JP6662232B2 - 樹脂積層体、ディスプレー前面板、携帯型情報端末装置及び移動体用グレージング - Google Patents
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Description
上記のディスプレー前面板用途では、携帯型情報端末装置が他物体と衝突したときや、落下して衝撃にさらされたときのディスプレー前面板の破損を抑制するために、ディスプレー前面板には厚みが薄くても衝撃に強いことが必要とされ、樹脂板に耐衝撃性が要求されている。
また、最近では、ディスプレー前面板にタッチパネル方式が採用されつつあり、指の爪等による引掻き傷の発生を抑制するために、樹脂板に耐擦傷性が要求されている。
さらに、携帯電話等の用途では、ディスプレー前面板を曲面や複雑な形状に加工して用いる場合が増えつつあり、樹脂板には高い成形加工性(曲げ加工性)が要求されている。
また、上記の移動体用グレージング用途では、ガラス板の代替材料として、樹脂板に耐衝撃性や耐擦傷性が要求されている。
透明性に優れた樹脂板の材料として、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、MS樹脂等が知られている。そのなかでも(メタ)アクリル系樹脂は、透明性、耐熱性及び耐侯性に優れ、且つ、成形加工性、機械的強度等の樹脂物性においてバランスのとれた性能を有している。
しかし、一般に(メタ)アクリル系樹脂は耐衝撃性、耐擦傷性が十分でないので、ディスプレー前面板の用途に展開することを目的に、(メタ)アクリル系樹脂の高い成形加工性を維持しつつ、耐衝撃性、耐擦傷性を向上するための多くの提案がなされてきた。
特許文献2には、ゴム含有アクリル系多段階重合体を含んだアクリル系樹脂組成物からなる樹脂基材の表面に、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物を含む硬化性組成物を塗布した後、紫外線等の活性化エネルギー線を照射してハードコート被膜を形成した、耐擦傷性と耐衝撃性に優れた(メタ)アクリル系樹脂積層体が提案されている。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、耐衝撃性、耐擦傷性、成形加工性に優れた樹脂積層体を提供することにある。
[ここで、Wi(質量%)は前記硬化被膜(B1)中の、ラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート(i)それぞれの質量分率、Miはそれぞれの多官能(メタ)アクリレート(i)の平均分子量、Fiはそれぞれの多官能(メタ)アクリレート(i)のラジカル重合性官能基の数、kは選択される前記多官能(メタ)アクリレート(i)の総数で2以上の整数を表す。]
前記樹脂基材(A)は、耐衝撃向上剤(D)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり、且つ、前記耐衝撃向上剤(D)が多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又はアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類である樹脂積層体にある。
また、前記硬化被膜(B1)は、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)の平均分子量の数値を、該ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)のラジカル重合性官能基の数で除した値(平均分子量/官能基数)が180以上900以下とすることが好ましい。
また、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B1)の境界部には、前記樹脂基材(A)の成分と前記硬化被膜(B1)の成分とが互いに混合して形成された混合層(A−B1)を、厚み0.1μm以上3.0μm以下で形成することができる。
前記硬化被膜(B1)は、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位と前記多官能(メタ)アクリレート(B1−2)由来の繰り返し単位の含有量の合計が、該硬化被膜(B1)の総質量に対して92質量%以上100質量%以下を含有する樹脂組成物からなることが好ましい。
前記樹脂積層体は、前記樹脂基材(A)の他方片側の表面に、硬化被膜(B2)を備えた樹脂積層体とすることができる。前記硬化被膜(B2)は、ラジカル重合性官能基を2個以上5個以下有し、分子内にウレタン結合を有する、ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を、0.0質量%以上90質量%以下と、ラジカル重合性官能基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(B2−2)由来の繰り返し単位(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を除く)を10質量%以上60質量%以下と、ラジカル重合性官能基を3個以上6個以下有する多官能(メタ)アクリレート(B2−3)由来の繰り返し単位(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を除く)を0.0質量%以上80質量%以下を含有する樹脂組成物を含むことができる。
また、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B2)の境界部には、前記樹脂基材(A)の成分と前記硬化被膜(B2)の成分との混合層(A−B2)を、厚み0.1μm以上3.0μm以下で形成することができる。
本発明の第二の要旨は、前記樹脂積層体を含むディスプレー前面板にある。
本発明の第三の要旨は、前記ディスプレー前面板を含む携帯型情報端末装置にある。
本発明の樹脂積層体は、携帯電話、カーナビゲーション表示装置、携帯型ゲーム機器等の携帯型情報端末装置のディスプレー表面を保護するためのディスプレー前面板に好適である。
また、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
<樹脂積層体>
本発明の一実施形態である樹脂積層体は、後述するシート状の樹脂基材(A)の一方の面に、後述する硬化被膜(B1)を備えた樹脂積層体である。
本発明の樹脂積層体においては、前記硬化被膜(B1)と前記樹脂基材(A)の境界部に、硬化被膜(B1)の成分と樹脂基材(A)の成分とが互いに混合して形成された混合層(A−B1)を設けることができる。
本発明の樹脂積層体は、前記硬化被膜(B2)と前記樹脂基材(A)の境界部に、硬化被膜(B2)の成分と樹脂基材(A)の成分とが互いに混合して形成された混合層(A−B2)を設けることができる。
本発明の樹脂積層体においては、耐衝撃性、耐擦傷性、成形加工性の向上を両立するため、硬化被膜(B1)が、構成成分として後述する特定のウレタン系多官能(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位と、後述する二官能(メタ)アクリレート(B1−2)由来の繰り返し単位とを含有する樹脂組成物を含み、且つ、該硬化被膜(B1)の架橋密度を特定の範囲とする点に特徴がある。
すなわち、前記硬化被膜(B1)は、
・ラジカル重合性官能基を2個以上5個以下有し、分子内にウレタン結合を有するウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位と、
・ラジカル重合性官能基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(B1−2)由来の繰り返し単位(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B1−1)を除く)
を含有する樹脂組成物を含む硬化被膜である。
ここでいうラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよく、具体的には、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。特に(メタ)アクリロイル基は、ラジカル重合性官能基を有する化合物の貯蔵安定性が優れている観点や、当該化合物の重合性を制御することが容易である観点から好ましい。さらに、(メタ)アクリロイル基のなかでも、アクリロイル基は活性エネルギー線を照射したときの硬化速度が大きい観点から好ましい。なお、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」と「メタクリロイル」の一方あるいは両方を示す。なお、ラジカル重合性官能基を2個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一であっても異なっていてもよい。
[ここで、Wi(質量%)は前記硬化被膜(B1)中の、ラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート(i)それぞれの質量分率、Miはそれぞれの多官能(メタ)アクリレート(i)の平均分子量、Fiはそれぞれの多官能(メタ)アクリレート(i)のラジカル重合性官能基の数、kは選択される前記多官能(メタ)アクリレート(i)の総数で2以上の整数を表す。]
