JP6648971B2 - 構造物の点検装置 - Google Patents
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Description
従来、このような点検作業は、総足場組み立てや高所作業車を使用するなどして、人手によって行うのが一般的である。
例えば、下記特許文献1では、天井下地材上を作業員が歩いて点検・修理を行う場合にも、十分な強度を維持できるとともに、耐震性能に優れた天井下地構造を提供する技術が開示されている。
また、人手による点検作業では点検作業者によって点検結果がバラつく可能性もある。
さらに、大規模な構造物では、点検のために作業者が構造物内を巡回する時間、点検結果を集計する時間など、点検作業に多大な時間が必要となるという課題がある。
また、本発明は、前記回転翼機は、予め定められた飛行経路および飛行速度で飛行し、前記カメラは、前記回転翼機が飛行を開始した時刻からの経過時間を前記画像とともに記録し、前記判定手段は、前記飛行経路、前記飛行速度、および前記画像とともに記録された前記経過時刻とを用いて前記不良を示す事象が発生している位置を特定する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記回転翼機は、前記構造物の周辺を所定期間ごとに同じ飛行経路で飛行し、前記カメラは、撮影ごとに同じ角度から前記構造物を撮影し、前記判定手段は、前記画像に前記不良を示す事象が映っている場合には、前記画像より前に撮影された過去画像と比較して、当該不良を示す事象が生じた日時を推定する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記カメラは全方位カメラあるいは全天球カメラである、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記回転翼機に設けられ、前記構造物表面に当接することで前記構造物表面と前記回転翼機との距離を一定に保持しつつ、前記構造物表面に沿って前記回転翼機に移動を案内する案内手段を備える、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記回転翼機に設けられ、前記構造物表面に対して吸着することで前記構造物表面と前記回転翼機との距離を一定に保持し、前記構造物表面に対する吸着を解除することで前記回転翼機の移動を許容する吸着手段を備える、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記回転翼機に設けられ前記構造物表面を叩打する叩打手段と、前記回転翼機に設けられ前記構造物表面から発生する打音を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された打音に基づいて前記構造物表面の不良の有無を判定する打音判定手段と、前記構造物表面の不良があると判定された場合に、当該不良を示す事象が発生している前記構造物上の位置を検出する位置検出手段とを備え、前記報知手段は、前記構造物表面の不良がある場合、当該不良を前記構造物上の位置とともに報知する、ことを特徴とする。
また、本発明によれば、構造物に不良がある場合に報知する報知手段を備え、構造物に不良がある場合、当該不良を構造物上の位置とともに報知するので、不良が生じている箇所を容易に特定することができ、不良への対応を迅速に行うことができる。
また、本発明によれば、画像が撮影された位置を示す位置情報を画像とともに記録して、不良を示す事象が発生している位置の特定に用いるので、点検作業ごとに回転翼機の飛行経路が異なる場合でも不良箇所の位置を特定することができる。
また、本発明によれば、予め定められた回転翼機の飛行経路、飛行速度、および回転翼機からの経過時刻を用いて不良を示す事象が発生している位置を特定するので、位置特定手段を用いずに不良箇所の位置を特定することができ、点検装置のコストを低減することができる。
また、本発明によれば、不良を示す事象が生じた日時を推定するので、不良が生じた原因を推定しやすくなり、より的確な方法で不良に対応できる可能性を高くすることができる。
また、本発明によれば、画像の撮影に全方位カメラあるいは全天球カメラを用いるので、通常のカメラでは構造物がレンズの画角内に入るようにレンズの向きを調整しなくてはならないような場所でも、レンズの調整が不要となる。また、通常のカメラと比較して画角が広いので、少ない飛行時間で構造物全体の撮影が可能となり、点検作業を短時間で完了させることができる。
また、本発明によれば、三次元モデルの画像上に不良箇所を表示させることができ、構造物における不良箇所の位置をより効率的に把握する上で有利となる。
