JP6642229B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池システムに関する。
従来、固体高分子形燃料電池のカソードを構成する触媒電極層では、電解質膜側の一部が電解質膜内へ溶出して触媒消失層が形成されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、触媒消失層の増加に伴って触媒電極層におけるイオン抵抗が増加することに着眼し、触媒電極層におけるイオン抵抗を定量化し、定量化したイオン抵抗から触媒消失層の形成を検出する技術が開示されている。
特開2012−28146号公報
ところで、燃料電池では、触媒電極層の劣化に伴って性能低下が生じることから、触媒電極層が劣化すると、燃料電池に対する要求出力に対して燃料電池の出力が不足してしまう。このため、燃料電池システムには、触媒電極層の劣化に伴う燃料電池の出力不足を把握する等の対策が必要となる。
しかしながら、特許文献1では、発電環境下で測定した燃料電池のインピーダンス、および非発電環境下で測定した燃料電池のインピーダンスを測定し、その測定結果に基づいて触媒電極層におけるイオン抵抗を定量化している。そして、非発電環境下における燃料電池のインピーダンスの測定では、酸化剤ガスの代わりに窒素タンクに充填された窒素を燃料電池に供給する構成となっている。
このように、特許文献1では、触媒電極層におけるイオン抵抗を算出するために、非発電環境下で測定した燃料電池のインピーダンスを測定することで、窒素タンク等の専用部品を追加搭載する必要がある。このため、例えば、機器類の搭載制限の厳しい車両に対して適用することは、現実的ではない。
本発明は上記点に鑑みて、専用部品の追加を抑えつつ、触媒電極性の劣化に応じた燃料電池の出力特性を推定可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池システムを対象としている。
請求項1に記載の発明は、
電解質膜(101)および電解質膜の両面に配置された触媒電極層(103a、103b)で構成される膜電極接合体(100)を含むセル(10a)を複数有する固体高分子形の燃料電池(10)と、
燃料電池に対して所定の周波数の交流信号を重畳させる交流重畳部(510)と、
交流重畳部にて交流信号が重畳された際の燃料電池のインピーダンスを算出するインピーダンス算出部(520)と、
第1の周波数域における燃料電池のインピーダンス、および第1の周波数域よりも高い第2の周波数域における燃料電池のインピーダンスに基づいて、触媒電極層の劣化に相関性を有する物理量を算出する物理量算出部(530)と、
物理量算出部の算出結果に基づいて、燃料電池の性能低下量を算出する性能低下量算出部(550)と、
性能低下量算出部の算出結果に基づいて、燃料電池の出力特性を推定する出力推定部(560)と、を備え、
第1の周波数域は、酸化剤ガスの拡散抵抗の影響を受ける低周波数域に設定されており、
第2の周波数域は、低周波数域よりも高く、且つ、電解質膜内部の水素イオン抵抗の影響が支配的となる高周波数域よりも低い中間周波数域に設定されており、
物理量算出部は、低周波数域における燃料電池のインピーダンスと中間周波数域における燃料電池のインピーダンスとの差分から触媒電極層の劣化に相関性を有する酸化剤ガスの拡散抵抗を含む抵抗成分を算出する燃料電池システム。
これによると、異なる周波数域の燃料電池のインピーダンスに基づいて、触媒電極層の劣化に相関性を有する物理量を算出する構成としているので、専用の追加部品を抑えることができる。そして、触媒電極層の劣化に相関性を有する物理量に基づいて、燃料電池の性能低下量の算出、および燃料電池の出力特性を推定する構成としているので、触媒電極層の劣化に応じた燃料電池の出力特性を推定することが可能となる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態の燃料電池システムの概略構成図である。 燃料電池のセルの模式的な断面図である。 燃料電池のセルの内部構造を示す断面図である。 第1実施形態の燃料電池システムの電池制御装置の模式的な構成図である。 燃料電池の電流電圧特性の推定ラインを説明するための説明図である。 触媒電極層の劣化に伴う燃料電池の電流電圧特性の変化を説明するための説明図である。 交流成分ΔI付加部で燃料電池の出力電流に重畳させる交流電流を説明するための説明図である。 交流電流の周波数を変更した際に、燃料電池のインピーダンスに影響する抵抗成分を説明するための説明図である。 第1実施形態の電池制御装置が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。 異なる周波数における燃料電池のインピーダンスの差分と性能低下量との関係が規定された制御マップを示す特性図である。 推定した電流電圧特性を利用して、燃料電池の動作点を決定する方法を説明するための説明図である。 第2実施形態の電池制御装置が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。 第3実施形態の電池制御装置が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
