以下、本発明の一形態について添付図面に基づいて説明する。
本発明の第一形態の外壁材取付具(以下、単に「取付具」という。)1は、図1に示すように、上下に隣り合う外壁材3,3の上下に隣接する端縁部をそれぞれ支持して壁下地2に該外壁材3,3を取り付けるように構成されている。以下では、図1に示す状態を基準として、壁下地2に対して外壁材3が位置する側を前方とし、その反対側を後方とし、平面視においてこの前後方向に直交する方向を左右方向として、各構成について説明する。例えば、図1では、矢印X1で示す方向が前方であり、矢印Z1で示す方向が上方であり、図2Bでは、矢印Y1で示す方向が右方である。
取付具1は、図1に示すように、壁下地2に固定される取付具本体10と、外壁材3を支持する支持部4と、壁下地2に対し、取付具本体10を上下方向に角度調整可能とする調整手段とを備える。支持部4は、取付具本体10から前方に突出している。取付具1は、取付具本体10に挿通されるタッピングねじ等の固定具5によって、壁下地2に固定される。取付具1は、外壁材3の後面に当たる左右一対の当て部7をさらに備える。取付具1は、例えば金属製である。
図2A及び図2Bに示すように、本形態では、取付具本体10は、略矩形板状である。支持部4は、取付具本体10の前面11のうちの上下方向の中央部から前方に突出している。
取付具本体10には、支持部4の突出部位よりも上方に、固定具5が挿通される挿通孔13が設けられている。挿通孔13は、取付具本体10を前後方向に貫通する丸孔である。
取付具本体10には、挿通孔13よりも上方であって該取付具本体10上端の下方に、後述する付勢部材6が通過可能な左右一対の開口部14が形成されている。
支持部4は、取付具本体10の前面11から略垂直に突出した略矩形板状の基部40と、基部40の前端に設けられた左右一対の上支持部41とこれら一対の上支持部41の間に設けられた1つの下支持部42とを有する。各上支持部41は、矩形板状をなし、基部40の前端の左右端部から前斜め上方に突出している。下支持部42は、断面L字状をなし、基部40の前端の中央部から前方に突出する略矩形状の板部と、該板部の先端から垂下する略矩形状の板部とで構成されている。
基部40の上面には、前後方向に亘るように後方に開口する平面視略U字状の補強用のリブ43が設けられている(図4参照)。図2A及び図2Bに示すように、リブ43は、下支持部42と左右幅が略同じである。また、基部40と左右一対の上支持部41との接続部分と、基部40と取付具本体10との接続部分にはそれぞれ、補強リブ44が形成されている。
固定具5は、取付具本体10の挿通孔13に挿通されて壁下地2に捻じ込まれることで、取付具1を壁下地2に固定する。
調整手段は、取付具本体10が壁下地2に固定された状態で取付具本体10の上端部を前方に付勢する付勢部材6で構成されている。付勢部材6は、本形態では、取付具本体10に一体に設けられた側面視略L字状の板バネである。付勢部材6は、取付具本体10のうち各開口部14の上縁から後下方に突出した上片部60と、上片部60の先端(下端)から略直角に前下方に突出した下片部61とを有する。そして、上片部60と下片部61とが連続する角部分62が、壁下地2に当接するようになっている。角部分62の外角側はR形状に形成されており、壁下地2、特に通気防水シート(図示せず)を傷つけ難くなっている。
付勢部材6は、外力が加わっていない状態では、角部分62が取付具本体10の後面12よりも後方に位置するように設けられている。そして、付勢部材6は、一定以上の前方に作用する外力が加わることで、前方に回動して開口部14を通過するように設けられている。このとき、付勢部材6は、角部分62が取付具本体10の後面12と並ぶ前後位置まで移動することが可能である。