前記式(1)の指標値の下限は、170以上であれば、硬化被膜(B1)の架橋点間に十分な距離を確保することができるため、柔軟性も併せ持つことが可能となるので、樹脂積層体が曲面や複雑な形状に加工されるときに硬化被膜(B1)が樹脂基材(A)に追随して変形しやすくなる効果や、硬化性組成物を硬化して硬化被膜を形成する際の硬化収縮率が低下する効果が、ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)自体が有する性能と相まって、得られる樹脂積層体の耐衝撃性や成形加工性(耐クラック性)が良好となる観点から好ましく、180以上がより好ましく、190以上がさらに好ましい。また、指標値の上限については、650以下であれば、硬化被膜(B1)中の架橋点の数を一定量以上確保することが可能となるので、ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)自体が有する性能と相まって、硬化被膜の対擦傷性が良好となる観点から好ましく、550以下がより好ましく、450以下がさらに好ましく、350以下が特に好ましい。すなわち、成形加工性、耐衝撃性の向上を両立した樹脂積層体を得ることができる。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本発明の樹脂積層体においては、樹脂基材(A)の一方の面に上述した硬化被膜(B1)を備え、さらに他方片側の面に、硬化被膜(B2)を備えることにより、耐擦傷性をより優れたものとすることができる。
前記硬化被膜(B2)は、分子内にウレタン結合を有する、ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位と、ラジカル重合性官能基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(B2−2)由来の繰り返し単位(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を除く)と、ラジカル重合性官能基を3個以上6個以下有する多官能(メタ)アクリレート(B2−3)由来の繰り返し単位(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を除く)を含有する樹脂組成物を含むことができる。
ここでいうラジカル重合性官能基は、硬化被膜(B1)に使用されるラジカル重合性官能基と同じものを使用できる。
また、ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)、多官能(メタ)アクリレート(B2−2)、多官能(メタ)アクリレート(B2−3)は、それぞれ、硬化被膜(B1)に使用されるウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)、多官能(メタ)アクリレート(B1−2)、多官能(メタ)アクリレート(B1−3)と同じものを使用できる。
・前記(B2−1)由来の繰り返し単位 35質量%以上90質量%以下
・前記(B2−2)由来の繰り返し単位 10質量%以上65質量%以下
を含有する樹脂組成物を含む硬化被膜を挙げることができる。
前記(B1−1)由来の繰り返し単位と前記(B1−2)由来の繰り返し単位の含有量の合計の下限は、該硬化被膜(B2)の総質量に対して、92質量%以上であれば、樹脂積層体の耐擦傷性、耐衝撃性、成形加工性が両立できる観点から好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。含有量の合計の上限については特に制限はなく、100質量%であってもよいし、100質量%未満であっても良い。
・前記(B2−2)由来の繰り返し単位 10質量%以上40質量%以下
・前記(B2−3)由来の繰り返し単位 60質量%以上90質量%以下
を含有する樹脂組成物を含む硬化被膜を挙げることができる。
・前記(B2−1)由来の繰り返し単位 5質量%以上35質量%以下
・前記(B2−2)由来の繰り返し単位 50質量%以上70質量%以下
・前記(B2−3)由来の繰り返し単位 5質量%以上15質量%以下
を含有する樹脂組成物を含む硬化被膜を挙げることができる。
ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)は、硬化被膜(B1)の構成成分であり、ラジカル重合性官能基を2個以上5個以下有し、分子内にウレタン結合を有する単量体である。単量体が分子内に2個以上5個以下の(メタ)アクリロイル基を有することにより、得られる樹脂積層体の耐擦傷性が向上する効果が得られる。
具体的には、下記1)〜3)の単量体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(式中、Rは置換基を含んでも良い、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)
ポリイソシアネートに活性水素を有するアクリルモノマー上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]イソシアヌレート、ビス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]−2−エトキシプロピルイソシアヌレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル]イソシアヌレート及びこれらの混合物が挙げられる。
例えば、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]イソシアヌレート、ビス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]−2−エトキシプロピルイソシアヌレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル]イソシアヌレート及びこれらの混合物が挙げられる。
公知のウレタンポリアクリレートとは、分子内にアクリロイルオキシ基とヒドロキシ基とを有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(m1)と、分子内にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート(m2)との反応物である。
前記(メタ)アクリレート(m1)は、分子内にアクリロイルオキシ基とヒドロキシ基とを有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートであればよく、特に限定されるものではない。前記(m1)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、トリメチロールプロパンジアクリレート等が挙げられる。これらは、一種単独で、または二種以上を併用して用いることができる。
それらの中でも、得られる組成物の低粘度化の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記ジイソシアネート(m2)としては、分子内にイソシアネート基を2個有するジイソシアネートであればよく、特に限定されるものではない。前記(m2)の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物が挙げられる。
上記の中でも、得られる硬化物の耐黄変性と強靭性に優れることから、脂環式ジイソ
シアネート化合物がより好ましい。
多官能(メタ)アクリレート(B1−2)は、硬化被膜(B1)の構成成分であり、ラジカル重合性官能基を2個有する単量体である(但し、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)を除く)。
具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のなかでも、好ましくは、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、上記のなかから1種類の単量体を単独で又は2種以上の単量体を組み合わせて使用することができる。
<多官能(メタ)アクリレート(B1−3)>
多官能(メタ)アクリレート(B1−3)は、硬化被膜(B1)の構成成分であり、ラジカル重合性官能基を3個以上6個以下有する単量体(但し、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)と多官能(メタ)アクリレート(B1−2)を除く)であり、特に限定されるものではない。
硬化被膜の耐擦傷性を向上する観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記のなかから1種類の単量体を単独で又は2種以上の単量体を組み合わせて使用することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)は、硬化被膜(B2)の構成成分であり、ラジカル重合性官能基を2個以上5個以下有し、分子内にウレタン結合を有する単量体である。ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)は、硬化被膜(B1)の構成成分であるウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)と同じものを用いることができる。
多官能(メタ)アクリレート(B2−2)は、硬化被膜(B2)の構成成分であり、ラジカル重合性官能基を2個有する単量体である(但し、ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)を除く)。
多官能(メタ)アクリレート(B2−2)は、硬化被膜(B1)の構成成分である多官能(メタ)アクリレート(B1−2)と同じものを用いることができる。
多官能(メタ)アクリレート(B2−3)は、硬化被膜(B2)の構成成分であり、ラジカル重合性官能基を3個以上6個以下有する単量体である(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−1)を除く)。
多官能(メタ)アクリレート(B2−3)は、硬化被膜(B1)の構成成分である多官能(メタ)アクリレート(B1−3)と同じものを用いることができる。
