JP6655607B2 - 油入電気機器用の電気絶縁油基油、これを含有する電気絶縁油及び油入電気機器 - Google Patents

油入電気機器用の電気絶縁油基油、これを含有する電気絶縁油及び油入電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、油入電気機器用の電気絶縁油基油、これを含有する電気絶縁油及び油入電気機器に関する。
本願は、2015年4月13日に、日本に出願された特願2015−081805号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、変圧器、ケーブル、遮断器、コンデンサ等の油入電気機器においては、絶縁や冷却を目的として電気絶縁油が用いられている。油入電気機器は、高い電界下で使用されるためその内部で部分放電が発生する可能性がある。そのため、油入電気機器に用いられる絶縁油には、優れた部分放電特性、即ち、高い電界下において部分放電が発生し難いこと(部分放電開始電圧が高いこと)、部分放電が発生しても速やかに消滅されること(部分放電消滅電圧が高いこと)が求められる。
電気絶縁油の基油として、鉱物油、シリコーン油、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、ジベンジルトルエン等が使用されてきた。しかしながら、これらの基油は、一般に生分解性が悪く環境中に漏洩した際の負荷が問題視されている。さらに、鉱物油は、限りある資源であることから今後その使用が制限される可能性がある。シリコーン油は、一般に粘度が高く熱伝導性も低い。そのため、油入電気機器の冷却効果に劣り、油入電気機器をコンパクトに構成することが難しくなる。
近年、生分解性に優れる植物油、脂肪酸エステルを電気絶縁油の基油として用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、植物油を含有する電気絶縁油が開示されている。特許文献2には、高級脂肪酸エステル化合物を含有する高級脂肪酸エステル系溶剤が、電気絶縁油等の用途に有効であることが開示されている。
しかしながら、特許文献1、特許文献2の技術では、充分な部分放電特性が得られない。
特開2010−287788号公報 特開2004−149705号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、部分放電特性に優れ、かつ、生分解性に優れる油入電気機器用の電気絶縁油基油を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の油入電気機器用の電気絶縁油基油が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
[1]下記一般式(I)で表される脂肪酸エステル(A)を含有する、油入電気機器用の電気絶縁油基油。
−COO−R・・・(I)
ただし、式(I)中、Rは、炭素数5〜17の直鎖状又は炭素数5〜17の分岐鎖状の炭化水素基であり、Rは、炭素数6〜10のアリールアルキル基である。
[2]前記式(I)中、Rは、炭素数5〜17の分岐鎖状の炭化水素基である、[1]に記載の油入電気機器用の電気絶縁油基油。
[3]アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジアリールアルカン、トリアリールアルカン及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含有する、[1]又は[2]に記載の油入電気機器用の電気絶縁油基油。
[4](A)成分/(B)成分で表される質量比が90/10〜20/80である、[3]に記載の油入電気機器用の電気絶縁油基油。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の油入電気機器用の電気絶縁油基油を含有する、電気絶縁油。
[6][5]に記載の電気絶縁油を備える、油入電気機器。
本発明の油入電気機器用の電気絶縁油基油は、部分放電特性に優れ、かつ、生分解性に優れる。
コンデンサの一例を示した断面図である。 ケーブルの一例を示す概略図である。
(油入電気機器用の電気絶縁油基油)
本発明の油入電気機器用の電気絶縁油基油(以下、単に「電気絶縁油基油」ともいう)は、特定の脂肪酸エステル((A)成分)を含有する。
電気絶縁油基油の生分解性は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましく、100%であってもよい。前記生分解性は、OECD Guideline for Testing of chemicalsに定めるManometric Respirometry Test(Guideline 301F、17th July 1992)に準拠して測定される28日後の測定値である。
電気絶縁油基油の40℃における動粘度は、0.1〜8mm/sが好ましく、0.5〜4mm/sがより好ましい。電気絶縁油基油の動粘度が前記の好ましい範囲であると、油入電気機器の冷却効果が得られやすくなる。
本明細書において、動粘度は、JIS K2283:2000(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に準拠して測定できる。
電気絶縁油基油の流動点は、−25℃以下が好ましく、−35℃未満がより好ましい。
電気絶縁油基油の流動点が前記上限値以下であると、寒冷地等においても使用が制限されない汎用性に優れる電気絶縁油が得られやすくなる。
本明細書において、流動点は、JIS K 2269:1987(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)の「3.流動点試験方法」に準拠して測定できる。
本明細書における、「絶縁性」とは、JIS C 2101:2010(電気絶縁油試験方法)の「22.絶縁破壊電圧試験」に準拠して測定したときの絶縁破壊電圧が40kV以上であるものをいう。
<(A)成分>
(A)成分は、下記一般式(I)で表される脂肪酸エステルである。本発明の電気絶縁油基油は、(A)成分を含有することで部分放電特性が高められ、かつ、生分解性が高められる。
−COO−R・・・(I)
ただし、式(I)中、Rは、炭素数5〜17の直鎖状又は炭素数5〜17の分岐鎖状の炭化水素基であり、Rは、炭素数6〜10のアリールアルキル基である。
式(I)中、Rは、炭素数5〜17の直鎖状又は炭素数5〜17の分岐鎖状の炭化水素基であり、炭素数5〜11の直鎖状又は炭素数5〜11の分岐鎖状の炭化水素基が好ましく、炭素数5〜9の直鎖状又は炭素数5〜9の分岐鎖状の炭化水素基がより好ましい。Rの炭素数が前記範囲であると部分放電特性が高められる。また、Rの炭素数が5未満であると、樹脂部材に対する可塑性が強くなり樹脂部材が変形等するおそれがある。Rの炭素数が17超であると、動粘度が高くなり油入電気機器に対する冷却効果が充分に得られないおそれがある。
は、飽和炭化水素基でもよいし不飽和炭化水素基でもよい。
としては、炭素数5〜17の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。Rとしては、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリデセニル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ペンタデセニル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ヘプタデセニル基、ヘプタデカジエニル基、ヘプタデカトリエニル基、ヘプタデカテトラエニル基等が挙げられる。