付勢部材6は、角部分62が壁下地2に当接する状態からさらに固定具5が壁下地2へと捻じ込まれることによって、前方へと回動する。そのため、付勢部材6が取付具本体10の後面12よりも後方へ突出する長さを、固定具5の壁下地2への捻じ込み量によって調整することができる。
左右一対の当て部7は、取付具本体10の左右両端から前方に突出した略矩形板状の第一片部70と、各第一片部70の前端及び上端から左右方向外側に突出した第二片部71と、各第二片部71の左右方向外側の端部の一部から後方に突出した第三片部72とを有する。第二片部71は、第一片部70及び第三片部72の双方と直交している。
各第一片部70は、取付具本体10の左右両端に上下方向に亘って設けられている。各第二片部71は、各第一片部70の前端から上端にかけて上下方向に亘って設けられている。各第二片部71は、上端部分が側面視円弧状をなしており、それよりも下方の部分が側面視略一直線状である。各第三片部72は、各第二片部71の側面視略一直線状の部位の左右方向外側の端部に上下方向に亘って設けられている。第一片部70と第二片部71の側面視略一直線状の部位と第三片部72は、後方に開口する断面コ字状をなす。
各第二片部71の側面視略一直線状の部位の前面が、外壁材3の後面に当たる面である。なお、各当て部7は、第三片部73を有さないものであってもよい。
壁下地2は、外壁材3の下地であり、例えば、縦胴縁である。なお、壁下地2は、建物の躯体の柱や、この柱の前面に取り付けられる構造用合板等の面材や、この面材の前面に取り付けられる横胴縁であってもよい。
外壁材3は、図1に示すように、上端面のうちの後部に、上方に突出した上突条部30を有し、下端面のうちの後部に、下方に突出した下突条部31を有し、下端面のうちの前部に、下方に突出したカバー部32を有する。上突条部30,下突条部31,カバー部32のそれぞれは、外壁材3の上下の端面に長手方向(左右方向)に亘って設けられている。
上突条部30は、取付具1の下支持部42に対応した形状であり、本形態では、側断面略矩形状をなしている。下突条部31は、取付具1の上支持部41に対応した形状であり、本形態では、側断面略台形状をなしている。また、カバー部32は、側断面略矩形状をなしている。外壁材3は、例えば、セメントを主成分とする窯業系材料で形成される。
続いて、上述した取付具1を用いて壁下地2に外壁材3を取り付ける取付手順の一例について説明する。
まず、壁下地2のうち外壁材3の下端縁部の取付予定箇所に、取付具1を当てる。このとき、取付具本体10の下端と付勢部材6の角部分62とが、壁下地2の前面に当たる。
次いで、取付具本体10の挿通孔13に前方から固定具5を挿通させて、固定具5の頭部が取付具本体10の前面11に当たる位置からさらに後方へと、固定具5を壁下地2に捻じ込んでいく。このとき、取付具本体10の前面11が鉛直となる位置まで、固定具5を壁下地2へと捻じ込む。ここで、取付具本体10の前面11が鉛直か否かは、例えば、取付具1上に水平器を載せるなどして確認する。
次いで、取付具1の支持部4上に外壁材3を載せる。このとき、外壁材3は、下端縁部の下突条部31が、取付具1の上支持部41と、左右一対の当て部7の第二片部71との間に挟まれた状態で、取付具1に支持される。
次いで、外壁材3の上端縁部の上突条部30に、上記下端縁部を支持する取付具1の上方に配置された別の取付具1の下支持部42を引っ掛けた状態で、該別の取付具1を固定具5で壁下地2に固定する。このとき、この別の取付具1を、取付具本体10の前面11が鉛直となるように、固定具5によって取り付ける。
次いで、上記別の取付具1の支持部4上に新たな外壁材3を載せ、上述の手順で、この新たな外壁材3を上下一対の取付具1によって壁下地2に取り付ける。
