以下に、本発明の一実施形態に係る故障対応支援サーバーを含む故障対応支援システム及び故障対応支援手法の内容について、図面を参照しながら具体的に説明する。
[故障対応支援システムの全体構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る故障対応支援サーバーを含む故障対応支援システムの全体構成について説明する。図1は、本実施形態の故障対応支援システム100の全体構成を示す概略構成図である。
故障対応支援システム100は、図1に示すように、故障対応支援サーバー1、現地作業者M1が所持する携帯端末2、現地作業者M1が装着するウエアラブルカメラ31及びウエアラブルマイク32、並びに、データ送信装置33を備える。さらに、故障対応支援システム100は、支援者M2が所持する携帯端末5を備える。故障対応支援サーバー1、携帯端末2及び携帯端末5は、ネットワークNを介して互いに接続される。
現地作業者M1は、昇降機(不図示)の保守点検時、又は、監視センター(不図示)からの出動要請を受けた場合に、現地にて昇降機の故障対応を行う作業者である。現地作業者M1は、故障対応を行うにあたって第三者による技術的な支援が必要であると判断した場合、携帯端末2を操作することにより支援依頼Rqを生成し、該支援依頼Rqを故障対応支援サーバー1に送信する。支援者M2は、現地作業者M1による昇降機の故障対応を、携帯端末5での通話を介して支援する者である。支援者M2には、昇降機の保全作業を行う、全国に所在する作業者が登録される。
故障対応支援サーバー1は、故障対応支援データベース(以下、「DB」と称する)10、故障対応支援情報生成部14、通信部15及び制御部16を備える。故障対応支援DB10は、故障対応報告書DB11、支援者DB12及び故障知識DB13を備える。
故障対応報告書DB11は、昇降機の故障対応を行った作業者が作成した故障対応報告書Rpに記載の内容が、データとして蓄積されるデータベースである。支援者DB12は、支援者M2の所属部署等の属性情報や、支援者M2が有するスキルに関する情報等が格納されるデータベースである。故障知識DB13は、故障対応報告書DB11に蓄積されたデータから抽出された互いに因果関係を有する故障状態と故障原因とが、それぞれ対応付けられた状態で蓄積されるデータベースである。
故障対応支援情報生成部14は、故障対応支援DB10を構成する各DBに記載の内容と、現地作業者M1の携帯端末2から送信された支援依頼Rqに記載の内容とに基づいて、故障対応支援情報を生成する。故障対応支援情報は、故障原因候補リストL2(故障原因候補情報の一例)及び支援候補者リストL3(「支援候補者情報」の一例)よりなる。故障原因候補リストL2は、昇降機の故障の原因として推定される故障推定原因が一覧で表示されるリストであり、支援候補者リストL3は、現地作業者M1による故障対応の支援に適した支援候補者が一覧で表示されるリストである。
通信部15は、ネットワークNを介して無線接続される携帯端末2又は携帯端末5との間で行われる通信の制御や、携帯端末2又は携帯端末5との間で伝送される各種データの送受信処理を行う。制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成され、故障対応支援サーバー1を構成する各部の制御を行う。
現地作業者M1が所持する携帯端末2は、例えば、携帯端末やスマートフォン等で構成され、表示部及び操作部の機能を有するタッチパネル21、並びに、不図示の制御部及び通信部を備える。
ウエアラブルカメラ31は、撮影して得た撮影映像Dvをデータ送信装置33に出力する。ウエアラブルマイク32は、集音して得た音声を音声情報Daに変換してデータ送信装置33に出力する。データ送信装置33は、ウエアラブルカメラ31から入力された撮影映像Dv、及び、ウエアラブルマイク32から入力された音声情報Daを、携帯端末2に送信する。
携帯端末2の制御部は、故障対応を行う現地作業者M1による操作に基づいて、昇降機の制御装置4から故障時補足データD1を取得する。また、制御部は、該故障時補足データD1と、現地作業者M1により登録される故障状態登録情報(図8参照)とを合わせて、支援依頼Rqを生成する。
故障時補足データD1は、昇降機の故障発生時に制御装置4によって生成されるデータである。故障時補足データD1には、故障の内容に対応する故障コードや、故障発生時の昇降機の状態を示すステータスコード、昇降機内の各種センサーの検出値のログ等の情報が含まれる。故障状態登録情報としては、故障が発生した昇降機の機種の情報や、該昇降機の故障状態の情報等が登録される。携帯端末2の制御部は、支援依頼Rqを生成後、該支援依頼Rqを故障対応支援サーバー1に送信する。
携帯端末2の制御部は、故障対応支援サーバー1から故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3が送信されると、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3をタッチパネル21の画面に表示させる。タッチパネル21の画面上の、支援候補者リストL3の表示部分(図1では不図示)には、現地作業者M1が支援者M2に支援を要請する際に押下されるボタンである、支援依頼ボタン212aが形成される。
この支援依頼ボタン212aが現地作業者M1によって押下された場合、携帯端末2から支援者M2が所持する携帯端末5に対して、発呼が行われる。そして、現地作業者M1が所持する携帯端末2と支援者M2が所持する携帯端末5との間でコネクションが確立すると、データ送信装置33から携帯端末2に対して、ウエアラブルマイク32が集音した現地作業者M1の発話や周囲の音声を変換して得た音声情報Daが送信される。また、携帯端末2から、支援者M2が所持する携帯端末5に対して、音声情報Daが送信される。このとき、携帯端末2の制御部は、携帯端末5から送信された支援者M2の発話を、不図示のイヤホンから放音する制御も行う。
