JP6648457B2 - 電子楽器、音波形発生方法、及びプログラム - Google Patents

電子楽器、音波形発生方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、電子楽器、音波形発生方法、及びプログラムに関する。
従来、可変遅延回路を含む遅延ループ回路で励振信号を循環させるとともに、音高情報に応じて可変遅延回路の遅延量を制御することにより倍音成分を抽出して、管楽器の共鳴現象の物理モデルをシミュレートし、更に、遅延ループ回路に挿入したフィルタ回路(楽音エフェクタ)のパラメータを管楽器と同様の吹奏演奏における吹奏圧、唇の形や舌の位置、噛み圧、喉の形などを検出するセンサ出力によって制御することで、実際の管楽器で行われている自励発振に近い演奏を実現するようにした電子楽器が知られている(例えば特許文献1から4に記載の技術)。
特開平6−161461号公報 特開平6−266363号公報 特開平7−129181号公報 特許第3226255号公報
しかし、遅延ループ回路とフィルタ回路を組み合わせただけの従来技術では、自励発振がすぐ減衰して音が消えてしまったり、逆に発振が発散して音量が振り切ってしまったりする不都合があり、自然楽器の演奏におけるアンブシュアにより管楽器音を持続的に発音させる動作を電子楽器で実現することが困難であった。
そこで、本発明は、持続的な自励発振を可能として、自然楽器の演奏感に近い演奏を実現することを目的とする。
態様の一例では、音高指定に応答して、音高に対応して出力された波形データを遅延させた後、遅延された波形データをフィルタリングするフィルタ処理と、遅延された波形データのレベルに基づいて、フィルタリングされた波形データのレベルを調整するための調整信号を出力する調整信号出力処理と、調整信号に基づいてフィルタリングされた波形データのレベルを調整する調整処理と、を実行する処理部を有し、前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記音高指定に応答して、前記音高に対応する波形データを設定する設定処理と、前記設定された波形データを遅延させる遅延処理と、遅延された前記波形データをフィルタリングするフィルタリング処理と、を実行する。
本発明によれば、持続的な自励発振が可能となり、自然楽器の演奏感に近い演奏を実現することが可能となる。
本実施形態による電子管楽器の外観例を示す図である。 マウスピースセンサ部の構成例を示す断面図である。 電子管楽器を制御する楽音制御装置のハードウェア構成例を示す図である。 音源LSIの機能構成例を示すブロック図である。 可変遅延部の機能構成例を示すブロック図である。 音量検出部の機能構成例を示すブロック図である。 フィルタ部の機能構成例(その1)を示すブロック図である。 フィルタ部の機能構成例(その2)を示すブロック図である。 楽音制御装置のCPUの制御処理例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、可変遅延部とフィルタ部とで形成されるフィードバックループ回路において、可変遅延部に記憶された波形から音量値を検出し、その音量値でフィードバック量を逆制御することで、管楽器演奏に対応した持続的な自励発振を得ることのできる電子楽器である。
図1は、本実施形態による電子管楽器100の外観例を示す図である。電子管楽器100は、電子楽器でない伝統的な管楽器(以下これを「自然管楽器」と呼ぶ)を模した形状部101と、複数のセンサを実装したマウスピースセンサ部102と、自然管楽器の指穴に相当する演奏スイッチ部103と、音響信号を放出する開口部104と、楽音波形信号を音響信号に変えるスピーカ部105と、演奏操作以外の各種操作を指定する操作スイッチ部106を含んで構成される。
図2は、図1のマウスピースセンサ部102の構成例を示す断面図である。マウスピースセンサ部102内の奥に設置される吹奏圧センサ201(ブレスセンサ)は、例えば圧力センサであり、演奏者が吹き込み口206を口で咥えて吹き込んだ息の吹き込み圧力を検知する。タンセンサ202は、演奏者が吹き込み口206を口で咥えたときの舌の形を検知する。バイトセンサ203は、演奏者が吹き込み口206を口で咥えたときの歯の噛み圧を検知する。リップ(上顎)センサ204は、演奏者が吹き込み口206を口で咥えたときの上唇の位置を検知する。ボイスセンサ205は、演奏者が上述の吹奏動作とともに発声する音声(グロウル音、グローリング音等)を検知する。
