JP6655323B2 - 主部材の補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、木造建築において、テンションロッドを用いた主部材の補強構造に関する。
テンションロッドは細長い金属棒で、鉄骨構造やプレハブ構造の筋交いとして広く使用されている。テンションロッドは、必然的に圧縮荷重を受け止めることはできないが、柱と梁で区画される格子の内部に「X」状に二本配置することで、構造物に外力が作用した際、いずれか一本には引張荷重が作用するため、格子の変形を規制し、構造物の剛性を高めることができる。このテンションロッドを用いた建築技術の例として、後記の特許文献が挙げられる。
特許文献1では、倒壊時の粘り強さを増大させた木造建築物の耐震構造が開示されている。この耐震構造は、柱と横架材からなる格子状の骨格を補強するもので、隣接する二本の柱を結ぶ「つなぎ材」を配置したことを特徴とする。つなぎ材は、棒状の長尺金物の両端に当て金を一体化したもので、当て金を柱の側面に接触させる。さらに当て金は、ボルトで柱に固定するほか、当て金と柱の間には、弾性シートを挟み込む。つなぎ材を用いることで、柱の断面欠損を最小限に留めながら、二本の柱を強固に連結できるほか、長尺金物や弾性シートの変形により、倒壊時の粘り強さが増大する。加えて特許文献1では、テンションロッドを「X」状に二本配置することも開示されている。
特許文献2では、住宅の屋根部分を支持するトラス構造が開示されており、軽量化や組み立て作業の簡素化を課題としている。このトラス構造は、屋根の勾配に沿って伸びる登り梁や、左右の登り梁の下端部同士を結ぶ水平梁や、登り梁と水平梁を垂直に結ぶ登り梁束や、登り梁と水平梁を斜方向に結ぶ斜材で構成されるが、住宅用途における荷重条件を精査し、登り梁束と斜材の一部には、圧縮荷重が作用しないことに着目し、これらに丸鋼を切り出したブレース(テンションロッド)を用いたことを特徴とする。ブレースは、鋼材に比べて軽量で、しかもトラス構造への取り付けや張力の調整も容易で、組み立て作業の簡素化も実現する。
特開2001−26984号公報 特開平6−306991号公報
公共施設や商業施設のほか、倉庫や畜産施設などは、広大な室内空間を確保する必要があるほか、建築コストの削減要求も厳しく、通常、その骨格には鋼材を用いる。しかし近年は、森林資源の有効活用や室内環境の改善などの観点から、このような建築物についても木造化することが模索されている。その場合においても、建築コストの削減は重要で、室内空間を確保した上で、部材の使用量や施工時の手間を削減する必要がある。そのため、柱や梁などの部材同士をテンションロッドで引き寄せ、部材に圧縮荷重や曲げモーメントを作用させ、骨格の剛性を高めることが多い。
このように、部材同士をテンションロッドで引き寄せる場合、仮にテンションロッドが脱落すると、部材の据え付けが不安定になり、建築物の破損を引き起こす恐れもある。したがってテンションロッドは、部材と強固に連結し、脱落などの事態を防ぐ必要がある。またテンションロッドには、常時張力が作用するため、部材との取り付け箇所では、部材が徐々に変形し、テンションロッドに緩みが発生し、剛性が低下する恐れもある。
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、テンションロッドの脱落を防止でき、安全性に優れるほか、荷重による経年変形にも配慮された主部材の補強構造の提供を目的としている。
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、テンションロッドを用いた主部材の補強構造であって、中板と該中板の左右両端から突出する側板とからなるコの字状の固定具と、前記左右の側板および前記主部材を貫く支点ピンと、該支点ピンに対し揺動自在に取り付ける一対のリンクと、該一対のリンクを結ぶ外部ピンと、を用い、前記支点ピンを差し込むため、前記主部材には通し孔を設けるほか、前記側板にはピン孔を設け、前記リンクの一端には前記支点ピンを差し込むための支点孔を設け、他端には前記外部ピンを差し込むための外方孔を設け、前記左右の側板の間には前記主部材を嵌め込み、該主部材の端面を前記中板に接触させ、前記支点ピンを差し込み、前記固定具を前記主部材に取り付けると共に、該支点ピンの両端には前記リンクを揺動自在に取り付け、前記外部ピンは、前記主部材の外に配置し、且つその両端は前記外方孔に差し込み、前記テンションロッドの端部は、前記外部ピンで保持することを特徴とする主部材の補強構造である。