本発明の樹脂積層体においては、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B1)の境界部に、樹脂基材(A)の成分と硬化被膜(B1)の成分が互いに混合して形成された混合層(A−B1)を設けることができる。さらに、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B2)の境界部に、樹脂基材(A)の成分と硬化被膜(B2)の成分が互いに混合して形成された混合層(A−B2)を設けることができる。
すなわち、本発明の樹脂積層体は、樹脂基材と硬化被膜の境界部に、樹脂基材の成分と硬化被膜の成分が互いに混合して形成された混合層を備え、該混合層に隣接して存在する2つの非混合層(樹脂基材の層と硬化被膜の層)を備えた3層構造の構成を含むことができる。
前記混合層においては、硬化被膜の成分の濃度が、樹脂基材側から硬化被膜側にかけて連続的に高くなる。硬化被膜の成分の濃度が連続的に高くなることは、樹脂積層体の切断面上において、屈折率の変化を測定することにより確認できる。具体的には、瞬間マルチ測光装置(大塚電子(株)製、製品名「MCPD3700])を用いて、反射スペクトルを測定して、屈折率の変化を測定することができる。
混合層の存在の有無を判断するには、後述する方法により、透過型電子顕微鏡を用いて、混合層と該混合層に隣接して存在する2つの非混合層(樹脂基材の層と硬化被膜の層)を区別して観察できる。また、同様にして混合層の厚みを測定することができる。
前記混合層(A−B2)の厚みは0.1μm以上3.0μm以下であることが好ましい。厚みの下限が0.1μm以上であれば樹脂積層体の耐衝撃性、成形加工性が良好となる観点から好ましく、厚みの上限が3.0μm以下であれば樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から好ましい。
混合層の厚みを制御する具体的な方法は後述する。
樹脂基材(A)は、後述する(メタ)アクリル重合体(P)及び後述する耐衝撃向上剤(D)を実質的に主成分として含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる。ここで、「実質的に主成分として含有する」とは、前記樹脂基材(A)の総重量を100質量%として、前記(メタ)アクリル重合体(P)と前記耐衝撃向上剤(D)を90質量%以上含有することをいう。
<(メタ)アクリル系樹脂組成物>
(メタ)アクリル系樹脂組成物の実施態様の一例として、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、前記耐衝撃向上剤(D)を2.0質量部以上50.0質量部以下含む樹脂組成物を挙げることができる。
(メタ)アクリル重合体100質量部に対する耐衝撃向上剤(D)の含有量の下限は2.0質量部以上であれば、樹脂積層体の耐衝撃性が良好となるので好ましく、5.0質量部以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル重合体100質量部に対する耐衝撃向上剤(D)の含有量の上限は50.0質量部以下であれば、樹脂積層体の難燃性及び耐候性は良好となるので好ましく、30.0質量部以下がより好ましく、20.0質量部以下がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(P)の実施態様の一例として、該(メタ)アクリル系重合体(P)の総質量に対し、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位100質量%の単独重合体、又はメタクリル酸メチル由来の繰り返し単位80質量%以上100質量%未満とメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0質量%を超えて20質量%以下を含む共重合体を挙げることができる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びそれらの誘導体、メタクリルアミド、アクリロニトリル等の窒素含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルアクリレート等のエポキシ基含有単量体並びにスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。
単量体(B)はラジカル重合性官能基を2個以上有する単量体であり、前記(メタ)アクリル重合体(P)の構成成分の一つである。前記(メタ)アクリル系重合体(P)が単量体(B)由来の構造単位を含むことで、樹脂積層体の耐擦傷性をより向上することができる。
前記ラジカル重合性官能基は、硬化被膜(B1)に記載したラジカル重合性官能基と同じものである。
単量体(B)としては、二官能(メタ)アクリレートが好ましい。例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(EDMA)、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDMA)、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
上述した単量体(B)のなかでも、EDMA及びNPGDMAは、原料の取り扱い性が優れることに加え、樹脂積層体の耐衝撃性と成形加工性をより優れたものとできる観点から好ましい。
前記(メタ)アクリル系重合体(P)に含まれる単量体(B)由来の繰り返し単位の含有量は特に限定されないが、樹脂積層体の耐衝撃性と成形加工性が良好となることから、前記(メタ)アクリル系重合体(P)の総質量に対して、0.05質量%以上0.40質量%以下が好ましく、0.12質量%以上0.36質量%以下がより好ましい。
本発明では、樹脂積層体の耐衝撃性を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂組成物が耐衝撃向上剤(D)として、後述する多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又は後述するアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の化合物を構成成分の一つとして含むことが好ましい。
本発明に用いる前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、少なくとも一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層からなるエラストマー粒子(d1−1)を含むアクリル系共重合体粒子である。架橋構造を有するゴム状共重合体層を有するものであれば、多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)の各層の組成、粒径は限定を受けない。
さらに、前記エラストマー粒子(d1−1)の内側に、架橋構造を有する硬質樹脂層(d1−3)が形成された多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−2)を挙げることができる。
また、前記硬質樹脂層(d1−2)の内側、且つ、前記硬質樹脂層(d1−2)の外側に、さらに硬質樹脂層(d1−4)が形成された多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−3)を挙げることができる。
前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−1)としては、架橋構造を有するゴム状共重合体からなるエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂成分をグラフト重合して、硬質樹脂層(d1−2)を形成した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−1)を用いることができる。
前記エラストマー粒子(d1−1)を構成するゴム状共重合体としては、アクリル酸アルキルエステル由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を挙げることができる。
具体的には、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位70〜90質量%、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位10〜30質量%、及びその他の共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0〜20質量%を含む(共)重合体である。
前記のアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は単独又は2種以上用いて使用される。
前記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの単量体は単独又は2種以上用いて使用される。
前記のその他の共重合可能な単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。また、下記の多官能単量体を含むこともできる。
前記多官能単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の架橋剤やトリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の架橋剤が挙げられる。これらの単量体は単独又は2種以上用いて使用される。
前記エラストマー粒子(d1−1)の質量平均粒子径は、特に制限されるものではないが、一般的には100〜300nmである。
