JP6653154B2 - 中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置 - Google Patents

中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置 Download PDF

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Description

本発明は、中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置に関する。
近年、中空糸膜による分離技術の開発が進み、水の濾過をはじめ様々な用途に広く用いられている。しかし、中空糸膜による濾過の過程では、SSと呼ばれる原液中の懸濁物質等の固形物が中空糸膜表面に付着し、または微多孔に侵入して膜閉塞を生じ、経時的に濾過中の膜間差圧が上昇し、さらに膜閉塞が進行すると透過流束の低下が生じる。そこで、安定して長期的に濾過運転を継続するためには、濾過条件の設定と同時に中空糸膜の洗浄方法並びに洗浄における濾過装置の運転方法の開発が不可欠とされている。
従来、中空糸膜モジュールの洗浄方法として、種々の方法が提案されており、これらは物理的洗浄方法と化学的洗浄方法とに大別できる。
物理的洗浄方法としては、水、濾過水等の液体を濾液側から原液側へ通過させる液体逆洗方法、加圧気体を濾液側から原液側へ通過させる気体逆洗方法(特許文献1、特許文献2など)、原液側でモジュール底部などから気泡を噴出させるバブリング方法、超音波法など、多種多様の方法が提案されている。また、化学的洗浄方法としては酸、アルカリ水溶液、酸化剤、洗浄剤などの薬液により、付着物を溶解または分解することで除去する方法が知られている。
一般に、従来公知の物理的洗浄方法を用いた場合、その洗浄効果は必ずしも満足できるレベルにはなく、例えば濾過工程と洗浄工程とをシーケンスコントロールなどによって連続して運転した場合、数日から数ヶ月程度で透過流束が大きく低下するといった問題があった。この問題を解決するために、特許文献3において、中空糸膜の原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を中空糸膜の濾液側から導入する物理洗浄方法が提案されている。また特許文献4には、液体逆洗方法において、薬液を注入した膜濾過水を用いた液体逆洗方法が提案されている。
特開昭53−108882号公報 特表平1−500732号公報 特開平10−286441号公報 特開平11−009973号公報
特許文献3及び特許文献4の物理洗浄方法を用いることで、濾過による膜目詰まりが起こりにくい原液の濾過、あるいは単位膜面積当たりの濾過流量である濾過流束を低く設定した濾過では、長期間の連続した濾過運転が可能になる。しかし、特許文献3では、洗浄能力が不十分であるため、膜の目詰まりが起こりやすい原液の濾過、あるいは濾過流束を高く設定した濾過においては、次第に中空糸膜が閉塞し、膜間差圧の上昇や濾過流束の低下により濾過運転の継続が困難となる場合が多い。したがって、膜の目詰まりが起こりやすい原液の濾過、あるいは濾過流束を高く設定した濾過において長期間の連続したろ過運転を可能とするには、有効な洗浄方法の開発が必要である。
また、特許文献4では、中空糸膜全体を十分に洗浄するために大量の逆洗水を供給する必要があるため、大量の逆洗水を貯留するためのタンクや中空糸膜モジュールへ送液するためのポンプなどが必要となり、装置の小型化が困難である。
本発明の目的は、従来と比較して洗浄能力が高く長期間安定的に連続した濾過運転を可能にすると共に、装置の小型化が可能な中空糸膜モジュールの洗浄方法および濾過装置を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置は、下記の特徴を有する。
(1)本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、原液側及び濾液側の空間が設けられた中空糸膜モジュールを備えた濾過装置において、一の濾過工程と前記一の濾過工程の後に実施される次の濾過工程との間で実施される中空糸膜モジュールの洗浄方法である。前記中空糸膜モジュールの洗浄方法は、前記一の濾過工程の後において、前記濾液側の空間に存在する濾液に薬液を注入する薬液注入工程と、前記原液側の空間に原液が満たされた状態で前記原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって薬液注入後の濾液を加圧することにより、該濾液を前記濾液側の空間から中空糸膜を通じて前記原液側の空間に押し出す加圧工程と、前記加圧工程後において、前記中空糸膜モジュールの前記原液側を気体で洗浄する気体洗浄工程と、前記加圧工程後でかつ前記気体洗浄工程前において、前記中空糸膜モジュールの前記原液側の空間に原液を満たす充水工程と、前記気体洗浄工程後において、前記中空糸膜モジュール内の液体を系外に排出する排水工程と、を備え、前記次の濾過工程の開始前に、前記充水工程、前記気体洗浄工程及び前記排水工程が順に実施される洗浄サイクル繰り返すことにより、前記中空糸膜モジュール内に注入された薬液を系外に排出する。
)上記中空糸膜モジュールの洗浄方法は、前記加圧工程と前記気体洗浄工程との間において、薬液が注入された液体に中空糸膜を浸漬させる浸漬工程をさらに備えていてもよい。
