JP6664799B1 - 焼酎の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】果実香、花香、柑橘香などの華やかな総合的芳香を有し、品質に優れた焼酎及び焼酎の製造方法の提供。【解決手段】アルコール度数が25%(v/v)である場合の含有量として、成分濃度が20ppb以上の桂皮酸エチルと、90ppb以上のファルネソールと、100ppb以上のローズオキサイト゛と、300ppb以上のネロールオキサイト゛と、1800ppb以上のネロールと、450ppb以上のシトロネロールと、950ppb以上のゲラニオールと、250ppb以上のリナロールを含有する、焼酎。サツマイモの表面に略V字状の切れ込みを形成する表面処理、前記表面処理で入れた切れ込みの底部に沿って、一定の深さの切れ込みを形成する表面処理、酵素剤の散布、エチレンガス雰囲気下、かつ、所定の温度及び所定の湿度環境下での一定時間静置を行う工程を有する、焼酎の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は焼酎の製造方法に関する。詳しくは、果実香、花香、柑橘香などの華やかな総合的芳香を有し、品質に優れた焼酎の製造方法に係るものである。
従来、焼酎に優れた香りを持たせ、嗜好性を高める開発が進められている。焼酎における特徴的な香りの付与は、焼酎の独自性に寄与するだけでなく、飲みやすさや味わいを良好にする上で重要な要因となる。
また、サツマイモを糖質原料とする焼酎は、原料となるサツマイモ由来の香りが生じており、嗜好の拡大を図る上では、焼酎の芳香性を高め、良質な香りを付与することが求められている。
こうしたなか、例えば、特許文献1に記載の焼酎では、モノテルペンアルコール、βダマセノン及びローズオキシドの含有量を調整することにより、華やかな香りと甘い香味を有する焼酎を得ることが試みられている。
ここで、特許文献1に記載の焼酎は、モノテルペンアルコール、βダマセノン及びローズオキシドを少なくとも含んでおり、アルコール度数が20度(%(v/v))である場合の含有量として、モノテルペンアルコールの含有量が800ppb以上であり、βダマセノンの含有量が32ppb以上であり、ローズオキシドの含有量が8ppb以上である焼酎となっている。
特開2018−50546号公報
しかしながら、特許文献1に記載の焼酎は、華やかな香りと甘い香味を生じる各成分の含有量が少なく、香りの華やかさが、より強く感じられるように芳香成分を増強させる点で不充分であると考えられる。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、果実香、花香、柑橘香などの華やかな総合的芳香を有し、品質に優れた焼酎の製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の焼酎は、アルコール度数が25(%(v/v))である場合の含有量として、成分濃度が20ppb以上である桂皮酸エチル、成分濃度が90ppb以上であるファルネソール、成分濃度が100ppb以上であるローズオキサイト゛及び成分濃度が300ppb以上であるネロールオキサイト゛の少なくともいずれか1種類の化合物を含有する構成となっている。
ここで、成分濃度が20ppb以上である桂皮酸エチルを含有することによって、焼酎に果実香(スターフルーツ香)、シナモン香、バルサム香等の甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、成分濃度が90ppb以上であるファルネソールを含有することによって、焼酎に穏やかな花香(リンデン、アンゼリカ)の甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、成分濃度が100ppb以上であるローズオキサイト゛を含有することによって、焼酎に花香(ゼラニウム)を充分に付与することが可能となる。
