以下、本発明の一実施形態に係る給紙装置及び画像形成装置について図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向が左右方向(+Xが右、−Xが左)、Y方向が前後方向(+Yが前、−Yが後)、Z方向が上下方向(+Zが上、−Zが下)に各々相当する。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料を意味する。
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を概略的に示す図である。画像形成装置1は、シートSに画像を形成する電子写真方式の装置である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置1は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備えた複合機であってもよく、またカラー画像を形成するものであってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙装置20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50と、を備える。なお、本体ハウジング10は、給紙装置20の構成の一部を成す装置本体としての機能を有する。
本体ハウジング10の+Y側(前側)には第1カバー11が、−Y側(後側)には第2カバー12がそれぞれ配置されている。第1カバー11が開放されることにより、トナーコンテナ50が本体ハウジング10から外方に露出する。これにより、ユーザーは、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10から取り出すことができる。第2カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、第2カバー12が開放されることにより、本体ハウジング10から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の+Z側(上側)には排紙部13が形成される。また、本体ハウジング10の底部14は、本体ハウジング10において、給紙装置20の構成の一部を成す後述の給紙カセット21が着脱自在に装着される部位となる。
更に、本体ハウジング10には、シートSの搬送通路となる第1シート搬送路15及び第2シート搬送路16が形成されている。第1シート搬送路15は、給紙装置20から画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10の+Z側(上側)の排紙部13に対向して設けられている排紙口13Aまで延び、画像形成部30を−Z側(下側)から+Z側(上側)に向かって通過するように延設される。第2シート搬送路16は、シートSに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートSを第1シート搬送路15における画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。第2シート搬送路16は、反転ユニット16Aの外側面と、本体ハウジング10の第2カバー12の内面との間に形成されている。第2カバー12及び反転ユニット16Aは、それらの下端に設けられた本体支点部16Bの軸回りに各々回動可能である。第2シート搬送路16においてシートジャムが発生した場合、第2カバー12が開放される。第1シート搬送路15でシートジャムが発生した場合、或いは画像形成部30が外部に取り出される場合には、第2カバー12に加えて反転ユニット16Aも開放される。
給紙装置20は、シートSを第1シート搬送路15へ給紙する。給紙装置20の詳細な構成については後述する。
給紙装置20により第1シート搬送路15に給紙されたシートSは、その第1シート搬送路15に設けられたレジストローラー対17に向けて搬送される。レジストローラー対17は、シートSの斜め搬送を矯正する機能を有する。これにより、シートS上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対17は、画像形成部30による画像形成処理のタイミングに合わせてシートSを、画像形成部30に向けて送出する。
画像形成部30は、レジストローラー対17により送出されるシートSにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(不図示)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。
