以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
なお、特に説明しない限り、本願における「周方向」とは、シャフトの周方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸方向」とは、シャフトの軸方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸垂直方向」とは、シャフトの軸方向に対して直角に交わる方向を意味する。特に説明しない限り、本願における断面とは、シャフトの軸線に対して垂直な平面に沿った断面を意味する。特に説明しない限り、シャフトの軸方向におけるグリップ側が上側とされ、シャフトの軸方向におけるソール側が下側とされる。
図1は、本発明の第1実施形態であるゴルフクラブ100を示す。図1は、ゴルフクラブ100のヘッド近傍のみを示している。図2は、ゴルフクラブ100をソール側から見た斜視図である。図3は、ゴルフクラブ100の分解斜視図である。
ゴルフクラブ100は、ヘッド200、シャフト300、スリーブ400、スペーサー500及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ400とスペーサー500とで、逆テーパー係合部600が構成されている。逆テーパー係合部600は、シャフト300の先端部に配置されている。逆テーパー係合部600の外面は、スペーサー500によって形成されている。
ヘッド200のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド200は、ウッド型ヘッドである。ヘッド200は、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。ウッド型ヘッドは、ドライバーヘッドでもよいし、フェアウェイウッドのヘッドでもよい。
シャフト300は限定されず、例えば、カーボンシャフト及びスチールシャフトが用いられうる。
図示されていないが、シャフト300の直径は、軸方向位置によって変化している。グリップ側にいくにつれて、シャフト300の直径は大きくなっている。スペーサー500は、シャフト300の先端部に固定されている。シャフト300の先端部は、シャフト300において最も細い部分である。
本実施形態では、スペーサー500の数は1個である。後述されるように、スペーサー500は無くてもよい。後述されるように、スペーサー500の数は2個であってもよい。後述されるように、スペーサー500の数は3個以上であってもよい。なお、スペーサーが無い場合、逆テーパー係合部は、スリーブのみによって構成される。
ヘッド200は、ホーゼル部202を有している。ホーゼル部202は、ホーゼル孔204を有する。このホーゼル孔204は、逆テーパー孔を構成している。この逆テーパー孔204の形状は、逆テーパー係合部600の外面の形状に対応している。換言すれば、この逆テーパー孔204の形状は、スペーサー500の外面の形状に対応している。係合状態において、逆テーパー係合部600の外面(スペーサー500の外面)は、ホーゼル孔204に面接触している。逆テーパー係合部600の外面は複数(4つ)の平面を有するが、これらの平面の全てが、ホーゼル孔204に面接触している。
ホーゼル部202は、ホーゼルスリット206を有する。ホーゼルスリット206は、ホーゼル部202の側方に設けられている。ホーゼルスリット206は、ホーゼル孔204の内部とヘッドの外部との間に形成された開口である。ホーゼルスリット206は、軸方向上側に開放されており、且つ、軸方向下側にも開放されている。ホーゼルスリット206は、ホーゼル部202のヒール側に設けられている。ホーゼルスリット206により、逆テーパー孔204の一部が欠落している。
図3には、ホーゼルスリット206の幅Wsが示されている。幅Wsは、シャフト300の直径よりも大きい。幅Wsは、少なくとも、シャフト300の最も細い部分の直径よりも大きい。このため、ホーゼルスリット206は、シャフト300を通過させうる。ホーゼルスリット206は、軸直角方向に移動するシャフト300を通過させうる。軸直角方向とは、シャフト300の軸線に対して直角の方向である。
ホーゼルスリット206により、ホーゼル孔204の周方向における一部が欠落している。逆テーパー係合部600の保持性を高める観点から、幅Wsは小さいほうが好ましい。例えば、幅Wsは、シャフト300の露出部の最も細い部分(例えば、逆テーパー係合部600に隣接した部分)よりも大きければよい。露出部とは、スリーブ及びグリップが取り付けられておらず、外部に露出している部分を意味する。言うまでも無いが、幅Wsは、逆テーパー係合部600が通過できないように設定される。逆テーパー係合部600は、ホーゼルスリット206を通過できない。
通常のヘッドと同様に、ヘッド200は、クラウン208、ソール210及びフェース212を有している(図1から3を参照)。
図3が示すように、スリーブ400は、内面402と外面404とを有する。内面402は、シャフト孔を形成している。内面402の断面形状は、円形である。内面402の形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402は、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
外面404は、角錐面である。外面404は、四角錐面である。外面404の断面形状は、非円形である。外面404の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面404の断面形状は、四角形である。外面404の断面形状は、正方形である。外面404の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400は逆テーパー形状である。
図3が示すように、スペーサー500は、内面502と外面504とを有する。内面502は、スリーブ孔を形成している。内面502の断面形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502に、スリーブ400の外面404がはめ込まれる。換言すれば、スペーサー500の内側にスリーブ400がはめ込まれる。スペーサー500は、スリーブ400に接着されていない。スペーサー500は、スリーブ400に接触しているだけである。
内面502の形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502は、角錐面である。内面502は、四角錐面である。内面502の断面形状は、非円形である。内面502の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面502の断面形状は、四角形である。内面502の断面形状は、正方形である。内面502の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。
外面504(逆テーパー係合部600の外面)の形状は、逆テーパー孔204の形状に対応している。外面504は、角錐面である。外面504は、四角錐面である。外面504の断面形状は、非円形である。外面504の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面504の断面形状は、四角形である。外面504の断面形状は、正方形である。外面504の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スペーサー500は、逆テーパー形状である。スリーブ400とスペーサー500とで、逆テーパー係合部600が構成されている。
図4は、ゴルフクラブ100のシャフト300がヘッド200に装着される手順を示す。
この装着では、先ず、シャフトアッセンブリ700が用意される(図4の(a);第1ステップ)。シャフトアッセンブリ700は、シャフト300と、スリーブ400と、スペーサー500とを有する。スペーサー500にシャフト300が挿通された後に、スリーブ400がシャフト300の先端部に固定されて、シャフトアッセンブリ700が得られる。シャフトアッセンブリ700において、スリーブ400はシャフト300に固定されているが、スペーサー500はシャフト300に固定されていない。スペーサー500は、シャフト300が挿通された状態で、軸方向に移動しうる(図4の(a)を参照)。ただし、スリーブ400の存在により、スペーサー500がシャフト300から脱落することはない。