また、成分濃度が300ppb以上であるネロールオキサイト゛を含有することによって、焼酎に穏やかな花香(オレンジブロッサム)の甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、アルコール度数が25(%(v/v))である場合の含有量として、成分濃度が1800ppb以上であるネロールを含有する場合には、花香(バラ)、果実香及び柑橘香を含む甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、アルコール度数が25(%(v/v))である場合の含有量として、成分濃度が450ppb以上であるシトロネロールを含有する場合には、果実香及び柑橘香を含む甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、アルコール度数が25(%(v/v))である場合の含有量として、成分濃度が950ppb以上であるゲラニオールを含有する場合には、花香(バラ)及び柑橘香を含む甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、アルコール度数が25(%(v/v))である場合の含有量として、成分濃度が250ppb以上であるリナロールを含有する場合には、花香(スズラン、ラベンダー)、果実香及び柑橘香(ベルガモット)を含む甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、上述した目的を達成するために、本発明の焼酎は、アルコール度数が25(%(v/v))である場合の含有量として、成分濃度が20ppb以上である桂皮酸エチルと、成分濃度が90ppb以上であるファルネソールと、成分濃度が100ppb以上であるローズオキサイト゛と、成分濃度が300ppb以上であるネロールオキサイト゛と、成分濃度が1800ppb以上であるネロールと、成分濃度が450ppb以上であるシトロネロールと、成分濃度が950ppb以上であるゲラニオールと、成分濃度が250ppb以上であるリナロールを含有する構成となっている。
ここで、成分濃度が20ppb以上である桂皮酸エチルを含有することによって、焼酎に果実香(スターフルーツ香)、シナモン香、バルサム香等の甘い香りを充分に付与することが可能となる。
また、成分濃度が90ppb以上であるファルネソールと、成分濃度が100ppb以上であるローズオキサイト゛と、成分濃度が300ppb以上であるネロールオキサイト゛と、成分濃度が1800ppb以上であるネロールと、成分濃度が450ppb以上であるシトロネロールと、成分濃度が950ppb以上であるゲラニオールと、成分濃度が250ppb以上であるリナロールを含有することによって、これらの成分が、焼酎に好ましい芳香を与えるモノテルペン類化合物として作用すると共に、充分な量が含まれることから、より顕著に芳香を強めることができる。
また、上述した目的を達成するために、本発明の焼酎の製造方法は、原料となるサツマイモの表面に切れ込みを入れる表面処理工程と、該表面処理工程の後、サツマイモに酵素処理を行う酵素処理工程と、該酵素処理工程の後、サツマイモを、エチレンガス雰囲気下、かつ、所定の温度及び所定の湿度で一定時間静置するガス処理工程とを備える。
ここで、表面処理工程で、原料となるサツマイモの表面に切れ込みを入れることによって、サツマイモの表面に傷をつけ、後工程となる酵素処理工程におけるサツマイモの軟化・熟成作用や、サツマイモに含まれるモノテルペン類配糖体の遊離作用、分解酵素の作用によるサツマイモの損傷、または、サツマイモ自体の生体防御反応による作用等を促進させることができる。この結果、モノテルペンアルコール類を含む芳香成分を、より一層、増加させることが可能となる。
また、酵素処理工程で、サツマイモに酵素処理を行うことによって、サツマイモの軟化・熟成や、サツマイモに含まれるモノテルペン類配糖体の遊離、分解酵素によるサツマイモの損傷、または、サツマイモ自体の生体防御反応による作用等の現象を、酵素反応によって進めることができる。この結果、モノテルペンアルコール類を含む芳香成分を増加させることができる。
また、ガス処理工程で、酵素処理工程の後、サツマイモを、エチレンガス雰囲気下、かつ、所定の温度及び所定の湿度で一定時間静置することによって、エチレンガスが、サツマイモの生体防御反応を誘導するエリシターとして働き、防御関連遺伝子を活性化させることができる。これに伴い、モノテルペンアルコール類を含む芳香成分を、より一層、増加させることができる。
また、酵素処理工程で、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ及びキチナーゼの少なくともいずれか1種類の酵素剤を用いる場合には、サツマイモの軟化・熟成、サツマイモに含まれるモノテルペン類配糖体の遊離、分解酵素によるサツマイモの損傷、または、サツマイモ自体の生体防御反応による作用等の現象を、酵素反応によって進めることができる。