感光体ドラム31は、X方向(左右方向)に延びる回転軸回りに回転可能な円筒状のドラムであり、その外周面に静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に応じたトナー像が担持される。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。
クリーニング装置35は、不図示のクリーニングブレードを有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の外周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の外周面にトナーを供給する。
転写ローラー34は、感光体ドラム31の外周面に形成されたトナー像をシートS上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の外周面に当接し、転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーの極性と逆極性の転写バイアスが与えられる。
定着部40は、転写されたトナー像をシートS上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートSが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱と加圧ローラー42による押圧とにより、シートS上に定着される。
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給する補給トナーを貯留する。トナーコンテナ50内に貯留された補給トナーは、回転部材51が回転駆動されることによって、トナー排出口52から現像装置33内に供給される。
画像形成部30により画像形成処理が行われ、次に定着部40により定着処理が行われた後のシートSは、排紙口13Aに向けて第1シート搬送路15を搬送され、その排紙口13Aに近設されている排紙ローラー対13Bによって排紙部13上に排出される。
一方、排紙ローラー対13Bに送出されたシートSが、片面の画像形成処理が完了した両面印刷用のものである場合には、当該シートSは、排紙ローラー対13Bに挟持された状態とされる。この状態で排紙ローラー対13Bが逆回転されることにより、シートSがスイッチバックされる。これによってシートSは、第2シート搬送路16に送出される。第2シート搬送路16に送出されたシートSは、その第2シート搬送路16に設けられた搬送ローラーによって逆送され、レジストローラー対17を介して、表裏が反転した状態で再び画像形成部30に供給される。このように表裏が反転した状態で画像形成部30に供給されたシートSは、裏面側に画像形成処理が施され、その後定着部40により定着処理が施される。両面印刷が完了したシートSは、第1シート搬送路15を搬送され、排紙口13Aから排紙ローラー対13Bによって排紙部13上に排出される。
[給紙装置の詳細構成]
次に、給紙装置20の構成について、詳細に説明する。給紙装置20は、第1シート搬送路15にシートSを給紙する。給紙装置20は、給紙カセット21と、ピックアップローラー22と、給紙ローラー23と、ガイドユニット24と、リタードローラーユニット25とを備える。
図1に加えて図2及び図3を参照して、給紙装置20の給紙カセット21について説明する。図2は給紙装置20に備えられる給紙カセット21の斜視図であり、図3は図2の給紙カセット21の一部を拡大して示す斜視図である。給紙カセット21は、本体ハウジング10に対して所定の水平な装着方向DCに沿って着脱自在とされている。ここで、装着方向DCは、+Y側(前側)から−Y側(後側)に向かう方向である。給紙カセット21は、シート収容部211とリフト板212とを備える。シート収容部211にはシートSが収容される。このシート収容部211に収容されたシートSは、前述の第1シート搬送路15を搬送される。換言すれば、第1シート搬送路15は、本体ハウジング10においてシート収容部211から延設され、シートSが装着方向DCに沿ったシート搬送方向DPに搬送される搬送路である。
リフト板212は、給紙カセット21の底部側に配置され、シート収容部211に収容されたシートSの束を給紙のためにリフトアップする板状体である。リフト板212は、+Z側(上側)に移動されることにより、シート収容部211に収容されたシートSのシート搬送方向DP下流側の端部をピックアップローラー22に向かって移動させる。
給紙カセット21は、+Z側(上側)が開口した箱形の形状に形成されている。換言すれば、給紙カセット21は、カセット底壁部21Aと、そのカセット底壁部21Aの前後左右の端縁から+Z側(上側)に立設されるカセット前壁部21B、カセット後壁部21C、カセット左壁部21D及びカセット右壁部21Eと、を含んで構成される。
