以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係るショベルの構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベルを示す側面図である。
図1に示すように、油圧モータ1A,1B(図2参照)により油圧駆動される下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が取り付けられる。アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、オペレータが搭乗するキャビン10が設けられると共に、エンジン11(図2参照)等が搭載される。
図2は、ショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図中、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示されている。
本実施形態に係るショベルにおけるメイン駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、減速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続される。減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。また、メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続される。
エンジン11は、減速機13を介して、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。
電動発電機12は、減速機13を介して、エンジン11をアシストしメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動することができる。また、電動発電機12は、減速機13を介して伝達されるエンジン11の動力で発電することができる。
メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。メインポンプ14は、後述の如く、2つのメインポンプ14A、14B(図4等参照)を含む。
パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、操作装置26における操作に応じて、油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)、1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等(以下、まとめて「油圧アクチュエータ」と称する場合がある)は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。コントロールバルブ17は、メインポンプ14と各油圧アクチュエータとの間に設けられ、メインポンプ14(14A,14B)から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量(圧力)と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(後述する油圧制御弁171,172,174,176〜179、図4等参照)を含む。また、コントロールバルブ17は、ショベルのブーム下げ動作時にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の回生(ブーム回生)を行う油圧制御弁175(回生制御弁の一例、図4等参照)を含む。即ち、コントロールバルブ17は、油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量等を制御する複数の油圧制御弁と、ブーム回生用の油圧制御弁175とを同一の筐体内に含む制御弁ユニットである。コントロールバルブ17を含む油圧回路の詳細は後述する。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電装置としてのキャパシタ19(図3参照)を含む蓄電系120が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26は、レバー26A,26B、ペダル26Cを含み、下部走行体1(油圧モータ1A,1B)、上部旋回体3(後述する旋回用電動機21)、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、及びバケット6(バケットシリンダ9)等の操作を行うための操作手段である。レバー26A,26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び油圧ライン28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。圧力センサ29は、コントローラ30に接続される。これにより、コントローラ30には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じた圧力信号が入力される。