図3は、図1の電子管楽器100を制御する楽音制御装置300のハードウェア構成例を示す図であり、図1の形状部101内に設置される。楽音制御装置300は、CPU(セントラルプロセッシングユニット:中央演算処理装置)301、ROM(リードオンリーメモリ)302、RAM(ランダムアクセスメモリ)303、音源LSI(大規模集積回路)304、図2に示されるマウスピースセンサ部102内の吹奏圧センサ201、タンセンサ202、バイトセンサ203、リップセンサ204、及びボイスセンサ205と、各々の出力が接続される#1から#5のADC(アナログデジタルコンバータ)305、図1または図6と同様のボイスセンサ102とその出力が接続されるADC1105、図1と同様の演奏スイッチ部103及び操作スイッチ部106と各々の出力が接続されるGPIO(ジェネラルパーパスインプットアウトプット)306、DAC/増幅器307、図1と同様のスピーカ部105を備え、これらがシステムバス308によって相互に接続された構成を有する。同図に示される構成は、楽音制御装置300を実現できるハードウェア構成の一例であり、そのようなハードウェア構成はこの構成に限定されるものではない。
CPU301は、当該楽音制御装置300全体の制御を行う。ROM302は、発音制御プログラムを記憶する。RAM303は、発音制御プログラムの実行時に、データを一時的に格納する。
図2に示されるマウスピースセンサ部102内の吹奏圧センサ201、タンセンサ202、バイトセンサ203、リップセンサ204、及びボイスセンサ205の各アナログ出力新語魚はそれぞれ、#1から#5のADC305によってデジタル信号である各センサ出力データに変換され、CPU301を介して音源LSI304に送られる。
演奏スイッチ部103及び操作スイッチ部106(図1参照)の各演奏状態及び操作状態は、GPIO306を介してCPU301に読み込まれた後、音源LSI304に送られる。
音源LSI304は、例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programable Array)であり、図4から図8のブロック図を用いて後述する楽音制御装置300の機能を実現する。
音源LSI304から出力された楽音波形データは、CPU301からシステムバス308を介してDAC/増幅器307においてデジタル信号の楽音波形データからアナログ信号の楽音波形信号に変換されて増幅された後、スピーカ部105を介して放音される。
音源LSI304の機能は、CPU301のソフトウェア機能によって実現されてもよい。
図4は、図3の音源LSI304の機能構成例を示すブロック図である。まず、可変遅延部401は、図1又は図3の演奏スイッチ部103で指定され図3のGPIO306からCPU301を介して通知された音高値に対応する楽音波形を遅延させる。
ノートオン初期化部402は、演奏スイッチ部103で指定されGPIO306からCPU301を介して通知された音高値に基づいて、可変遅延部401に、当該音高値に対応する初期楽音波形データを設定する。
フィルタ部403は、マウスピースセンサ部102内の各センサ出力データに基づいて、可変遅延部401の遅延出力値408に対してフィルタリング処理を実行する。
音量検出部404は、遅延出力値408の波高値から音量値412(調整信号)を検出する。
乗算部405と帰還線406とからなる帰還部は、音量値404に基づいてフィルタ部403のフィルタ出力値409を正規化させ、得られる正規化フィルタ出力値410を可変遅延部401に帰還させる。
出力線407からなる出力部は、正規化フィルタ出力値410を楽音波形データ411として出力する。
音色エンベロープ制御部413は、例えばマウスピースセンサ部102の何れかのセンサ出力データに基づいて、例えばバンドパスフィルタ処理によって楽音波形データ411の音色包絡特性を制御する。
音量エンベロープ制御部414は、例えばマウスピースセンサ部102の吹奏圧センサ201のセンサ出力データに基づいて、例えば乗算処理によって楽音波形データ411の音量包絡特性を制御し、楽音出力415を出力する。
図5は、図4の可変遅延部401の機能構成例を示すブロック図である。可変遅延部401は、縦属接続されたD1、D2、D3、・・・、Dnのn個の遅延ユニットからなり、個数nは電子管楽器100(図1)の最低音高値の波長サンプル数に対応する。各遅延ユニットDi(1≦i≦n)において、単位遅延部501は、入力したサンプル値を1サンプリング時間だけ遅延させる。遅延ユニットDi内の初期値入力部502は、その遅延ユニットDiが、各遅延ユニットの縦属接続の先頭から、演奏スイッチ部103で指定された音高に対応しノートオン初期化部402より指定された初期楽音波形データのサンプル数に対応する数の遅延ユニットに含まれる場合に、当該初期楽音波形データの対応するサンプル値を遅延ユニットDi内の選択部504を介して選択的に出力させる。バイパス部503は、遅延ユニットDiが、上記初期楽音波形データに対応する数の上記遅延ユニット以外の遅延ユニットに含まれる場合に、遅延ユニットDi内の単位遅延部501をバイパスし、遅延ユニットDiに入力したサンプル値を遅延ユニットDi内の選択部504を介して選択的に出力させる。このように、遅延ユニットDi内の選択部504は、遅延ユニットDi内の初期値入力部502からの初期楽音波形データの値と、遅延ユニットDi内の単位遅延部501からの遅延値と、遅延ユニットDiへの入力値そのままの何れかを、選択的に遅延ユニットDiから出力させる。