また、本発明によれば、構造物の展開図の画像上に不良箇所を表示させることができ、構造物における不良箇所の位置をより効率的に把握する上で有利となる。
また、本発明によれば、三次元モデルの画像上に不良箇所の評価内容を不良箇所と共に報知するので、不良箇所の不良内容を的確に把握する上で有利となる。
また、本発明によれば、構造物表面と回転翼機との距離を一定に保持しつつ、構造物表面に沿って回転翼機を移動できるので、構造物の表面の詳細をカメラで撮影する上で有利となる。
また、本発明によれば、吸着手段により構造物表面と回転翼機との距離を一定に保持できるため、構造物の表面の詳細をカメラで撮影する上で有利となる。
また、本発明によれば、画像に反映されにくい構造物の表面の状態である外装材の浮きや剥がれの有無などを正確に評価する上で有利となる。
図1は、点検対象となる構造物の一例であるダム50の構造を示す説明図であり、図1Aはダム50の上面図、図1Bはダム50の正面図(図1AのX矢視図)である。
ダム50は、主に貯水池Wに貯められた水をせき止めるダム堤体502によって構成されている。ダム堤体502の頂部には、所定の幅を有する天端504が設けられている。また、ダム堤体502の貯水池Wの反対側の側面には、排水用のゲート508を備える排水路506が形成されている。
ダム堤体502の両側は陸地Lとなっており、ダム50の建設作業中は、作業機器等が設置される。
ダム堤体502の高さ(堤高)は一般的に100m以上の場合が多く、人手によってダム50全体の点検を行うには多くの時間および労力がかかる。
よって、本実施の形態では、図2に示すような点検装置10を用いてダム50の点検を行う。
本実施の形態では点検装置10は、回転翼機20と管理端末30とによって構成される。
回転翼機20は無線操縦式の小型ヘリコプターであり、管理端末30または図示しないリモートコントローラによって飛行方向や飛行速度が制御される。
回転翼機20には、カメラ202、GPSユニット204、処理部206、通信部208が設けられている。
カメラ202は、構造物表面の画像を連続的に撮影する。
カメラ202で撮影する画像は、構造物表面を漏れなく撮影するために動画とすることが好ましいが、撮影間隔を適当に設定した静止画であってもよい。
また、カメラ202は、周囲180°を撮影範囲とする全方位カメラであってもよい。また、カメラ202は、全方位、すなわち、上下左右全方位の360°を撮影範囲とする全天球カメラであってもよい。
全方位カメラあるいは全天球カメラを用いることによって、通常のカメラではレンズの向きを調整しなくてはならないような場所でも、レンズの調整が不要となる。
また、通常のカメラと比較して画角が広いのでより構造物上のより広い領域を撮影範囲とすることができ、短時間で点検作業を終了することができる。
図3Aは回転翼機20の上面斜視図、図3Bは回転翼機20の底面図(図3AのY矢視図)である。
図Aの例では、回転翼機20には筐体212に4つのプロペラ214が設置されている。このため、風などの影響を受けやすい屋外等でも安定して飛行が可能である。
回転翼機20の操縦は、例えばリモートコントローラ(図示なし)などを用いて点検作業者が行ってもよいし、管理端末30やリモートコントローラからの自動制御によって行ってもよい。特に、後述するように、点検ごとに同じ飛行経路で飛行する場合には、自動制御によって操縦することが好ましい。
また、図3Bに示すように、回転翼機20の底面側(飛行中に地面に対向する面)には、カメラ202が設けられている。
本実施の形態では、カメラ202として、周囲180°を撮影範囲とする半球状の全方位カメラを用いることとする。
GPSユニット204で特定した回転翼機20の現在位置は、回転翼機20の飛行経路の制御等に用いられる。
処理部206は、カメラ202で撮影された画像と、GPSユニット204で特定した回転翼機20の現在位置とを関連づけて記録する。すなわち、処理部206は、GPSユニット204によって特定された現在位置を、カメラ202で撮影された画像とともに当該画像が撮影された位置を示す位置情報として記録する。
なお、位置情報とともに、画像撮影時のカメラ202の撮影方向を記録してもよい。
通信部208は、カメラ202で撮影された画像を管理端末30に送信する。
通信部208による画像の送信は、カメラ202での撮影中に逐次行ってもよいし、一連の撮影が終了してから一括して行ってもよい。
管理端末30は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートホン等であり、構造物周辺に位置する点検作業者が保持している。
管理端末30は、通信部302、処理部304(判定手段)、表示部306(報知手段)、設計データ記憶部308によって構成される。
通信部302は、回転翼機20の通信部208との間で無線通信を行う。
