JP6648939B2 - 缶内面用水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐食性及び加工性に優れる缶内面用水性塗料組成物に関する。
従来、金属缶素材としては、アルミニウム、ブリキ、ティンフリースチール(Tin Free Steel)等の金属が用いられている。これらの金属は、その腐食を防止するために、通常、缶の内外面に密着性および耐食性に優れたエポキシ樹脂/フェノール樹脂系、エポキシ樹脂/アミノ樹脂系の塗料が多く用いられている。しかしながら、近年、環境ホルモンとして疑いのもたれているビスフェノールAの溶出量の問題から、ビスフェノールAを含有しない塗料系が求められている。
例えば、特許文献1には、ビスフェノールAフリーの熱硬化性塗料であって、塗料成分の溶出量が著しく低減されたポリエステル−アクリル系の缶用塗料及びかかる缶用塗料であって、酸価が30以下で水酸基価が40以下の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と、熱硬化性アクリル樹脂(B)とを、A:B=90:10乃至40:60の重量比で含有することを特徴とする熱硬化性缶用塗料が開示されている。しかし、特許文献1に記載の塗料は、加工性と耐食性は不十分であった。
他に、特許文献2には、(A)数平均分子量1,000〜100,000の水酸基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)レゾール型フェノール樹脂架橋剤1〜40重量部及び(C)酸触媒0.1〜5重量部(酸量として)を含有することを特徴とする塗料組成物が開示されている。しかし、特許文献2に記載の塗料組成物では、耐食性が不十分で、特に、腐食性の強い内容物を充填した場合には、塗膜の劣化が著しかった。
他に、特許文献3には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体(B1)を含有するカルボキシル基含有成分(B)、塩基性化合物(C)、及び水(D)を含有してなるポリマーの水溶液ないしエマルジョン(1)の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有する被乳化成分(A)を、ノニオン性の水溶性ラジカル開始剤(E)でラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(F)を含有し、ビスフェノールA由来の構成成分を全く用いず、加工性、耐腐食性に優れる塗膜を形成し得る缶内面被覆用として好適に用いられる水性塗料が開示されている。
しかし、特許文献3に記載の水性塗料では、腐食性の強い内容物を充填した場合には、塗膜の劣化が著しかった。その為、耐食性を向上させると加工性が劣ってしまうことがあった。このような背景から、加工性と耐食性が両立するビスフェノールA由来の構成成分を含有しない塗料が求められていた。
特開2000−290585号公報 特開2001−131470号公報 特開2008−255204号公報
本発明が解決しようとする課題は、加工性及び耐食性に優れる缶内面用水性塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、特定のウレタン樹脂(A)が、水性媒体中に分散された水分散体を含有する缶内面用水性塗料組成物によって、上記課題を達成できることを見出した。
即ち、本発明は、
1.下記特徴のポリエステルポリオール(a)に由来する構成単位、ジイソシアネート化合物(b)に由来する構成単位及びカルボキシル基含有ジオール(c)に由来する構成単位を有するウレタン樹脂(A)が、水性媒体中に分散されてなる水分散体を含有する缶内面用水性塗料組成物、
ポリエステルポリオール(a):
酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とを構成成分とするポリエステルポリオールであって、芳香族多塩基酸および脂環式多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の多塩基酸成分(a11)、並びに芳香族ジオールおよび脂環式ジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール成分(a21)の合計含有量が、ポリエステルポリオール(a)を構成する酸成分(a1)とアルコール成分(a2)の総質量を基準として、50〜100質量%であるポリエステルポリオール
2.多塩基酸成分(a11)として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含む1項に記載の缶内面用水性塗料組成物、
3.ジオール成分(a21)として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む1項又は2項に記載の缶内面用水性塗料組成物、
4.ジイソシアネート化合物(b)として、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート(水添MDI)を含む1〜3項のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物、
5.さらに、ウレタン樹脂(A)の固形分100質量部を基準にして、ワックス(B)を0.1〜10質量部を含有する1〜4項のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物、
6.さらに、ウレタン樹脂(A)の固形分100質量部に対して、フェノール樹脂(C)を0.1〜10質量部を含有する1〜5項のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物、
