JP6654384B2 - オレフィン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はオレフィン化合物の製造に関する技術である。詳しくはバイオマスを分解しオレフィン化合物を製造する技術である。
従来、永続的な資源を用いて化学物質や燃料を得る技術が提案されている。例えばサトウキビやトウモロコシを発酵し得られるエタノールを燃料に用いる技術が実施されている。しかし、サトウキビやトウモロコシなどの可食資源を原料とし、これを燃料とすることは食糧と競合するために好ましくない。このため、木材などの非可食性バイオマスを加熱分解し可燃性ガスを得るバイオマスガス化や炭化物(固形燃料)を得る方法は従来知られている。燃料への利用の観点から見れば、ガスや固形物に比べ液体状物がより取り扱い易くバイオマスから液体成分であるバイオオイル(燃料)を効率よく得る試みも始まっている。近年、石油資源の枯渇が懸念されるなか、従来の石油由来資源に代わる新たな資源としてバイオマスの利用が着目されている。
エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン化合物は石油資源から得られるナフサをクラッキングすることにより工業的に製造されており、各種化学品の原料として利用されている。これらが新たに再生可能資源であるバイオマスから製造出来ればその価値は大きい。
しかし、従来の技術の多くはバイオマスを単純に化学的に分解、発酵するに止まっているのが現状であり(特許文献1)、化学的に分解、発酵する方法以外にも直接オレフィン化合物を得る方法を開示したものもあるが(特許文献2)その収率は低くバイオマスを化学品製造原料として用いるには不十分なものとなっている。
WO2008/047679号 特表2010−505994号
従来の技術はバイオマスから化合物を製造する方法は開示されているが、化学的に分解、発酵にはバイオマスの主要成分の一つであるリグニンは利用することができないこと、また化学的に分解、発酵する以外の方法ではオレフィン化合物以外の生成物、例えば、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなどの副生物が多く得られ、化学工業的に応用範囲の広いオレフィン化合物を収率良く得る技術を提案されているとは言い難いものである。本発明はバイオマスから有用なオレフィン化合物を選択的に得ることを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、下記技術を見出し、本発明を完成するに至ったものである。本発明は以下の通り特定されるものである。即ち、
本発明は下記手順によりバイオマスからオレフィン化合物を製造する方法である。
(1)バイオマス及び還元鉄並びに水及び/又は水蒸気を含む系によりバイオマスを分解する工程(バイオマス分解工程)。
(2)(1)に次いで改質触媒の存在下にオレフィン化合物を製造する工程(改質工程)。
本発明を用いることでバイオマスから選択的にオレフィン化合物を得ることができる。特に、バイオマス分解工程において従来バイオマス分解工程に比較して低温、低圧の条件で反応、分解をすることが可能となるものである。
図1は本発明にかかる一態様である。
本発明は、下記手順を用いることを特徴とするバイオマスからオレフィン化合物を製造する方法である。
(1)バイオマス及び還元鉄並びに水及び/又は水蒸気を含む系によりバイオマスを分解する工程(バイオマス分解工程)。
(2)(1)に次いで改質触媒の存在下にオレフィン化合物を製造する工程(改質工程)。
詳しくは、バイオマス分解工程で得られたバイオマス分解物を、改質触媒の存在下にオレフィン化合物にする改質するものである。
好ましくは(a)当該バイオマス分解工程後、鉄化合物を含む固体状物(固体残渣)と未反応のバイオマス、灰分、水等(バイオマス残渣)とバイオマス分解物とを分離すること(バイオマス分解物分離工程)を経た後、バイオマス分解物を改質工程へ移動すること、(b)当該固体残渣中の鉄化合物を還元処理し、当該バイオマス分解工程で還元鉄として用いること、(c)当該バイオマス分離工程後に、磁性体を用いて鉄化合物を回収し、鉄化合物を還元処理し、当該バイオマス分解工程で還元鉄として用いること、(d)当該バイオマス分解工程において水及び/又は水蒸気を使用すること、(e)当該改質触媒が酸触媒であることである。