前記硬質樹脂層(d1−2)を形成する硬質樹脂成分は、メタクリル酸エステル由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を含むことができる。
具体的には、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位50質量%以上100質量%以下、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位0質量%以上50質量%以下、及びその他の共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0質量%以上20質量%以下を含む(共)重合体である。
前記アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等のメタクリルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリルエステル類等が挙げられる。これらの単量体は単独又は2種以上用いて使用される。
前記アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位0〜50質量%としては、先に挙げた架橋構造を有するゴム状共重合体を含むエラストマー粒子(d1−1)用いる例と同様のものを使用できる。
その他の共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等の非アルキルメタクリレート、及びそれらに対応した非アルキルアクリレート等が挙げられる。また、上述した多官能単量体を含むこともできる。
本発明に用いる前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、前記エラストマー粒子(d1−1)の内側に、架橋構造を有する硬質樹脂層(d1−3)を形成した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−2)を用いることができる。
前記硬質樹脂層(d1−3)を形成する硬質樹脂成分としては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を挙げることができる。
硬質樹脂層(d1−3)を形成する硬質樹脂成分としては、前記硬質樹脂層(d1−2)と同一の樹脂成分であっても異なる樹脂成分であってもよい。
具体的には、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位40質量%以上100質量%以下、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位0質量%以上60質量%以下、及びその他の共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0〜20質量%及び多官能単量体由来の繰り返し単位0.1質量%以上10質量%以下を含む(共)重合体を挙げることができる。組成を上述の各範囲内にすることにより、優れた落球・落錘衝撃強度、耐衝撃白化性、透明性が得られる。
この架橋構造を有する硬質樹脂層(d1−3)に用いられる、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、その他の共重合可能な単量体及び多官能単量体は、先に挙げた硬質樹脂層(d1−2)と同様なものを用いることができる。
本発明に用いる前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、上述した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−1)又は(D1−2)の硬質樹脂層(d1−2)の外側に、さらに硬質樹脂層(d1−4)を形成した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−3)を用いることができる。
前記硬質樹脂層(d1−4)を形成する硬質樹脂成分としては、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を挙げることができる。
具体的には、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位50〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位0〜50質量%、及び、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位0〜20質量%を含む(共)重合体であって、且つ、硬質樹脂層(d1−4)のガラス転移温度(以下「Tg」と略す。)が、20〜80℃であり、前記硬質樹脂層(d1−2)のTgより低い、(共)重合体である。なお、上述した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、公知の方法により製造できる。
上記以外の多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)としては、例えば、三菱レイヨン(株)製のW−341、(株)カネカ製のM−210等の市販品を入手することができる。
前記(メタ)アクリル系樹脂組成物中の多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)の含有量の下限は、樹脂積層体の耐衝撃性が向上する観点から、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して2.0質量部以上が好ましく、5.0質量部以上がより好ましい。多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)の含有量の上限は、樹脂積層体の難燃性及び耐候性を良好に維持する観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
本発明に用いる前記アクリル系ブロック共重合体(D2)は、メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)とを有するアクリル系ブロック共重合体からなる。具体的には、メタクリル酸エステル重合体ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合体ブロック(d2−1)40質量%以上90質量%以下とを有するアクリル系ブロック共重合体を挙げることができる。
さらに、前記アクリル酸エステル重合体ブロック(d2−2)がアクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸芳香族エステルとからなる場合、前記アクリル酸エステル重合体ブロック(d2−2)はアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位50〜90質量%と(メタ)アクリル酸芳香族エステルに由来する構造単位50〜10質量%とを含むことが好ましい。
上記以外のアクリル系ブロック共重合体(D2)として、例えば、クラレ(株)製の「クラリティ」等の市販品を入手することができる
<その他の添加剤>
樹脂基材(A)、硬化被膜(B1)及び硬化被膜(B2)には、目的に応じて種々の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、従来公知のものを適宜用いることもでき、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等を挙げることができる。添加剤の添加量は、ハードコート被膜の良好な物性が得られる範囲で適宜選択でき、例えば硬化性組成物の総質量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
本発明の樹脂積層体の製造方法としては、例えば、下記(1)〜(4)の処理を含む製造方法が挙げられる。
(1)後述する硬化性組成物(b1)を1つの型の表面に塗布した後に、酸素雰囲気に露出された前記硬化性組成物(b1)に、活性エネルギー線を照射して硬化処理して、硬化被膜とし、前記型の表面に硬化被膜が積層された積層鋳型(1)を形成する。
(2)次いで、前記積層鋳型(X1)を配置し、次いで該積層鋳型(X1)と対向するように、もう1つの型(X2)を配置し、前記積層型(X1)と前記型(X2)の間に形成された空間部の周縁部に、樹脂製のガスケットを設けてシールすることにより、内側に一定の容積を有する積層鋳型(X3)を作製する。
(3)得られた積層鋳型(X3)内に、樹脂基材(A)を形成するための後述する樹脂基材形成用組成物を注入して注型重合を行い、前記硬化被膜の表面に樹脂基材(A)の層が積層された樹脂積層体を形成する。
(4)次いで、工程(3)の樹脂積層体を型から剥離して、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B1)が積層された樹脂積層体を得る。
なお、本明細書及び請求の範囲において、「注型重合」とは、例えば、所定間隔で対向配置された2つの型を対向させた鋳型とその周縁部に配置された封止材料とによって形成された積層鋳型を用い、積層鋳型内に樹脂基材形成用組成物を注入して重合させる方法を意味する。
樹脂基材形成用組成物の注型重合法としては、例えば、樹脂基材形成用組成物を積層鋳型内に注入した後に加熱する、セルキャスト法が挙げられる。
樹脂基材形成用組成物の注型重合法としては、上記の方法以外に、連続注型重合法も好適な方法として挙げられる。連続注型重合法とは、同一方向に同一速度で走行する、対向させたステンレス製エンドレスベルトの表面に硬化被膜が積層された積層ステンレス製エンドレスベルトと、他のステンレス製エンドレスベルトと、これらのステンレス製エンドレスベルトの両側端部を上記のガスケットと同様のガスケットでシールした空間部に、上流から連続的に樹脂基材形成用組成物を注入して、所定の温度・時間で加熱することによって連続的に重合させる重合法である。