なお、通信部302を介して回転翼機20の飛行経路や飛行速度を制御する制御信号を送信してもよい。
処理部304は、カメラ202で撮影された画像を画像解析して、構造物に不良があるか否かを判定する判定手段として機能する。
処理部304は、画像に構造物の不良を示す事象が映っている場合に構造物に不良があると判定する。構造物の不良を示す事象とは、例えば構造物表面のひびや水漏れ、周囲の土砂の崩落等である。
処理部304による不良の有無の判定は、従来公知の様々な画像解析技術を用いて行うことができる。処理部304は、例えばこれらの不良を示す事象が生じた際に画像上に現れるパターンを記憶し、カメラ202の撮影画像上に、不良を示すパターンとの一致度が所定値以上の領域がある場合に構造物に不良があると判定する。
処理部304は、例えば画像に関連付けて記録された位置情報に基づいて不良を示す事象が発生している位置を特定する。より詳細には、処理部304は、画像に関連付けて記録された位置情報に基づいて当該画像に映っている構造物の位置を推定し、不良を示す事象が発生している位置を特定する。
処理部304は、まず画像に関連付けられた位置情報と設計データ内の位置情報とに基づいて、ダム50と回転翼機20との相対位置を特定する。カメラ202の画角および撮影方向は既知であるため、ダム50と回転翼機20との相対位置を特定できれば、画像がダム50のいずれの範囲を撮影したものかを特定することができる。
よって、不良を示す事象が映っている画像が、ダム50のいずれの範囲を撮影したものかを特定することにより、不良が発生している構造物(ダム50)上の位置を特定する。
より詳細には、回転翼機20を予め定められた飛行経路および飛行速度で飛行するように設定しておき、カメラ202は回転翼機20が飛行を開始した時刻からの経過時間を画像とともに記録する。
この場合、回転翼機20が飛行を開始した時刻からの経過時間に基づいて、回転翼機20が飛行経路上のどの位置にいるかを推定することができ、回転翼機20の位置から画像に映った構造物の位置を特定することができる。
すなわち、処理部304は、飛行経路飛行速度、および画像とともに記録された経過時刻とを用いて不良を示す事象が発生している位置を特定する。
より詳細には、回転翼機20に構造物の周辺を所定期間ごとに同じ飛行経路で飛行させ、カメラ202で撮影ごとに同じ角度から構造物を撮影する。
処理部304は、画像に不良を示す事象が映っている場合には、当該不良を示す事象が映っている画像より前に撮影された過去画像と比較して、当該不良を示す事象が生じた日時を推定する。
例えば、1日ごとに回転翼機20で構造物周辺を飛行させて点検を行う場合、ある日に撮影された画像の地点Aに不良を示す事象が映っていたとする。この場合、その前日に撮影された画像の地点Aと比較する。前日に撮影された画像に不良を示す事象が映っていない場合には、前日に画像が撮影された後、翌日の画像撮影前までに不良が生じたと推定することができる。
このように、不良の発生日時を推定することにより、不良の発生原因が特定しやすくなり、不良に対してより的確な対応を行うことができる。
表示部306は、例えば構造物に不良がある場合、当該不良を構造物上の位置とともに報知する。
図4は、表示部306に表示される不良報知画面の一例を示す説明図である。
図4には、表示部306にダム50の不良箇所周辺の画像N1が表示されている。画像N1上の不良に対応する箇所にはポインタP1が点滅し、不良箇所を容易に特定できるようになっている。なお、不良箇所を特定の色やハイライトで表示するなど、不良箇所の表示形態は任意である。
また、表示部306の上部には、不良箇所(「A−6付近」)および不良内容(「ひび割れ」)に関するメッセージMが表示されている。
また、表示部306の下部には、ダム50全体の画像N2が表示されている。画像N2にも不良に対応する箇所にポインタP2が表示され、ダム50全体に対する不良箇所の位置を特定できるようになっている。
なお、画像N1,N2は、カメラ202で撮影した画像でもよいし、ダム50の設計データに基づいて描画した描画画像であってもよい。
また、報知手段としては、表示部306の他、音声で不良を報知する音声出力部を設けてもよい。
点検作業者等からの指示または自動制御によって点検開始が指示されると、点検装置10は、回転翼機20の飛行を開始させる(ステップS500)。
回転翼機20ではカメラ202で構造物表面を撮影し(ステップS502)、撮影した画像を通信部208を介して管理端末30へと送信する(ステップS504)。この時、処理部206では画像撮影時の位置情報または撮影時刻を画像に付加する。
画像解析の結果、不良が見つからなかった場合は(ステップS510:No)、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