次に、このシャフトアッセンブリ700において、スペーサー500がスリーブ400の外面に当接するまで移動される(図4の(b);第2ステップ)。即ち、スペーサー500は、シャフトアッセンブリ700の最も先端側に移動される。この移動により、スリーブ400にスペーサー500が係合し、逆テーパー係合部600が完成する。
次に、シャフト300にホーゼルスリット206を通過させ、シャフト300を逆テーパー孔204の内側に移動させる(図4の(c);第3ステップ)。このシャフト300の移動の結果、逆テーパー係合部600は、ヘッド200のソール210側に移動する。
最後に、シャフト300(シャフトアッセンブリ700)を軸方向に沿ってグリップ側に移動させ、逆テーパー係合部600を逆テーパー孔204にはめ込む(図4の(d);第4ステップ)。このはめ込みにより、ヘッド200に対するシャフト300の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ100が使用可能な状態である。係合状態では、全ての逆テーパー嵌合が達成されている。
このように、シャフト300(シャフトアッセンブリ700)をヘッド200に取り付けるのは容易である。加えて、上述した第2から第4ステップと逆の手順により、シャフト300(シャフトアッセンブリ700)をヘッド200から取り外すのも容易である。ゴルフクラブ100では、シャフト300がヘッド200に取り外し可能に取り付けられている。
図5は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100の断面図である。図5は、シャフト300の先端部近傍の拡大断面図である。本実施形態では、スリーブ400の内面402の軸線Z1が、スリーブ400の外面404の軸線(図示されず)に対して傾斜している。換言すれば、シャフト300の軸線Z2が、スリーブ400の外面404の軸線(図示省略)に対して傾斜している。また、スペーサー500の内面502の軸線(図示省略)が、スペーサー500の外面504の軸線Z3に対して傾斜している。換言すれば、スペーサー500の内面502の軸線(図示省略)が、ヘッド200の逆テーパー孔204の軸線Z4に対して傾斜している。結果として、シャフト300の軸線Z2が、ヘッド200の逆テーパー孔204の軸線Z4に対して傾斜している。
図6は、ヘッド200をソール側から見た斜視図である。ヘッド200は、脱落防止機構220を有する。脱落防止機構220は、設置面222に設けられている。脱落防止機構220は、逆テーパー係合部600の係合解除方向への移動を規制する。
図7は、脱落防止機構220近傍の断面図である。 なお、図7は、図6に対して、上下が逆になっている。
脱落防止機構220は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部224を有する。本実施形態では、弾性突出部224は、板バネ226である。図7は、外力が作用していない自然状態における脱落防止機構220の断面図である。この自然状態において、板バネ226は、逆テーパー孔204に近づくほど設置面222からの突出高さHtが大きくなるように構成されている。上記自然状態において、脱落防止機構220は、逆テーパー孔204にはめ込まれた逆テーパー係合部600の端面(下端面)602に当接する当接面228を有する。当接面228が端面602に当接することで、逆テーパー係合部600の係合解除方向への移動が規制される。
板バネ226を押圧すると、板バネ226は、突出高さHtが少なくなるように退行する。この退行により、当接面228はヘッド200の内部に収容され、当接面228は端面602と当接できない状態となる。この状態では、逆テーパー係合部600を係合解除方向に移動することが可能である。よって、シャフトアッセンブリ700をヘッド200から取りはずすことができる。
上述した第1ステップから第4ステップのうちの第3ステップにおいて、逆テーパー係合部600は板バネ226を押圧しながら逆テーパー孔204に向かって移動する。逆テーパー係合部600が逆テーパー孔204と当接(係合)する位置にまで達したとき、逆テーパー係合部600による板バネ226の押圧は無くなり、板バネ226が突出する。この結果、当接面228が端面602に当接し、脱落防止機構220がその機能を発揮する。
脱落防止機構220の機能を解除するときは、外力によって板バネ226を押圧し、当接面228と端面602との当接を解除する。外力は、例えば人間の指によって付与される。
本願では、係合解除方向及び係合方向が定義される。本願において係合解除方向とは、軸方向に沿った方向であり、逆テーパー係合部600が逆テーパー孔204に対してソール側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合解除方向とは、逆テーパー孔204が逆テーパー係合部600に対してグリップ側に移動する方向を意味する。逆テーパー係合部600が係合解除方向に移動すると、逆テーパー係合部600は逆テーパー孔204から抜ける。一方、本願において係合方向とは、軸方向に沿った方向であり、逆テーパー係合部600が逆テーパー孔204に対してグリップ側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合方向とは、逆テーパー孔204が逆テーパー係合部600に対してソール側に移動する方向を意味する。
係合状態のゴルフクラブ100では、逆テーパー係合部600と逆テーパー孔204との間で逆テーパー嵌合が形成されている。係合方向の力は、この逆テーパー嵌合を解除することはできず、逆にこの逆テーパー嵌合の接触圧力を高める。係合方向の力は、逆テーパー係合部600と逆テーパー孔204との係合をより一層確実とする。
また、係合方向の力は、スリーブ400とスペーサー500との接触圧力を高める。係合方向の力は、スリーブ400とスペーサー500との係合をより一層確実とする。
ゴルフクラブ100のヘッド200に作用する大きな力は、スイング中の遠心力、及び、インパクトでの衝撃力である。これらのうち、遠心力は、上述した係合方向の力である。また、ヘッド200のロフト角に起因して、上記衝撃力の軸方向における分力も、係合方向の力である。よって、遠心力及び衝撃力は、逆テーパー係合部600と逆テーパー孔204との係合を解除することはできず、逆にこの係合をより一層確実とする。また、逆テーパー係合部600及び逆テーパー孔204は、断面形状が非円形であることから、両者の間で相対回転が生じることはない。結果として、逆テーパー係合部600と逆テーパー孔204の間が接着剤等で固定されていないにも関わらず、ゴルフクラブとして必要な抜け止め及び回り止めが達成される。この逆テーパー嵌合の構造は、固定力と着脱容易性とを両立しうる。
一方、スイング以外の場面では、ゴルフクラブ100に係合解除方向の力が作用する場合がある。例えば、ゴルフクラブ100がゴルフバックに差し込まれている状態である。この状態では、ゴルフクラブ100は、ヘッド200を上側にして立てられている。この場合、ヘッド200に作用する重力は、上記係合解除方向の力として作用する。脱落防止機構220の存在により、この係合解除方向の力が作用しても、ヘッド200は脱落しない。
遠心力、衝撃力等に起因する係合方向の力に比べて、この係合解除方向の力は小さい。よって、脱落防止機構220には、大きな力は作用しない。脱落防止機構220は、簡易的な機構でよい。
図8は、変形例に係る脱落防止機構230の断面図である。上記脱落防止機構220と同様に、この脱落防止機構230は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部232を有する。弾性突出部232は、圧縮バネ234とスライド部材236とスライド孔238とを有する。スライド部材236は、例えば、円柱部材とされる。スライド孔238は、例えば、円形孔とされる。