図4のノートオン初期化部402は、演奏スイッチ部103によって新たなノートオンが発生した場合(前回の指穴と今回の指穴が異なる場合)、そのサンプリング割込みタイミングにおいて、演奏スイッチ部103で指定された音高(発音ピッチ)に従って1波長分の初期楽音波形データの初期サンプル値群を演算し、先頭から1波長分のサンプル数に対応する数の遅延ユニット内の初期値入力部502に上記初期サンプル値を書き込み、その初期サンプル値を選択部504で選択させて有効とさせる。上記以外の遅延ユニット内の選択部504は、バイパス部503の入力を選択して、当該遅延ユニットの動作を無効化する。演奏スイッチ部103での指穴押さえ位置と指定された音高、すなわち発音ピッチ周波数との関係は、各管楽器の演奏法としてテーブル化されている。例えば、A4=440Hz(ヘルツ)の場合、遅延値はサンプリング周波数が48KHz(キロヘルツ)の場合、48000÷440=109.09・・・である。可変遅延部401内のこの数に対応する遅延ユニットが選択される。そのとき整数値は遅延ユニットの数、小数部は遅延補間値として設定される。ノートオン初期化部402は、初期楽音波形データとして例えば、1波長分のノコギリ波を設定する。または、ノートオン初期化部402は、他にミュージックシンセサイザにあるような他の波形、例えば矩形波、三角波、ノイズを与えてもよい。或いは、ノートオン初期化部402は、自然楽器を録音したPCM(パルスコードモジュレーション)波形を設定してもよい。
上記サンプリング割込みタイミングでの処理が完了し、次のサンプリング割込みタイミングになると、選択部504から出力された初期値は次に接続されている遅延ユニット内の単位遅延部501に入力してその単位遅延部501を初期化する。その後、その遅延ユニット内の選択部504は、単位遅延部501の出力を選択するように変更される。前述の無効化された遅延ユニット内の選択部504は、そのままバイパス部503の入力を選択して出力する。
以上のようにして、本実施形態では、演奏スイッチ部103によって新たなノートオンが発生した場合、そのサンプリング割込みタイミングにおいて、演奏スイッチ部103で指定された音高に従ってノートオン初期化部402で演算した1波長分の初期楽音波形データの初期サンプル値群を、可変遅延部401内の先頭からその1波長分のサンプル数に対応する数の遅延ユニットに投入することができる。
図6は、図4の音量検出部404の機能構成例を示すブロック図である。音量検出部404は、絶対値出力部601、平滑化部602、及び包絡線検出部603を含んで構成され、AM(振幅変調)の復調方式と同等の処理を実行する。絶対値出力部601は、可変遅延部401内の図5に示される複数の遅延ユニットの各出力値の絶対値の総和値を算出する。平滑化部602は、絶対値出力部601が出力する当該総和値を、例えば移動平均演算やローパスフィルタ演算により、時間方向に平滑化する。包絡線検出部603は、平滑化部602の出力値の包絡線情報を算出し、それを図4の音量値412として出力する。
以上のようにして音量検出部404から出力された音量値412について、その逆数が算出される。図4の乗算部405は、その逆数値をフィルタ出力値409に乗算し、その乗算結果を正規化フィルタ出力値410として出力する。このようにして、図4の可変遅延部401に入力する正規化フィルタ出力値410の信号レベルが一定となるように、負帰還制御が実行される。この結果、豊かな音情報を含む管楽器の持続音を生成することが可能となる。なお、正規化フィルタ出力値410の音量が正規化されるまで遅延時間が必要になるため、この一定値はデジタル波形の最大ピーク値の4分の1程度を設定して余裕を持たせる。
図7は、図4のフィルタ部403の第1の機能構成例を示すブロック図である。第1の機能構成例では、フィルタ部403はまず、各々図4の可変遅延部401の遅延出力値408を入力し、遅延出力値408の周波数成分を#1から#mのm個の帯域成分に周波数分割する#1から#mのm個のバンドパスフィルタ(BPF)701を含む。なお、#1即ち最低周波数帯域のBPF701はローパスフィルタ(LPF)であってもよい。また、#m即ち最高周波数帯域のBPF701ははいパスフィルタ(HPF)であってもよい。
