JP6652814B2 - リチウム電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム電池及びその製造方法に関する。
従来、リチウム電池用正極活物質として、LiNi0.5Mn1.54などのNi−Mnスピネルが提案されている(非特許文献1参照)。Ni−Mnスピネルは約4.6〜4.8V(vs. Li+/Li)でLi+を挿入脱離することができるため、黒鉛負極と組み合わせた場合には平均電圧約4.6Vの電池を構成することができる。しかしながら、Ni−Mnスピネルを用いたリチウム電池は正極電位が高いため、従来のリチウム電池用の電解液溶媒であるエチレンカーボネートなどを用いると、正極で酸化分解され、耐久性が悪いことがあった。そこで、耐酸性の高いフッ素置換溶媒を用いることが提案されている(非特許文献2参照)。
また、リチウム電池に関するものではないが、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CF3COOLi及びC25COOLiなどのリチウム塩を含む1,2−ジメトキシエタン溶媒中に、フッ素化アリール基やフッ素化アルキルを備えたボレート化合物を加えることが検討されている(非特許文献3参照)。こうすることで、リチウム塩の解離度を高めることができ、溶液のイオン伝導率を高めることができるとしている。
Q. Zhong et al., J. Electrochem. Soc., 144, 1, (1997)205-213. Z. Zhang et al., Energy Environ. Sci., 2013, 6, 1806-1810. H. S. Lee et al., J. Electrochem. Soc., 145, 8, (1998)2813-2818.
しかしながら、非特許文献2のリチウム電池では、フッ素置換溶媒を用いることにより高い耐久性を示すとされているものの、電池内でのガス発生の抑制が十分でないことがあり、電池内でのガス発生をより抑制することが望まれていた。非特許文献3では、ボレート化合物の添加によるリチウム塩の解離度向上や溶液のイオン伝導率向上について検討されているだけだった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、リチウム電池内でのガス発生をより抑制することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した。そして、Li挿入脱離電位が4.4V以上(vs. Li+/Li)の正極活物質を備えたリチウム電池において、カーボネート系溶媒と、支持塩と、所定のボレート化合物を所定量含む電解液を用いると、リチウム電池内でのガス発生をより抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウム電池は、
Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、カーボネート系溶媒と、支持塩と、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物と、を含み、前記ボレート化合物が0.01mol/L以上0.4mol/L以下の範囲で含まれる電解液と、
を備えたものである。
本発明のリチウム電池の製造方法は、
Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、の間に、カーボネート系溶媒と、支持塩と、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物と、を含み、前記ボレート化合物が0.01mol/L以上0.4mol/L以下の範囲で含まれる電解液を注入するものである。
このリチウム電池及びその製造方法では、リチウム電池内でのガス発生をより抑制できる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、ルイス塩基であるボレート化合物が、孤立電子対を有するカーボネート系溶媒と相互作用することによって、Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含む正極を用いた場合でも、正極上でのカーボネート系溶媒の酸化分解を抑制できると考えられる。カーボネート系溶媒の酸化分解によって生じるH+は負極に移動して水素ガスを発生させることがあるが、カーボネート系溶媒の酸化分解を抑制することにより、結果として、リチウム電池内でのガス発生を抑制できると考えられる。
リチウム電池10の一例を示す模式図。
本発明のリチウム電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在し、リチウムイオンを伝導する電解液と、を備えている。
本発明のリチウム電池の正極は、Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含有している。正極活物質としては、スピネル型リチウムニッケルマンガン酸化物、オリビン型リチウムリン酸コバルト、オリビン型リチウムリン酸ニッケルなどが挙げられる。スピネル型リチウムニッケルマンガン酸化物としては、例えば、LiaNibMncMede(MeはMn,Ni以外の遷移金属元素、Al及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a〜eは0.9≦a≦1.2、0.45≦b≦0.55、1.45≦c≦1.55、0≦d≦5.00、3.8≦e≦4.2)などが挙げられる。Meとしての遷移金属は、例えば、V,Ti,Cr,Fe,Co,Cu等とすることができる。オリビン型リチウムリン酸コバルトとしてはLiCoPO4などが挙げられ、オリビン型リチウムリン酸ニッケルとしてはLiNiPO4などが挙げられる。正極活物質としては、上述したもののうち、スピネル型リチウムニッケルマンガン酸化物が好ましく、LiNi0.5Mn1.54がより好ましい。なお、本発明において、各化学式で示した物質は、化学量論組成のものに限定されず、一部の元素が、過剰であったり、欠損していたり、他の元素で置換されていてもよい。