)上記中空糸膜モジュールの洗浄方法において、前記加圧工程では、0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力の気体によって薬液注入後の濾液が加圧されてもよい。
)上記中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜の外表面側に原液が供給され、中空糸膜の内表面側から濾液が取り出される外圧濾過方式の濾過装置で実施されてもよい。
)上記中空糸膜モジュールの洗浄方法において、前記中空糸膜モジュールとして、中空糸膜束の上端は一括で固定し、下端は中空糸膜が一本ずつ固定されない状態で封止された片端フリータイプの中空糸膜モジュールが用いられてもよい。
(6)本発明の濾過装置は、原液側及び濾液側の空間が設けられた中空糸膜モジュールと、前記原液側の空間に原液を供給する送液ポンプと、前記濾液側の空間に薬液を供給する薬液供給装置と、前記濾液側の空間に存在する濾液を加圧するための気体を当該空間に供給し、前記原液側の空間にも気体を供給する気体供給装置と、前記原液側の空間から原液を排出する時に開かれる原液排出口バルブと、前記送液ポンプ、前記薬液供給装置及び前記気体供給装置の動作を制御し、前記原液排出口バルブの開閉を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記濾液側の空間に存在する濾液に薬液が注入され、前記原液側の空間に原液が満たされた状態で前記原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって薬液注入後の濾液が加圧されるように、前記送液ポンプ、前記薬液供給装置及び前記気体供給装置の動作を制御する。前記制御装置は、前記中空糸膜モジュールによる一の濾過工程と前記一の濾過工程の後に実施される次の濾過工程との間において、薬液注入後の濾液の加圧後において前記中空糸膜モジュールの前記原液側の空間に原液を満たす充水工程、前記充水工程後に前記中空糸膜モジュールの前記原液側を気体で洗浄する気体洗浄工程及び前記気体洗浄工程後に前記中空糸膜モジュール内の原液を系外に排出する排水工程が順に実施される洗浄サイクルが繰り返されるように、前記送液ポンプ、前記気体供給装置及び前記原液排出口バルブを制御する。
)上記濾過装置において、前記中空糸膜モジュールは、中空糸膜束の上端は一括で固定され、下端は中空糸膜が一本ずつ固定されない状態で封止された片端フリータイプの中空糸膜モジュールであってもよい。
本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置が、従来と比較して優れた効果を発現する理由について、図1及び図2に示す外圧濾過方式を例として、以下に説明する。
図1は、濾過液を用いた液体逆洗において、中空糸膜の長さ方向に沿った断面視における濾過液の流れを示している。図1は、一端を固定しない状態で封止した片端フリータイプの中空糸膜の濾液側(内表面側)に、ポンプを使用して濾過液を流した場合を示している。図2は、中空糸膜の原液側に液体が満たされた状態で当該原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって濾過液を加圧した場合における、中空糸膜の長さ方向に沿った断面視における濾過液の流れを示している。図2は、前記片端フリータイプの中空糸膜の濾液側にコンプレッサーを使用して圧縮気体を導入した場合を示している。図1及び図2において、中空糸膜の内側から外側に向かう矢印は、中空糸膜内側の濾液側から中空糸膜の壁面を通って中空糸膜外側の原液側に流出する濾過液を示し、この矢印の長さは濾過液の流量の大小を表している。
図1に模式的に図示するように、中空糸膜の内表面側に導入された濾過液は、圧力損失の小さい透過液導入部付近から優先的に中空糸膜の壁面を通じて原液側に流出するため、圧力損失の大きい中空糸末端部には、膜を洗浄するために十分な濾過液が流れないことが多い。一方で、図2のa〜dに模式的に図示するように、中空糸膜の原液側に液体が満たされた状態で当該原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を用いて逆洗を行った場合では、加圧気体により中空糸膜内部の濾過液の液面が順次低下する。このとき、圧力損失の小さい液面付近が優先的に逆洗されるため、中空糸膜内部の濾過液の液面が低下するにしたがって、中空糸膜の透過液導入部から末端部に至るまで全体が均一に洗浄される。また、濾過液による洗浄が終了した後に、中空糸膜が内部から気体により加圧されて、外側方向へ膨張する力を受け、図2のeにおいて破線で示すように中空糸膜が膨張する。このとき、中空糸膜の外側に付着したSS成分に剥離または亀裂が生じ、この加圧工程後に行われる気体洗浄工程でSS成分が脱落しやすくなる。以上より、中空糸膜の原液側に液体が満たされた状態で当該原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を用いる逆洗によれば、図1を参照して説明した逆洗と異なり、中空糸膜全体を均一に洗浄することができ、優れた洗浄効果が発揮される。
本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置では、濾過後に中空糸膜モジュールの濾液側の空間に残存する濾液に薬液を注入し、原液側の空間に原液が満たされた状態で当該原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって薬液注入後の濾液を原液側に押し出して逆洗することにより、優れた物理洗浄効果を発揮すると同時に、中空糸膜に付着した有機物、無機物などを溶解または分解除去することができ、従来の洗浄方法と比べて格段に優れた洗浄効果が発揮される。
