JP6651298B2 - 高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法および廃水処理装置 - Google Patents
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Description
ことが好ましい。
(硝化細菌)
本実施形態で使用される固定化担体に固定化される微生物(菌体)としては、下水処理場などの活性汚泥に棲息した高塩類耐性硝化細菌を用いることができる。高塩類耐性硝化細菌としては、Nitrosomonas、NitrosospiraおよびNitrosococcusなどのアンモニア酸化細菌類のいずれか一以上が用いられる。この活性汚泥を集積培養した高塩類耐性硝化細菌を用いる。培養に用いる塩類としては、特に限定されないが、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムのハロゲン塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩および硫酸水素塩から選択される一以上の塩が挙げられる。培養に用いる塩類の濃度としては、0.5〜20%(w/v)が好ましく、1〜10%(w/v)がより好ましく、1〜5%(w/v)が最適である。高塩類耐性硝化細菌として本実施例では一態様を示すが、塩類濃度3%(w/v)含有の5000mg/L硫酸アンモニウム培地で培養され、検出される硝化菌群である。活性汚泥の固定化には、(1)生物膜法による付着固定化(固定化担体)、(2)包括固定化(包括固定化担体)の2つの方法を用いることができる。
生物膜法は、担体表面で増殖する微生物群を利用する処理方法である。固定化担体は、水中に担体を浸漬し、適切な曝気撹拌状態を維持するため、散気管により空気を供給することで担体と液体との界面、すなわち、担体の表面で増殖する微生物群と、これらの微生物が分泌した細胞外ポリマー状物質の集合体とを含むゲル状の膜を形成することにより形成される。
リアルタイムPCR法は、遺伝子解析により菌体濃度を測定する方法であり、遺伝子解析においては硝化細菌に特有の遺伝子を対象として解析を行って遺伝子数を測定し、さらにその遺伝子数から硝化細菌の菌濃度、菌数を測定する。
amoA1f(GGG GTT TCT ACT GGT GGT)
amoA2r(CC CTC KGS AAA GCC TTC TTC)
また、担体質量当たりのコピー数は次式(1)によって算出した。
ここで、X:担体内部の生菌数(コピー/g−担体)
XO:前処理後の原液の生菌数(コピー/mL)
VP:前処理した担体量(g)
VW:前処理に用いた液量(mL)
遺伝子解析の方法としては、プライマーペアにより遺伝子を増幅するPCRが好ましく、特に遺伝子を増幅する際、ハイブリダイゼイションプローブを用いて定量するリアルタイムPCR、および最確数法と組み合わせたMPN−PCRが好ましいが、他の解析方法でもよい。
包括固定化担体は、菌体の存在下で固定化材料を重合化してゲル化することにより菌体を固定化材料(モノマー、プレポリマー)に包括固定化することにより形成される。
上記した固定化材料、架橋剤、および、菌体(活性汚泥)を混合して懸濁液とし、この懸濁液に重合促進剤(NNN’N’テトラメチルエチレンジアミン)と、重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)を添加する。これにより、懸濁液の重合が始まりゲル化する。このゲルを所定サイズに切断し、包括固定化担体を製造する。包括固定化担体の代表液な組成例として、以下の組成を挙げる。
・ポリエチレングリコールジアクリレート ・・・10部
・NNN’N’テトラメチルエチレンジアミン ・・・0.5部
・水 ・・・74.25部
この組成の懸濁液に過硫酸カリウム0.25部を添加することで重合が開始し、ゲル化する。このゲルを切断することで、固定化担体が形成される。
高塩類耐性硝化細菌による硝化反応により、アンモニアを亜硝酸と硝酸に酸化された廃水は、脱窒菌により脱窒される。固定化担体に固定化される脱窒菌としては、高塩類耐性脱窒菌を用いる。高塩類耐性脱窒菌としては、下水処理場などの活性汚泥に棲息した高塩類耐性脱窒菌を用いることができる。この活性汚泥を集積培養した高塩類耐性脱窒菌を用いる。活性汚泥の固定化は、上記の硝化細菌と同様に、生物膜法による付着固定化(固定化担体)、包括固定化(包括固定化担体)の2つの方法を用いることができる。また、材料、製造方法についても、硝化細菌と同様に行うことができる。
アンモニア含有廃水または硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水中の含まれる塩類としては、特に限定されないが、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムのハロゲン塩、リン酸塩、リン酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩および硫酸水素塩から選択される一以上の塩が挙げられる。塩類濃度としては、廃水中に含まれる全ての塩として2%(w/v)以上で排水処理が実施されるが、2%(w/v)以上10%(w/v)以下で実施されることが好ましく、より好ましくは2%(w/v)以上7%(w/v)以下で実施される。
<第1実施形態>
第1実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置について説明する。図1は、第1実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置10は、主として、担体12を充填した硝化槽14と、硝化槽14に原水(高塩類濃度のアンモニア含有廃水)を流入させる原水配管16と、硝化槽14で処理した処理水を排出する処理水配管18と、硝化槽14内にエアを曝気する曝気手段20と、硝化槽14内のpHを制御するpH調整手段22と、で構成される。硝化槽14に供試される原水は、塩類濃度2%(w/v)以上、好ましくは3〜7%(w/v)の廃水を用いることが好ましい。また、担体12は、包括固定化担体、未馴養の担体、生物膜法で馴養された固定化担体のいずれでもよいが、未馴養の担体、生物膜法で馴養された固定化担体を用いる場合は、高塩類耐性硝化細菌の純粋菌、または、高塩類耐性硝化細菌を含有する種汚泥が投入する配管が設けられる。硝化工程は、硝化槽14において、高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体と、原水を接触させることで行われる。