−バイオマス分解工程−
当該分解工程は、水及び/又は水蒸気の共存下、当該バイオマスと還元鉄とを反応させてバイオマスを分解する工程である。
バイオマスを分解し得られる生成物(バイオマス分解物)は、用いるバイオマスの種類やその量により異なるものである。生成物としては、アルコール化合物、アルデヒド化合物、有機酸化合物、炭化水素化合物、糖類及び二酸化炭素、一酸化炭素、水素などの無機ガスがある。
(バイオマス)
本発明に用いる原料はバイオマスおよびバイオマス由来の物質である。バイオマスとは化学品原料やエネルギー源として利用可能な生物体あるいは生物体由来の資源を指し、例えば未利用樹、製材残材、流木材、剪定材等の木質系バイオマス、雑草、牧草、サトウキビ、トウモロコシ等の草本系バイオマス、廃棄食品、生ごみ、下水汚泥、し尿(鶏糞、牛糞など)等の***物系バイオマスなどがあげられる。これらバイオマスの中で化学品原料やエネルギー源としては、食糧などに利用するに適さない非可食バイオマスの利用が好ましい。
当該バイオマスを用いるとき直接用いることもできるが、これらバイオマスを処理しバイオマスの主要な構成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンに分離したもの、更に糖化処理によりグルコースやキシロースなどの単糖まで分解したもの、糖化処理工程における廃液などのバイオマス由来の物質も使用することができる。以下、本発明では原料となるバイオマスおよびバイオマス由来の物質をあわせてバイオマスと記載する。
バイオマスを使用する際は、バイオマスが固体状物の場合は反応効率向上や化合物還元工程におけるハンドリングを容易にするために0.05〜5.0mm程度、好ましくは0.1〜3mmに粉砕前処理して用いることである。このため粉砕前処理を容易に行うために加熱などにより乾燥させることもできる。特に賦存量の多い固体の木質系バイオマスおよび草本系バイオマスに対しては有効である。
乾燥処理は粉砕前処理を容易に行える程度までに乾燥させれば良く、何ら乾燥処理無しに粉砕前処理を行うことが出来るのであれば、乾燥処理は不要である。
またバイオマスなどが廃液など溶液状、流動状であるときは取扱いの利便性を考慮し、乾燥により固体化し用いることもできる。また固体のバイオマスと液状、流動状物とを混合しバイオマス原料として用いることができる。これらは本発明に用いるバイオマス分解方法により適宜選択することができる。
(還元鉄)
当該還元鉄とは、還元作用を有する鉄を含むものであり、主たる成分はFe及び/又はFeOであり、これらのものが含まれていれば何れのものであっても良く、更に還元鉄の作用を阻害しないものが含まれていてもよい。また、Feは好ましくは全還元鉄の量に対して0を超え〜100質量%、更に好ましくは5〜95質量%含まれるものである。還元鉄はバイオマス分解工程において酸化鉄に変換される。
当該還元鉄の他、添加物を用いることができ、例えばCu、Ni、Pt、Pd、Ruなどであり、添加することでバイオマスの分解を促進できる。また、他の不活性物質に被覆して用いることもでき、例えば不活性物質とはシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの単独酸化物やこれら単独酸化物の混合物や複合酸化物、珪藻土、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、炭化ケイ素、活性炭などである。不活性物質は場合によってはメッシュ状、スポンジ状などの形状を用いることができる。当該還元鉄は粒子径が5nm〜5.0mm、好ましくは20nm〜2.0mm、更に好ましくは50nm〜0.5mmである。