なお、構造物全体において不良が見つからなかった場合には、点検の終了(不良なし)を示す表示等を行ってもよい。
一方、不良が見つかった場合は(ステップS510:Yes)、表示部306に不良が生じている旨および不良箇所を表示して(ステップS512)、本フローチャートによる処理を終了する。
この場合、点検作業者は回転翼機20が構造物全体の撮影を終えて戻った後に、不良の有無を知ることになる。
本発明の他の適用例としては、例えばビル等のコンクリート構造物の劣化診断、壁面タイルの剥離診断、橋梁下部(橋の裏側)の点検、災害時における被災状況の確認等が挙げられる。
これにより、人が近づけない場所の点検が可能となり、構造物の安全性を向上させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、高所等における事故を防止して作業の安全性を向上させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、短時間で点検作業を完了させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、点検結果のバラつきを少なくし、点検作業の作業品質を向上させることができる。
また、点検装置10は、構造物に不良がある場合に報知する報知手段(表示部306)を備え、構造物に不良がある場合、当該不良を構造物上の位置とともに報知するので、不良が生じている箇所を容易に特定することができ、不良への対応を迅速に行うことができる。
また、点検装置10は、画像が撮影された位置を示す位置情報を画像とともに記録して、不良を示す事象が発生している位置の特定に用いるので、点検作業ごとに回転翼機20の飛行経路が異なる場合でも不良箇所の位置を特定することができる。
また、点検装置10において、予め定められた回転翼機20の飛行経路、飛行速度、および回転翼機からの経過時刻を用いて不良を示す事象が発生している位置を特定するようにすれば、位置特定手段であるGPSユニット204を用いずに不良箇所の位置を特定することができ、点検装置10のコストを低減することができる。
また、点検装置10は、不良を示す事象が生じた日時を推定するので、不良が生じた原因を推定しやすくなり、より的確な方法で不良に対応できる可能性を高くすることができる。
また、点検装置10は、画像の撮影に全方位カメラを用いるので、通常のカメラでは構造物がレンズの画角内に入るようにレンズの向きを調整しなくてはならないような場所でも、レンズの調整が不要となる。また、通常のカメラと比較して画角が広いので、少ない飛行時間で構造物全体の撮影が可能となり、点検作業を短時間で完了させることができる。
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、構造物に不良がある場合、カメラ202で撮像した画像上に当該不良を表示することで、当該不良を構造物上の位置とともに報知するようにした場合について説明した。
そのため、構造物は二次元の画像で表示されるに留まることから、不良も二次元の画像上で表示されるため、立体的な構造物における不良の位置を効率的に把握する点で改善の余地がある。
そこで、第2の実施の形態は、構造物の立体的な形状を三次元モデルの画像として表示するとともに、三次元モデルの画像上に不良の位置を表示させるようにし、構造物における不良の位置をより効率的に把握できるようにしたものである。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態に加えて、回転翼機20に3Dスキャナ210が搭載されている。
3Dスキャナ210は、構造物の三次元形状を測定するものであり、三次元形状取得手段として機能する。
3Dスキャナ210は、レーザーパルス(レーザー光)を照射する光源と、レーザーパルスを受光するセンサなどを備え、光源と計測対象物との間をレーザーパルスが往復する時間を計測することで距離を計測すると共にレーザーパルスを発射した方向を計測することで計測対象物の3次元座標を生成するものである。
なお、三次元形状取得手段として、赤外線深度センサを用いても良い。赤外線深度センサは、赤外線レーザ光を用いてランダムなドットからなる単一の矩形状の投影パターンを計測対象物に照射する光源と、計測対象物で反射された赤外線光を検出するカメラなどを備え、カメラで撮像された計測対象物上のドットの画像から三角測量により画像上の各点の深度、言い換えると計測対象物の3次元座標を生成するものである。
また、三次元形状取得手段は、構造物の三次元形状を測定できれるものであればよく、従来公知の様々な3Dセンサを用いることができる。
なお、位置情報とともに、画像撮影時のカメラ202の撮影方向を記録してもよい。