上下に並んで設置された2枚の外壁材3は、その間に位置する取付具1の支持部4によって、上側の外壁材3の下端縁部の下突条部31と下側の外壁材3の上端縁部の上突条部30とが支持される。このとき、上側の外壁材3のカバー部32の下面が下側の外壁材3の上端面のうちの前部に当たり、このカバー部32によって、上側の外壁材3の下突条部31と下側の外壁材3の上突条部30とこれらを支持する支持部4が前方から覆われる。
以上のように本形態の取付具1を用いることで、図1に示すように、壁下地2が鉛直方向に対して多少傾いている場合でも、外壁材3を略鉛直に壁下地2に取り付けることができる。
また、図3に示すように、壁下地2の前面が鉛直な場合でも、本形態の取付具1は、外壁材3を略鉛直に壁下地2に取り付けることができる。この場合、固定具5を付勢部材6の付勢力に抗して捻じ込んでいくことで、取付具本体10の後面12の全体が壁下地2に当たる状態、つまり取付具本体10の前面11が鉛直となる状態で、取付具1を壁下地2に固定することができる。
なお、本形態の取付具1は、付勢部材6を上端部に1つ又は3つ以上有し、取付具本体10に開口部14が1つ又は3つ以上設けられたものであってもよい。また、本形態の取付具1は、取付具本体10が開口部14を有さず、取付具本体10の後面12の上端部に形成した凹部に付勢部材6が設けられたものであってもよい。
また、本形態の取付具1は、取付具本体10の上端部ではなく下端部に左右一対の付勢部材6と開口部14を設けたものであってもよい。この場合、下側ほど後方に位置するように傾いた壁下地2の前面に対して、外壁材3を略鉛直に取り付けることができる。また、この場合も同様に、取付具1は、付勢部材6と開口部14を1つ又は3つ以上有するものであってもよいし、取付具本体10が開口部14を有さず、取付具本体10の後面12の下端部に形成した凹部に付勢部材6が設けられたものであってもよい。
続いて、本形態の取付具1が好適に用いられる外壁構造のさらに他の一例について説明する。
図4に示す外壁構造は、外壁材3として、側端面同士が突き合わせられた状態で配される第一外壁材33と第二外壁材34と第三外壁材35と第四外壁材36とを備える。第一外壁材33は、平面視略L字状の出隅材である。第一外壁材33は、上下方向を長手方向とする略矩形板状の第一壁部330と、第一壁部330の右端から後方に延び、上下方向を長手方向とする略矩形板状の第二壁部331とを有する。
第二外壁材34は、第一外壁材33の第一壁部330の左側に並ぶ略矩形板状の外壁材3であり、第三外壁材35は、第二外壁材34の左側に並ぶ略矩形板状の外壁材3であり、第四外壁材36は、第一外壁材33の第二壁部331の後側に並ぶ略矩形板状の外壁材3である。
外壁材34,35はそれぞれ、右側端面が平坦な面である一方、左側端面のうちの前半部に、左側に突出した側突条部37を有する。側突条部37は、外壁材34,35のそれぞれの左の側端面に、上下方向に亘って形成されている。言い換えると、外壁材34,35のそれぞれは、左端部における裏面角部(後側の角部)に、凹状の段差部38が形成されている。段差部38は、左方と後方の双方に開口している。段差部38は、外壁材34,35のそれぞれの左側端部に、上下方向に亘って形成されている。
第四外壁材36は、前端面が平坦な面であり、図示されていないが、後端面のうちの右半部に、後方に突出した側突条部37を有する。側突条部37は、第四外壁材36の後端面に、上下方向に亘って形成されている。言い換えると、第四外壁材36は、後端部における裏面角部(左側の角部)に、凹状の段差部38が形成されている。段差部38は、後方と左方の双方に開口している。段差部38は、第四外壁材36の後端部に、上下方向に亘って形成されている。
