震建築物によれば、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などを実現し、トータルコストの低減を実現でき、しかも近年需要の多い変則的平面形状、や立体形状の住宅デザイン免震木造建築物を提供できる。
本発明の実施形態に係る免震構造を備えた免震木造建築物の正面図である。 図2Aは図1の免震木造建築物の一部を破断した免震構造主要部分の拡大断面図、図2Bは免震装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造主要部分のアイソメ(等角投影)図である。 図4は図1の免震木造建築物(木造住宅)を示し、図4Aは1階平面図、図4Bは2階平面図である。 図5は図1の免震木造建築物の基礎部分を示し、図5Aは基礎部分における免震台配列の平面図、図5Bは各免震装置に対応する免震プレート配列の平面図である。 図6は図5Bの免震プレートを示し、図6Aは平面図、図6Bは加工・取付け詳細断面図である。 図7は図1の免震木造建築物を支える木骨架台を示し、図7Aは平面図、図7Bは図7Aのプレート受木骨1個の斜視図である。 図8は従来技術の木造住宅用架台を示し、図8Aは一部断面、図8Bは要部斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る免震構造及びそれを備えた免震木造建築物を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための免震構造及びそれを備えた免震木造建築物を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
[実施形態]
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る免震構造及びそれを備えた免震木造建築物の概要を説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る免震構造を備えた免震木造建築物の正面図(南側立面図)、図2Aは図1の免震木造建築物の一部破断した免震構造主要部分の拡大断面図、図2Bは免震装置の断面図、図3は本発明の実施形態に係る免震構造主要部分のアイソメ(等角投影)図である。
本発明の実施形態に係る免震構造を備えた免震木造建築物10は、図1、図2に示したように、地上2階建て木造住宅からなり、この木造住宅は、地盤GLに構築した基礎の下部構造体10と、その上部に位置し上部構造体10の木造住宅を支える木材を骨材にした架台(以下、木骨架台という)21と、下部構造体10と上部構造体10との間にあって免震装置16が配設される免震層10と、を備え、免震層10には、複数個の免震装置16〜1612(図4A、図5B参照)が配列されている。
木骨架台21は集積材で形成されている。なお、本発明は木造建築物を地上木造2階建住宅に限定するものでなく任意のものでもよい。
この免震木造建築物(木造住宅)における免震構造11は、図1〜図3に示したように、基礎の下部構造10と、免震層10に配列された複数個の免震装置16と、各免震装置に固定される複数枚の免震プレート19と、各免震プレートが固定されて木造住宅を支える集積材からなる木骨架台21と、を備え、木骨架台21は、内部に所定大きさの空間を設けた外周枠22と、この外周枠22内に複数本の縦枠材23、内枠材24及びつなぎ枠材25からなる内枠材を縦横に所定間隔をあけて格子状に区分して形成した所定大きさの複数個の格子枠30と、これら複数個の格子枠30のうち、各免震装置16に対応する格子枠30にそれぞれ嵌挿・固定されたプレート受木骨26と、を有し、木骨架台21は、各免震装置16との間にそれぞれ免震プレート19を介在させて、免震プレート19は、表裏面の一方の面が免震装置16に、他方の面が各格子枠30を形成する周辺の枠材及びプレート受木骨26に結合されて構成されている。なお、符号14は立ち上がり基礎、15は免震台、28は構造用合板を示している。
この免震構造11は、免震装置16、免震プレート19、プレート受木骨26を固定した木骨架台の結合平面のそれぞれの面積をA1、A2及びA3として比較すると、これらは、以下の関係式(a)にしてある。