としては、分岐鎖状の炭化水素基が好ましい。Rが、分岐鎖状の炭化水素基であると、低温流動性がより高められやすくなる。なお、本発明における分岐鎖状の炭化水素基には、例えば1−エチルペンチル基等の式(I)中のカルボニル基の炭素原子に結合する炭素原子が第2級炭素原子であるものも含まれる。
式(I)中、Rは、炭素数6〜10のアリールアルキル基である。Rとしては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニル−1−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−1−ブチル基等が挙げられる。これらのなかでも、良好な部分放電特性が得られやすい点から、Rとしては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基が好ましい。
(A)成分としては、部分放電消滅電圧がより向上される点から、カプロン酸ベンジル、カプロン酸2−フェニルエチル、カプロン酸1−フェニルエチル、カプロン酸2−フェニル−1−プロピル、カプロン酸3−フェニル−1−プロピル、カプロン酸1−フェニル−1−ブチル、エナント酸ベンジル、エナント酸2−フェニルエチル、エナント酸1−フェニルエチル、エナント酸2−フェニル−1−プロピル、エナント酸3−フェニル−1−プロピル、エナント酸1−フェニル−1−ブチル、カプリル酸ベンジル、カプリル酸2−フェニルエチル、カプリル酸1−フェニルエチル、カプリル酸2−フェニル−1−プロピル、カプリル酸3−フェニル−1−プロピル、カプリル酸1−フェニル−1−ブチル、イソオクチル酸ベンジル、イソオクチル酸2−フェニルエチル、イソオクチル酸1−フェニルエチル、イソオクチル酸2−フェニル−1−プロピル、イソオクチル酸3−フェニル−1−プロピル、イソオクチル酸1−フェニル−1−ブチル、イソノナン酸ベンジル、イソノナン酸2−フェニルエチル、イソノナン酸1−フェニルエチル、イソノナン酸2−フェニル−1−プロピル、イソノナン酸3−フェニル−1−プロピル、イソノナン酸1−フェニル−1−ブチル、カプリン酸ベンジル、カプリン酸2−フェニルエチル、カプリン酸1−フェニルエチル、カプリン酸2−フェニル−1−プロピル、カプリン酸3−フェニル−1−プロピル、カプリン酸1−フェニル−1−ブチル、イソデカン酸ベンジル、イソデカン酸2−フェニルエチル、イソデカン酸1−フェニルエチル、イソデカン酸2−フェニル−1−プロピル、イソデカン酸3−フェニル−1−プロピル、イソデカン酸1−フェニル−1−ブチル、ミリストレイン酸ベンジル、ミリストレイン酸2−フェニルエチル、ミリストレイン酸1−フェニルエチル、ミリストレイン酸2−フェニル−1−プロピル、ミリストレイン酸3−フェニル−1−プロピル、ミリストレイン酸1−フェニル−1−ブチル、パルミトレイン酸ベンジル、パルミトレイン酸2−フェニルエチル、パルミトレイン酸1−フェニルエチル、パルミトレイン酸2−フェニル−1−プロピル、パルミトレイン酸3−フェニル−1−プロピル、パルミトレイン酸1−フェニル−1−ブチル、オレイン酸ベンジル、オレイン酸2−フェニルエチル、オレイン酸1−フェニルエチル、オレイン酸2−フェニル−1−プロピル、オレイン酸3−フェニル−1−プロピル、オレイン酸1−フェニル−1−ブチル、リノール酸ベンジル、リノール酸2−フェニルエチル、リノール酸1−フェニルエチル、リノール酸2−フェニル−1−プロピル、リノール酸3−フェニル−1−プロピル、リノール酸1−フェニル−1−ブチル、リノレン酸ベンジル、リノレン酸2−フェニルエチル、リノレン酸1−フェニルエチル、リノレン酸2−フェニル−1−プロピル、リノレン酸3−フェニル−1−プロピル、リノレン酸1−フェニル−1−ブチル、エライジン酸ベンジル、エライジン酸2−フェニルエチル、エライジン酸1−フェニルエチル、エライジン酸2−フェニル−1−プロピル、エライジン酸3−フェニル−1−プロピル、エライジン酸1−フェニル−1−ブチル、バクセン酸ベンジル、バクセン酸2−フェニルエチル、バクセン酸1−フェニルエチル、バクセン酸2−フェニル−1−プロピル、バクセン酸3−フェニル−1−プロピル、バクセン酸1−フェニル−1−ブチル、ステアリドン酸ベンジル、ステアリドン酸2−フェニルエチル、ステアリドン酸1−フェニルエチル、ステアリドン酸2−フェニル−1−プロピル、ステアリドン酸3−フェニル−1−プロピル、ステアリドン酸1−フェニル−1−ブチルが好ましい。
これらのなかでも、部分放電消滅電圧が向上され、かつ、良好な低温流動性が得られる点から、カプロン酸ベンジル、カプロン酸2−フェニルエチル、カプロン酸1−フェニルエチル、カプロン酸2−フェニル−1−プロピル、カプロン酸3−フェニル−1−プロピル、カプロン酸1−フェニル−1−ブチル、エナント酸ベンジル、エナント酸2−フェニルエチル、エナント酸1−フェニルエチル、エナント酸2−フェニル−1−プロピル、エナント酸3−フェニル−1−プロピル、エナント酸1−フェニル−1−ブチル、カプリル酸ベンジル、カプリル酸2−フェニルエチル、カプリル酸1−フェニルエチル、カプリル酸2−フェニル−1−プロピル、カプリル酸3−フェニル−1−プロピル、カプリル酸1−フェニル−1−ブチル、イソオクチル酸ベンジル、イソオクチル酸2−フェニルエチル、イソオクチル酸1−フェニルエチル、イソオクチル酸2−フェニル−1−プロピル、イソオクチル酸3−フェニル−1−プロピル、イソオクチル酸1−フェニル−1−ブチル、イソノナン酸ベンジル、イソノナン酸2−フェニルエチル、イソノナン酸1−フェニルエチル、イソノナン酸2−フェニル−1−プロピル、イソノナン酸3−フェニル−1−プロピル、イソノナン酸1−フェニル−1−ブチル、カプリン酸ベンジル、カプリン酸2−フェニルエチル、カプリン酸1−フェニルエチル、カプリン酸2−フェニル−1−プロピル、カプリン酸3−フェニル−1−プロピル、カプリン酸1−フェニル−1−ブチルがより好ましい。
(A)成分は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
[(A)成分の製造方法]
(A)成分の製造方法としては、例えば、(i)油脂と炭素数6〜10のアリールアルキル基を有するアルコールとのエステル交換による方法、(ii)脂肪酸を炭素数6〜10のアリールアルキル基を有するアルコールでエステル化する方法、(iii)脂肪酸エステルと炭素数6〜10のアリールアルキル基を有するアルコールとのエステル交換による方法等が挙げられる。
前記(i)の方法における油脂としては、オリーブ油、カカオ油、シソ油、ツバキ油、落花生油、大豆油、菜種油、からし油、脱水ひまし油、桐油、紅花油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ひまわり油、コーン油、綿実油、ごま油、米糠油、***油、月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。また、前記油脂として、食用等とされた油脂が再利用されてもよい。これらのなかでも、酸化安定性に優れる点から、パーム油、パーム核油、ヤシ油が好ましい。(A)成分の部分放電特性がより高められやすい点から、パーム核油、ヤシ油がより好ましい。
前記(i)の方法は、従来公知の方法で行うことができる。