また、本実施形態に係るショベルは、旋回機構2が電動化され、旋回機構2(上部旋回体3)を駆動する旋回用電動機21が設けられる。また、旋回用電動機21は、上部旋回体3の旋回減速時に、運動エネルギを電気エネルギに変換し、回生発電を行う。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系120に接続される。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置である。コントローラ30は、例えば、CPU、ROM等を含む演算処理装置(マイクロコンピュータ)等により構成され、ROMに格納される各種駆動制御用のプログラムをCPU上で実行することにより各種駆動制御が実現される。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される圧力信号(操作装置26における上部旋回体3の操作状態を表す信号)を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。尚、圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるための操作装置26における操作量を表す信号である。
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧コンバータ100(図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19(図3参照)の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。
また、コントローラ30は、後述する油圧制御弁175の切替制御を実行する。コントローラ30による油圧制御弁175の切替制御の詳細については、後述する。
図3は、蓄電系120の構成の一例を示す回路図である。
蓄電系120は、キャパシタ19、昇降圧コンバータ100、DCバス110等を含む。
DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ19の電圧値、及び電流値を検出するキャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113が設けられる。キャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。DCバス110は、インバータ18A、18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21は、DCバス110を介して、電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111により検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電流値に基づき、コントローラ30により実行される。
次に、図4〜図7を参照して、本実施形態に係るショベルにおける油圧アクチュエータを駆動する油圧回路の詳細について説明する。
図4〜図7は、本実施形態に係るショベルの油圧回路の一例を示す図である。具体的には、図4は、ショベルの油圧アクチュエータの非動作時における油圧回路の状態を示す図である。また、図5は、ショベルがブーム上げ動作を行う場合における油圧回路の状態を示す図である。また、図6、図7は、ショベルがブーム下げ動作を行う場合における油圧回路の状態を示す図である。
尚、図5〜図7において、走行直進弁170、及び油圧制御弁171〜180は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。
[油圧回路の構成]
図4に示すように、本実施形態に係るショベルにおける油圧アクチュエータを駆動する油圧回路は、エンジン11及び電動発電機12の少なくとも一方で駆動される2つのメインポンプ14A,14Bから、センターバイパス油路201(201A,201B)のそれぞれを経て作動油タンク(以下、単に「タンク」と称する)まで作動油を循環させる。また、油圧回路は、センターバイパス油路201A,201Bのそれぞれから分岐するパラレル油路202(202A,202B)を含む。
尚、メインポンプ14A,14Bの制御方式としては、例えば、後述するネガティブコントロール絞り230(230A,230B)で発生する制御圧(ネガコン圧)に基づくネガティブコントロール制御が採用される。また、メインポンプ14A,14Bは、吸収馬力がエンジン11、電動発電機12による出力馬力を超えないように、レギュレータ(不図示)により吐出量の制御がなされる(全馬力制御)。
センターバイパス油路201Aは、メインポンプ14Aとコントロールバルブ17との間を繋ぐ高圧油圧ライン16(16A)から延設され、上流側(メインポンプ14A側)から順に、油圧制御弁171,173,175,177,178を経由してタンクに至る高圧油路である。また、センターバイパス油路201Aは、最下流の油圧制御弁178とタンクの間にネガティブコントロール絞り(ネガコン絞り)230(230A)を備える。
センターバイパス油路201Bは、メインポンプ14Bとコントロールバルブ17との間を繋ぐ高圧油圧ライン16(16B)から延設され、上流側(メインポンプ14B側)から順に、走行直進弁170、油圧制御弁172,174,176,179、180を経由してタンクに至る高圧油路である。また、センターバイパス油路201Bは、最下流の油圧制御弁180とタンクの間にネガコン絞り230(230B)を備える。
パラレル油路202Aは、センターバイパス油路201Aにおける油圧制御弁171と油圧制御弁173との間で分岐し、油圧制御弁173,175,177、178に対して並列的にメインポンプ14Aからの作動油を供給する。
パラレル油路202Bは、センターバイパス油路201Bにおける走行直進弁170の上流で分岐し、油圧制御弁172,174,176,179に対して並列的にメインポンプ14Bからの作動油を供給する。