当該還元鉄の量は原料となるバイオマスを十分に還元できる量であればよく、例えば、当該バイオマス100質量部に対して0.5〜200質量部、より好ましくは1.0〜190質量部である。0.5質量部未満であれば原料の転化が不十分となりバイオマス分解生成物の収量を低下させ、200質量部を超えれば化合物還元工程で分解反応に寄与しない多量の還元鉄を、鉄循環工程を経て鉄還元工程にリサイクルすることになり、それぞれの工程における装置サイズ増大により設備費用が増大し、かつ循環に要する用役費用も増大することになる。なお、当該バイオマス分解工程と改質工程との間に改質工程における原料であるバイオマス分解生成物を還元する工程(還元工程)を設けても良い。還元工程とバイオマス分解工程は同時に実施することもできる。
(バイオマス分解条件)
当該分解工程に用いるバイオマス分解方法は適宜選択することができる。例えば液相法では(1)還元鉄と、バイオマスと、水と、必要であれば溶媒とを、反応器に導入し分解する方法(回分法)、(2)反応容器に水と、必要であれば溶媒とを導入し、当該反応器に還元鉄と、バイオマスとを連続的に導入し分解する方法(半回分法)、(3)還元鉄と、水と、必要であれば溶媒とを反応器に連続的に導入し、この反応器に還元鉄と、バイオマスと、水と、必要あれば溶媒とを導入し、他方で(酸化)鉄と、水と、溶媒を導入した場合は溶媒とバイオマス分解生成物を連続的に取り出す方法(連続法)などの方法をとることができる。
気相法においては水蒸気を用いることができる。(1)還元鉄と、バイオマスとを反応器に充填し、水蒸気と、必要であればキャリアーガスを、反応器に導入し分解する方法、(2)水蒸気を流動ガスとし還元鉄を流動砂とした流動床反応器にバイオマスと還元鉄を連続的に導入し、他方で分解生成物と(酸化)鉄とを連続的に取り出す方法(連続法)などの方法をあげることができる。
バイオマスが気化させやすいものであれば気化させ、水蒸気と共に還元鉄と反応させ分解することもできる。
当該分解の温度は、液相法においては200℃以上、400℃以下、好ましくは230℃以上、380℃以下である。また、気相法においては200℃以上、700℃以下、好ましくは230℃以上、600℃以下である。
当該温度未満の場合、原料の転化が不十分となり好ましくなく、当該温度を超える場合にはメタン、二酸化炭素、一酸化炭素、水素などのガス生成物を増し好ましくはないからである。反応温度は、ヒーター、熱媒体などでコントロールすることができる。
当該分解の圧力は、反応方法にもよるが、25MPa以下、好ましくは20MPa以下であり、いずれの方法においても不必要に高圧の条件は高価な耐圧容器を必要とし設備費用を増すことになり好ましくはない。
反応時間も分解条件にもよるが、液相法においては1.0分から24時間、好ましくは2.0分から20時間、気相法においては1.0〜60分、好ましくは2.0〜40分である。
(バイオマス分解物)
バイオマスを分解し得られるバイオマス分解物の中で、改質工程で改質対象となるものはアルコール化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物、有機酸化合物、炭化水素化合物である。バイオマス分解物が気体状態で得られるのであればそのまま改質工程に導入することもできるし、改質反応に関与しない無機ガスやメタンなどはこれを分離してから改質反応器に供給しても良いし、バイオマス分解工程で使用した水も水量を調整した後改質反応器に導入することもできる。
−分離工程−
分離工程は、(1)当該分解工程で得られた当該バイオマス分解物と未反応バイオマス等(還元鉄と酸化された鉄化合物を含む)と分離する工程、(2)未反応バイオマスと還元鉄が酸化された鉄化合物とを分離する工程を示す。
(バイオマス分解物分離工程)
当該バイオマス分解工程で得られるバイオマス分解物を未反応バイオマス及び鉄化合物等と分離する方法は分解方法に応じて適宜選択する必要はあるが、良く知られている一般的な方法を用いることができる。
バイオマス、未反応バイオマス、鉄化合物が固体または液体で、当該バイオマス分解物は気体状で得られるならば反応容器中のガス部分のみを回収すれば良い。ガス状の当該バイオマス分解生成物に未転化の原料及び鉄化合物が混合するような場合はサイクロン分離器などの気固分離方法を利用できる。