次に、第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置について説明する。図2は第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の処理装置を示す構成図である。第2実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置110は、生物膜法による付着固定化で固定化担体を製造する際に用いられ、担体12の前処理を行う前処理槽124を硝化槽14の前段に備える点が第1実施形態の廃水処理装置と主に異なっている。そして、前処理槽124に高塩類耐性硝化細菌の純粋菌または高塩類耐性硝化細菌を含有する種汚泥が投入される。
図3は、第3実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置200を示す装置フローである。第3実施形態の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置は、硝化槽202(第1実施形態の硝化槽14に相当)の後段に脱窒槽204、および、再曝気槽206を備え、原水配管201から供給された原水は、硝化槽202、脱窒槽204、再曝気槽206で処理され、処理水配管207から処理水が排出される。脱窒槽204は、硝化槽202で硝化細菌により処理された処理水中の亜硝酸および硝酸を脱窒菌により脱窒処理する槽である(脱窒工程)。また、再曝気槽206は、脱窒槽204で脱窒処理した処理液の有機物を処理する槽である。脱窒槽204において、メタノール等の有機性水素供与体を添加した場合、余剰のメタノールの除去を行うことができる(再曝気工程)。
図4は、第3実施形態の変形例を示す装置フローである。図4に示す廃水処理装置250は、逆浸透装置210から排出される塩類濃縮液を貯留する塩類濃縮液ピット252(貯留手段に相当)を備える点が、図3の廃水処理装置と異なっている。塩類濃縮液ピット252に塩類濃縮液を貯留することで、硝化槽202または脱窒槽204の塩類濃度が低下した場合に、塩類濃縮液を硝化槽202または脱窒槽204に供給することで硝化槽202内または脱窒槽204の塩類濃度を所望の値にすることができる。
本実施形態で用いられる廃水である、アンモニア含有廃水、または、硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水は、貴金属を回収した後の廃水を用いることが好ましい。貴金属の回収は、一般的に、貴金属を含む廃水の塩類濃度を高くして、貴金属を析出させ回収するため、貴金属を回収した後の廃水は、塩類濃度が高くなっている。したがって、貴金属を回収後の塩類濃度の高い廃水に対して、好適に用いることができる。また、貴金属を含む廃水に対しても好適に用いることができる。貴金属を含む廃水は、20ppm以下の貴金属を含む廃水が好ましく用いられ、より好ましくは5ppm以下、最適には3ppm以下で用いられる。
図1に示す装置を用いて処理を行った。充填率20%でPVA担体(クラレ社製、クラゲール担体)を硝化槽14に充填し、種汚泥として下水処理場返送汚泥を投入した。廃水は表1に示す組成の廃水を用い、塩類濃度4%(w/v)になるように、塩化ナトリウムを添加し、廃水処理を行った。運転開始から3ヶ月経過後、処理は安定し、硝化速度0.3kg−N/m3/day、処理水濃度NH4−N1mg/L以下の処理水を得た。この時担体への硝化細菌の付着量は、リアルタイムPCRコピー法で測定した値で、2×1010コピー/g−担体以上であり、また、高塩類耐性硝化菌として、2×107cells/g−担体以上であった。その後、塩類濃度が2〜8%(w/v)となるように、塩化ナトリウムを添加し、塩類濃度と硝化速度の関係を得た。結果を図5に示す。塩類濃度が2%(w/v)以上、特に、3〜7%(w/v)の条件とすることで、高い硝化速度が得られることが確認でき、塩類濃度が2%(w/v)以上、好ましくは3〜7%(w/v)の雰囲気で処理することが好ましい。
装置の立ち上げ時の担体において、馴養済みの担体(種担体)と無生物担体である馴養前の担体(新担体)との混合比について検討を行った。馴養済みの担体としては、実施例1で使用した担体を用いた。実際に廃水処理装置を立ち上げるためには、担体の馴養が必要であり、立ち上げ時に投入する馴養済みの担体の量が少ない方がより安価に立ち上げることができる。
レアメタル回収の際に排出される産業廃水は高アンモニア濃度や高塩類濃度を含有するなどの理由により、生物学的窒素処理が困難である。レアメタル回収系産業廃水を想定し、貴金属を1ppm含む廃水を包括固定化法と生物膜法で製造した固定化担体を用いて連続処理実験を行った。処理水のNH4−N(アンモニア性窒素濃度)が30mg/Lとなるように、硝化脱窒処理の馴養と限界塩類濃度の検討を行った。
Claims (13)
- 高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、硝化槽で塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させることで硝化処理を行う硝化工程と、
前記硝化工程で処理された処理水を、脱窒菌により脱窒処理する脱窒工程と、
前記脱窒工程で処理された処理水を、曝気しながら有機物処理を行う再曝気工程と、
前記硝化槽内のアンモニア含有廃水の塩類濃度を測定する測定工程と、
前記再曝気工程で処理した処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離工程と、