前記(ii)の方法における脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、イソオクチル酸、イソノナン酸、カプリン酸、イソデカン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、バクセン酸、ステアリドン酸等が挙げられる。また、前記脂肪酸として、食用等とされた脂肪酸が再利用されてもよい。
前記脂肪酸としては、(A)成分の部分放電特性がより高められやすい点から、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、イソオクチル酸、イソノナン酸、カプリン酸、イソデカン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、バクセン酸、ステアリドン酸が好ましい。これらのなかでも、(A)成分の部分放電特性が高められやすく、かつ、良好な低温流動性が得られやすい点から、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、イソオクチル酸、イソノナン酸、カプリン酸がより好ましい。
前記(ii)の方法は、公知の方法で行うことができ、例えば、常温〜200℃まで段階的に昇温しながら、常圧〜0.7KPaまで段階的に減圧し、副生する水を除去することにより行うことができる。
前記(ii)の方法において用いられる触媒としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸(p−TS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、メタンスルホン酸等の酸触媒;ZrO、TiO、SiO、PO、Al、ZnO等の無機酸化物触媒;リチウム、セシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム等の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等の塩基性触媒;テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトラエタノールアミンチタネート、テトラステアリルチタネート等の有機チタン化合物触媒;ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム化合物触媒等が挙げられる。
前記(iii)の方法における脂肪酸エステルとしては、(ii)の方法における脂肪酸のエステル化合物が挙げられる。前記エステル化合物としては、(ii)の方法において好ましい脂肪酸と同じ脂肪酸から構成されるエステル化合物が好ましい。
前記(iii)の方法は、公知の方法で行うことができ、例えば、常温〜200℃に段階的に昇温しながら、常圧〜0.7KPaまで段階的に減圧し、副生するアルコール類を除去することで行うことができる。
前記(iii)の方法において用いられる触媒としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、セシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム等の水酸化物;炭酸水素塩、炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等の塩基性触媒;テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトラエタノールアミンチタネート、テトラステアリルチタネート等の有機チタン化合物触媒;ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム化合物触媒等が挙げられる。
(A)成分の製造方法としては、部分放電特性等の電気特性が改善される点から、アルコール除去、グリセリン分離、無機成分除去、中和、水洗、蒸留、吸着処理、脱気処理等の精製が行われることが好ましい。これらのなかでも、吸着処理及び/又は脱気処理が行われることが好ましい。吸着処理が行われると電気絶縁油基油の酸価が低減され電気特性が高められやすくなる。脱気処理が行われると電気絶縁油基油の水分量が低減され電気特性が高められやすくなる。
吸着処理は、反応終了後の反応液に、活性白土又は活性アルミナ等の吸着剤を添加し、遊離脂肪酸や酸触媒等を吸着させた後、濾過により前記吸着剤を除去することにより行われる。
前記吸着剤としては、Mg、Al、Si等を主成分とする無機合成吸着剤である協和化学工業株式会社製のキョーワード100、200、300、400、500、600、700、1000、2000(以上、商品名)等のキョーワードシリーズ、協和化学工業株式会社製のキョーワマグ30、150(以上、商品名)等のキョーワマグシリーズ、富田製薬株式会社製のトミターAD100、500、600、700(以上、商品名)等のトミターADシリーズ等が挙げられる。
吸着剤は、反応により得られたエステル化合物100質量部に対して0.01〜5質量部添加されるのが好ましい。また、吸着処理は、被処理液の温度を20〜160℃とし、大気下、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下又は減圧条件下で、10分間から5時間行われるのが好ましい。
かかる吸着処理により、(A)成分の酸価を好ましくは0.0001〜0.01mgKOH/g、より好ましくは0.0001〜0.005mgKOH/gに低減でき、電気特性がより高められる。
なお、酸価は、JIS C 2101:2010(電気絶縁油試験方法)の「16.酸価試験」の方法で測定できる。
脱気処理は、反応器内を窒素置換し、20〜160℃、真空度0.1kPa〜80kPaで、10分間〜5時間減圧し、反応後の反応液から水分、空気を留去することにより行われる。この際、トルエン、イソプロピルアルコール、エタノール、ピリジン等の水と共沸する化合物を、前記反応液中の水分に対して0.1〜3モル添加して共沸を行ってもよい。
かかる脱気処理により、(A)成分中の水分量を好ましくは0.1〜100ppm、より好ましくは0.1〜50ppmに低減できる。
水分量は、JIS C 2101:2010(電気絶縁油試験方法)の「20.水分試験」の方法で測定できる。
脱気処理が行われた後、(A)成分は、再び水分を吸収しないように窒素雰囲気下又は乾燥空気下で保存されることが好ましい。また、(A)成分は、モレキュラーシーブス4A(商品名、純正化学株式会社製)等の脱水剤が、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部添加されて保存されてもよい。これにより、長期間、水分量を上記の好ましい範囲に維持できる。
(A)成分の含有量は、電気絶縁油基油の総質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、100質量%、即ち電気絶縁油基油が(A)成分のみから構成されてもよい。(A)成分の含有量が、上記下限値以上であると、部分放電特性及び生分解性が高められやすくなる。
(A)成分の含有量は、電気絶縁油基油の総質量に対して、10〜100質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましい。
<(B)成分>
