JP6651164B1 - ***超音波ファントム、その***超音波ファントムの製造方法、及び、当該***超音波ファントムを収納する収納箱 - Google Patents

***超音波ファントム、その***超音波ファントムの製造方法、及び、当該***超音波ファントムを収納する収納箱 Download PDF

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Abstract

ファントム(10)は、人体の大胸筋を超音波伝搬特性の面から模擬した大胸筋模擬層(21)と、大胸筋模擬層に積層され、人体の後隙の脂肪層を超音波伝搬特性の面から模擬した乳腺後隙脂肪模擬層(22)とを備える。ファントムは更に、***の表面の皮膚層を超音波伝搬特性の面から模擬した皮膚模擬層(23)と、皮膚模擬層の内側に張り付けられ、***の皮下脂肪を模擬した皮下脂肪模擬層(24)と、乳腺後隙脂肪模擬層と皮下脂肪模擬層との間に配置され、***の腺葉体を少なくとも前記超音波伝搬特性の面から模擬した複数の腺葉模擬体(25)と、を備える。複数の腺葉模擬体(25)に、***の病変を超音波伝搬特性の面から模擬した少なくとも1つの病変模擬部(T1(T2〜T4)を設けた。

Description

本発明は、被検体、特に、人体の***を模擬した***超音波ファントムに係り、特に、複数の腺葉体の模擬体及び病変の模擬体を少なくとも有し、超音波の透過特性のみならず、超音波プローブを当てたときの感覚も実際の***に近く、医師、臨床検査技師、更には診療放射線技師など***超音波検査に従事する医療従事者(以下、医師や技師と略す)の***超音波検査のトレーニングに好適な***超音波ファントムに関する。
近年、乳癌を早期に発見する必要があることが各方面から言われている。このための重要な診断法の一つが***超音波検査である。
しかし、超音波プローブを***に当ててリアルタイムに得られる断層像を読影しながら、悪性病変を正常な組織と見分けることは、単に医師や技師であるだけでは容易でなく、多くの経験を必要とする。この経験値を上げるためには、***超音波ファントムを使ってトレーニングを積むことが有用である。
このトレーニングを積むためには、極力、実際の***(個人差がある)に近い***超音波ファントムが必要とされる。具体的には、超音波ビームの透過特性が実際の***に近いこと、病変を模擬した模擬体、特に講義のみでは理解しにくい形態の病変が内部に隠されていること、さらに実際の***に極力近い弾力性(柔らかさ:個人差がある)があって超音波プローブの当て方の微妙な変化によって内部構造も変化し、その変化を反映した画像が得られること、などが求められる。
現在、幾つかの***超音波検査に特化した***超音波ファントムが提案され、その一部はトレーニングに使用可能なものもある。
一例として、特許文献1に記載のファントムが知られている。この特許文献1に係るファントムは、容易に特性変更可能な層構造(但し、腺葉体ではない)が示されている。このファントムにはまた、病変を模擬して層構造の中に埋め込むように形成することが示されている。
また、特許文献2には、医学訓練用の複合構造を有する***超音波ファントムの一例が開示されている。このファントムによれば、エラストマーで***を異なる複数層で構成する構造を有する。
また、特許文献3には、乳腺シミュレータデバイスと呼ぶファントムが提案されている。このファントムは、弾力性を有するように構成した***内に各種の病理要素を埋め込んだ構造を有する。
特開2016−202835公報 EP02977977A公報 EP001166253A公報
しかしながら、上述した従来の公報記載の***超音波ファントムにあっては、何れも、医師や技師が***超音波検査の経験値を上げようとして行うトレーニングに使用可能かと言えば、必ずしもそうではなかった。例えば特許文献1に記載のファントムはトレーニング用ではないし、超音波伝搬特性の異なる複数層を持つファントムであって、実際の***が持つ腺葉体構造を前提としたものではない。このため、この特許文献1に記載のファントムは医師や技師のトレーニングには向いていない。さらに、特許文献2に記載の複合構造の場合、異なる厚みを持つ層状構造は開示されているが、上述と同様に、腺葉体構造を模擬することは示されていない。さらに、特許文献3に記載のデバイスの場合も、病理要素を探り当てるというトレーニングは可能であるが、腺葉体構造を模擬したものではないので、実際の***の模擬体としては実感に乏しく、検査における走査感覚を養うには不十分なものである。
このように、医師や技師がトレーニングに使用して***超音波検査の経験を積むために必要な超音波特性を有し、触感的にも実際の***に近い***超音波ファントムは未だ提供されていない現状があった。
そこで、本発明では、かかる現状に鑑み、超音波の伝搬特性の面においても、また超音波プローブ操作時の触感的にも実際の***に近く、且つ、基本構造として、病変を模擬した模擬体が腺葉体に隠されている腺葉体構造をもつことで実際の***に近い超音波画像を得ることができ、これにより、トレーニングに適した***超音波ファントム、その***超音波ファントムの製造方法、及び、その***超音波ファントムを収納する収納箱を提供することを、目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る***超音波ファントムは、人体の***を実物の形状、硬さ、及び超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性の観点から模擬し、且つ、検査者が超音波診断装置のプローブを当てて***超音波診断のトレーニングに用いるファントムとして提供される。この***超音波ファントムは、その基本構成として、前記人体の大胸筋を、少なくとも超音波伝搬特性(音響インピーダンス、音響減衰率など)の面から模擬した大胸筋模擬層と、前記大胸筋模擬層に積層され、前記人体の乳腺後隙の脂肪層を前記超音波伝搬特性の面から模擬した乳腺後隙脂肪模擬層と、前記***の表面の皮膚層を前記超音波伝搬特性の面から模擬した皮膚模擬層と、前記皮膚模擬層の内側に張り付けられ、前記***の皮下脂肪を模擬した皮下脂肪模擬層と、前記乳腺後隙脂肪模擬層と前記皮下脂肪模擬層との間に配置され、前記***の腺葉体を少なくとも前記超音波伝搬特性の面から模擬した複数の腺葉模擬体と、を少なくとも備える。前記複数の腺葉模擬体に、前記***の病変を前記超音波伝搬特性の面および形態上の特徴から模擬した少なくとも1つの病変模擬部を設けた、ことを特徴とする。
なお、ここで人体の***とは、実際の***に似せて定めた形状、サイズ、硬さ、及び超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性を持つ人工的な***を言う。
この基本構成により、胸側から順に、大胸筋、乳腺後隙脂肪層、複数の腺葉体、皮下脂肪層、及び皮膚層を備える。これらの要素を備えながらも、実際の***を模擬した柔らかさ及び超音波伝搬特性(音響インピーダンス、音響減衰率など)を有する。このため、医師や技師は、より実物に近いプローブ走査感が得られる。同時に、プローブ走査によって得られる超音波画像は、より実際のものに近い精緻な内部構造を持つこと、特に、腺葉体が模擬されているので、この点からも、より実体に近い走査感が得られる。さらに、実際の病状と同様に、腺葉体に病変が模擬されているので、この病変を探索することで***超音波検査のトレーニングを積むことができる。