次に、フィルタ部403は、#1から#mの各BPF701の出力に対してそれぞれ所定の乗算係数を乗算する#1から#mの乗算部702を含む。各乗算係数は、図1又は図2のマウスピースセンサ部102内のバイトセンサ203、タンセンサ202、ボイスセンサ205、又はリップセンサ204の出力を適宜選択することにより、又は組み合わせて混合することにより決定される。
次に、フィルタ部403は、#1から#mの各乗算部702の出力を加算する加算部703と、その加算出力に対して所定の乗算係数を乗算し図4のフィルタ出力値409として出力する乗算部704を含む。この乗算係数は例えば、図1又は図2のマウスピースセンサ部102内の吹奏圧センサ201のセンサ出力データに基づいて決定される。適宜、他のセンサ出力データが用いられてもよい。
以上のフィルタ部403の構成により、可変遅延部401から出力される遅延出力値408に対して、マウスピースセンサ部102での演奏者による吹奏演奏に応じた豊かな音色変化を付与することが可能となる。この場合、前述したように、遅延出力値408としては持続音を出力することができるため、従来技術では実現し得なかった豊かな管楽器音を出力することが可能となる。
図8は、図4のフィルタ部403の第2の機能構成例を示すブロック図である。第2の機能構成例では、フィルタ部403は2タップのコーラスエフェクト装置として実現される。このとき、遅延時間を変調するLFO(低周波発振器)の周波数と利得を、マウスピースセンサ部102の各センサ出力データに基づいて制御することができる。
図8において、フィルタ部403はまず、各々図4の可変遅延部401からの遅延出力値408を入力し、遅延出力値408各々に設定された遅延量だけ遅延させる#1と#2の遅延部801を含む。
次に、フィルタ部403は、#1と#2の遅延部801に設定される各遅延量に対応する各周波数の低周波発信信号を生成するための#1と#2の低周波発振部(LFO)802を含む。このとき、例えば#1のLFO802の発振周波数はマウスピースセンサ部102内のボイスセンサ205のセンサ出力データに基づいて決定され、例えば#2のLFO802の発振周波数はマウスピースセンサ部102内のバイトセンサ203のセンサ出力データに基づいて決定される。適宜、他のセンサ出力データが用いられてもよい。
更に、フィルタ部403は、#1及び#2の各LFO802の各低周波発振部の低周波発振出力の利得を制御し、当該各利得が制御される各低周波発振信号を#1及び#2の各遅延部801の遅延量として入力させる#1及び#2の乗算部803(遅延量制御部)を含む。このとき、例えば#1の乗算部803の利得はマウスピースセンサ部102内のリップセンサ204のセンサ出力データに基づいて決定され、例えば#2の乗算部803の利得はマウスピースセンサ部102内のタンセンサ202のセンサ出力データに基づいて決定される。適宜、他のセンサ出力データが用いられてもよい。
次に、フィルタ部403は、#1及び#2の各遅延部801の出力を加算する加算部804と、その加算出力に対して所定の乗算係数を乗算し図4のフィルタ出力値409として出力する乗算部805を含む。この乗算係数は例えば、図1又は図2のマウスピースセンサ部102内の吹奏圧センサ201のセンサ出力データに基づいて決定される。適宜、他のセンサ出力データが用いられてもよい。
以上のフィルタ部403の構成により、可変遅延部401から出力される遅延出力値408に対して、マウスピースセンサ部102での演奏者による吹奏演奏に応じた豊かなコーラス効果を付与することが可能となる。この場合、前述したように、遅延出力値408としては持続音を出力することができるため、従来技術では実現し得なかった豊かな管楽器音を出力することが可能となる。
図9は、サンプリング割込みタイミング毎に演奏スイッチ部103の状態が変化した場合に、図3の楽音制御装置300のCPU301が実行するサンプリング割込み処理の例を示すフローチャートである。
図3のCPU301はまず、図1の演奏スイッチ部103の指穴スイッチの状態に基づいて遅延値と1波長の時間を算出し、図3の音源LSI304内のノートオン初期化部402に設定する(ステップS901)。これにより、ノートオン初期化部402が前述した制御処理により、初期楽音波形データのサンプル値を可変遅延部401に設定する。
次に、CPU301は、マウスピースセンサ部102の各センサ出力データに基づいて、図7又は図8を用いて前述したように、図3の音源LSI304内のフィルタ部403内の各部分を設定する(ステップS902)。これにより、フィルタ部403は、現在のサンプリング割込みタイミングでマウスピースセンサ部102から出力されている各センサ出力データに基づく特性で、フィルタリング処理を実行する。