圧縮バネ234は、スライド部材236を突出方向に付勢している。外力が作用しない自然状態において、スライド部材236は、端面602と当接する位置にある。図8は、この自然状態を示す。スライド部材236を押圧すると、スライド部材236は、突出高さHtが小さくなるように退行する。この退行により、スライド部材236と端面602との係合が解除される。このように、脱落防止機構230の機能は、前述の脱落防止機構220と同様である。
他の脱落防止機構として、例えば、取り外し可能に取り付けられる着脱部材が挙げられる。この着脱部材は、係合状態のゴルフクラブ100において端面602に当接する位置に取り付けられる。ヘッド200を取り外す際には、この着脱部材が取り外される。このような着脱部材を含む着脱機構として、例えば、特開2013−123439号公報に記載の着脱機構が挙げられる。この公報における重量体が、上記着脱部材に応用されうる。例えば、装着状態(係合ポジション)にある着脱部材がヘッド本体から突出し、この突出部分が端面602に当接する構成が採用されうる。
図9は、本発明の第2実施形態であるゴルフクラブ1100の分解斜視図である。図10は、係合状態のゴルフクラブ1100の断面図である。図10は、ホーゼル近傍におけるゴルフクラブ1100の断面図である。
ゴルフクラブ1100は、ヘッド1200、シャフト1300、スリーブ1400、第1スペーサー1500、第2スペーサー1550及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ1400と第1スペーサー1500と第2スペーサー1550とで、逆テーパー係合部1600が構成されている。逆テーパー係合部1600は、シャフト1300の先端部に配置されている。逆テーパー係合部1600の外面は、第2スペーサー1550(最も外側のスペーサー)によって形成されている。
本実施形態では、第1スペーサー1500及び第2スペーサー1550が用いられている。本実施形態では、スペーサーの数は2個である。第2スペーサー1550は、第1スペーサー1500の外側に位置する。第2スペーサー1550が、最も外側のスペーサーである。
ヘッド1200は、ホーゼル部1202を有している。ホーゼル部1202は、ホーゼル孔1204を有する。このホーゼル孔1204は、逆テーパー孔を構成している。この逆テーパー孔1204の形状は、逆テーパー係合部1600の外面の形状に対応している。換言すれば、この逆テーパー孔1204の形状は、第2スペーサー1550の外面の形状に対応している。係合状態において、逆テーパー係合部1600の外面(第2スペーサー1550の外面)は、ホーゼル孔1204に面接触している。
ホーゼル部1202は、ホーゼルスリット1206を有する。ホーゼルスリット1206は、ホーゼル部1202の側方に設けられている。ホーゼルスリット1206は、ホーゼル部1202のヒール側に設けられている。
図9が示すように、スリーブ1400は、内面1402と外面1404とを有する。内面1402は、シャフト孔を形成している。内面1402の断面形状は、円形である。内面1402の形状は、シャフト1300の外面に対応している。内面1402は、シャフト1300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ1400は、シャフト1300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
外面1404は、角錐面である。外面1404は、四角錐面である。外面1404の断面形状は、非円形である。外面1404の断面形状は、正方形である。外面1404の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。このように、スリーブ1400は逆テーパー形状である。
図9が示すように、第1スペーサー1500は、内面1502と外面1504とを有する。内面1502は、スリーブ孔を形成している。内面1502の断面形状は、スリーブ1400の外面1404に対応している。内面1502に、スリーブ1400の外面1404がはめ込まれる。換言すれば、第1スペーサー1500の内側にスリーブ1400がはめ込まれる。第1スペーサー1500は、スリーブ1400に接着されていない。第1スペーサー1500は、スリーブ1400に接触しているだけである。
内面1502の形状は、スリーブ1400の外面1404に対応している。内面1502は、角錐面である。内面1502は、四角錐面である。内面1502の断面形状は、非円形である。内面1502の断面形状は、正方形である。内面1502の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。
外面1504の形状は、第2スペーサー1550の内面1552の形状に対応している。外面1504は、角錐面である。外面1504は、四角錐面である。外面1504の断面形状は、非円形である。外面1504の断面形状は、正方形である。外面1504の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。このように、第1スペーサー1500は、逆テーパー形状である。
図9が示すように、第2スペーサー1550は、内面1552と外面1554とを有する。内面1552は、第1スペーサー1500と係合する孔を形成している。内面1552の断面形状は、第1スペーサー1500の外面1504に対応している。内面1552に、第1スペーサー1500の外面1504がはめ込まれる。換言すれば、第2スペーサー1550の内側に第1スペーサー1500がはめ込まれる。第2スペーサー1550は、第1スペーサー1500に接着されていない。第2スペーサー1550は、第1スペーサー1500に接触しているだけである。
内面1552の形状は、第1スペーサー1500の外面1504に対応している。内面1552は、角錐面である。内面1552は、四角錐面である。内面1552の断面形状は、非円形である。内面1552の断面形状は、正方形である。内面1552の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。
最も外側のスペーサー(第2スペーサー1550)の外面1554は、逆テーパー係合部1600の外面でもある。この外面1554の形状は、逆テーパー孔1204の形状に対応している。外面1554は、角錐面である。外面1554は、四角錐面である。外面1554の断面形状は、非円形である。外面1554の断面形状は、正方形である。外面1554の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。このように、第2スペーサー1550は、逆テーパー形状である。スリーブ1400と第1スペーサー1500と第2スペーサー1550とで、逆テーパー係合部1600が構成されている。
図10を参照して、本実施形態では、スリーブ1400の内面1402の軸線Z10は、スリーブ1400の外面1404の軸線Z11に対して傾斜していない。軸線Z10は、スリーブ1400の外面1404の軸線Z11に一致している。シャフト1300の軸線Z12は、スリーブ1400の外面1404の軸線Z11に一致している。第1スペーサー1500の内面1502の軸線(図示省略)は、第1スペーサー1500の外面1504の軸線(図示省略)に対して傾斜している。更に、第2スペーサー1550の内面1552の軸線(図示省略)は、第2スペーサー1550の外面1554の軸線(図示省略)に対して傾斜している。2つのスペーサーが用いられることで、シャフト1300の軸線Z12の調節の自由度が高められている。
なお、ヘッド1200は、前述した脱落防止機構220と同じ構造の脱落防止機構1220を有している。
図11は、前述したゴルフクラブ1100と、このゴルフクラブ1100のヘッド1200に取り付けられるカバー部材1110とを示す分解斜視図である。カバー部材1110は、ヘッド1200に、取り外し可能に取り付けられる。例えば、カバー部材1110は、スライド機構によってヘッド1200に取り付けられてもよい。カバー部材1110は、ホーゼルスリット120の少なくとも一部を覆う。本実施形態では、カバー部材1110は、ホーゼルスリット120の全部を覆う。カバー部材1110により、ホーゼルスリット1206が見えなくなる。又は、カバー部材1110により、ホーゼルスリット1206は見えにくくなる。カバー部材1110は、外観上の違和感を抑制しうる。なお、アドレス状態のゴルフクラブ1100において、ホーゼルスリット1206はゴルファーから見えない。よって、カバー部材1110が無くても、ホーゼルスリット1206がアドレス時に違和感を生じさせることは無い。