例えば、前記病変模擬部は、前記腺葉模擬体の材料と同じ材料で形成された前記病変を模擬した模擬体であって、当該模擬体は当該腺葉模擬体とは別の工程によって形成されることも好適である。これにより、腺葉模擬体の内部において、その模擬体の周囲には音響的な境界ができるので、医師や技師は、この境界がより明瞭に画像化するように、ファントム表面上で超音波プローブを動かすトレーニングを積むことができる。
さらに、本発明の別の態様によれば、人体の***を実物の形状、硬さ、及び超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性の観点から模擬し、且つ、検査者が超音波診断装置のプローブを当てて***超音波検査のトレーニングに用いる***超音波ファントムの製造方法が提供される。この製造方法は、前記***の外形を模した型枠を用意し、前記型枠に、前記***の皮下脂肪を模擬した皮下脂肪模擬層と、前記***の病変を前記超音波伝搬特性の面から模擬した少なくとも1つの病変模擬部を含むと共に当該***の腺葉体を前記超音波の伝搬特性の面から模擬した複数の腺葉模擬体とを、この順に配置した、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、皮下脂肪も模擬層から作成し、その後に複数の腺葉模擬体を配置するので、その逆の作成工程の場合よりも、作業が判り易く、また簡略化される。
その他の本発明に係る様々な特徴は、添付された図面とともに説明される、後述の実施形態によって明らかになる。
添付図面において、
図1は、1つの実施形態に係る***超音波ファントムの一例を示す斜視図、である。 図2は、図1中のII−II線に沿った概略断面を示す断面図、である。 図3は、図2中のIII−III線に沿った一部断面を伴う概略平面を示す平面図、である。 図4は、5つの腺葉模擬体から成る腺葉体構造を示す斜視図、である。 図5は、腺葉模擬体に配置した良性腫瘍ターゲット及び悪性腫瘍ターゲットを説明する一部省略したファントム断面図、である。 図6は、悪性腫瘍ターゲットの作成手順を説明する図、である。 図7は、腺葉模擬体に埋め込む引き攣れターゲットの糸の編み込み例を説明する図、である。 図8は、ファントムの製造手順の概略を説明する工程図、である。 図9は、ファントムを使ったトレーニングのためのスキャンの様子を説明する図、である。 図10は、ファントムを使ったトレーニングで収集される、乳頭や腺葉体構造および各ターゲットが映り込んだBモード断層像を例示する図、である。 図11は、超音波プローブの、***の接触面に対する走査角度の違いによる腺葉模擬体(ターゲット無し)の画像変化を説明する図、である。 図12は、超音波プローブの、***の接触面に対する走査角度の違いによる良性腫瘍ターゲットの画像変化を説明する図、である。 図13は、実施形態において採用した、***超音波ファントムを保管・運搬するための専用の収納箱の構造とその収納手順を説明する図である。 図14は、超音波プローブの、***の接触面に対する走査角度の違いによる別のターゲットの画像変化を説明する図、である。
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態に係る人体の***超音波ファントムを説明する。
図1は、この***超音波ファントム10の外観斜視図を示し、図2は、図1におけるII−II線に沿った断面図を示す。また、図2において仮想線III−III線に沿って見た断面及び表面を図3に示す。
この***超音波ファントム10(以下、必要に応じて、ファントム10と略称する)は、医師や技師が行う***超音波検査のトレーニングを積むために作られている。このため、ファントム10は、実際の人体の***を、その外観上の形状やサイズ、超音波プローブを当てたときの表面上の触感(柔らかさ)、及び、その内部構造を超音波送受信特性(音響インピーダンス、音響減衰率など)の面から極力、実際に近い状態で模擬されている。つまり、本実施形態における人体の***とは、実際の***の一例に似せて定めた形状、サイズ、硬さ、並びに、大胸筋、乳腺後隙脂肪層、複数の腺葉体、皮下脂肪層、及び皮膚層等の内部構造体に対する超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性を持つ人工的な***である。
このファントム10には、実際の内部構造を模擬する上で様々な要素を実際に近い状態で作り込まれており、その基本要素の一つは複数の腺葉体である。つまり、従来のように超音波特性だけを考慮した層状構造ではない点が基本的な特徴である。この特徴に加え、後述するように様々な要素を作り込まれている。
また、トレーニングは癌を含む病変を発見するために行われるので、そのような病変の擬似体を内部に埋め込んでいる。当然のことながら、***それ自体の全体の形状、サイズ、弾力性等は個人差があるので、本実施形態では、ファントム10は統計的に得られる、それらの一般的な数値に似せて作られている。勿論、より実際に近い超音波画像を得るため、内部構造体の形状、サイズ、弾力性等についても同様に、極力、実際のものに似せて作り込まれている。
医師や技師は、トレーニングに際し、実際の臨床の場と同じように、このファントム10に超音波診断装置のプローブを当てながらリアルタイムに得られるBモード断層像を目視観察しながら読影する。勿論、必要に応じて、注目する断層像を静止画や動画として記録することができることも臨床の場と同様である。
このため、ファントム10には、実際の***と同程度の柔軟性や超音波伝搬特性が求められ、プローブを当てる力や方向(走査方向)、角度(走査角度)に応じて***表面および内部構造が変形することが重要であり、それに応じたBモード断層像を撮像できることが求められる。ファントム10には癌を含む病変を模擬した模擬体や、その対比として正常な組織を模擬した模擬体を埋め込んである。更に、実際の***と同様に、乳腺を持つ複数の腺葉体を内包し、その腺葉体に乳癌などの病変の模擬体を持たせている。勿論、繰り返し使用されるので、ファントム表面は一定の強度を保持することが望ましく、また運搬時の通常の揺れに耐える強度を持つことがより望ましい。
本実施形態に係るファントム10は、これらの要件を極力満たすように製造されたもので、その基本構造は、台座11(枠台)と、その台座11上に形成したファントム本体12とを備える。
台座11は、図1及び図2に示すように、一定の厚さの樹脂製の板状部材である。
ファントム本体12が、患者の実際の***(左側の***)を仮想的に想定し、その大きさ、形状、及び、超音波の伝搬特性(音響インピーダンス、音響減衰率など)の観点からみた内部構造を模したモデルである。このファントム本体12は全体としては高分子ハイドロゲルなどを用いて弾力性(超音波プローブを押し当てたときの柔らかさ)を持つように形成されている。このファントム本体12の内部には各種の独自工夫の構造体(模擬体)が埋め込まれている。