次に、CPU301は、図3の音源LSI304内の図4及び図6の構成を有する音量検出部404から、音量値412を取得する(ステップS903)。
次に、CPU301は、ステップS903で取得した音量値412の逆数値を計算し、この逆数値に基づいて乗算係数を算出し、この乗算係数を図3の音源LSI304内の図4の乗算部405に設定する(ステップS904)。これにより、前述した乗算部405の動作により、フィルタ出力値409の信号レベルが一定になって持続音が継続するように、制御が行われる。
ステップS904の処理の後、CPU301は、今回のサンプリング割込みタイミングにおけるサンプリング割込み処理を終了する。
以上説明した実施形態は、DSP、ASIC、又はFPGA等により実現される図3の音源LSI304が、図4から図8のブロック図に対応する楽音制御装置300の機能を実現する場合について説明した。これに対して、音源LSI304を持たずに、CPU301のみがソフトウェア処理によって、図4から図8のブロック図に対応する楽音制御装置300の機能を実現することも可能である。
上述した実施形態において、図4の構成による負帰還制御において、マウスピースセンサ部102からのセンサ出力データの値によっては、図7の乗算部704又は図8の乗算部805により、音量値が小さくなり、その結果図4の乗算部405での乗算係数が極端に大きくなる場合が考えられる。そこで、本実施形態では、図9のステップS904で算出される音量値412の逆数に対応する乗算係数値が所定の閾値に比較して大きい値となったときには、CPU301は、音源LSI304に対して、楽音波形データ411の出力を停止させてノートオフさせるように制御する。
上述した図4のフィルタ部403としては、バンドパスフィルタやコーラスエフェクト装置の他に、フェーザエフェクト装置やレゾナンスフィルタなどの楽器エフェクタにあるようなフィルタ構成を与えても良い。また、自然管楽器の管特性を実現したフィルタ構成を与えても良い。
以上説明した実施形態によれば、マウスピースセンサ部102からの複数のセンサ出力データをフィードバック音源の楽音制御に与え、そのときにフィルタ出力値409の信号レベルが一定になるような音量制御を行うことにより、持続的な自励発振による自然管楽器に近い吹奏演奏を実現することが可能となる。
なお、管楽器以外のセンサ出力データを用いた電子楽器を実現することも可能である。
更に、センサ出力データを出力するセンサ手段は、図2に示されるようなマウスピースセンサ部102に限定されるものではなく、例えば吹奏者の唇を撮影するカメラからセンサ出力データを得るようにしても良い。
以上の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
音高指定に応答して、前記音高に対応して出力された波形データを遅延させた後、遅延された前記波形データをフィルタリングするフィルタ処理と、
遅延された前記波形データのレベルに基づいて、前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力する調整信号出力処理と、
前記調整信号に基づいて前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整する調整処理と、
を実行する処理部を備えることを特徴とする電子楽器。
(付記2)
前記処理部は、前記フィルタ処理において、
前記音高指定に応答して、前記音高に対応する波形データを設定する設定処理と、前記設定された波形データを遅延させる遅延処理と、遅延された前記波形データをフィルタリングするフィルタリング処理と、を実行する付記1に記載の電子楽器。
(付記3)
前記電子楽器はさらに、演奏操作を検出するセンサ部を有し、
前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記センサ部からの出力データに基づいて、遅延された前記波形データをフィルタリングする処理を実行する、付記1または2に記載の電子楽器。
(付記4)
前記センサ部は、吹奏圧、リップ操作、タン操作、バイト操作、又はボイス操作の何れか1つ以上の演奏操作を検出するマウスピースセンサである、付記3に記載の電子楽器。
(付記5)
前記処理部は、前記調整処理において、前記設定処理により設定された波形データに代えて、レベルの調整された前記波形データに対して前記遅延処理を実行する、付記2乃至4のいずれかに記載の電子楽器。
(付記6)
前記処理部は、前記調整信号出力処理において、
前記遅延処理にて遅延された波形データを平滑化し、前記平滑化された波形データのレベルに基づいて、前記フィルタ処理された前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力する処理を実行する、付記2乃至5のいずれかに記載の電子楽器。