以上に例示したとおり、スペーサーの数は、1個でもよいし、2個でもよい。スペーサーの数は、3個以上でもよい。また、スペーサーは無くても良い。
スペーサーが無い場合、逆テーパー係合部は、スリーブのみによって構成される。1以上のスペーサーが用いられる場合、逆テーパー係合部は、スリーブと全てのスペーサーとによって構成される。
スペーサーが無い場合、逆テーパー係合部としてのスリーブが、ホーゼル孔の逆テーパー孔に係合する。この場合、スリーブと逆テーパー孔との間で逆テーパー嵌合が形成される。この逆テーパー嵌合では、係合方向の力によって接触圧力が高まり、強固な係合が形成される。スイング時に作用する大きな力は、全て係合方向の力である。よって、回り止め及び抜け止めが達成される。
スペーサーの数が1個の場合、スリーブの外側に位置するスペーサーが、ホーゼル孔の逆テーパー孔に係合する。この場合、スペーサーと逆テーパー孔との間で逆テーパー嵌合が形成される。また、スリーブとスペーサーとの間で逆テーパー嵌合が形成される。これらの逆テーパー嵌合では、係合方向の力によって接触圧力が高まり、強固な係合が形成される。よって、回り止め及び抜け止めが達成される。
スペーサーの数が2個の場合、第2スペーサー(最も外側に位置するスペーサー)が、ホーゼル孔の逆テーパー孔に係合する。この場合、第2スペーサーと逆テーパー孔との間で逆テーパー嵌合が形成される。また、第1スペーサーと第2スペーサーとの間で逆テーパー嵌合が形成される。また、スリーブと第1スペーサーとの間で逆テーパー嵌合が形成される。これらの逆テーパー嵌合では、係合方向の力によって接触圧力が高まり、強固な係合が形成される。よって、回り止め及び抜け止めが達成される。
図12は、変形例に係るスペーサー1700の斜視図である、図13(a)は、図12のA−A線に沿った断面図である。スペーサー1700は、交換可能なスペーサーの一例である。
前述したスペーサー500等と同様に、スペーサー1700は、内面1702と外面1704とを有する。
前述したスペーサー500等は、その全体が一体的に成形されている。これに対して、スペーサー1700は、分割構造を有する。スペーサー1700は、第1分割体1710と、第2分割体1720とを有する。図12では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体1710と第2分割体1720との境界である。
スペーサー1700は、連結部1730を有する。本実施形態では、連結部1730は、板バネである。この板バネは、弾性体である。本実施形態では、2つの連結部1730が設けられている。連結部1730の一方側が第1分割体1710に固定されており、連結部1730の他方側が第2分割体1720に固定されている。
連結部1730は、外面1704に設けられた凹部に収容されている。連結部1730は、外面1704よりも外側に突出していない。連結部1730は、外面1704がはめ込まれる逆テーパー面と外面1704との接触を阻害しない。外面1704がはめ込まれる逆テーパー面とは、ヘッドの逆テーパー孔か、又は、他のスペーサーの内面である。
連結部1730は、蝶番の役割を果たす。連結部1730を中心として、スペーサー1700は開く。外力により、スペーサー1700は開く。この開いた状態が、図13(a)において二点鎖線で示されている。連結部1730(板バネ)が曲がることで、スペーサー1700は開く。開いた状態では、第1分割体1710と第2分割体1720との間に隙間gpが生じる。この隙間gpから、シャフトをスペーサー1700の内側に入れることができる。シャフトが入った状態で、スペーサー1700は閉じられる。板バネ1730は、閉じた状態となるようにスペーサー1700を付勢している。よって、外力が無くなると、スペーサー1700は閉じる。
この開閉式のスペーサー1700は、スペーサーの交換を可能とする。図4(a)が示すように、シャフトアッセンブリ700において、スペーサー500は、シャフト300の上を軸方向に動きうるが、シャフト300から分離され得ない。なぜなら、スリーブ400がシャフト300に着脱不能に固定されているからである。しかし、スペーサー1700は、シャフト300を側方から取り入れることができる。よって、スリーブ400が固定されたシャフト300に対して、スペーサー1700の取り付け及び取り外しが可能である。
なお、スペーサー1700は、第1分割体1710と第2分割体1720との位置ズレを防止する位置合わせ構造を有する。この位置合わせ構造として、平板の継ぎ合わせ構造が適用されうる。図13(a)の実施形態は、位置合わせ構造の一例を含む。この位置合わせ構造では、第1部材の段差と第2部材の段差とが付き合わされている。第1部材における厚み方向の外側と、第2部材における厚み方向の内側とが重ねられている。なお、上記第1部材とは、第1分割体1710又は第2分割体1720の一方であり、上記第2部材とは、第1分割体1710又は第2分割体1720の他方である。
図13(b)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造も、平板の継ぎ合わせ構造として知られている。この位置合わせ構造では、第1部材の凸と第2部材の凹とが付き合わされている。第1部材における厚み方向の中央側と、第2部材における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。なお、上記第1部材とは、第1分割体1710又は第2分割体1720の一方であり、上記第2部材とは、第1分割体1710又は第2分割体1720の他方である。
図13(c)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造も、平板の継ぎ合わせ構造として知られている。この位置合わせ構造では、第1部材の凸と第2部材の凹とが付き合わされている。第1部材の凸の断面は斜面により構成されている。第2部材の凹の断面は斜面により構成されている。第1部材における厚み方向の中央側と、第2部材における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。なお、上記第1部材とは、第1分割体1710又は第2分割体1720の一方であり、上記第2部材とは、第1分割体1710又は第2分割体1720の他方である。
図13(a)から(c)に示されるような位置合わせ構造は、厚み方向の位置ズレを防止する。加えて、軸方向の位置ズレを防止する構造が採用されうる。例えば、図13(a)から(c)に示されるような位置合わせ構造が軸方向の一部のみに採用されることで、軸方向の位置ズレも防止されうる。例えば、図13(a)の実施形態では、上記位置合わせ構造が、軸方向における中間部分のみに採用されており、他の部分(上端部分及び下端部分)では上記位置合わせ構造が採用されていない。
図14は、他の変形例に係るスペーサー1800の斜視図である。前述したスペーサー500等と同様に、スペーサー1800は、内面1802と外面1804とを有する。
スペーサー1700と同様に、スペーサー1800は、分割構造を有する。スペーサー1800は、第1分割体1810と、第2分割体1820とを有する。図14では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体1810と第2分割体1820との境界である。
スペーサー1800は、リング状の弾性体1830、1840を有する。更に、スペーサー1800は、周溝1850、1860を有する。弾性体1830、1840は、周溝1850、1860に嵌められている。弾性体1830、1840は、外面1804よりも外側に突出していない。弾性体1830、1840は、外面1804がはめ込まれる逆テーパー面と外面1804との接触を阻害しない。外面1804がはめ込まれる逆テーパー面とは、ヘッドの逆テーパー孔か、又は、他のスペーサーの内面である。
外力を加えて伸ばすことにより、弾性体1830、1840は取り外されうる。弾性体1830、1840が取り外されると、第1分割体1810と第2分割体1820とは互いに分離されうる。逆に、第1分割体1810と第2分割体1820とを突き合わせた後、弾性体1830、1840を取り付けることができる。弾性体1830、1840の弾性的な収縮力が、2つの分割体1810、1820を突き合わせるように付勢している。例えば、このようなスペーサー1800も、スペーサーの交換を可能とする。