また、バイオマス、未反応バイオマス、鉄化合物が固体で、当該分解物が液体状である場合はろ過などの固液分離方法を用いることができる。
バイオマス、未反応バイオマス、当該分解物とが混合した状態にあり、分解後の鉄化合物を含む固体残渣をろ過分離などで取り除いた後に、必要であれば蒸留などにより原料バイオマスとバイオマス分解物を分離すれば良い。
(鉄化合物回収工程)
バイオマス分解工程後の鉄化合物を含む固体残渣から鉄化合物を分離し回収する工程を設けることもできる。回収された鉄化合物を還元し、還元鉄としてバイオマス分解工程に用いることができる。
固体残渣中の鉄化合物は酸化鉄を含むものであり磁性体で集めることができる。市販の磁石により鉄化合物を分離回収することができる。なお、当該鉄化合物の分離は、バイオマス分解工程後の分解物を含む状態のものに対して磁性体を接触させることで酸化鉄を分離することもできる。
回収された鉄化合物は、一般的に用いられる方法で還元し、還元鉄を得ることができるが、好ましくは未反応バイオマスと反応させ還元するものである。
−改質工程−
改質工程は、バイオマス分解工程(1)でバイオマスを分解し得られるバイオマス分解物を、オレフィン化合物に改質(接触分解)する工程である。還元鉄を用いてバイオマスを分解することで得られるバイオマス分解物は、通常の還元鉄を用いない方法によりバイオマスを分解し得られるものに比べて、改質によりオレフィン化合物になり易いもの、アルコール化合物、炭化水素化合物が得られやすい。
当該改質により得られるオレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどのC2〜C5のオレフィンであり、特に、エチレン、プロピレンを高収率に得ることがきる。
改質工程に際して、バイオマス分解物の状態に応じて、(1)改質工程の前に水素化触媒に水素ガスを流通させるなど行い、当該バイオマス分解物を還元(水素化)することのできる還元工程を設け還元反応と改質(接触分解)反応を連続的に行うこと、(2)還元反応と改質(接触分解)反応を同時に行うこともできる。
改質工程の前に必要であれば水を分離除去あるいは濃縮し改質原料であるバイオマス分解物を濃縮する工程を設けることもできる。
(改質触媒)
当該改質触媒は、当該分解物をオレフィン化合物にすることができるものであれば何れでもよい。ナフサなどの分解に一般的に用いられる固体酸触媒を用いることができ、特に脱水反応を促進するゼオライト(結晶性アルミノシリケート)が好ましく、ZSM5ゼオライトが好ましい。
当該酸触媒としては、カオリナイト、 モンモリロナイトなどの粘土鉱物、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ヘテロポリ酸などのポリ酸の固体酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属であり、これらをシリカやアルミナに担持した複合酸化物触媒として用いることができる。
当該改質触媒の使用量は、当該バイオマス分解物の量、分解物の種類及び改質条件により適宜選択することができる。
(予熱等)
改質反応が気相反応の場合は、改質反応に先立ち、改質反応器に当該バイオマス分解物をガスで供給することを目的として予熱器及び気化器あるいは予熱及び気化領域を設けることもできる。予熱することで改質反応が促進されることも期待できる。予熱するときの温度は200℃以上、700以下℃、好ましくは250℃以上、650℃以下である。予熱及び気化の方法としては、当該バイオマス分解物を予熱、気化できる方法であれば何れの方法のものであっても良いが、例えば、予熱、気化器あるいは熱及び気化領域に熱媒体による熱交換器、ヒーター等の加熱器を用い加熱することで実施できる。また予熱及び気化器あるいは領域内にはSUSやα−アルミナなどの不活性媒体を設けることで予熱等を促進させることもできる。
(改質条件)
改質工程は、当該バイオマス分解物をオレフィン化合物にすることができるものであれば何れの方法であっても良いが、連続流通形式の気相反応とすることが好ましい。