本発明は、木造建築の骨格の剛性を向上するため、テンションロッドを用い、主部材に常時軸力などを作用させ、その変形を抑制するもので、主部材とは、木造建築の骨格となる各種棒状の部材(集成材を含む木材)で、テンションロッドによる効果を受けるものを指すが、その用途や据え付け時の姿勢などは自在である。またテンションロッドの中間部には、張力を調整するため、ターンバックルを組み込むほか、端部には、クレビスなどを組み込む。
固定具は、主部材とテンションロッドをつなぐ金属製の部品で、主部材の端部に組み込む。そのため、中央に位置する中板と、この中板の左右両側から直角に突出する側板と、からなるコの字状で、二枚の側板で主部材を挟み込み、主部材の端面を中板に接触させる。したがって固定具の寸法は、主部材の断面形状に応じて決める。なお側板は、原則として左右とも同形状とする。
支点ピンは、固定具およびテンションロッドを主部材に取り付けるために用い、固定具の二枚の側板を貫くように差し込む棒状のものである。固定具の中に主部材の端部を嵌め込んだ後、支点ピンを差し込むと、必然的に固定具が主部材に取り付けられる。なお支点ピンを差し込むため、主部材には、両側面を貫通する通し孔を加工するほか、固定具の側板には、ピン孔を設ける。通し孔は、主部材の端面が中板に接触するよう、加工位置を調整する。また支点ピンは、その両端が側板から突出するよう、全長を調整する。
リンクは、固定具とテンションロッドをつなぐ帯状の部品で、主部材の左右に配置する。そのため二個で一対となり、支点ピンを中心として、自在に揺動できるように取り付ける。なおリンクは、固定具から突出する支点ピンの端部に取り付け、主部材に接触することはない。揺動可能なリンクを用いることで、テンションロッドをあらゆる方向に引き出すことができる。
外部ピンは、テンションロッドを取り付けるために用い、左右のリンクの外縁付近を結ぶ。また外部ピンは、先の支点ピンから極力遠ざけ、主部材の外に配置する。外部ピンの中央付近にテンションロッドを取り付けることで、テンションロッドが主部材に接続される。なおテンションロッドの取り付け方法は自在だが、テンションロッドの端部にクレビスを組み込み、クレビスに外部ピンを差し込むことが多い。そのほか支点ピンや外部ピンを差し込むため、リンクには支点孔と外方孔を設けるが、支点孔は、一端側の近傍に位置し、外方孔は、他端側の近傍に位置する。
このように、支点ピンを用い、固定具を主部材に取り付け、さらに支点ピンを中心として揺動可能なリンクを組み込み、リンクの外縁付近に差し込む外部ピンでテンションロッドを取り付けることで、テンションロッドに作用する張力は、固定具を介し、主部材の端面を押圧する。そのため主部材を引き裂くような荷重が発生することはなく、固定具の脱落を防止でき、安全性に優れる。また主部材の端面を押圧する荷重の方向は、ほぼ主部材の繊維方向に沿うため、経年変形を生じにくく、テンションロッドの緩みも抑制される。
請求項1記載の発明のように、主部材の補強構造として、固定具と支点ピンとリンクと外部ピンを用い、固定具の中に主部材の端部を嵌め込み、支点ピンで双方を一体化するほか、支点ピンの両端にリンクを組み込み、リンクの先端付近を結ぶ外部ピンでテンションロッドを保持することで、テンションロッドに作用する張力は、固定具を介し、主部材の端面を押圧し、主部材を引き裂くような荷重が発生することはない。そのため、固定具およびテンションロッドは、主部材から脱落することがなく、安全性に優れる。また、固定具が主部材の端面を押圧することで生じる圧縮荷重の方向は、ほぼ主部材の繊維方向に沿うため、主部材の経年変形を生じにくく、テンションロッドの緩みも抑制される。