(B)成分は、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジアリールアルカン、トリアリールアルカン及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(B)成分が用いられることで、部分放電消滅電圧が高められやすくなる。さらに、低温流動性が高められやすくなる。
アルキルベンゼンは、1つのベンゼン環にアルキル基が結合した芳香族炭化水素である。前記アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、アルキル基は、ベンゼン環に1つ結合してもよいし、複数結合してもよい。アルキルベンゼンとしては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン等が挙げられる。
アルキルベンゼンの有するアルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、炭素数3〜30がより好ましく、炭素数4〜24がさらに好ましく、炭素数10〜20が特に好ましい。
アルキルベンゼンとしては、アルキル基がベンゼン環に1〜4個結合したものが好ましい。また、アルキルベンゼンとしては、ベンゼン環に結合したアルキル基の合計炭素数が3〜30のものが好ましく、アルキル基の合計炭素数が4〜24のものがより好ましく、アルキル基の合計炭素数が10〜20のものがさらに好ましい。電気絶縁油基油にアルキルベンゼンが配合されると、低温流動性が高められやすくなる。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアンコチル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状であってもよいし分岐鎖状であってもよい。
アルキルベンゼンとしては、部分放電消滅電圧が高められやすくなる点から、ベンゼン環に結合したアルキル基の合計炭素数が10〜20であるものが好ましい。また前記アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状のデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基であるものが好ましい。
アルキルベンゼンは、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
アルキルベンゼンの具体例としては、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ヘプタデシルベンゼン、オクタデシルベンゼン、ノナデシルベンゼン、イコシルベンゼン等が挙げられる。
アルキルベンゼンの製造方法としては、特に制限されず、公知の方法が挙げられる。前記製造方法としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びこれらの混合物等の原料にアルキル化剤によりアルキル化する方法が挙げられる。前記アルキル化剤としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の低級モノオレフィンの重合によって得られる直鎖状又は分枝状のオレフィン、ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる直鎖状又は分枝状のオレフィン、又は、灯油、軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる直鎖状オレフィン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
アルキルナフタレンは、1つのナフタレン環にアルキル基が結合した芳香族炭化水素である。
前記アルキル基としては、上記のアルキルベンゼンに結合したアルキル基と同様のものが挙げられる。アルキル基は、ナフタレン環に1つ結合してもよいし、複数結合してもよい。
アルキルナフタレンの有するアルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、炭素数3〜30がより好ましく、炭素数10〜25がさらに好ましく、炭素数14〜20が特に好ましい。アルキルナフタレンとしては、アルキル基がナフタレン環に1〜4個結合したものが好ましい。また、アルキルナフタレンとしては、部分放電消滅電圧が高められやすくなる点から、ナフタレン環に結合したアルキル基の合計炭素数が3〜30のものが好ましく、アルキル基の合計炭素数が6〜24のものがより好ましく、アルキル基の合計炭素数が14〜20のものがさらに好ましい。
アルキルナフタレンは、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
アルキルナフタレンの具体例としては、デシルナフタレン、ウンデシルナフタレン、ドデシルナフタレン、トリデシルナフタレン、テトラデシルナフタレン、ヘプタデシルナフタレン、オクタデシルナフタレン、ノナデシルナフタレン、イコシルナフタレン等が挙げられる。
アルキルナフタレンの製造方法は特に制限されず、種々の公知の方法で製造できる。例えば、炭素数14〜20の炭化水素のハロゲン化物、炭素数14〜20のオレフィン類を、硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質又は塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒の存在下で、ナフタレンに付加する方法等が挙げられる。
ジアリールアルカンとしては、分子内に芳香族炭化水素基を2つ有するアルカン化合物が挙げられ、例えば、ジフェニルメタン、ベンジルトルエン、ベンジルキシレン、フェニル−sec−ブチルフェニルメタン、ジ−sec−ブチルジフェニルメタン、ジフェニルエタン、フェニルエチルフェニルエタン、フェニルクミルエタン、ジイソプロピルフェニルエタン、フェニルトリルエタン、ジ−sec−ブチルフェニルエタン、ジ−tert−ブチルフェニルエタン、フェニルキシリルエタン、フェニル−sec−ブチルフェニルエタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルブタン、ジトリルエタン、ジキシリルオクタン、ジキシリルデカン等が挙げられる。
これらのなかでも、フェニルエチルフェニルエタン、フェニルキシリルエタンが好ましい。
フェニルエチルフェニルエタンとしては、1−フェニル−1−(2−エチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(3−エチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(4−エチルフェニル)エタン、1−フェニル−2−(2−エチルフェニル)エタン等が挙げられる。フェニルキシリルエタンとしては、1−フェニル−1−(2,3−ジメチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(2,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(2,5−ジメチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(2,6−ジメチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(3,5−ジメチルフェニル)エタン、1−フェニル−2−(2,3−ジメチルフェニル)エタン等が挙げられる。