また、現地作業者M1が所持する携帯端末2と支援者M2が所持する携帯端末5との間でコネクションが確立すると、データ送信装置33から携帯端末2に対して、現地作業者M1が装着したウエアラブルカメラ31の撮影映像Dvが送信される。次いで、携帯端末2から支援者M2が所持する携帯端末5に対して、ウエアラブルカメラ31の撮影映像Dvが送信される。
支援者M2が所持する携帯端末5も、現地作業者M1が所持する携帯端末2と同様に、携帯端末やスマートフォン等で構成され、タッチパネル51、並びに、不図示の制御部及び通信部を備える。
タッチパネル51の画面上には、支援者M2が支援を行える状況にあるか否かの情報を現地作業者M1に伝えるための、対応可否ボタン51aが形成される。支援者M2によって対応可否ボタン51aが押下される毎に、対応可/対応不可の状態がトグル式に切り替わり、切り替わった状態の情報が、故障対応支援サーバー1に送信される。これにより、支援者M2は、例えば、会議中や作業中等で支援を行えない状況にある場合には、対応可否ボタン51aを押下することにより、その時点での対応が不可能であることを、故障対応支援サーバー1に通知することができる。支援者M2が支援を行える状況にあるか否かの情報は、支援者状態情報D3として、故障対応支援サーバー1に送信される。
なお、対応可否ボタン51aの形成例は一例であり、本発明はこの例に限定されない。例えば、対応可否ボタン51aを、プルダウンメニューを表示可能なボタンで構成し、故障対応の可否を支援者M2が選択できるようにしてもよい。
[故障対応支援データベース及び故障対応支援情報生成部の内部構成]
次に、図2を参照して、本実施形態に係る故障対応支援DB10及び故障対応支援情報生成部14の内部構成について説明する。図2は、本実施形態の故障対応支援DB10及び故障対応支援情報生成部14の内部構成を示すブロック図である。
故障対応支援DB10は、上述のように、故障対応報告書DB11、支援者DB12及び故障知識DB13を備える。故障対応報告書DB11には、故障対応報告書Rpに記載の内容が、データとして蓄積されるデータベースである。支援者DB12は、支援者リストL1に記載された支援者M2の属性情報や、支援者M2が有するスキルに関する情報等が格納されるデータベースである。故障知識DB13は、故障対応報告書DB11に蓄積されたデータから抽出された、互いに因果関係を有する故障状態と故障原因とが、それぞれ対応付けられた状態で蓄積されるデータベースである。
故障対応支援情報生成部14は、故障状態取得部141、故障原因検索部142、故障原因推定部143(故障原因候補情報生成部の一例)及び支援候補者選定部144(支援候補者情報生成部の一例)を備える。
故障状態取得部141は、現地作業者M1の携帯端末2より送られてきた支援依頼Rqから、故障が発生した昇降機の故障状態、該昇降機の機種、及び、故障時補足データD1を取得し、取得したこれらの情報を、故障原因検索部142に出力する。
故障原因検索部142は、故障が発生している昇降機の機種と同一の機種における、同一又は類似の故障を示す事例を、故障知識DB13から検索する。故障が発生している昇降機の機種と同一の機種における、同一又は類似の故障を示す事例の検索は、故障状態取得部141から供給された昇降機の故障状態、機種、及び、故障時補足データD1をキーとして行われる。
故障原因検索部142は、故障が発生している昇降機の機種と同一の機種において、同一又は類似の故障を示す事例を検索できなかった場合には、より上位の分類における同一又は類似の故障を示す事例を検索する。分類とは、駆動方式や、機械室の有無、速度、積載荷重等により規定される昇降機の種類の分類である。事例の検索範囲を、最上位の分類にまで広げても、類似の故障事例が検索できなかった場合、故障原因検索部142は、類似故障事例なしと判定する。
故障原因推定部143は、故障原因検索部142が検索した故障事例における故障原因を、故障が発生している昇降機の故障原因の候補(以下、「故障原因候補」と称する)として選定する。故障原因検索部142で類似故障事例なしと判定された場合には、故障原因推定部143は、故障対応報告書DB11に登録されている故障件数が多い順に、故障対応報告書DB11から故障原因をN個抽出する。そして、故障原因推定部143は、選定した故障原因候補及び故障復旧のための対応策の情報を含む故障原因候補リストL2を生成する。
支援候補者選定部144は、故障原因推定部143が故障原因候補として選定した故障原因に基づく故障の対応を、過去に行った実績のある作業者を、故障対応報告書DB11から検索する。そして、支援候補者選定部144は、検索した作業者を支援候補者として選定し、支援候補者のこれまでの故障対応実績に関する情報、及び、支援候補者の属性情報を含む支援候補者リストL3を生成する。
次いで、図3〜図10を参照して、本実施形態に係る故障対応支援DB10を構成する各データベースを構成する情報の構成例、故障知識DB13の構成例、及び、故障対応支援情報生成部14の各部に入出力される情報の構成例について説明する。図3は、故障対応報告書Rpの構成例を示す説明図であり、図4は、支援者リストL1の構成例を示す説明図であり、図5は、故障知識DB13の構成例を示す説明図である。図6は、支援依頼Rqの構成例を示す説明図であり、図7は、故障時補足データD1の構成例を示す説明図であり、図8は、現地作業者M1が携帯端末2を操作することにより生成される、故障状態登録情報D2の構成例を示す説明図である。図9は、故障原因候補リストL2の構成例を示す説明図であり、図10は、支援候補者リストL3の構成例を示す説明図である。