前記型の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ガラス及び樹脂等が挙げられる。また、前記鋳型は、同材質の2つの型を対向させた鋳型でも、異なる材質の2つの型を対向させた鋳型でもよい。
活性エネルギー線としては、前述の活性エネルギー線と同様のエネルギー線を用いることができ、活性エネルギー線を用いた硬化方法としては、前述と同様の方法で硬化することができる。活性エネルギー線の積算光量の下限は特に制限されるものではないが、200mJ/cm2以上であれば耐擦傷性及び表面硬度が良好となることから好ましく、400mJ/cm2以上がより好ましい。活性エネルギー線の積算光量の上限は特に制限されるものではないが、1500mJ/cm2以下であれば、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層が得られることから好ましく、1200mJ/cm2以下がより好ましい。
さらに、前記工程(1)の硬化処理は、前記硬化性組成物が酸素雰囲気に露出された状態で、活性エネルギー線を照射することが好ましい。前記硬化性組成物に酸素雰囲気下で活性エネルギー線を照射することにより、硬化の際に酸素による硬化阻害を受けやすくなるので、最終的に得られた樹脂積層体において、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と前記樹脂基材の成分とが互いに混合して形成された混合層が形成されるので、樹脂積層体の耐衝撃性、耐擦傷性、成形加工性を向上することができる。ここで酸素雰囲気下とは、酸素を含む気体存在下であれば特に制限はなく、経済性及び安全性を考慮すると、空気が特に優れている。
本発明の樹脂積層体の製造方法においては、硬化被膜(B1)と硬化被膜(B2)の膜厚は特に制限されるものではないが、膜厚の下限は、得られた樹脂積層体の耐擦傷性及び表面硬度が良好となる観点から5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。一方、膜厚の上限は、得られた樹脂積層体の取り扱い時に硬化被膜にクラックが発生するのを抑制でき、加工性が良好となる観点から40μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましく、35μm以下がさらに好ましい。
さらに、本発明の樹脂積層体の製造方法においては、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B1)との間に混合層(A−B1)を形成することができる。また、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B2)との間に混合層(A−B2)を形成することができる。
混合層(A−B1)及び混合層(A−B2)の膜厚は、特に制限されるものではなく、独立に設定することができる。前記混合層の膜厚の下限は、得られた樹脂積層体の耐クラック性や密着性が良好となる観点から0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。一方、前記混合層の膜厚の上限は、得られた樹脂積層体の硬度及び耐擦傷性が良好となる観点から3.0μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2.0μm以下がさらに好ましい。混合層(A−B1)及び混合層(A−B2)の膜厚は、硬化性組成物の組成や活性エネルギー線の積算光量を適宜選択することにより、所望の値に制御することができる。
<樹脂基材形成用組成物>
前記樹脂基材(A)の原料を樹脂基材形成用組成物という。樹脂基材形成用組成物としては、(メタ)アクリル樹脂の総質量に対して、メチルメタクリレート100質量%、又はメチルメタクリレート80質量%以上100質量%未満及びメチルメタクリレートと共重合可能な単量体0.0質量%を超えて20質量%以下を含有し、前記メチルメタクリレートと上述したメチルメタクリレートと共重合可能な単量体との合計量が100質量%を超えない、ラジカル重合性単量体を含む混合物のことをいう。
前記樹脂基材形成用組成物は、上述したラジカル重合性単量体を含む混合物の一部を重合させた部分重合体と、残りのラジカル重合性単量体の混合物であるシラップを使用することもできる。また、必要に応じて、樹脂基材形成用組成物として、上述したメチルメタクリレートを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物に、樹脂基材の原料として(メタ)アクリル系重合体を溶解させたタイプのシラップを使用することもできる。
上記のシラップ中の前記部分重合体又は前記樹脂基材形成用組成物としての(メタ)アクリル系重合体の分子量は特に制限されるものではなく、質量平均分子量5万以上30万以下とすることができる。また、シラップ中の部分重合体又は(メタ)アクリル樹脂と、ラジカル重合性単量体との混合割合は、質量比で2:98〜50:50とすることができる。
樹脂基材形成用組成物には開始剤を添加することができる。開始剤としては、例えば、後述する重合開始剤(D)における熱重合開始剤が挙げられる。開始剤の添加量は、特に制限されるものではないが、樹脂基材形成用組成物中の単量体の総質量100質量部に対して、0.005〜5質量部とすることができる。
樹脂基材形成用組成物には、必要に応じて、着色剤、離型剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、耐衝撃改質剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、連鎖移動剤等の各種添加剤を添加することができる。
<硬化性組成物(b1)>
硬化性組成物(b1)は硬化被膜(B1)の原料であり、その一実施形態としては、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)を40.0質量%以上90.0質量%以下、前記多官能(メタ)アクリレート(B1−2)を10.0質量%以上60.0質量%以下を含む硬化性組成物を挙げることができる。
前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)と前記多官能(メタ)アクリレート(B1−2)の含有量の合計が、硬化性組成物(b1)の総質量に対して92質量%以上100質量%以下とすることができる。
硬化性組成物(b1)には開始剤を添加することができる。開始剤としては、例えば、後述する重合開始剤(D)における光重合開始剤が挙げられる。重合開始剤(D)の添加量は、特に制限されるものではないが、硬化性組成物(b1)中の単量体の総質量100質量部に対して、0.005〜5質量部とすることができる。
<硬化性組成物(b2)>
硬化性組成物(b2)は硬化被膜(B2)の原料であり、その一実施形態としては、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)を0.0質量%以上90質量%以下と、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−2)を10質量%以上60質量%以下と、前記多官能(メタ)アクリレート(B2−3)を0.0質量%以上80質量%以下を含む硬化性組成物を挙げることができる。
硬化性組成物(b2)には開始剤を添加することができる。開始剤としては、例えば、後述する重合開始剤(D)における光重合開始剤が挙げられる。重合開始剤(D)の添加量は、特に制限されるものではないが、硬化性組成物(b2)中の単量体の総質量100質量部に対して、0.005〜5質量部とすることができる。
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、硬化性組成物を硬化させるための成分である。重合開始剤(D)としては、例えば熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
硬化性組成物中の重合開始剤(D)の含有量は、特に限定されるものではないが、該硬化性組成物の総重量を100質量%として、0.1〜10質量%とすることができる。重合開始剤(D)の含有量の下限が0.1質量%以上であれば、生産性が向上する傾向がある。また、重合開始剤(D)の含有量の上限が10質量%以下であれば、硬化被膜の着色を抑制することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;及び上記過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミン類を組み合わせたレドックス重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、以下を挙げることができる。
D−1)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン等のチオキサントン類;
D−2)ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;
D−3)ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;
D−4)2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;
D−5)メチルベンゾイルホルメート;
D−6)1,7−ビスアクリジニルヘプタン;
D−7)9−フェニルアクリジンが挙げられる。
上記のなかでも、好ましくは、ベンゾインエチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが挙げられる。