ジアリールアルカンの総炭素数は、13〜30が好ましく、13〜20がより好ましい。
ジアリールアルカンは、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
トリアリールアルカンとしては、分子内に芳香族炭化水素基を3つ有するアルカン化合物が挙げられる。例えば、ジベンジルベンゼン、ジベンジルトルエン、ジベンジルキシレン及びこれらのアルキル基置換体等が挙げられる。
トリアリールアルカンの総炭素数は、19〜30が好ましく、19〜26がより好ましい。
トリアリールアルカンは、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
鉱油としては、重質油から蒸留精製されたものが挙げられる。前記鉱油としては、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油又はナフテン基系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製手段が施されたパラフィン系鉱油又はナフテン系鉱油が挙げられる。これらのなかでも、熱安定性により優れる点から、高度に精製された鉱油が好ましい。前記の鉱油としては、パラフィン基系原油、中間基系原油又はナフテン基系原油を常圧蒸留するか又は常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を、常法に従い精製して得られる精製油、精製後さらに深脱ロウ処理が施されて得られる深脱ろう油、水素化処理が施されて得られる水添処理油等が挙げられる。
鉱油としては、40℃における動粘度が0.1〜100mm/sのものが好ましく、0.1〜50mm/sのものがより好ましく、0.1〜10mm/sのものがさらに好ましい。前記動粘度は、1種の鉱油で調整されてもよいし、2種以上の異なる動粘度を有する鉱油が混合されて調整されてもよい。
(B)成分としては、(A)成分と併用された際の部分放電特性と生分解性のバランスに優れる点から、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンが好ましく、アルキルベンゼンがより好ましい。アルキルベンゼンのなかでも、炭素数10〜20の直鎖状のアルキル基を有するモノアルキルベンゼンが特に好ましい。
(B)成分は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B)成分の含有量は、電気絶縁油基油の総質量に対して、0〜80質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%がさらに好ましく、35〜65質量%が特に好ましい。
(B)成分の含有量が、上記下限値以上であると、部分放電消滅電圧をより高めやすく、低温流動性をより高めやすい。
電気絶縁油基油に(B)成分が含まれる場合、(A)成分/(B)成分で表される質量比[(B)成分に対する(A)成分の質量割合]は、90/10〜20/80が好ましく、80/20〜30/70がより好ましく、65/35〜35/65がさらに好ましい。
(A)成分/(B)成分で表される質量比が前記範囲であると、部分放電特性及び生分解性に優れる電気絶縁油基油が得られやすくなる。
(A)成分及び(B)成分の合計含有量は、電気絶縁油基油の総質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%、即ち電気絶縁油基油が(A)成分及び(B)成分のみから構成されてもよい。(A)成分及び(B)成分の合計含有量が、前記の好ましい範囲であると、部分放電特性及び生分解性が高められやすくなる。
本発明の電気絶縁油基油は、カプロン酸ベンジル、カプロン酸2−フェニルエチル、カプロン酸1−フェニルエチル、カプロン酸2−フェニル−1−プロピル、カプロン酸3−フェニル−1−プロピル、カプロン酸1−フェニル−1−ブチル、エナント酸ベンジル、エナント酸2−フェニルエチル、エナント酸1−フェニルエチル、エナント酸2−フェニル−1−プロピル、エナント酸3−フェニル−1−プロピル、エナント酸1−フェニル−1−ブチル、カプリル酸ベンジル、カプリル酸2−フェニルエチル、カプリル酸1−フェニルエチル、カプリル酸2−フェニル−1−プロピル、カプリル酸3−フェニル−1−プロピル、カプリル酸1−フェニル−1−ブチル、イソオクチル酸ベンジル、イソオクチル酸2−フェニルエチル、イソオクチル酸1−フェニルエチル、イソオクチル酸2−フェニル−1−プロピル、イソオクチル酸3−フェニル−1−プロピル、イソオクチル酸1−フェニル−1−ブチル、イソノナン酸ベンジル、イソノナン酸2−フェニルエチル、イソノナン酸1−フェニルエチル、イソノナン酸2−フェニル−1−プロピル、イソノナン酸3−フェニル−1−プロピル、イソノナン酸1−フェニル−1−ブチル、カプリン酸ベンジル、カプリン酸2−フェニルエチル、カプリン酸1−フェニルエチル、カプリン酸2−フェニル−1−プロピル、カプリン酸3−フェニル−1−プロピル、及びカプリン酸1−フェニル−1−ブチルからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル(A)、及びアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジアリールアルカン、トリアリールアルカン及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含むことが好ましい。
本発明の電気絶縁油基油は、カプリル酸ベンジル、カプリン酸ベンジル、パーム油脂肪酸ベンジル、及びイソオクチル酸ベンジルからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル(A)、及びアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジベンジルトルエン、及びフェニルキシリルエタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B)を含むことが好ましい。
本発明の電気絶縁油基油は、カプリル酸ベンジル、カプリン酸ベンジル、パーム油脂肪酸ベンジル、及びイソオクチル酸ベンジルからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル(A)、及びアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジベンジルトルエン、及びフェニルキシリルエタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B)を含み、
成分(A)の含有量が、電気絶縁油基油の総質量に対し、20〜100質量%であり、
成分(B)の含有量が、電気絶縁油基油の総質量に対し、0〜80質量%であり、
成分(A)と成分(B)の合計量は100質量%を超えないものであることが好ましい。
本発明の電気絶縁油基油は、カプリル酸ベンジル、カプリン酸ベンジル、パーム油脂肪酸ベンジル、及びイソオクチル酸ベンジルからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル(A)からなるものであることが好ましい。