また本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法及び濾過装置では、原液側の空間に原液が満たされた状態で当該原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって加圧することにより、図2のa〜dを参照して説明したように、濾液側の空間に残存する少量の濾液によって液面の低下に伴い中空糸膜全体を均一に洗浄することができる。そのため、従来のように、大量の逆洗水を貯留するためのタンクが不要となり、装置の小型化を図ることができる。また逆洗水の使用量を減らすことで、これに注入される薬液の使用量も減らすことができる。
本発明によれば、洗浄能力が高く長期間安定的に連続した濾過運転を可能にすると共に、装置の小型化が可能な中空糸膜モジュールの洗浄方法および濾過装置を提供することができる。
濾過液を用いた逆洗における濾過液の流れを模式的に示した図である。 中空糸膜の原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を用いた逆洗における濾過液の流れを模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係る濾過装置に用いられる中空糸膜モジュールの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る濾過装置の一例を示す図である。 図4に示す濾過装置の基本的な運転プログラムを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(濾過装置)
まず、本実施形態の濾過装置10の一例を、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施形態の濾過装置10に用いられる外圧型の中空糸膜モジュール1の一例を示す図である。図4は、中空糸膜モジュール1を用いた濾過装置10の一例を示す概略構成図である。
濾過装置10は、中空糸膜4(中空糸膜エレメント)の外表面側に原液が供給され、中空糸膜4の内表面側から濾液が取り出される外圧濾過方式の濾過装置である。濾過装置10は、原液側B及び濾液側Aの空間が設けられた中空糸膜モジュール1と、中空糸膜モジュール1の原液側Bの空間に原液を供給する送液ポンプ29と、中空糸膜モジュール1の原液側B及び濾液側Aの空間に気体を供給するエアーコンプレッサー30(気体供給装置)と、中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間に薬液を注入する薬液注入ポンプ32(薬液供給装置)と、制御装置40と、を備えている。
中空糸膜モジュール1の内部は、上部が濾液側A、下部が原液側Bの空間となるように接着端部2によって仕切られている。濾液側Aには濾液側配管51が接続されており、当該濾液側配管51には濾液出口5、加圧気体導入口6及び薬液注入口11が設けられている。原液側Bには気体排出口8及び原液側配管52が設けられており、当該原液側配管52には原液導入口7、気体導入口9及び原液排水口12が設けられている。原液側Bの空間には中空糸膜4が複数配置されており、中空糸膜4の下側には散気部材13が配置されている。原液導入口7から原液側Bの空間内に導入された原液は、中空糸膜4の壁面を通過し、濾液となって濾液側Aの空間に導かれる。
送液ポンプ29は、原液導入配管41を介して原液導入口7に接続されている。原液導入配管41には、配管内における原液の流通及び遮断を切り替える原液導入口バルブ21が設けられている。送液ポンプ29は、原液導入配管41を介して原液側Bの空間に濾過前の原液を供給する。
エアーコンプレッサー30は、第1気体導入配管42を介して加圧気体導入口6に接続され、かつ第2気体導入配管43を介して気体導入口9に接続されている。エアーコンプレッサー30は、第1気体導入配管42を介して濾液側Aの空間に加圧気体を供給することにより、当該空間に存在する濾液を加圧する。またエアーコンプレッサー30は、第2気体導入配管43を介して原液側Bの空間に加圧気体を供給することにより、当該空間に存在する原液の気体洗浄(バブリング)を行う。なお、本発明における気体供給装置は、エアーコンプレッサー30に限られず、加圧気体を供給可能な構成を有する装置であればよい。
薬液注入ポンプ32は、薬液注入配管44を介して薬液注入口11に接続されている。薬液注入ポンプ32は、薬液注入配管44を介して濾液側Aの空間に残存する濾液に薬液を注入する。薬液としては、酸化剤、酸、アルカリなどが挙げられ、原液の性質や濾過挙動に応じて適宜選択して注入することができる。薬液注入ポンプ32は、一種類の薬液を注入可能な注入手段を有していてもよいし、複数種類の薬液を注入可能な注入手段を有していてもよい。なお、本発明における薬液供給装置は、薬液注入ポンプ32に限られず、濾液側Aの空間に薬液を供給可能であればよく、例えば薬液貯留タンクなどによって構成されていてもよい。
制御装置40は、送液ポンプ29、エアーコンプレッサー30及び薬液注入ポンプ32の各装置の駆動を制御し、かつ各バルブの開閉動作を制御する。制御装置40は、例えばパーソナルコンピュータなどによって構成されている。制御装置40は、濾過プロセスにおいて順次実行される各工程(充水、濾過、薬液注入、加圧、気体洗浄、排水など)のシーケンス情報が格納された記憶部と、当該シーケンス情報に従って各装置の駆動及びバルブの開閉動作を制御する制御部と、を有している。