通信部208による画像および3Dスキャナ210で取得された構造物の三次元形状の送信は、カメラ202の撮影中および3Dスキャナ210による計測中に逐次行ってもよいし、一連の撮影および一連の3Dスキャナ210による計測が終了してから一括して行ってもよい。
管理端末30は、通信部302、処理部304(判定手段)、表示部306(報知手段)、設計データ記憶部308によって構成される。
処理部304は、第1の実施の形態と同様に、カメラ202で撮影された画像を画像解析して、構造物に不良があるか否かを判定する判定手段として機能すると共に、不良を示す事象が発生している構造物上の位置を特定する。このような不良の有無の判定および不良箇所の位置特定の手順については第1の実施の形態と同様である。
さらに、処理部304は、3Dスキャナ210で取得された構造物の三次元形状から前記構造物の三次元モデルを生成すると共に、前記三次元モデルと前記不良箇所位置とを関連付けた三次元不良箇所情報を生成する三次元データ生成手段として機能する。
第2の実施の形態では、表示部306は、三次元不良箇所情報に基づいて構造物の三次元モデルと共に不良箇所を報知する報知手段としても機能する。
図7は、表示部306に表示される構造物の三次元モデルと共に不良箇所位置を報知した報知画面の一例を示す説明図である。
第2の実施の形態では、構造物がビル60である場合について説明する。なお、図中601はビル60に設けられた窓を示す。
表示部306に、不良箇所周辺のビル60の画像が三次元モデルで表示されると共に、画像N10上の不良に対応する箇所にはポインタP10が点滅し、不良箇所を容易に特定できるようになっている。
また、表示部306の上部には、不良箇所(「西側壁面」)および不良内容(「ひび割れ」)に関するメッセージMが表示されている。
また、表示部306の下部には、ビル60全体の三次元モデルの画像N12が表示されている。画像N12にも不良に対応する箇所にポインタP12が表示され、ビル60全体に対する不良箇所の位置を特定できるようになっている。
図7において、三次元モデルは、ビル60の斜め上方に位置した視点からビル60を俯瞰した状態で表示されているが、不良箇所の位置が特定しやすくなるように、三次元モデルの画像を見る視点の位置、ビル60を見る角度、倍率などを任意に設定すればよい。
点検作業者等からの指示または自動制御によって点検開始が指示されると、点検装置10は、回転翼機20の飛行を開始させる(ステップS600)。
回転翼機20ではカメラ202で構造物表面を撮影する(ステップS602)。
また、回転翼機20では、3Dスキャナ210で構造物表面を計測して三次元形状を取得する(ステップS604)。
次いで、撮影した画像および計測した三次元形状を通信部208を介して管理端末30へと送信する(ステップS606)。この時、処理部206では画像撮影時の位置情報または撮影時刻を画像に付加する。
そして、処理部304によって画像に基づいて画像解析を行う(ステップS610)。
画像解析の結果、不良が見つからなかった場合は(ステップS612:No)、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
なお、構造物全体において不良が見つからなかった場合には、点検の終了(不良なし)を示す表示等を行ってもよい。
一方、不良が見つかった場合は不良箇所位置を特定し(ステップS612:Yes)、処理部304により構造物の三次元モデルを作成し(ステップS614)、三次元モデルと不良箇所位置とを関連付けた三次元不良箇所情報を生成する(ステップS616)。
そして、表示部306に、表示が生じている旨を表示すると共に、構造物の三次元モデルと共に不良箇所を表示して(ステップS618)、本フローチャートによる処理を終了する。
なお、第2の実施の形態において、構造物の三次元モデルと共に不良箇所を表示部306により表示する状態と、第1の実施の形態と同様に不良が生じている旨および不良箇所を構造物の二次元の画像と共に表示部306により表示する状態とを、管理端末30の操作により切り替えるようにしてもよい。
このようにすると、構造物の三次元モデルの画像と、構造物の二次元の画像との双方を視認でき、不良箇所の位置を効率的に把握する上でより一層有利となる。
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は第2の実施の形態の変形例である。
図6を流用して説明すると、第3の実施の形態では、処理部304が、構造物の三次元モデルを平面に展開することで構造物の展開図を生成する展開図生成手段として機能する。
また、表示部306は、三次元不良箇所情報に基づいて構造物の展開図と共に不良箇所を報知する。