カセット前壁部21Bは、給紙カセット21の+Y側(前側)を画定し、本体ハウジング10の第1カバー11と面一に配置される。カセット後壁部21Cは、給紙カセット21の−Y側(後側)を画定する。このカセット後壁部21Cは、給紙カセット21が本体ハウジング10に装着される装着方向DCの先端側に立設される壁部である。また、カセット左壁部21Dは、給紙カセット21の−X側(左側)において、カセット後壁部21Cと交差して、装着方向DCに沿って配置される側壁である。カセット右壁部21Eは、給紙カセット21の+X側(右側)において、カセット左壁部21Dと平行に装着方向DCに沿って配置される側壁である。
図1を参照して、給紙装置20のピックアップローラー22は、シート収容部211のシート搬送方向DP下流側の端部に対向して本体ハウジング10に配置されている。ピックアップローラー22は、回転駆動されることにより、シートSをシート収容部211から1枚ずつ取り出し、第1シート搬送路11に向けて送り出す。
給紙ローラー23は、本体ハウジング10において、ピックアップローラー22よりもシート搬送方向DP下流側に配置されている。給紙ローラー23は、第1シート搬送路15の入口側でシート収容部211に対向して配置される。給紙ローラー23は、回転駆動されることにより、ピックアップローラー22によってシート収容部211から送り出されたシートSをシート搬送方向DPに更に搬送する。
次に、図1に加えて図4乃至図10を参照して、給紙装置20のガイドユニット24及びリタードローラーユニット25について説明する。図4は、給紙装置20に備えられるガイドユニット24及びリタードローラーユニット25の近傍を拡大して示す分解斜視図であり、図5は、ガイドユニット24及びリタードローラーユニット25の近傍を拡大して示す斜視図である。図6乃至図8は、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出された状態におけるガイドユニット24及びリタードローラーユニット25の断面図であり、図6が図5のVI−VI線で切断した断面図を示し、図7が図5のVII−VII線で切断した断面図を示し、図8が図5のVIII−VIII線で切断した断面図を示す。図9及び図10は、給紙カセット21が本体ハウジング10に装着された状態におけるガイドユニット24及びリタードローラーユニット25の断面図であり、図9が図6に対応した断面図を示し、図10が図7に対応した断面図を示す。
ガイドユニット24は、本体ハウジング10の内部において、給紙カセット21のカセット後壁部21Cに対向して配置されるユニットである。ガイドユニット24は、ピックアップローラー22によってシート収容部211から送り出され、更に給紙ローラー23により搬送されるシートSを−Z側(下側)からガイドする。ガイドユニット24、第1ガイド部241と、第2ガイド部242と、ガイドユニット底部243と、第1装着部244と、第2装着部245とを含んで構成される。
第1ガイド部241は、ガイドユニット24における、シート搬送方向DPと交差するシート幅方向(X方向、左右方向)の一方側(−X側、左側)であり、且つ+Z側(上側)に位置する部位である。第1ガイド部241は、シート幅方向(X方向、左右方向)に延び、その上面部に湾曲形状の第1ガイド面241Aを有する。本体ハウジング10に給紙カセット21が装着された状態において、第1ガイド面241Aは、給紙カセット21よりも+Z側(上側)に位置する。第1ガイド面241Aは、給紙ローラー23により搬送されるシートSをレジストローラー対17に向けてガイドする。
第2ガイド部242は、ガイドユニット24における、シート幅方向(X方向、左右方向)の他方側(+X側、右側)であり、且つ+Z側(上側)に位置する部位である。第2ガイド部242は、第1ガイド部241に対してシート幅方向(X方向、左右方向)の+X側(右側)に離間して配置されている。すなわち、第1ガイド部241の+X側(右側)の端部241Bと、第2ガイド部242の−X側(左側)の端部242Bとの間には、空間が形成されている。この第1ガイド部241と第2ガイド部242との間に形成された空間に、後述のリタードローラーユニット25が配置される。第2ガイド部242は、シート幅方向(X方向、左右方向)に延び、その上面部に湾曲形状の第2ガイド面242Aを有する。本体ハウジング10に給紙カセット21が装着された状態において、第2ガイド面242Aは、給紙カセット21よりも+Z側(上側)に位置する。第2ガイド面242Aは、第1ガイド部241の第1ガイド面241Aと共同して、給紙ローラー23により搬送されるシートSをレジストローラー対17に向けてガイドする。
ガイドユニット底部243は、ガイドユニット24の底部を構成する。ガイドユニット底部243は、シート幅方向(X方向、左右方向)に延び、第1ガイド部241及び第2ガイド部242に対して−Z側(下側)に離間して配置されている。