(中空糸膜)
次に、上記濾過装置10で使用される中空糸膜4について詳細に説明する。
本実施形態で使用される中空糸膜4としては、ポリビニルアルコール系樹脂により親水化処理されたポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、親水性高分子が注入されたポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、親水化処理されたポリエチレン系樹脂などの親水性素材からなるものが、高い親水性を有するためにSS成分の難付着性、付着したSS成分の剥離性に優れている点で好ましいが、他の素材で構成された中空糸膜を用いることもできる。例えば、ポリオレフィン系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、酢酸セルロース系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリパーフルオロエチレン系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリエステル系、ポリアミド系などの有機高分子系の素材で構成された中空糸膜、セラミック系などの無機系の素材で構成された中空糸膜などを使用条件、所望する濾過性能などに応じて選択することができる。ここで、ポリビニルアルコール系樹脂により親水化処理されたポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、親水性高分子が注入されたポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂からなる中空糸膜は、上記した親水性に優れるのみならず、耐熱性にも優れることから、特に好ましい。有機高分子系の素材を使用する場合、30モル%以内の量で他成分を共重合したもの、または30重量%以内の量で他の素材をブレンドしたものであってもよい。
有機高分子系の中空糸膜を使用する場合、中空糸膜の製造方法は特に限定されることはなく、素材の特性及び所望する中空糸膜性能に応じて、公知の方法から適宜選択した方法を選択することができる。一般的には、溶融紡糸法、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法などが採用される。また、透水性の観点から中空糸膜は緻密層と支持層とを有する傾斜構造を持つことが好ましいが、一般に溶融紡糸法により製造される中空糸は対称構造となることから、乾湿式紡糸法などの相転換法により製造することが好ましい。
本実施形態で使用される中空糸膜4の孔径は特に限定されないが、0.001〜5ミクロンの範囲内であることが、高い透水性を有し、濾過効率が低下するおそれが小さいことから好ましい。なお、ここでいう孔径とは、コロイダルシリカ、エマルジョン、ラテックスなどの粒子径が既知の各種基準物質を中空糸膜で濾過した際に、その90%が排除される基準物質の粒子径をいう。孔径は均一であることが好ましい。限外濾過膜であれば、上記のような基準物質の粒子径に基づいて、孔径を求めることは不可能であるが、分子量が既知の蛋白質を用いて同様の測定を行ったときに、分画分子量が3000以上であるものが好ましい。
中空糸膜の力学的性質およびモジュールとしての膜面積の観点から、中空糸膜4の外径は200〜30000ミクロンの範囲内に設定されることが好ましく、500〜2000ミクロンの範囲内に設定されることがより好ましい。同様に中空糸膜4の厚さは100〜600ミクロンの範囲内に設定されることが好ましい。
本実施形態において、中空糸膜4は、図3に示すようにモジュール化されて濾過に使用される。濾過方法、濾過条件、洗浄方法などに応じてモジュールの形態を適宜選択することが可能であり、1本又は複数本の中空糸膜を装着することにより中空糸膜モジュールが構成されてもよい。モジュールの形態としては、例えば数十本から数十万本の中空糸膜を束ねてモジュール内でU字型にしたもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一括封止したもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの、中空糸繊維束の両端を開口したものなどが挙げられる。また、中空糸膜モジュールの形態も特に限定されることはなく、例えば円筒状であってもスクリーン状であってもよい。本実施形態では、気体による膜表面の洗浄効果が極めて高くなることから、中空糸膜束の上端は一括で固定され、下端は中空糸膜が一本ずつ固定されない状態(フリー状態)で封止された「片端フリータイプ」の中空糸膜モジュール1を用いることが特に好ましい。
上記中空糸膜モジュール1を用いた濾過方式としては、外圧全濾過、外圧循環濾過、内圧全濾過、内圧循環濾過などが挙げられ、所望の処理条件、処理性能に応じて適宜選択することができる。膜寿命の点では濾過と膜表面の洗浄を同時に行うことができる循環方式が好ましく、設備の単純さ、設置コスト、運転コストの点では全濾過方式が好ましい。本実施形態では、気体による膜表面の洗浄を行う際に、中空糸膜同士が擦れ合うことによる洗浄効果が発現することから、中空糸膜4の外表面側に原液が供給され、中空糸膜4の内表面側から濾液が取り出される外圧濾過方式が好ましい。