この構造体の基本構成としては、図2,3に示すように、人体の大胸筋を、少なくとも超音波伝搬特性(音響インピーダンス、音響減衰率など)の面から模擬した大胸筋模擬層21と、この大胸筋模擬層21に積層され、人体の乳腺後隙の脂肪層を超音波伝搬特性の面から模擬した乳腺後隙脂肪模擬層22と、***の表面の皮膚層を超音波伝搬特性の面から模擬した皮膚模擬層23と、その皮膚模擬層23の内側に張り付けられ、***の皮下脂肪を模擬した皮下脂肪模擬層24と、乳腺後隙脂肪模擬層22と皮下脂肪模擬層24との間に配置され、***の腺葉体を少なくとも超音波伝搬特性の面から模擬した複数の腺葉模擬体25と、ファントム本体12の内部において複数の腺葉模擬体25及び乳腺後隙脂肪模擬層22の相互間の隙間を埋めるように充填された基材26とを、少なくとも備える。
複数の腺葉模擬体25の内部に、***に発病した癌などの病変や病変に類似した構造の擬似病変部を、超音波の伝搬特性の面や形態上の特徴から模擬した少なくとも1つの病変模擬部T1(〜T4)(ターゲット)を埋め込んでいる。
以下、このファントム10の構造の一例を詳述する。図2に示すように、台座11の上にスペーサ13が載置され、ファントム本体12は、そのスペーサ13を覆うように台座11上に形成される。スペーサ13は、例えばポリウレタン樹脂で形成され、断面の中央部が山形状の部材である。このため、スペーサ13は、大胸筋模擬層21を胸部前側へ若干押し出し、実際の人体の胸郭の弯曲を模擬することで、ファントム本体12そのもの、およびファントム10を走査して得られる断層像において、不自然に厚くなることを防いでいる。
<腺葉体構造>
複数の腺葉模擬体25はそれぞれ、1つの乳管及びその複数の小葉から成る腺葉(それぞれが乳腺組織を成す)を略茄状1つの器官と見做して模擬している。具体的には、高分子材料(例えば、高分子ハイドロゲル)をネット状の部材で略茄状に成形することで作成される。この高分子材料には、超音波信号の伝搬特性が一定の許容範囲の、実物に近い超音波反射特性を示すように添加剤が含有されている。
本実施形態では、合計5個の腺葉模擬体25をファントム10に持たせているが、必ずしも5個でなくてもよく、個人差がある如く、複数個であればよい。この5個の腺葉模擬体25は、それぞれ高分子材料をネット状部材で略茄状に丸めて形成された後、図4に示す如く、それらの頂点、即ち、乳頭に当接する頂部が互いに接するように例えば絹糸STで縛られ、放射状に5つの腺葉模擬体25が並んだ1つの腺葉模擬体ユニット25Uに形成される。
この腺葉模擬体ユニット25Uが図2,5に示す如く、ファントム本体12の内部に収められる。実際の人体では、腺葉はクーパー靭帯で大胸筋及び皮下組織に繋がっており、***全体としての柔軟性を保持しつつ、***内での空間位置も保持している。このため、このファントム10においても、この柔軟性及び空間位置の保持ともに、実物を極力、模擬する構造になっており、これにより、医師や技師が超音波プローブをファントム10に当てたときの触診感覚が実際の診断時に近いものが得られるようになっている。
本実施形態に係るファントム10は、この種の従来のファントムと比較して、この複数の腺葉模擬体25(25〜25)を有していることが一つの優位な特徴である。理由は、実際の***が乳頭に繋がる複数の乳腺腺葉組織を有しているので、これをなるべく忠実に模擬することで、実際の***の診断に近い超音波プローブの使用感を得、かつ構造的特徴を知ることができ、これが医師や技師のトレーニングに役立つものと想定されるからである。
加えて、本実施形態では、この5個の腺葉模擬体25(25〜25)のうちの4個の腺葉模擬体25(25〜25)のそれぞれに、発病した病変、または病変に類似した構造を模擬した様々な病変模擬部T1〜T4(以下、ターゲットと呼ぶ)を埋め込んでいることが別の大きな特徴である。腫瘤等の病変はそれぞれ腺葉に属する乳管に沿った部位に発病することが多いので、それぞれの腺葉模擬体25をそのように構成することは合理的である。医師や技師は、ファントム10に超音波プローブを当てながら、モニタにリアルタイムに表示されるBモード断層像を目視しながら、そのターゲットを見つけるトレーニングを行うことになる。断層像上で病変を見つけて記録し、且つ、その病変の種類を読影するというトレーニングになる。
<各種のターゲット>
このトレーニングのためには、様々な種類のターゲットが複数の腺葉模擬体25に用意されていることが望ましい。この観点から、本実施形態では、良性腫瘍、悪性腫瘍、悪性を示唆する区域性病変、及び悪性の可能性もあり、一般に構築に乱れとも称される引き攣れの4種類のターゲットT1〜T4が用意されている。本実施形態では、5個の腺葉模擬体25のうち、1つの腺葉模擬体25にはターゲットを埋設せずに、病変が無い正常な、参照用の腺葉模擬体として用意されている。
なお、後述するように、ファントム10に埋設するターゲットの種類、数、及び、ターゲットを埋設する腺葉模擬体の数の関係は、多様な形態で実施できる。
図3に模式的に示すように、5個の腺葉模擬体25(25〜25)のうち、第1の腺葉模擬体25の内部又は外表面に接する内部には、良性腫瘍の一例を模擬した良性腫瘍ターゲットT1(病変模擬部、腫瘍・腫瘤模擬部、良性腫瘍模擬部に相当する)が配置される。この良性腫瘍ターゲットT1は楕円形又は分葉形で辺縁が平滑な腫瘤を模擬しており、超音波の反射特性が腺葉模擬体素材のそれよりも低い高分子材料で構成される。
また、第2の腺葉模擬体25には、悪性腫瘍の一例を模擬した悪性腫瘍ターゲットT2(病変模擬部、腫瘍・腫瘤模擬部、悪性腫瘍模擬部に相当する)が配置される。この悪性腫瘍ターゲットT2は多角形または不整形で辺縁が粗ぞうな腫瘤を模擬しており、同様に、超音波の反射特性が腺葉模擬体素材のそれよりも低い高分子材料で構成される。この悪性腫瘍ターゲットT2は、本実施形態では、前方境界線断裂を起こしている状態を模擬しており、図5に模式的に示すように、第2の腺葉模擬体25の表面を突き破って皮下脂肪模擬層24の一部に食い込ませている。
このため、ファントム10の製造時には、悪性腫瘍ターゲットT2を作り込むときに皮下脂肪模擬層24に悪性腫瘍ターゲットT2の一部を埋め込むように押し込んでいる(図6参照)。その後で、その悪性腫瘍ターゲットT2の残りの部分を第2の腺葉模擬体25の一部に陥没させるように押し込んで配置し、悪性腫瘍ターゲットT2は第2の腺葉模擬体25に固定される。これにより、前方境界線断裂を起こしている状態が模擬される。
さらに、第3の腺葉模擬体25には、区域性病変の一形態を模擬した不整形で辺縁粗ぞうな複数の小腫瘤から成る、複数の区域性病変ターゲットT3(病変模擬部、区域性病変模擬部に相当する)を配置している。この複数の区域性病変ターゲットT3は、超音波反射率が腺葉模擬体素材のそれよりも低い高分子材料で作成される。
さらに、第4の腺葉模擬体25には、組織構築の乱れである引き攣れの一形態を模擬した引き攣れターゲットT4(病変模擬部、構築の乱れ模擬部の一例を成す)が配置されている。この引き攣れターゲットT4は、糸材を例えば図7に示す如く花状に立体的に編み込み、この編み込み体を腺葉模擬体の中に埋設することで作成される。