この正極は、正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウム電池の負極は、負極活物質を含有している。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金のほか、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、シリコン、シリコン化合物、スズ、スズ化合物、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。炭素質材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時おける不可逆容量を少なくできるため、好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物(例えばLiTi24)やリチウムバナジウム複合酸化物(例えばLiV25)などが挙げられる。負極活物質としては、このうち、炭素質材料や、シリコン、スズ、リチウムチタン複合酸化物などが好ましい。
この負極は、例えば、負極活物質と集電体とを密着させて形成してもよいし、負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウム電池の電解液は、カーボネート系溶媒と、支持塩と、ボレート化合物と、を含む。
カーボネート系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネートなどが挙げられる。また、カーボネート系溶媒は、上述した各カーボネート系溶媒において少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものとしてもよい。カーボネート系溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。カーボネート系溶媒は、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方を含むことが好ましい。また、カーボネート系溶媒は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素化カーボネートを含むことが好ましい。フッ素化カーボネートを含むものでは、リチウム電池の耐久性をより高めることができると考えられる。カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネートのうち少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素化エチレンカーボネートや、エチルメチルカーボネートのうち少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素化エチルメチルカーボネートがより好ましい。
支持塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられる。このうち、LiPF6や、LiFSI(上述したLiN(FSO22)などが好ましい。支持塩は、電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。
ボレート化合物は、オルトホウ酸(B(OH)3)の3つの水素が、フッ素化アルキル基で置換された構造を有している。フッ素化アルキル基は、アルキル基の有する水素のうちの1つ以上がフッ素で置換された構造であればよく、一部の水素がフッ素で置換された構造でもよいし、全ての水素がフッ素で置換された構造でもよい。フッ素化アルキル基は、少なくとも、アルキル基の末端の炭素に結合する水素のうちの1つ以上がフッ素で置換された構造であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖でもよいし分岐鎖を有していてもよく、炭素数は1〜9であることが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。また、これらのアルキル基は置換基を有していてもよい。このボレート化合物は、下記式(1)で表されるものとしてもよい。
式(1)において、フッ素化アルキル基である、Cx1y1z1、Cx2y2z2及びCx3y3z3、は、全てが同じでもよいし、2つが同じで1つが異なっていてもよいし、全てが異なっていてもよい。x1,x2及びx3は、それぞれ、1以上9以下であればよいが、6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、1以上2以下が一層好ましい。y1,y2及びy3は、それぞれ、0以上18以下であればよいが、12以下が好ましく、7以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、0以上2以下が一層好ましい。z1,z2及びz3は、それぞれ、1以上19以下であればよいが、13以下が好ましく、11以下がより好ましく、7以下がさらに好ましく、1以上5以下が一層好ましい。ボレート化合物は、x1,x2及びx3が全て2で、y1,y2及びy3が全て2で、z1,z2及びz3が全て3である、(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートであることがより好ましい。
電解液には、ボレート化合物が、0.01mol/L以上0.4mol/L以下の範囲で含まれる。このうち、0.02mol/L以上が好ましく、0.03mol/L以上がより好ましい。また、0.3mol/L以下が好ましく、0.2mol/L以下がより好ましい。こうした範囲であれば、リチウム電池内でのガス発生をより抑制できるし、高温耐久性をより高めることができる。また、0.4mol/L以下であれば、負極抵抗の増大を抑制し、電池としての抵抗の上昇を抑制できる。
本発明のリチウム電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウム電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明のリチウム電池の一例を示す模式図である。このリチウム電池10は、集電体11に正極活物質12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極活物質17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす電解液20と、を備えたものである。このリチウム電池10は、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シート18に接続された負極端子26とを配設して形成されている。ここでは、正極活物質12は、Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上である。また、電解液20は、カーボネート系溶媒と、支持塩と、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物と、を含み、ボレート化合物は0.01mol/L以上0.4mol/L以下の範囲で含まれる。