重合開始剤(D)としては、これら1種の化合物を単独で又は2種以上の化合物を組み合わせて使用することができる。
樹脂積層体の耐衝撃性は、一般には耐擦傷性の向上に伴い低下する傾向にある。また、樹脂積層体の成形加工性は、一般には耐衝撃性又は耐擦傷性の向上に伴い低下する傾向にある。すなわち、本発明の樹脂積層体は、相反する特性である耐衝撃性、耐擦傷性及び成形加工性を両立させているという顕著な特性を有した樹脂積層体である。
前記樹脂積層体の形状としては、例えば、シート状の積層体(樹脂板)が挙げられる。積層体の厚みは、特に制限されるものではないが、一般的には0.2mm以上30mm以下であればよく、0.5mm以上10mm以下が好ましい。上述したキャスト法を用いる場合、ガスケットの太さ(直径)を適宜調して、所望の厚みの樹脂板を得ることができる。
本発明の一実施形態であるディスプレー前面板は、前述した本発明の実施形態であるいずれかの樹脂積層体をそのままディスプレー前面板として使用することができる。
本発明の一実施形態である携帯型情報端末装置は、前述した本発明の実施形態であるディスプレー前面板を、携帯電話、カーナビゲーション表示装置、携帯型ゲーム機器等の携帯型情報端末装置のディスプレー表面を保護するためのディスプレー前面板として使用することができる。
本発明の一実施形態である移動体用グレージングは、前述した本発明の実施形態であるいずれかの樹脂積層体をそのまま移動体用グレージングとして使用することができる。
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n−ブチル
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
ゴムA:多重構造アクリル系共重合体粒子(製造例1)
ブロックポリマーB:市販のアクリル系ブロック共重合体(商品名:クラリティ、クラレ株式会社製)
UN2301:(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタン系(メタ)アクリレート(根上工業株式会社製、商品名:アートレジンUN2301、平均分子量500、官能基数=2、平均分子量/官能基数=250)
UV−7550B:(メタ)アクリロイル基を3個有するウレタン系(メタ)アクリレート(日本合成化学株式会社製、商品名:紫光UV−7550B、平均分子量2400、官能基数=3、平均分子量/官能基数=800)
UV−7650B:(メタ)アクリロイル基を4個又は5個有するウレタン系(メタ)アクリレートの混合物(日本合成化学株式会社製、商品名:紫光UV−7650B、平均分子量2300、官能基数=3、平均分子量/官能基数=511(平均値))
U−2PPA:ウレタン系(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKオリゴ U−2PPA、官能基数=2、分子量=500、平均分子量/官能基数=250)
UA−122P:ウレタン系(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKオリゴ U−2PPA、官能基数=2、分子量=1100、平均分子量/官能基数=550)
U6HA:ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体からなるトリイソシアネート1モルに対し3モルの3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを反応して得られるウレタン化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルU−6HA、官能基数=6、分子量=1019、平均分子量/官能基数=170)
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名:C6DA)
ポリアクリレート1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(官能基数=5、分子量=525)30〜40質量%とジペンタエリスリトールペンタアクリレート(官能基数=6、分子量=578)60〜70質量%の混合物(平均分子量/官能基数=99(平均値))
ポリアクリレート2:ペンタエリスリトールトリアクリレート(官能基数=3、分子量=298)50〜70質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート(官能基数=4、分子量=352)30〜50質量%の混合物(平均分子量/官能基数=95(平均値))
Darocure1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
IRGACURE819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、商品名)
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)混合層の厚み
樹脂積層体を、主表面に対して垂直方向に切断した。次いで樹脂積層体の切断面について、ミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出した。次に、透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子(株)製、型式:JEM―10111、加速電圧100V、倍率10000倍)を用いて、前記小片の切り出した断面を観察してTEM観察像を取得した。得られたTEM観察像において樹脂基材の層と硬化被膜の層の中間にもう一つの層が観察されたとき、即ち3層構造が観察された領域において、順に樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層として、該混合層の膜厚(単位:μm)を測定した。混合層が観察されなかったときは「N.D.」とした。
(2)シャルピー衝撃強度
JIS K7111−1/fUに準じ、樹脂積層体の試験片について、ノッチなしシャルピー衝撃強度を測定した。
(3)落球衝撃試験
樹脂積層体の落球衝撃試験を、下記の方法に従って実施した。
樹脂積層体の試験片(長さ300mm×幅300mm)を、温度23±2℃ 、湿度50±5%の条件で48時間静置した。次いで、中央部に正方形状の穴(260mm×260mm)が開いた金属枠(枠幅15mm)の上に、上記試験片を、硬化被膜(B1)の面が上側となるように設置し、その試験片の上から、中央部に正方形状の穴(260mm×260mm)が開いた金属枠(枠幅15mm、重さ3kg)を、上下の金属枠の正方形状の穴が一致するように載せた。次いで、前記試験片の硬化被膜(B1)の表面から鉛直方向に200cmの位置から鉄球(重さ227g、直径38mm)を前記試験片の表面の中央に落下した。目視にて試験片の割れの発生の有無を観察して、以下の基準に基づいて合否判定を行った。
○:試験片10個について、割れが観察された試験片が2個以下。
×:試験片10個について、割れが観察された試験片が3個以上。
(4)鉛筆硬度
JIS K5400に準拠して、樹脂積層体の硬化被膜(B1)の表面の鉛筆硬度を測定した。
(5)テーバー摩耗試験
樹脂積層体の硬化被膜(B1)の表面の耐擦傷性を、後述する方法にしたがって、摩耗処理の前後におけるヘイズ値の変化量を測定することにより評価した。
ASTM D−1044に準拠し、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数500サイクルの条件下で、樹脂積層体の試験片の摩耗処理を行なった後、該試験片を中性洗剤を用いて洗浄し、ヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定は、ヘイズ分析計(日本電色工業(株)製、製品名:HAZE METER NDH4000)を用いて、JIS K7136に示される測定法に準拠して、摩耗処理前と摩耗処理後の樹脂積層体の試験片のヘイズ値を測定した。下記式からヘイズ値の変化量(ΔHAZE:単位%)を算出して、耐擦傷性の指標とした。ΔHAZEが10以下のときを合格、10を超えたときを不合格とした。
[ヘイズ値の変化量(△HAZE)(%)]=[摩耗処理後のヘイズ値(%)]−[摩耗処理前のヘイズ値(%)]
(6)成形加工性(耐クラック性)
樹脂積層体の成形加工性は、以下に示す方法で、樹脂積層体を半球形の曲げ治具の表面に沿って曲げて、クラックが発生を観察することにより評価した。
樹脂積層体を切断して、短冊状サンプル(長さ120mm×幅30mm×厚み1mm)を15枚を切り出し後に、端面鏡面研磨機で切断面を研磨し、これを試験片とした。
次いで、前記試験片を、140℃の加熱炉中で15分間保持して加熱処理した後、加熱炉から取り出し、速やかに、前記試験片の硬化被膜(B1)の面が前記曲げ治具の表面と反対側になるように、前記曲げ治具の上に乗せた。次いで、前記試験片を、曲げ治具の表面に密着させながら曲げ、5秒間保持した。5秒間保持した後の試験片を取り出して切断面を顕微鏡で観察して、クラックが全く観察されない場合を合格、クラックが1本以上観察された場合を不合格とした。
4種類の曲率半径の曲げ治具(断面の曲率半径Rが75mm、100mm、150mm及び200mm)について、それぞれ3サンプルを用いて測定を行なった。3サンプルのうち2つのサンプルが合格となる曲げ治具の、最も小さい曲率半径の値を成形Rとして記録した。成形Rが75mm又は100mmのときを合格、150mm又は200mmのときを不合格とした。
〔製造例1〕多重構造アクリル系共重合体粒子(ゴムA)の製造
1.混合物(a−1)の調整
MMA35部、BA5部、BDMA1部、AMA0.15部、DBP0.08部、乳化剤(1)1.4部を混合して混合物(a−1)を得た。