前記測定工程により測定した塩類濃度に基づいて、前記脱塩液または前記塩類濃縮液を前記硝化槽に供給し、前記硝化工程の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する制御工程と、を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。 - 高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を、脱窒槽で硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の廃水と接触させることで脱窒処理を行う脱窒工程と、
前記脱窒工程で処理された処理水を、曝気しながら有機物処理を行う再曝気工程と、
前記脱窒槽内の硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水の塩類濃度を測定する測定工程と、
前記再曝気工程で処理した処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離工程と、
前記測定工程により測定した塩類濃度に基づいて、前記脱塩液または前記塩類濃縮液を前記脱窒槽に供給し、前記脱窒工程の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する制御工程と、を有する高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。 - 前記固定化担体は、塩類濃度が1.3〜2.3%(w/v)の第一段階と塩類濃度が3.3〜3.8%(w/v)の第二段階で増加させ、集積培養を行った担体である請求項1又は2に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
- 前記集積培養は、塩類濃度を1.3%、2.3%、3.3%、3.8%と段階的に増加させて行う請求項3に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
- 馴養前の担体が馴養されている前記硝化槽に、馴養済みの前記固定化担体を、前記担体と前記固定化担体の総量に対して、5%(w/w)以上30%(w/w)以下の割合で混合し、前記アンモニア含有廃水の処理の立ち上げを行う請求項1から4のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
- 前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を回収した後の廃水である請求項1から5のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
- 前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を含む廃水である請求項1から5のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理方法。
- 高塩類耐性硝化細菌が固定化された固定化担体を、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度のアンモニア含有廃水と接触させる硝化槽と、
前記硝化槽の後段に、脱窒菌により脱窒処理する脱窒槽と、
曝気しながら有機物を処理する再曝気槽と、を備え、
前記硝化槽の塩類濃度を測定する測定手段と、
前記再曝気槽の処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離手段と、
前記測定手段により測定した塩類濃度に基づいて、前記脱塩液を供給することで、前記硝化槽の塩類濃度を7%(w/v)以下に制御する制御手段と、を備える高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。 - 高塩類耐性脱窒菌が固定化された固定化担体を、塩類濃度2%(w/v)以上の高塩類濃度の硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水と接触させる脱窒槽と、
前記脱窒槽の後段に、前記脱窒槽で処理された処理水を、曝気しながら有機物を処理する再曝気槽と、を備え
前記脱窒槽の塩類濃度を測定する測定手段と、
前記再曝気槽の処理水を、脱塩液と塩類濃縮液と、に分離する分離手段と、
前記測定手段により測定した塩類濃度に基づいて、前記脱塩液を供給することで、前記脱窒槽の塩類濃度を7%(w/v)以下に制御する制御手段と、を備える高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。 - 前記塩類濃縮液を貯留する貯留手段を備え、
前記制御手段は、前記脱塩液または前記塩類濃縮液を供給することで、前記硝化槽または前記脱窒槽の塩類濃度を2%(w/v)以上7%(w/v)以下に制御する請求項8又は9に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。 - 前記硝化槽の前段に担体を馴養する前処理槽を備え、
前記硝化槽に、前記前処理槽で馴養した馴養済みの固定化担体を、未馴養の担体と馴養済みの前記固定化担体の総量に対して、5%(w/w)以上30%(w/w)以下の割合で混合し、廃水処理の立ち上げを行う請求項8から10のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。 - 前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を回収した後の廃水である請求項8から11のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
- 前記アンモニア含有廃水または前記硝酸、亜硝酸およびそれらの塩のいずれか一以上を含有する廃水が、貴金属を含む廃水である請求項8から12のいずれか1項に記載の高塩類濃度含有廃水の廃水処理装置。
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