本発明の電気絶縁油基油は、カプリル酸ベンジル、カプリン酸ベンジル、パーム油脂肪酸ベンジル、及びイソオクチル酸ベンジルからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル(A)、及びアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジベンジルトルエン、及びフェニルキシリルエタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B)を含み、
成分(A)の含有量が、電気絶縁油基油の総質量に対し、20〜90質量%であり、
成分(B)の含有量が、電気絶縁油基油の総質量に対し、10〜80質量%であり、
成分(A)と成分(B)の合計量は100質量%を超えないものであることが好ましい。
(油入電気機器用の電気絶縁油)
本発明の油入電気機器用の電気絶縁油(以下、単に「電気絶縁油」ともいう)は、上述の電気絶縁油基油を含有する。
電気絶縁油基油の含有量は、電気絶縁油の総質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。電気絶縁油基油の含有量が前記下限値以上であると、電気絶縁油の部分放電特性及び生分解性が高められやすくなる。
電気絶縁油の生分解性は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましく、100%であってもよい。前記生分解性は、電気絶縁油基油の生分解性の測定方法と同様にして測定される。
電気絶縁油の40℃における動粘度は、0.1〜8mm/sが好ましく、0.5〜4mm/sがより好ましい。電気絶縁油の動粘度が前記の好ましい範囲であると、油入電気機器に対する冷却効果が得られやすくなる。
電気絶縁油の流動点は、−25℃以下が好ましく、−35℃未満がより好ましい。電気絶縁油の流動点が前記上限値以下であると、寒冷地等においても良好な使用性が得られ電気絶縁油の汎用性が高められる。
電気絶縁油は、上記電気絶縁油基油以外に、電気絶縁油に通常用いられるその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、上記(A)成分及び(B)成分以外の基油や、酸化防止剤、流動点降下剤、金属不活性化剤、分解抑制剤等の添加剤が挙げられる。ただし、より良好な部分放電特性及び生分解性が得られる点から、(A)成分及び(B)成分以外の基油の含有量は、電気絶縁油の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、0質量%であってもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤;トコフェロール、d−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、α−トコフェロール等のビタミンE類;アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等のビタミンC類;緑茶抽出物;生コーヒー抽出物;セサモール;セサミノール等が挙げられる。これらのうちでも、電気絶縁油基油に対する溶解性に優れる点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。電気絶縁油に酸化防止剤が配合されると、保存時及び長期間使用された場合の酸化安定性が高められやすくなる。
酸化防止剤は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の電気絶縁油が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤の含有量は、電気絶縁油基油100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
前記流動点降下剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリアルキルメタクリレート又はポリアルキルアクリレート等のアクリル系ポリマー等が挙げられる。前記アクリル系ポリマーとしては、約5千〜50万の重量平均分子量を有するものが好ましい。前記アクリル系ポリマーとしては、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリヘプチルアクリレート、ポリヘプチルメタクリレート、ポリノニルアクリレート、ポリノニルメタクリレート、ポリウンデシルアクリレート、ポリウンデシルメタクリレート、ポリトリデシルアクリレート、ポリトリデシルメタクリレート、ポリペンタデシルアクリレート、ポリペンタデシルメタクリレート、ポリヘプタデシルアクリレート、ポリヘプタデシルメタクリレート等が挙げられる。前記アクリレートポリマーとして、市販品が用いられてもよい。前記市販品としては、流動点の低下効果及びハンドリング性に優れる点から、三洋化成工業株式会社製のアクルーブ100シリーズ(アクルーブ132、133、136、137、138、146、160、以上商品名)が好ましい。
本発明の電気絶縁油が流動点降下剤を含有する場合、流動点降下剤の含有量は、電気絶縁油基油100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。流動点降下剤の含有量が、前記下限値以上であると低温流動性が高められやすくなる。流動点降下剤の含有量が、前記上限値以下であると電気絶縁油の高粘度化が抑制されやすくなる。
前記金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、4−メチル−ベンゾトリアゾール、4−エチル−ベンゾトリアゾール等の4−アルキル−ベンゾトリアゾール類;5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−エチル−ベンゾトリアゾール等の5−アルキル−ベンゾトリアゾール類;1−ジオクチルアミノメチル−2,3−ベンゾトリアゾール等の1−アルキル−ベンゾトリアゾール類;1−ジオクチルアミノメチル−2,3−トルトリアゾール等の1−アルキル−トルトリアゾール類等のベンゾトリアゾール誘導体;ベンゾイミダゾール、2−(オクチルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(デシルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−ベンゾイミダゾール等の2−(アルキルジチオ)−ベンゾイミダゾール類;2−(オクチルジチオ)−トルイミダゾール、2−(デシルジチオ)−トルイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−トルイミダゾール等の2−(アルキルジチオ)−トルイミダゾール類等のベンゾイミダゾール誘導体;チアゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体、2−(ヘキシルジチオ)ベンゾチアゾール、2−(オクチルジチオ)ベンゾチアゾール等の2−(アルキルジチオ)ベンゾチアゾール類;2−(ヘキシルジチオ)トルチアゾール、2−(オクチルジチオ)トルチアゾール等の2−(アルキルジチオ)トルチアゾール類;2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾール等の2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール類;2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)トルチアゾール等の2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−トルゾチアゾール類等のベンゾチアゾール誘導体等が挙げられる。これらのなかでも、流動帯電防止剤としての作用も得られる点から、ベンゾトリアゾール誘導体が好ましい。