改質反応条件は、反応温度は300〜700℃、好ましくは350〜650℃、更に好ましくは400〜600℃であり、反応圧力は大気圧〜1.0MPa、好ましくは大気圧〜0.8MPa、更に好ましくは大気圧〜0.2MPaである。反応温度は、ヒーター、熱媒体でコントロールすることができる。
反応基質の濃度コントロールや改質触媒との接触時間をコントロールするために改質反応に悪影響を与えないガスを希釈ガスとして供給することができる。供給できるガスとしては、窒素、水蒸気、二酸化炭素、希ガスおよびこれらの混合ガスを例示することができる。また、反応基質の含有する酸素を除去する目的で還元性ガスを付与することもできる。還元性ガスとしては水素、一酸化炭素、メタンなどの低沸点有機化合物およびこれらの混合ガスを例示することができる。
ガス流量(L/h)を触媒体積(L)で除することで求めることのできる空間速度(GHSV)は300〜5000/h、好ましくは500〜3000/h、更に好ましくは800〜2500/hである。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが本発明の効果を奏するものであれば以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明を図1に基づき具体的に説明する。図1は水溶媒液相回分(バッチ)法によりバイオマスを分解し次いで気相流通法によりバイオマス分解物を改質することを示したものである。手順としては、(1)バイオマス、還元鉄、溶媒として水をバイオマス分解用のオートクレーブに入れ、バイオマスを分解する。(2)オートクレーブから溶媒等を排出し、分離器1で液体状のバイオマス分解物と固体残渣とに分離し、バイオマス分解物は改質工程に移す。一方、固体残渣は分離器2に移し磁石を用いて固体残渣から鉄化合物と未反応バイオマスに分離する。(3)上流側に予熱及び気化用のSUSビーズ、下流側に改質触媒を充填した改質反応器に、バイオマス分解物を導入する。加熱し当該ビーズによりバイオマス分解物を気化し、改質反応をする。当該改質反応器の下流側から得られたものを分離器3によりオレフィン化合物、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなどの気体状生成物と水などの凝縮性化合物を分離する。以下に更に詳細に各工程などを説明する。
(1)還元鉄
還元鉄は市販の粒径60〜80nmのものを使用した。
(2)バイオマス分解工程
アルゴンガスで内部を置換したグローブボックス内で100mL容のオートクレーブに、粒径60〜80nmの還元鉄(1.564g)、パーム空果房(「EFB」とも記載する。乾燥物の酸素(O)/炭素(C)元素比0.72)を粉砕し目開き212μmのふるいを通過した粉砕物(1.0g)、溶媒として水(40mL)を入れ、オートクレーブの蓋を閉めた。当該オートクレーブ内部の気相を窒素ガスで置換した後、ゲージ圧で1.0MPaまで窒素ガスを充填した。撹拌翼で反応器内の混合物を撹拌しながら、ヒーターを用いてオートクレーブ内部を300℃に加熱し、30分反応させた。続いて、加熱を停止し、オートクレーブを氷浴で急冷した。
オートクレーブから液体状物(バイオマス分解物)および固体生成物(固体残渣)を個々分離回収した。液体状物中のC含量を全有機炭素計で測定すると、供給したEFBの含有C基準で75mol%−C(炭素収率)であった。
(3)改質触媒の調製
触媒は市販のアンモニウム型ZSM5粉末(SiO/Al=50)を箱型焼成炉中で、空気を0.5リットル/分で炉内に導入しながら500℃で6時間熱処理しH型ZSM5焼成物を得た。焼成物は磁製乳鉢で粉砕した後これを塩ビ製のリングに充填しプレス機で圧縮、得られた圧縮物をリング枠から外しこれを粉砕し、0.7mmから2.0mmの大きさに篩い分け改質触媒1を得た。
(4)改質工程
改質反応の反応管には内径10mmのSUS製の直管を使用した。反応器の反応温度のコントロールは環状炉を使用し、反応器には6mLの改質触媒1を充填し、その上部には原料であるバイオマス分解液を気化・予熱するための直径2mmのSUSビーズを充填した層を有する気相流通形式の反応器を用いた。