7.200℃で2分間加熱乾燥して得られた塗膜における酸素透過係数が9×10−13(ml・cm/cm・sec・cmHg)以下であることを特徴とする1〜6項のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物、
8.1〜7項のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物に基づく硬化塗膜を缶内面に有する缶体、に関する。
本発明の缶内面用水性塗料組成物は、加工性及び耐食性に優れた缶体を提供できる。本発明の缶内面用水性塗料組成物を塗装した缶体は、例え、缶の内容物にアルコール、酸、高濃度の塩分などを含有していても塗膜劣化を抑制することができる。
本発明は、特定のポリエステルポリオール(a)に由来する構成単位、ジイソシアネート化合物(b)に由来する構成単位及びカルボキシル基含有ジオール(c)に由来する構成単位を有するウレタン樹脂(A)が、水性媒体中に分散されてなる水分散体を含有する缶内面用水性塗料組成物である。
ウレタン樹脂(A)
ウレタン樹脂(A)としては、特定のポリエステルポリオール(a)と、ジイソシアネート化合物(b)とカルボキシル基含有ジオール(c)とを反応させることによって製造したものであることが望ましい。
ポリエステルポリオール(a)
ウレタン樹脂(A)に使用するポリエステルポリオール(a)は、酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とを構成成分とするポリエステルポリオールであって、芳香族多塩基酸および脂環式多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の多塩基酸成分(a11)、並びに芳香族ジオールおよび脂環式ジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール成分(a21)の合計含有量が、ポリエステルポリオール(a)を構成する酸成分(a1)とアルコール成分(a2)の総質量を基準として、50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%であることを特徴とする。
酸成分(a1)
上記酸成分(a1)としては、従来からポリエステルポリオールの製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができ、例えば、芳香族多塩基酸、芳香族モノカルボン酸、脂環式多塩基酸、脂肪族多塩基酸及び脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
上記芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;これら芳香族多価カルボン酸の無水物;等が挙げられる。芳香族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。これらの芳香族多塩基酸の中でも、特に耐食性の面から、イソフタル酸を好適に使用することができる。
上記脂環式多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物である。該脂環式多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸;これら脂環式多価カルボン酸の無水物等が挙げられる。脂環式多塩基酸は、単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。上記脂環式多塩基酸の中でも、特に、加工性、耐食性及び耐擦り傷性の向上の面から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を好適に使用することができる。
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物であって、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;これら脂肪族多価カルボン酸の無水物;等が挙げられる。脂肪族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組合わせて使用することができる。
アルコール成分(a2)
アルコール成分(a2)としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。上記多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオール、脂肪族ジオール等を挙げることができる。
上記芳香族ジオールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
上記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することがで
きる。上記脂環族ジオールとして、特に、加工性、耐食性及び耐擦り傷性の向上の面から、1,4−シクロヘキサンジメタノールを好適に使用することができる。
上記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
前記芳香族ジオール、脂環式ジオール及び脂肪族ジオール以外の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
また、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル(商品名「カージュラE10」HEXION Specialty Chemicals社製)等のモノエポキシ化合物と酸とを反応させて得られたアルコール化合物等も使用することができる。