スペーサー1700及びスペーサー1800は、第1分割体と、第2分割体とを有している。上記第1分割体と上記第2分割体とが結合した結合状態と、上記第1分割体と上記第2分割体との間に隙間が形成された分離状態との相互移行が可能である。上記分離状態において、上記シャフトを上記隙間を通過させてスペーサーの内部に配置することができる。
[スリーブの回転位置]
スリーブは、それ自身の軸線回りに回転されうる。この回転によって、スリーブの回転位置が変化する。係合状態において、スリーブは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スリーブの外面の形状に基づいて定まる。
[スペーサーの回転位置]
スペーサーは、それ自身の軸線回りに回転されうる。この回転によって、スペーサーの回転位置が変化する。係合状態において、スペーサーは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スペーサーの外面の形状に基づいて定まる。
[シャフト軸線の位置及び方向の調節]
シャフト孔の軸線(シャフトの軸線)は、スリーブの外面の軸線に対してズラすことができる。これらの軸線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スリーブの回転位置によって、シャフトの軸線の方向及び/又は位置が変化しうる。
また、スペーサーの内面の軸線は、スペーサーの外面の軸線に対してズラすことができる。これらの軸線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スペーサーの回転位置によって、シャフトの軸線の方向及び/又は位置が変化しうる。
スペーサーの回転位置は、スリーブの回転位置とは独立して選択されうる。また、複数のスペーサーが用いられている場合、各スペーサーの回転位置はそれぞれ独立して選択されうる。スペーサーにより、上記調節の自由度は高まる。複数のスペーサーにより、この調節の自由度は更に高まる。これらの観点より、スペーサーの数は、1又は2以上が好ましい。調節の複雑性及びホーゼル部の小型化を考慮すると、スペーサーの数は、1又は2がより好ましい。
図15から20は、逆テーパー係合部の端面(下端面)の平面図である。これらの平面図を用いて、シャフト軸線の位置及び方向の変化が説明される。
図15から18は、スペーサーが1個である実施形態Aの、上記下端面の平面図である。この実施形態では、スリーブsv1とスペーサーsp1とが用いられている。ホーゼル孔の下端におけるシャフトの軸線の位置Zsは、実線同士の交点で示されている。また、一点鎖線同士の交点は、ホーゼル孔の上端におけるシャフト軸線の位置を示す。この実施形態では、スリーブsv1及びスペーサーsp1の回転位置に関わらず、ホーゼル孔の上端におけるシャフト軸線の位置は変わらない。
図15から18に示される実施形態Aは、以下を満たす。
(A1)スリーブsv1の内面の軸線(即ちシャフトの軸線)が、スリーブsv1の外面の軸線に対して傾斜している。
(A2)スペーサーsp1の内面の軸線が、スペーサーsp1の外面の軸線に対して傾斜している。
前述したゴルフクラブ100と同様に、この実施形態Aでは、スリーブsv1の外面は四角錐面であり、スペーサーsp1の内面及び外面も四角錐面であり、逆テーパー孔も四角錐面である。よって、スリーブsv1の回転位置の数は4であり、スペーサーsp1の回転位置の数も4である。この実施形態Aでは、スリーブsv1の回転位置とスペーサーsp1の回転位置との組み合わせは、4×4=16通りである。実施形態Aに係るゴルフクラブは、調節の自由度に優れる。図15から図18に、これら16通りの全てが示されている。
図15の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。図15の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。図15の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。図15の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。
図16の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。図16の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。図16の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。図16の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。
図17の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。図17の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。図17の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。図17の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。
図18の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。図18の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。図18の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。図18の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。
これら16通りの組み合わせは、9通りの位置Zsを含む。すなわち、シャフトの軸線は、9通りに変更されうる。
図15から18において、図面の横方向はフェース−バック方向であり、図面右側がフェース側であり、図面左側がバック側である。位置Zsが右側であるほど、ロフト角が小さい。位置Zsが左側であるほど、ロフト角が大きい。なお、本実施形態に係るクラブは、右利き用である。
また、図15から18において、図面の縦方向はトウ−ヒール方向であり、図面上側がトウ側であり、図面下側がヒール側である。位置Zsが上側であるほど、ライ角が小さい。位置Zsが下側であるほど、ロフト角が大きい。
これら9通りのシャフト軸線により、ロフト角及びライ角の組み合わせの仕様は、以下の9種類である。
(仕様1)ライ角が小さく且つロフト角が小さい。
(仕様2)ライ角が小さく且つロフト角が中間である。
(仕様3)ライ角が小さく且つロフト角が大きい。
(仕様4)ライ角が中間で且つロフト角が小さい。
(仕様5)ライ角が中間で且つロフト角が中間である。
(仕様6)ライ角が中間で且つロフト角が大きい。
(仕様7)ライ角が大きく且つロフト角が小さい。
(仕様8)ライ角が大きく且つロフト角が中間である。
(仕様9)ライ角が大きく且つロフト角が大きい。
この実施形態Aに係るゴルフクラブでは、ロフト角の独立可変が達成されている。この実施形態Aに係るゴルフクラブでは、ライ角の独立可変が達成されている。この実施形態Aでは、ロフト角の独立可変及びライ角の独立可変が達成されるように、逆テーパー孔(ホーゼル孔)の向き(位相)が設定されている。
例えば、仕様1、2及び3の間では、ライ角が変わること無くロフト角が変化している。これは、ロフト角の独立可変の一例である。仕様4、5及び6の間も同様であり、仕様7、8及び9の間も同様である。
例えば、仕様1、4及び7の間では、ロフト角が変わること無くライ角が変化している。これは、ライ角の独立可変の一例である。仕様2、5及び8の間も同様であり、仕様3、6及び9の間も同様である。
なお、ロフト角の独立可変とは、ライ角を実質的に変えることなくロフト角が変えられることを意味する。この「実質的に変えることなく」とは、ライ角の変化がロフト角の変化量に対して20%以下であることを意味する。また、ライ角の独立可変とは、ロフト角を実質的に変えることなくライ角が変えられることを意味する。この「実質的に変えることなく」とは、ロフト角の変化がライ角の変化量に対して20%以下であることを意味する。
