JP6649561B2 - 多相低分解能検出器信号を用いた位相速度推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ホールセンサに代表される多相低分解能検出器を備えた、同期電動機(ブラシレズDC電動機、永久磁石形同期電動機、界磁巻線形同期電動機など)に代表される交流電動機の回転子の位相・速度を推定的に検出する位相速度推定装置に関する。
本発明では、回転子の角度、位置、位相を同義で使用する。これらの単位はradである。また、位相の余弦値、正弦値など位相と実質的に等価な量も、簡単に位相と呼称する。位相の推定値、近似値、フィルタ処理値などを位相相当値と総称する。また、回転子の位相相当値を、簡単に回転子位相相当値と略記する。
本発明では、2つの位相の相対値を位相偏差と呼称する。位相偏差の推定値、近似値、フィルタ処理値などを位相偏差相当値と総称する。
本発明では、回転子の角速度、速度、周波数を同義で使用する。これらの単位は、rad/sである。回転子の角速度を意識する場合には速度と呼称し、回転子速度を反映した交番信号の周波数を意識する場合には、周波数と呼称する。これらの推定値、近似値、指令値、フィルタ処理値などを速度相当値あるいは周波数相当値と呼称する。本発明では、速度相当値と周波数相当値は実質同義である。当業者は周知のように、交流電動機に装着された多相低分解能検出器からの信号(以下、多相低分解能検出器信号と略記)の基本波成分周波数は、交流電動機回転子の電気速度(電気角速度)と基本的に同一である。なお、回転子の速度相当値を、簡単に回転子速度相当値と略記する。
本発明では、位相同期ループ(Phase Locked Loop)を、簡単にPLLと呼称する。
本発明は、多相低分解能検出器を備えた多相の交流電動機の駆動制御に適用可能であるが、本発明の説明の明白化・具体化を図るべく、特に三相同期電動機を例に取り上げて説明する。また、本発明は、多相低分解能検出器信号としては、二相以上の多相を対象としうるが、説明の明白化を図るべく、基本的には、三相の場合を取り上げて説明する。本発明を三相信号以外の多相低分解能検出器信号に適用する場合の注意事項は、適時、補足する形で説明する。上記の具体化により、本発明の一般性を失うことはない。
三相同期電動機をして所定のトルクを正確に発生させるには、回転子の位相を正確に知る必要がある。また、速度制御を行なう場合には、回転子の速度情報も必要である。回転子の位相・速度検出は、回転子にエンコーダ、レゾルバーと言った位相速度検出器の装着により、容易に遂行することができる。しかし、これら位相速度検出器は、熱的・電気的・機械的な頑健性、配線の引き回し、検出器の装着用スペース、コストなどに関し、問題を有している。
これら諸問題を同時に克服しうる位置速度検出器が、ホールセンサに代表される多相低分解能検出器である。三相同期電動機には、一般に、三相巻線に対応した形で多相(三相)低分解能検出器が利用される。多相低分解能検出器による信号は、三相の純正弦信号を基準にするならば、三相の純正弦信号に高調波成分、高周波成分を含むものであり、大きくは、三相矩形信号と三相歪み正弦信号とに大別される。三相の内の一相を取り上げて信号波形を見るならば、前者の波形は矩形状(方形状)であり、後者の波形は歪んだ交番信号である。
歪んだ交番信号からの回転子位相の精度のよい割り出しは、必ずしも容易ではなく、元来、矩形状信号を出力する多相低分解能検出器が多用されてきた。図1は、三相矩形信号の1例である。矩形信号の1周期が回転子位相の2π[rad](電気角評価)に相当する。図より明白なように、多相低分解能検出器からのU相信号hu、V相信号hv、W相信号hwは各々2π/3[rad]の位相差を持つ。
特許文献1、特許文献2に示されているように、一般には、多相低分解能検出器からのU相信号hu、V相信号hv、W相信号hwのエッジ検出を通じて、3逓倍のパルス信号e6を生成し(図8参照)、3逓倍パルス信号e6を基本に回転子の位相あるいは速度を算定する。この場合、電気角2π[rad]が6パルスに該当するため、π/3[rad]の精度で回転子位相を検出できる。しかしながら、π/3[rad]の検出精度は、トルク制御、速度制御への本格的応用には全く精度不足であり、十分なトルク制御性能、速度制御性能を得ることはできない。