2.混合物(a−2)の調整
SFS0.2部、脱イオン水5部を混合して混合物(a−2)を得た。
3.混合物(a−3)の調整
ST10部、BA50部、BDMA0.2部、AMA1.2部、CHP0.2
部、乳化剤(1)2.0部を混合して混合物(a−3)を得た。
4.混合物(a−4)の調整
SFS0.2部、脱イオン水5部を混合して混合物(a−4)を得た。
5.混合物(a−5)の調整
MMA57.0部、BA3.0部、DBP0.1部、n−OM0.2部を混合して混合物(a−5)を得た。
6.多重構造アクリル系共重合体粒子の製造
還流冷却器付き反応容器に、イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほう酸0.9部を加え、撹拌しながら80℃に昇温した後、前記混合物(a−1)42.63部の内2.6部を添加して15分保持し、その後残りの前記混合物(a−1)を5.5部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行った。
次いで、前記混合物(a−2)を5.2部加え、15分保持した後、前記混合物(a−3)63.6部を5.1部/時間の速度で連続的に添加し、その後2.5時間保持して中間層の重合を行った。
次いで、前記混合物(a−4)を5.2部加え、15分保持した後、前記混合物(a−5)60.3部を0.6部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最外層の重合を行い、多重構造アクリル系共重合体ラテックスを得た。
次いで、このラテックスを酢酸カルシウム水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多重構造アクリル系共重合体の粒子(ゴムA)を得た。
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)にMMA95質量部、BA5質量部からなる混合物を供給し、窒素ガスでバブリングしながら、15分間撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、ラジカル重合開始剤として2,2‘−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を添加し、さらに前記単量体組成物を100℃になるまで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。次いで、反応器の内温が室温になるまで冷却してシラップ(a)を得た。シラップ(a)中の(メタ)アクリル重合体(P1)の含有量は27質量%であった。
上記のシラップ(a)100質量部に、単量体(B)としてEDMA0.15質量部及び耐衝撃向上剤(D)として、製造例1で得たゴムAを7.5質量部添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させた。その後、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを樹脂基材形成用組成物(A1)とした。
上記のシラップ(a)100質量部に、単量体(B)としてEDMA0.15質量部及び耐衝撃向上剤(D)としてブロックポリマーBを7.5質量部添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させた。その後、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを樹脂基材形成用組成物(A2)とした。
上記のシラップ(a)100質量部に、単量体(B)としてEDMA0.15質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させた。その後、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを樹脂基材形成用組成物(A3)とした。
(1)硬化性組成物(b1)の製造
UN2301を50質量部、C6DAを50質量部及びDarocure1173を3質量部、IRGACURE819を0.15質量部を混合し、硬化性組成物(b1)を得た。
(2)注型重合
次いで、板表面を鏡面仕上げしたSUS板を鋳型として、バーコーターを用いて、前記硬化性組成物(b1)を、最終的に得られる硬化被膜(B1)の膜厚が15μmとなるようにこの鋳型の表面上に塗布して、硬化性組成物(b1)の層を設けた。
次いで、前記鋳型を、硬化性組成物(b1)の層が上側になるようにして、メタルハライドランプの下方を通過させながら、メタルハライドランプの光(出力120W/cm2)を空気中で硬化性組成物(b1)に照射して、硬化性組成物(b1)を硬化させて硬化被膜とした。前記鋳型(SUS板)の表面に硬化被膜が積層された積層型(1A)を得た。得られた積層型(1A)と、硬化被膜を形成していないSUS板とを、積層型(1A)の硬化被膜が内側になるように対向させて、これら2枚のSUS板の周縁部を樹脂製ガスケットで封じて、積層鋳型(1B)を作製した。
次いで、製造例3の樹脂基材形成用組成物(A1)を、減圧下において溶存空気を除去した後、前記の積層鋳型(1B)内に注入し、樹脂製ガスケットで完全に封止した。次に、前記積層鋳型(1B)を80℃の水浴中で1時間、次いで130℃の空気炉中で1時間加熱して、前記樹脂基材形成用組成物(A1)を重合して、樹脂基材の層を形成した。次に、前記積層鋳型(1B)を室温まで冷却した後、前記積層鋳型(1B)から両側2枚のSUS板を剥離して、樹脂基材の層の片側一方の面に硬化被膜(B1)を有する厚さ1.0mmの樹脂積層体を得た。
すなわち、鋳型(SUS板)の表面に塗布され、酸素雰囲気に曝された状態の硬化性組成物(b1)に、メタルハライドランプの光を照射して硬化した後、前記硬化性組成物(b1)の硬化被膜の表面に、樹脂基材形成用組成物の層を設けて、重合した(塗工方法:P1)。
得られた樹脂積層体について、前述の評価方法にて、混合層の膜厚、耐擦傷性、鉛筆硬度、耐衝撃性、及び成形加工性を評価した。評価結果を表1に示す。
樹脂積層体の硬化被膜(B1)の耐擦傷性(テーバー摩耗試験のΔHAZE)は7%、鉛筆硬度は3Hであり、耐擦傷性や表面硬度に優れていた。また、シャルピー衝撃強さは40kJ/m2、樹脂積層の落下衝撃強度は合格、成形加工性は合格と良好であった。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
注型重合のときに、SUS板を、硬化被膜を形成せずに、そのまま積層鋳型(1B)として用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ1.0mmのメタクリル樹脂板を得た。得られた樹脂板の評価結果を表1に示す。
[比較例2、3]
硬化性組成物(b1)の組成を表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例1で製造したメタクリル樹脂板の一方の面に、実施例1と同様の方法で得た硬化性組成物(b1)を塗布した。
次いで、市販のPETフィルムを、前記樹脂板の硬化性組成物(b1)の塗布面に接触するように貼り合わせた後、プレスロールによりプレスし、最終的に得られる硬化被膜の膜厚が15μmになるように、前記硬化性組成物(b1)の膜厚を調整した。
このメタクリル樹脂板、硬化性組成物(b1)の層及びPETフィルムが順次積層された積層物を、メタルハライドランプの下方を通過させながら、メタルハライドランプの光(出力120W/cm2)を、前記PETフィルムを介して硬化性組成物(b1)に照射して、硬化処理することにより、メタクリル樹脂板、硬化被膜(B1)及びPETフィルムが順次積層された硬化積層物を得た。
すなわち、メタクリル樹脂板の一方の面に塗布され、酸素雰囲気に曝されていない状態の硬化性組成物(b1)に、メタルハライドランプの光を照射して、硬化した(塗工方法:P2)。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、メタクリル樹脂板の一方の面に硬化被膜(B1)が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例5]
注型重合のときに、製造例5の樹脂基材形成用組成物(A3)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得た。樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
UN2301を50質量部、C6DAを50質量部及びDarocure1173を3質量部、IRGACURE819を0.15質量部を混合し、硬化性組成物(b2)を得た。
次いで、実際例1と同様にして、板表面を鏡面仕上げした1枚のSUS板を鋳型として、硬化性組成物(b2)の層を設けた後に、メタルハライドランプ(出力120W/cm2)を用いて硬化性組成物(b2)を硬化させて、SUS板の表面に膜厚15μmの硬化被膜が積層された積層型(1A‘)を得た。得られた積層型(1A‘)と、実施例1の方法で得られた積層型(1A)とを、積層型(1A)の硬化被膜と積層型(1A‘)の硬化被膜が内側になるように対向させて、これら2枚のSUS板の周縁部を樹脂製ガスケットで封じて、積層鋳型(1B)を作製した。それ以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例6]
比較例4で製造した樹脂積層体の、硬化被膜が形成されていない面に、表1に記載した組成の硬化性組成物(b2)を塗布した。
次いで、市販のPETフィルムを、前記樹脂板の硬化性組成物(b2)の塗布面に接触するように貼り合わせた後、プレスロールによりプレスし、最終的に得られる硬化被膜の膜厚が15μmになるように、前記硬化性組成物(b2)の膜厚を調整した。