まず、図3を参照して、故障対応報告書DB11に蓄積される故障対応報告書Rpの構成例について説明する。図3に示す故障対応報告書Rpは、「No.」、「登録項目」及び「内容」の各項目を有する。「No.」の項目には、各登録項目に対して割り振られた通し番号が記載される。「登録項目」の項目には、登録される項目の名称が記載される。「登録項目」は、「製造番号」、「機種」、「題目」、「発生日時」、「故障状態」、「故障原因」、「故障原因機器」、「故障対応内容」、「故障復旧時間」、「故障対応者(氏名)」、「故障対応日」及び「故障時補足データ」の各登録項目を含む。
「製造番号」の項目には、例えば“T*****-01”等の、故障が発生した昇降機の製造番号が記載される。「機種」の項目には、例えば“H***”等の、故障が発生した昇降機の機種が記載される。「題目」の項目には、例えば“○○装置誤作動により5階で停止”等の、故障対応内容を簡潔に表現した題目が記載される。「発生日時」の項目には、例えば“2016/5/18”等の、故障の発生日時が記載される。「故障状態」の項目には、例えば“ドア開き停止中、ブザー鳴動中”等の、昇降機の故障状態の説明が記載される。「故障原因」の項目には、例えば“○○装置の入力コネクタが挿入不良により、接触不良が発生し、○○装置が誤作動してドア開き停止”等の、故障原因の説明が記載される。「故障原因機器」の項目には、例えば“○○装置”等の、昇降機の故障の原因となった機器の名称が記載される。
「故障対応内容」の項目には、例えば“○○装置の入力コネクタをロックの位置まで挿入”等の、故障復旧のために作業者が行った故障対応の内容が記載される。「故障復旧時間」の項目には、例えば“30分”等の、故障対応開始から復旧完了までに要した時間が記載される。「故障対応者(氏名)」の項目には、例えば“S**** H****”等の、故障対応を行った作業者の氏名が記載される。「故障対応日」の項目には、例えば“2016/5/18”等の、現地作業者M1が故障対応を行った対応日の日付が記載される。「故障時補足データ」の項目には、昇降機の制御装置4(図1参照)から取得した故障時補足データD1の内容が記載される。故障時補足データD1の内容については、後述する図7を参照して詳述する。なお、故障対応報告書Rpを構成する項目は、図3に示す項目に限定されず、故障対応報告書Rpは他の項目を含んでもよい。
次いで、図4を参照して、支援者リストL1の構成例について説明する。図4に示す支援者リストL1は、「No.」、「登録項目」及び「内容」の各項目を有する。「No.」の項目には、各登録項目に対して割り振られた通し番号が記載される。「登録項目」の項目には、登録される項目の名称が記載される。「登録項目」は、「氏名」、「所属(支社営業所)」、「経験年数」、「資格(スキル)」の各登録項目を含む。
「氏名」の項目には、例えば“S**** H****”等の、支援者M2の氏名が記載される。この支援者M2の“S**** H****”は、図3に示した故障対応報告書Rpにおける「故障対応者」でもある。つまり、支援者M2の“S**** H****”は、故障対応報告書Rpに記載された内容の故障対応を行った経験があることを意味する。
「所属(支社営業所)」の項目には、例えば“東京支社 銀座営業所”等の、支援者M2が所属している部署の情報が記載される。「経験年数」の項目には、例えば“15年”等の、支援者M2が昇降機の保全作業を行う作業者の仕事に従事している年数が記載される。「資格(スキル)」の項目には、例えば“昇降機型式H***:レベルA”又は“ブレーキ型式B***:レベルB”等の、支援者M2が所有している、資格の情報が記載される。支援者M2が有する資格としては、例えば、社内で規定されている資格等が記載される。支援者リストL1の内容は、定型の入力フォーマットを介して支援者M2によって入力される情報に基づいて、定期的に更新される。そして、この更新に基づいて、支援者DB12のデータも更新される。
次いで、図5を参照して、故障知識DB13の構成例について説明する。図5に示すように、故障知識DB13は、因果関係抽出部131及び検索用インデックスファイル生成部132を有する。因果関係抽出部131は、故障対応報告書DB11に格納された故障対応報告書Rpに記載された内容に基づいて、故障が発生した昇降機の故障状態と、故障原因との因果関係を分析し、互いに因果関係を有すると判断される故障状態と故障原因とを対応付ける。
検索用インデックスファイル生成部132は、故障対応報告書DB11に蓄積されたデータの各項目にインデックスを付加することにより検索用インデックスファイルFを生成する。検索用インデックスファイル生成部132によって検索用インデックスファイルFが設けられることにより、故障知識DB13の検索が容易にかつ高速に行われるようになる。
なお、故障知識DB13では、故障対応報告書Rpにおいて、定義上は同一でありながらも、各作業者によって様々な表現で記載された用語が、定義された用語に対応付けられて格納される。これにより、例えば故障状態をキーとして故障原因の検索が行われる場合に、定義通りの用語が入力されなくても、入力された故障状態を示す用語と対応する故障原因が抽出される。また、故障知識DB13は、新たな事例が追加される度に故障状態と故障原因との対応付けに関する知識(故障知識)を学習していく、学習型のデータベースとして構成される。
次いで、図6〜図8を参照して、支援依頼Rqの構成例、並びに、支援依頼情報Rqを構成する故障時補足データD1及び故障状態登録情報D2の構成例について説明する。
故障対応を行う現地作業者M1が、故障対応にあたって支援者M2による支援が必要であると判断した場合、現地作業者M1は、昇降機の制御装置4で生成された故障時補足データD1を取得する。図7に、故障時補足データD1の構成例を示す。図7に示す故障時補足データD1は、「No.」、「項目」及び「内容」の各項目を有する。「No.」の項目には、各項目に対して割り振られた通し番号が記載される。