第1装着部244は、給紙カセット21のカセット後壁部21Cと対向する対向壁部244Aを有し、本体ハウジング10において給紙カセット21が装着される部位となる。第1装着部244は、第1ガイド部241及び第2ガイド部242と、ガイドユニット底部243との間に配置されている。第1装着部244は、シート幅方向(X方向、左右方向)に延び、第1ガイド部241及び第2ガイド部242と、ガイドユニット底部243とを連結する。具体的には、第1装着部244の+Z側(上側)の端部には、第1ガイド部241及び第2ガイド部242が接続され、第1装着部244の−Z側(下側)の端部には、ガイドユニット底部243が接続されている。なお、第1ガイド部241及び第2ガイド部242がシート幅方向(X方向、左右方向)に離間して配置されているため、第1装着部244の+Z側(上側)の端部における中央部の上方側には、後述のリタードローラーユニット25が配置される空間が形成されている。
ガイドユニット24において、第2装着部245は、後述のリタードローラーユニット25が装着され、当該リタードローラーユニット25を支持するための構造体である。第2装着部245は、第1ガイド部241の+X側(右側)の端部241Bと、第2ガイド部242の−X側(左側)の端部242Bとにそれぞれ、配置されている。各第2装着部245は、スロープ部2451と、一対の突片2452と、鉤型突片2453とを含んで構成される。
スロープ部2451は、+Y側(前側)から−Y側(後側)に向かって+Z側(上側)に傾いた斜面部である。このスロープ部2451の−Y側(後側)の端部、換言するとスロープ部2451の+Z側(上側)の端部に、一対の突片2452が配置されている。一対の突片2452は、スロープ部2451から+Z側(上側)に突設されている。一対の突片2452とスロープ部2451とによって囲まれた係止溝245Aに、後述のリタードローラーユニット25のリタードホルダー252に形成されたホルダー突片2522Aが挿嵌される。
また、スロープ部2451の+Y側(前側)の端部、換言するとスロープ部2451の−Z側(下側)の端部に、鉤型突片2453が配置されている。鉤型突片2453は、スロープ部2451から+Y側(前側)に突設されている。この鉤型突片2453に、後述のリタードローラーユニット25のリタードホルダー252に形成されたホルダー突出ピン2522Bが挿嵌される。
第2装着部245は、一対の突片2452により形成される隙間部分にホルダー突片2522Aが挿嵌され、鉤型突片2453にホルダー突出ピン2522Bが挿嵌されることによって、リタードローラーユニット25を支持する。
リタードローラーユニット25は、リタードローラー251と、そのリタードローラー251を支持するリタードホルダー252と、付勢部材253とを含むユニットである。リタードローラーユニット25は、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出された状態において、ガイドユニット24に対して着脱可能とされる。そして、リタードローラーユニット25は、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出された状態において、リタードローラー251が給紙ローラー23から下方側(−Z側)に離間した離間位置(図6乃至図8に示す位置)に配置されるように、ガイドユニット24に支持されている。また、リタードローラーユニット25は、リタードローラー251が給紙ローラー23に当接した当接位置(図9及び図10に示す位置)と前記離間位置とにわたるZ方向(上下方向)に移動可能に、ガイドユニット24に支持されている。リタードローラーユニット25は、ガイドユニット24の第1ガイド部241と第2ガイド部242との間において、第2装着部245によって支持される。
リタードローラーユニット25がガイドユニット24の第2装着部245に装着された状態において、リタードローラー251は、給紙ローラー23の下方側(−Z側)で、当該給紙ローラー23に対向して配置される。リタードローラー251は、給紙ローラー23との間でシートSが通過する給紙ニップ部Nを形成可能なローラーである。リタードローラー251は、後述の第1位置決め機構26によってリタードローラーユニット25が前記離間位置から上方向に移動されて前記当接位置に位置決めされることにより、給紙ローラー23に当接して給紙ニップ部Nを形成する。リタードローラー251は、不図示のトルクリミッターを介して回転軸に固定されている。従って、リタードローラー251と回転軸との間に所定トルク以上の負荷が掛かると、回転軸は停止した状態でリタードローラー251のみが回転するようになっている。給紙ニップ部Nに1枚のシートSが進入した場合、リタードローラー251は、給紙ローラー23に従動して回転し、当該シートSをシート搬送方向DP下流側に搬送する。一方、給紙ニップ部Nに複数枚のシートSが進入した場合、リタードローラー251は停止し、最も上方に配置される1枚のシートSだけが、給紙ローラー23によってシート搬送方向DP下流側に搬送される。その他のシートSは、リタードローラー251の周面に当接することにより、給紙ニップ部Nにおいて停止される。