走行直進弁170は、下部走行体1を駆動する油圧モータ1A,1Bとそれ以外の油圧アクチュエータとが同時に操作された場合に作動するスプール弁である。図4に示すように、通常、センターバイパス油路201Aにおける油圧制御弁171の上流で分岐する油路203を通じて、メインポンプ14Aから供給される作動油は、走行直進弁170を通じて、パラレル油路202Aに戻される。一方、下部走行体1を駆動する油圧モータ1A,1Bとそれ以外の油圧アクチュエータとが同時に操作されると、走行直進弁170のスプールが図中右方向に移動する。そのため、油路203を通じて、メインポンプ14Aから供給される作動油は、油圧制御弁172の上流でセンターバイパス油路201Bに導入され、代わりに、メインポンプ14Bから供給される作動油がパラレル油路202Aに導入される。これにより、油圧モータ1A,1Bの流量等を制御する油圧制御弁171,172を共に、メインポンプ14Aから供給される作動油で駆動することができるため、下部走行体1の直進性が高まる。また、詳細は後述するが、本実施形態では、走行直進弁170を下部走行体1の直進性の確保以外の用途で使用する。
油圧制御弁171は、メインポンプ14Aが吐出する作動油を油圧モータ1Aで循環させるスプール弁である。油圧制御弁171は、中立位置(図4に示す状態)に対するスプールの移動(図中右方向或いは左方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁172は、メインポンプ14A,14Bが吐出する作動油を油圧モータ1Bで循環させるスプール弁である。油圧制御弁172は、中立位置(図4に示す状態)に対するスプールの移動(図中右方向或いは左方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁173は、油圧モータや油圧シリンダ等を駆動するために利用可能な予備のスプール弁である。油圧制御弁173は、中立位置(図4に示す状態)に対するスプールの移動(図中右方向或いは左方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整することができる。
油圧制御弁174は、メインポンプ14Bが吐出する作動油をバケットシリンダ9に導入し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油をタンクに排出するスプール弁である。油圧制御弁174は、中立位置(図4に示す状態)に対するスプールの移動(図中右方向或いは左方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁175(回生制御弁の一例)は、操作装置26でブーム下げ操作が行われた場合に、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を予め規定された対象に供給する、即ち、ブーム回生を行うためのスプール弁である。油圧制御弁175は、センターバイパス油路201Aの一区間である油路203(所定の油路の一例)を通じて、油圧制御弁177(ブーム制御弁の一例)と直列接続される。また、油圧制御弁175は、油路204に接続する入力ポートP0と、出力ポートP1,P2とを有し、入力ポートP0(油路204)と出力ポートP1との間、及び入力ポートP0(油路204)と出力ポートP2との間を選択的に連通可能に構成される。具体的には、油圧制御弁175は、スプールが中立位置(図4に示す状態)から図中左方向に移動することにより、入力ポートP0と出力ポートP1との間を連通させる。また、油圧制御弁175は、スプールが中立位置から図中右方向に移動することにより、入力ポートP0と出力ポートP2との間を連通させる。例えば、油圧制御弁175は、コントロールバルブ17のバルブボディ(筐体)内に組み込まれたスプールが中立位置から図中左方向に所定量以上移動すると、入力ポートP0からスプールの内部空間(第1空間)に作動油が導入されると共に、第1空間に組み込まれたチェック弁を介して、第1空間から作動油が出力ポートP1に排出される。また、油圧制御弁175は、スプールが中立位置から右方向に所定量以上移動すると、入力ポートP0から第1空間と隔離されたスプールの内部空間(第2空間)に作動油が導入されると共に、第2空間に組み込まれたチェック弁を介して、第2空間から作動油が出力ポートP2に排出される。即ち、油圧制御弁175は、バルブボディと、バルブボディ内に組み込まれ、中立位置から所定軸(図4における左右方向の軸)に沿った第1方向(左方向)と第1方向の反対側の第2方向(右方向)に移動可能なスプールと、バルブボディに形成される入力ポートP0、出力ポートP1,P2と、スプールに形成され、入力ポートP0からスプール内部の第1空間に作動油を導入可能な第1導入口と、スプールに形成され、入力ポートP0からスプール内部の第1空間と隔離された第2空間に作動油を導入可能な第2導入口と、スプールに形成され、第1空間から出力ポートP1に作動油を排出可能な第1排出口と、スプールに形成され、第2空間から出力ポートP2に作動油を排出可能な第2排出口と、第1空間に組み込まれ、第1導入口から第1排出口に向けて作動油の流れを規制する第1チェック弁と、第2空間に組み込まれ、第2導入口から第2排出口に向けて作動油の流れを規制する第2チェック弁と、を備え、スプールが中立位置の場合、入力ポートP0と第1空間並びに第2空間との間、出力ポートP1と第1空間との間、及び出力ポートP2と第2空間との間は、非連通となり、スプールが中立位置から第1方向(左方向)に所定量以上移動した場合、第1導入口、第1空間、及び第1排出口を介して、入力ポートP0と出力ポートP1との間が連通し、スプールが中立位置から第2方向に所定量以上移動した場合、第2導入口、第2空間、及び第2排出口を介して、入力ポートP0と出力ポートP2との間が連通する構成であってよい。出力ポートP1,P2は、それぞれ、油路206、207に接続される。油路206、207の接続先については、後述する。
尚、油圧制御弁175は、スプールを交換することにより、旋回機構が油圧駆動されるショベルの旋回油圧モータに供給する作動油の流量及び流れる方向を制御する油圧制御弁(旋回制御弁)として使用可能である。即ち、コントロールバルブ17は、油圧制御弁175のスプール交換により、旋回機構が油圧駆動されるショベルとの間で共用可能である。