また、酵素処理工程で、さらに、キチンを含む溶液でサツマイモを処理する場合には、キチンが、サツマイモの生体防御反応を誘導するエリシターとして働き、防御関連遺伝子を活性化させることができる。これに伴い、モノテルペンアルコール類を含む芳香成分を、より一層、増加させることができる。
また、表面処理工程が、サツマイモに、その茎側のへたと茎側のへたと反対側のへたを結ぶ方向に沿った略V字状の第1の切れ込みを、サツマイモの周方向にかけて複数設ける工程を有する場合には、サツマイモの表面の広い範囲に傷をつけることが可能となる。これにより、サツマイモの表面の傷がついた部分に、酵素剤やエチレンガスを作用させやすくなり、酵素反応やその反応の促進の効率を向上させることができる。
また、表面処理工程が、第1の切れ込みの底部に沿って、線状の第2の切れ込みを設ける工程を有する場合には、第1の切れ込みの底部から、サツマイモの内部に向けて一定の深さを有し、かつ、第1の切れ込みの長手方向と同じ長さの範囲に渡る線状の切れ込みを、サツマイモに形成することができる。サツマイモにおける第2の切れ込みが形成された部分は、その表面が外部に露出されない領域となる。即ち、例えば、酵素剤を溶液としてサツマイモに作用させた際に、溶液が第2の切れ込みの部分に留まりやすくなり、傷ついたサツマイモの表面と酵素剤との接触効率を良くすることができる。この結果、より一層、酵素反応やその反応の促進の効率を向上させることができる。
また、上述した目的を達成するために、本発明の焼酎の製造方法は、請求項1〜3に記載の焼酎を原酒として、1種類または2種類以上のその他の焼酎と混合する構成となっている。
ここで、請求項1〜3に記載の焼酎を原酒として、1種類または2種類以上のその他の焼酎と混合することによって、華やかな芳香を有する原酒の特徴を有しながら、他の焼酎の特徴を付加した焼酎を製造することができる。
また、原酒の含有量が全量基準で50%以上である場合には、原酒の特徴である華やかな芳香を、混合後の焼酎に充分に反映させることができる。
本発明に係る焼酎の製造方法は、果実香、花香、柑橘香などの華やかな総合的芳香を有し、品質に優れた焼酎が得られる方法となっている。
以下、本発明の実施の形態(以下、「実施の形態」と称する)について図面を参照しながら内容を説明し、本発明の理解に供する。本発明を適用した焼酎の製造方法の一例である焼酎の製造方法における原料の処理工程について説明する。
なお、以下に示す焼酎の製造方法は本発明の一例であり、本発明の内容がこれに限定されるものではない。
焼酎の製造方法における原料の処理工程では、以下の工程を有する。
工程1:原料となるサツマイモの水洗い。
工程2:水洗いしたサツマイモの殺菌処理。
工程3:サツマイモの表面に略V字状の切れ込みを形成する表面処理。
工程4:工程3で入れた切れ込みの底部に沿って、一定の深さの切れ込みを形成する表面処理。
工程5:酵素剤の散布。
工程6:工程5までの工程を経たサツマイモのエチレンガス雰囲気下への投入。
工程7:エチレンガス雰囲気下、かつ、所定の温度及び所定の湿度環境下として、一定時間静置。
工程8:工程7の後、大気環境下で、所定の温度及び所定の湿度環境下として、一定時間静置。
工程9:工程8の後、工程8より低い温度に設定して、一定時間静置。
工程10:工程9の後、処理後のサツマイモの水洗い。
工程11:工程10の後、サツマイモを蒸して、粉砕、焼酎製造の二次原料とする。
工程1では、原料となるサツマイモに付いた土などを入念に水洗いする。なお、本発明においては、原料となるサツマイモは、健康なサツマイモを使用することが好ましい。なお、健康なサツマイモとは、病害虫による食害や、病原菌(例えば、軟腐病病原菌など)が感染を受けていない、良好な状態のサツマイモを意味する。
工程2では、水洗いをしたサツマイモに対して、殺菌処理を行う。殺菌処理は、pH5.0〜6.5、塩素濃度10〜30ppmの微酸性電解水を用いて、サツマイモが浸漬する状態で20分処理する。また、この浸漬処理を合計3回行う。
なお、工程2における微酸性電解水による殺菌処理の方法として、サツマイモを浸漬させる方法だけでなく、例えば、微酸性電解水を、シャワーヘッドを有する器具等から、サツマイモに散水する方法等も採用しうる。
