JP6642324B2 - オルガノポリシロキサン化合物およびそれを含有するコーティング用組成物 - Google Patents
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Description
その内、SiO2単位(Q単位)やRSiO1.5単位(T単位)(Rは、アルキル基、フェニル基等の有機基)を主成分とする3次元架橋構造を持つオルガノポリシロキサン化合物は、シリコーンレジンやシリコーンアルコキシオリゴマーと呼ばれ、その硬化性を利用して塗料、コーティング剤用途や、バインター用途等に広く使用されている。
また、このアルコキシシリル基は、空気中の湿気により常温で架橋反応が進む。そのため、アルコキシシリル基を含有するシリコーンアルコキシオリゴマーは、硬化触媒を配合することで、常温でそのアルコキシシリル基が反応してシロキサンネットワークを形成するため、耐熱性や耐候性に優れた被膜を容易に形成できることから、屋外建造物から電子部品まで、幅広い分野で使用されている。
さらに、シリコーンアルコキシオリゴマーは、上述の通り硬化に加熱が必要なく、この物を主剤として用いた塗料は、現場施工が可能であるという利点もある。
この可撓性や耐クラック性を改良するために、シリコーンレジンやシリコーンアルコキシオリゴマーの合成時に、ジオルガノシロキサン(R2SiO1.0)単位(D単位)を組み込む方法が採られているが、この場合、構造中にD単位はランダムに組み込まれるため、可撓性を付与するためには多くのD単位を添加する必要があり、シリコーンレジンの長所である優れた硬化性や表面硬度が低下してしまうという問題点がある。
この特許文献2のオルガノポリシロキサン化合物は、シリコーンレジンやシリコーンアルコキシオリゴマーに相溶可能であるため、耐クラック性付与剤として添加する場合には効果を発揮するものの、そのものを単独で硬化させた場合には硬度が不十分であり、塗料、コーティング剤用途への単独使用は困難であった。
この特許文献3のオルガノポリシロキサン化合物は、比較的長鎖で高分子量の側鎖メチル/フェニル型のシリコーンオイル構造を有しているため、耐クラック性付与剤として添加する場合には効果を発揮するものの、この場合も、それ単独で硬化させた場合には硬度が不十分であり、塗料、コーティング剤用途への単独使用は困難であった。
この特許文献4のオルガノポリシロキサン化合物は、側鎖にオレフィン基を有しているため、ヒドロシリル化反応によって硬化させることができるものの、硬化には加熱が必要であり、上述のシリコーンアルコキシオリゴマーのように空気中の湿気により常温で架橋反応を進行させることは困難であった。
また、このオルガノポリシロキサン化合物は、いずれも100℃程度の融点を有する常温固体の化合物であるため、常温でそのもの単独で無溶剤型のコーティング剤として使用することは困難であるうえ、フェニル基を含有するT単位を多く含んでいることから、耐黄変性という点で問題があった。
1. 下記オルガノポリシロキサン(a)と、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)とのヒドロシリル化反応物からなることを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物、
(a)平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも1つの脂肪族不飽和二重結合を有するオルガノポリシロキサン:
R1 aR2 bSiXcO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は、互いに独立して、Zで置換されていてもよい、炭素原子数1〜14のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Zは、ハロゲン原子、アミノ基、エポキシ基、チイラン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、無水コハク酸基、パーフルオロアルキル基、ポリエーテル基またはパーフルオロポリエーテル基を表し、
R2は、互いに独立して、炭素原子数2〜15の脂肪族炭素−炭素二重結合含有基を表し、
Xは、互いに独立して、水酸基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、または炭素原子数6〜10のアリールオキシ基を表し、
a、bおよびcは、それぞれ、0≦a≦1.5、0.01≦b≦1、0.5≦a+b≦1.8、0.01≦c≦2.5、かつ、1≦a+b+c≦3を満たす数である。)
(b)下記(b1)〜(b5)から選ばれる1種または2種以上のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物:
(b1)平均構造式が下記一般式(2)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b2)下記一般式(3)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b3)平均構造式が下記一般式(4)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
mは、1〜5の整数を表し、nは、0〜5の整数を表すが、m+nは1〜5の整数を満たす。)
(b4)下記一般式(5)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b5)下記一般式(6)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
2. 前記(b)ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物が、前記(b1)、(b3)および(b4)から選ばれる1種または2種以上のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物を含む1のオルガノポリシロキサン化合物、
3. 前記(b)ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物が、前記(b1)のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物を含む2のオルガノポリシロキサン化合物、
4. 前記(b1)のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物が、下記一般式(7)で示される3のオルガノポリシロキサン化合物、