第一外壁材33は、第一壁部330の左側端面の前半部に、左側に突出した側突条部37が形成されている一方、第二壁部331の後端面の右半部に、後方に突出した側突条部37が形成されている。側突条部37は、第一壁部330の左側端面と、第二壁部331の後端面のそれぞれに、上下方向に亘って形成されている。言い換えると、第一外壁材33は、第一壁部330の左端部における裏面角部(後側の角部)に、凹状の段差部38が形成されている。そして、第一外壁材33は、第二壁部331の後端部における裏面角部(左側の角部)に、凹状の段差部38が形成されている。第一壁部330の段差部38は、左方と後方の双方に開口し、第二壁部331の段差部38は、後方と左方の双方に開口している。段差部38は、第一壁部330の左端部と、第二壁部331の後端部のそれぞれに、上下方向に亘って形成されている。
外壁材33,34,35,36のそれぞれは、上下の端縁部に、上記の上突条部30,下突条部31,カバー部32を有する(図1参照)。
図4に示す外壁構造は、取付具1を複数備える。外壁材33,34,35,36のそれぞれは、複数の取付具1のうちの一部によって個別に支持される。言い換えると、例えば、第一外壁材33を支持する取付具1と、第二外壁材34を支持する取付具1とは、互いに異なる。外壁材33,34,35,36のそれぞれは、図1や図3に示すように上下一対の取付具1によって支持され、略鉛直に、かつ、表側の面が略面一となる状態で、壁下地2に固定される。
外壁材34,35は、これらの上下に配設された一対の取付具1によって左右方向にスライド移動可能に支持される。第四外壁材36は、その上下に配設された一対の取付具1によって前後方向にスライド移動可能に支持される。第一外壁材33は、第一壁部330と第二壁部331がそれぞれの上下に配設された一対の取付具1によって支持されることで、壁下地2にスライド移動不可に取り付けられる。
図4に示す外壁構造では、壁下地2として、建物の躯体の柱20と、柱20の前面に取り付けられる構造用合板等の面材21と、面材21の前面に取り付けられる複数の縦胴縁22とを備える。
図4に示す外壁構造は、左右に隣接する2枚の外壁材3の背面に架け渡して配されるジョイナ8をさらに備える。図4に示す外壁構造は、ジョイナ8を複数備える。
ジョイナ8は、左右に隣接する2枚の外壁材3の間から浸入した雨水が壁下地2へと至ることを抑制するためのものである。ジョイナ8は、例えば、金属製である。ジョイナ8は、上下方向に長尺なものであり、その上下方向の長さが、例えば、上下に並べて設置される複数枚の外壁材3の上下長さの合計と略同じである。なお、ジョイナ8は、その上下長さが、1枚の外壁材3の上下長さよりも短いものであってもよい。この場合、ジョイナ8は、外壁材3の上下方向に亘って位置するように複数設置される。
複数のジョイナ8は、図5に示す付勢部80を有する第一ジョイナ81と、付勢部を有さない第二ジョイナ82とを含む。第二ジョイナ82とは、第一ジョイナ81から付勢部80を省略した構造である。
図4に示す外壁構造では、第一ジョイナ81は、第二外壁材34と第三外壁材35との突き合わせ部分に配され、第二ジョイナ82は、第一外壁材33と第二外壁材34との突き合わせ部分と、第一外壁材33と第四外壁材36との突き合わせ部分にそれぞれ配されている。
第一ジョイナ81は、図4及び図5に示すように、左右に隣接する2枚の外壁材3の双方の背面に接するベース部83と、ベース部83から段差部38内に突出する対向片84と、対向片84に設けられ、左右に隣接する外壁材3の側端面を付勢する付勢部80とを有する。さらに、第一ジョイナ81は、ベース部83の左右の端部のそれぞれに連続する一対の取付部85と、対向片84の前端部に連続する支持片部86とを有する。ベース部83,対向片84,支持片部86はいずれも、略矩形板状であり、左右一対の取付部85は、前方に開口した平断面略コ字状である。
ベース部83は、左右の端部のそれぞれに前方に突出した突片部87を有する。突片部87は、ベース部83の左右の端部に上下方向に亘って形成されている。