A2>A1,A2>A3・・・・・・・・・・・・(a)
そして、この関係式(a)において、免震プレート19の面積A2は、採用・使用する免震装置によって決定される。
すなわち、免震プレートの面積A2は、採用・使用する免震装置の地震時の建物の応答変位量(移動量)に一定の余りを加算し、この加算値をベースして計算した大きさになっている。なお、この大きさ(長さ)は免震建築物に不可欠な免震クリアランスと関係している。
以上、免震プレートA2の面積を上記にし、関係式(a)を満たすことによって、木骨架台は免震構造計算において要求される床面剛性を確保できるものとなる。
この免震構造によれば、以下の優れた作用効果を奏する。
すなわち、建築物を支える架台を、木材を骨材にして組立てた木骨架台で構成し、この木骨架台により、免震装置などとの間で生じる課題が解決されて、免震装置との結合において強固な緊締強度が確保されると共に架台は構造計算で要求される床面剛性も確保され、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などが実現されて、トータルローコストを図られて木造住宅への適用が容易になる。
さらに付言すると、まず、木骨架台は、木造りなので、他のコンクリート造り、鉄骨造りと比べて、安価且つ加工が容易で製作が簡単になる。また、免震装置に対応する格子枠内にプレート受木骨が略均等且つバランスよく組込み・固定されるので、軽量にして堅固になる。さらに、免震プレートが固定さるので堅固になる。
その結果、木造りの木骨架台にあって、免震装置との間などで生じる課題、例えば、免震装置との結合で強固な緊締強度が確保できしかも構造計算で要求される床面剛性が確保され、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などが実現でき、トータルローコストを図って木造住宅への適用が容易になる。
以下、この免震構造及びこれを備えた免震木造住宅の個々の構成及び他の特徴を説明する。
免震木造建築物(以下、単に建物ともいう)10は、免震層10に、複数個の免震装置16〜1612(図4A、図5B参照)が所定の位置にそれぞれ配列されている。これらの免震装置は同じ構成のものとなっている。
免震装置16は、図2Bに示したように、対向する一対の受皿17a、17bと、これらの受皿の間に移動可能に介在する球体18と、一対の受皿17a、17bを接続して球体18を外側から包囲する可撓性の接続体とを備え、各受皿17a、17bは、対向面に球用の凹み穴17がみ形成されている。
球体18は、単数乃至複数の鉄球や鋼球等からなり、一対の受皿17a、17bの凹み穴17にころがり接触可能に摺接して、地震の発生時に地震エネルギーを吸収して一対の受皿17a、17bを移動変位させる。また、接続体は、弾性円筒形に形成され、開口した端部が各受皿17a、17bの周縁部に嵌着されている。
この免震装置によれば、地震が発生して建物の基礎が震動(振動ともいう)すると、免震装置の球体が接続体の内部を転がってベアリング機能を発揮し、一対の受皿が相反する方向にスライドして地震の揺れを受け流し、この受け流し効果により建物が免震されることとなる。この免震作用により、住宅内の家具等は転倒せず、居住者は恐怖を感じるのを低減できる。なお、このような免震装置は、既に製品化・市販され公知となっている。
本発明の実施形態の免震構造及び免震木造建築物は、既に市販されている例えば以下の免震装置を使用する。
メーカー名(オイレス工業株式会社)、製品名(軽量建築物用免震装置:FPS−HP)、製品対象(木造1〜3階建て程度を目安)、製品構造(ステンレス板をプレスして成型し、空洞部分に充填材を満たして製作)、可動子径(100φ)、長期面圧(最大13.5N/mm、建物全体の平均で10.0N/mmが目安)。
また、FPS―HP本体の外形寸法は630×630×H(93.1)mmである。
この免震装置は、使用する個数が少ないと装置間隔が大きくなり、住宅を支える架台の負担が大きくなることから、メーカーは建築面積(1階の床面積)10mに1基程度の使用を推奨している。以上は同社発行のパンフレットから引用したものである。