油圧制御弁176,177は、メインポンプ14A,14Bが吐出する作動油をブームシリンダ7に導入し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油をタンクに排出するスプール弁である。油圧制御弁176,177は、中立位置(図4に示す状態)に対するスプールの移動(図中右方向或いは左方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁176は、操作装置26におけるブーム上げ操作を示すパイロット信号に応じて、スプールが中立位置から図中右方向に移動することにより、メインポンプ14Bが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入し、且つ、ブームシリンダ7のロッド側油室の作動油をタンクに排出する。また、油圧制御弁176は、操作装置26におけるブーム下げ操作を示すパイロット信号に応じて、スプールが中立位置から図中左方向に移動することにより、メインポンプ14Bが吐出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に導入し、且つ、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油をタンクに排出する。即ち、油圧制御弁176は、メインポンプ14Bが吐出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室及びボトム側油室の何れか一方に導入し、且つ、ブームシリンダ7の作動油が導入された油室と反対側の油室の作動油をタンクに排出可能に構成される。また、油圧制御弁176は、ブーム下げ側位置(図中右側のスプール位置)におけるCT油路(ブームシリンダ7のボトム側油室とタンクとを繋ぐ油路)とPC油路(メインポンプ14Bとブームシリンダ7のロッド側油室とを繋ぐ油路)の間にチェック弁を含む再生油路176Aを備える。再生油路176Aは、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させるために設けられる(ブーム再生)。また、再生油路176Aの開口面積は、油圧制御弁176のスプールのブーム下げ方向(図中左方向)への変位量に比例する。
油圧制御弁177(ブーム制御弁の一例)は、操作装置26におけるブーム上げ操作を示すパイロット信号に応じて、スプールが中立位置(図4に示す状態)から図中左方向に移動することにより、メインポンプ14A,14Bが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入する。また、油圧制御弁177は、操作装置26におけるブーム下げ操作を示すパイロット信号に応じて、スプールが中立位置から図中右方向に移動することにより、ブームシリンダ7のボトム側油室と油路204との間を連通させる。即ち、油圧制御弁177は、ショベルのブーム上げ動作時(即ち、操作装置26でブーム上げ操作が行われた場合)だけ、メインポンプ14A,14Bから供給される作動油をブームシリンダ7(のボトム側油室)に導入する。そして、油圧制御弁177は、ショベルのブーム下げ動作時(即ち、操作装置26でブーム下げ操作が行われた場合)、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を油路204に導入する。
油圧制御弁178,179は、メインポンプ14A,14Bが吐出する作動油をアームシリンダ8に導入し、且つ、アームシリンダ8内の作動油をタンクに排出するスプール弁である。油圧制御弁178,179は、中立位置(図4に示す状態)に対するスプールの移動(図中右方向或いは左方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。油圧制御弁178は、操作装置26におけるアーム5の操作が行われた場合、常に作動する。また、油圧制御弁179は、操作装置26におけるアーム5の操作が行われ且つその操作量(レバー操作量)が所定量以上である場合に作動する。
尚、油圧制御弁171、172、174、176、177、178,179は、操作装置26から入力される(2次側の)パイロット圧に応じて、スプールが移動することにより、操作装置26における操作状態に応じた作動状態を実現する。即ち、ショベルの下部走行体1、ブーム4、アーム5、バケット6における所望の動作を実現する。また、走行直進弁170、油圧制御弁175には、コントローラ30の制御指令に基づくパイロット信号(コントローラ30の制御指令に応じて、パイロットポンプ15で生成されるパイロット圧や、操作装置26で生成される2次側のパイロット圧を電磁弁等で調整したパイロット信号)が入力される。そして、油圧制御弁175は、かかるパイロット信号に応じて、スプールが移動し、上述した作動状態を実現する。
油圧制御弁180は、メインポンプ14Bが吐出する作動油をネガコン絞り230Rまで到達させるか否かを切り替えるスプール弁である。
メインリリーフ弁210は、メインポンプ14A或いはメインポンプ14Bの吐出圧を予め規定されるリリーフ圧未満に制御する安全弁である。
リリーフ弁220(220A,220B)は、ネガコン絞り230A,230Bの上流におけるネガコン圧が予め規定されたリリーフ圧以上になった場合に作動油をタンクに排出してネガコン圧をかかるリリーフ圧未満に制御する安全弁である。
[油圧回路の動作]
図5に示すように、ショベルがブーム上げ動作を行う場合、油圧制御弁176は、操作装置26におけるブーム操作に応じて、スプールが図中右方向に移動し、メインポンプ14Bから供給される作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入すると共に、ブームシリンダ7のロッド側油室の作動油をタンクに排出する。