本発明のリチウム電池の製造方法では、正極と負極との間に電解液を注入する。正極は、Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含むものであればよく、上述したリチウム電池の正極などを用いることができる。負極は、負極活物質を含むものであればよく、上述したリチウム電池の負極などを用いることができる。電解液は、カーボネート系溶媒と、支持塩と、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物と、を含み、前記ボレート化合物が0.01mol/L以上0.4mol/L以下の範囲で含むものであればよく、上述したリチウム電池の電解液などを用いることができる。なお、本発明のリチウム電池は、こうした製造方法で製造されたものに限定されず、正極と負極との間に電解液を介在させることができる製造方法で製造されたものであればよい。例えば、電解液中に正極や負極を配置してもよいし、あらかじめ電解液を含浸させた正極や負極を用いてリチウム電池を製造してもよい。リチウム電池の製造時に用いる電解液中のボレート化合物の濃度が0.01mol/L以上0.4mol/L以下の範囲であれば、その後の充放電などで電解液中のボレート化合物濃度が変化しても、リチウム電池内でのガス発生を抑制できると考えられる。
以上説明した本発明のリチウム電池及びその製造方法によれば、リチウム電池内でのガス発生をより抑制できる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、上述した非特許文献2のリチウム電池では、フッ素化エチレンカーボネート溶媒(以下FECとも称する)を用いることで、耐酸性を高めることができ、Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.6〜4.8Vの正極を用いたリチウム電池の耐久性を高めることができる。しかし、非特許文献2のリチウム電池では、正極でFECが酸化分解されてCO2とHFが生成し、H+が負極に移動し、負極で還元されて水素ガスが生成すると考えられる。これに対して、本発明のリチウム電池では、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物を適量含むため、こうした正極上での副反応を抑制できると考えられる。より具体的には、例えば、ルイス塩基であるボレート化合物が、孤立電子対を有するカーボネート系溶媒と相互作用することによって、正極上でのカーボネート系溶媒の酸化分解が抑制され、結果として、リチウム電池内でのガス発生を抑制できると考えられる。また、本発明のリチウム電池によれば、正極上での副反応を抑制できるため、副反応に伴う正負極間での容量ずれによる電池容量の低下も抑制できると考えられる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明のリチウム電池を具体的に作製した例について、実施例として説明する。
[実施例1]
(電池の作製)
モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)とメチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)を体積比でMFEC:FTFEC=3:7の割合で含む混合溶媒中に、LiPF6を1.1Mの濃度となるように含む混合溶液を準備した。この混合溶液100mLに3.08g(0.05mol/L)のトリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレート(Aldrich製)を添加して、電解液を調整した。
正極活物質としてのLiNi0.5Mn1.54を90質量%、導電材としてのカーボンブラックを8質量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを2質量%の割合で混合し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを適量添加して分散させて、スラリー状正極合材を得た。このスラリー状正極合材を、15μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に塗布、乾燥させた後、ロールプレスで高密度化し、正極シートとした。なお、正極活物質の付着量は、片面当たり6.0mg/cm2とした。
負極活物質としての非晶質コート黒鉛を98質量%、結着剤としてのスチレンブタジエンゴムを1質量%、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウムを1質量%の割合で混合し、水を適量添加して分散させて、スラリー状負極合材を得た。このスラリー状負極合材を、10μm厚の銅箔集電体の両面に塗布、乾燥させた後、ロールプレスで高密度化し、負極シートとした。なお、負極活物質の付着量は、片面当たり4.0mg/cm2とした。
正極シートに正極集電タブリードを熔接して正極とし、負極シートには負極集電タブリードを熔接して負極とした。これらの正極及び負極の間に、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層構造で20μm厚の微多孔膜セパレータを挟み、捲回してロール電極体を作製した。このロール電極体を、外装缶及びキャップよりなる、ニッケルメッキした鉄製の円筒形状の電池ケースに挿入した。電池ケースのキャップ側に配置した正極集電タブに、正極集電タブリードを熔接するとともに、外装缶の底に配置した負極集電タブに負極集電タブリードを熔接した。そして、電解液を電池ケース内に含浸させ、キャップにかしめ加工を施すことにより電池ケースを密閉し、円筒型の電池を作製した。
(電池のコンディショニング)
得られた電池を用い、20℃で活性化充放電を行った。1サイクル目は、定電流方式で、電流密度0.3mA/cm2(0.3C相当)の定電流で上限電圧4.9Vまで充電した。その後、定電流方式で、電流密度0.3mA/cm2で下限電圧3.5Vまで放電した。2サイクル目は定電流−定電圧方式で、0.3mA/cm2で定電流充電し、4.9Vに達した後に4.9Vでの定電圧充電を1時間行った。その後、定電流方式で電流密度0.3mA/cm2で下限電圧3.5Vまで放電した。このときの放電容量をCiniとした。
(電池の高温サイクル耐久試験)
コンディショニング後の電池を用い、60℃の環境温度、2C相当の電流で定電流充放電試験を行った。上限電圧を4.9V、下限電圧を3.5Vとし、サイクル数は200サイクルとした。200サイクル後の電池を20℃の環境温度で定電流−定電圧方式で、0.3mA/cm2で定電流充電し、4.9Vに達した後に4.9Vでの定電圧充電を1時間行った。その後、定電流方式で電流密度0.3mA/cm2で下限電圧3.5Vまで放電した。このときの放電容量をC200とし、C200/Ciniを容量維持率とした。