なお、本実施形態にあっては、第3の腺葉模擬体25及び第4の腺葉模擬体25には、適度なサイズにカットした薄い不織布の小片が適度な量だけ、混入されている。この混入により、製造時において区域性病変ターゲットT3の位置が模擬体内で動き過ぎないように固定される。引き攣れターゲットT4では、この不織布の混入によって、引き攣れが形成されている状態の視認性を向上させる。なお、この他の腺葉模擬体には、この不織布の小片を混ぜて良いし、混ぜなくてもよい。不織布の小片であるので、超音波の伝搬特性にも腺葉模擬体の弾性率(柔らかさとも言える)には殆ど影響を与えない。
なお、第5の腺葉模擬体25にはターゲットを配置せず、参考用として配置されている。この病変を持たない第5の腺葉模擬体25もまた、他の腺葉模擬体との対比観察の点で重要なトレーニング機能を担っている。
<ファントムの製造>
本実施形態に係るファントム10は、以下のような手順で製造される。但し、以下の手順は一例であって、型の使用/非使用など、様々な変形も可能である。
最初に、台座11及びスペーサ13を用意し(ステップS1)、台座11の上面11Aに、ファントム本体を載置するベース部分を設定(作成)しておく(ステップS2)。この台座11の少なくとも上面11Aは、後述する皮膚模擬層23を成す高分子材料との接着性が良い材料(例えばシリコン系樹脂)で形成されている。
勿論、これらステップS1、S2の製造工程は、後述するファントム本体の製造工程の合間など適宜なタイミングで行うこともできる。
ベース部分が作成されると、前述した5個の腺葉模擬体25〜25を前述したように作成する(図8:ステップS11)。この工程において、4個の腺葉模擬体25〜25には、前述したように4個のターゲットT1〜T4が模擬体毎に1個ずつ配置される。
続いて、この5個の腺葉模擬体25〜25それぞれの乳頭側に位置する端部が互いに中心に集まり、その中心から各腺葉模擬体25〜25が放射状に広がるように配置し、その中心側の5個の端部同士を接続部25Xで互いに連結した腺葉模擬体ユニット25U(図4参照)を作成する(ステップS12)。この腺葉模擬体ユニット25Uは、5個の腺葉模擬体25〜25と接続部25Xとなる部材を型に挿入・充填して作成される。この接続部25Xは、ファントム本体作成後には、図2に示すように、ほぼ乳頭28の真下に位置することになる。この接続部25Xは、腺葉模擬体と同一の材料で形成されている。この腺葉模擬体ユニット25Uを作ることで、個々の腺葉模擬体25〜25を各別に配置する場合に比べて、後述する5個の腺葉模擬体25〜25を皮下脂肪模擬層24上に配置する作業を簡略化することができる。
なお、この接続部25Xによる腺葉模擬体の接続を行わずに、単に、絹糸でそれぞれの5個の先端部を互いに縫い付けても同様の機能を発揮できる。
次いで、予め用意されている***全体の碗形の窪んだ内部形状を彫った型枠(図示せず)の内部に皮下脂肪模擬層24を成す適量の高分子材料を充填し、この充填された高分子材料に、皮下脂肪模擬層24を成型するための、凹凸のある脂肪層を模擬した表面を持つ型を押し付けて、凹凸のある皮下脂肪模擬層24を作成する(ステップS13)。この高分子材料には肌色の色素が混合されている。なお、この型枠には、単なるお椀形の窪んだ形状ではなく、実際の***が有する***下溝10A(図1,2参照)を模擬した形状を持つ***表面を形成するように成型されている。
次いで、悪性腫瘍ターゲットT2の一部を皮下脂肪模擬層24の所定位置に押し込んで固定させる(ステップS14:図6参照)。
次いで、型枠の内部空間に成型された皮下脂肪模擬層24に腺葉模擬体ユニット25Uを配置する(ステップS15)。この配置のときには、皮下脂肪模擬層24の略碗状の底部中心に腺葉模擬体ユニット25Uの中心部の接続部25Xが位置し、且つ、悪性腫瘍ターゲットT2の他端部が第2の腺葉模擬体25の一部に当接するように位置合わせする。そして、第2の腺葉模擬体25のみを少し押圧することで、悪性腫瘍ターゲットT2の他端部の一部が第2の腺葉模擬体25に食い込んで収まる。これにより、あたかも第2の腺葉模擬体25から悪性腫瘍ターゲットT2の一部が飛び出て、皮下脂肪模擬層24の一部に浸潤している状態が達成できる。
これが済むと、腺葉模擬体25と同じ高分子材料を基材26として型枠に流し込んで、型枠内部の構造物の隙間に充填させる(ステップS16)。
その後、一定時間を置いてから(ステップS17)、型枠に充填された基材26の面上に乳腺後隙脂肪模擬層22を積層し(ステップS18)、その上に、複数層の大胸筋模擬層21を積層する(ステップS19)。
このように、ファントム本体12が成形されると、型枠からファントム本体12を取り出し、そのファントム本体12を、既に用意していたスペーサ13に位置決めしながら載せる(ステップS20)。さらに、このスペーサに載せたファントム本体12の全体を、既に用意していた台座11のベース部分に位置決めしながら載せる(ステップS21)。これにより、台座11の上面11Aに載置されたファントム本体12が出来上がる。
この後、ファントム本体12の頂部に、赤系統の色のシリコン系高分子材料で形成された乳輪27および乳頭28が接着されて固定される(ステップS22)。なお、乳輪27は皮下脂肪模擬層の表面の所定部位に着色するだけでもよい。
これが済むと、皮膚模擬層23となる透明な高分子材料をファントム本体12の全体(乳輪27及び乳頭28を含む)に1〜3mm程度の厚さでコーティングする(ステップS23)。このときに、図2に示すように、乳腺後隙脂肪模擬層22及び大胸筋模擬層21の端部をカバーし、かつ、台座11の表面まで延伸して当接するようにコーティングされる。これにより、乳輪27および乳頭28を含めて、皮膚模擬層23によりファントム本体12が一体化されるとともに、このファントム本体12が台座11の上面11Aに固設される。これにより、左側の***を模した、縦横サイズがそれぞれ15〜18cmで、重さ3〜4kg程度のファントム10が製造される。
上述の皮膚模擬層23の端部23Aは、台座11の上面11Aにほぼ一体に融着してファントム本体12の内部を封止しているが、必要があれば、皮膚模擬層23の端部23Aから、その皮膚模擬層23全体を剥がしていくことができる。これはファントム10を修理するときなどに便利である。
なお、上述した製造工程において特に、乾燥時間、工程間の待機時間、脱気時間、温度制御などに触れていないが、当然、これらの時間や温度管理は適宜な態様で行っている。
<トレーニング>
このため、図9に示すように、超音波診断装置41の超音波プローブ42をファントム10に当てると、装置内の送受信回路43から超音波パルスがBモード撮影のシーケンスに従ってファントム10に送信される。ファントム10内の音響インピーダンスが相違する各境界面で反射した反射パルス波は超音波プローブ42で受信される。この受信波は送受信回路43で信号処理されてBモード断層像として、モニタ44に表示される。
このため、医師や技師は本実施形態に係るファントム10を使えば、図10の(A)〜(F)に示すBモード断層像を得ることができる。同図(A)は例えば、ターゲットを配置していない第5の腺葉模擬体25や、ターゲットを配置している第1〜第4の腺葉模擬体25〜25の何れかのターゲットを通らないスキャン断面のBモード断層像である。この断層像には、当然、ターゲットは映り込まず、皮下脂肪模擬層24、腺葉模擬体25などが写っている。このため、これを見た検査者は病変や病変に類似した部位は無い、と読影できる。