図19及び20は、スペーサーが2個である実施形態Bの、上記下端面の平面図である。この実施形態では、スリーブsv1と、第1のスペーサーsp1と、第2のスペーサーsp2とが用いられている。ホーゼル孔の下端におけるシャフトの軸線の位置Zsは、太実線同士の交点で示されている。一点鎖線同士の交点は、ホーゼル孔の下端におけるスリーブsv1の外面の軸線の位置を示す。細実線同士の交点は、ホーゼル孔の下端におけるスペーサーsp1の外面の軸線の位置を示す。破線同士の交点は、ホーゼル孔の下端におけるスペーサーsp2の外面の軸線の位置を示す。なお、スリーブsv1、スペーサーsp1及びスペーサーsp2の回転位置に関わらず、これら3つの軸線は、ホーゼル孔の上端の位置において、1点で交わっている。
前述したゴルフクラブ100と同様に、この実施形態Bでは、スリーブsv1の外面は四角錐面であり、第1スペーサーsp1の内面及び外面も四角錐面であり、第2スペーサーsp2の内面及び外面も四角錐面である。逆テーパー孔も四角錐面である。よって、スリーブsv1の回転位置の数は4であり、第1スペーサーsp1の回転位置の数も4であり、第2スペーサーsp2の回転位置の数も4である。この実施形態Bでは、これら3つの回転位置の組み合わせは、4×4×4=64通りである。実施形態Bに係るゴルフクラブは、調節の自由度に優れる。
図19及び20に示される実施形態Bは、以下を満たす。
(B1)スリーブsv1の内面の軸線(即ちシャフトの軸線)が、スリーブsv1の外面の軸線に対して平行偏心している。
(B2)第1スペーサーsp1の内面の軸線が、第1スペーサーsp1の外面の軸線に対して傾斜している。
(B3)第2スペーサーsp1の内面の軸線が、第2スペーサーsp2の外面の軸線に対して傾斜している。
なお、平行偏心とは、軸線同士が互いに平行である偏心を意味する。
この実施形態Bにおける第1スペーサーsp1と第2スペーサーsp2との関係は、前述の実施形態Aにおけるスリーブsv1とスペーサーsp1との関係と同じである。よって、第1スペーサーsp1と第2スペーサーsp1とにより達成される、ロフト角及びライ角の組み合わせは、9種類である。更に、この実施形態Bでは、スリーブsv1による調節が追加される。スリーブsv1は平行偏心であるので、上記9個のシャフト軸の位置のそれぞれが更に平行移動されうる。このシャフト軸の平行移動は、フェースプログレッションを変化させうる。この平行移動は、フェース−バック方向におけるシャフト軸の移動を達成しうる。また、この平行移動は、トウ−ヒール方向におけるシャフト軸の移動を達成しうる。実施形態Bでは、2つのスペーサーにより、シャフト軸の調節の自由度が更に高まる。
図19及び図20は、上述した64通りのうちの8通りのみを示す。
図19の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第1位置であり、第2スペーサーsp2の回転位置も第1位置である。図19の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1及び第2スペーサーsp2の回転位置は変わらずに、スリーブsv1の回転位置のみが変化している。図19の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置である。図19の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置である。図19の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置である。図19の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置である。
図20の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第2位置であり、第2スペーサーsp2の回転位置は第1位置である。図20の(a)から(d)でも、第1スペーサーsp1及び第2スペーサーsp2の回転位置は変わらずに、スリーブsv1の回転位置のみが変化している。図20の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置である。図20の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置である。図20の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置である。図20の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置である。
図19と図20とを比較すると、図19の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第1位置であるのに対して、図20の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。この相違に起因して、図20のそれぞれは、図19のそれぞれと比較して、ロフト角が大から中へと小さくなっている。
図19の(a)から(d)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置から第4位置にまで変化している。この変化に起因して、フェース−バック方向におけるシャフト軸線の位置を示す指標であるフェースプログレッション(FP)が大、中、小、中と変化し、同時に、トウ−ヒール方向におけるシャフト軸線の位置を示す指標である重心距離が中、小、中、大と変化している。なお、重心距離とは、ヘッド重心とシャフト軸線との間の距離である。この距離は、トウ−ヒール方向に平行で且つシャフト軸線を含む平面への投影像において測定される。
よって例えば、図19の(a)と(c)との比較では、ライ角が小で且つロフト角が大であるシャフト軸線の傾斜を維持しながら、シャフト軸線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト軸線の位置)がフェース−バック方向に移動している。しかも、図19の(a)と(c)との間では、重心距離は中のまま同じである。
また、図19の(b)と(d)とを比較では、ライ角が小で且つロフト角が大であるシャフト軸線の傾斜を維持しながら、シャフト軸線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト軸線の位置)がトウ−ヒール方向に移動している。しかも、図19の(b)と(d)との間では、フェースプログレッションは中のまま同じである。
図20の(a)から(d)でも、スリーブsv1の回転位置が第1位置から第4位置にまで変化している。この変化に起因して、フェースプログレッションが大、中、小、中と変化し、同時に、重心距離が中、小、中、大と変化している。
よって例えば、図20の(a)と(c)との比較では、ライ角が小で且つロフト角が中であるシャフト軸線の傾斜を維持しながら、シャフト軸線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト軸線の位置)がフェース−バック方向に移動している。しかも、図20の(a)と(c)との間では、重心距離は中のまま同じである。
また、図20の(b)と(d)とを比較では、ライ角が小で且つロフト角が中であるシャフト軸線の傾斜を維持しながら、シャフト軸線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト軸線の位置)がトウ−ヒール方向に移動している。しかも、図20の(b)と(d)との間では、フェースプログレッションは中のまま同じである。
この実施形態ではスリーブsv1の軸ズレが平行偏心とされたが、例えばこの軸ズレが傾斜とされてもよいことは当然である。もちろん、平行偏心がスペーサーに採用されてもよい。
図15から20で示される通り、ソール側におけるシャフト軸線の位置が様々に変更されうる。本実施形態では、ネジでの固定が不要であるため、シャフト軸線の位置及び傾斜の自由度は高い。よって、角度調節の幅を大きくすることができる。ロフト角、ライ角、フェース角、フェースプログレッション等の調節の幅が大きくされうる。