すなわち、構造物が平面視矩形のビル60であった場合、図9に示すように、表示部306には、ビル60の4つの側面602,604,606,608と、上面(屋上面)610との5つの面が展開図として表示され、また、画像N20上の不良に対応する箇所にはポインタP30が点滅し、不良箇所を容易に特定できるようになっている。
次に第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、構造物の不良箇所の有無に加えて、不良箇所の評価内容を取得し、その評価内容を不良箇所と共に報知するようにしたものである。
図10に示すように、第4の実施の形態では、処理部304が構造物の不良箇所の評価内容を示す不良計測情報を生成する不良計測情報生成手段として機能する。
具体的に説明すると、処理部304は、カメラ202で撮影された画像を画像解析して、構造物の不良箇所の評価を行なう。
すなわち、処理部304は、不良内容がひび割れであれば、画像解析によりひび割れの大きさ(長さ)を検出し、ひび割れの大きさを構造物の不良箇所の評価内容を示す不良計測情報として生成する。
すなわち、表示部306の上部には、不良箇所(「西側壁面」)および不良内容(「ひび割れ」)に関するメッセージM1と、不良計測情報(「ひび割れ50mm)」に関するメッセージM2が表示されている。
不良計測情報の表示形態としては、上記のように具体的なひび割れの寸法を表示する他に以下のような表示形態が考えられる。
1)ひび割れの寸法の大小に応じた複数の段階に分けて、例えば、「ひび割れ大」、「ひび割れ中」、「ひび割れ小」といったように文字で表示する。
2)ひび割れの大小に応じて色を変えたマークで表示する。例えば、ひび割れの寸法が大きいほど暖色系となり、ひび割れが小さいほど寒色系となるように色を変化させたマークで表示する。
このような不良計測情報の表示形態は、不良内容に応じて適宜決定される。
なお、第4の実施の形態に第3の実施の形態を適用して、構造物の展開図と三次元不良箇所情報と不良計測情報とを対応付けて報知するようにしてもよい。
次に第5の実施の形態について説明する。
第1〜第4の実施の形態では、回転翼機20が構造物の近傍を飛行しつつカメラ202で構造物の表面を撮影する場合について説明した。
この場合、回転翼機20が構造物に衝突しないように回転翼機20と構造物とを一定距離以上離間させる必要があるため、カメラ202を構造物の表面に接近させてより詳細な画像を得る上で不利がある。また、構造物の表面を撮影して得られる画像に基づいて構造物の表面の状態を検出するため、画像に反映されにくい構造物の表面の状態、例えば、タイルなどの外装材の浮きや剥がれの有無などを評価することは困難である。
そこで、第5の実施の形態では、回転翼機20と構造物表面との距離を一定に保持しつつ構造物の表面をカメラ202で撮影すると共に、構造物表面を叩打することで発生する打音に基づいて構造物表面の状態をも判定するようにしたものである。
また、第5の実施の形態においても、カメラ202で撮影された画像を画像解析して、構造物に不良があるか否かを判定し、構造物に不良がある場合に報知する一連の処理は、第1の実施の形態と同様になされる。
本実施の形態では、案内手段70は、回転翼機20のボディに設けられた3個以上のキャスター(車輪)72で構成されている。
各キャスター72は、360度旋回可能な全方向キャスターで構成され、同一平面上に互いに間隔をおいて配置されており、各キャスター72が構造物表面62に当接した状態で回転翼機20と構造物表面62との距離が予め定められた寸法となるように構成されている。なお、構造物表面62は、構造物(ビル60)の側面や上面(屋根)を含む。
上記予め定められた寸法は、カメラ202が構造物表面62を撮影するために必要な焦点距離を確保するに足る寸法であればよい。
したがって、回転翼機20が構造物表面62に接近し、やがて各キャスター72が構造物表面62に当接すると、回転翼機20と構造物表面62との距離が予め定められた寸法となり、この状態を保ったまま回転翼機20が構造物表面62に沿って移動可能となる。
打音検出部222は、打撃部220により叩打された構造物から発生する打音を検出して打音検出信号を生成するものであり、例えば、マイクロフォンで構成されている。
具体的には、処理部206は、例えば、打音検出信号の周波数、振幅、波長などに基づいて構造物表面62に貼り付けられているタイルなどの外装材の剥離の有無や構造物表面62における構造物部分の剥がれの有無や空洞の有無を検出しその検出結果に基づいて構造物表面62の不良の有無を判定する。このような打音に基づく構造物表面62の状態の検出方法として従来公知の様々な手法が採用可能である。
さらに、処理部206は、特定された回転翼機20の現在位置と構造物表面62の状態の判定結果とを関連付けた構造物表面状態情報を生成し、通信部208を介して管理端末30の処理部304に送信する。