本発明による主部材の補強構造の具体例を示す斜視図で、主部材は、木造建築の屋根の骨格となる登り梁で、屋根の傾斜に沿って斜方向に配置する。 図1の主部材にテンションロッドを取り付ける過程を示す斜視図である。 図1の主部材を柱に据え付けた状態を示す斜視図である。 本発明による主部材の補強構造を用い、建築物の骨格を築き上げた状態を示す斜視図である。 図1と同様、本発明による主部材の補強構造の具体例を示す斜視図だが、より荷重条件が厳しい場合を想定しており、柱と主部材の横断面が大きくなっている。 図5の主部材にテンションロッドを取り付ける過程を示す斜視図である。 図5の主部材を柱に据え付けた状態を示す斜視図である。 主部材(登り梁)の両側面にテンションロッドを配置する場合を示す斜視図で、支点ピンの延長を増大させ、その両端にそのままテンションロッドを取り付けている。 図8の主部材を柱に据え付けた状態を示す斜視図である。 主部材(登り梁)の下端部にテンションロッドを取り付けるほか、主部材の据え付けにホゾシャフトを用いた場合を示す斜視図である。 図10の主部材にテンションロッドを取り付ける過程を示す斜視図である。 図10の主部材を柱に据え付けた状態を示す斜視図である。 複数の部材で構成されるトラス構造に本発明を導入した場合を示す斜視図である。 図13のテンションロッドの端部付近を拡大した図で、上方には主部材と斜材の境界周辺を描いてあり、下方には箱形金具の周辺を描いてある。 固定具の形状例を示す斜視図で、中板を上下に延長し、その根元付近を折り曲げ、水平に突出する上板と下板を設けたものである。 図15の主部材を柱に据え付けた状態を示す斜視図である。
図1は、本発明による主部材41の補強構造の具体例を示し、この図における主部材41は、木造建築の屋根の骨格となる登り梁で、屋根の傾斜に沿って斜方向に配置するが、主部材41の傾斜を維持するため、その下端部にテンションロッド61を取り付け、中心寄りに引き寄せている。テンションロッド61により、主部材41に作用する下向きの荷重に対抗し、主部材41の倒伏を防止する。またテンションロッド61を主部材41に取り付けるため、固定具11などを用いる。なお固定具11は、主部材41を柱31に据え付ける機能も備えている。そのほか柱31と主部材41は、鋼材ではなく木材(集成材を含む)である。
固定具11は、鋼板を二箇所で折り曲げたコの字状で、中央に位置する中板14と、中板14の左右両端から直角に突出する側板15で構成され、その中に主部材41の下端部を嵌め込む。したがって二枚の側板15の間隔は、主部材41の幅に対応させており、主部材41の端面が中板14に接触する。また固定具11の中に主部材41を嵌め込んだ後、双方を一体化するため、二枚の側板15を貫通する支点ピン26を差し込む。そのため側板15には、ピン孔16を設けてあるほか、主部材41の側面には、ピン孔16と同心となる位置に通し孔46を加工してある。通し孔46は、施工性を考慮し、支点ピン26に対し余裕のある内径とする。
固定具11とテンションロッド61は、支点ピン26とリンク21と外部ピン22を介して接続される。リンク21は帯状の金属板で、固定具11の側板15の外方に計二枚配置し、支点ピン26で保持する。そのためリンク21の一端側には、支点ピン26を差し込むための支点孔24を設けてあり、リンク21は、支点ピン26を中心として自在に揺動することができる。また支点孔24の反対側には、外方孔25を設けてあり、左右の外方孔25を結ぶように外部ピン22を差し込む。なお支点ピン26および外部ピン22は、円断面の金属棒で、いずれについても、差し込まれたリンク21の離脱を防ぐため、端部にクリップ29を取り付ける。このクリップ29では強度上の不安がある場合、フランジやナットを用いる。
テンションロッド61は汎用品で、その端部にはクレビス62を固着してあり、クレビス62に外部ピン22を差し込むことで、固定具11とテンションロッド61が接続される。リンク21は、支点ピン26を中心として揺動可能で、あらゆる方向にテンションロッド61を引き出すことができる。ただしテンションロッド61は、主部材41の下に配置するため、リンク21の全長は、主部材41の傾斜や通し孔46の位置などを考慮して決める。
主部材41を柱31に据え付けるため、寄せボルト38を用いる。固定具11を主部材41に取り付けた後、固定具11を柱31の側面上部に接触させ、柱31の側面から固定具11に向け、寄せボルト38を上下二本差し込む。そのため固定具11の中板14には、上下二箇所にメネジ18を形成してあるほか、柱31の側面には、横孔33を加工してある。横孔33は、柱31の側面を貫通しているが、その一端(固定具11の反対側)には、寄せボルト38の頭部を収容するため、座グリ39を加工してある。なお座グリ39の底面の陥没を防ぐため、ワッシャ37を組み込んである。