なお、この製品仕様は、後記する下部構造体、木骨架台、上部構造体などの設計寸法などを決める基礎となっている。また、本発明は免震装置を上記のものに限定するものでなく、他のメーカー及び他の仕様の免震装置を使用できる。
次に、図4を参照して上部構造体を説明する。なお、図4は図1の免震木造建築物を示し、図4Aは1階平面図、図4Bは2階平面図である。
上部構造体10は、地上2階建て木造住宅からなり、この住宅は、2階部分が建築面積の約50%を占め、それが北東面側に偏在している。そして、図4に示したように、1階101Fは平面形状にあって中庭を組込んだコ字形にし、南面側中央に木造デッキ(例えば12m)を設け、それぞれ所定の間取り、1階に、それぞれ所定の大きさの例えば和室、DK、趣味室、土間収納、洗面・浴室、玄関ホール、機械室など、また、2階102Fに寝室、和室、子供室、クローゼットなどが設けてある。なお、この住宅は、延べ床面積が例えば133.88m、建築面積は106.20mである。
この木造住宅は純日本風のものであって、1階101Fに木造デッキを設け、建築面積の約50%の2階建部分を北東面側に偏在させているので、上記特許文献1に開示の建物(平面形状及び立体形状が定形)に比し平面形状及び立体形状が変則的なデザインになっている。このため、免震構造計算は従来の定形の計算をそのまま適用できず、それと対比して面倒になっている。なお、木造住宅は、上記のものに限るものではなく、任意タイプの住宅でもよい。
1階101Fの床下には、図4Aに示したように、複数個の免震装置16〜1612が配設されている。
この木造住宅は、東西南北にそれぞれ所定の免震クリアランスをあけて建てられている。なお、このクリアランスについては後記する。
図5を参照して、下部構造体を説明する。なお、図5は図1の免震木造建築物の基礎部分を示し、図5Aは基礎部分における免震台配列の平面図、図5Bは各免震装置に対応する免震プレート配列の平面図である。
下部構造体10は、地盤GLにあって、建物周辺との間に所定の免震クラランスをあけて構築されている。
免震クリアランス(以下、クリアランスという)は、免震建築物に不可欠なものであって、地震力による建物の水平方向への変位(動き)が、この最大の水平変位が発生しても周囲の構造物や土地などと衝突しないように設ける隙間、すなわち、建物周辺との離隔をいい、それは建物を隣地及び道路境界線、または周辺工作物等との離隔であって、構造計算で求まる地震時の建物の応答位置(移動量)に一定の余裕を加えた離隔である。
一定の余裕は、建物の移動により人が挟まれるおそれがある部分(例えば、1階の外壁や出窓部分など)にあっては例えばプラス20cm以上、また人が立ち入るおそれがない部分(例えば、軒先、2階のバルコニー先など)にあっては例えばプラス10cm以上などであり、これらは告示で決められている。
このクリアランスは、採用・使用する免震装置によって変更される。すなわち、本実施形態では、FPS―HPを使用するので、設計で用いることができる応答変位量は405mm(100φ)であり、その結果、建物配置設計のクリアランスは、応答変位量405mmに一定の余裕100mm乃至200mmを加えた離隔値となる。
図1の符号L、Lは、建物一側壁からのクリアランスを示している。勿論、他の四方側壁でも所定のクリアランスがとってある。
この下部構造体10は、図2Aに示したように、鉄筋コンクリート構造からなり、割り栗石12上にベタ基礎ベースコンクリート13を敷設し、地中梁に結合され、複数個の免震装置16(複数個のうちの1個)を支持する複数個の免震台15(複数個のうちの1個)を有する剛健な構造体で構成されている。地中梁はベタ基礎部分に鉄筋(図示省略)を配筋しコンクリートを打設した構成となっている。
下部構造体10の外周囲は、立ち上がり基礎14で囲まれて内部に所定の個数、この実施形態では12個の免震台15〜1512(図5A参照)が設置されている。
複数個の免震台15〜1512は、同じであり、符号15aはつなぎ補強増し打ちコンクリートを示しており、これにより免震台は補強され剛健なものとなる。