金属不活性化剤は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の電気絶縁油が金属不活性化剤を含有する場合、金属不活性化剤の含有量は、電気絶縁油基油100質量部に対して0.0001〜0.5質量部が好ましく、0.0005〜0.1質量部がさらに好ましい。
前記分解抑制剤としては、ジフェニルカルボジイミド、ジトリルカルボジイミド、ビス(イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ブチルフェニル)カルボジイミド等のビス(アルキルフェニル)カルボジイミド等のカルボジイミド化合物;フェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ−6−メチルヘキサン)カルボキシレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物であるフェノールノボラック型エポキシ化合物;オルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ化合物等が挙げられる。本発明の電気絶縁油が分解抑制剤を含有すると、熱、酸素等による劣化が抑制されやすくなる。
本発明の電気絶縁油は、従来公知の製造方法により製造される。本発明の電気絶縁油の製造方法としては、例えば、電気絶縁油基油にその他の成分を添加し、これを混合する方法が挙げられる。
本発明の電気絶縁油は、油入電気機器の絶縁油として使用することができる。
(油入電気機器)
本発明の油入電気機器は、上述の電気絶縁油を備える。油入電気機器としては、例えば、変圧器、リアクトル、タップチェンジャー、ケーブル、ブッシング、変成器、コンデンサ、変流器等が挙げられる。
図1のコンデンサは、ポリプロピレンフィルム等を誘電体とし、金属箔等を電極とした構成で巻回したコンデンサ素子1;コンデンサ素子1より導出される銅箔等にて形成されたリード片2;コンデンサ素子1を収納する開口部を有する金属ケース3;金属ケースとコンデンサ素子1との間に配置された絶縁材4;金属ケース3とコンデンサ素子1とを絶縁するために金属ケースの内部を充満した絶縁媒体(電気絶縁油)5;金属ケース3を密閉する金属蓋6;金属蓋6の上部に配置され、外部電源との接続に使用する外部引出端子7;金属蓋6と外部引出端子7とを絶縁するための、熱硬化性樹脂等により形成される端子板8;金属蓋6の下に配置され、リード片2と外部引出端子7とを電気的に接続する端子棒9;及び金属蓋6の下に配置され金属蓋6と端子棒9とを絶縁し且つ絶縁媒体(電気絶縁油)5を金属ケースより漏出させないためのパッキンゴム10を有する。
図2のケーブルは、コンダクター16、コンダクター16の周囲に配置される第1半導電層17、第1半導電層の外側に配置される電気絶縁油12が含浸された層、電気絶縁油12が含浸された層の外側に配置される第2半導電層、第2半導電層の外側に配置される金属スクリーン14、及び金属スクリーン14の外側に配置される保護鞘15を備える。
以上、説明したとおり、本発明の電気絶縁油基油は、(A)成分を含有するため、部分放電特性に優れ、かつ、生分解性に優れる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
<(A)成分>
A−1:カプリル酸ベンジル、以下のように調製したもの。
A−2:カプリン酸ベンジル、以下のように調製したもの。
A−3:パーム油脂肪酸ベンジル、以下のように調製したもの。
A−4:イソオクチル酸ベンジル、以下のように調製したもの。
<(B)成分>
B−1:アルキルベンゼン(炭素数10〜13のアルキル基を有するモノアルキルベンゼン、JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「アルケンL」)。
B−2:アルキルナフタレン(炭素数16〜18のアルキル基を有するモノアルキルナフタレン、ライオン株式会社製、商品名「拡散ポンプ油A」)。
B−3:ジベンジルトルエン(綜研テクニックス株式会社製、商品名「NeoSK−OIL」)。
B−4:フェニルキシリルエタン(JIS C2320、5種2号絶縁油)。
<(A’)成分:(A)成分の比較成分>
A’−1:カプリル酸メチル(ライオン株式会社製、商品名「パステルM−8」)。
A’−2:パーム油脂肪酸メチル(ライオン株式会社製、商品名「パステルM−182」)。
A’−3:カプリル酸2−エチルヘキシル(ライオン株式会社製、商品名「パステル2H−08」)。
A’−4:菜種油(株式会社かんでんエンジニアリング製、商品名「サンオームECO」)。
[カプリル酸ベンジルの調製例]
撹拌機、温度計、分縮管及び全縮管を取り付けた5Lの四つ口フラスコに、カプリル酸2100g(関東化学株式会社製)と、ベンジルアルコール(関東化学株式会社製)1653g(モル比1:1.05)と、p−トルエンスルホン酸・一水和物(東京化成工業株式会社製)0.5gとを仕込み、窒素置換を行った。その後、窒素を1mL/分の流量で流通させながら、液温が140℃になるまで昇温してエステル化反応を行い、反応により生成した水を蒸留により除去した。水を除去した後、さらに0.6kPaまで徐々に減圧しながら200℃になるまで昇温し、未反応のカプリル酸とベンジルアルコールを1質量%以下とした粗製物を得た。次いで、前記粗製物3310gに対し、ろ過助剤としてハイフロスーパーセル(純正化学株式会社製)を33.1g添加し、10分間攪拌して均一に分散させた後、80℃で加圧ろ過を行い、カプリル酸ベンジルを得た。
[カプリン酸ベンジルの調製例]
カプリル酸の代わりにカプリン酸(関東化学株式会社製)を用い、カプリン酸とベンジルアルコールとのモル比が、カプリン酸:ベンジルアルコール=1:1.2となるように仕込んだこと以外は、上記カプリル酸ベンジルの調製例と同様にして、カプリン酸ベンジルを得た。
[パーム油脂肪酸ベンジルの調製例]
カプリル酸の代わりにパーム油脂肪酸メチル(商品名「パステルM−182」、ライオン株式会社製)を用い、パーム油脂肪酸メチルとベンジルアルコールとのモル比が、パーム油脂肪酸メチル:ベンジルアルコール=1:1.2となるように仕込んだこと以外は、上記カプリル酸ベンジルの調製例と同様にして、パーム油脂肪酸ベンジルを得た。
[イソオクチル酸ベンジルの調製例]
カプリル酸の代わりにイソオクチル酸(KHネオケム株式会社製)を用い、イソオクチル酸とベンジルアルコールとのモル比が、イソオクチル酸:ベンジルアルコール=1:1.2となるように仕込んだこと以外は、上記カプリル酸ベンジルの調製例と同様にして、イソオクチル酸ベンジルを得た。
(実施例1〜10、比較例1〜9)
上記(A−1)を実施例1の電気絶縁油基油とした。また、表1〜2に示す組成に従い、上記(A)成分と(B)成分を混合して実施例2〜10の電気絶縁油基油を製造した。
上記(B−4)、(B−1)、(B−3)、(A’−1)、(A’−2)、(A’−3)を、それぞれ比較例1〜6の電気絶縁油基油とした。(A)成分に代えて(A’)成分を用いたこと以外は、実施例2と同様にして比較例7〜9の電気絶縁油基油を製造した。
表1〜2に、得られた各例の電気絶縁油基油の組成(配合成分、含有量(質量%))を示す。