図2は、図1の主部材41にテンションロッド61を取り付ける過程を示す。まずは二枚のリンク21の間にクレビス62を配置し、これらを貫くように外部ピン22を差し込み、さらに脱落防止のため、外部ピン22の両端にクリップ29を取り付ける。次に、固定具11の中に主部材41の下端部を嵌め込み、リンク21の支点孔24と側板15のピン孔16と主部材41の通し孔46を同心に揃えた後、これらを貫くように支点ピン26を差し込み、その両端にクリップ29を取り付けると、図2の右下に描くように、固定具11などを介し、テンションロッド61が主部材41に取り付けられる。
図3は、図1の主部材41を柱31に据え付けた状態を示す。主部材41の下端部には、リンク21などを介しテンションロッド61が取り付けられている。テンションロッド61は水平に伸び、主部材41の下端部を引き寄せ、主部材41の倒伏を防いでいる。また主部材41の下端部は、固定具11の中に嵌り込んでおり、テンションロッド61に作用する張力は、主部材41の下端面を押圧する。そのため、テンションロッド61が主部材41から離脱することはない。さらに主部材41の内部には、ほぼ繊維方向に沿って圧縮荷重が作用し、経年変形が抑制される。
固定具11は、柱31の側面に接触しており、柱31から固定具11に向けて寄せボルト38を差し込み、固定具11を柱41の側面に引き寄せている。したがって主部材41から伝達する下向きの荷重は、寄せボルト38だけで受け止められる。当然ながら下向きの荷重が増大する場合、寄せボルト38だけに依存しない対策を講じる。なお寄せボルト38の頭部は、座グリ39に埋め込まれ、柱31の側面から突出することはない。
図4は、本発明による主部材41の補強構造を用い、建築物の骨格を築き上げた状態を示す。この骨格は、屋根を支える主部材41(登り梁)を柱31で支える構造で、そのうち主部材41は、二本を対向するように配置し、双方の下端部をテンションロッド61で引き寄せ、所定の傾斜を維持する。なおテンションロッド61は、固定具11やリンク21などを介し、主部材41に取り付け、さらに左右のテンションロッド61は、中央のターンバックル64で接続される。そしてターンバックル64を回転させ、テンションロッド61に張力を与えると、対向する主部材41の下端部同士が引き寄せられる。そのほか、対向する主部材41同士の頂上部は、各種従来技術を用いて連結する。
図4上方に描くように、対向する主部材41同士を組み上げた後、これに下向きの荷重が作用すると、テンションロッド61がこれに対抗し、主部材41の倒伏を防ぐ。またテンションロッド61の張力を増大すると、主部材41がアーチ状に変形し、骨格の剛性が一段と向上する。なお図4上方に描く合掌構造は、単独で高い剛性を有し、両端を支持するだけで架空に据え付けることができる。そのほか、固定具11が主部材41を押圧することで生じる圧縮荷重は、概ね主部材41の繊維方向に沿うため、接触面の陥没といった経年変形を生じにくく、緩みも生じにくい。
施工時は、図4上方に描くように、あらかじめ二本の主部材41を合掌構造に組み上げる。また柱31は、所定の位置に直立させ、その後、組み上がった主部材41を吊り上げ、対向する柱31の間に配置する。次に、柱31の側面から固定具11に向けて寄せボルト38を差し込み、これを締め付けると、主部材41が架空に据え付けられる。なお主部材41とテンションロッド61からなる合掌構造は、単独で高い剛性を有し、柱31と主部材41を剛的に連結する必要がない。そのほか骨格全体の強度を確保するため、隣接する柱31や主部材41は、棟木58や桁材59で連結する。
なお図4では、固定具11などを用いてテンションロッド61を取り付けているが、これらを用いることなく、左右の柱31同士を直にテンションロッドで引き寄せ、柱31の側面で主部材41の下端面を押圧することも可能である。しかし柱31の側面は、繊維方向との兼ね合いで押圧荷重による陥没を生じやすく、主部材41の下端面が徐々に柱31に食い込み、骨格に緩みを生じる恐れがある。対して本発明では、このような問題を生じない。