また、油圧制御弁177は、操作装置26におけるブーム操作に応じて、スプールが図中左方向に移動し、メインポンプ14Aから供給される作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入する。
一方、図6、図7に示すように、ショベルがブーム下げ動作を行う場合、油圧制御弁176は、操作装置26におけるブーム操作に応じて、スプールが図中左方向に移動し、メインポンプ14Bから供給される作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に導入すると共に、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をタンクに排出する。また、油圧制御弁176は、再生油路176Aを通じて、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側の油室に戻して再利用する、即ち、ブーム再生を行う。
また、油圧制御弁177は、操作装置26におけるブーム下げ操作に応じて、スプールが図中右方向に移動し、ブームシリンダ7のボトム側油室と油路204との間を連通させる。これにより、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を油路204に導入することができる。
また、油圧制御弁175は、コントローラ30からの制御指令に基づくパイロット信号に応じて、スプールが図中左方向(図6の場合)或いは図中右方向(図7の場合)に移動し、入力ポートP0(油路204)と出力ポートP1との間、或いは、入力ポートP0(油路204)と出力ポートP2との間を連通させる。これにより、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を油路204から油路206或いは油路207に選択的に導入することができる。そのため、ブームシリンダ7のボトム側油室から油路206に導入された作動油と油路207に導入された作動油とを異なる用途で再利用することができる。即ち、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を選択的に複数の用途に利用することができる。
また、走行直進弁170は、コントローラ30からの制御指令に基づくパイロット信号に応じて、スプールが図中右方向に移動し、油路203を介して、メインポンプ14Aが吐出する作動油をセンターバイパス油路201Bに導入する。これにより、メインポンプ14Aが吐出する作動油を、センターバイパス油路201Bを通じてタンクまで循環することができる。即ち、上述の如く、センターバイパス油路201Aの一区間である油路204がブーム回生に利用されることにより、センターバイパス油路201Aでメインポンプ14Aが吐出する作動油をタンクまで循環することができないところ、走行直進弁170を利用することにより、センターバイパス油路201Bで循環することができる。
[ブーム回生の対象(作動油の利用用途)]
図8は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の利用用途の一例を示す図である。具体的には、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の供給先(以下、単に「供給先」と称する)と、かかる供給先を2つの供給先(油路206に接続される供給先と油路207に接続される供給先)から選択する際の操作装置26における操作状態に関する条件(操作条件)と、かかる供給先を選択した場合の効果を示す表である。
尚、供給先の選択は、操作条件以外の条件を加味して選択されてもよい。
例えば、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の供給先としては、ブームシリンダ7のロッド側油室がある。この場合、油圧制御弁176におけるブーム再生分と併せて、油圧制御弁175を経由した作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に戻して再利用することができる。そのため、コントローラ30がショベルの姿勢等に応じて、油圧制御弁175のスプールの変位量を調整することにより、ブーム再生時の再生油量の可変制御を行うことができる。供給先としてブームシリンダ7のロッド側油室を選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げの単独操作が行われていること"、或いは、"ブーム下げ操作と旋回操作が行われていること(但し、旋回機構2が電動化されている場合)"である。
また、例えば、供給先としては、タンクへの戻り油路がある。この場合、油圧制御弁176における作動油のタンクへの排出分と併せて、コントローラ30がショベルの姿勢等に応じて、油圧制御弁175のスプールの変位量を調整することにより、ブーム再生時の排出油量の可変制御を行うことができる。供給先として、タンクへの戻り油路を選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げの単独操作が行われていること"、或いは、"ブーム下げ操作と旋回操作が行われていること(但し、旋回機構2が電動化されている場合)"である。
また、例えば、供給先としては、アームシリンダ8のロッド側油室がある。この場合、ショベルがアーム開き動作を行っていれば、アームシリンダ8を駆動するために、ブーム下げ動作時におけるブームシリンダ7のボトム側油室から流出される作動油を再利用することができる。供給先として、アームシリンダ8のロッド側油室を選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げ操作とアーム開き操作が行われていること"である。