このため、これらの応用には、3逓倍パルス信号を更に逓倍し、電気角2π[rad]に対応するパルス数を増加している。しかしながら、速度向上とともに、パルス信号の精度良いかつ安定した逓倍化は困難を増す。また、エッジ検出を基本とする方法は、専用のハード的電子回路が必須である。同方法は、ハード的電子回路に起因して、温度変化、湿度変化等の対環境変化に対して脆弱である。また、多相低分解能検出器信号が三相矩形信号でなく三相歪み正弦信号の場合には、上述の三相矩形信号に特化した位相・速度の検出技術は、全く適用できないという問題もあった。
鈴木稔:「三相ブラシレスモータの磁極位置検出方法」、特開平5−76196号(1991−9−12) 宮内礼三・切東章浩:「回転角度検出装置」、特開平10−111304号(1996−10−3)
本発明は上記背景の下になされたものであり、その目的は、多相矩形信号、多相歪み正弦信号のいずれの多相低分解能検出器信号にも適用できる汎用性を有し、純粋にソフォトフェアのみで実装でき廉価かつ対環境変化に対してロバストな、さらには、低速から高速の広い速度領域で適用できる位相速度推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、交流電動機に実装された多相低分解能検出器からのN(N≧2)相信号を入力信号として受け取り、該N相信号を処理して、回転子の位相相当値(回転子位相相当値)、回転子の速度相当値(回転子速度相当値)の少なくとも1つを実時間生成し外部出力する位相速度推定装置であって、該N相信号を二相信号に変換するN相二相変換手段と、後述の位相速度生成手段が生成した回転子位相相当値をフィーバック利用して、変換された該二相信号を準直流信号に再変換し、係数信号に従い特性を変化させる可変特性フィルタを用いて、再変換した該準直流信号を処理してフィルタ処理信号を生成し、生成の該フィルタ処理信号を利用して、該二相信号の基本波成分の位相と回転子位相相当値との間の基本波位相偏差相当値を抽出する基本波位相偏差抽出手段と、抽出した該基本波位相偏差相当値に対して、PLL処理と位相補正処理とを施し、回転子位相相当値、回転子速度相当値の少なくとも1つを実時間生成する位相速度生成手段とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該基本波位相偏差抽出手段における該可変特性フィルタの特性可変のための該係数信号として、該位相速度生成手段が実時間生成した該回転子速度相当値をフィードバック使用することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該基本波位相偏差抽出手段における該可変特性フィルタの特性可変のための該係数信号として、該N相信号からフィードフォワード的に生成した信号を使用することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該位相速度生成手段において、該PLL処理の後に該位相補正処理を施すようにしたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該位相速度生成手段において、該位相補正処理の後に該PLL処理を施すようにしたことを特徴とする。
本発明の効果を説明する。まず請求項1の発明の効果を説明する。図3は、請求項1の発明に基づく代表的な実施形態例である。本図と本図の説明より(後掲)、以下の効果が明白である。
▲1▼ 請求項1の発明による位相速度推定装置は、多相低分解能検出器信号に関し、多相矩形信号、多相歪み正弦信号のいずれかに限定するような制約を一切必要としない。すなわち、請求項1の発明によれば、多相低分解能検出器信号に対して高い汎用性を有するという効果が得られる。
▲2▼ 請求項1の発明による位相速度推定装置は、N相二相変換手段、基本波位相偏差抽出手段、位相速度生成手段からなるが、いずれもデジタル式の演算素子で容易に実現される。換言するならば、ソフォトウェアのみで簡単に実装されるという効果が得られる(図3〜図7参照)。
▲3▼ この結果、請求項1の発明による位相速度推定装置は、実装が廉価となり、さらには対環境変化に対して高いロバスト性をもつことができると言う効果が得られる。