リタードローラーユニット25において、リタードホルダー252は、リタードローラー251を回転可能に支持すると供に、リタードローラーユニット25に対して搖動可能に支持されている。また、リタードホルダー252は、後述の第1位置決め機構26によってリタードローラーユニット25が前記当接位置に位置決めされた状態で、付勢部材253(図8参照)によって付勢される。付勢部材253は、例えばコイルバネ等からなり、リタードローラー251が給紙ローラー23に圧接するように、リタードホルダー252を付勢する。これにより、リタードローラー251と給紙ローラー23との間に形成される給紙ニップ部Nにおけるニップ圧を、高めることができる。リタードホルダー252は、ホルダー底壁部2521と、そのホルダー底壁部2521の前後左右の端縁から+Z側(上側)に立設される一対のホルダー側壁部2522、ホルダー前壁部2523及びホルダー後壁部2524と、延出部2525とを含んで構成される。
一対のホルダー側壁部2522は、リタードホルダー252の+X側(右側)及び−X側(左側)を画定し、互いに平行な側壁である。この一対のホルダー側壁部2522の内面にリタードローラー251が回転可能に支持されている。リタードローラー251は、その一部が一対のホルダー側壁部2522の上端部から上方側へ露出するように、一対のホルダー側壁部2522に支持されている。また、一対のホルダー側壁部2522の各々の外面には、−Y側(後側)の端部にホルダー突片2522Aが設けられ、+Y側(前側)の端部にホルダー突出ピン2522Bが設けられている。
+X側(右側)のホルダー側壁部2522に設けられたホルダー突片2522A及びホルダー突出ピン2522Bは、それぞれ、ホルダー側壁部2522の外面から+X側(右側)に突設されている。一方、−X側(左側)のホルダー側壁部2522に設けられたホルダー突片2522A及びホルダー突出ピン2522Bは、それぞれ、ホルダー側壁部2522の外面から−X側(左側)に突設されている。
一対のホルダー側壁部2522の各々に設けられたホルダー突片2522Aは、ガイドユニット24の第2装着部245における一対の突片2452により形成される係止溝245Aに挿嵌される。また、一対のホルダー側壁部2522の各々に設けられたホルダー突出ピン2522Bは、ガイドユニット24の第2装着部245における鉤型突片2453に挿嵌される。これによって、リタードローラーユニット25がガイドユニット24の第2装着部245に支持される。
ホルダー前壁部2523は、リタードホルダー252の+Y側(前側)を画定する。ホルダー前壁部2523は、一対のホルダー側壁部2522に支持されたリタードローラー251の+Y側(前側)に配置されている。このホルダー前壁部2523の上端部には、ガイド片2523Aが設けられている。ガイド片2523Aは、ホルダー前壁部2523の上端部からシート搬送方向DPに突設された突片である。ガイド片2523Aは、ピックアップローラー22によってシート収容部211から送り出されたシートSを、リタードローラー251と給紙ローラー23との間に形成される給紙ニップ部Nに向けてガイドする。
ホルダー後壁部2524は、リタードホルダー252の−Y側(後側)を画定する。ホルダー後壁部2524は、一対のホルダー側壁部2522に支持されたリタードローラー251の−Y側(後側)に配置されている。ホルダー後壁部2524は、湾曲形状の中央ガイド面2524Aを有する。中央ガイド面2524Aは、ガイドユニット24における第1ガイド部241の第1ガイド面241Aと、第2ガイド部242の第2ガイド面242Aとの間に配置される。中央ガイド面2524Aは、第1ガイド面241A及び第2ガイド面242Aと共同して、給紙ローラー23により搬送されるシートSをレジストローラー対17に向けてガイドする。
リタードホルダー252において、延出部2525は、ホルダー底壁部2521の外面から−Z側(下側)に延出された板状体である。リタードローラーユニット25において、リタードホルダー252の延出部2525は、本体ハウジング10に装着された給紙カセット21のカセット後壁部21Cと対向する。
<第1位置決め機構について>
図3乃至図5、図7及び図10を参照して、本実施形態に係る給紙装置20は、第1位置決め機構26を備える。