図21で示される9個の図のそれぞれは、本発明に適用されうるスリーブの平面図(上から見た図)である。図21では、スリーブの外面の断面形状として、四角形(正方形)、六角形(正六角形)及び八角形(正八角形)が例示されている。図21では、スリーブの軸ズレの形態として、軸一致、軸平行偏心及び軸傾斜が示されている。
スリーブsv11では、スリーブの外面の断面形状が四角形(正方形)であり、スリーブの外面が四角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に一致している。スリーブsv12では、スリーブの外面の断面形状が六角形(正六角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に一致している。スリーブsv13では、スリーブの外面の断面形状が八角形(正八角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に一致している。
スリーブsv14では、スリーブの外面の断面形状が四角形(正方形)であり、スリーブの外面が四角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に対して平行偏心している。スリーブsv15では、スリーブの外面の断面形状が六角形(正六角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に対して平行偏心している。スリーブsv16では、スリーブの外面の断面形状が八角形(正八角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に対して平行偏心している。
スリーブsv17では、スリーブの外面の断面形状が四角形(正方形)であり、スリーブの外面が四角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に対して傾斜している。スリーブsv18では、スリーブの外面の断面形状が六角形(正六角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に対して傾斜している。スリーブsv19では、スリーブの外面の断面形状が八角形(正八角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の軸線(シャフト軸線)はスリーブの外面の軸線に対して傾斜している。
このように、様々なスリーブが用いられ得る。もちろん、図21に示されるこれらのスリーブは、例示に過ぎない。同様に、スペーサーについても様々な形態が用いられ得る。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スリーブにおける平行偏心の偏心量は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。調節性の観点から、スリーブにおける平行偏心の偏心量は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スリーブの外面の軸線に対するシャフト軸線の傾斜角度θ1は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がより好ましい。調節性の観点から、この角度θ1は、0.5度以上が好ましく、1度以上がより好ましく、1.5度以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スペーサーにおける平行偏心の偏心量は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。調節性の観点から、スペーサーにおける平行偏心の偏心量は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スペーサーの外面の軸線に対する当該スペーサーの内面の軸線の傾斜角度θ2は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がより好ましい。調節性の観点から、この角度θ2は、0.5度以上が好ましく、1度以上がより好ましく、1.5度以上がより好ましい。
通常のゴルフクラブは、フェラルを有する。しかし、本実施形態に係るゴルフクラブにおいて、フェラルは、逆テーパー係合部と逆テーパー孔とのはめ合いにおいて障害となりうる。またフェラルは、スペーサーをシャフト上で移動させる際にも障害となりうる。よって、このゴルフクラブは、フェラルを有さないのが好ましい。フェラルに近い外観を得る観点から、係合状態においてスリーブの上端部がホーゼル端面よりも上側に露出しているのが好ましい。また、スペーサーを有する場合、係合状態においてスリーブの上端部及びスペーサーの上端部がホーゼル端面よりも上側に露出しているのが好ましい。この場合、スリーブの上端はスペーサーの上端よりも上側であるのがより好ましい。これらの露出部分は、フェラルに近い外観を呈しうる。
図22は、図10に係るヘッドの変形例を示す断面図である。図10の実施形態との相違は、スリーブ1400、第1スペーサー1500及び第2スペーサー1550の上端面の形状にある。
図10の実施形態において、スリーブ1400の上端面f1はスペーサー1500の上端面f2よりも上側に位置する。更に、第1スペーサー1500の上端面f2は、第2スペーサー1550の上端面f3よりも上側に位置する。そして、スリーブ1400及びスペーサー1500、1550の上端部は、ホーゼル端面1230よりも上側に位置し、外部に露出している。上端面f1、上端面f2及び上端面f3は、それぞれ、シャフト軸線Z12に対して垂直な平面である。結果として、ホーゼル端面1230の上側に、シャフト軸線Z12に近づくほど上側となる円形階段部が形成されている。この円形階段部は、フェラルに近い外観を呈する。
図22の実施形態において、スリーブ1400の上端面f1はスペーサー1500の上端面f2よりも上側に位置する。更に、第1スペーサー1500の上端面f2は、第2スペーサー1550の上端面f3よりも上側に位置する。そして、スリーブ1400及びスペーサー1500、1550の上端部は、ホーゼル端面1230よりも上側に位置し、外部に露出している。上端面f1は円錐凸面である。上端面f2は円錐凸面である。上端面f3は円錐凸面である。これらの円錐凸面は、シャフト軸線Z12に近づくほど上側となるように傾斜している。加えて、上端面f1、上端面f2及び上端面f3が単一の円錐凸面を形成するように連続している。結果として、ホーゼル端面1230の上側に単一の円錐凸面が形成されている。この円錐凸面は、フェラルに近い外観を呈する。
ホーゼル孔の逆テーパー孔の断面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー孔の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、ホーゼル孔と逆テーパー係合部との間の相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、逆テーパー孔の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくは、Nが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、逆テーパー孔の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
逆テーパー孔は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー係合部との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー係合部との面接触を確実とする観点から、逆テーパー孔は、角錐面とされるのが好ましい。角錐面とは、角錐の外面の一部である。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上述の通り、本発明のクラブはスリーブを有する。スリーブの内面(シャフト孔)は、当該スリーブに挿入されるシャフトの先端部と同じ形状を有する。通常、このシャフト孔の断面形状は円形である。典型的には、スリーブの内面(シャフト孔)とシャフトの外面とが接着剤によって接着される。