図10(B)は、乳頭28の下方を通る断面をスキャンしたBモード断層像の一例を示す。この場合、乳輪27および乳頭28に用いたシリコン系高分子材料によって高い超音波減衰が生じるため、乳輪27および乳頭28の下方にはその幅に沿って暗い陰影の部分が写し出される。当然、この陰影の部分は判読し難く、これは実際の***であっても同様である。この陰影部分まで模擬的に描出されるので、これを見た検査者は、この陰影部分を良く観察しなければならないし、必要に応じてスキャン断面を変えながら何度もその直下部分を観察しなければならない。これにより、乳頭28の下側で発生した腫瘍などを見逃さないためのトレーニングを行うことができる。
さらに、図10の(C)、(D)、(E)、及び(F)には、第1〜第4の腺葉模擬体25〜25に配置した良性腫瘍ターゲットT1、悪性腫瘍ターゲットT2,区域性病変ターゲットT3,及び引き攣れターゲットT4を通る断面をスキャンしたときのBモード断層像をそれぞれ示す。特に、悪性腫瘍ターゲットT2はその一部が皮下脂肪模擬層24に食い込んでおり、これを読影することで、トレーニング上で、悪性腫瘍であるとの判断をつけ易くなる。
更に、図11及び図12には、超音波プローブでファントム10を走査するときの、ファントム10に対するプローブの角度の違いが超音波画像に与える影響を、腺葉模擬体やターゲットの境界の明瞭性で比較した例を示す。図11は、腺葉模擬体25の例である。同図左側の画像(A)がプローブをファントム10に対して極力90°により近い角度で走査した例を示し、一方、同図(B)はプローブをファントム10に対して斜めに(より正確には、同図(A)の角度よりも伏せった斜めの角度で)走査した例を示す。図12は、同様の違いを良性腫瘍のターゲットT1を含む腺葉模擬体25の例である。
図11及び図12の何れの場合も、右側の画像(B)は腺葉模擬体25,25、及び、ターゲットT1の輪郭は、同図(A)のそれに比べて不明瞭で、大胸筋模擬層21も鮮明さに劣る。これらの比較例は、超音波プローブを***の接触面に対して極力90°で(直立させて)当てて、描出される構造物に対する超音波プローブの角度を調節することによって,十分な超音波反射パルスを受信することができ、画質が改善することを示している。そのことによって、医師や技師などの検査者にプローブの角度調節の重要性を認識させることができることを改めて示している。
以上のように、本実施形態に係るファントム10は、人体の***および乳腺に発生する悪性ならびに良性の特徴的な病変を実物の形状、硬さ、形態及び超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性の観点から模擬されている。このため、医師や技師などの検査者が超音波診断装置のプローブを当てて***超音波検査のトレーニングを行う上で好適な***超音波ファントムになる。特に、少なくとも1つの病変模擬部としてのターゲットT1(〜T4)を配置した複数の腺葉模擬体25(25〜25)を備えていることから、単に***全体の形状を高分子材料で模擬し、その中にターゲットを埋設した従来のファントムとは異なり、実際の***に対するのと同等の走査感のみならず、実際の***超音波検査で得られる腺葉を中心とする断層像の中でターゲットの形態を理解しつつ検索できる。これはトレーニングに好適である。
本発明者等は、本実施形態の構造に基づいて***超音波ファントムを試作し、その主要部位の硬さ(弾性率)を計測した。その結果、以下のような計測値が得られた。
さらに、ファントム10はJIS規格(JIS T 0601-2-37:2005)で要求される仕様を満たすように製造されている。
これらのことから、検査者が超音波プローブをファントム10に当てたときにも、その走査感は固い物体上でプローブを動かしなぞるというものではなく、その押しつけや回転によってプローブがファントム10の表面に少し沈む、適度な撓み性を持つ状態になる(図9参照)。これにより、実際の***上でのプローブ操作と同様の動かし難さを伴った走査感になるので、検査者のターゲット探索のための走査技量の習熟に貢献できる。
つまり、実物に近い適度な柔らかさを持ったファントム10であるから、プローブの位置や角度を上手く保持しないと、4個の腺葉模擬体25(25〜25)の表面や内部に配置したターゲットT1〜T4が明瞭に描出できない。プローブの角度や位置が少し変わっただけで、モニタ画面にターゲットT1(〜T4)が映し出せなくなったり、特徴的な断層像を捉えられなくなったりするような微妙な走査技量が要求されるからである。
また、複数のターゲットT1〜T4も単純に***内に埋め込まれているのではなく、実際の病変に近いサイズ、硬さ、及び超音波反射特性を持たせている。このため、注意して読影しないと、良性腫瘍を悪性腫瘍と間違えたり、映り込む組織の境界面を引き攣れと間違えたりするので、この点でもトレーニングを積むことができる。
さらに、ターゲットの種類も多く、単に腫瘍(腫瘤)があるかないかという判断だけではなく、形状や分布に良性や悪性の特徴を持たせたターゲットや、引き攣れのようにプローブを走査してモニタに映し出される動画像のなかで初めて認識できるターゲットも用意されている。このため、医師や技師はそのような微妙な構造の変化に対してもトレーニングを積むことができる。
さらに、図11及び図12に例示した如く、超音波プローブ42をファントム10に当てるときの角度の違いまでをも画像中に反映させることができる。つまり、走査角度の違いにより画像の明瞭性、特に、組織や構造の境界の明瞭性が変わるので、走査角度を***との接触面になるべく直立させるということや、映し出される画像を見てプローブの角度を調節するというトレーニングを積むこともできる。
さらに、本実施形態では、台座11に、断面が山形状のスペーサ13を設けているので、超音波プローブからの視野深度(4〜6cm程度)が実物に近い距離で大胸筋模擬層まで無理なくスキャンでき、走査における実感の向上を図ることができる。
さらに、皮膚模擬層23のコーティングを製造最終時に行うことで、ファントム本体12の裾野を取り巻く端部と台座11とを固着させることができる。これにより、ファントム運搬時にファントム本体12の皮膚層、即ち、表面の耐久性が向上し、ファントム内部の損傷を防止することに寄与する。
ファントム本体12には、その中心部の下側に接続部25Xを配置しているので、ファントム本体12の内部の構造物密度が高くなる。このため、クーパー靭帯を配置しなくても、複数の腺葉模擬体25をなるべく皮下脂肪模擬層24の胸部側に沿わせて位置を略固定させることがきる。
さらに、模擬体としての乳輪27と乳頭28を設けたので、走査感覚が実体により近いものになるとともに、乳頭直下の高い超音波減衰部分の走査感も判り易いものになる。
さらに、このファントム10を製造する過程において、型枠を使って、その型枠の開放している側から、脂肪層を先に作り込む。その後で腺葉模擬体25を配置し、基材26を充填した後で、ひっくり返して皮膚模擬層23をコーティングするという順序で作っている。これにより、単純に乳頭側又は胸部側から作り込んでいく手順とは違い、皮膚模擬層23と台座11との封止構造までをも一度に作ることができ、製造工程の簡略化、効率化に寄与する。