なおポリエステルポリオール(a)の製造は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とを窒素気流中、150〜250℃で5〜10時間反応させて、エステル化反応又はエステル交換反応を行なうことにより製造することができる。上記エステル化反応又はエステル交換反応では、酸成分(a1)及びアルコール成分(a2)を一度に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。
また、はじめにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分(a2)を用いて、該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の一部をエステル化してもよい。さらに、はじめにポリエステルポリオールを合成した後、酸無水物を反応させて、ポリエステルポリオールをハーフエステル化させてもよい。
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるために、触媒を用いてもよい。触媒としては、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の既知の触媒を使用することができる。
ジイソシアネート化合物(b)
前記ジイソシアネート化合物(b)としては、例えば、1 分子中にイソシアネート基を2個以上含有するものであり、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート(水添MDI)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ジイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビゥレット型付加物等を挙げることができる。これらは、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。これらは、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
これらのジイソシアネート化合物(b)の中でも、特に、加工性、耐レトルト性、耐食性及び耐酸素透過性の向上の為に、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート(水添MDI)が好適である。
カルボキシル基含有ジオール(c)
前記カルボキシル基含有ジオール(c)としては、例えば、2,2 −ジメチロールプロピオン酸、2,2 −ジメチロールブタン酸、2,2 − ジメチロール酪酸、2,2 −ジメチロール吉草酸及びこれらを縮合したポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらに12−ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸、2,2 −ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、サリチル酸等を併用することもできる。
上記カルボキシル基含有ジオール(c)の配合割合としては、ウレタン樹脂(A)の酸価が5〜50mgKOH/g、好ましくは10〜40mgKOH/gとなる範囲が、水分散性と得られた塗膜の耐食性の面から望ましい。
ウレタン樹脂( A ) の製造について
上記ウレタン樹脂( A )の製造は、従来から公知の手法が採用でき、例えば、ポリエステルポリオール(a)と、ジイソシアネート化合物(b)とカルボキシル基含有ジオール(c)とを反応させる手法が挙げられる。
具体的には、例えば、ポリエステルポリオール(a)を有機溶剤溶液中で80〜150℃に加熱し、カルボキシル基含有ジオール(c)を加え、次いでジイソシアネート化合物(b)を徐々に添加し、80〜150℃、好ましくは60〜 130℃で、1〜10時間、好ましくは2〜8時間程度、保持することによって行うことができる。
またウレタン樹脂(A)における、ポリエステルポリオール(a)、ジイソシアネート化合物(b)及びカルボキシル基含有ジオール(c)の割合としては、ポリエステルポリオール(a)、ジイソシアネート化合物(b)及びカルボキシル基含有ジオール(c)
の合計固形分質量を基準にして、ポリエステルポリオール(a)を45〜70質量%、好ましくは50〜65質量%、ジイソシアネート化合物(b)を23〜48質量%、好ましくは30〜46質量%、及びカルボキシル基含有ジオール(c)を1〜7質量%、好ましくは1〜5質量%の割合で反応させることが、分散性、安定性の面から望ましい。
上記有機溶剤としては、従来から公知のものを使用することができる。上記有機溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、3−エトキシエチルプロピオネート、3−メトキシ-N,N−ジメチルプロピオンアミドなどを挙げることができる。これらの有機溶剤は,単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
また上記反応を促進させるために、通常のウレタン化反応において使用されるトリエチルアミン、N − エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒などを必要に応じて用いても良い。このようにして得られるウレタン樹脂( A ) は、水性媒体へ分散することができる。水性媒体としては、水、または水と水溶性有機溶媒などの有機溶媒との混合した溶液などを挙げることができる。