(ガス量測定)
コンディショニング後、高温サイクル耐久試験の前後において、以下のようにガス量の測定を行った。電池を3.5Vまで放電した状態で注射筒が接続されたテフロン製密閉容器に入れて密閉し、密閉したままニードルで電池缶に穴をあけ、バルブを開いて注射筒に出てきたガスの容積から電池内発生ガス量を測定した。
[実施例2]
トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートの濃度を0.1mol/Lとした電解液を用いた以外は、実施例1と同様とした。
[実施例3]
負極活物質としてLiTi24を用い、コンディショニング及び高温サイクル耐久試験において上限電圧を3.4V、下限電圧を2.0Vとした以外は、実施例1と同様とした。
[実施例4]
トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートの濃度を0.1mol/Lとした電解液を用い、負極活物質としてLiTi24を用い、コンディショニング及び高温サイクル耐久試験において上限電圧を3.4V、下限電圧を2.0Vとした以外は、実施例1と同様とした。
[比較例1]
トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートを含まない混合溶液を電解液に用いた以外は、実施例1と同様とした。
[比較例2]
トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートの濃度を0.5mol/Lとした電解液を用いた以外は、実施例1と同様とした。
[比較例3]
トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートを含まない混合溶液を電解液に用い、負極活物質としてLiTi24を用い、コンディショニング及び高温サイクル耐久試験において上限電圧を3.4V、下限電圧を2.0Vとした以外は、実施例1と同様とした。
[実験結果]
表1に実験結果をまとめた。なお、表1において、ガス量は、比較例1の初期ガス量を1としたときの相対ガス量とした。負極に黒鉛を用いた比較例1、実施例1、実施例2の比較から、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートを添加することで、初期ガス量低減及び耐久後ガス量低減が確認された。また、それに伴って、高温サイクル耐久試験の容量維持率の向上も見られた。耐久後のガス成分を分析すると、実施例1や実施例2では比較例1に比して、CO2及びH2がより減少していることがわかった。このことから、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートの添加により、正極上での溶媒の分解が抑制されてCO2の発生量が減るとともに、溶媒の酸化分解によって生じるHFの量が減少したために、負極上でのH2発生も抑制されてH2発生量が減ったと考えられた。
また、負極に、黒鉛に代えてLiTi24を用いた場合にも、同様の効果が得られた。このことから、負極の種類は特に限定されないことがわかった。
一方、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートを0.5mol/L添加した比較例2は初期のガス量は減少したものの、耐久後のガス量や、高温耐久試験の容量維持率が悪化した。比較例2では、耐久後の電池抵抗が上昇していた。この理由は、例えば、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートの電解液中の割合が高いと、何らかの新たな反応が生じて電極表面に被膜のようなものを形成し、Liイオンの通過を阻害するためと推察された。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、電池産業の分野に利用可能である。
10 リチウム電池、11 集電体、12 正極活物質、13 正極シート、14 集電体、17 負極活物質、18 負極シート、19 セパレータ、20 電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子。

Claims (8)

  1. Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在し、フッ素化鎖状カーボネートを含むカーボネート系溶媒と、支持塩と、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物と、を含み、前記ボレート化合物が0.01mol/L以上0.2mol/L以下の範囲で含まれる電解液と、
    を備えたリチウム電池。
  2. 前記ボレート化合物は、式(1)で表される、請求項1に記載のリチウム電池。
  3. 前記ボレート化合物は、(2,2,2−トリフルオロエチル)ボレートである、請求項1又は2に記載のリチウム電池。
  4. 前記正極活物質は、LiNi0.5Mn1.54を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム電池。
  5. 前記負極活物質は、炭素質材料、シリコン、スズ、リチウムチタン複合酸化物からなる群より選ばれる1以上を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム電池。
  6. 前記カーボネート系溶媒は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素化カーボネートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム電池。
  7. 前記支持塩は、LiPF6及びLiFSIのうちの1以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム電池。
  8. Li挿入脱離電位がリチウム基準で4.4V以上の正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、の間に、フッ素化鎖状カーボネートを含むカーボネート系溶媒と、支持塩と、オルトホウ酸の3つの水素がフッ素化アルキル基で置換された構造を有するボレート化合物と、を含み、前記ボレート化合物が0.01mol/L以上0.2mol/L以下の範囲で含まれる電解液を注入する、リチウム電池の製造方法。
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