前述したように、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出された状態において、リタードローラーユニット25は、リタードローラー251が給紙ローラー23から下方側に離間した離間位置(図6乃至図8に示す位置)に配置されるように、ガイドユニット24に支持されている。
第1位置決め機構26は、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する着脱に連動して、リタードローラー251が給紙ローラー23と当接して給紙ニップ部Nを形成する当接位置(図9及び図10に示す位置)と前記離間位置とに、リタードローラーユニット25を位置決めする。具体的には、第1位置決め機構26は、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する装着方向DCに沿った装着に連動して、リタードローラーユニット25を前記離間位置から上方向へ移動させて、当該リタードローラーユニット25を前記当接位置に位置決めする。また、第1位置決め機構26は、給紙カセット21の本体ハウジング10からの引き出しに連動して、リタードローラーユニット25を前記当接位置から下方向へ移動させて、当該リタードローラーユニット25を前記離間位置に位置決めする。
本実施形態では、第1位置決め機構26は、給紙カセット21のカセット後壁部21Cに配置された一対の第1係合部261と、リタードローラーユニット25に配置された一対の第2係合部262とを含む。一対の第1係合部261は、給紙カセット21のカセット後壁部21Cにおいて、シート幅方向(X方向、左右方向)の中央部に互いにシート幅方向に離間して配置されている。一対の第1係合部261は、図3に示すように、給紙カセット21のカセット後壁部21Cから装着方向DCに突設された一対の突起部である。一方、一対の第2係合部262は、図4及び図5に示すように、リタードローラーユニット25を構成するリタードホルダー252の延出部2525において、互いにシート幅方向(X方向、左右方向)に離間して配置されている。一対の第2係合部262は、一対の第1係合部261が挿通可能に形成された、一対の挿通孔である。
一対の第1係合部261と、一対の第2係合部262とによって構成される第1位置決め機構26では、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する装着方向DCに沿った装着に連動して、一対の第1係合部261が一対の第2係合部262に挿通されると、リタードローラーユニット25が前記離間位置から前記当接位置へと上方向に移動する。そして、第1位置決め機構26は、一対の第1係合部261が一対の第2係合部262に挿通されて互いに係合することにより、リタードローラーユニット25を前記当接位置に位置決めする。
一方、給紙カセット21の本体ハウジング10からの、装着方向DCとは逆方向に向かった引き出しに連動して、第1位置決め機構26は、一対の第1係合部261が一対の第2係合部262から離間することにより、リタードローラーユニット25をその自重によって前記当接位置から下方側の前記離間位置へと移動させて、前記離間位置に位置決めする。
給紙カセット21の本体ハウジング10に対する着脱に連動して、リタードローラーユニット25を前記当接位置又は前記離間位置に位置決めする第1位置決め機構26は、従来技術のような回動動作を伴う複雑な機構ではなく、リタードローラーユニット25を上下方向に移動させる単純な機構で構成されている。このため、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する装着不良等の不具合発生のリスクが低くなり、給紙カセット21からのシートSの給紙特性に優れた、信頼性が高い給紙装置20となる。また、第1位置決め機構26が単純な機構で構成されているので、給紙装置20の組立性も良好なものとなる。
また、給紙カセット21が本体ハウジング10に装着された状態において、第1位置決め機構26は、リタードローラー251が給紙ローラー23と当接して給紙ニップ部Nを形成する前記当接位置にリタードローラーユニット25を位置決めしている。シートSが給紙ニップ部Nに挟まれた状態で、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出されると、その給紙ニップ部Nに挟まれたシートSが本体ハウジング10の内部に残留してしまうおそれがある。