反応器にはキャリアーガスとしてNを20mL/min.で流通させた。所定の反応温度600℃となったところで、送液ポンプを用い、原料であるバイオマス分解物を0.067g/min.の供給速度で触媒層上部に設置した気化、予熱器に供給した。
原料供給開始から一定時間経過後生成ガスを氷浴で冷却したガス洗滌瓶中の水に吸収させるとともに、水に吸収されないガス成分についてガス洗滌瓶の後に設けたガス採集容器に回収した。水中に吸収された生成物については全有機炭素計で液中のC量を分析しC転化率を求めるとともに、ガス採集容器に回収されたガス生成物についてはガスクロマトグラフィーで生成物の同定と定量を行いそのC収率を算出した。得られた結果は表1に示した。
(比較例1)
実施例1においてバイオマス分解物製造の際に還元鉄を使用しなかった以外は実施例1と同じように行った。液体状物(バイオマス分解物)中のC収率は供給したEFBの含有C基準で49mol%−Cであった。得られたバイオマス分解物は送液ポンプを用いて0.059g/min.の供給速度で改質反応器に供給し反応した。得られた結果は表1にあわせて示した。
Figure 0006654384
本発明はバイオマスからオレフィン化合物を製造するものであり、得られるオレフィン化合物は石油由来のオレフィン化合物と同一のものであり、同じように各種化成品の原料に用いられるなど、広く化学産業に使用できるものである。

Claims (9)

  1. (1)バイオマス及び還元鉄並びに水及び/又は水蒸気を含む系によりバイオマスを分解する工程(バイオマス分解工程)と、
    (2)(1)に次いで改質触媒の存在下にオレフィン化合物を製造する工程(改質工程)とを含み、
    該バイオマス分解工程が、水を用いた液相法であり、反応温度が230℃〜400℃、反応圧力が25MPa以下で行われる、バイオマスからオレフィン化合物を製造する方法。
  2. (1)バイオマス及び還元鉄並びに水及び/又は水蒸気を含む系によりバイオマスを分解する工程(バイオマス分解工程)と、
    (2)(1)に次いで改質触媒の存在下にオレフィン化合物を製造する工程(改質工程)とを含み、
    該バイオマス分解工程が、水蒸気を用いた気相法であり、反応温度が230℃〜700℃、反応圧力が10MPa以下で行われる、バイオマスからオレフィン化合物を製造する方法。
  3. 当該バイオマス分解工程の後、鉄化合物を含む固体状物(固体残渣)、バイオマス残渣を除き、改質工程へ移動することを特徴とする請求項1又は2記載のオレフィン化合物を製造する方法。
  4. 当該固体残渣中の鉄化合物を還元処理し、当該バイオマス分解工程で還元鉄として用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン化合物を製造する方法。
  5. 当該バイオマス分工程後に、磁性体を用いて鉄化合物を回収し、鉄化合物を還元処理し、当該バイオマス分解工程で還元鉄として用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン化合物を製造する方法。
  6. 当該バイオマス分解工程として水溶媒液相法を用いるとき、反応温度が230℃〜380℃、反応圧力が10MPa以下であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン化合物を製造する方法。
  7. 当該バイオマス分解工程として水蒸気気相法を用いるとき、反応温度が230℃〜600℃、反応圧力が10MPa以下であることを特徴とする請求項2記載のオレフィン化合物を製造する方法。
  8. 当該改質工程が気相連続流通形式であり反応温度は300〜700℃、反応圧力は大気圧〜1.0MPaであることを特徴とする請求項1又は2記載のオレフィン化合物を製造する方法。
  9. 当該改質触媒が酸触媒であることを特徴とする請求項1又は2記載のオレフィン化合物を製造する方法。
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