「項目」の項目は、「故障コード」、「センサーA」、「センサーB」及び「○○装置」の各項目を含む。故障コードは、検出した故障の内容に対応して制御装置4が生成するコードである。「内容」の項目には、「項目」の欄に記載された各センサー又は装置による検出値のログが記載される。検出値としては、制御装置4による異常検出前及び検出後の検出値が記載される。なお、図7には図示していないが、故障時補足データD1には、各種入出力信号の状態を示す情報や、故障発生時の昇降機の状態を示すステータスコード等も記録される。
故障時補足データD1の取得後、現地作業者M1は、携帯端末2を操作することにより、故障状態登録情報D2を生成する。故障状態登録情報D2の構成例を図8に示す。図8に示す故障状態登録情報D2は、「No.」、「項目」及び「内容」の各項目を有する。「No.」の項目には、各項目に対して割り振られた通し番号が記載される。「項目」は、「機種」及び「故障状態」を含む。「機種」には、例えば“H***”等の、故障が発生している昇降機の機種が登録され、「故障状態」には、例えば“ドアが開き停止”等の、昇降機の故障状態の情報が登録される。故障時補足データD1及び故障状態登録情報D2は、図6に示すように、支援依頼Rqとして故障対応支援サーバー1(図1参照)に送信される。
次いで、図9を参照して、故障原因候補リストL2の構成例について説明する。図9に故障原因候補リストL2は、「優先順位」、「故障原因」、「故障件数」、「対応策」及び「復旧時間」の項目を有する。
「優先順位」の項目には、現地作業者M1が故障の対応策を選択する場合における、選択の優先順位を示す番号が記載される。「故障原因」の項目には、故障原因検索部142で検索された故障事例における故障原因が記載される。「故障件数」の項目には、「故障原因」の項目に記載された故障原因の、故障知識DB13における登録件数が記載される。「対応策」の項目には、「故障原因」の項目に記載された故障原因に基づく故障の復旧時に作業者によって実際に行われた対応の内容が記載される。「復旧時間」の項目には、「故障原因」の項目に記載された故障原因に基づく故障を、過去に作業者が復旧した場合における、復旧時間が記載される。
例えば、故障原因候補リストL2の「優先順位」が“1”の行には、昇降機の故障原因として推定される原因は“○○装置不良”であり、“○○装置不良”に起因する故障の発生件数(故障件数)は“15件”であることが記載されている。また、故障復旧の対応策は“入出力コネクタ挿入状態確認”を行うことであり、同様の事例における過去の復旧時間は“20分”であったことが記載されている。
次いで、図10を参照して、支援候補者リストL3の構成例について説明する。図10に示す支援候補者リストL3は、「No.」、「支援候補者」、「対応回数」、「資格(スキル)」、「最近の対応日」、「部署」、「対応可否」及び「支援依頼」の項目を有する。
「No.」の項目には、各登録項目に対して割り振られた通し番号が記載される。「支援候補者」の項目には、支援候補者選定部144によって選定された支援候補者の氏名が記載される。「対応回数」の項目には、故障対応の対象となっている昇降機の故障と同一又は類似の故障の復旧対応を、作業者である支援候補者が実際に行った対応回数が記載される。「資格(スキル)」の項目には、支援候補者が保有している資格が記載される。「最近の対応日」の項目には、支援候補者によって行われた故障対応における最新(直近)の対応日が記載される。最新の対応日の情報は、故障対応報告書DB11に格納された故障対応報告書Rp(図3参照)に記載の「対応日時」の情報に基づいて記載される。「部署」の項目には、支援候補者が所属している部署の情報が記載される。
「対応可否」の項目には、支援候補者が、現地作業者M1による支援依頼に対する対応を行える状態にあるか否かを示す情報が記載される。この項目の情報は、支援者M2の携帯端末5から送信された支援者状態情報D3に記載の内容に基づいて更新される。支援者状態情報D3は、上述のように、支援候補者(支援者M2)が携帯端末5を操作することにより生成及び送信される情報である。
「支援依頼」の項目には、支援依頼ボタン212aが形成される。現地作業者M1によってこの支援依頼ボタン212aが押下された場合、押下された支援依頼ボタン212aに対応付けられた支援者M2が所持する携帯端末5に対して発呼が行われる。
例えば、支援候補者リストL3の“No.1”の行には、支援候補者が“S**** A****”であり、支援候補者の故障対応の支援回数が“5”回であり、支援候補者は“レベルA”の資格を有していることが記載されている。また、支援候補者の最近の故障対応日は“2016/5/20”であり、支援候補者の所属している部署は“東京 銀座営業所”であり、対応可否は“可”であることが記載されている。
“No.1”の行の右端にある支援依頼ボタン212aが現地作業者M1により押下された場合、現地作業者M1が所持する携帯端末2から、支援者M2である“S**** A****”が所持する携帯端末5に対して、発呼が行われる。そして、“S**** A****”が着呼に応答することにより、現地作業者M1は、電話による通話を通して支援者M2である“S**** A****”からの支援を受けることができる。
[故障対応支援システムによる故障対応支援手法]