水分散は、特に制限なく従来公知の方法で行うことができ、得られた上記ウレタン樹脂( A ) に、界面活性剤、中和剤などを添加し、水性媒体を徐々に加えながら攪拌して分散することができる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体物等のノニオン系界面活性剤、ラウリル硫酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記中和剤としては、カルボキシル基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2 − メチル−2 − アミノプロパノール、トリエチルアミン、アンモニウムなどが挙げられる。上記中和剤は、ウレタン樹脂( A ) に加えてカルボキシル基を中和しておいても良いし、分散媒である水性媒体に加えておき、分散と同時に中和しても良い。
上記ウレタン樹脂( A ) は、さらに必要に応じて鎖延長剤を反応させることにより高分子量化することができる。鎖延長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2− プロパンジアミン、1,6− ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5− ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4− ジシクロヘキシルメタンジアミン、3 ,3 ´ − ジメチル− 4,4 ´− ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン; ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、 2−[ ( 2−アミノエチル) アミノ]エタノール、3 −アミノプロパンジオール等のアミノ基と水酸基を持つ化合物; ヒドラジン類、酸ヒドラジド類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組合わせて使用することができる。このようにして得られたウレタン樹脂(A)の酸価は5〜50mgKOH/g、好ましくは8〜40mgKOH/gが、安定性、耐食性の点から望ましい。
ワックス(B)
本発明の缶内面用水性塗料組成物は、必要に応じて、ワックス(B)を含有できる。上記ワックス(B)は、天然ワックス若しくは合成ワックス、グリセリド及びロウ、並びにこれらの酸化物や酸変性物等を使用できる。天然ワックスとしては、例えば、牛脂あるいは豚脂を水素添加した水添油脂、密ロウ、ラノリンワックス、鯨ロウ、水添鯨ロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバワックス、シェラック等の動植物性ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、セリシンワックス等の鉱物性ワックス等を挙げることができる。また、合成ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、シリコンワックス等を挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を組合せて用いることができる。
ワックス(B)を配合する場合、その配合量は、ウレタン樹脂(A)の水分散体の固形分量100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であることが、耐擦り傷性の向上の面から望ましい。
フェノール樹脂(C)
本発明の缶内面用水性塗料組成物は、必要に応じて、フェノール樹脂(C)を含有することができる。フェノール樹脂(C)としては、例えば、フェノールやクレゾールなどのフェノール化合物とホルムアルデヒド類とを反応触媒の存在下で縮合反応させてメチロール基を導入したメチロール化フェノール樹脂;及び前記導入したメチロール基の一部を炭素原子数1〜6個のアルコールでアルキルエーテル化したものなどが包含される。
上記フェノール化合物としては、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、石炭酸、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール、ビスフェノールFなどのフェノール化合物を挙げることができ、これらは、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
前記ホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどが挙げられ、単独で又は2種以上混合して、使用することができる。メチロール化フェノール樹脂のメチロール基の一部をアルキルエーテル化するのに用いられるアルコールとしては、炭素原子数1〜6個、好ましくは1〜4個の1価アルコールを挙げる
ことができる。好適な1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。
フェノール樹脂(C)は、数平均分子量が200〜2000、好ましくは300〜1200の範囲内であり、かつベンゼン核の1核当たりのメチロール基の平均数が0.3〜3.0個、好ましくは0.5〜3.0個の範囲内であることが適当である。特に、レゾール型フェノール樹脂の中でも、石炭酸とホルムアルデヒドとを縮合反応させて得られる石炭酸ホルムアルデヒド樹脂が、加工を受けた部分においても良好な耐食性を示す塗膜を得ることができる。
なお本明細書において、数平均分子量は、特段の記載がない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した数平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」「TSKgel G−3000HXL」「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
なおフェノール樹脂(C)の配合量は、ウレタン樹脂(A)の固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは1〜8質量部の範囲内であることが、耐食性の面から望ましい。