▲4▼ 請求項1の発明による位相速度推定装置は逓倍技術を必要としないので、請求項1の発明によれば、低速から高速の広い速度領域で適用できると言う効果が得られる。
つづいて、請求項2の発明の効果を説明する。請求項2の発明によれば、基本波位相偏差抽出手段で利用する係数信号を、位相速度生成手段が生成した回転子速度相当値をフィードバック使用することになる。この結果、フィードバックループが安定に動作する場合には、高い精度で基本波位相偏差相当値を抽出でき、さらには、高い精度で回転子位相相当値、回転子速度相当値を生成できるようになると言う効果が得られる。ひいては、請求項1の効果を高めることがことができるようにと言う効果が得られる。なお、フィードバックループの安定性の確保は、適切に設計されたローパスフィルタをフィードバックループ内に挿入することにより、可能である(後掲の図3および関連説明参照)。
つづいて、請求項3の発明の効果を説明する。請求項3の発明によれば、基本波位相偏差抽出手段で利用する係数信号を、位相速度生成手段を介することなく、N相信号からフィードフォワード的に生成することになる。この場合、図7より明白なように、係数信号(ω2n^’)の生成に関するフィドバックループが消滅する。ひいては、係数信号が安定的に生成されるいう効果が得られる。この結果、基本波位相偏差抽出手段、位相速度生成手段の安定的動作が高められるという効果が得られる。ひいては、請求項1の効果を安定的に得ることができるようにと言う効果が得られる。
つづいて、請求項4の発明の効果を説明する。請求項4の発明によれば、位相速度生成手段において、PLL処理の後に位相補正処理を施すことになる。すなわち、PLL処理と位相補正処理とを分離し個別に遂行できるようになる。この結果、位相速度生成手段を容易かつ簡単に設計・実現できるようになると効果が得られる。ひいては、請求項1の効果を高めることができるようにと言う効果が得られる。
つづいて、請求項5の発明の効果を説明する。請求項5の発明によれば、位相速度生成手段において、位相補正処理の後にPLL処理を施すことになる。すなわち、PLL処理と位相補正処理とを分離し個別に遂行できるようになる。この結果、位相速度生成手段を容易かつ簡単に設計・実現できるようになると効果が得られる。ひいては、請求項1の効果を高めることができるようにと言う効果が得られる。
「多相低分解能検出器信号の1例を示す図」 「三相永久磁石形同期電動機のベクトル制御システムに本発明による位相速度推定器を適用した例を示す図」 「本発明による位相速度推定器の代表的実施形態例を示す図」 「本発明による基本波位相偏差抽出器の代表的実施形態例を示す図」 「本発明による位相速度生成器の代表的実施形態例を示す図」 「本発明による位相速度生成器の代表的実施形態例を示す図」 「本発明による位相速度推定器の代表的実施形態例を示す図」 「三相矩形信号のエッジ検出による3逓倍パルス信号の生成原理を示す図」
以下、図面を用いて、本発明の好適な態様を具体的に説明する。
本発明の位相速度推定装置を三相の永久磁石形同期電動機(交流電動機)に適用した1実施形態例の基本構造を図2に示す。同図では、同期電動機は、回転子位相情報を必要とするベクトル制御で駆動されるものとしている。図2における機器は、具体的には以下の通りである。1は同期電動機(交流電動機)を、2は電流検出器を、3は電力変換器を、4a、4bは夫々3相2相変換器、2相3相変換器を、5a、5bは共にベクトル回転器を、6は電流制御器を、7はトルク指令指令値を電流指令値に変換する指令変換器を、8は速度制御器を、11は電気速度推定値を機械速度推定値に変換する速度係数変換器を、各々意味している。図2の例では、同期電動機を速度制御することを想定しているので、トルク指令値は速度制御器の出力信号として得ている。トルク制御を行なう場合には、トルク指令値を外部から直接与えることになる。上記各種機器の働きは当業者には公知であるので、その説明を省略する。本発明と直接関係する機器は、同期電動機1に実装された多相低分解能検出器9と、本発明による位相速度推定装置を実現した位相速度推定器10である。なお、同図では、簡明のため、複数のスカラ信号を1つのベクトル信号として捉え、複数のスカラ信号線を1本の太い信号線で表現している。多相低分解能検出器の出力信号の数(換言するならば、相数)は、本発明では、2以上を条件としているので、一本のベクトル信号線として表現している。以下の図面においても、同様の描画ルールを適用する。