6. 前記オルガノポリシロキサン(a)と前記ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)とを、ヒドロシリル化反応触媒の存在下、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)のSi−H基1モルに対して、オルガノポリシロキサン(a)のSi原子に直結したアルケニル基が2〜6モルとなる範囲でヒドロシリル化反応を行う5のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法、
7. (A)1〜4のいずれかのオルガノポリシロキサン化合物、および(B)硬化触媒
を含有するコーティング用組成物、
8. 前記(B)硬化触媒が、酸触媒、アミン化合物およびその塩、アミノアルキル基置換アルコキシシラン、並びにアルミ系、チタン系およびスズ系の有機金属触媒からなる群から選ばれる1種または2種以上である7のコーティング用組成物、
9. 前記(B)硬化触媒が、チタンを含有する有機金属触媒である7または8のコーティング用組成物、
10. 溶剤の含有量が、1質量%以下である7〜9のいずれかのコーティング用組成物、
11. 7〜10のいずれかのコーティング用組成物を硬化させてなる硬化物品
を提供する。
本発明に係るオルガノポリシロキサン化合物は、下記オルガノポリシロキサン(a)と、下記ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)とのヒドロシリル化反応物からなる。
(1)オルガノポリシロキサン(a)
オルガノポリシロキサン(a)は、平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも1つの脂肪族不飽和二重結合を有する化合物である。
R1 aR2 bSiXcO(4-a-b-c)/2 (1)
アリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル基等の炭素原子数6〜14のアリール基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル、フェニルエチル基等の炭素原子数7〜14のアラルキル基等が挙げられる。
上記Zにおいて、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
ポリエーテル基の具体例としては、−(OCH2)n−OR、−(OCH2CH2)n−OR、−(OCH(CH3)CH2)n−OR(各式中、nは、1以上の整数を、Rは、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)基等が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基の具体例としては、−(OCF2)n−OR′、−(OCF2CF2)n−OR′、−(OCF(CF3)CF2)n−OR′(各式中、nは、1以上の整数を、R′は、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)基等が挙げられる。
Zで置換された炭素原子数1〜14のアルキル基の具体例としては、トリフルオロプロピル、3−アミノプロピル、3−グリシドキシプロピル、3−メルカプトプロピル基等が挙げられる。
上記R2において、炭素原子数2〜15の炭素−炭素二重結合含有基の具体例としては、ビニル、n−1−プロペニル、アリル、1−メチルエテニル、n−1−ブテニル、n−2−ブテニル、n−3−ブテニル、n−1−ペンテニル、n−1−ヘキセニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、n−1−ヘプテニル、n−1−オクテニル、n−1−ノネニル、n−1−デセニル、2−ビニルシクロヘキシル、3−ビニルシクロヘキシル、4−ビニルシクロヘキシル、2−ビニルフェニル、3−ビニルフェニル、4−ビニルフェニル、2−アリルフェニル、3−アリルフェニル、4−アリルフェニル基等の炭素原子数2〜15の、直鎖、分岐状、環状の、または芳香環を含む炭素−炭素二重結合含有炭化水素基;3−(メタ)アリルオキシプロピル基等の上記炭素−炭素二重結合含有炭化水素基の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子で置換された基;2−(メタ)アクリロキシエチル、3−(メタ)アクリロキシプロピル基、8−(メタ)アクリロキシオクチル、11−(メタ)アクリロキシウンデシル基等の(メタ)アクリロキシアルキル基などが挙げられる。
炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−デコキシ基等が挙げられる。
炭素原子数6〜10のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、入手および製造の容易性や、本発明のオルガノポリシロキサン化合物の硬化性、塗膜硬度および保存安定性などを考慮すると、メトキシ、エトキシ基等の炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基がより一層好ましい。
また、R2の数を示すbの範囲は0.01≦b≦1であり、b<0.01では、ヒドロシリル基との反応が十分に進行せず、b>1では、本発明のオルガノポリシロキサン化合物の硬化性や塗膜硬度が不足する。
有機基(R1+R2)の合計a+bの範囲は0.5≦a+b≦1.8であり、a+b<0.5では、本発明のオルガノポリシロキサン化合物から得られるコーティング膜の耐クラック性、耐衝撃性および可撓性が不足し、a+b>1.8では、オルガノポリシロキサン化合物の硬化性や、得られるコーティング膜の塗膜硬度が不足する。
平均組成式(1)中のSi上の全置換基の合計a+b+cは1≦a+b+c≦3であり、a+b+c<1では、オルガノポリシロキサン(a)が高分子量化してゲル化し易くなり、a+b+c>3では、オルガノポリシロキサン(a)が低分子量体となり、得られたオルガノポリシロキサン化合物の耐クラック性、耐衝撃性および可撓性が不足する。
本発明で用いるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)は、下記(b1)〜(b5)から選ばれる1種または2種以上である。