ベース部83の前面における左右の突片部87の左右方向内側の部位と、支持片部86の前面には、パッキン等の板状の止水材88が、上下方向に亘って取り付けられる。ベース部83は、左右の端部がそれぞれ、止水材88を介して、左右に隣接する2枚の外壁材3の双方の背面に当たる。
付勢部80は、本形態では、板バネである。なお、付勢部80は、コイルバネや、ゴム、樹脂等であってもよい。
第一ジョイナ81は、付勢部80を除いた残りの構成が、上下方向に亘って一定の断面形状を有する。第一ジョイナ81のうち付勢部80を除いた残りの構成は、例えば、アルミニウムの押出成形により形成される。そして、付勢部80は、例えば、ビス止めなどによって対向片84に固定されている。
付勢部80は、第一ジョイナ81の上下方向の長さに対応して、対向片84に1つまたは複数設けられる。複数の付勢部80は、上下方向に間隔をおいて位置してもよいし、上下方向に隙間なく並んで位置してもよい。付勢部80の設置数は、外壁材3のスライド移動に必要な力を確保できるように、適宜決められる。
続いて、図4に示す外壁構造の施工手順の一例について説明する。
まず、柱20に取り付けられた面材21のうち、第一外壁材33の第一壁部330の左右方向の一部(例えば中央部)と左端部のそれぞれに対応する箇所に、縦胴縁22を取り付ける。そして、柱20に取り付けられた面材21のうち、第一外壁材33の第二壁部331の前後方向の一部(例えば中央部)と後端部のそれぞれに対応する箇所に、縦胴縁22を取り付ける。
次いで、面材21のうち、第一壁部330の左右方向の一部と、第二壁部331の前後方向の一部のそれぞれに対応する箇所に取り付けた縦胴縁22には、第一壁部330と第二壁部331のそれぞれの下端縁部に対応する箇所に、取付具1を取り付ける。各取付具1の取り付けは、上述した取付手順と同様の手順で、取付具本体10の前面11が鉛直となるように行う。
次いで、面材21のうち、第一壁部330の左端部に対応する箇所に取り付けた縦胴縁22と、第二壁部331の後端部に対応する箇所に取り付けた縦胴縁22には、第二ジョイナ82を取り付ける。第二ジョイナ82は、左右一対の取付部85の底壁部851を縦胴縁22に当て、各底壁部851に正面側からねじ等の固定具を打ち付けることで、縦胴縁22に固定される。
次いで、各縦胴縁22に取り付けた取付具1上に、第一外壁材33の第一壁部330と第二壁部331をそれぞれ載せ、各縦胴縁22のうち、第一壁部330と第二壁部331のそれぞれの上端縁部に対応する箇所に取付具1を取り付ける。これにより、第一外壁材33は、上下一対の取付具1によって壁下地2に取り付けられる。このとき、第一外壁材33は、第一壁部330と第二壁部331のそれぞれが、上下一対の取付具1によって支持されることで、壁下地2に対して移動不可な状態で取り付けられる。
第一外壁材33が壁下地2に取り付けられた状態で、一方の第二ジョイナ82の前方に、第一壁部330の左端部が位置し、他方の第二ジョイナ82の右方に、第二壁部331の後端部が位置する。このとき、各第二ジョイナ82の対向片84と支持片部86は、第一壁部330と第二壁部331それぞれの凹状の段差部38内に収まり、各第二ジョイナ82のベース部83と支持片部86のそれぞれが、止水材88を介して、壁部330,331の背面に当たる。
次いで、面材21のうち、第二外壁材34の左右方向の一部(例えば中央部)と、第三外壁材35の左右方向の一部(例えば中央部)と、第二外壁材34と第三外壁材35の突き合わせ部分のそれぞれに対応する箇所に、縦胴縁22を取り付ける。
次いで、面材21のうち、第二外壁材34の左右方向の一部と、第三外壁材35の左右方向の一部のそれぞれに対応する箇所に取り付けた縦胴縁22には、外壁材34,35のそれぞれの下端縁部に対応する箇所に、取付具1を取り付ける。各取付具1の取り付けは、上述した取付手順と同様の手順で、取付具本体10の前面11が鉛直となるように行う。