また、例えば、供給先としては、アームシリンダ8のボトム側油室がある。この場合、ショベルがアーム閉じ動作を行っていれば、アームシリンダ8を駆動するために、ブーム下げ動作時におけるブームシリンダ7のボトム側油室から流出される作動油を再利用することができる。供給先として、アームシリンダ8のボトム側油室を選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げ操作とアーム閉じ操作が行われていること"である。
また、例えば、供給先としてはバケットシリンダ9のロッド側油室がある。この場合、ショベルがバケット開き動作を行っていれば、バケットシリンダ9を駆動するために、ブーム下げ動作時におけるブームシリンダ7のボトム側油室から流出される作動油を再利用することができる。供給先として、バケットシリンダ9のロッド側油室を選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げ操作とバケット開き操作が行われていること"である。
また、例えば、供給先としては、バケットシリンダ9のボトム側油室がある。この場合、ショベルがバケット閉じ動作を行っていれば、バケットシリンダ9を駆動するために、ブーム下げ動作時におけるブームシリンダ7のボトム側油室から流出される作動油を再利用することができる。供給先として、バケットシリンダ9のボトム側油室を選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げ操作とバケット閉じ操作が行われていること"である。
また、例えば、供給先としては、アキュムレータがある。この場合、ブーム下げ動作時におけるブームシリンダ7のボトム側油室から流出される作動油をアキュムレータに供給して圧力エネルギとして蓄圧することができるため、ブーム下げ動作時以外のタイミングで他の油圧アクチュエータに供給する等して再利用することができる。供給先として、アキュムレータを選択する操作条件は、例えば、"操作装置26でブーム下げの単独操作が行われていること"、或いは、"ブーム下げ操作と旋回操作が行われていること(但し、旋回機構2が電動化されている場合)"である。
このように、上述した供給先は一例であるが、例えば、上述した供給先のうちの異なる2つを出力ポートP1(油路206)、出力ポートP2(油路207)のそれぞれに接続する。即ち、出力ポートP1は、油圧アクチュエータ(アームシリンダ8、バケットシリンダ9)、タンクへの戻り油路、及びアキュムレータのうちの何れかに接続され、出力ポートP2は、油圧アクチュエータ、タンクへの戻り油路、及びアキュムレータのうち、出力ポートP1の接続先を除く何れかに接続される。これにより、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を選択的に複数の用途に利用することができる。
出力ポートP1、P2に接続する供給先の組み合わせは、任意であるが、例えば、エネルギ効率を重視する観点から、出力ポートP1,P2に接続する供給先として、ブームシリンダ7のロッド側油室とアキュムレータの組み合わせが採用されてよい。また、ショベルのパワー(作業効率)を重視する観点から、出力ポートP1,P2に接続する供給先として、アームシリンダ8のロッド側油室とボトム側油室の組み合わせ、バケットシリンダ9のロッド側油室とボトム側油室の組み合わせ、アームシリンダ8のロッド側油室或いはボトム側油室とバケットシリンダ9のロッド側油室或いはボトム側油室との組み合わせ等が採用されてよい。また、エネルギ効率と作業効率のバランスを重視する観点から、出力ポートP1,P2に接続する供給先として、ブームシリンダ7のロッド側油室、タンクへの戻り油路、或いはアキュムレータと、アームシリンダ8(ボトム側油室/ロッド側油室)或いはバケットシリンダ9(ボトム側油室/ロッド側油室)との組み合わせが採用されてよい。
[油圧制御弁175の制御]
コントローラ30は、上述の如く、圧力センサ29からの圧力信号に基づき、操作装置26における操作状態を認識する。そして、コントローラ30は、操作装置26における操作状態に関する所定条件を満足すると、油圧制御弁175における入力ポートP0(油路204)と出力ポートP1(油路206)との間、又は入力ポートP0(油路204)と出力ポートP2(油路207)との間を連通させる。また、コントローラ30は、油圧制御弁175における入力ポートP0(油路204)と出力ポートP1(油路206)との間、又は入力ポートP0(油路204)と出力ポートP2(油路207)との間を連通させるのに併せて、走行直進弁170のスプールを移動させて、メインポンプ14Aが吐出する作動油をセンターバイパス油路201Bに導入させる。
尚、当然の如く、操作装置26における操作状態に関する所定条件には、必ず"操作装置26でブーム下げ操作が行われていること"が含まれる。
例えば、図8に示す供給先のうち、出力ポートP1(油路206)にアームシリンダ8のロッド側油路が接続され、出力ポートP2(油路207)にアームシリンダ8のボトム側油路が接続される場合(アーム5の作業効率を重視する場合)、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作とアーム開き操作が行われているとき、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP1との間を連通させる。また、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ装置とアーム閉じ操作が行われているとき、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP2との間を連通させる。