次に、図11及び図12を参照して、本実施形態の故障対応支援システム100による故障対応支援手法について説明する。図11は、本実施形態の故障対応支援システム100による故障対応支援手法の手順を示すフローチャートであり、図12は、本実施形態の故障対応支援サーバー1による故障対応支援情報生成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、現地作業者M1が所持する携帯端末2の通信部が、昇降機の制御装置4から送信された故障時補足データD1を取得する(ステップSMf1)。次いで、携帯端末2の制御部が、現地作業者M1による故障状態登録操作を受け付けたか否かを判定する(ステップSMf2)。現地作業者M1による故障状態登録操作を受け付けていない間は(ステップSMf2がNO判定の場合)、携帯端末2の制御部はステップSMf2の判定を繰り返し行う。
一方、現地作業者M1による故障状態登録操作を受け付けたと判定された場合(ステップSMf2がYES判定の場合)、携帯端末2の制御部は、故障時補足データD1及び故障状態登録情報D2を用いて支援依頼Rqを生成する(ステップSMf3)。次いで、携帯端末2の制御部は、生成した支援依頼Rqを、通信部を介して故障対応支援サーバー1に送信する(ステップSMf4)。
支援者M2が所持する携帯端末5の制御部は、支援者M2による操作内容に基づいて、支援者M2による故障対応支援の可否の情報を示す支援者状態情報D3を生成する。そして、制御部は、生成した支援者状態情報D3を、故障対応支援サーバー1に送信する(ステップSMs1)。
故障対応支援サーバー1の通信部15は、支援者M2が所持する携帯端末5から送信された支援者状態情報D3を受信する(ステップSS1)。次いで、故障対応支援サーバー1の制御部16は、現地作業者M1が所持する携帯端末2から送信された支援依頼Rqを受信する処理である、支援依頼受信処理を行う(ステップSS2)。次いで、故障対応支援サーバー1の制御部16は、ステップSMs2の処理で支援依頼Rqを受信したか否かを判定する(ステップSS3)。
ステップSS3で、支援依頼Rqを受信していないと判定された場合(ステップSS3がNO判定の場合)、故障対応支援サーバー1の制御部16は、ステップSS2に処理を戻し、支援依頼受信処理を行う。一方、ステップSS3で、支援依頼Rqを受信したと判定された場合(ステップSS3がYES判定の場合)、故障対応支援サーバー1の制御部16は、故障対応支援情報生成処理を行う(ステップSS4)。故障対応支援情報生成処理は、故障対応支援情報として、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を生成する処理である。ステップSS4の故障対応支援情報生成処理については、後述の図12を参照して詳述する。
次いで、故障対応支援サーバー1の制御部16は、ステップSS4で故障対応支援情報として生成された故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を、通信部15を介して現地作業者M1が所持する携帯端末2に送信する(ステップSS5)。
現地作業者M1が所持する携帯端末2では、制御部によって、リスト受信処理が行われる(ステップSMf5)。リスト受信処理は、故障対応支援サーバー1から送信された故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を受信する処理である。次いで、携帯端末2の制御部は、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を受信したか否かを判定する(ステップSMf6)。
ステップSMf6で、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を受信していないと判定された場合(ステップSMf6がNO判定の場合)、携帯端末2の制御部は、処理をステップSMf5に戻し、リスト受信処理を行う。一方、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を受信したと判定された場合(ステップSMf6がYES判定の場合)、携帯端末2の制御部は、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を、タッチパネル21の表示部の画面に表示する(ステップSMf7)。
現地作業者M1が所持する携帯端末2の表示画面での故障原因候補リストL2の表示領域及び支援候補者リストL3の表示領域の形成例を、図13に示す。図13は、故障原因候補リスト表示領域211及び支援候補者リスト表示領域212の形成例を示す説明図である。図13に示す例では、携帯端末2のタッチパネル21の表示画面の上側半分に、故障原因候補リストL2を表示する故障原因候補表示領域211が形成され、表示画面の下側半分に、支援候補者リストL3を表示する支援候補者表示領域212が形成されている。
故障原因候補表示領域211には、例えば、図9に示した故障原因候補リストL2が表示され、支援候補者表示領域212には、例えば、図10に示した支援候補者リストL3が表示される。図9に示すように、故障原因候補リストL2には、昇降機の故障の原因として想定される故障原因や、故障復旧のための対応策等が記載される。それゆえ、現地作業者M1は、故障原因候補リストL2を見ることによって故障原因を確認でき、その故障を復旧するための対応策を採ることができる。また、故障原因候補リストL2には、過去の同一又は類似の故障事例における復旧時間も記載されている。したがって、現地作業者M1は、故障原因候補リストL2を確認することによって、顧客に対して、復旧完了までの予測時間を伝えることができる。
また、支援候補者リストL3には、図10に示すように、支援候補者が同一又は類似の故障事例の対応を行った対応回数、支援候補者が有する資格(スキル)、支援候補者が同一又は類似の故障事例の対応を行った最近(最新)の対応日の情報が記載される。また、支援候補者リストL3には、支援候補者の所属部署、支援候補者の応可否状態の情報が記載される。現地作業者M1は、支援候補者リストL3に記載のこれらの情報を確認することにより、現在発生している故障の対応の支援者として適任な支援者M2を選択することができる。さらに、現地作業者M1は、支援候補者リストL3に設けられた支援依頼ボタン212aを押下することにより、所望の支援者M2の携帯端末5に電話を掛けることができる。