次いで、面材21のうち、第二外壁材34と第三外壁材35の突き合わせ部分に対応する箇所に取り付けた縦胴縁22には、第一ジョイナ81を取り付ける。第一ジョイナ81は、左右一対の取付部85の底壁部851を縦胴縁22に当て、各底壁部851に正面側からねじ等の固定具を打ち付けることで、縦胴縁22に固定される。
次いで、各縦胴縁22に取り付けた取付具1上に、第二外壁材34と第三外壁材35をそれぞれ載せる。このとき、第二外壁材34と第三外壁材35の側端面同士が突き合わさり、第二外壁材34の右側端面と第一外壁材33の第一壁部330の左側端面(側突条部37の先端面)とが突き合わさるように、外壁材34,35を載せる。第一ジョイナ81の対向片84と支持片部86と付勢部80とは、第二外壁材34の凹状の段差部38内に収まる。
次いで、各縦胴縁22のうち、外壁材34,35のそれぞれの上端縁部に対応する箇所に取付具1を取り付けて、外壁材34,35をそれぞれ、上下一対の取付具1によって壁下地2に取り付ける。このとき、外壁材34,35のそれぞれは、上下一対の取付具1によって左右方向にスライド移動可能に支持される。なお、施工直後の状態では、外壁材33,34,35は、側端面同士が接しているため、外壁材33,34,35のいずれか1つが収縮しないかぎり、位置が略固定されている。
外壁材34,35が壁下地2に取り付けられた状態で、第一ジョイナ81の前方に、外壁材34,35の突き合わせ部分が位置する。このとき、第一ジョイナ81の支持片部86は、止水材88を介して、第二外壁材34の側突条部37の背面に当たる。そして、第一ジョイナ81のベース部83が止水材88を介して、外壁材34,35の背面に当たる。
第二外壁材34が壁下地2に取り付けられた状態で、第一ジョイナ81の付勢部80が、第二外壁材34の左の側端面のうち側突条部37よりも後方の部位に当たって、第二外壁材34に対して第一外壁材33に当たる向きに弾性力を付与する。これにより、第二外壁材34は、右の側端面が第一外壁材33の第一壁部330の側突条部37の先端(左端)に押し当たった状態となる。
第三外壁材35の左側に、さらに他の外壁材3を並べて設置する場合には、上述した手順と同様の手順で、左右に隣接する2枚の外壁材3の突き合わせ部分の背面側に第一ジョイナ81が位置するように、他の外壁材3と第一ジョイナ81とを設置する。
なお、第四外壁材36の設置については、上述した第二外壁材34の設置と同様の手順で行う。
また、第四外壁材36の後方に、さらに他の外壁材3を並べて設置する場合にも、上述した手順と同様の手順で、左右に隣接する2枚の外壁材3の突き合わせ部分の背面側に第一ジョイナ81が位置するように、他の外壁材3と第一ジョイナ81とを設置する。
以上のようにして施工された図4に示す外壁構造では、外壁材33,34,35,36が施工後に収縮した場合に、第一ジョイナ81の付勢部80によって外壁材34,35,36を第一外壁材33側へとスライド移動させることができ、左右に隣接する2枚の外壁材3間に隙間が形成されるのを抑制することができる。
また、図4に示す外壁構造では、壁下地2の前面が多少傾いている場合でも、取付具1によって外壁材33,34,35,36のそれぞれを略鉛直に支持することができるため、壁下地2の前面の傾きを原因とする左右方向または前後方向に隣接する2枚の外壁材3間の隙間の形成を抑制できる。したがって、図4に示す外壁構造では、左右に隣接する2枚の外壁材3の間の隙間にコーキング剤を充填するといったコーキング処理を行わなくてもよく、ノンシーリング構造とすることができる。