また、例えば、図8に示す供給先のうち、出力ポートP1(油路206)にバケットシリンダ9のロッド側油路が接続され、出力ポートP2(油路207)にバケットシリンダ9のボトム側油路が接続される場合(バケット6の作業効率を重視する場合)、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作とバケット開き操作が行われているとき、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP1との間を連通させる。また、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作とバケット閉じ操作が行われているとき、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP2との間を連通させる。
また、例えば、図8に示す供給先のうち、出力ポートP1(油路206)にブームシリンダ7のロッド側油室が接続され、出力ポートP2(油路207)にアキュムレータが接続される場合(エネルギ効率を重視する場合)、操作条件以外の条件を追加して、出力ポートP1と出力ポートP2の何れかを選択する。例えば、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作が行われており且つアキュムレータが既に蓄圧している場合、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP1(油路206)との間を連通させる。また、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作が行われており且つアキュムレータが蓄圧していない場合、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP2との間を連通させる。
また、例えば、図8に示す供給先のうち、出力ポートP1(油路206)にブームシリンダ4、タンク戻り油路、或いはアキュムレータが接続され、出力ポートP2(油路207)にアームシリンダ8のロッド側油室が接続される場合(エネルギ効率とアーム5の作業効率のバランスを重視する場合)、操作装置26におけるアーム閉じ操作の有無に応じて、出力ポートP1、P2の何れかを選択する。具体的には、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作が行われ且つアーム開き操作が行われていない場合、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP1との間を連通させる。また、コントローラ30は、操作装置26でブーム下げ操作とアーム開き操作が行われている場合、油圧制御弁175における入力ポートP0と出力ポートP2との間を連通させる。尚、出力ポートP2(油路207)にアームシリンダ8のボトム側油室、バケットシリンダ9のロッド側油室、或いはバケットシリンダ9のボトム側油室が接続される場合についても、同様に、コントローラ30は、アーム閉じ操作の有無、バケット開き操作の有無、或いはバケット閉じ操作の有無に応じて、出力ポートP1と出力ポートP2の何れかを選択する。
[油圧回路の構成の他の例]
本実施形態に係るショベルの油圧回路において、ブーム回生を行う回生制御弁は、センターバイパス油路201Aにおけるブーム制御弁としての油圧制御弁177に直列接続される態様であれば、任意の油圧制御弁であってよい。即ち、旋回機構が油圧駆動されるショベルで旋回制御弁として利用(共用)される油圧制御弁175には限定されない。
例えば、図9〜図11は、本実施形態に係るショベルの油圧回路の他の例を示す図である。具体的には、図9は、図4と同様、ショベルの油圧アクチュエータの非動作時における油圧回路の状態を示す図である。また、図10、図11は、図6、図7と同様、ショベルがアーム下げ動作を行う場合における油圧回路の状態を示す図である。
尚、図10、図11において、走行直進弁170、及び油圧制御弁171〜180は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。また、本例は、油圧制御弁173が油圧モータや油圧シリンダ等を駆動するために利用されないことを前提として実現可能な構成である。
図9〜図11に示すように、本例に係るショベルの油圧回路は、図4〜図7に示す例の油圧回路に対して、油圧制御弁173と油圧制御弁175のセンターバイパス油路201Aにおける位置が入れ替えられている点が異なる。即ち、本例では、油圧モータや油圧シリンダ等を駆動するために利用可能な予備の油圧制御弁173のスプールを交換して回生制御弁として用いる点が異なる。
本例における油圧制御弁173の動作は、油圧制御弁177と油圧制御弁175を直列接続する油路204が、油圧制御弁177と油圧制御弁173を直列接続する油路208(所定の油路の一例)に置換される点以外、図4〜図7に示す例と同様である。
このように、回生制御弁として予備の油圧制御弁173を油圧制御弁177(第2ブーム制御弁)の上流に直列接続しても、図4〜図7に示す例と同様に、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を選択的に複数の用途に利用することができる。
[油圧回路の構成の更に他の例]
本実施形態に係るショベルの油圧回路において、ブーム回生を行う回生制御弁は、センターバイパス油路201Aにおけるブーム制御弁としての油圧制御弁177に対して、ショベルの起動中、常に作動油が通流可能な油路を介して直列接続される態様であれば、油圧制御弁177との間に他の油圧制御弁が配置される構成であってもよい。