スリーブの外面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スリーブの外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スリーブと当接部分との相対回転を防止する。この当接部分とは、スペーサーの内面又は逆テーパー孔である。スペーサーが複数である場合、この当接部分とは、最も内側のスペーサーの内面である。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スリーブの外面の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、スリーブの外面の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
スリーブの外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。上記当接部分との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。上記当接部分との面接触を確実とする観点から、スリーブの外面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上述の通り、本発明のクラブは1以上のスペーサーを有していてもよい。スペーサーの内面は、当該スペーサーの内側にはめ込まれる部材(内側部材)の外面と同じ形状を有する。この内側部材とは、スリーブ又は他のスペーサーである。
スペーサーの内面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スペーサーの内面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スペーサーと上記内側部材との相対回転を防止する。スペーサーが複数である場合、この内側部材とは、他のスペーサーである。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スペーサーの内面の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、スペーサーの内面の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
スペーサーの内面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。上記内側部材との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。上記内側部材との面接触を確実とする観点から、スペーサーの内面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上述の通り、本発明のクラブは、逆テーパー係合部を有する。逆テーパー係合部はスリーブのみから構成されていてもよいし、スリーブと1以上のスペーサーとから構成されていてもよい。スペーサーが用いられていない場合、逆テーパー係合部の外面はスリーブの外面である。1個のスペーサーが用いられている場合、逆テーパー係合部の外面はそのスペーサーの外面である。2個以上のスペーサーが用いられている場合、逆テーパー係合部の外面は、最も外側のスペーサーの外面である。
逆テーパー係合部の外面の断面線を外縁とする図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー係合部の外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、逆テーパー係合部と逆テーパー孔との相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、逆テーパー係合部の外面の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、逆テーパー係合部の外面の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
逆テーパー係合部の外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー孔との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー孔との面接触を確実とする観点から、逆テーパー係合部の外面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
なお、上述したNのぞれぞれは、3以上の整数であるのが好ましい。
このように、必要に応じてスペーサーが介在されつつ、スリーブと逆テーパー孔とで逆テーパー嵌合が形成されている。係合解除方向の力により、この逆テーパー嵌合の解除は容易である。同時に、係合方向の力により、この逆テーパー嵌合の形成は容易である。ヘッドに対するシャフトの取り付け及び取り外しは容易である。この取り付け及び取り外しにおいて、ネジを回す作業は不要である。ネジの紛失という心配もない。
なお、ゴルフルールの観点から、上記脱落防止機構は、素手で解除できないように構成されるのが好ましい。この構成は、例えば、上記脱落防止機構における板バネ226及び圧縮バネ234のばね定数を大きくすることで達成される。ゴルフルールの観点から、上記脱落防止機構には、専用の工具が必要とされるのが好ましい。
スリーブの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。
スペーサーの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。成形性の観点からは、樹脂が好ましい。
上述の通り、上記実施形態のゴルフクラブは、シャフト軸線の位置及び/又は角度を調節しうる調節機構を有する。この調節機構は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)が定めるゴルフ規則を満たしているのが好ましい。即ち、この調節機構は、R&Aが定める、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1b 調節性」で規定される要件を満たしているのが好ましい。この「1b 調節性」が規定する要件は、下記の(i)、(ii)及び(iii)である。
(i)容易に調節できるものでないこと。
(ii)調節可能部分はすべてしっかりと固定され、ラウンド中に緩むことの合理的な可能性がないこと。
(iii)調節後のすべての形状が規則に適合すること。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
実施例として、上述のゴルフクラブ100と同じゴルフクラブが作製された。
公知の方法で、チタン合金製のヘッドを得た。逆テーパー孔は、鋳造によって形成された後、NC加工によって所定の寸法に仕上げられた。スリーブの材質は、アルミニウム合金とされた。スリーブの製法は、NC加工であった。スペーサーの材質は、アルミニウム合金とされた。スペーサーの製法は、NC加工であった。シャフトとして、公知のカーボンシャフトが用いられた。このシャフトを上記スペーサーに通した後、このシャフトの先端部に上記スリーブを接着剤で固定して、シャフトアッセンブリを得た。
図4で説明した手順に従って、上記シャフトアッセンブリを上記ヘッドに装着し、係合状態のゴルフクラブを得た。脱落防止機構により、係合状態は維持された。このゴルフクラブで実際にボールを打ったところ、抜け止め及び回り止めが完全に機能し、通常のゴルフクラブと同様の打撃が得られた。また、脱落防止機構の板バネを押圧することで、係合状態は容易に解除され、シャフトアッセンブリをヘッドから分離することができた。このシャフトアッセンブリにおいて、スリーブにはめ込まれているスペーサーをグリップ側に移動させて回転させ、再びスリーブにはめ込んだ。この工程により、スリーブの回転位置に対するスペーサーの回転位置を変更することができた。また、シャフトアッセンブリの逆テーパー係合部を逆テーパー孔にはめ込む際に、逆テーパー係合部の回転位置を選択することができた。図15から18で説明した通り、このクラブでは、9個のシャフト位置が可能であった。