缶内面用水性塗料組成物
本発明の塗料組成物において、上記ウレタン樹脂(A)の水分散体、必要に応じて配合されるワックス(B)及びフェノール樹脂(C)に加えて、さらに酸硬化触媒、潤滑性付与剤、有機溶媒、塗膜改質用樹脂、顔料、凝集防止剤、消泡剤、レベリング剤などの塗料用添加剤を適宜配合することができる。
上記酸硬化触媒は、本発明組成物の硬化反応を促進するものであり、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、燐酸などの酸触媒又はこれらの酸のアミン中和物などを具体例として挙げることができる。なかでも上記スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が好適である。
本発明の缶内面用塗料組成物には、塗装性などの観点から、通常、有機溶媒が配合される。上記有機溶媒としては、例えば、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどのアルコール系;例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系;例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトンなどのケトン系;例えば、エチレングルコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系を挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の缶内面用水性塗料組成物に配合できる上記塗膜改質用樹脂としては、例えば、アミノ樹脂、エチレン−重合性不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン−重合性カルボン不飽和酸共重合体アイオノマーなどを挙げることができる。
上記アミノ樹脂は、塗料組成物の硬化性向上、得られる塗膜の硬度向上、密着性の向上などを目的に配合されるものである。アミノ樹脂は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド及びベンズアルデヒドのようなアルデヒドと、尿素、メラミン及びベンゾグアナミンのようなアミノ又はアミド基含有物質との縮合生成物であり、アルコールによってアルキルエーテル化されていてもよい。有用なアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール及びエトキシエタノールのような一価アルコールを包含する。アミノ樹脂の例としては、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂などを挙げることができる。
本発明の缶内面用水性塗料組成物を塗装する被塗物としては、例えば、アルミニウム板、鋼板、ブリキ板等の無処理又は表面処理を施した金属板、これらの金属板にエポキシ樹脂系プライマー塗料やビニル樹脂系プライマー塗料などのプライマー塗料を塗装した金属板、並びにこれらの金属板を缶体などに加工したものが挙げられる。
本発明の缶内面用水性塗料組成物を、ロールコーター塗装、スプレー塗装などの公知の塗装方法によって上記被塗物に塗装し、連続焼付け炉等の加熱手段によって焼き付けることにより、塗装金属板を得ることができる。焼付条件は特に制限されるものではないが、例えば、素材到達最高温度が、90℃〜300℃、好ましくは180℃〜260℃、さらに好ましくは190℃〜230℃となる条件で、1秒〜30分間、好ましくは5秒〜10分間、さらに好ましくは8秒〜3分間焼付けることが適している。塗装金属板における塗膜厚は特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で1〜25μm、好ましくは2〜18μmの範囲であることが、加工性及び耐食性の面から望ましい。
さらに、本発明の缶内面用水性塗料組成物を塗装し、200℃で2分間加熱乾燥して得られた塗膜は、酸素透過係数が9×10−13(ml・cm/cm・sec・cmHg)以下、好ましくは2×10−13〜5×10−13(ml・cm/cm・sec・cmHg)の範囲であることが望ましい。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
ポリエステルポリオール(a)の製造
合成例1 ポリエステルポリオールNo.1の製造
撹拌機、温度計、水分離器付き還流冷却管、窒素導入管を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、イソフタル酸216部、1,4−シクロヘキサンジメタノール332部を仕込み、攪拌下で140℃まで昇温した。
その後、生成する水を除去しながら、230℃まで4時間かけて昇温した。続けてトルエン55部を加えて還流を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応を行った。反応終了後180℃でトルエンを減圧留去し、ポリエステルポリオールNo.1を得た。
合成例2〜14 ポリエステルポリオールNo.2〜No.14の製造
表1の配合内容とする以外は、合成例1と同様にして酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応を行って、ポリエステルポリオールNo.2〜No.14を得た。
比較合成例1〜5 ポリエステルポリオールNo.15〜No.19の製造
表1の配合内容とする以外は、合成例1と同様にして酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応を行って、ポリエステルポリオールNo.15〜No.19を得た。
Figure 0006648939