図3は、図2における位相速度推定器10の内部構成の代表的1例を示したものである。本器10は、請求項1の発明に従った、N相二相変換手段を実現したN相2相変換器10−1、基本波位相偏差抽出手段を実現した基本波位相偏差抽出器10−2、位相速度生成手段を実現した位相速度生成器10−3に加え、生成した周波数相当値(速度相当値)をフィルタ処理し、基本波位相偏差抽出器にフィードバックされる係数信号を生成するためのローパスフィルタ10−4から構成されている。
N相2相変換器10−1は、N相信号を二相信号へ変換する役割を担う2行N列(以下、2×Nと略記)の行列SN2Tである。多相低分解能検出器信号をhNとし、N相2相変換器の出力信号である二相信号をvhとするならば(図3参照)、N相2相変換器10−1の働きは次式で記述される。
多相低分解能検出器信号が二相信号の場合は、N相2相変換器10−1は、2×2単位行列となる。多相低分解能検出器信号が三相以上の多相信号の場合は、N相2相変換器10−1は、次式で与えられる。
(2)式におけるAは、任意の定数である。
多相低分解能検出器信号が三相信号の場合は(すなわち、N=3の場合は)、多相低分解能検出器信号hNとN相2相変換器10−1は、各々次式となる。
N相2相変換器の出力信号である二相信号vhの基本波成分の位相と回転子位相相当値との間の基本波位相偏差相当値の抽出を担う基本波位相偏差抽出器10−2の実現は、種々存在する。図4は、請求項1の発明による1実施形態例である。図4の基本波位相偏差抽出器10−2は、大きくは、ベクトル回転器10−2a、係数信号(ω2^’)に従い特性を変化させる可変特性フィルタ10−2b、逆正接器10−2cから構成されている。
ベクトル回転器10−2aは、次式のように定義されている2x2行列である。
ベクトル回転器Rの要素を構成する余弦・正弦値としては、位相速度生成器10−3が生成した回転子位相相当値(より具体的には、余弦・正弦形式の位相相当値)をフィードバック利用している(図3参照)。
ベクトル回転器10−2aの働きは、N相2相変換器10−1からの二相信号vhを、準直流信号vhに再変換することである。この再変換は、次式のように記述される。
(5)式における頭符Tは、転置を意味する。
係数信号(ω2n^’)に従い特性を変化させる可変特性フィルタ10−2bは、再変換された準直流信号vhを処理し、フィルタ処理信号vfを生成する。可変特性フィルタの働きは、準直流信号vhに含まれる高調波成分、高周波成分、ノイズ成分などの除去である。本働きのための可変特性フィルタとしては、通過帯域を可変とする可変ローパスフィルタ、除去帯域を可変とする可変バンドストップフィルタ、除去帯域を可変とする可変ノッチフィルタ、これら組合せによるフィルタなどが考えられる。可変特性フィルタの入出力信号の関係は、次式のように記述される。
可変特性フィルタの入出力信号は、ともに2x1ベクトル信号であるので、可変特性フィルタは2入力2出力フィルタとなる。2入力2出力フィルタは、簡単には、1入力1出力フィルタを2個並列に配置することにより、実現される。
準直流信号vhから不要成分が除去されたフィルタ処理信号vfは、基本的には、二相信号vhの基本波成分のみとなる。したがって、フィルタ処理信号を逆正接器10−2cで処理すれば、二相信号の基本波成分の位相と回転子位相相当値(θα^’)との間の基本波
(7)式の右辺は、2x1ベクトル信号vfの2要素を用いて、このベクトル信号の位相を(−π〜+π)の範囲で算定することを意味する。
図3の実施形態例では、請求項2の発明に従い、基本波位相偏差抽出器10−2における可変特性フィルタ10−2bの特性可変のための係数信号(ω2^’)として、位相速度生成器が実時間生成した周波数相当値(ωα^)(実質的に回転子速度推定値ω2n^、図3参照)をローパスフィルタ10−4で処理した上で、フィードバック使用している。