表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。
なお、実施例1、6及び8は参考例である。
各例の電気絶縁油基油について、部分放電特性(部分放電開始電圧、部分放電消滅電圧)、生分解性を以下のように評価した。評価結果を表1〜2に示す。
また、各例の電気絶縁油基油の流動点、動粘度を以下のように測定した。測定結果を表1〜2に示す。
(部分放電特性の評価)
<部分放電開始電圧の評価>
各例の電気絶縁油基油の部分放電開始電圧をJEC−0401−1990に準拠して測定した。具体的には、部分放電測定器(E.R.A.Discharge Detector Model5 Type700、Robinson Instruments社製)を用い、所定の電圧の下で印加電圧を徐々に上昇させた際に、所定の大きさ(放電パルスの大きさ、発生頻度)を超える部分放電が開始した電圧(部分放電開始電圧)を測定した。比較例1の電気絶縁油基油(フェニルキシリルエタン:JIS C2320、5種2号絶縁油)の部分放電開始電圧の測定値を基準(100%)とし、前記測定値に対する各例の部分放電開始電圧の測定値の相対値を求めた。前記相対値を下記評価基準に分類し、各例の電気絶縁油基油の部分放電開始電圧を評価した。AA、Aを合格とした。
[評価基準]
AA:100%超。
A:95〜100%。
B:95%未満。
<部分放電消滅電圧の評価>
各例の電気絶縁油基油の部分放電消滅電圧をJEC−0401−1990に準拠して測定した。具体的には、部分放電測定器(E.R.A.Discharge Detector Model5 Type700、Robinson Instruments社製)を用い、所定の電圧の下で印加電圧を徐々に下降した際に、所定の大きさ(放電パルスの大きさ、発生頻度)を超える部分放電が消滅する電圧(部分放電消滅電圧)を測定した。
比較例1の電気絶縁油基油の部分放電開始電圧の測定値を基準(100%)とし、前記測定値に対する各例の電気絶縁油基油の部分放電消滅電圧の測定値の相対値を求めた。前記相対値を下記評価基準に分類し、各例の電気絶縁油基油の部分放電消滅電圧を評価した。AAA、AA、Aを合格とした。なお、下記評価基準でBは、部分放電が消滅されず実用できないと評価される。
[評価基準]
AAA:50%超。
AA:45〜50%。
A:40%以上45%未満。
B:40%未満。
(生分解性の評価)
各例の電気絶縁油基油の生分解性試験を、OECD Guideline for Testing of chemicalsに定めるManometric Respirometry Test(Guideline 301F、17th July 1992)に準拠して実施した。試験条件は下記のとおりとした。
試験条件:被験物質濃度100mg/L、活性汚泥濃度30mg/L(懸濁物質濃度として)、試験液量300mL、試験液培養温度25±1℃、試験液培養期間28日間(遮光下)。
分解度算出のための測定は、閉鎖系酸素消費量測定装置による生物化学的酸素要求量(BOD)により行った。60%以上の生分解性が得られたものを合格とした。
(流動点の測定)
各例の電気絶縁油基油の流動点を、JIS K 2269:1987(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)の「3.流動点試験方法」に準拠して測定した。
各例の電気絶縁油基油の流動点を下記評価基準に分類し、流動点を評価した。AA、Aであれば寒冷地等においても良好に使用でき汎用性に優れると評価される。
[評価基準]
AA:流動点が−35℃未満。
A:流動点が−35〜−25℃。
B:流動点が−25℃超。
(動粘度の測定)
各例の電気絶縁油基油の40℃における動粘度を、JIS K2283:2000(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に準拠しキャノンフェンスケ型動粘度管を使用して測定した。
各例の電気絶縁油基油の動粘度を下記評価基準に分類し、動粘度を評価した。AA、Aであれば油入電気機器に対して良好な冷却効果が得られやすいと評価される。
[評価基準]
AA:4mm/s以下。
A:4mm/s超8mm/s以下。
B:8mm/s超。
Figure 0006655607
Figure 0006655607
表1〜2に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜10の電気絶縁油基油は、部分放電特性(部分放電開始電圧、部分放電消滅電圧)に優れ、かつ、生分解性に優れることが確認できた。さらに、実施例1〜10の電気絶縁油基油は、流動点及び動粘度が低く、寒冷地等での使用性及び油入電気機器に対する冷却効果に優れると評価される。
一方、(B−4)からなる電気絶縁油基油(比較例1)、(B−3)からなる電気絶縁油基油(比較例3)は、充分な生分解性が得られなかった。
(B−1)からなる電気絶縁油基油(比較例2)、(A’)成分と(B−1)が併用された電気絶縁油基油(比較例8、比較例9)は、充分な部分放電特性(部分放電開始電圧、部分放電消滅電圧)が得られなかった。
(A’)成分からなる電気絶縁油基油(比較例4〜6)は、充分な部分放電特性(部分放電消滅電圧)が得られなかった。
(A’)成分と(B−4)が併用された電気絶縁油基油(比較例7)は、充分な部分放電特性(部分放電消滅電圧)及び生分解性が得られなかった。
以上の結果から、本発明を適用した電気絶縁油基油は、部分放電特性に優れ、かつ、生分解性に優れることが確認できた。
本願発明は、部分放電特性に優れ、かつ、生分解性に優れる油入電気機器用の電気絶縁油基油を提供することを目的とする。
1 コンデンサ素子
2 リード片
3 金属ケース
4 絶縁材
5 絶縁媒体(電気絶縁油)
6 金属蓋
7 外部引出端子
8 端子板
9 端子棒
10 パッキンゴム
11 絶縁板
12 電気絶縁油
13 第2半導電層
14 金属スクリーン
15 保護鞘
16 コンダクター
17 第1半導電層

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で表される脂肪酸エステル(A)と、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、及びトリアリールアルカンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含有し、前記アルキルベンゼンにおけるアルキル基が炭素数10〜20の直鎖状であり、前記アルキルナフタレンにおいて、ナフタレン環に結合したアルキル基の合計炭素数が10〜25であり、前記トリアリールアルカンの総炭素数が19〜30であり、(A)成分/(B)成分で表される質量比が90/10〜35/65である、油入電気機器用の電気絶縁油基油。
    −COO−R・・・(I)
    ただし、式(I)中、Rは、炭素数5〜17の直鎖状又は炭素数5〜17の分岐鎖状の炭化水素基であり、Rは、炭素数6〜10のアリールアルキル基である。
  2. 前記式(I)中、Rは、炭素数5〜17の分岐鎖状の炭化水素基である、請求項1に記載の油入電気機器用の電気絶縁油基油。
  3. 請求項1又は2に記載の油入電気機器用の電気絶縁油基油を含有する、油入電気機器用の電気絶縁油。
  4. 請求項に記載の油入電気機器用の電気絶縁油を備える、油入電気機器。
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