さらに、経年変化や使用中の擦れ、傷などに因って、このファントム10の表面を補修しなければならない場合も生じる。特に、皮膚模擬層23とその下の皮下脂肪模擬層24との間に、皮下脂肪模擬層24から径年変化によって生じた気泡が滞留することがある。そのような気泡は超音波画像のノイズになる。したがって、かかる事態に至った場合には、皮膚模擬層23をその端部23Aから綺麗に剥がすことができるので、再び、乳輪27及び乳頭28を付け替えると共に、皮膚模擬層23をコーティングすることで、ファントム表面を容易に補修することができる。
また、ファントム10の超音波プローブを当てる全体表面、即ち、皮膚模擬層23のうち、患者脚部側に位置する斜め下側の湾曲部には、***下溝10Aを形成している。通常、この***下溝10Aの付近は特に、超音波プローブを***に対して直立して当て難い部分である。この***下溝10Aの付近で超音波プローブが浮いた場合や接触面に直立して当てていない場合、Bモード断層像上で組織の境界(病変部の境界も含む)が不明瞭になることが多い(図11及び図12の(B)部分を参照)。したがって、医師や技師はBモード断層像上で画像を見ながら、その組織境界が明瞭に見えるように超音波プローブを走査することになる。これは、ターゲットを見つけることのみならず、超音波プローブの1つの基本操作のトレーニングにもなる。
一方で、本実施形態に係るファントム10は、型枠(図示せず)を使って皮下脂肪模擬層24から作成し、これに内包されるように、複数の腺葉模擬体25を配置し、乳腺後隙脂肪模擬層22及び大胸筋模擬層21をこの順に積層する。これらの積層体を台座11の上面11Aのスペーサを含むベース部分にセットした後で、皮膚模擬層を作成する。これは、台座上に大胸筋模擬層から積み上げて作成する製造法とは異なり、作成工程の入れ換えによって、各作成工程おける作成状態を詳しく観察しながら作業することができる。よって、作業工程をより簡単にしつつ、ファントムの製造上の歩留まりも向上させることができる。
本実施形態に係るファントム10は、型枠や押し型を使うものの殆どの工程を手作りにより製造できる。手作りの場合、当然、ファントムに要求される仕様を満たし、且つ公差内のものを製品とするが、当然に個体差は不可避である。しかし、実際の***もサイズ、構造、柔らかさなどに個人差があるので、かかる個体差は却って、そのような個人差を考慮したトレーニングに寄与することになる。勿論、3Dプリンタなどを使った機械化された製造も可能である。
(ファントムを専用に保管・運搬する収納箱)
本実施形態ではまた、ファントム10を専用に保管・運搬をするための収納箱90が提供される。このため、ファントム10は、この専用の収納箱90に収納させて保管、運搬させることが好ましい。
図13に示すように、この収納箱90は、ボックス状の箱体であり、蓋91を開けると、その内部には複数の仕切り部92が設けられている。この仕切り部92は、ファントム10の、プラスチック製で平面視が矩形状の台座11の横揺れを防止する構造を有する。収納するときに、同図(A)に示す例えばウレタン製の略お椀型のカバー93をファントム本体12の外表面に被せる(同図(B)、(C)参照)。このカバー93は、矩形状の基板部分93Aから立ち上がる、予めファントム本体12の大きさ、高さ、及び形状に合わせた内容積の椀状部分92Bを有し、その椀状部分93Bが下面開放に形成されている。被せた後に、適宜な掛止手段によってカバー93を台座11の縁に着脱自在に固定する。カバー93には、図示の如く、乳輪27(乳頭28)を回避するように例えば細いスリット93Cが穿設されている。このため、カバー93は乳頭28に直接触れることはないように形成されている。同時に、カバー93の椀状部分93Bはファントム本体12にフィットする適度な硬さ(柔らかさ)を有しているため、ファントム本体12の外表面に接触又は略接触しながらも、そのファントム本体12を包み込むとともに、台座11上でのファントム本体12の振動を抑制することができる。
この後、同図(D)に示すように、カバー93を被せたファントム10を収納箱90の仕切り部92に沿って収める。次いで、蓋91を閉めると、蓋91の裏側に固定されている押圧部91Aがカバー93の基板部分93Aの矩形状縁部分(つまり、台座11の縁部分)に当接するようになっている。これにより、収納箱90の内部において、ファントム本体12は台座11の面上でカバー93を介してその動きが規制され、台座11がカバー93の縁部分及び押圧部91Aを介して収納箱90内に固定される。
したがって、保管時や運搬時に外から振動が伝達されても、ファントム本体12の揺れや振動はカバー93に規制されるとともに、カバー93の柔軟性によりその振動が適度に吸収される。このため、ファントム10が輸送時に破損するという事態を防止することができる。
さらに、カバー93は密閉タイプではなく、スリット93Cが形成されている。このため、長期保管や輸送時において通気孔としても機能できるので、収納箱90に適度な換気口を設けておくことにより、ファントム10の温度及び湿度の管理に有用である。これにより、ファントム10を成す種々の材料の変性を防止又は抑制して、耐久性向上にも役立つ。
<変形例>
本発明に係る、***超音波検査のトレーニング用の***超音波ファントムは、必ずしも上述した実施形態に記載の構造に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載の構成要素に基づく要旨を逸脱しない限り、更に様々な態様に変更して実施できる。
特に、本発明は実際の腺葉体を模擬し、その表面又は内部に病変や病変に類似した構造を模擬した模擬部分を有することを特徴とする。このため、病変模擬部は、***の腺葉体を構成する組織の構築の乱れである引き攣れのみならず、その乱れを表す組織の局所的な変化に留まる軽度の集束又は集中であってもよい(図示せず)。これらの集束及び集中を成す部分も、構築の乱れ模擬部の他の例を成す。
さらに、腫瘍・腫瘤模擬部は、腫瘤を形成する腫瘍において良性を示唆する形態を模擬した腫瘤模擬部であってもよいし、悪性を示唆する形態を模擬した腫瘤模擬部であってもよい。つまり、良性である、悪性であると明確に判断を付け難いが、良性を示唆する形態である、または、悪性を示唆する形態であるとの微妙なニュアンスを模擬体のサイズ、形状、超音波反射率等に持たせることができる。サイズや形状は模擬体自身をそのように成形すればよいし、超音波反射率は高分子材料に添加する添加剤の種類や量を調整すればよい。
さらに、超音波の反射特性が腺葉模擬体25(25〜25)と同じ又はほぼ同じレベルの腫瘤ターゲットTeを腺葉模擬体25に配置することができる。このような構成によれば、超音波診断装置のプローブを***超音波ファントムに当てる角度が不適切な場合、***超音波画像上で腫瘤ターゲットTeの境界が不明瞭になって、その視認性が低下する。このため、医師や技師は、画像上で、腫瘤ターゲットTeの境界がより明瞭に視認できるように超音波プローブを当てる角度(走査角度)を習熟するためのトレーニングを積むことができる。