工程3では、殺菌処理したサツマイモに対して、その表面に傷をつける表面処理を行う。1個の重量が600〜900gのサツマイモに、山谷型の刃を有する刃物部材を用いて、サツマイモの表面にV字状の切れ込みを入れる。なお、ここでいう「V字状の切れ込み」が本願請求項における第1の切れ込みに該当する。
工程3における切れ込みは、サツマイモの茎側のへた(上部側端部)から、茎側と反対側のへた(下部側端部)にかけて、サツマイモの長手方向に沿って、その表面に切れ込みを入れる。
工程3における切れ込みは、深さが1〜2mm程度、幅が2mm程度とする。また、切れ込みは、サツマイモの外周面の周方向にかけて、複数形成して、サツマイモの表面の広範囲に渡って傷をつける。
工程4では、工程3でV字状の切れ込みを形成したサツマイモに対して、さらに、線状の切れ込みを入れて、サツマイモの表面に傷をつける表面処理を行う。本工程では、工程3で形成したV字状の切れ込みの底部(谷の頂点の部分)に相当する部分に、薄膜状の刃を複数並べた刃物部材を用いて、線状の切れ込みを入れる。なお、ここでいう「線状の切れ込み」が本願請求項における第2の切れ込みに該当する。
工程4における切れ込みは、既に形成されたV字状の切れ込みの底部に沿って形成される。また、工程4における切れ込みは、V字状の切れ込みの底部以外の領域に形成されるものが含まれていてもよい。即ち、サツマイモの表面において、V字状の切れ込みの斜面の部分や、V字状の切れ込みが形成されていない表面部分に、工程4における線状の切れ込みが形成されてもよい。
工程4における切れ込みは、深さが1〜2mm程度であり、その幅は、刃物部材の薄膜状の刃の厚み(0.5mm程度)と同程度となる。また、線状の切れ込みは、サツマイモの上下のへたの部分、特に、茎側のへたの周辺部分において、丁寧に傷を付けることがより好ましい。
ここで、必ずしも、サツマイモに対する表面処理では、V字状の切れ込み及び線状の切れ込みが形成される必要はなく、サツマイモの表面に対して傷をつけることができれば充分である。例えば、V字状の切れ込みのように、サツマイモの長手方向に沿って形成される切れ込みだけでなく、サツマイモの短手方向に沿って形成される切れ込みや、ランダムな方向で、サツマイモの表面に複数の切れ込みが形成される方法であってもよい。但し、V字状の切れ込み及び線状の切れ込みを形成することで、サツマイモの表面の広い範囲に傷をつけやすくなる。また、後工程の酵素処理におけるサツマイモの軟化・熟成作用や、サツマイモに含まれるモノテルペン類配糖体の遊離作用、分解酵素の作用によるサツマイモの損傷、または、サツマイモ自体の生体防御反応による作用等を促進させることができる。このような点から、サツマイモに対する表面処理では、V字状の切れ込み及び線状の切れ込みが形成されることが好ましい。
工程5では、工程3及び工程4で、その表面に傷をつけたサツマイモに対して、酵素処理を行う。酵素剤の種類として、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ、キチナーゼを含んでいる。
また、酵素剤は、例えば、粉末状の各酵素を水に溶解させ、除菌フィルターでろ過した溶液を酵素液とする。酵素液をサツマイモに散布して、表面の傷つけた部分に酵素液を付着させる。
また、酵素液の散布量は、酵素剤の混合物で、サツマイモ重量に対して0.1%(w/w)以下とする。また、各酵素の配合比率は、一例として、セルラーゼ:β-グルコシダーゼ:キチナーゼ=5:3:2とする。
また、セルラーゼは、サツマイモの軟化・熟成作用を生じさせる酵素である。また、β-グルコシダーゼは、サツマイモに含まれるモノテルペン配糖体の遊離作用を促す酵素である。
さらに、キチナーゼは、キチンに対する分解作用を有する酵素であり、その分解作用により、サツマイモを損傷させる働きがある。なお、キチナーゼは、キチン(カビのダミー物質の位置付け)が、サツマイモの表面の傷ついた部分に付着して、サツマイモの生体防御反応が開始され、その反応に伴う代謝経路で生成されることが推定されている酵素である。