(b1)平均構造式が下記一般式(2)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b2)下記一般式(3)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b3)平均構造式が下記一般式(4)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b4)下記一般式(5)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b5)下記一般式(6)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
これらの中でも、本発明のオルガノポリシロキサン化合物から得られる硬化被膜の硬度、耐候性および耐黄変性などを考慮すると、Yとしては、メチレン基、エチレン基、酸素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
炭素原子数6〜14のアリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル基等が挙げられ、炭素原子数7〜17のアラルキル基としては、ベンジル、フェニルエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、入手および製造の容易性や、本発明のオルガノポリシロキサン化合物から得られる硬化被膜の硬度、耐候性および耐黄変性などの観点から、フェニル基、ベンジル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
得られた本発明のオルガノポリシロキサン化合物の塗膜硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性、耐候性および耐黄変性などを高めめることを考慮すると、kは、0〜100の整数が好ましく、0〜10の整数が好ましく、0がより好ましい。
本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性、耐候性および耐黄変性を高めることを考慮すると、mとしては、1〜2の整数が好ましく、1がより好ましい。
nは、0〜5の整数を表す。n>5では、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b3)の1分子中におけるヒドロシリル基含有量が大きくなるため、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物が高架橋密度となる結果、オルガノポリシロキサン化合物から作製される硬化膜の耐クラック性、耐衝撃性、可撓性が低下する。
本発明のオルガノポリシロキサン化合物の塗膜硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性などを考慮すると、nとしては、0〜2の整数が好ましく、0がより好ましい。
さらに、m+nは1〜5の整数を満たす。m+n<1では、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b3)の側鎖にアリール基およびアラルキル基が含まれず、得られるオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性が低下する。m+n>5では、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b3)が長鎖で高分子量となり、かつアリール基およびアラルキル基が高含有量となる、あるいはヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b3)の1分子中におけるヒドロシリル基含有量が大きくなるため、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性、耐候性および耐黄変性が低下する。
本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性、耐候性および耐黄変性をより高めることなどを考慮すると、m+nは、1〜3の整数が好ましく、1がより好ましい。
特に、上記式(4)において、mは1〜2の整数かつnは0〜2の整数かつm+nは1〜3の整数が好ましく、mは1かつnは0がより好ましい。
qは、2〜5の整数を表す。q<2では、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b5)の1分子中におけるヒドロシリル基含有量が小さくなるため、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物が低架橋密度となり、これから作製される塗膜硬度が低下する。q>5では、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b5)が高分子量となる、あるいはヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b5)の1分子中におけるヒドロシリル基含有量が大きくなるため、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性および可撓性が低下する。本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性および可撓性などを良好にするという観点から、qは2〜4の整数が好ましい。
さらに、p+qは3〜6の整数を満たす。p+q<3では、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物の保存安定性が低下するとともに、これから作製される塗膜の耐クラック性、耐衝撃性、および可撓性が低下する。p+q>6では、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b5)が高分子量となるため、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜硬度が低下する。原料入手および化合物製造の容易性や、得られる本発明のオルガノポリシロキサン化合物から作製される塗膜硬度、耐クラック性、耐衝撃性および可撓性などの観点から、p+qは4〜5の整数が好ましく、4がより好ましい。
特に、式(6)において、pは0〜2の整数かつqは2〜4の整数かつp+qは4〜5の整数が好ましく、pは2かつqは2またはpは0かつqは4がより好ましい。
特に、(b1)を含むことが好ましく、上記一般式(2)において、R1がメチル基であり、Yが酸素原子であり、kが0である場合に、得られたオルガノポリシロキサン化合物が特に良好な塗膜を与える。