また、本形態の外壁構造は、仮に、2枚の外壁材3の間から雨水が浸入した場合でも、ジョイナ8と外壁材3との間に設けた各止水材88によって、壁下地2まで雨水が入り込むことを抑制することができる。また、これら止水材88を乗り越えて水が浸入しても、この浸入した水を取付部85の内側のスペースを通じて下方に流すことができる。
なお、図4に示す外壁構造は、第一外壁材33が、外壁材34,35と同様に、略矩形板状の外壁材3であってもよいし、入隅材を構成する外壁材3であってもよい。
また、図4に示す外壁構造は、外壁材33,34の突き合わせ部分や、外壁材33,36の突き合わせ部分に設置されるジョイナ8が、付勢部80付きの第一ジョイナ81であってもよい。
続いて、図6,図7A,図7B,図8に示す本発明の第二形態の取付具1及び外壁構造について説明する。以下では、第一形態の取付具1及び外壁構造と同様の構成については図中に同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について詳しく説明する。
第二形態の取付具1では、付勢部材6は、挿通孔13と同軸となるように取付具本体10から後方に延びるコイルスプリングである。
本形態の取付具1では、取付具本体10は、後面12のうち挿通孔13のある部位が、前方に凹んだ凹部15となっている。後面12の挿通孔13周縁から後方に向けて円筒部16が突出している。円筒部16は、挿通孔13と同軸となっている。円筒部16の後端の前後位置は、取付具本体10の後面12のうち凹部15以外の箇所の前後位置と同一またはこの位置よりも前方である。円筒部16は、後端部が大径のフランジ部160となっている。円筒部16に取り付けられた付勢部材6は、フランジ部160によって抜けにくくなっている。
付勢部材6は、外力が加わっていない状態で、取付具本体10の後面12のうち凹部15以外の箇所よりも後方に突出する長さを有する。付勢部材6は、一定以上の前方に作用する外力が加わることで、圧縮されて凹部15内に収まる。このとき、付勢部材6は、後端が取付具本体10の後面12のうち凹部15以外の箇所と並ぶ前後位置まで収縮することが可能である。
付勢部材6は、後端が壁下地2に当たる状態からさらに固定具5が壁下地2へと捻じ込まれることによって、前後方向に圧縮される。そのため、付勢部材6の取付具本体10の後面12の凹部15以外の箇所よりも後方へ突出する長さを、固定具5の壁下地2への捻じ込み量によって調整することができる。
上述した本形態の取付具1を用いることで、図6に示すように、壁下地2の前面が鉛直方向に対して多少傾いている場合でも、外壁材3を略鉛直に壁下地2に取り付けることができる。
また、図8に示すように、壁下地2の前面が鉛直な場合でも、本形態の取付具1は、外壁材3を略鉛直に壁下地2に取り付けることができる。この場合、固定具5を付勢部材6の付勢力に抗して捻じ込んでいくことで、取付具本体10の後面12の凹部15以外の箇所の全体が壁下地2に当たる状態、つまり取付具本体10の前面11が鉛直となる状態で、取付具1を壁下地2に固定することができる。
なお、本形態の取付具1は、図4に示す外壁構造を形成することも可能である。
以上、図に基づいて説明した本発明の第一及び第二形態の取付具1は、下記の構成を備えることを特徴とする。
すなわち、第一及び第二形態の取付具1は、上下に隣り合う外壁材3,3の上下に隣接する端縁部をそれぞれ支持して壁下地2に該外壁材3,3を取り付ける取付具である。取付具1は、壁下地2に固定される取付具本体10と、取付具本体10から前方に突出し、外壁材3を支持する支持部4と、壁下地2に対し、取付具本体10を上下方向に角度調整可能とする調整手段とを備える。
上記の構成を備える第一及び第二形態の取付具1では、壁下地2が鉛直方向に対して多少傾いている場合には、調整手段によって、壁下地2に対し、取付具本体10の上下方向の角度を調整することができる。したがって、第一及び第二形態の取付具1では、壁下地2が鉛直方向に対して多少傾いている場合でも、外壁材3を略鉛直に設置することができる。