工程5における酵素剤は、上述したセルラーゼ、β-グルコシダーゼ、キチナーゼのうち、いずれか1種類を用いるだけでも、モノテルペン類を含む芳香成分の増加に寄与する。但し、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ、キチナーゼを複合的に使用することで、サツマイモの軟化・熟成や、モノテルペン配糖体の遊離、分解酵素の作用によるサツマイモの損傷、または、サツマイモ自体の生体防御反応による作用等が促進され、より一層、モノテルペン類を含む芳香成分を増加させることが可能となる。そのため、酵素剤には、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ、キチナーゼが含まれることが好ましい。
なお、工程5では、粉末状の各酵素を水に溶解させ、除菌フィルターでろ過した溶液を酵素液としてサツマイモに散布しているが、酵素処理の方法はこれに限定されるものではない。例えば、粉末状の各酵素を、直接、サツマイモに散布する方法が採用されてもよい。
また、工程5では、上述した酵素剤に加えて、キチンをサツマイモに処理する工程を含んでいてもよい。キチンは、サツマイモの生体防御反応を誘導するエリシターとして働く物質であり、サツマイモの防御関連遺伝子を活性化させ、モノテルペン類を含む芳香成分を増加させることができる。
キチンは、例えば、粉末状のものを水に分散させ処理液とする。処理液をサツマイモに散布して、表面の傷つけた部分に処理液を付着させる。また、キチン含有の処理液の散布量は、キチン粉末でサツマイモ重量に対して0.1%(w/w)以下とする。
工程5において、サツマイモに対して、酵素液を処理する際に、さらに追加的にキチン含有の処理液で処理することで、より一層、モノテルペン類を含む芳香成分を増加させることができる。この場合、キチン含有の処理液は、上述した酵素液に混合してもよいし、酵素液とは別に、キチン含有の処理液を準備して、酵素液と同様にサツマイモに散布してもよい。
工程6では、工程5で処理したサツマイモをエチレンガス雰囲気下に置く工程である。エチレンガスは、サツマイモの生体防御反応を誘導するエリシターとして働き、防御関連遺伝子を活性化させ、モノテルペンアルコール類を含む芳香成分を、より一層、増加させることができる。
工程6では、エチレンガス雰囲気下におけるエチレンガスの濃度は、300ppm以上であり、かつ、27,000ppm未満の範囲になることが好ましい。この範囲の濃度のエチレンガスであれば、サツマイモに作用する濃度として充分な濃度であると共に、安全性を担保することができる。
一方、エチレンガス雰囲気下において、エチレンガスの濃度が300ppm未満の場合には、サツマイモに作用する濃度として不充分になるおそれがある。また、エチレンガスの濃度が27,000ppm以上であれば、エチレンガスの燃焼または爆発範囲の濃度に達してしまい、使用に際して危険が伴うものとなってしまう。
工程7では、工程6でエチレンガス雰囲気下においたサツマイモに対して、工程5で処理した酵素剤の酵素反応を進ませる工程である。
工程7では、サツマイモを、温度25℃、湿度60%の環境下(エチレンガス雰囲気下)で、48時間静置する。この静置の間に、サツマイモに対して、酵素剤による酵素反応が進むものとなる。
また、工程7では、湿度が高いと、サツマイモが有する自己防衛機能によりコルク層が形成されるキュアリングが進み、サツマイモに対して酵素が作用しにくくなってしまう。また、湿度が低すぎると、サツマイモの表面の乾燥が進み、水分活性が低下するなどにより、酵素が作用しにくくなってしまう。そのため、サツマイモの自己防衛機能や散布した酵素の作用をバランス良く維持する湿度に設定されることが好ましい。また、その湿度の一例として、湿度50〜70%程度に設定されることが好ましい。
工程8では、サツマイモを、工程7で静置した後、大気環境下にて、温度25℃、湿度60%の環境下で120時間静置する。工程8により、工程5で処理した酵素による酵素反応を充分に進めさせる。なお、工程8の時間は特に限定されるものではない。また、工程8自体を省略することも可能である。
工程9では、工程8に続けて、大気環境下で、温度を15℃に下げて、168時間静置する。工程9により、低温環境下にサツマイモを置くことで、サツマイモにおける雑菌の繁殖を抑制して、後工程まで保管することが可能となる。なお、工程9の時間は特に限定されるものではなく、保管に要する時間に合わせて、適宜変更することができる。また、工程9自体を省略することも可能である。
工程10では、工程9までを経たサツマイモを入念に水洗いする。工程10で水洗いをして、その後の焼酎製造の二次原料に用いるサツマイモ原料が完成する。