すなわち、上記ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)が、下記一般式(7)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物である場合に、得られたオルガノポリシロキサン化合物が、特に良好な塗膜硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性、硬化性、耐候性および耐黄変性を発揮する。
また、本発明のオルガノポリシロキサン化合物において、上記X以外のケイ素原子に結合した置換基の内、80モル%以上がメチル基であることが、得られたオルガノポリシロキサン化合物の塗膜硬度、耐クラック性、耐衝撃性、可撓性、耐候性および耐黄変性の点から好適である。
また、当該オルガノポリシロキサン化合物の粘度は、塗布施工時の作業性の観点から、25℃で1〜50,000mm2/sの範囲が好ましく、10〜5,000mm2/sの範囲がより好ましく、50〜1,000mm2/sの範囲がより一層好ましい。なお、本発明における粘度は、B型回転粘度計による測定値である。
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、オルガノポリシロキサン(a)に含まれる炭素−炭素二重結合と、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)の分子末端、側鎖、またはその両方に含まれるヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応を用いて製造できる。
この反応で得られた本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン(a)由来の構造と、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)由来の構造とが結合した形を有している。
本発明のオルガノポリシロキサン化合物を製造する際のヒドロシリル化反応では、公知のヒドロシリル化反応触媒である、酸化数がIIや0の白金(Pt)および/または白金(Pt)を中心金属とする錯体化合物を触媒として用いることが好ましい。
その具体例としては、塩化白金酸(H2PtCl6・6H2O)、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体およびこの錯体を中和処理した化合物のトルエンまたはキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金、白金−炭素、白金−アルミナ、白金−シリカ等の担持触媒などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性、付加位置選択性および均一系触媒で取り扱いが容易であることなどの観点から、0価の白金錯体が好ましく、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1〜60時間程度であるが、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がより好ましい。
本発明のコーティング用組成物は、上述した(A)オルガノポリシロキサン化合物、および(B)硬化触媒を含有する。
本発明のコーティング用組成物は、上述した本発明のオルガノポリシロキサン化合物を含んでいるため、これを用いて固体基材を被覆処理した場合、従来のオルガノポリシロキサン化合物を用いた場合に比べ、本発明のオルガノポリシロキサン化合物の構造に起因し、硬化被膜の硬度、耐クラック性、耐衝撃性および耐黄変性が向上する。
硬化触媒(B)の添加量は特に限定されるものではないが、硬化速度を適切な範囲に調整して所望の物性の硬化被膜を作製するとともに、塗布時の作業性を向上させること、さらには添加に伴う経済性などを考慮すると、(A)成分100質量部に対して0.01〜50質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部がより一層好ましい。
ここで、「実質的に」とは、組成物中に含まれる溶剤が1質量%以下、特に0.1質量%以下であることを意味する。
使用可能な溶剤の具体例としては、(A)オルガノポリシロキサン化合物の製造時に使用した反応溶媒と同様のものが挙げられる。
なお、溶剤としては、減圧留去によって完全に除去できなかった反応溶媒など、コーティング用組成物中に意図的に添加した成分ではないものも含む。
塗布方法としては特に限定されず、その具体例としては、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、ローラーコート、刷毛塗り、バーコート、フローコート等の公知の方法から適宜選択して用いることができる。
固体基材としても特に限定されず、その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド、ポリ(メタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリ(エチレンテレフタレート),ポリ(ブチレンテレフタレート),不飽和ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのブレンド、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン樹脂などの有機ポリマー基材、鋼板等の金属基材、塗料塗布面、ガラス、セラミック、コンクリート、スレート板、テキスタイル、木材、石材、瓦、(中空)シリカ,チタニア,ジルコニア,アルミナ等の無機フィラー、ガラス繊維をはじめとしたガラスクロス,ガラステープ,ガラスマット,ガラスペーパー等のガラス繊維製品などが挙げられ、基材の材質および形状については特に限定されるものではないが、本発明のコーティング用組成物は、鋼板、ガラスの被覆に特に好適に用いることができる。
硬化反応温度および時間は、使用する基材、水分濃度、触媒濃度、および加水分解性基の種類等の因子に応じて適宜変更し得る。通常、使用する基材の耐熱温度を超えない範囲で5分から1週間程度である。
本発明のコーティング用組成物は、常温でも良好に硬化が進行するため、特に、現場施工などで室温硬化が必須となる場合でも、数分から数時間で塗膜表面のベタツキ(タック)がなくなり、作業性に優れているが、基材の耐熱温度を超えない範囲内に加熱処理を行っても構わない。
下記において、各生成物の粘度は、B型回転粘度計による25℃における測定値であり、分子量は、東ソー(株)製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)装置を使用し、溶剤としてトルエン、検出器としてRIを用いたGPC測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(以下Mw)である。