図5は、図1と同様、本発明による主部材41の補強構造の具体例を示すが、より荷重条件が厳しい場合を想定したもので、柱31と主部材41の横断面が大きくなっている。そのため、柱31の上端部を部分的に切り欠いた段部36を設け、そこに主部材41の下端部を載せ、下向きの荷重を受け止めている。また柱31と主部材41を一体化する寄せボルト38は、上下に三本使用しており、柱31の横孔33や、固定具11のメネジ18などは、上下に三組並んでいる。そのほかリンク21は、主部材41の大形化に伴い長尺化してある。
加えて、テンションロッド61の張力を増大させることから、主部材41に作用する圧縮荷重も増大する。この圧縮荷重は、主部材41の繊維方向に沿うため、主部材41の変形も抑制されるが、主部材41の下端面の応力を緩和するため、上下に二本のラグスクリュー47を埋め込む。
ラグスクリュー47は、円柱状の金属棒で、その側周面には螺旋状に伸びる凸条48を形成してあるほか、一端面には六角形の頭部49を形成してある。またラグスクリュー47を埋め込むため、主部材41の下端面には下穴43を加工してあり、その内周面に凸条48が食い込むことで、ラグスクリュー47が固定される。埋め込まれたラグスクリュー47の頭部49が、固定具11の中板14に接触することで、主部材41の下端面の応力が緩和され、ひび割れなどを防止できる。なお下穴43は、通し孔46を避けるように配置してある。
図6は、図5の主部材41にテンションロッド61を取り付ける過程を示す。主部材41の下穴43にラグスクリュー47を埋め込み、ラグスクリュー47の端面は、主部材41の下端面と段差なく並べ、固定具11の中板14と接触できるようにする。また外部ピン22を介し、リンク21とテンションロッド61を接続する。次に、固定具11の中に主部材41の下端部を嵌め込み、リンク21と側板15と主部材41を貫くように支点ピン26を差し込み、その両端にクリップ29を取り付けると、図6の右下に描くように、主部材41にテンションロッド61が取り付けられる。
図7は、図5の主部材41を柱31に据え付けた状態を示す。主部材41の下端部は、柱31の段部36に載っており、主部材41に作用する下向きの荷重を受け止めている。また固定具11などを介し、テンションロッド61が取り付けられ、主部材41の下端部を引き寄せている。なお固定具11は、埋め込まれたラグスクリュー47に接触しており、テンションロッド61に由来する圧縮荷重は、主部材41の下端面に集中することなく、ラグスクリュー47の周辺に分散される。
図8は、主部材41(登り梁)の両側面にテンションロッド61を配置する場合を示し、支点ピン26の延長を増大させ、その両端にそのままテンションロッド61を取り付けている。ここで用いる固定具12は、これまでと同様、中板14と側板15からなり、側板15には、支点ピン26を差し込むためのピン孔16を設けてあるほか、中板14には、寄せボルト38を螺合するためのメネジ18を形成してある。また柱31には、寄せボルト38を差し込むための横孔33や、寄せボルト38の頭部を収容する座グリ39を上下二組加工してある。
図8では、テンションロッド61を左右二箇所に配置するが、そのクレビス62は、側板15の外方に配置し、支点ピン26で固定具12に取り付ける。クレビス62は、支点ピン26に対し自在に揺動可能で、テンションロッド61をあらゆる方向に引き出すことができる。また支点ピン26は、クレビス62を考慮した全長としてあり、その両端に抜け止めのクリップ29を取り付ける。この図の構成は、図1などに示すリンク21や外部ピン22が不要になるものの、テンションロッド61は二本必要になる。
図9は、図8の主部材41を柱31に据え付けた状態を示し、柱31と主部材41の境界には、固定具12が挟み込まれ、固定具12の左右両側には、テンションロッド61を配置してある。なおテンションロッド61は、二本とも水平方向に伸び、固定具12から遠ざかるに連れ、主部材41からも遠ざかる。この図のように、主部材41の外側にテンションロッド61を配置することで、テンションロッド61の引き出し方向に制限がなくなり、主部材41と同じ方向に揃えることもできる。
図10は、主部材41(登り梁)の下端部にテンションロッド61を取り付けるほか、主部材41の据え付けにホゾシャフト51を用いた場合を示す。この図においても、固定具11などを介し、主部材41にテンションロッド61を取り付ける点は、何ら変わりがない。ただし主部材41の下端部は、柱31の上端面に載り、柱31と主部材41をホゾシャフト51で連結する点が異なる。ホゾシャフト51は、円断面の金属棒で、柱31と主部材41の境界を貫くように埋め込み、さらにホゾシャフト51の側周面を貫くようにドリフトピン52を打ち込み、主部材41を据え付ける。