各免震台は、例えば縦900mm×横900mm×高さ(約350mm)の大きさとなっている。
外周囲の立ち上がり基礎14は、隣地境界線などとの間で所定のクリアランスが確保されて構築されており、また、免震装置16は立ち上がり基礎14から所定距離L離されている。なお、下部構造体は、これに限定するものでなく他の基礎構造、例えばフラットスラブ形式のものでもよい。
複数個の免震台15〜1512は、図5Aに示したように、住宅1階101F(図4A参照)の間取り対応した位置に配設されている。
これらの免震台15〜1512は、縦4列、横3段に配列されている。図5Bの左側1列目は3個の免震台15〜15が所定の間隔y、y、また、2列目は3個の免震台15〜15が間隔y、y、3列目が3個の免震台15〜15が間隔y、y、4列目が3個の免震台1510〜1512が間隔y、yをそれぞれ開け、また各列間もそれぞれ所定の間隔x、x、x、x、xが開いている。
これらの間隔は、採用・使用する免震装置によって決定される。
本実施形態ではFPS―HPを使用するので、この装置は建築面積(1階の床面積)10m当たり1基を配設する。
これにより、各寸法は、例えば、yは750mm、yは3750mm、また、xは750mm、xは3300mm、xは4500mm、xは2500mmとなる。
なお、最下段の間隔は、変則的な平面形状に合わせて、細かくx、x、x、x(3000mm)、x、x.xに分かれている。
複数個の免震台15〜1512に対応する位置に、それぞれ免震プレート19〜1912が配設される。これらの免震プレートは、上面が木骨架台21、下面が免震装置16に結合される。
これらの免震プレー19〜1912は、図5Bに示したように、各免震台15〜1512に対応した位置にあって、縦4列、横3段で配列され、配列寸法は上記y、y及びx、x、xと同じである。
図6を参照して、免震プレートを説明する。なお、図6は図5Bの免震プレートを示し、図6Aは平面図、図6Bは加工・取付け詳細断面図である。
免震プレート19(図2)は、複数個の免震プレート19〜1912(図6)からなり、これらは上記2の課題(木骨架台のねじれ強度)を解決して、構造計算で要求される床面剛性を確保するものである。
この実施形態では、各免震プレート19〜1912は同じ形状であって、所定の面積及び肉厚さを有する正方形状の金属板で形成されている。すなわち、四辺19a〜19dの長さが同じ正方形になっている。辺の長さは、採用・使用する免震装置によって決定される。すなわち、免振装置の地震時の建物の応答変位量(移動量)に一定の余りを加算し、この加算値を2倍以上にした長さにする。
本実施形態では、FPS−HPの応答変位量は405mm、一定の余りは100〜200mm、これらの合計値の2倍値は1010〜1210mmとなる。そこで、本実施形態では、上記の値に基づいて一辺の長さを1500mmとした。
したがって、寸法は、横辺aは1500mm、縦辺bは1500mm、肉厚は12mmである。また、肉厚(12mm)も、採用・使用する免震装置によって変更される。
これにより、木骨架台との結合面積が大きくなり、堅固に結合可能になる。
なお、免震プレートは、正方形に限定するものでなく、長方形、いわゆる矩形状のものにしてもよい。この場合、短辺の長さを基準にして決定する。
この免震プレート19は、外周囲縁に近接した箇所に辺に沿って複数個のネジ孔19が所定の間隔をあけて穿設され、角部を結ぶ対角線上及び対向辺の中心線上に所定の間隔をあけて、ネジ孔19が穿設されている、
この免震プレート19は、表面をプレート受木骨26及びこれが固定された格子枠30を形成する周辺の枠材(外周枠22、縦枠材23、横枠材24、つなぎ枠材25)に当接させて、スクリューネジ20をそれぞれ各ネジ孔19、19に挿通して、格子枠を形成する周辺の枠材及びプレート受木骨26に打ち付け固定される(図6B参照)。また、裏面は免震装置16に固定する(図示省略)。
免震プレート19を木骨架台21に装着・固定することによって、木材からなる架台、すなわち、格子枠30及びプレート受木骨26の凹み乃至撓みなどを防止できる。また、この免震プレート19は、前記したように構造計算で要求される床面剛性を確保する重要な機能を果たすものとなっている。免震装置16、免震プレート19、プレート受木骨26を固定した木骨架台21の結合平面のそれぞれの面積をA1、A2及びA3の関係は後記する。