シリコーン平均組成は、日本電子(株)製300MHz−NMR測定装置を用いて、1H−NMRおよb29Si−NMRにおける検出スペクトルの積分値から算出した。
各生成物中に含まれるシラノール性水酸基の含有量(質量%)は、各生成物にグリニャール試薬(メチルマグネシウムヨージド)を作用させた際のメタンガス発生量より定量した。
なお、下記におけるシリコーン平均組成中のMeは側鎖のメチル基、Viは側鎖のビニル基、Phは側鎖のフェニル基を表す。
[合成例1]オルガノポリシロキサン(a1)の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,158g、ビニルメチルジメトキシシラン198gを仕込み、撹拌下、25℃で0.05N−塩酸188gを滴下し、70℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを常圧留去した後、濾過し、オルガノポリシロキサン(a1)850gを得た。得られたオルガノポリシロキサン(a1)は、無色透明液体であり、粘度45mm2/s、平均組成Me1.00Vi0.14SiO1.13(OCH3)0.60、Mw1,740、シラノール性水酸基の含有量0.1質量%であった。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,090g、ビニルメチルジメトキシシラン264gを仕込み、撹拌下、25℃で0.05N−塩酸151gを滴下し、70℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを常圧留去した後、濾過し、オルガノポリシロキサン(a2)920gを得た。得られたオルガノポリシロキサン(a2)は、無色透明液体であり、粘度35mm2/s、平均組成Me1.00Vi0.19SiO0.73(OCH3)1.35、Mw550、シラノール性水酸基の含有量0.5質量%であった。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,342g、ビニルメチルジメトキシシラン20gを仕込み、撹拌下、25℃で0.05N−塩酸225gを滴下し、70℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを常圧留去した後、濾過し、オルガノポリシロキサン(a3)743gを得た。得られたオルガノポリシロキサン(a3)は、無色透明液体であり、粘度80mm2/s、平均組成Me1.00Vi0.01SiO1.27(OCH3)0.45、Mw8,200、シラノール性水酸基の含有量0.2質量%であった。
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン954g、ジメチルジメトキシシラン361gを仕込み、撹拌下25℃で0.05N−塩酸190gを滴下し、70℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを常圧留去した後、濾過し、オルガノポリシロキサン(a4)790gを得た。得られたオルガノポリシロキサン(a4)は、無色透明液体であり、粘度75mm2/s、平均組成はMe1.28SiO1.07(OCH3)0.58、Mw=1,900、シラノール性水酸基の含有量は0.5質量%であった。このオルガノポリシロキサン(a4)は、シリコーン平均組成中にメチルシロキサン単位(T単位)およびジメチルシロキサン単位(D単位)がランダムに組み込まれている構造を有する。
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,905gを仕込み、撹拌下、25℃で0.05N−塩酸180gを滴下し、70℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを常圧留去した後、濾過し、オルガノポリシロキサン(a5)875gを得た。得られたオルガノポリシロキサン(a5)は、無色透明液体であり、粘度285mm2/s、平均組成Me1.00SiO1.03(OCH3)0.94、Mw1,500であった。このオルガノポリシロキサン(a5)は、メチルシロキサン単位(T単位)のみからなるシリコーン平均組成を有する。
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン954g、ジメトキシジフェニルシラン734gを仕込み、撹拌下、25℃で0.05N−塩酸190gを滴下し、70℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを常圧留去した後、濾過し、オルガノポリシロキサン(a6)1,227gを得た。得られたオルガノポリシロキサン(a6)は、無色透明液体であり、粘度80mm2/s、平均組成Me0.43Ph0.86SiO0.73(OCH3)1.25、Mw900、シラノール性水酸基の含有量0.3質量%であった。このオルガノポリシロキサン(a6)は、シリコーン平均組成中にメチルシロキサン単位(T単位)およびジフェニルシロキサン単位(DΦ単位)がランダムに組み込まれている構造を有する。
[実施例1−1]オルガノポリシロキサン化合物(A1)の合成
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた200mLのセパラブルフラスコに、オルガノポリシロキサン(a1)150g、下記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物5.7gを納めて撹拌混合した。その後、加熱して内温80℃となったところで白金錯体のトルエン溶液(Pt(0)の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、溶液全体に対して白金錯体が0.5質量%(白金換算))0.96gを添加した。添加終了後、内温80℃となるように加熱をしながらヒドロシリル化反応を行い、反応液を8時間熟成した後に、反応液のIR分析および水素ガス発生量測定によりヒドロシリル基の消失を確認した。その後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A1)152gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A1)は、粘度121mm2/sの無色透明液体であった。