図14に、上記腫瘤ターゲットTeと視認性が超音波プローブの走査角度によってどのように変わるかを例示する。図14(A),(B)において、腺葉模擬体25を成形するための例えば型や部材の内部の所望位置に腫瘤ターゲットTeが配置され(配置工程)、この型や部材に腺葉模擬体25を成す高分子材料が充填される(充填工程)。このため、腺葉模擬体25の内部において、同じ高分子材料であっても、腫瘤ターゲットTeとそれを包含する腺葉模擬体25の材料との間に音響インピーダンスが異なる境界が形成される。したがって、図14(A)のように超音波プローブの走査角度が的確である場合、周囲の腺葉模擬体25と腫瘤ターゲットTeとの間の白く映る(高エコーに描出される)線状の境界WYと黒く映る(低エコー又は無エコーに描出される)線状の境界BYとが明瞭に視認される。しかし、図14(B)の超音波プローブの走査角度が的確でない場合、それらの白(高エコー)及び黒(低エコー又は無エコー)の線状境界WY、BYがボケて視認される。これは超音波プローブの当て方が不的確であることに起因するので、それらの境界WY、BYが明瞭に映像化されるように超音波プローブの当て方がトレーニングされる。
この腫瘤ターゲットTeを埋め込む構造は、前述した実施形態のみならず、その各種の変形例においても実施できる。
さらに、本実施形態に係るファントム10では、ターゲットの種類、数、及び、ターゲットを埋設する腺葉模擬体の数について更に様々な態様に展開できる。
まず、ターゲットは上述した4種類のものに限られず、何れか1種類のターゲットであっても、何れかの2種類のターゲットであっても、また何れか3種類のターゲットであってもよい。勿論、ターゲットの種類自体についても、前述した4種類の病変のターゲット(模擬体)に限定されることなく、5種類以上のターゲットを設けてもよい。例えば、良性の腫瘍を模擬するときに、超音波の反射率等の特性を差別化させた複数種のターゲットとして形成できる。これにより、同じ良性腫瘍のターゲットであって輝度差を設けて、より細かくレベル分けでき、例えば、5種類のターゲットを埋設できる。
さらに、ファントム10において、各ターゲットを必ず1種類ずつ設ける構造に限定されるものではない。1つの腺葉模擬体25に、同種の又は異種のターゲットを複数個、配置することもできる。
さらに、前述した実施形態にあっては、ターゲットを配置しない腺葉模擬体は第5の腺葉模擬体25の1個だけにした例を示したが、必ずしもそのような構造に限られない。2つ以上のターゲットを含まない腺葉模擬体を設け、トレーニングの難易度を変化させてもよい。
さらに、例えば、引き攣れターゲットT4のみを1つ又は複数設けることで、認識困難な病変を発見するトレーニング用として、上級者向けのファントムを提供することができる。
このように、本実施形態に係るファントム10では、様々な態様で、何れかの1種又は複数種のターゲットを1つ又は複数、埋設する構造を採用することができる。
加えて、同じ構造を持つファントムであっても、ターゲットのサイズを変えたり、或いは、ターゲットを全く設けないファントムに成形したりするなど、様々な難易度のファントムを提供することもできる。
このような様々な態様を組み合わせることで、初心者用から上級者用まで多様なレベルのトレーニング用ファントムを提供することができる。
さらなる変形例として、上記実施形態及び変形例に係るファントムを以下のように展開することもできる。
・前述したファントム10の大きさ,高さ,硬さ,及び/又は、脂肪相当部分と乳腺相当部分との割合を変化させることで,大きな***や小さな***,硬い***や軟らかい***,若年者や高齢者の***を模擬できる。これにより、個人差や性差までをも考慮し且つ本願発明を実施した多様な種類のファントムをトレーニング用に提供できる。
・また、前述したファントム10の乳頭の大きさや高さを適宜に増すことができ、これによって、トレーニングの難度を上げたファントムを提供できる。
・さらに、前述したファントム10において、乳腺相当部分のエコーレベルを高くもしくは低くしたり,あるいは高エコーと低エコーを不規則に混在させたり,乳腺相当部分での超音波の減衰を強めることで,ターゲットの視認性を低くし,トレーニングの難度を上げることができる。これらのファントムは,授乳期や高濃度***いわゆるdense breastの状態を再現するものである。さらに、男性の***についても,正常な状態や女性化***および男性乳癌など病的な状態を再現した***超音波ファントムを提供できる。
さらに、***の中でも特にプローブの走査が難しいと言われている***下溝や乳頭直下、またはその近くの位置に在る腺葉模擬体に、より小さいサイズのターゲットや見つけ難いターゲットを配置するようにしてもよい。
さらに、***の全体形状として、図1,2に示すようにファントムの端部形状とは違い、この端部をより滑らかに台座11の上面11Aに降ろすように形成してよい。つまり、***の付け根部分も表現して、その部分のプローブ当て方をトレーニングするようにしてもよい。
またなお、前記実施形態を更に発展させた例であるが、皮下脂肪模擬層を設けずに、皮膚模擬層だけを設けてもよいし、この皮膚模擬層と皮下脂肪模擬層とを一体に形成してもよい。
10 ***超音波ファントム(単に、ファントムとも呼ぶ)
10A ***下溝
11 台座
11A 上面
12 ファントム本体
13 スペーサ
21 大胸筋模擬層
22 乳腺後隙脂肪模擬層
23 皮膚模擬層
23A 端部
24 皮下脂肪模擬層
25(25〜25) 腺葉模擬体
26 基材
27 乳輪
28 乳頭
90 収納箱
91A 押圧部
92 仕切り部
93 カバー
93C スリット
T1〜T4、Te ターゲット(病変模擬部)

Claims (22)

  1. 人体の***を実物の形状、硬さ、及び超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性の観点から模擬し、且つ、検査者が超音波診断装置のプローブを当てて***超音波検査のトレーニングに用いる***超音波ファントムであって、
    前記人体の大胸筋を、少なくとも前記超音波伝搬特性の面から模擬した大胸筋模擬層と、
    前記大胸筋模擬層に積層され、前記人体の乳腺後隙の脂肪層を前記超音波伝搬特性の面から模擬した乳腺後隙脂肪模擬層と、
    前記***の表面の皮膚層を前記超音波伝搬特性の面から模擬した皮膚模擬層と、
    前記皮膚模擬層の内側の面に張り付けられ、前記***の皮下脂肪を模擬した皮下脂肪模擬層と、
    前記乳腺後隙脂肪模擬層と前記皮下脂肪模擬層との間に配置され、前記***の腺葉体を少なくとも前記超音波伝搬特性の面から模擬した複数の腺葉模擬体と、を少なくとも備え、
    前記複数の腺葉模擬体に、前記***の病変を前記超音波伝搬特性の面から模擬した少なくとも1つの病変模擬部を設けた、
    ことを特徴とする***超音波ファントム。
  2. 前記病変模擬部は、前記***の腺葉体を構成する組織の構築の乱れである引き攣れ、集束、及び集中のうちの少なくとも1つの形態として表現される病変を模擬した構築の乱れ模擬部である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の***超音波ファントム。
  3. 前記複数の腺葉模擬体に、前記病変模擬部としての、前記***に発病する腫瘍のうち腫瘤を形成する病変を模擬した腫瘍・腫瘤模擬部を更に設けた、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の***超音波ファントム。