工程11では、工程10で水洗いをしたサツマイモを蒸して、粉砕し、焼酎製造の二次原料とする。
以上までの工程が、本発明を適用した焼酎の製造方法の一例における原料の処理工程である。上述した工程3〜工程7を経ることで、サツマイモにおけるモノテルペン類を含む芳香成分が増加して、焼酎に華やかな香りを付与することができるサツマイモ原料を製造することができる。なお、この後、既知の焼酎の製造工程を経て、本発明の焼酎の一例である焼酎を製造することができる。
より詳細には、上述した工程1〜工程10を経たサツマイモ原料を二次原料として製造した焼酎では、アルコール度数25(%(v/v))に調整した場合、以下のような芳香成分が、特徴となる芳香成分として増加している。
この芳香成分として、桂皮酸エチル、ファルネソール、ローズオキサイト゛及びネロールオキサイト゛が含まれている。
また、この芳香成分として、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール及びリナロールが含まれている。
上述した芳香成分は、いずれも果実香、花香、柑橘香などの甘く、華やかな香りを焼酎に付与する成分である。また、これらの芳香成分は、充分な濃度が存在し、各成分が複合的に含まれることで、焼酎に、顕著で華やかな総合的芳香を持たせることができる。
また、既知の焼酎の製造工程により製造した焼酎につき、その焼酎を原酒として、他の焼酎と混合した混合物についても、本発明の焼酎に特徴的な華やかな香りを持たせることができる。
この他の焼酎との混合の一例を示す。例えば、上述した工程1〜工程10を経たサツマイモ原料を二次原料として製造した焼酎を原酒として、この原酒を50%以上配合し、これに、1種または2種類以上の他の焼酎を混ぜて合計100%にして、焼酎とすることができる。なお、混合は、純アルコール度数で比率を算出して、最終的に所望のアルコール度数となるように、各種を所定量混合する。
なお、上述した焼酎の混合する種類及び割合は一例に過ぎず、混合する焼酎の種類及び割合は、適宜設定変更することが可能である。
以上のとおり、本発明に係る焼酎の製造方法は、果実香、花香、柑橘香などの華やかな総合的芳香を有し、品質に優れた焼酎が得られる方法となっている。
以下、本発明の実施例を説明する。
本発明を適用した焼酎の製造方法の一例である焼酎の製造方法の実施例及び比較例で焼酎を製造して、以下の評価を行った。
(1)実施例及び比較例
サツマイモを上述した発明を実施する形態で述べた工程1〜工程10を有する原料の製造方法に基づき、二次原料となるサツマイモ原料を製造した。
まず、工程1〜工程10を有する原料の製造方法に関して、工程5において、酵素剤の種類として、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ、キチナーゼを全て含み、かつ、キチンでの処理を行わなかった方法で製造したサツマイモ原料を用いて、上述した焼酎の製造方法を経て製造した焼酎を実施例1とする。
また、工程1〜工程10を有する原料の製造方法に関して、工程1〜工程10を全て経た(工程5では、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ、キチナーゼを全て含み、かつ、キチンでの処理を行う)方法で製造したサツマイモ原料を用いて、上述した焼酎の製造方法を経て製造した焼酎を実施例2とする。
また、工程1〜工程10を有する原料の製造方法に関して、工程3及び工程4の表面処理、工程5の酵素処理、工程6及び工程7のエチレンガス雰囲気下での静置について、各工程を省略した方法で製造したサツマイモ原料を用いて、上述した焼酎の製造方法を経て製造した焼酎を比較例1とする。
また、比較例1の内容に、工程3及び工程4の表面処理の工程を追加した方法で製造したサツマイモ原料を用いて、上述した焼酎の製造方法を経て製造した焼酎を比較例2とする。
また、比較例2の内容に、工程5の酵素処理の工程(酵素はセルラーゼのみ)を追加した方法で製造したサツマイモ原料を用いて、上述した焼酎の製造方法を経て製造した焼酎を比較例3とする。
また、比較例3の内容に、工程5の酵素処理の工程(酵素はセルラーゼ及びβ-グルコシダーゼ)を追加した方法で製造したサツマイモ原料を用いて、上述した焼酎の製造方法を経て製造した焼酎を比較例4とする。
実施例1〜2及び比較例1〜4の概要を表1にまとめる。