そこで、第1位置決め機構26は、給紙カセット21の本体ハウジング10からの引き出しに連動して、リタードローラーユニット25を前記当接位置から下方側の前記離間位置へと移動させる。従って、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出し可能な状態となる際に、リタードローラー251を給紙ローラー23から離間させることができる。この結果、給紙カセット21が本体ハウジング10から引き出される際には、給紙ニップ部NにおいてシートSに対する押圧力が開放される。従って、給紙ニップ部Nに挟まれていたシートSと給紙カセット21に収容されているその他のシートSとが静摩擦力によって接触しながら、給紙カセット21が引き出される。このため、給紙ニップ部Nに挟まれていたシートSを給紙カセット21とともに、本体ハウジング10の外部に取り出すことができ、シートSが本体ハウジング10に残留することが抑止される。
また、図4、図7及び図10に示すように、本実施形態に係る給紙装置20において、ガイドユニット24には、一対の嵌合凹部263が形成されている。一対の嵌合凹部263は、ガイドユニット24における第1装着部244の対向壁部244Aにおいて、シート幅方向(X方向、左右方向)の中央部に互いにシート幅方向に離間して形成されている。リタードローラーユニット25がガイドユニット24の第2装着部245に装着された状態において、一対の嵌合凹部263は、リタードローラーユニット25の、一対の第2係合部262が配置された延出部2525によって+Y側(前側)から覆われている。
給紙カセット21が本体ハウジング10に装着された状態において、一対の第1係合部261は、その先端部が、一対の第2係合部262から−Y側(後側)に露出するように挿通される。一対の嵌合凹部263には、一対の第2係合部262に挿通された一対の第1係合部261の先端部が、嵌合可能である。
給紙カセット21が本体ハウジング10に装着された状態において、給紙カセット21のカセット後壁部21Cに配置される一対の第1係合部261は、リタードローラーユニット25に配置される一対の第2係合部262に挿通され、更には、本体ハウジング10に配置されるガイドユニット24に形成された一対の嵌合凹部263に嵌合する。これにより、給紙カセット21が本体ハウジング10に装着された状態において、給紙カセット21、リタードローラーユニット25及びガイドユニット24の3者の位置関係が精度よく維持される。このため、給紙カセット21のシート収容部211に収容されたシートSが、リタードローラー251と給紙ローラー23との間に形成された給紙ニップ部Nを通過し、ガイドユニット24によりガイドされて搬送されるときの搬送性が安定したものとなる。
また、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する装着時に、過度の力が装着方向DCに付与された状態で給紙カセット21が、本体ハウジング10に装着される場合がある。この場合、リタードローラーユニット25がガイドユニット24に対して位置ずれした状態で、給紙カセット21が本体ハウジング10に装着される可能性がある。このような、リタードローラーユニット25のガイドユニット24に対する位置ずれを防止するための対策として、リタードローラーユニット25をガイドユニット24に固定する固定部材を設けることが考えられる。しかしながら、固定部材によってリタードローラーユニット25を固定する構成とした場合、例えばリタードローラー251を交換する作業を行うときには、交換作業に係る作業工数が増えてしまう。これは、リタードローラーユニット25をガイドユニット24から取り外すときには、まず固定部材を外す必要があり、リタードローラーユニット25のガイドユニット24に対する装着後には、固定部材で固定する必要があり、固定部材に関する分の作業工数が増えるからである。
これに対し、本実施形態では、一対のホルダー側壁部2522の各々に設けられたホルダー突片2522Aが、ガイドユニット24の第2装着部245における一対の突片2452により形成される係止溝245Aに挿嵌され、これによって、リタードローラーユニット25がガイドユニット24の第2装着部245に支持される。このため、リタードローラーユニット25がガイドユニット24に支持された状態において、リタードローラーユニット25の後方への移動が阻止されるので、位置ずれ防止のための固定部材を必要としない。この結果、リタードローラー251の交換作業に係る作業工数の増加を抑止することができ、交換作業の作業効率を高めることができる。
<第2位置決め機構について>
図3乃至図5を参照して、本実施形態に係る給紙装置20は、第2位置決め機構27を備える。第2位置決め機構27は、給紙カセット21が本体ハウジング10に装着された状態において、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する位置を規制する。