例えば、図12〜図14は、本実施形態に係るショベルの油圧回路の更に他の例を示す図である。具体的には、図12は、図4と同様、ショベルの油圧アクチュエータの非動作時における油圧回路の状態を示す図である。また、図13、図14は、図6、図7と同様、ショベルがアーム下げ動作を行う場合における油圧回路の状態を示す図である。
尚、図13、図14において、走行直進弁170、及び油圧制御弁171〜180は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。また、本例は、上述した図9〜図11に示す例と同様、油圧制御弁173が油圧モータや油圧シリンダ等を駆動するために利用されないことを前提として実現可能な構成である。
図12〜図14に示すように、本例に係るショベルの油圧回路は、図4〜図7に示す例の油圧回路に対して、油圧制御弁173と油圧制御弁175のセンターバイパス油路201Aにおける位置を同じとしつつ、油圧制御弁173のスプール交換をして回生制御弁として用いる点が異なる。
油圧制御弁175は、上述の如く、旋回機構が油圧駆動される油圧ショベルで旋回制御弁として利用されるため、本実施形態に係るショベルでは、スプールを移動させる必要がない。そのため、センターバイパス油路201Aにおける油圧制御弁173と油圧制御弁177の間に配置される油圧制御弁175は、油圧制御弁177と油圧制御弁175を直列接続する油路204と、油圧制御弁173と油圧制御弁175を直列接続する油路205との間を常に連通状態に維持する。従って、本例における油圧制御弁173の動作は、油圧制御弁177と油圧制御弁175を直列接続する油路204が、油圧制御弁177と油圧制御弁173を直列接続する油路204、205(所定の油路の一例、油圧制御弁175内の油路含む)に置換される点以外、図4〜図7に示す例と同様である。
このように、回生制御弁としての油圧制御弁173が、ショベルの起動中、常に連通状態にある油圧制御弁175を間に含む油路204、205を介して油圧制御弁177(第2ブーム制御弁)と直列接続される態様であっても、図4〜図7に示す例と同様に、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を選択的に複数の用途に利用することができる。
尚、本例における油圧制御弁173と同様、図9〜図11に示す例における油圧制御弁175をスプール交換により回生制御弁として使用することも可能である。
[油圧回路の構成の更に他の例]
本実施形態に係るショベルの油圧回路において、ブーム回生を行う回生制御弁は、センターバイパス油路201Aにおけるブーム制御弁としての油圧制御弁177に直列接続される態様であれば、油圧制御弁177の下流側に接続されてもよい。
例えば、図15〜図17は、本実施形態に係るショベルの油圧回路の更に他の例を示す図である。具体的には、図15は、図4と同様、ショベルの油圧アクチュエータの非動作時における油圧回路の状態を示す図である。また、図16、図17は、図6、図7と同様、ショベルがアーム下げ動作を行う場合における油圧回路の状態を示す図である。
尚、図16、図17において、走行直進弁170、及び油圧制御弁171〜180は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。
図15〜図17に示すように、本例に係るショベルの油圧回路は、図4〜図7に示す例の油圧回路に対して、回生制御弁としての油圧制御弁175とブーム制御弁としての油圧制御弁177のセンターバイパス油路201Aにおける位置関係が入れ替わっている点が異なる。即ち、図16、図17に示すように、操作装置26でブーム下げ操作が行われると、上流側に位置する油圧制御弁177がブームシリンダ7のボトム側油室とセンターバイパス油路201Aの一区間である油路204とを連通させる。そして、下流側に位置する油圧制御弁175が入力ポートP0(油路204)と出力ポートP1(油路206)或いは出力ポートP2(油路207)との間を選択的に連通させる。これにより、操作装置26でブーム下げ操作が行われる場合に、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を油路206或いは油路207に接続される対象に選択的に供給できる。
このように、回生制御弁(油圧制御弁175)がブーム制御弁(油圧制御弁177)の下流側に位置する場合であっても、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を選択的に複数の用途に利用することができる。
尚、油圧制御弁173が油圧モータや油圧シリンダ等を駆動するために利用されないことを前提として、本例における油圧制御弁175の位置に油圧制御弁173を配置し、図9〜図11に示す例のように、スプールを交換して、回生制御弁として用いてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、エンジン11をアシストする電動発電機12と、上部旋回体3を旋回駆動する旋回用電動機21を備えるが、図18(変形例に係るショベルの駆動系の構成を示す図)に示すように、電動発電機12、旋回用電動機21を含まない油圧ショベルであってもよい。
図18に示すように、変形例に係るショベルは、エンジン11のみでメインポンプ14(14A,14B)を駆動し、メインポンプ14から供給される作動油により駆動される旋回油圧モータ40を含む。かかる変形例の場合、油圧制御弁175は、メインポンプ14(14A)が吐出する作動油を旋回油圧モータ40で循環するために使用される。そのため、油圧制御弁173が油圧モータや油圧シリンダ等を駆動するために利用されないことを前提として、予備の油圧制御弁173を回生制御弁として使用すればよい。例えば、上述した実施形態における図9〜図11、或いは、図12〜図14に示す油圧回路の構成を採用すればよい。これにより、上述した実施形態と同様の作用・効果を奏する。