図11に戻って、故障対応支援システム100による故障対応支援手法の手順の説明を続ける。現地作業者M1が所持する携帯端末2の制御部は、現地作業者M1による、支援依頼ボタン212aの押下操作を、受け付けたか否かを判定する(ステップSMf8)。ステップSMf8で、支援依頼ボタン212aの押下操作を受け付けていないと判定された場合(ステップSMf8がNO判定の場合)、携帯端末2の制御部は、ステップSMf8の判定を繰り返す。一方、ステップSMf8で、支援依頼ボタン212aの押下操作を受け付けたと判定された場合(ステップSMf8がYES判定の場合)、携帯端末2の制御部は、支援者M2が所持する携帯端末5の呼び出し処理を行う(ステップSMf9)。支援者所持携帯端末の呼び出し処理は、支援者M2が所持する携帯端末5に対して発呼を行う処理である。
支援者M2が携帯端末5の着呼に応答することにより、現地作業者M1が所持する携帯端末2と支援者M2が所持する携帯端末5との間でのコネクションが確立し、該コネクションを介して、現地作業者M1及び支援者M2での通話が行われる。
コネクションの確立後には、現地作業者M1が着用しているウエアラブルカメラ31による撮影映像Dvが、ネットワークNを介して支援者M2が所持する携帯端末5に送信される(ステップSMf10)。支援者M2は、ウエアラブルカメラ31で撮影された撮影映像Dvを見ることにより、現地の状況を把握することができる。また、支援者M2は、通話を介して行われる現地作業者M1による説明や、現地作業者M1が着用しているウエアラブルマイク32が集音した現地の音声等を聞くことができる。それゆえ、支援者M2は、現地の状況をより正確に把握することができ、把握した内容に基づく適切な指示(支援)を、現地作業者M1に対して行うことができる。
次に、図12を参照して、図11のステップSS4で故障対応支援サーバー1によって行われる故障対応情報生成処理の手法について説明する。まず、故障対応支援サーバー1の制御部16は、現地作業者M1の携帯端末2から送信された支援依頼Rqから、故障が発生している昇降機の故障状態、該昇降機の機種、及び、故障時補足データD1を取得する(ステップSS11)。
次いで、故障原因検索部142(図2参照)は、故障知識DB13内の検索用インデックスファイルF(図5参照)を参照して、故障が発生している昇降機における故障との類似する故障事例を、故障知識DB13から検索する(ステップSS12)。次いで、故障原因検索部142は、ステップSS12の検索の結果、ステップSS11で取得した機種、すなわち、故障が発生している昇降機の機種と同一の機種における類似の故障事例が存在したか否かを判定する(ステップSS13)。
ステップSS13で、同一の機種における類似の故障事例ありと判定された場合(ステップSS13がYES判定の場合)、故障原因検索部142は、故障時補足データD1に含まれる故障コードと同一の故障コードを含むログを検索する(ステップSS14)。ログの検索は、故障対応報告書DB11を対象として行われる。
次いで、故障原因検索部142は、故障時補足データD1に含まれる故障コードと同一の故障コードを含むログが故障対応報告書DB11内に存在したか否かを判定する(ステップSS15)。ステップSS15で、同一の故障コードを含むログが存在したと判定された場合(ステップSS15がYES判定の場合)、故障原因推定部143は、同一の故障コードを含むログに記載の故障原因を、故障原因候補に選定する(ステップSS16)。次いで、故障原因推定部143は、選定した故障原因候補を用いて故障原因候補リストL2を生成する(ステップSS17)。
一方、ステップSS15で、同一の故障コードを含むログは存在しないと判定された場合(ステップSS15がNO判定の場合)、故障原因推定部143は、類似の故障事例における故障原因を、故障原因候補に選定する(ステップSS18)。その後、故障原因推定部143は、ステップSS17の処理を行う。すなわち、故障原因推定部143は、選定した故障原因候補を用いて故障原因候補リストL2を生成する。
ステップSS13で、同一の機種における類似の故障事例はないと判定された場合(ステップSS13がNO判定の場合)、故障原因検索部142は、より上位のカテゴリにおける類似の故障事例を、故障知識DB13から検索する(ステップSS19)。次いで、故障原因検索部142は、より上位のカテゴリにおける類似の故障事例が存在したか否かを判定する(ステップSS20)。ステップSS20で、より上位のカテゴリにおける類似の故障事例が存在したと判定された場合(ステップSS20がYES判定の場合)、故障原因推定部143は、ステップSS18の処理及びステップSS17の処理を行う。すなわち、故障原因推定部143は、類似の故障事例における故障原因を、故障原因候補に選定するとともに、選定した故障原因候補を用いて故障原因候補リストL2を生成する。
一方、ステップSS20で、より上位のカテゴリにおける類似の故障事例は存在しないと判定された場合(ステップSS20がNO判定の場合)、故障原因検索部142は、より上位のカテゴリが存在するか否かを判定する(ステップSS21)。ステップSS21で、より上位のカテゴリが存在すると判定された場合(ステップSS21がYES判定の場合)、故障原因検索部142は、処理をステップSS19に戻す。すなわち、故障原因検索部142は、さらに上位のカテゴリにおける類似の故障事例を検索する。なお、故障コードの作成には、類似群コードや国際特許分類のように、大・中・小の各分類を把握し、所定のコードの一部分が同一である場合に類似と判断すれば良い。例えば大・中分類が同一の場合は類似と判断してもよい。機種が同一・類似の判断も同様に行なえばよい。