(中空糸膜モジュールの洗浄方法)
次に、上記濾過装置10による濾過運転、及び当該運転中に実施される本実施形態に係る中空糸膜モジュールの洗浄方法について、図3〜図5を参照して説明する。図5には、図4に示した濾過装置10の基本的な運転方法について、各工程と作動バルブの開閉状態との相関が示されている。図5中の丸印は、該当するバルブが開いていることを意味する。
はじめに、充水工程(濾過前)が実施される。この工程では、濾過装置10の全バルブが閉じた状態から制御装置40によって気体排出口バルブ24及び原液導入口バルブ21が開かれ、送液ポンプ29が作動する。これにより、送液ポンプ29から中空糸膜モジュール1の原液側Bの空間に原液が導入され、濾過容器25の下部に原液が充填される。
次に、濾過工程が実施される。この工程では、気体排出口8(気体排出口バルブ24)から原液が溢れた後、制御装置40によって濾液出口バルブ23が開かれ、かつ気体排出口バルブ24が閉じられる。そして、原液側Bの空間に満たされた液体が中空糸膜4の外表面側から壁面を通過して内表面側へ浸透し、濾過液として取り出される。
この濾過工程では、濾過時間の経過に伴って中空糸膜4の外表面にSS成分が付着し、これにより濾過能力が低下する。そのため、当該濾過工程が一定時間実施された後、以下に説明する本実施形態に係る中空糸膜モジュールの洗浄方法により中空糸膜モジュール1の洗浄が行われる。
まず、薬液注入工程が実施される。この工程では、送液ポンプ29を停止させた後、原液導入口バルブ21及び濾液出口バルブ23が閉じられ、濾過が停止する。そして、制御装置40によって気体排出口バルブ24が開かれ、その状態で薬液注入ポンプ32を所定時間作動させる。これにより、薬液注入ポンプ32から中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間に残存する濾液に薬液が注入される。
薬液としては、酸化剤、酸、アルカリなどが挙げられ、原液の性質や濾過挙動に応じて好ましいものが注入される。また、複数種類の薬液を組み合わせたものが注入されてもよい。薬液の濃度は、原液の性質、膜閉塞の度合い、及び薬液を用いた逆洗を行う頻度などに応じて変更することができるが、中空糸膜の劣化や性能低下が起こらない範囲であることが好ましい。また濾過運転中において、中空糸膜モジュール1の洗浄が複数回行われる場合には、各回毎に異なる種類の薬液が順番に使用されてもよい。
次に、加圧工程が実施される。この工程では、制御装置40によって原液排出口バルブ27及び加圧気体導入口バルブ22が開かれ、かつエアーコンプレッサー30を作動させる。これにより、加圧気体が加圧気体導入口6より濾過容器25の濾液側Aの空間(中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間)に導入され、薬液注入後の濾液が当該気体によって加圧される。そして、当該濾液は、濾液側Aの空間から中空糸膜4の内表面側の領域に侵入し、中空糸膜4の壁面を通じて原液側Bの空間に押し出される。このとき、原液側Bの空間に満たされた原液の一部が原液排水口12(原液排出口バルブ27)から系外へ排出される。このようにして、薬液が注入された濾液によって中空糸膜4の逆洗が行われる。その後、濾液側圧抜きバルブ31を開くことにより、中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間の圧力が低下する。
この加圧工程では、中空糸膜モジュール1の原液側Bの空間に原液が満たされた状態で、薬液注入後の濾液を加圧することにより、該濾液が中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間から中空糸膜を通じて原液側Bの空間に押し出される。該加圧は、当該原液側Bから気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって、行われる。このとき、濾液側配管51及び中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間に満たされた濾液が原液側Bの空間に押し出される過程で中空糸膜4が逆洗される。本実施形態では、図2のa〜dを参照して説明したように、中空糸膜4の内表面側において濾液の液面を末端部に向かって徐々に低下させることにより、中空糸膜4の長さ方向における全体を均一に洗浄することができる。なお、濾液側配管51の途中に濾液を貯留するためのタンクを設けることにより、逆洗に使用される濾過液の量を増やしてもよい。
加圧工程に使用される気体としては、空気、窒素などが挙げられ、その圧力は中空糸膜4の破裂圧力を超えない範囲で選択される。中空糸膜4の破裂圧力が0.5MPaよりも大きい場合は、加圧気体の圧力は0.10MPa以上0.50MPa以下の範囲内であることが好ましく、0.15MPa以上0.30MPa以下の範囲内であることがより好ましい。
加圧工程の実施時間は、中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間に残存する濾液を完全に排出又は置換可能な時間以上に設定される必要があるが、加圧気体の単位時間当たりの導入量と中空糸膜モジュール1の濾液側Aの空間の体積により異なる。また加圧時間は、中空糸膜4の内部の体積も考慮して設定する必要がある。
次に、浸漬工程が実施される。この工程では、薬液による膜洗浄の効果を高めるため、