図7を参照して木骨架台を説明する。なお、図7は図1の免震木造建築物を支える木骨架台を示し、図7Aは平面図、図7Bは図7Aのプレート受木骨1個の斜視図である。
木骨架台21は、建物の荷重を支える台であって、免震装置を全ての建物の柱直下に装置を設置することが事実上できないために建物の柱軸力を免震装置に伝達するためのものである。
この木骨架台21は、内部に所定大きさの空間を設けた外周枠22と、この外周枠内に複数本の内枠材を縦横に所定間隔をあけて格子状に区分して形成した所定大きさの複数個の格子枠30と、これら複数個の格子枠30のうち、各免震装置16〜1612に対応する格子枠30にそれぞれ嵌挿・固定されたプレート受木骨26と、を有し、外周枠22、複数本の内枠材及びプレート受木骨26は、それぞれ積層材で形成されている。
なお、積層材は、単板のような薄めの挽板を数多く重ね合せ接着成形した木材であって、高い強度を有している。
外周枠22は、下部構造体10の立ち上り基礎14に対応した形状を有し、複数本の外枠材22〜22で形成されている。すなわち、立ち上り基礎に対応した形状にして、積層材からなる所定形状及び太さの柱状体を加工・繋ぎ合わせて形成されている。
柱状体は、四角柱が好ましい。その寸法は、横幅は例えば120mm及び高さは300mmである。なお、図7Aにあって、横長は11,800mm及び縦長は9000mmであって、これらを細分した長さcは1500mm、cは1800mm、cは3000mm、cは1000mm及びdは1500mm、dは2250mmとなっている。
複数本の内枠は、縦枠材23、横枠材24及びツナギ枠材25からなり、所定の太さの積層材からなる四角柱で形成されている。
縦枠材23は2本の四角柱23、23、横枠材24は2本の四角柱24〜24からなり、ツナギ枠材25も2本の四角柱25、25で形成されている。
これらの内枠材で外周枠22内を格子状に区分することによって内部に所定の空間を有する格子枠30が形成される。これらの格子枠30のうち、各免震装置に対応する枠内のスペースsにプレート受木骨26が嵌挿して固定される。
この嵌挿・固定は、格子枠30とプレート受木骨26との間で面と面との結合となるので、従来技術の局所的(点接触結合)な結合に比べて堅固になる。また、木骨架台21は、免震装置16に対応する格子状の枠内にプレート受木骨26が嵌挿・固定されることによって、堅固になる。すなわち、複数個のプレート受木骨26が格子状の枠内に略均等且つバランスよく配置・固定され、且つそれらが格子枠30内で堅固に結合されるからである。なお、木骨架台21を1枚の板状体で形成することも考えられるが、そうすると、肉厚の板状体を全体に敷設しなければならないので、材料費が嵩み且つ重量も重くなる。本実施形態の木骨架台21によれば、上記の板状体架台と比べると、少ない材料で且つ軽量なものになる。
プレート受木骨26は、図7Bに示したように、所定の縦横幅及び肉厚の複数枚の板片を積層した略正立法体ブロックからなり、その大きさは、格子枠の空間に嵌め込まれる大きさになっている。
このプレート受木骨26は、複数個の格子枠のうち、免震装置に対応する格子枠のスペースs内にそれぞれ嵌め込み固定されるので、格子枠の全部でなく一部の格子枠であることから、架台を堅固にしてしかも軽量にできる。なお、プレート受木骨26の部材寸法は、例えば縦横幅は120mm、高さhは210mmである。
以上説明した部材を使用して、免震構造及びそれを備えた免震木造住宅を構築する。
図2を参照して、まず、地上に下部構造10を構築し、免震層10内の複数個の免震台15に、それぞれ免震装置16を設置する。次いで、それらの間にそれぞれ免震プレート19を介在させて、木骨架台21を固定する。この木骨架台の上に構造用合板28を設置し、その上に仕上フロアー29を敷設接する。なお、木骨架台21にあって、枠材とプレート受木骨26とが高さが違い間に隙間が空くので、この隙間に断熱材27を詰め込む。
その後、この木骨架台21上に木造住宅を建設する。この建設は、従来の建築と同じである。説明は省略する。