ホゾシャフト51を埋め込むため、柱31の上端面中央に軸穴35を加工するほか、主部材41についても、これと同心となる位置に軸孔45を加工する。またホゾシャフト51の側周面には、ドリフトピン52を差し込むための抜き孔54を六箇所に設けてあり、柱31と主部材41のいずれとも、抜き孔54と同心となる位置に丸孔34、44を加工してある。なおホゾシャフト51は、柱31や主部材41に緩みなく嵌り込むほか、ドリフトピン52は、摩擦で強固に保持される。
図11は、図10の主部材41にテンションロッド61を取り付ける過程を示す。主部材41の側面に加工した丸孔44は、固定具11で塞がれる。そのためテンションロッド61の取り付けに先立ち、軸孔45にホゾシャフト51を差し込み、さらに上下三箇所の丸孔44にドリフトピン52を打ち込み、ホゾシャフト51を主部材41と一体化する。次に、固定具11の中に主部材41の下端部を嵌め込み、リンク21と側板15と主部材41を貫くように支点ピン26を差し込み、その両端にクリップ29を取り付けると、図11の右下に描くように、主部材41にテンションロッド61が取り付けられる。
図12は、図10の主部材41を柱31に据え付けた状態を示す。主部材41の下端部は、柱31の上端面に載っており、主部材41に作用する下向きの荷重を受け止めている。またホゾシャフト51は、柱31と主部材41を貫き、さらにホゾシャフト51と交差するようにドリフトピン52を打ち込んであり、柱31と主部材41が強固に連結されている。そのほか主部材41の下端部には、固定具11などを介しテンションロッド61が取り付けられている。
図13は、複数の木材で構成されるトラス構造に本発明を導入した場合を示す。このトラス構造は、二本の主部材42と、その間に位置する中間材73の剛性を高めるため、これらの下に斜材74と下弦材76を配置し、さらに中間材73と下弦材76の両端には、上下をつなぐ中柱75を配置してある。なおこの図での主部材42は、これまでの登り梁ではなく、水平に伸びる横架材である。また、斜材74と下弦材76と中柱75が丁字状に集まる箇所には、箱形金具79を配置し、これらの端面を一括して一体化している。
テンションロッド61、66は、主部材42を含むトラス構造全体の剛性を高めるために用い、斜材74と下弦材76に沿って配置してあり、その張力で隣接する各材を密着させ、緩みを除去する。そこで主部材42の端部(トラス構造の左右両端)には、固定具12を嵌め込み、さらに固定具12と主部材42を貫くように支点ピン26を差し込み、主部材42の左右両側にクレビス62を取り付ける。またクレビス62に固着したテンションロッド61は、斜材74に沿って配置する。なおこのテンションロッド61は、箱形金具79で分断され、下弦材76に沿う区間は、別のテンションロッド66を用いている。そのほか、各テンションロッド61、66の中間には、ターンバックル64を配置してある。
図14は、図13のテンションロッド61、66の端部付近を拡大したものである。図14の上方では、主部材42と斜材74の境界周辺を描いてあり、固定具12の中に主部材42の端部を嵌め込み、双方を支点ピン26で一体化している。またこの支点ピン26の端部には、テンションロッド61のクレビス62を差し込む。なおテンションロッド61は、反対面にも同様に取り付けてある。
図14の下方では、箱形金具79の周辺を描いてあり、支点ピン26が箱形金具79を貫通している。そしてこの支点ピン26の端部には、斜材74側のクレビス62と、下弦材76側のクレビス67が同心で差し込まれている。なお箱形金具79の反対面についても、同様の構成となっている。
図15は、固定具13の形状例を示す。これまでの各図に描いたように、固定具11、12、13は、主部材41、42の端部を収容するほか、テンションロッド61を取り付けるためコの字状となるが、この図のように、施工性や下向き荷重の伝達を考慮し、中板14を上下に延長し、その根元付近を折り曲げ、水平に突出する上板19と下板20を設けることもできる。なお図15の主部材42は、水平に伸びる横架材で、固定具13を介し柱31に据え付けられるほか、柱31と主部材42の角には、斜材74を配置する。また固定具13を挟むように、二本のテンションロッド61を取り付ける。