ウレタン樹脂(A)の製造
製造例1 ウレタン樹脂溶液No.1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、合成例1で得たポリエステルポリオールNo.1を150部、ジメチロールプロピオン酸14.2部、N−メチルピロリドン60部を仕込み、攪拌下で120℃まで昇温した。昇温後、デスモジュールW(注1)133部を10分間かけて滴下した。
滴下終了時から、約2時間後、NCO価(注2)が32.0mg/g以下になったところで加熱を停止し、メチルエチルケトン200部を滴下しながら40℃以下になるまで冷却した。その後、中和剤としてトリエチルアミン9.8部を加え、均一に攪拌した後、脱イオン水730部を20分間かけて滴下した。
その後、ジエチレントリアミン2.1部を脱イオン水20部に溶解した溶液を20分間かけて滴下し、50℃まで昇温して1時間維持した。続いて、60℃まで昇温してメチルエチルケトンを減圧留去し、ついで脱イオン水で固形分濃度を30質量%に調整して、ウレタン樹脂溶液No.1を得た。得られたウレタン樹脂溶液No.1の平均粒子径(注3)は、45nmであった。
製造例2〜20
表2の配合内容とする以外は、製造例1と同様にして、ウレタン樹脂溶液No.2〜No.20を得た。
Figure 0006648939
比較製造例1〜5
表3の配合内容とする以外は、製造例1と同様にして、ウレタン樹脂溶液No.21〜No.25を得た。
Figure 0006648939
(注1)デスモジュールW:住化バイエルウレタン、商品名、水添MDI。
(注2) NCO 価: 下記の測定方法にて求めた。
試料(g) を三角フラスコに正しく測りとり、ジオキサン10mlを加えて溶解した試料を50 ℃ に加熱し、ジブチルアミン(1/5規定)のジオキサン溶液10mlを加え、2分間かき混ぜて試料とジブチルアミンを反応させる。次に、ブロムフェノールブルーの エチルアルコール溶液を2〜3滴加えて、塩酸溶液(1/10規定)で滴定し、青色から黄緑色に変化したときを終点とする。
N={ 0.1×42×(A−B)×f}/(0.01×S×W) ・・・式
N : NCO価( 試料1g中に含まれるNCOのmg数)
A:空試験のN/5ジブチルアミン-ジオキサン溶液を中和するのに使用したN/10塩酸溶液の量(ml)
B:試料の滴定に使用した塩酸溶液(1/10規定)の量(ml)
f: N/10塩酸溶液のファクター
S:試料の加熱残分(%)
W:試料の量(g)
42:NCOの分子量。
(注3)平均粒子径:COULTER N4型(ベックマン・コールター社製、商品名、サブミクロン粒度分布測定装置)を用いて測定した。
フェノール樹脂溶液(C)の製造
合成例15 フェノール樹脂A溶液の製造
m−クレゾール70部、p−クレゾール30部、37%ホルムアルデヒド水溶液180部及び水酸化ナトリウム1部を加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。
次いで、n−ブタノール100部とリン酸3部を加え、110〜120℃で2時間反応を行った。反応終了後、得られた溶液をろ過して生成したリン酸ナトリウムを濾別し、固形分約50%のフェノール樹脂A溶液を得た。得られたフェノール樹脂Aは、数平均分子量800で、ベンゼン核1核当り、平均メチロール基数が0.5個、平均ブトキシメチル数が0.9個であった。
缶内面用塗料組成物の製造
実施例1 缶内面用塗料No.1の製造
製造例1で得た固形分30%のウレタン樹脂溶液No.1を100部(固形分)、エチレングリコールモノブチルエーテルを10部配合して、脱イオン水で希釈して、固形分27%の缶内面用塗料No.1を得た。
実施例2〜29 缶内面用塗料No.2〜No.29の製造
表4及び表5に示す組成とする以外は実施例1と同様にして、缶内面用塗料No.2〜No.29を得た。
Figure 0006648939
Figure 0006648939
比較例1 缶内面用塗料No.30の製造
比較製造例1で得た固形分30%のウレタン樹脂溶液No.21を100部(固形分)、エチレングリコールモノブチルエーテルを10部配合して、脱イオン水で希釈して、固形分27%の缶内面用塗料No.30を得た。
比較例2〜5 缶内面用塗料No.31〜No.34の製造
表6に示す組成とする以外は、比較例1と同様にして、缶内面用塗料No.31〜No.34を製造した。
特許文献1(特開2000−290585)の実施例1のトレース
比較例6 缶内面塗料No.35の製造
撹拌機、温度計、水分離器付き還流冷却管、窒素導入管を取り付けた4つ口フラスコ内に、ジメチルテレフタレート400部、プロピレングリコール370部、1,4ブタンジオール50部、及びテトラ−n−ブチルチタネート0.29部を加え、徐々に昇温し、反応温度が220℃となるまで4時間反応を続けた。次いで、250℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.2mmHg以下の減圧下で4時間反応させて、熱可塑性ポリエステル樹脂を得た。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂の酸価は2mgKOHであり、水酸基価は5mgKOHであった。また、数平均分子量は、16,000であった。
次いで、ブトキシメチルアクリルアミド330部、エチルアクリレート420部、メチルメタクリレート300部、スチレン450部、過酸化ベンゾイル75部、ソルベッソ150 550部を混合し、シクロヘキサノン750部とソルベッソ150 200部の溶剤中に、窒素気流下、110℃において、1時間かけて滴下し重合反応を行った。
滴下終了後、さらに2時間110℃に保持し、熱硬化性アクリル樹脂を重合した。得られた熱硬化性アクリル樹脂の数平均分子量は、3,800であった。