  4. 前記腫瘍・腫瘤模擬部は、前記腫瘤を形成する腫瘍としての良性腫瘍及び悪性腫瘍を模擬した2種類の、良性腫瘍模擬部及び悪性腫瘍模擬部である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の***超音波ファントム。
  5. 前記腫瘍・腫瘤模擬部は、前記腫瘤を形成する腫瘍において良性を示唆する形態を模擬した腫瘤模擬部である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の***超音波ファントム。
  6. 前記腫瘍・腫瘤模擬部は、前記腫瘤を形成する腫瘍において悪性を示唆する形態を模擬した腫瘤模擬部である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の***超音波ファントム。
  7. 前記腫瘍・腫瘤模擬部は、前記腫瘤を形成する腫瘍の模擬について、その形状、硬さ、腺葉模擬体に配置する存在部位において、良性と悪性それぞれの特徴を有する腫瘤模擬部である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の***超音波ファントム。
  8. 前記複数の腺葉模擬体に、前記病変模擬部としての、前記***に発病する区域性病変を模擬した区域性病変模擬部を設けた、
    ことを特徴する請求項4に記載の***超音波ファントム。
  9. 前記複数の腺葉模擬体に、前記病変模擬部としての、前記***に発病する腫瘍のうち明らかに腫瘤を形成しない病変、又は、小さな腫瘤が特定の腺葉に区域性に存在する病変を模擬した区域性病変模擬部を更に設けた、
    ことを特徴とする請求項1に記載の***超音波ファントム。
  10. 前記少なくとも1つの病変模擬部は、前記構築の乱れ模擬部と、前記良性腫瘍模擬部と、前記悪性腫瘍模擬部と、前記区域性病変模擬部とから成り、
    前記複数の腺葉模擬体は、前記構築の乱れ模擬部、前記悪性腫瘍模擬部、及び、前記区域性病変模擬部をそれぞれ個別に又は複数を含む、少なくとも4つの腺葉模擬体である、
    ことを特徴とする請求項8に記載の***超音波ファントム。
  11. 前記少なくとも1つの病変模擬部は、少なくとも2つの病変模擬部から成り、
    前記複数の病変模擬部は、前記***の腺葉体を構成する組織の構築の乱れである引き攣れ、集束、及び集中のうちの少なくとも1つの形態として表現される病変を模擬した構築の乱れ模擬部、前記***に発病する腫瘍のうち腫瘤を形成する病変を模擬した腫瘍・腫瘤模擬部、及び、前記***に発病する腫瘍のうち明らかに腫瘤を形成しない病変、又は、小さな腫瘤が特定の腺葉に区域性に存在する病変を模擬した区域性病変模擬部のうちの、少なくとも2つの模擬部から成る、
    ことを特徴とする請求項1に記載の***超音波ファントム。
  12. 前記***の頂部に、当該***の乳頭を模擬した乳頭模擬体を形成した、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の***超音波ファントム。
  13. 前記乳頭模擬体は、前記超音波の減衰率を当該乳頭模擬体の周辺の部位よりも大きく設定した、
    ことを特徴とする請求項12に記載の***超音波ファントム。
  14. 前記皮下脂肪模擬層は、前記人体の皮下脂肪層におけるブロック状に区分されている形状を模擬した表面が敷石状の形状、および皮下脂肪層のもつ軟らかさを模擬して前記皮下脂肪模擬層に固設した、
    ことを特徴とする請求項13に記載の***超音波ファントム。
  15. 前記皮膚模擬層は、前記皮下脂肪模擬層から剥がすことが可能に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項14の何れか一項に記載の***超音波ファントム。
  16. 前記***超音波ファントムは台座の上面に載置され、
    前記皮膚模擬層は、前記皮下脂肪模擬層を覆うとともに、前記台座の上面に略一体化させた端部を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか一項に記載の***超音波ファントム。
  17. 前記皮膚模擬層が成す***表面の形状は、当該***超音波ファントムを横置きした状態で乳腺下溝を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れか一項に記載の***超音波ファントム。
  18. 前記病変模擬部は、前記腺葉模擬体の材料と同じ材料で形成された前記病変を模擬した模擬体であって、当該模擬体は当該腺葉模擬体とは別の工程によって形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れか一項に記載の***超音波ファントム。
  19. 人体の***を実物の形状、硬さ、及び超音波の減衰及び反射を含む超音波伝搬特性の観点から模擬し、且つ、検査者が超音波診断装置のプローブを当てて***超音波検査のトレーニングに用いる***超音波ファントムの製造方法において、
    前記***の外形を模した型枠を用意する用意工程と
    前記型枠に、前記***の皮下脂肪を模擬した皮下脂肪模擬層と、前記***の病変を前記超音波伝搬特性の面から模擬した少なくとも1つの病変模擬部を含むと共に当該***の腺葉体を前記超音波の伝搬特性の面から模擬した複数の腺葉模擬体とを、この順に配置した配置工程とを備える、
    ことを特徴とする***超音波ファントムの製造方法。
  20. 前記配置工程は、
    前記型枠から前記配置した部分を取り出し、当該配置した部分を台座にスペーサを介して載せ、
    前記配置した部分の頂部に、少なくとも、乳頭を前記超音波伝搬特性の面から模擬した乳頭模擬体を固設し、
    この乳頭模擬体を固設した前記***の全体の表面に、***の皮膚層を前記超音波の伝搬特性の面から模擬した皮膚模擬層を前記台座との隙間を無くするようにコーティングした、
    ことを特徴とする請求項19に記載の***超音波ファントムの製造方法。
  21. 少なくとも前記配置工程の前に、前記台座の、前記配置した部分を載置する部分には、中央部が周辺部よりもなだらかに盛り上がるスペーサと、前記人体の大胸筋を前記超音波伝搬特性の面から模擬した大胸筋模擬層とを前記スペーサを覆って積層する、
    ことを特徴とする請求項20に記載の***超音波ファントムの製造方法。
  22. 請求項1〜18の何れか一項に記載の***超音波ファントムを収納する収納箱であって、
    蓋と、
    蓋の裏側に固設された押圧部と、
    前記***超音波ファントムの表面に沿って当該表面を覆う大きさ及び形状に形成された樹脂製のカバーと、
    当該収納箱の内部に形成され且つ収納される前記***超音波ファントムを収める仕切り部と、を備え、
    前記カバーが被せられた前記***超音波ファントムが当該収納箱の内部に収納され且つ前記仕切り部に収められるともに前記蓋が閉められたときに、前記押圧部によって前記カバーと前記***超音波ファントムとが当該収納箱の内部に固定されることを特徴とした収納箱。
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