さらに本発明の第一形態の取付具1は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第一形態の取付具1では、調整手段は、取付具本体10が壁下地2に固定された状態で取付具本体10を前方に付勢する付勢部材6で構成されている。
上記の付加的な構成を備えることで、第一形態の取付具1では、取付具本体10が壁下地2に固定された状態で、取付具本体10が付勢部材6からの付勢力を受けることで、取付具本体10の姿勢が安定的に保持される。
さらに本発明の第一形態の取付具1は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第一形態の取付具1では、付勢部材6は、取付具本体10に一体に設けられた板バネである。
上記の付加的な構成を備えることで、第一形態の取付具1では、壁下地2に対して点接触する付勢部材6を用いる場合に比べて、取付具本体10の傾きの調整を安定的に行うことができる。また、板バネという比較的簡単な構成で調整手段を構成することができる。
さらに本発明の第二形態の取付具1は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第二形態の取付具1では、取付具本体10には、取付具本体10を壁下地2に固定する固定具5が挿通される挿通孔13が形成されており、付勢部材6は、挿通孔13と同軸となるように取付具本体10から後方に延びるコイルスプリングである。
上記の付加的な構成を備えることで、第二形態の取付具1では、固定具5に沿ってコイルスプリングを収縮させることができ、取付具本体10の傾きの調整を安定的に行うことができる。また、コイルスプリングという比較的簡単な構成の部材を用いて調整手段を構成することができる。
また、本発明の第一及び第二形態の外壁構造は、下記の構成を備えることを特徴とする。
すなわち、第一及び第二形態の外壁構造は、取付具1を複数備え、外壁材3として、側端面同士が突き合わせられた状態で配される第一外壁材33と第二外壁材34とを備える。第一外壁材33は、複数の取付具1のうちの一部によって支持され、第二外壁材34は、第一外壁材33に向けて付勢され、かつ複数の取付具1のうちの他の一部によって支持される。
上記の付加的な構成を備えることで、第一及び第二形態の外壁構造では、側端面同士が突き合わせられた状態で配される第一外壁材33と第二外壁材34とをそれぞれ、別々の取付具1を用いて、略鉛直に設置することができる。これにより、第一及び第二形態の外壁構造では、左右に隣接する2枚の外壁材33,34が相対的に傾いて設置されることを抑制したうえで、施工後に外壁材33,34のいずれか一方が収縮した場合でも、外壁材33,34の側端面同士が当たった状態を維持することができる。したがって、第一及び第二形態の外壁構造では、左右に隣接する2枚の外壁材33,34の間に隙間ができることを効果的に抑制することができて、ノンシーリング構造とすることができる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
上記実施形態では、取付具本体10の後面12が外壁材3と略平行になるように構成されているが、これに限定されず、例えば、後面12が外壁材3と交差するように構成されていてもよい。これにより、取付具本体10の角度調整範囲を拡縮することが可能となる。
さらに、上記実施形態では、付勢部材6が板バネまたはコイルスプリングで構成されているが、これに限定されず、例えば付勢部材6がこれら板バネ及びコイルスプリングの双方で構成されていてもよい。これにより、取付具本体10をより大きな力で付勢することが可能となり、外壁材3の鉛直姿勢をより確実に保持することが可能となる。