(付記7)
前記電子楽器はさらに、各々遅延出力値を入力し、前記遅延出力値の周波数成分のうち各々に設定された各周波数帯域の周波数成分のみを通過させて出力する複数の帯域通過フィルタ部を有し、
前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記センサ部からのセンサ出力データに基づいて、前記各帯域通過フィルタ部の利得を制御するフィルタ利得制御処理と、前記複数の帯域通過フィルタ部の各出力を加算して出力するフィルタ出力処理と、を実行する付記3乃至6の何れかに記載の電子楽器。
(付記8)
前記電子楽器はさらに、各々前記遅延出力値を入力し、当該遅延出力値を各々に設定された遅延量だけ遅延させる複数の遅延部と、前記センサからの1つ以上のセンサ出力データに基づいて、各々前記複数の遅延部に設定される各遅延量に対応する各発振周波数の低周波発振信号を生成するための複数の低周波発振部と、を有し、
前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記センサ部からの1つ以上のセンサ出力データに基づいて、前記各低周波発振部の低周波発振信号の利得を制御し、当該各利得が制御される各低周波発振信号を前記各遅延量として入力させる遅延量制御処理と、前記複数の遅延部の各出力を加算して出力するフィルタ出力処理と、を実行する付記3乃至6の何れかに記載の電子楽器。
(付記9)
前記処理部は、前記調整信号出力処理において、前記平滑化された波形データのレベルの逆数を、前記フィルタ処理された前記波形データのレベルを調整するための調整信号として出力する処理を実行する付記6に記載の電子楽器。
(付記10)
処理部を備えた電子楽器に用いられる音波形発生方法であって、前記処理部は、
音高指定に応答して、前記音高に対応して出力された波形データを遅延させた後、遅延された前記波形データをフィルタリングし、
遅延された前記波形データのレベルに基づいて、前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力し、
前記調整信号に基づいて前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整する、音波形発生方法。
(付記11)
電子楽器を制御するコンピュータに、
指定された音高値に対応する楽音波形を遅延させ、
前記指定された音高値に基づいて、前記楽音波形を遅延させる処理に前記音高値に対応する初期楽音波形データを設定し、
演奏操作を検出するセンサ部からの1つ以上のセンサ出力データに基づいて、前記楽音波形を遅延させる処理の遅延出力値に対してフィルタリング処理を実行し、
前記遅延出力値の波高値から音量値を検出し、
前記音量値に基づいて前記フィルタリング処理のフィルタ出力値を正規化させ、得られる正規化フィルタ出力値を前記楽音波形を遅延させる処理に帰還させ、
前記正規化フィルタ出力値を楽音波形データとして出力する、
処理を実行させるためのプログラム。
100 電子管楽器
102 マウスピースセンサ部
105 スピーカ部
201 吹奏圧センサ
202 タンセンサ
203 バイトセンサ
204 リップセンサ
205 ボイスセンサ
300 楽音制御装置
401 可変遅延部
402 ノートオン初期化部
403 フィルタ部
404 音量検出部

Claims (11)

  1. 音高指定に応答して、前記音高に対応する波形データを設定する設定処理と、前記設定された波形データを遅延させる遅延処理と、遅延された前記波形データをフィルタリングするフィルタリング処理と、を実行するフィルタ処理と、
    遅延された前記波形データのレベルに基づいて、前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力する調整信号出力処理と、
    前記調整信号に基づいて前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整する調整処理と、
    を実行する処理部を備えることを特徴とする電子楽器。
  2. 前記電子楽器はさらに、演奏操作を検出するセンサ部を有し、
    前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記センサ部からの出力データに基づいて、遅延された前記波形データをフィルタリングする処理を実行する、請求項1に記載の電子楽器。
  3. 前記センサ部は、吹奏圧、リップ操作、タン操作、バイト操作、又はボイス操作の何れか1つ以上の演奏操作を検出するマウスピースセンサである、請求項2に記載の電子楽器。