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた200mLのセパラブルフラスコに、オルガノポリシロキサン(a2)150g、上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物5.7gを納めて撹拌混合した。その後、加熱して内温80℃となったところで白金錯体のトルエン溶液(Pt(0)の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、溶液全体に対して白金錯体が0.5質量%(白金換算))0.96gを添加した。添加終了後、内温80℃となるように加熱をしながらヒドロシリル化反応を行い、反応液を8時間熟成した後に、反応液のIR分析および水素ガス発生量測定によりヒドロシリル基の消失を確認した。その後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A2)154gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A2)は、粘度110mm2/sの無色透明液体であった。
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた200mLのセパラブルフラスコに、オルガノポリシロキサン(a3)150g、上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物0.9gを納めて撹拌混合した。その後、加熱して内温80℃となったところで白金錯体のトルエン溶液(Pt(0)の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、溶液全体に対して白金錯体が0.5質量%(白金換算))0.96gを添加した。添加終了後、内温80℃となるように加熱をしながらヒドロシリル化反応を行い、反応液を8時間熟成した後に、反応液のIR分析および水素ガス発生量測定によりヒドロシリル基の消失を確認した。その後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A3)146gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A3)は、粘度193mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記平均構造式(9)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物67gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A4)210gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A4)は、粘度624mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記平均構造式(10)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物71gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A5)215gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A5)は、粘度517mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記式(11)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物5gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A6)150gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A6)は、粘度425mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記平均構造式(12)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物10gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A7)156gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A7)は、粘度156mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記式(13)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物5.5gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A8)152gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A8)は、粘度124mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記平均構造式(14)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物9.7gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A9)154gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A9)は、粘度158mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記式(15)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物3.6gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A10)149gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A10)は、粘度373mm2/sの無色透明液体であった。