管理端末30の処理部304は、構造物表面状態情報に含まれる回転翼機20の現在位置と、設計データ内の位置情報とに基づいて、構造物と回転翼機20との相対位置を特定し、表示部306に、構造物表面62の状態の判定結果を構造物上の位置とともに報知する。すなわち、報知手段により構造物表面62の状態の判定結果が構造物上の位置とともに報知される。
1)第1の実施の形態(図4)のように二次元で示された構造物の画像(カメラ202で撮像された画像、あるいは、設計データに基づいて描画した描画画像)
2)第2の実施の形態(図7)のように三次元で示された構造物の画像(三次元モデルの画像)
3)第3の実施の形態(図9)のように構造物の三次元モデルを平面に展開することで得られる構造物の展開図の画像
また、第5の実施の形態によれば、構造物表面62を叩打して構造物表面62から発生する打音に基づいて構造物表面62の不良の有無を判定し、構造物表面62の不良があると判定された場合に、当該不良を示す事象が発生している構造物上の位置を特定し、当該不良を構造物上の位置とともに報知するようにしたので、画像に反映されにくい構造物表面62の状態、例えば、外装材の浮きや剥がれの有無などを正確に評価する上で有利となる。
また、第5の実施の形態によれば、案内手段70により構造物表面62と回転翼機20との距離を一定に保持できるため、構造物表面62に対する回転翼機20の位置および姿勢を安定した状態で構造物表面62を叩打することができ、打音の検出を安定して行え、構造物表面62の不良の有無の判定を正確に行なう上で有利となる。
次に第6の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態では、案内手段70により回転翼機20の構造物表面62に対する位置および姿勢を安定して保持する場合について説明したが、第6の実施の形態では、案内手段70に代えて、構造物表面62に対して吸着する吸着手段80を回転翼機20に設けることで回転翼機20の構造物表面62に対する位置および姿勢を安定して保持する場合について説明する。
吸着手段80は、回転翼機20に設けられ、構造物表面62に吸着することで構造物表面62と回転翼機20との距離を一定に保持し、構造物表面62に対する吸着を解除することで回転翼機20の移動を許容するものである。
本実施の形態では、案内手段70は、バキュームチャック82と、真空ポンプ84とを備えている。
バキュームチャック82は、対象物を吸引固定する吸引面8202と、吸引面8202に開口する複数の吸引孔8204と、各吸引孔8204に連通する接続口8206を備えている。
真空ポンプ84は、処理部206の制御により駆動、駆動の停止が制御されるものであり、真空ポンプ84の吸気口8402がバキュームチャック82の接続口8206に接続されており、真空ポンプ84が作動することで吸引面8202が構造物表面62に吸着する。なお、処理部206の制御は、管理端末30によってなされる。
バキュームチャック82は、真空ポンプ84の動作により吸引面8202が構造物表面62に吸着した状態で回転翼機20と構造物表面62との距離が予め定められた寸法となるように、ブラケットを介して回転翼機20に取り付けられている。
そして、真空ポンプ84の駆動が停止された状態で構造物60の近傍において回転翼機20の移動がなされ、所望の位置で真空ポンプ84を駆動することで回転翼機20がバキュームチャック82を介して構造物表面62に固定されることになる。
また、第6の実施の形態によれば、吸着手段80により構造物表面62と回転翼機20との距離を一定に保持できるため、構造物表面62に対する回転翼機20の位置および姿勢を安定した状態で構造物表面62を叩打することができ、打音の検出を安定して行え、構造物表面62の不良の有無の判定を正確に行なう上で有利となる。
なお、吸着手段80は、構造物表面62に吸着できればよいのであり、例えば、構造物表面62が鉄などのように磁石に吸引される材料で構成されている場合は、吸着手段80を電磁石および電磁石に電流を供給する駆動回路によって構成してもよい。
20……回転翼機
202……カメラ
204……GPSユニット
206……処理部
208……通信部
212……筐体
214……プロペラ
30……管理端末
302……通信部
304……処理部
306……表示部
308……設計データ記憶部
60……ビル
62……表面
70……案内手段
72……キャスター
80……吸着手段
82……バキュームチャック
84……真空ポンプ
210……3Dスキャナ
220……打撃部
222……打音検出部
Claims (7)
- 構造物表面における不良の有無を点検する構造物の点検装置であって、
無線操縦式の回転翼機と、