上記熱硬化性アクリル樹脂溶液の一部を取り、上記熱可塑性ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂と熱硬化性アクリル樹脂溶液の混合比は質量比で80/20)、及びシクロヘキサノン−ソルベッソ150混合溶剤(混合比=1:1質量比、以下、混合溶剤と表示する)を添加し、110℃で撹拌しながら3時間かけて溶解混合した。混合溶剤を用いて調整し、固形分27%の缶内面用塗料No.35を得た。
特許文献2(特開2001−131470)の実施例1のトレース
合成例16 ポリエステル樹脂A溶液の製造
テレフタル酸49.8部、イソフタル酸49.8部、ヘキサヒドロテレフタル酸34.4部、アジピン酸28.3部、ネオペンチルグリコール99.8部、トリメチロールプロパン6.8部及び重縮合触媒を仕込み、加熱、撹拌して生成する水を除去しながらエステル化反応を行い、数平均分子量24,000、水酸基価10mgKOH/g、酸価0.5mgKOH/gの樹脂を得た。得られた樹脂をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50(質量比)の混合溶剤にて調整しながら希釈して、固形分27%のポリエステル樹脂A溶液を得た。
合成例17 フェノール樹脂B溶液の製造
ビスフェノールA 100部、37%ホルムアルデヒド水溶液178部及び苛性ソーダ1部を加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃1時間脱水した。次いで、n−ブタノール100部とリン酸3部を加え、110〜120℃で2時間反応を行った。反応終了後、得られた溶液をろ過して生成したリン酸ナトリウムを濾別し、固形分50%のフェノール樹脂B溶液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量880、ベンゼン核1核当り、平均メチロール基数が0.4個、平均ブトキシメチル数が1.0個であった。
比較例7 缶内面塗料No.36の製造
合成例16で得たポリエステル樹脂溶液Aを300部(固形分90部)に、合成例17で得たフェノール樹脂溶液Bを20部(固形分10部)及びカルナバワックス1.0部及びネイキュア5225(キングインダストリイズ社製、商品名、ドデデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和塩、ドデシルベンゼンスルホン酸の含有量は25%)4.0部(ドデシルベンゼンスルホン酸量として1.0重量部)を混合、溶解させ、ついでメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50(質量比)の混合溶剤を加えて、固形分30%缶内面塗料No.36を得た。
特許文献3(特開2008−255204)の実施例1のトレース
合成例18 アクリル共重合体A水溶液の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル100部、イオン交換水100部を仕込んで、90℃まで昇温した。
反応容器内の温度を90℃に保ちながら、メタクリル酸96部、スチレン52部、アクリル酸エチル42部、N−ブトキシメチルアクリルアミド10部、及び過酸化ベンゾイル2部からなる混合物を滴下槽から4時間にわたって連続滴下した。
滴下終了から1時間後、及び2時間後に過酸化ベンゾイル0.2部をそれぞれ添加して、滴下終了から3時間にわたって反応を続け、数平均分子量45,000、ガラス転移温度73℃、酸価312mgKOH/gの、アクリル系共重合体Aの溶液(固形分50%)を得た。次に、ジメチルエタノールアミン29.8部を添加して、10分間撹拌した後、脱イオン水368.2部を加えて水溶化せしめ、固形分25%のアクリル共重合体A水溶液を得た。
比較例8 缶内面用塗料No.37の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、合成例18で得られたアクリル共重合体A水溶液120部、脱イオン水88.9部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、撹拌しながら70℃まで昇温した。
次に、滴下槽No.1にスチレン39.0部、アクリル酸エチル23.5部、N−ブトキシメチルアクリルアミド7.5部を仕込み、滴下槽No.2に1%過酸化水素水3.0部を、滴下槽No.3に1%エリソルビン酸ナトリウム水溶液3.8部をそれぞれ仕込み、それぞれ同時に3時間かけて反応容器内の温度を70℃にたもちながら、撹拌下に滴下して、エマルジョンを得た。その後、脱イオン水114.3部、n−ブタノール50部、エチレングリコールモノブチルエーテル50部を添加し、缶内面用塗料No.37を得た。
Figure 0006648939
試験板の作成
上記実施例及び比較例で得た各缶内面用塗料を、厚さ0.25mmの#5021アルミニウム板に乾燥塗膜重量が50mg/100cmとなるようにバーコーター塗装し、200℃で2分間の焼付けを行って、各試験塗板を得た。得られた各試験塗板について下記の試験方法に基いて各種試験を行った。試験結果を前記の表4〜表6に併せて示す。
(注4)SR−16:興洋化学株製、マイクロクリスタリンワックス、融点83℃
(注5)HD−3028:株式会社岐阜セラツク製造所製、カルナバワックス、融点82℃(注6)スーパーハートラン:CRODA社製、ラノリンアルコール、融点65℃
(注7)Lanco1370LF:日本ルーブリゾール社製、ポリプロピレンワックス、融点150℃、平均粒子径9μm
(注8)CERAFLOUR 991:BYK社製、ポリエチレンワックス、融点115℃、平均粒子径5μm
(注9)CKS−3898:昭和電工社製、商品名、レゾール型フェノール樹脂、ノルマルブタノール溶液
試験方法
(注10)塗膜外観:
試験塗板の塗膜外観を肉眼で観察した。