オルガノポリシロキサン(a1)150gに代えて、ビニルトリメトキシシラン150gを用いるとともに、上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物229gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A11)375gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A11)は、白色固体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記式(16)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物4gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A12)149gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A12)は、粘度100mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、下記平均構造式(17)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物90.4gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A13)235gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A13)は、粘度305mm2/sの無色透明液体であった。
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、平均構造式が下記式(18)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物39.2gを用いた以外は、実施例1−1と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A14)184gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A14)は、粘度430mm2/sの無色透明液体であった。
撹拌機、還流冷却器および温度計を備えたセパラブルフラスコに、トルエン150g、平均構造式(C6H5SiO3/2)0.75[(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2]0.25で示されるオルガノポリシロキサン(Mw=1,560、シラノール性水酸基の含有量4.1質量%)の58.6質量%トルエン溶液205g、上記式(8)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物9.8gを納めて撹拌混合した。その後、加熱して内温80℃となったところで白金錯体のトルエン溶液(Pt(0)の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、溶液全体に対して白金錯体が0.5質量%(白金換算))1.65gを添加した。添加終了後、内温80℃となるように加熱をしながらヒドロシリル化反応を行い、反応液を8時間熟成した後に、反応液のIR分析および水素ガス発生量測定によりヒドロシリル基の消失を確認した。その後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間行い、25℃に冷却することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A15)117gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A2)は、白色固体であった。
上記式(8)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物に代えて、上記式(12)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物17.2gを用いた以外は、比較例1−5と同様の手順で反応を行い、対応するオルガノポリシロキサン化合物(A16)124gを得た。得られたオルガノポリシロキサン化合物(A16)は、白色固体であった。
[実施例2−1]
上記実施例1−1で得られたオルガノポリシロキサン化合物(A1)100質量部と、硬化触媒であるテトラn−ブトキシチタン5質量部とを撹拌機を用いて均一に混合し、コーティング用組成物を調製した。
得られたコーティング用組成物を、25℃、50%RHの空気下でバーコーターNo.14を用いてガラス板または磨き鋼板に塗布し、25℃、50%RHの空気下で1日間乾燥・硬化させ、硬化被膜を作製した。
実施例2−1のオルガノポリシロキサン化合物(A1)を、実施例1−2〜1−10で得られたオルガノポリシロキサン化合物(A2)〜(A10)、比較例1−1〜1−6で得られたオルガノポリシロキサン化合物(A11)〜(A16)、比較合成例1〜3で得られたオルガノポリシロキサン(a4)〜(a6)、および合成例1で得られたオルガノポリシロキサン(a1)にそれぞれ変更した以外は、実施例2−1と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
テトラn−ブトキシチタン5質量部に代えて、ジ−n−ブトキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム5質量部を硬化触媒として用いた以外は、実施例2−1と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
〔指触乾燥時間〕
上記塗布方法にてコーティング用組成物をガラス板に塗布して得た試験片を25℃、50%RHの空気下に放置し、湿気硬化が進行することによって、塗布表面を指で圧しても塗膜が指に付着しなくなるまでの時間(分)を示した。値が小さいほど硬化性は良好であることを示す。
〔耐クラック性〕
上記塗布方法にてガラス板に硬化被膜を形成した試験片を、150℃のオーブンで2時間加熱処理した際の硬化被膜のクラック(ひび割れ)の有無を肉眼で観察した。
クラックが全く観測されなかった場合には、耐クラック性に優れるものとして「○」と評価した。クラックが1本観測された場合には「△」と評価した。クラックが2本以上観測された場合には「×」と評価した。
〔鉛筆硬度〕
上記塗布方法にてガラス板に硬化被膜を形成した試験片を、JIS K 5600記載の鉛筆引掻き試験に準じた方法で750gの荷重をかけて測定し、その結果を示した。
〔耐衝撃性〕
上記塗布方法にて磨き鋼板に硬化被膜を形成した試験片を、JIS K 5600記載のデュポン式落下衝撃試験機を用いて、撃ち型と受け台との間に試験片を挟み、一定の高さより500gのおもりを落下させて、衝撃変形による試験片のヒビ割れ・剥離の有無を肉眼で観察した。その際、塗膜面にヒビ割れ・剥離など異常が見られた段階の落下高さ(cm)を示した。値が大きいほど耐衝撃性は良好であることを示す。