ステップSS21で、より上位のカテゴリは存在しないと判定された場合(ステップSS21がNO判定の場合)、故障原因推定部143は、故障対応報告書DB11に記録された故障原因を故障件数が多いものから順に所定数抽出する(ステップSS22)。ここで故障原因推定部143が抽出する故障原因は、現地作業者M1の携帯端末2から送信された支援依頼Rq内に記載された故障状態と、故障知識DB13において対応付けられている故障原因である。次いで、故障原因推定部143は、抽出した故障原因を故障原因候補に選定する(ステップSS22)。ステップSS22の処理後、故障原因推定部143は、ステップSS17の処理を行う。すなわち、故障原因推定部143は、選定した故障原因候補を用いて故障原因候補リストL2を生成する。
ステップSS17の処理後、支援候補者選定部144は、故障原因候補に選定された故障原因に基づく故障の故障対応の実績がある作業者を、支援者DB12から抽出し、抽出した作業者を支援候補者に選定する(ステップSS23)。次いで、支援候補者選定部144は、選定した支援候補者に関する情報を記載した支援候補者リストL3を生成する(ステップSS24)。
なお、本実施形態では、故障原因候補に選定された故障原因に基づく故障の故障対応の実績がある作業者を支援候補者に選定する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。市場に流通してからの経過日数が浅い、最新の機種の昇降機において故障が発生した場合には、その機種の昇降機の故障対応を行った作業者が存在しない場合も想定される。そのような場合においては、支援候補者選定部144は、昇降機の故障対応を支援する支援者M2として、その昇降機に関する専門知識を有する作業者を選出することができる。
[各種効果]
上述のように、本実施形態の故障対応支援システム100では、故障対応支援DB10に記載の内容と、現地作業者M1が所持する携帯端末2から送信された支援依頼Rqに記載の内容とに基づいて、故障対応の支援に適した支援候補者が選定される。より具体的には、支援依頼に記載された昇降機の機種と同一又は類似の機種における同一又は類似の故障事例の故障対応を行った経験のある作業者が、支援候補者として選定される。そして、選定された支援候補者の情報で構成される支援候補者リストL3が、現地作業者M1が所持する携帯端末2に送信される。つまり、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、支援候補者リストL3に記載された、故障対応の支援に適した支援候補者の中から支援者を選択することができ、支援者による支援を受けながら故障対応を行うことができる。したがって、現地作業者M1による故障対応時の復旧時間を短縮することができる。
また、上記実施形態によれば、故障対応の支援に適した支援候補者が、故障対応支援サーバー1によって自動的に選定されるため、現地作業者M1と支援候補者との仲介を行うオペレーター(が所属する故障対応部署)を設ける必要がなくなる。これにより、オペレーターが対応を行う場合に生ずる待ち時間が発生しなくなるため、現地作業者M1は早急に故障対応に着手することができる。
また、上記実施形態では、支援候補者が、全国の拠点に存在する作業者の中から選定される。つまり、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、技術サポートセンター等の故障対応部署に所属する特定の支援者ではなく、様々な機種の様々な故障状態の復旧を行った実績のある全国の支援者M2から、支援を受けることが可能となる。
例えば、故障対応の対象となる昇降機が、設置からの経過年数が長い昇降機である場合には、該昇降機の台数も少なくなっており、該昇降機に関する故障対応技術の伝承も難しくなっていることが考えられる。このような場合、該昇降機に関する専門知識を有する専門技術者が、故障対応部署内には存在しないことも想定されるが、上記実施形態では、支援候補者が、全国の拠点に存在する作業者の中から選定される。それゆえ、上記実施形態によれば、故障対応を行う昇降機が、設置からの経過年数が長い昇降機である場合等においても、最適な支援者M2が選定される。これにより、現地作業者M1は、最適な支援者M2による支援を受けながら迅速に故障対応を行うことができる。
また、上記実施形態では、支援候補者リストL3に記載される支援候補者として、故障対応が必要な昇降機の機種と同一又は類似の機種における同一又は類似の故障事例の故障対応を直近で行った作業者が抽出される。つまり、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、故障対応からの経過日数がより短い作業者(支援者M2)から、故障対応の支援を受けることができる。
また、上記実施形態では、支援候補者リストL3とともに、故障対応が必要な昇降機の故障の原因として推定される故障原因候補の情報が記載された、故障原因候補リストL2が、現地作業者M1が所持する携帯端末2に送信される。このとき、故障原因候補として抽出されるのは、現地作業者M1が所持する携帯端末2から送信された支援依頼Rqに記載の昇降機の故障状態と因果関係を有する故障原因である。それゆえ、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、発生している故障状態と因果関係を有する故障原因候補の情報を確認しながら、迅速に故障対応を行うことができる。