構築した免震構造11は、免震装置16、免震プレート19、プレート受木骨26を固定した木骨架台21の結合平面のそれぞれの面積をA1、A2及びA3として比較すると、これらは、以下の関係(a)となる。
A2>A1,A2>A3・・・・・・・・・・・・(a)
なお、この関係式(a)において、免震プレート19の面積A2は、採用・使用する免震装置によって決定、すなわち、免振プレートを正方形にすると、その一辺の長さは、地震時の建物の応答変位量(移動量)に一定の余りを加算し、加算値の2倍以上にした長さにして、この長さで面積が算出されている。免震プレートは、正方形に限定するものでなく、長方形、いわゆる矩形状のものにしてもよい。この場合、短辺の長さを基準にして決定される。応答量変位量及び余りは、採用・使用する免震装置によって異なっている。
免震構造は、上記関係式(a)の条件を満たすことによって、構造計算で要求される床面剛性(免震告示に示された規準を満た剛性)、すなわち面内せん断剛性、面外曲げ剛性及びねじれ剛性を確保できる。
この実施形態の免震構造によれば、まず、木骨架台は、木造りなので、他のコンクリート造り、鉄骨造りと比べて、安価且つ加工が容易で製作が簡単になる。また、免震装置に対応する格子枠内にプレート受木骨が略均等且つバランスよく組込み・固定されるので、軽量にして堅固になる。さらに、免震プレートが固定されるので堅固になる。
その結果、木造りの木骨架台にあって、免震装置との間などで生じる課題、例えば、免震装置との結合で強固な緊締強度が確保できしかも構造計算で要求される床面剛性が確保され、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などが実現でき、トータルローコストを図って木造住宅への適用が容易になる。
また、免震木造建築物は、この免震構造を備えることにより、施工工法の簡易・単純化及び工期の短縮化などを実現し、トータルコストの低減を実現でき、しかも近年需要の多い変則的平面形状、や立体形状の住宅デザインにできる。
10 免震木造建築物
10 下部構造体
10 免震層
10 上部構造体(木造建築物)
11 免震構造
14 立ち上り基礎
15、15〜1512 免震台
16、16〜1612 免震装置
19、11〜1912 免震プレート
21 木骨架台
22 外周枠
23 縦枠材
24 横枠材
25 ツナギ枠材
26 プレート受木骨
27 断熱材
28 構造用合板
29 仕上フロアー
30 格子枠

Claims (4)

  1. 地盤上に構築された基礎と、前記基礎の上に配列された複数個の免震装置と、前記各免震装置に固定される複数枚の免震プレートと、前記各免震プレートが固定されて木造建築物を支える木造りの木骨架台と、を備えた免震構造にあって、
    前記木骨架台は、内部に所定大きさの空間を設けた外周枠と、前記外周枠内に複数本の内枠材を縦横に所定間隔をあけて格子状に区分して形成した所定大きさの複数個の格子枠を有し、前記複数個の格子枠のうち、前記各免震装置に対応する格子枠にそれぞれ嵌挿・固定されたプレート受木骨と、で構成されて、
    当該木骨架台は、前記各免震装置との間にそれぞれ前記免震プレートを介在させて、前記各免震プレートは、表裏面の一方の面が前記各免震装置に、他方の面が前記各格子枠を形成する周辺の枠材及び前記プレート受木骨に結合されていることを特徴とする免震構造。
  2. 前記免震装置、前記免震プレート及び前記木骨架台の前記プレート受木骨の接触結合面の面積をそれぞれA1、A2及びA3としたとき、これらは以下の関係、
    A2>A1,A2>A3
    にあることを特徴とする請求項1に記載の免震構造。
  3. 前記木骨架台を構成する外周枠、格子枠及びプレート受木骨はいずれも積層材形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の免震構造。
  4. 請求項1〜のいずれかの免震構造を備えたことを特徴とする木造免震建築物。
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