◎は、塗面にハジキ、凹み、曇り、濁りなどの塗面異常の認められない。
○は、塗面にやや曇りがあるが、製品として問題のないレベル
△は、塗面にハジキ、凹み、曇り、濁りなど、いずれかの塗面異常の認められる。 ×は、塗面にハジキ、凹み、曇り、濁りなど、いずれかの塗面異常が著しく認められる。
(注11)加工性:
特殊ハゼ折り型デュポン衝撃試験器を用い、塗膜面が外側になるように下部を2つ折りにした試験塗板の折り曲げ部の間に厚さ0.27mmのアルミニウム板を2枚挟んで試験器に設置し、接触面が平らな厚さ1kgの鉄の錘を高さ50cmから落下させて折り曲げ部に衝撃を与えた後、折り曲げ先端部に6.5Vの電圧を6秒間通過させた際の、折り曲げ先端部20mm幅の電流値(mA)を測定し、下記基準にて評価した。
◎は、電流値が5mA未満、
○は、電流値が5mA以上で20mA未満、
△は、電流値が20mA以上で50mA未満、
×は、電流値が50mA以上。
(注12)耐レトルト性:
試験塗板を水に浸漬し、オートクレーブ中で125℃で30分間処理した塗膜の白化や膨れの状態を下記基準により評価した。
◎は、全く白化、膨れが認められない、
○は、膨れが認められず、ごくわずかに白化が認められる、
△は、膨れが少し認められる、
×は、著しい白化又は著しい膨れが認められる。
(注13)耐食性:
試験塗板を、缶内容物擬似液である腐食液(クエン酸/アルコール/食塩/水=3/3/3/91〔質量比〕)に浸漬し、腐食の程度を下記基準により目視で評価した。浸漬条件は、40℃で7日間、及び40℃で14日間の2水準で行った。
◎は、腐食なし
○は、極僅かに腐食
△は、かなり腐食
×は、著しい腐食。
(注14)耐擦り傷性:
バウデン摩擦試験機(神鋼造機社製、曽田式付着滑り試験機)を用い、摩擦部3/16インチ鋼球、荷重1kg、摩擦速度7往復/分の条件で摩擦試験を行い、塗膜に傷が発生するまでの摩擦回数を測定した。下記の基準によって評価した。
◎は、摩擦回数200回でもキズが発生しない、
○は、摩擦回数150回〜200回でキズが発生、
△は、摩擦回数50回〜149回でキズが発生、
×は、摩擦回数49回以下でキズが発生。
(注15)耐酸素透過性:
ブリキ板に、実施例及び比較例で得た各塗料組成物を乾燥塗膜重量が10μmとなるようにバーコーター塗装し、200℃で2分間の焼付けを行った。
得られた塗膜をアマルガム法を用いて剥離し、その塗膜を直径17 mmφにカットし、測定セルに装着した。次に、製科研式フィルム酸素透過率計(東洋理化株式会社製 K−316)を使用し、測定温度は25℃で酸素透過性を測定した。次いで、膜厚1μm(温度25℃、相対湿度50%)に換算した酸素透過係数(ml・cm/cm・sec・cmHg)を求めた。
◎は、酸素透過係数が5×10−13以下、
○は、酸素透過係数が5×10−13を超えて、かつ9×10−13以下、
△は、酸素透過係数が9×10−13を超えて、12×10−13以下、
×は、酸素透過係数が12×10−13を超える
本発明の缶内面用水性塗料組成物は、耐食性及び加工性に優れる缶体を提供できる。

Claims (8)

  1. 下記特徴のポリエステルポリオール(a)に由来する構成単位、ジイソシアネート化合物(b)に由来する構成単位及びカルボキシル基含有ジオール(c)に由来する構成単位を有するウレタン樹脂(A)が、水性媒体中に分散されてなる水分散体を含有する缶内面用水性塗料組成物。
    ポリエステルポリオール(a):
    酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とを構成成分とするポリエステルポリオールであって、芳香族多塩基酸および脂環式多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の多塩基酸成分(a11)、並びに芳香族ジオールおよび脂環式ジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール成分(a21)の合計含有量が、ポリエステルポリオール(a)を構成する酸成分(a1)とアルコール成分(a2)の総質量を基準として、50〜100質量%であるポリエステルポリオール
  2. 多塩基酸成分(a11)として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含む請求項1に記載の缶内面用水性塗料組成物。
  3. ジオール成分(a21)として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む請求項1又は2に記載の缶内面用水性塗料組成物。
  4. ジイソシアネート化合物(b)として、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート(水添MDI)を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物。
  5. さらに、ウレタン樹脂(A)の固形分100質量部を基準にして、ワックス(B)を0.1〜10質量部を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物。
  6. さらに、ウレタン樹脂(A)の固形分100質量部に対して、フェノール樹脂(C)を0.1〜10質量部を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物。
  7. 200℃で2分間加熱乾燥して得られた塗膜における酸素透過係数が9×10−13(ml・cm/cm・sec・cmHg)以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の缶内面用水性塗料組成物に基づく硬化塗膜を缶内面に有する缶体。


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