〔耐黄変性〕
上記塗布方法にてガラス板に硬化被膜を形成した試験片に対し、25℃、50%RHの空気下で殺菌灯を用いて2週間UV照射試験を行った。その際の硬化被膜の黄変度合をJIS K 7373記載の色差計を用いてΔYI(黄変度=黄色度YIの変化幅)で評価した。値が小さいほど耐黄変性は良好であることを示す。
一方、比較例2−1〜2−4および2−7〜2−10で作製した硬化被膜は、硬度と耐クラック性および耐衝撃性との両立を実現することができず、また硬化性、耐黄変性といった塗膜物性でも不十分なものがある。
なお、比較例2−5および2−6では、得られたオルガノポリシロキサン化合物(A15)、(A16)が固形化し塗膜化が不可能であった。
Claims (12)
- 下記シロキサン化合物(a)と、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)とのヒドロシリル化反応物からなることを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物。
(a)平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも1つの脂肪族不飽和二重結合を有するシロキサン化合物:
R1 aR2 bSiXcO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は、互いに独立して、Zで置換されていてもよい、炭素原子数1〜14のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Zは、ハロゲン原子、アミノ基、エポキシ基、チイラン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、無水コハク酸基、パーフルオロアルキル基、ポリエーテル基またはパーフルオロポリエーテル基を表し、
R2は、互いに独立して、炭素原子数2〜15の脂肪族炭素−炭素二重結合含有基を表し、
Xは、互いに独立して、水酸基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、または炭素原子数6〜10のアリールオキシ基を表し(ただし、Xが水酸基のみとなることはない。)、
a、bおよびcは、それぞれ、0≦a≦1.5、0.01≦b≦1、0.5≦a+b≦1.8、0.01≦c≦2.5、かつ、1≦a+b+c≦2.54を満たす数である。)
(b)下記(b1)〜(b5)から選ばれる1種または2種以上のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物:
(b1)平均構造式が下記一般式(2)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b2)下記一般式(3)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b3)平均構造式が下記一般式(4)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
mは、1〜5の整数を表し、nは、0〜4の整数を表すが、m+nは1〜5の整数を満たす。)
(b4)下記一般式(5)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
(b5)下記一般式(6)で示されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物
- 前記Xが、水酸基と、炭素原子数1〜10のアルコキシ基との組み合わせである請求項1記載のオルガノポリシロキサン化合物。
- 前記(b)ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物が、前記(b1)、(b3)および(b4)から選ばれる1種または2種以上のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物を含む請求項1または2記載のオルガノポリシロキサン化合物。
- 前記(b)ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物が、前記(b1)のヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物を含む請求項3記載のオルガノポリシロキサン化合物。
- 前記シロキサン化合物(a)と前記ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)とを、ヒドロシリル化反応触媒の存在下、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)のSi−H基1モルに対して、シロキサン化合物(a)のSi原子に直結したアルケニル基が1〜10モルとなる範囲でヒドロシリル化反応を行う請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
- 前記シロキサン化合物(a)と前記ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)とを、ヒドロシリル化反応触媒の存在下、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物(b)のSi−H基1モルに対して、シロキサン化合物(a)のSi原子に直結したアルケニル基が2〜6モルとなる範囲でヒドロシリル化反応を行う請求項6記載のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
- (A)請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物、および
(B)硬化触媒
を含有するコーティング用組成物。 - 前記(B)硬化触媒が、酸触媒、アミン化合物およびその塩、アミノアルキル基置換アルコキシシラン、並びにアルミ系、チタン系およびスズ系の有機金属触媒からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項8記載のコーティング用組成物。
- 前記(B)硬化触媒が、チタンを含有する有機金属触媒である請求項8または9記載のコーティング用組成物。
- 溶剤の含有量が、1質量%以下である請求項8〜10のいずれか1項記載のコーティング用組成物。
- 請求項8〜11のいずれか1項記載のコーティング用組成物を硬化させてなる硬化物品。
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