上記加圧工程により薬液注入後の液体が原液側Bの空間に押し出された後、中空糸膜4が当該薬液注入後の液体に所定時間浸漬される。浸漬工程の実施時間は、薬液の種類、原液の性質、膜閉塞の度合いに応じて適宜変更される。浸漬時間が長くなるに従って薬液による洗浄効果は高くなるが、一方で濾過運転の稼働率は低下する。そのため、浸漬時間は、60分以下であることが好ましく、30分以下であることがより好ましい。なお、当該浸漬工程は必須の工程ではなく、省略されてもよい。
次に、充水工程(洗浄前)が実施される。この工程では、上記加圧工程において低下した原液側Bの空間における液面を上昇させるため、制御装置40によって気体排出口バルブ24及び原液導入口バルブ21が開かれ、送液ポンプ29を作動させることにより、中空糸膜モジュール1の原液側Bの空間に原液が満たされる。そして、気体排出口8(気体排出口バルブ24)から原液が溢れた後、送液ポンプ29を停止させ、原液導入口バルブ21が閉じられ、原液の供給が停止される。
次に、気体洗浄工程が実施される。この工程では、中空糸膜モジュール1の原液側Bに液体が満たされた状態において、制御装置40によって気体導入口バルブ28が開かれ、エアーコンプレッサー30が作動する。そして、エアーコンプレッサー30から原液側Bの空間に気体が供給される。これにより、原液側Bの空間に満たされた液体に気泡が発生し、当該気泡によって中空糸膜4の表面が所定時間洗浄される。
この気体洗浄工程では、空気、窒素などの気体が原液側Bの空間に供給される。このときの気体の供給量は特に限定されないが、膜の洗浄効果を高め、かつ膜破損のおそれを小さくする観点から、中空糸膜の面積1m当たり5〜1000ノルマルリットル/時の範囲内にあることが好ましく、10〜500ノルマルリットル/時の範囲内にあることがより好ましい。本実施形態で使用される片端フリータイプの中空糸膜モジュール1では、中空糸膜4から剥離したSSが排出されやすく、気体による膜洗浄効果が極めて高くなる。
次に、排水工程が実施される。この工程では、制御装置40によって気体導入口バルブ28が閉じられると共に原液排出口バルブ27が開かれる。これにより、中空糸膜モジュール1内の液体(原液側Bの空間に満たされた原液)が系外に排出される。
本実施形態では、上記加圧工程の完了後において、上記充水工程(洗浄前)、上記気体洗浄工程及び上記排水工程が順に実施される洗浄サイクルが所定回数繰り返されてもよい。この洗浄サイクルは、中空糸膜モジュール1内に注入された薬液を系外に確実に排出するために行われる。洗浄サイクルの繰り返し回数は、薬液の種類及び濃度に応じて変更することが可能であり、中空糸膜モジュール1内に薬液が残留しなくなる回数に設定されることが好ましい。上記のようにして中空糸膜モジュール1の洗浄が完了した後、再び充水工程(濾過前)、濾過工程に戻って濾過運転が再開される。
上記実施形態では、濾過、濾液への薬液注入、気体による加圧、気体洗浄などの一連の工程は、制御装置40を用いたシーケンス制御によって実施可能である。例えば、一定時間濾過工程を行った後、薬液注入工程及び加圧工程により中空糸膜の逆洗を行い、その後気体洗浄工程及び排水工程を含む洗浄サイクルを1回乃至数回繰り返す、というシーケンス制御によって各工程が自動的かつ連続的に行われてもよい。
本実施形態の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜を構成する素材、モジュールの形状を問わず、従来の洗浄方法よりも卓越した洗浄効果が発現されることから、極めて広範な用途において、従来よりも高い透過流束で長期間連続して安定的な濾過を行うことが可能である。例えば食品工業分野では、原料水の除菌・除濁・除鉄・除マンガン、洗浄用水の除菌・微粒子除去・回収、天然水の除菌・微粒子除去、醤油の除菌・精製、清酒の除菌・精製、食酢の除菌・精製、みりんの精製・調味料の除菌・精製、醸造折からの製品回収、糖液の除菌・微粒子除去・精製、ハチミツの精製、酵素・蛋白質の精製・濃縮、発酵液の精製、チーズポエーからの蛋白質の回収精製、ミルクの濃縮による高蛋白乳の製造、水産加工排水からの蛋白質回収、魚肉蛋白の濃縮、肉加工廃棄物からの肉蛋白質の回収、豚の血液からの赤血球の分離、血液中のアルブミンとグロブリンの濃縮精製、大豆ホエーからの生理活性物質の回収・精製、大豆煮汁からの蛋白質回収、あぶらな蛋白の毒素除去と蛋白質濃縮、じゃがいもでんぷん工業排水からの有用蛋白質の回収、天然色素の回収精製、バクテリア細胞及び代謝物質の回収による発酵液の精製などの用途で使用可能である。また、医療分野では、原液となる純水、超純水製造装置の前処理、逆洗用水のパイロジェン除去、注射用水製造、透析用水製造、透析液の精製、ワクチン・酵素・ビールス・核酸・蛋白質などの生理活性物質の分離・濃縮・精製・ホルモンの精製、人口血液の製造、多糖類の濃縮精製、病院手洗い水の除菌、手術器具洗浄水の除菌などの用途に使用可能である。また、電子工業分野では、逆浸透膜の前処理、超純水のファイナルフィルター、超純水のユースポイントフィルター、超純水のユニット組み込みフィルター、洗浄水の微粒子除去、研磨排水の回収、ダイシング排水の回収などの用途で使用可能である。また、化学工業分野では、塗料の濃縮・回収、油剤の分離・回収、エマルジョンの分離・回収、コロイドの分離・回収、微粉体の洗浄精製、洗浄水の微粒子除去、メッキ液の精製、電気透析の前処理等の用途で使用可能である。また、繊維・染色加工分野では、PVA糊抜き排水のクローズド化、繊維加工油剤の回収・再利用、洗毛排水からのラノリンの回収、絹糸加工排水からのセリシンの回収などの用途で使用可能である。また、鉄鋼・機械加工分野では、バレル研磨排水の回収、バフ研磨排水の回収、圧延油排水処理、水溶性切削油排水処理、動植物油加工排水の処理、脱脂専用排水からのエマルジョン除去・洗浄剤回収、リンス水のエマルジョン除去・リンス水回収、スクリーン版洗浄剤からのインク類の除去などの用途で使用することが可能である。