固定具13の上板19と下板20は、反対方向に突出し、そのうち下板20は、主部材42の端部を載せるためのもので、また上板19は、固定具13および主部材42を柱31に据え付けるためのもので、柱31の上端面に載る。そのため、主部材42に作用する下向き荷重を円滑に柱31に伝達できるほか、主部材42の仮置きが容易で施工性に優れる。なお柱31の側面から寄せボルト38を差し込み、固定具13を柱31に引き寄せる点は、これまでと同じである。そのほか作図上の都合で、側板15は一枚のみ描いてあるが、実際には中板14を挟んで左右に二枚存在する。
斜材74は、主部材42を補強するために用い、柱31と主部材42の角に配置し、さらに斜材74の端部を主部材42の下面に取り付ける。なお斜材74の上端面は、固定具13の形状を考慮し、段差を設けてある。またテンションロッド61は、斜材74に沿って斜方向に引き出し、その端部のクレビス62は、支点ピン26を介して固定具13に取り付ける。テンションロッド61は、斜材74の外側に配置され、斜材74と接触することはない。
図16は、図15の主部材42を柱31に据え付けた状態を示す。主部材42は、固定具13を介して柱31に据え付けられ、さらに寄せボルト38を固定具13に螺合させることで、主部材42を柱31に引き寄せる。またテンションロッド61は、斜材74に沿って伸びているが、斜材74とはわずかな交角を有する。そのほか主部材42の上面は、固定具13の上板19と段差なく並び、固定具13の下板20は、主部材42と斜材74の間に挟み込まれている。
11 固定具(リンクおよび外部ピンを用いるもの)
12 固定具(リンクと外部ピンのいずれも用いないもの)
13 固定具(上板と下板のあるもの)
14 中板
15 側板
16 ピン孔
18 メネジ
19 上板
20 下板
21 リンク
22 外部ピン
24 支点孔
25 外方孔
26 支点ピン
29 クリップ
31 柱
33 横孔
34 丸孔
35 軸穴
36 段部
37 ワッシャ
38 寄せボルト
39 座グリ
41 主部材(登り梁)
42 主部材(横架材)
43 下穴
44 丸孔
45 軸孔
46 通し孔
47 ラグスクリュー
48 凸条
49 頭部
51 ホゾシャフト
52 ドリフトピン
54 抜き孔
58 棟木
59 桁材
61 テンションロッド(主部材に取り付け)
62 クレビス
64 ターンバックル
66 テンションロッド(下弦材に沿う方)
67 クレビス(下弦材に沿う方)
73 中間材
74 斜材
75 中柱
76 下弦材
79 箱形金具

Claims (1)

  1. テンションロッド(61)を用いた主部材(41)の補強構造であって、
    中板(14)と該中板(14)の左右両端から突出する側板(15)とからなるコの字状の固定具(11)と、前記左右の側板(15)および前記主部材(41)を貫く支点ピン(26)と、該支点ピン(26)に対し揺動自在に取り付ける一対のリンク(21)と、該一対のリンク(21)を結ぶ外部ピン(22)と、を用い、
    前記支点ピン(26)を差し込むため、前記主部材(41)には通し孔(46)を設けるほか、前記側板(15)にはピン孔(16)を設け、
    前記リンク(21)の一端には前記支点ピン(26)を差し込むための支点孔(24)を設け、他端には前記外部ピン(22)を差し込むための外方孔(25)を設け、
    前記左右の側板(15)の間には前記主部材(41)を嵌め込み、該主部材(41)の端面を前記中板(14)に接触させ、
    前記支点ピン(26)を差し込み、前記固定具(11)を前記主部材(41)に取り付けると共に、該支点ピン(26)の両端には前記リンク(21)を揺動自在に取り付け、
    前記外部ピン(22)は、前記主部材(41)の外に配置し、且つその両端は前記外方孔(25)に差し込み、
    前記テンションロッド(61)の端部は、前記外部ピン(22)で保持することを特徴とする主部材(41)の補強構造。
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