この樹脂積層体、硬化性組成物(b2)の層及びPETフィルムが順次積層された積層物を、メタルハライドランプの下方を一定の速度で通過させながら、メタルハライドランプの光(出力120W/cm2)を、前記PETフィルムを介して硬化性組成物(b2)に照射して、硬化処理することにより、メタクリル樹脂板の一方の面に硬化被膜(B2)及びPETフィルムが順次積層され、他方片側の面に及び硬化被膜(B1)が積層された硬化積層物を得た。
すなわち、酸素雰囲気に曝されていない状態の硬化性組成物(b2)に、メタルハライドランプの光を照射して、硬化した(塗工方法:P2)。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、メタクリル樹脂板の一方の面に硬化被膜(B2)が積層され、他方片側の面に及び硬化被膜(B1)が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例7]
注型重合のときに、製造例5の樹脂基材形成用組成物(A3)を用いた以外は実施例2と同様にして樹脂積層体を得た。樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
注型重合のときに、製造例4の樹脂基材形成用組成物(A2)を用いた以外は実施例2と同様にして樹脂板を得た。樹脂板の評価結果を表1に示す。
[比較例8]
注型重合のときに、製造例4の樹脂基材形成用組成物(A2)を用いた以外は比較例1と同様にして樹脂積層体を得た。樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[実施例4〜10、比較例9〜12]
硬化性組成物(b1)、硬化性組成物(b2)の組成を表1に示すとおりとした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を製造した。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。なお、比較例10においては、硬化性組成物(b1)及び硬化性組成物(b2)を安定に塗布することができず、樹脂積層体を得ることができなかった。
比較例2、3の樹脂積層形体は、実施例1と比較すると、硬化被膜の架橋密度が高いため、成形加工性が不十分であった。
比較例4の樹脂積層形体は、実施例1と比較すると、混合層を有していないため、表面硬度、成形加工性が不十分であった。
比較例5の樹脂積層形体は、樹脂基材が耐衝撃向上剤(D)を含有していないため、実施例1と比較すると、耐衝撃性が不十分であった。
比較例6の樹脂積層形体は、実施例2と比較すると、混合層を有していないため、耐衝撃性、表面硬度、成形加工性が不十分であった。
比較例7の樹脂積層形体は、実施例2と比較すると、樹脂基材が耐衝撃向上剤(D)を含有していないため、耐衝撃性が不十分であった。
比較例8の樹脂積層形体は、実施例3と比較すると、硬化被膜を有していないため、耐擦傷性が不十分であった。
比較例9の樹脂積層形体は、実施例4と比較すると、硬化被膜(A)及び硬化被膜(B)の架橋密度が高いため、耐衝撃性、成形加工性が不十分であった。
比較例10では、硬化性組成物(b1)及び硬化性組成物(b2)の粘度が高く安定に塗布できなかったため、樹脂積層体を得ることができなかった。
比較例11の樹脂積層形体は、実施例2、実施例7〜10と比較すると、硬化被膜の架橋密度が高いため、耐衝撃性、成形加工性が不十分であった。
比較例12の樹脂積層体は、実施例7と比較すると、硬化被膜の架橋密度が低いため、耐擦傷性が不十分であった。
2 硬化被膜
3 樹脂積層体
4 樹脂基材の層
5 混合層
6 硬化被膜の層
Claims (10)
- シート状の樹脂基材(A)の一方の表面に硬化被膜(B1)を備えた樹脂積層体であって、
前記硬化被膜(B1)は、ラジカル重合性官能基を2個以上5個以下有し、分子内にウレタン結合を有するウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位と、ラジカル重合性官能基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(B1−2)由来の繰り返し単位(但し、前記多官能(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位を除く)を含有する樹脂組成物を含み、且つ、
前記硬化被膜(B1)を構成するラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート(i)の各々において、各々の多官能(メタ)アクリレート(i)の平均分子量をMi、各々の多官能(メタ)アクリレート(i)のラジカル重合性官能基の数をFi、前記硬化被膜(B1)を構成する各々の多官能(メタ)アクリレート(i)の質量分率をWi(質量%)として、下記式(1)を満たし、
[ここで、Wi(質量%)は前記硬化被膜(B1)中の、ラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート(i)それぞれの質量分率、Miはそれぞれの多官能(メタ)アクリレート(i)の平均分子量、Fiはそれぞれの多官能(メタ)アクリレート(i)のラジカル重合性官能基の数、kは選択される前記多官能(メタ)アクリレート(i)の総数で2以上の整数を表す。]
前記樹脂基材(A)は、耐衝撃向上剤(D)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり、且つ、
前記耐衝撃向上剤(D)が下記の多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又は下記のアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類である樹脂積層体。
多重構造アクリル系共重合体粒子(D1):架橋構造を有するゴム状共重合体を含むエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂層(d1−2)が形成された構造を有する多重構造アクリル系共重合体粒子。
アクリル系ブロック共重合体(D2):メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)40質量%以上90質量%以下とを有するブロック共重合体。 - 前記硬化被膜(B1)は、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)の平均分子量の数値を、該ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)のラジカル重合性官能基の数で除した値(平均分子量/官能基数)が180以上900以下である、請求項1に記載の樹脂積層体。
- 前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B1)の境界部に、前記樹脂基材(A)の成分と前記硬化被膜(B1)の成分との混合層(A−B1)が、厚み0.1μm以上3.0μm以下で形成されてなる、請求項1又は2に記載の樹脂積層体。
- 前記硬化被膜(B1)は、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位と前記多官能(メタ)アクリレート(B1−2)由来の繰り返し単位の含有量の合計が、該硬化被膜(B1)の総質量に対して92質量%以上100質量%以下を含有する樹脂組成物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 前記硬化被膜(B1)は、該硬化被膜(B1)の総質量に対して、前記ウレタン系(メタ)アクリレート(B1−1)由来の繰り返し単位を35質量%以上90質量%以下と、前記多官能(メタ)アクリレート(B1−2)由来の繰り返し単位を10質量%以上62質量%以下を含有する樹脂組成物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 前記樹脂基材(A)の他方片側の表面に硬化被膜(B2)を備えた、シート状の樹脂積層体であって、
前記硬化被膜(B2)は、ラジカル重合性官能基を2個以上5個以下有し、分子内にウレタン結合を有するウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位と、
ラジカル重合性官能基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(B2−2)由来の繰り返し単位(但し、ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を除く)と、
ラジカル重合性官能基を3個以上6個以下有する多官能(メタ)アクリレート(B2−3)由来の繰り返し単位(但し、ウレタン系(メタ)アクリレート(B2−1)由来の繰り返し単位を除く)
を含有する樹脂組成物を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂積層体。 - 前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B2)の境界部に、前記樹脂基材(A)の成分と前記硬化被膜(B2)の成分との混合層(A−B2)が厚み0.1μm以上3.0μm以下で形成されている、請求項6に記載の樹脂積層体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体を含むディスプレー前面板。
- 請求項8に記載のディスプレー前面板を含む携帯型情報端末装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体を含む移動体用グレージング。
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