(その他実施形態)
上記実施形態の濾過装置10において、複数本の中空糸膜モジュール1が原液導入口7、濾液出口5及び原液排出口12を共有するように濾過容器25内に並列して配置されてもよい。この場合、各中空糸膜モジュール1の濾液側Aに薬液注入口11が設けられてもよいし、共有された濾液出口5に一つの薬液注入口11が設けられていてもよい。
上記実施形態の洗浄方法において、逆洗後に中空糸膜モジュール1の原液側Bに薬液が供給され、中空糸膜4に付着した有機物、無機物などが溶解除去されてもよい。ここで、薬液洗浄の方法としては、有機物、無機物などを除去するために水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリや酸化剤で処理する方法、金属類を除去するために酸水溶液などの酸で処理する方法、洗浄剤で処理する方法、又はこれらを組み合わせて連続的に行う方法があり、これによって中空糸膜4の再生が可能である。薬液の種類及び濃度は原液の性質、膜閉塞の度合いに応じて変更することが可能であり、中空糸膜4の劣化や性能低下が起こらないように選択されることが好ましい。逆洗時と同じ薬液を用いる場合には、洗浄効果を高める観点から逆洗時よりも濃度が高い薬液を用いることが好ましい。
上記実施形態の洗浄方法において、薬液注入を伴う中空糸膜モジュールの洗浄後に濾過プロセスを再開するとき、濾過開始から所定時間経過するまで濾液を廃棄するようにシーケンス制御が行われてもよい。このとき、濾液を廃棄する時間は、濾液中に薬液が混入しなくなる時間に設定されることが好ましい。
上記実施形態の洗浄方法において、ドレン排出と充水とを繰り返して中空糸膜4の表面及び中空糸膜モジュール1内を洗浄する工程又はフラッシング洗浄工程などが、必要に応じて追加実施されてもよい。
上記実施形態の洗浄方法において、濾過工程と薬液注入を伴わない洗浄工程とを交互に繰り返しつつ濾過運転が継続され、濾過工程と洗浄工程の繰り返し回数が一定以上に達した場合や膜の目詰まりが大きくなった場合に、薬液注入を伴う洗浄工程が行われてもよい。そして、薬液注入を伴う洗浄工程が完了した後、濾過工程と薬液注入を伴わない洗浄工程が再び繰り返されてもよい。このような所謂セレクトスイッチ方式により、長期間安定的に濾過運転を継続することも可能である。ここで、薬液注入を伴う洗浄工程の実施頻度が少ない方が、濾過運転の稼働率が高くなり、薬液の使用量も少なくなるため好ましい。しかし、膜目詰まりの進行の程度が大きくなると、薬液による洗浄効果が小さくなってしまうため、実施頻度を適切な範囲で管理することが重要である。例えば、濾過工程と薬液注入を伴わない洗浄工程とを10〜1000回繰り返した後、又は膜間差圧が50〜100kPaの範囲で設定された一定値以上に達したタイミングで、薬液注入を伴う洗浄工程が実施されることが好ましい。
また制御装置40によるシーケンス制御には限定されず、当該制御装置40を省略し、薬液注入工程、加圧工程、浸漬工程、気体洗浄工程などの各工程が順に実施されるように、作業者が手動でバルブの切り替え作業を行ってもよい。
(実施例)
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例及び比較例の結果より、本発明において長期的に安定した濾過運転が可能であることが明らかになる。
<実施例1>
中空糸膜モジュールとして、ポリビニルアルコールにより親水化処理されたポリフッ化ビニリデン系樹脂からなり、平均孔径が0.02ミクロンである中空糸膜からなるものを使用した。この中空糸膜モジュールは、片端フリータイプであり、膜面積が42mである。
原液として湖水を使用し、中空糸膜モジュールを用いて外圧全濾過方式により流量3000L/hの条件で定流量濾過を行った。そして、濾過工程15分毎に1回の洗浄工程を実施した。シーケンス制御により、濾過工程と薬液注入を伴わない洗浄工程のサイクル(80回)と、濾過工程と薬液注入を伴う洗浄工程のサイクル(1回)と、を交互に実施した。
薬液注入を伴わない洗浄工程では、中空糸膜モジュールの濾液側から圧力0.2MPaの圧縮空気を送り込んで中空糸膜モジュール内を加圧することにより10秒間加圧操作する加圧工程、濾液側の圧力を低下させる圧抜き工程、原液側に原液を満たす充水工程、中空糸膜モジュールの原液側の下部から空気を1700NL/hの流量で60秒間噴出させる気体洗浄工程、及び原液側のドレンを排出する排水工程を行った。また、薬液注入を伴う洗浄工程では、中空糸膜モジュールの濾液側の液体に対して有効塩素濃度が100mg/Lになるように次亜塩素酸ナトリウムを注入した後、上記加圧工程、上記圧抜き工程を行った。次に、10分間静置して薬液と膜付着物とを反応させる浸漬工程を行った。その後、上記充水工程、上記気体洗浄工程及び排水工程が順に実施される洗浄サイクルを10回繰り返した。
上記条件で濾過運転を77日間継続したところ、膜閉塞の指標となる膜間差圧に変動は無く、安定した濾過運転が可能であった。
<比較例1>