  4. 前記処理部は、前記調整処理において、前記設定処理により設定された波形データに代えて、レベルの調整された前記波形データに対して前記遅延処理を実行する、請求項1乃至3に記載の電子楽器。
  5. 前記処理部は、前記調整信号出力処理において、
    前記遅延処理にて遅延された波形データを平滑化し、前記平滑化された波形データのレベルに基づいて、前記フィルタ処理された前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力する処理を実行する、請求項2乃至3のいずれかに記載の電子楽器。
  6. 前記電子楽器はさらに、各々遅延出力値を入力し、前記遅延出力値の周波数成分のうち各々に設定された各周波数帯域の周波数成分のみを通過させて出力する複数の帯域通過フィルタ部を有し、
    前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記センサ部からのセンサ出力データに基づいて、前記各帯域通過フィルタ部の利得を制御するフィルタ利得制御処理と、前記複数の帯域通過フィルタ部の各出力を加算して出力するフィルタ出力処理と、を実行する請求項2、3または5の何れかに記載の電子楽器。
  7. 前記電子楽器はさらに、各々前記遅延出力値を入力し、当該遅延出力値を各々に設定された遅延量だけ遅延させる複数の遅延部と、前記センサ部からの1つ以上のセンサ出力データに基づいて、各々前記複数の遅延部に設定される各遅延量に対応する各発振周波数の低周波発振信号を生成するための複数の低周波発振部と、を有し、
    前記処理部は、前記フィルタ処理において、前記センサ部からの1つ以上のセンサ出力データに基づいて、前記各低周波発振部の低周波発振信号の利得を制御し、当該各利得が制御される各低周波発振信号を前記各遅延量として入力させる遅延量制御処理と、前記複数の遅延部の各出力を加算して出力するフィルタ出力処理と、を実行する請求項2、3、5または6の何れかに記載の電子楽器。
  8. 前記処理部は、前記調整信号出力処理において、前記平滑化された波形データのレベルの逆数を、前記フィルタ処理された前記波形データのレベルを調整するための調整信号として出力する処理を実行する請求項5に記載の電子楽器。
  9. 処理部を備えた電子楽器に用いられる音波形発生方法であって、前記処理部は、
    音高指定に応答して、前記音高に対応する波形データを設定し、この設定された波形データを遅延させ、この遅延された前記波形データをフィルタリングし、
    遅延された前記波形データのレベルに基づいて、前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力し、
    前記調整信号に基づいて前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整する、音波形発生方法。
  10. 電子楽器を制御するコンピュータに、
    指定された音高値に対応する楽音波形を遅延させ、
    前記指定された音高値に基づいて、前記楽音波形を遅延させる処理に前記音高値に対応する初期楽音波形データを設定し、
    演奏操作を検出するセンサ部からの1つ以上のセンサ出力データに基づいて、前記楽音波形を遅延させる処理の遅延出力値に対してフィルタリング処理を実行し、
    前記遅延出力値の波高値から音量値を検出し、
    前記音量値に基づいて前記フィルタリング処理のフィルタ出力値を正規化させ、得られる正規化フィルタ出力値を前記楽音波形を遅延させる処理に帰還させ、
    前記正規化フィルタ出力値を楽音波形データとして出力する、
    処理を実行させるためのプログラム。
  11. 吹奏圧、リップ操作、タン操作、バイト操作、又はボイス操作の何れか1つ以上の演奏操作を検出するマウスピースセンサであるセンサ部と、
    音高指定に応答して、前記音高に対応する波形データを設定する設定処理と、前記設定された波形データを遅延させる遅延処理と、遅延された前記波形データを前記センサ部からの出力データに基づいてフィルタリングするフィルタリング処理と、を実行するフィルタ処理と、
    遅延された前記波形データのレベルに基づいて、前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整するための調整信号を出力する調整信号出力処理と、
    前記調整信号に基づいて前記フィルタリングされた前記波形データのレベルを調整する調整処理と、
    を実行する処理部を備えることを特徴とする電子楽器。
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