度生成器10−3へ送られる。図5は、請求項1と請求項4の発明に基づく位相速度生成器10−3の1実施形態例である。位相速度生成器10−3は、大きくは、位相制御器10−3a、位相積分器10−3b、余弦正弦発生器10−3c、ベクトル回転形位相補正器10−3d、加算形位相補正器10−3eから構成される。位相制御器10−3a、位相積分器10−3b、余弦正弦発生器10−3cがPLL処理を遂行しており、ベクトル回転形位相補正器10−3d、加算形位相補正器10−3eが位相補正処理を遂行している。
図5の実施形態例における位相速度生成器10−3の出力信号は、回転子位相相当値、回転子速度相当値の両者としている。回転子位相相当値としては、角度自体と、この余弦正弦値の2種を出力している。余弦正弦値に関しては、回転形位相補正器10−3dによる処理前信号と処理後信号の2種を出力している。同図における信号(ωα^)は、回転子速度相当値(ω2n^)でもある周波数相当値である(図3参照)。以下、位相速度生成器10−3を構成する各機器を詳しく説明する。
PLL処理を担っている位相制御器10−3a、位相積分器10−3b、余弦正弦発生器10−3cを説明する。位相制御器10−3aは、微分演算子sのm次有理多項式で記述される。すなわち、次の(8)式で記述される。
位相制御器10−3a、位相積分器10−3bは、次式で記述されるPLL処理を遂行し、周波数相当値・回転子速度相当値(ωα^)と回転子位相相当値(θα^’)を出力している。
(9b)式右辺の(1/s)が、位相積分器10−3bに該当している。余弦正弦発生器10−3cは、回転子位相相当値(θα^’)に対してこの余弦正弦値をとり、2x1ベクトルに変換している。
図5の実施形態例は、請求項4の発明に従って、PLL処理後の信号に対して、位相補正処理を実施している。補正位相の原理は、次式の加算処理である。
一般に、多相低分解能検出器の取り付け位置(電気角評価)は、基準たる固定子巻線位置(電気角評価)と必ずしも同一ではなく、位相差(位置角度差)θ0を有する。同期電動機のベクトル制御では、U相巻線の位置から評価した回転子の位相が必要である。このため、位相差に合致した位相補正処理が必要である。(10)式の関係は、数学的には次式と等価である。
図5のベクトル回転形位相補正器10−3dは、(11)式に基づく位相補正処理を遂行し、加算形位相補正器10−3eは、(10)式に基づく位相補正処理を遂行するものである。
図6は、請求項1と請求項5の発明の基づく位相速度生成器10−3の実施形態例を示したものである。本実施形態例では、位相速度生成器10−3は、大きくは、加算形位相補正器10−3e、位相制御器10−3a、位相積分器10−3b、余弦正弦発生器10−3cから構成される。先ず、加算形位相補正器10−3eが位相補正処理を遂行し、次に位相制御器10−3a、位相積分器10−3b、余弦正弦発生器10−3cがPLL処理を遂行している。すなわわち、先ず位相補正処理を遂行し、位相補正処理された信号に対して、PLL処理が施されている。この手順に基づく一連の処理は、数式を用いて、以下のように記述される。
本実施形態例では、(12c)が示しているように、2種の回転子位相相当値(θα^とθα^’)は同一となる。余弦正弦発生器10−3の働きは、図5の実施形態例の場合と同一である。なお、回転子速度相当値のみを出力する場合には、位相差θ0はゼロで置換してよい。位相差θ0がゼロの場合には、ベクトル回転形位相補正器は単位行列となる((4)式参照)。これは、図5、図6の両実施形態例に適用される。
図3の実施形態例では、請求項2の発明に従い、基本波位相偏差抽出器10−2に使用する係数信号(ω2n^‘)として、位相速度生成器が生成した回転子速度相当値をフィードバック使用した。これに代わって、請求項3の発明に従い、基本波位相偏差抽出器10−2に使用する係数信号(ω2n^‘)として、多相低分解能検出器信号からフィードフォワード的に生成したものを利用するこもできる。図7は、この実施形態例である。基本波位相偏差抽出器10−2に使用する係数信号(ω2n^‘)は、多相低分解能検出器信号hNを簡易速度推定器10−5に用いてフィードフォワード的に生成され、基本波位相偏差抽出器へ入力されている。なお、図7の実施形態例は、周波数相当値(ωα^)をローパスフィルタで処理した信号を回転子速度相当値(ω2n^)として出力する例も示している。