原液として上記実施例1と同様に湖水を使用し、中空糸膜モジュールを用いて外圧全濾過方式により流量3000L/hの条件で定流量濾過を行い、濾過工程15分毎に1回洗浄工程を実施した。シーケンス制御により、濾過工程と薬液注入を伴わない洗浄工程のサイクルのみ繰り返す条件で運転を実施した。つまり、上記実施例1と異なり薬液注入を伴う洗浄工程は実施しなかった。その他の条件は上記実施例1と同様であった。
上記条件で濾過運転を8日間継続したところ、膜間差圧は合計8.7kPa上昇し、運転の継続により徐々に膜閉塞が生じた。
比較例1では、濾過運転の継続により短期間で膜閉塞が生じたのに対して、実施例1では膜間差圧が増加することなく長期間に亘って安定した濾過運転が可能であった。従って、本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法を用いることにより、長期間にわたり安定的に連続した濾過運転が可能になることが分かった。
今回開示された実施形態及び実施例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 中空糸膜モジュール、A 濾液側、B 原液側、4 中空糸膜、10 濾過装置、29 送液ポンプ、30 エアーコンプレッサー(気体供給装置)、32 薬液注入ポンプ(薬液供給装置)、40 制御装置

Claims (7)

  1. 原液側及び濾液側の空間が設けられた中空糸膜モジュールを備えた濾過装置において、一の濾過工程と前記一の濾過工程の後に実施される次の濾過工程との間で実施される中空糸膜モジュールの洗浄方法であって、
    前記一の濾過工程の後において、前記濾液側の空間に存在する濾液に薬液を注入する薬液注入工程と、
    前記原液側の空間に原液が満たされた状態で前記原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって薬液注入後の濾液を加圧することにより、該濾液を前記濾液側の空間から中空糸膜を通じて前記原液側の空間に押し出す加圧工程と、
    前記加圧工程後において、前記中空糸膜モジュールの前記原液側を気体で洗浄する気体洗浄工程と、
    前記加圧工程後でかつ前記気体洗浄工程前において、前記中空糸膜モジュールの前記原液側の空間に原液を満たす充水工程と、
    前記気体洗浄工程後において、前記中空糸膜モジュール内の液体を系外に排出する排水工程と、を備え、
    前記次の濾過工程の開始前に、前記充水工程、前記気体洗浄工程及び前記排水工程が順に実施される洗浄サイクル繰り返すことにより、前記中空糸膜モジュール内に注入された薬液を系外に排出する、中空糸膜モジュールの洗浄方法。
  2. 前記加圧工程と前記気体洗浄工程との間において、薬液が注入された液体に中空糸膜を浸漬させる浸漬工程をさらに備えた、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの洗浄方法。
  3. 前記加圧工程では、0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力の気体によって薬液注入後の濾液が加圧される、請求項1又は2に記載の中空糸膜モジュールの洗浄方法。
  4. 中空糸膜の外表面側に原液が供給され、中空糸膜の内表面側から濾液が取り出される外圧濾過方式の濾過装置で実施される、請求項1〜3の何れか1項に記載の中空糸膜モジュールの洗浄方法。
  5. 前記中空糸膜モジュールとして、中空糸膜束の上端は一括で固定し、下端は中空糸膜が一本ずつ固定されない状態で封止された片端フリータイプの中空糸膜モジュールが用いられる、請求項1〜4の何れか1項に記載の中空糸膜モジュールの洗浄方法。
  6. 原液側及び濾液側の空間が設けられた中空糸膜モジュールと、
    前記原液側の空間に原液を供給する送液ポンプと、
    前記濾液側の空間に薬液を供給する薬液供給装置と、
    前記濾液側の空間に存在する濾液を加圧するための気体を当該空間に供給し、前記原液側の空間にも気体を供給する気体供給装置と、
    前記原液側の空間から原液を排出する時に開かれる原液排出口バルブと、
    前記送液ポンプ、前記薬液供給装置及び前記気体供給装置の動作を制御し、前記原液排出口バルブの開閉を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記濾液側の空間に存在する濾液に薬液が注入され、前記原液側の空間に原液が満たされた状態で前記原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体によって薬液注入後の濾液が加圧されるように、前記送液ポンプ、前記薬液供給装置及び前記気体供給装置の動作を制御し、
    前記制御装置は、前記中空糸膜モジュールによる一の濾過工程と前記一の濾過工程の後に実施される次の濾過工程との間において、薬液注入後の濾液の加圧後において前記中空糸膜モジュールの前記原液側の空間に原液を満たす充水工程、前記充水工程後に前記中空糸膜モジュールの前記原液側を気体で洗浄する気体洗浄工程及び前記気体洗浄工程後に前記中空糸膜モジュール内の原液を系外に排出する排水工程が順に実施される洗浄サイクルが繰り返されるように、前記送液ポンプ、前記気体供給装置及び前記原液排出口バルブを制御する、濾過装置。
  7. 前記中空糸膜モジュールは、中空糸膜束の上端は一括で固定され、下端は中空糸膜が一本ずつ固定されない状態で封止された片端フリータイプの中空糸膜モジュールである、請求項6に記載の濾過装置。
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