第2位置決め機構27は、給紙カセット21のカセット後壁部21Cに配置された一対の第3係合部271と、ガイドユニット24に配置された一対の第4係合部272とを含む。一対の第3係合部271は、図3に示すように、給紙カセット21のカセット後壁部21Cにおいて、一対の第1係合部261のシート幅方向(X方向、左右方向)の外側に配置されている。一対の第3係合部271は、給紙カセット21のカセット後壁部21Cから装着方向DCに突設された一対の位置決めピンである。一方、一対の第4係合部272は、図4及び図5に示すように、ガイドユニット24における第1装着部244の対向壁部244Aにおいて、当該ガイドユニット24の第2装着部245に装着されたリタードローラーユニット25のシート幅方向(X方向、左右方向)の外側に配置されている。一対の第4係合部272は、一対の位置決めピンから成る一対の第3係合部271が嵌合可能に形成された、一対の位置決め凹部である。
一対の位置決めピンから成る一対の第3係合部271と、一対の位置決め凹部から成る一対の第4係合部272とによって構成される第2位置決め機構27では、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する装着方向DCに沿った装着に連動して、一対の第3係合部271が一対の第4係合部272に嵌合する。第2位置決め機構27は、一対の第3係合部271が一対の第4係合部272に嵌合して互いに係合することにより、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する位置を規制する。
一方、給紙カセット21の本体ハウジング10からの、装着方向DCとは逆方向に向かった引き出しに連動して、第2位置決め機構27は、一対の第3係合部271が一対の第4係合部272から離間することにより、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する位置規制を解除する。
第2位置決め機構27を備えた給紙装置20では、第2位置決め機構27を構成する一対の第3係合部271と一対の第4係合部272との係合によって、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する位置が規制されるので、給紙カセット21、リタードローラーユニット25及びガイドユニット24の3者の位置関係が、より精度よく維持される。
また、給紙カセット21のカセット後壁部21Cが装着方向DCに対して水平面上で傾いた状態で本体ハウジング10に装着されると、シートSの斜め搬送が生じやすい。これに対し、第2位置決め機構27を構成する一対の第4係合部272は、ガイドユニット24においてリタードローラーユニット25に対してシート幅方向(X方向、左右方向)の外側に配置されている。このため、給紙カセット21の本体ハウジング10に対する位置を規制するための、一対の第3係合部271と一対の第4係合部272との係合位置が、リタードローラーユニット25を挟むように形成される。これにより、給紙カセット21のカセット後壁部21Cが装着方向DCに対して傾いた状態で本体ハウジング10に装着されることが抑止され、シートSの斜め搬送が抑制される。
更に、本実施形態の画像形成装置1は、給紙カセット21からのシートSの給紙特性に優れた給紙装置20を備えているので、シートSの給紙不良に起因して画像形成部30による画像形成処理の効率低下が生じることを抑止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を採ることができる。
(1)上記の実施形態では、給紙装置20の第1位置決め機構26を構成する一対の第1係合部261及び一対の第2係合部262について、一対の第1係合部261が給紙カセット21のカセット後壁部21Cから装着方向DCに突設された一対の突起部であり、一対の第2係合部262がリタードローラーユニット25に配置された一対の挿通孔である構成を説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、一対の第1係合部261が給紙カセット21のカセット後壁部21Cに配置された一対の凹部であり、一対の第2係合部262が前記一対の凹部に挿入可能にリタードローラーユニット25に配置された一対の突起部である構成としてもよい。
(2)また、上記の実施形態では、給紙装置20の第2位置決め機構27を構成する一対の第3係合部271及び一対の第4係合部272について、一対の第3係合部271が給紙カセット21のカセット後壁部21Cから装着方向DCに突設された一対の位置決めピンであり、一対の第4係合部272がガイドユニット24に配置された一対の位置決め凹部である構成を説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、一対の第3係合部271が給紙カセット21のカセット後壁部21Cに配置された一対の位置決め凹部であり、一対の第4係合部272が前記一対の位置決め凹部と嵌合可能にガイドユニット24に配置された一対の位置決めピンである構成としてもよい。