(2)サツマイモ原料からの焼酎の製造方法
各サツマイモ原料につき、以下の条件で、焼酎製造を行った。
(条件)
・米麹:白麹製
・酵母:鹿児島2号酵母
・発酵温度:一次発酵は25℃〜28℃、二次仕込みは25℃〜33℃にて変動。
・発酵日数:一次発酵が6日間、二次発酵が9日間。
なお、必要に応じて、二次発酵時にもろみの粘性を下げるために、セルラーゼ酵素剤をサツマイモ重量に対して、最大で0.015%(w/w)添加した。
上述した条件で製造した後、もろみ温度を45℃に設定して、減圧蒸留を行った。
蒸留後、各試料をアルコール度数25(%(v/v))に調整して実施例及び比較例とした。
(3)焼酎のガスクロマトグラフィー質量(GC−MS)分析
実施例1〜2及び比較例1〜4について、以下の条件でガスクロマトグラフィー質量(GC−MS)分析を行い、特徴的な芳香成分を定量化した。
なお、表3には、実施例1〜2及び比較例1〜4の結果を示している。
(分析条件)
使用機器:アジレント・テクノロジー社 GC・MS:6890/5975
<GC部>
使用カラム:DB-WAX(J&W社製)、部品番号:122-7062、内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.25μm
カラム温度:50℃(5分間保持)〜240℃(最終5分間保持)、昇温速度3℃/min
キャリアガス制御:コンスタントフロー1.2ml/min、カラム設定注入圧137.4kPa
注入方法:ソルベントベント
注入量:1.00μl
<MS部>
イオン化法EI(電子イオン化)法(イオン化電圧70eV)
MSイオン源温度:230℃ 最大250℃
MS四重極温度:150℃ 最大200℃
なお、各成分の定量は、標品で検量線を作成して、この検量線を用いて算出することで行った。
実施例1〜2では、芳香成分として、桂皮酸エチル、ファルネソール、ローズオキサイト゛及びネロールオキサイト゛、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール及びリナロールが充分な量含まれていることが確認された。
(4)焼酎の官能評価
実施例1〜2及び比較例1〜4について、?酒師10名による香りの官能評価を行った。
(香り強度の評価)
・評価する香りの質は果実香、花香、柑橘香など総合的芳香とした。
・1〜10段階の評価とした。
・比較例1の評価を「1」と設定した。数値が高いほど、香りが強いことを示している。
なお、表4には、実施例1〜2及び比較例1〜4の結果を示している。
実施例1〜2では10を示す結果となり、果実香、花香、柑橘香等が顕著な総合的芳香を有することが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 原料となるサツマイモの表面に切れ込みを入れる表面処理工程と、
    該表面処理工程の後、サツマイモに酵素処理を行う酵素処理工程と、
    該酵素処理工程の後、サツマイモを、エチレンガス雰囲気下、かつ、所定の温度及び所定の湿度で一定時間静置するガス処理工程とを備える
    焼酎の製造方法
  2. 前記酵素処理工程では、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ及びキチナーゼの少なくともいずれか1種類の酵素剤を用いる
    請求項1に記載の焼酎の製造方法
  3. 前記酵素処理工程では、さらに、キチンを含む溶液でサツマイモを処理する
    請求項2に記載の焼酎の製造方法
  4. 前記表面処理工程は、
    サツマイモに、その茎側のへたと該茎側のへたと反対側のへたを結ぶ方向に沿った略V字状の第1の切れ込みを、サツマイモの周方向にかけて複数設ける工程と、
    前記第1の切れ込みの底部に沿って、線状の第2の切れ込みを設ける工程とを有する
    請求項1、請求項2または請求項3に記載の焼酎の製造方法
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の焼酎の製造方法で製造した焼酎を原酒として、1種類または2種類以上のその他の焼酎と混合する
    焼酎の製造方法
  6. 前記原酒の含有量が全量基準で50%以上である
    請求項5に記載の焼酎の製造方法
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