基本波位相偏差抽出器10−2に使用する係数信号(ω2n^‘)は、他の回転子速度相当値を利用してもよい。例えば、図2のような速度制御を遂行すベクトル制御システムにおいては、次式のように、機械速度指令値(ω2m*)をフィードフォワード的に利用してもよい。
なお、上式におけるNpは極対数であり、機械速度指令値を電気速度指令値へ変換するためのものである。
基本波位相偏差抽出器10−2に使用する係数信号(ω2n^‘)としては、電気速度指令値と回転子速度推定値との合成信号のように、異なる信号の合成による信号としてもよい。
図2を用いた実施形態例では、交流電動機として、回転子に永久磁石を有する永久磁石形同期電動機を用いた例を示した。本発明は、これに限定されるものでなく、他の交流電動機にも適用される。他の交流電動機へ本発明を適用した場合の本発明自体の実施形態例は、図2のシステムに適用した場合と実質的な相違はない。このため、これ以上の説明は省略する。
本発明は、ホールサンサに代表される多相低分解能検出器を備えた、同期電動機(ブラシレズDC電動機、永久磁石形同期電動機、界磁巻線形同期電動機など)に代表される交流電動機のベクトル制御システムへの適用に好適である。
1 交流電動機
2 電流検出器
3 電力変換器
4a 3相2相変換器
4b 2相3相変換器
5a ベクトル回転器
5b ベクトル回転器
6 電流制御器
7 指令変換器
8 速度制御器
9 多相低分解能検出器
10 位相速度推定器
10−1 N相2相変換器
10−2 基本波位相偏差抽出器
10−2a ベクトル回転器
10−2b 可変特性フィルタ
10−2c 逆正接器
10−3 位相速度生成器
10−3a 位相制御器
10−3b 位相積分器
10−3c 余弦正弦発生器
10−3d ベクトル回転形位相補正器
10−3e 加算形位相補正器
10−4 ローパスフィルタ
10−5 簡易速度推定器
11 速度変換係数器

Claims (5)

  1. 交流電動機に実装された多相低分解能検出器からのN(N≧2)相信号を入力信号として受け取り、該N相信号を処理して、回転子の位相相当値(回転子位相相当値)、回転子の速度相当値(回転子速度相当値)の少なくとも1つを実時間生成し外部出力する位相速度推定装置であって、
    該N相信号を二相信号に変換するN相二相変換手段と、
    後述の位相速度生成手段が生成した回転子位相相当値をフィーバック利用して、変換された該二相信号を準直流信号に再変換し、係数信号に従い特性を変化させる可変特性フィルタを用いて、再変換した該準直流信号を処理してフィルタ処理信号を生成し、生成の該フィルタ処理信号を利用して、該二相信号の基本波成分の位相と回転子位相相当値との間の基本波位相偏差相当値を抽出する基本波位相偏差抽出手段と、
    抽出した該基本波位相偏差相当値に対して、PLL処理と位相補正処理とを施し、回転子位相相当値、回転子速度相当値の少なくとも1つを実時間生成する位相速度生成手段とを備えることを特徴とする位相速度推定装置。
  2. 該基本波位相偏差抽出手段における該可変特性フィルタの特性可変のための該係数信号として、該位相速度生成手段が実時間生成した該回転子速度相当値をフィードバック使用することを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
  3. 該基本波位相偏差抽出手段における該可変特性フィルタの特性可変のための該係数信号として、該N相信号からフィードフォワード的に生成した信号を使用することを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
  4. 該位相速度生成手段において、該PLL処理の後に該位相補正処理を施すようにしたことを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
  5. 該位相速度生成手段において、該位相補正処理の後に該PLL処理を施すようにしたことを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
JP2016046272A 2016-02-22 2016-02-22 多相低分解能検出器信号を用いた位相速度推定装置 Active JP6649561B2 (ja)

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