また、上記実施形態では、支援依頼Rqに記載の昇降機の故障状態と因果関係を有する故障原因が検索されなかった場合には、故障件数が多い故障原因から順に所定数の故障原因が抽出され、該故障原因を含む故障原因候補リストL2として送信される。それゆえ、上記実施形態によれば、故障対応の対象となる昇降機の故障状態と因果関係を有する故障原因が見つからない場合であっても、現地作業者M1に対して、故障原因に関する情報を提供することができる。
また、上記実施形態では、支援候補者リストL3に記載される支援候補者として、故障原因候補に選定された故障原因に基づく故障の対応を行った経験のある作業者が抽出され、抽出された作業者の情報が故障原因候補リストL2として送信される。それゆえ、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、故障対応の対象となっている昇降機の故障対応を実際に行ったことがある作業者による的確な支援を受けながら、迅速にかつ適切に故障対応を行うことができる。
また、上記実施形態において、現地作業者M1が所持する携帯端末2に送信される故障原因候補リストL2には、他の作業者によって故障対応が行われた際の復旧時間の情報が記載される。それゆえ、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、故障原因候補リストL2の記載内容を参照して、故障の復旧時間の目安を顧客に提示することができる。
また、上記実施形態において、現地作業者M1が所持する携帯端末2に送信される支援候補者リストL3には、作業者(支援者M2)による故障対応回数、及び、作業者が有する技術に関する情報が含まれる。それゆえ、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、支援候補者リストL3に記載の内容を参照して、支援候補者リストL3に記載の支援候補者の中から、故障対応に適した支援者M2を選択することができる。
また、上記実施形態では、現地作業者M1が所持する携帯端末2の画面に、支援候補者リストL3が表示される。そして、この支援候補者リストL3に記載の各支援候補者に対応して支援依頼ボタン212aが設けられ、この支援依頼ボタン212aが現地作業者M1により押下されることにより、選択された支援候補者の携帯端末5に対する発呼が行われる。それゆえ、上記実施形態によれば、現地作業者M1は、支援候補者の連絡先を検索する動作を行うことなく、また、支援候補者の連絡を知らない場合であっても、所望の支援候補者に連絡を取ることができる。
また、上記実施形態では、現地作業者M1が所持する携帯端末2から、支援者M2が有する携帯端末5に対して、現地作業者M1が装着しているウエアラブルカメラ31の撮影映像Dvと、ウエアラブルマイク32が生成した音声情報Daとが送信される。それゆえ、上記実施形態によれば、支援者M2は、ウエアラブルカメラ31による現地の撮影映像Dvや、ウエアラブルマイク32が集音した現地の音声等を確認しながら、現地作業者M1の故障対応を適切に支援することができる。
また、上記実施形態では、支援者M2が所持する携帯端末5の画面上に対応可否ボタン51aが形成される。そして、該対応可否ボタン51aが支援者M2によって押下されると、支援者M2の支援可否状況を示す支援者状態情報D3が、故障対応支援サーバー1に送信される。故障対応支援サーバー1では、支援者状態情報D3に記載の情報に基づいて、支援者M2の支援可否の情報を含む支援候補者リストL3が生成される。それゆえ、上記実施形態によれば、支援者M2は、支援を行える状況にあるか否かの情報を、対応可否ボタン51aの押下という容易な動作によって故障対応支援サーバー1に通知することができる。さらに、上記実施形態によれば、支援を行えない状況下にある支援者M2に対して、現地作業者M1が支援を要請してしまうことがなくなる。
[各種変形例]
以上、本発明の一実施形態に係る故障対応支援システム100及び故障対応支援手法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の変形例、応用例を取り得る。例えば、次のような各種変形例も本発明に含まれる。
上記実施形態では、故障対応支援サーバー1が、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を、現地作業者M1が所持する携帯端末2に送信する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。故障対応支援サーバー1は、故障原因候補リストL2及び支援候補者リストL3を、現地作業者M1が所持する携帯端末2以外の装置、例えば、監視センター内のサーバー等に送信してもよい。
また、上記実施形態では、現地作業者M1がウエアラブルカメラ31及びウエアラブルマイク32を着用する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。ウエアラブルカメラ31の代わりに携帯端末2が有するカメラを用いたり、ウエアラブルマイク32の代わりに携帯端末2が有するマイクを用いたりしてもよい。
なお、上述した実施形態及び各種変形例は本発明を分かりやすく説明するために装置(故障対応支援サーバー)の構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上述した故障対応支援サーバーの制御に係る各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現されてもよい。また、上述した制御に係る各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより、すなわちソフトウェアにより実現されてもよい。なお、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報(データ)は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。