前記回転翼機に搭載され、前記構造物表面の画像を連続的に撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された前記画像を画像解析して、前記構造物に不良があるか否かを判定する判定手段と、
前記構造物に不良がある場合に報知する報知手段と、
前記回転翼機の現在位置を特定する位置特定手段とを備え、
前記位置特定手段によって特定された現在位置は、前記画像とともに当該画像が撮影された位置を示す位置情報として記録され、
前記判定手段は、前記画像に前記構造物の不良を示す事象が映っている場合に前記構造物に不良があると判定するとともに、前記画像とともに記録された前記位置情報を用いて前記不良を示す事象が発生している前記構造物上の位置を不良箇所位置として特定するものであり、
前記構造物の三次元形状を測定する三次元形状取得手段と、
前記三次元形状から前記構造物の三次元モデルを生成すると共に、前記三次元モデルと前記不良箇所位置とを関連付けた三次元不良箇所情報を生成する三次元データ生成手段と、
前記構造物の三次元モデルを平面に展開することで前記構造物の展開図を生成する展開図生成手段と、
前記カメラで撮影された前記画像を画像解析して、前記構造物の不良箇所の評価内容を示す不良計測情報を生成する不良計測情報生成手段とをさらに備え、
前記報知手段は、前記構造物に不良がある場合、前記三次元不良箇所情報に基づいて前記構造物の三次元モデルと共に前記不良箇所を画面に表示し、前記三次元不良箇所情報に基づいて前記構造物の展開図と共に前記不良箇所を前記画面に表示し、
前記報知手段による前記三次元不良箇所情報に基づく画面表示は、前記不良箇所の周辺の前記三次元モデルの部分と共に前記不良箇所を表示する第1画面と、前記構造物の全体の前記三次元モデルと共に前記前記不良箇所を表示する第2画面とを同一の画面上に表示することでなされ、
前記第2画面は前記第1画面よりも小さい面積で前記第1画面上に表示され、
さらに前記報知手段は、前記構造物の三次元形状の画像と前記三次元不良箇所情報と前記不良計測情報とを対応付けて報知し、
前記報知手段による前記報知は、前記第1画面上に、前記不良箇所の場所および前記不良箇所の不良内容を説明する第1メッセージと、前記不良計測情報に関する第2メッセージとを表示することでなされる、
ことを特徴とする構造物の点検装置。 - 前記回転翼機は、予め定められた飛行経路および飛行速度で飛行し、
前記カメラは、前記回転翼機が飛行を開始した時刻からの経過時間を前記画像とともに記録し、
前記判定手段は、前記飛行経路、前記飛行速度、および前記画像とともに記録された前記経過時刻とを用いて前記不良を示す事象が発生している位置を特定する、
ことを特徴とする請求項1記載の構造物の点検装置。 - 前記回転翼機は、前記構造物の周辺を所定期間ごとに同じ飛行経路で飛行し、
前記カメラは、撮影ごとに同じ角度から前記構造物を撮影し、
前記判定手段は、前記画像に前記不良を示す事象が映っている場合には、前記画像より前に撮影された過去画像と比較して、当該不良を示す事象が生じた日時を推定する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の構造物の点検装置。 - 前記カメラは全方位カメラあるいは全天球カメラである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の構造物の点検装置。 - 前記回転翼機に設けられ、前記構造物表面に当接することで前記構造物表面と前記回転翼機との距離を一定に保持しつつ、前記構造物表面に沿って前記回転翼機に移動を案内する案内手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の構造物の点検装置。 - 前記回転翼機に設けられ、前記構造物表面に対して吸着することで前記構造物表面と前記回転翼機との距離を一定に保持し、前記構造物表面に対する吸着を解除することで前記回転翼機の移動を許容する吸着手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の構造物の点検装置。 - 前記回転翼機に設けられ前記構造物表面を叩打する叩打手段と、
前記回転翼機に設けられ前記構造物表面から発生する打音を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された打音に基づいて前記構造物表面の不良の有無を判定する打音判定手段と、
前記構造物表面の不良があると判定された場合に、当該不良を示す事象が発生している前記構造物上の位置を検出する位置検出手段とを備え、
前記報知手段は、前記構造物表面の不良がある場合、当該不良を前記構造物上の位置とともに報知する、
ことを特徴とする請求項5または6記載の構造物の点検装置。
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