以下、発明を実施する形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。本実施形態では、電気自動車の一種である燃料電池自動車に本発明の燃料電池システム1を適用した例について説明する。
燃料電池システム1は、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(例えば、空気)との電気化学反応を利用して電気エネルギを出力する燃料電池10を備える。本実施形態では、燃料電池10として固体高分子形燃料電池(PEFC:Proton Exchange membrane Fuel Cell)を採用している。燃料電池10は、発電により発生した直流電流をDC−DCコンバータ51aを介して、図示しない車両走行用の電動モータや二次電池といった電気負荷に供給する。
燃料電池10は、基本単位となるセル10aを複数積層配置したスタック構造となっている。複数のセル10aのうち、隣り合うセル10aは、互いに電気的に直列に接続されている。
図2に示すように、セル10aは、電解質膜101の両側を一対の触媒電極層102a、102bで挟んで構成される膜電極接合体100、膜電極接合体100の両側に配置された一対のガス拡散層103a、103b、これらを狭持するセパレータ110を備える。
電解質膜101は、含水性を有する炭化フッ素経や炭化水素系などの高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜で構成されている。また、一対の触媒電極層102a、102bは、それぞれ電極を構成している。具体的には、一対の触媒電極層102a、102bは、アノード電極を構成するアノード側触媒電極層102a、およびカソード電極を構成するカソード側触媒電極層102bで構成されている。
図3に示すように、各触媒電極層102a、102bは、白金粒子等の触媒作用を発揮する物質102c、当該物質102cを担持する担持カーボン102d、担持カーボン102dを被覆するアイオノマー(電解質ポリマー)102eで構成されている。
ガス拡散層103a、103bは、反応ガスである燃料ガスおよび酸化剤ガスを各触媒電極層102a、102bへ拡散させるものである。ガス拡散層103a、103bは、カーボンペーパーやカーボンクロス等のガス透過性および電子伝導性を有する多孔質部材で構成されている。
セパレータ110は、例えば、導電性を有するカーボン製の基材で構成されている。各セパレータ110には、アノード側触媒電極層102aに対向する部位に、燃料ガスが流れる水素流路111が形成され、カソード側触媒電極層102bに対向する部位に、酸化剤ガスが流れる空気流路112が形成されている。
各セル10aは、燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されると、以下の数式F1、数式F2に示す水素と酸素との電気化学反応により、電気エネルギを出力する。
(アノード側)H→2H+2e ・・・(F1)
(カソード側)2H+1/2O+2e→HO ・・・(F2)
図1に戻り、燃料電池10は、双方向に電力供給可能なDC−DCコンバータ51aを介して、各種電気負荷に電気的に接続されている。DC−DCコンバータ51aは、出力制御部51b、電圧センサ52a、および電流センサ52bと共に、燃料電池10から各種電気負荷、あるいは、各種電気負荷と燃料電池10との間の電流の流れを制御する電流制御装置51を構成している。
燃料電池10には、電流制御装置51を含む電池制御装置5が接続されている。電池制御装置5は、燃料電池10の状態を診断すると共に、その診断結果に応じて燃料電池10の作動を制御する装置である。本実施形態の電池制御装置5は、燃料電池10の劣化を検出し、その検出結果に基づいて燃料電池10の作動を制御するように構成されている。なお、電池制御装置5の詳細については後述する。
燃料電池10には、各セル10aの空気流路112に酸化剤ガスである空気を供給する空気入口部11a、各セル10aの空気流路112から生成水や不純物を空気と共に排出する空気出口部11bが設けられている。そして、空気入口部11aには、空気供給配管20が接続されている。また、空気出口部11bには、空気排出配管21が接続されている。
空気供給配管20には、その最上流部に大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ22が設けられている。空気ポンプ22は、空気を圧送する圧縮機構と圧縮機構を駆動する電動モータからなる電動ポンプである。
そして、空気供給配管20における空気ポンプ22と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される空気の圧力を調整する空気調圧弁23が設けられている。空気調圧弁23は、空気供給配管20のうち空気が流通する空気流路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。
また、空気排出配管21には、燃料電池10内部に存する生成水や不純物等を空気とともに外部へ排出するための電磁弁24が設けられている。電磁弁24は、空気排出配管21のうち空気が排出される空気排出路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。
また、燃料電池10には、各セル10aの水素流路111に燃料ガスを供給する水素入口部12a、各セル10aの水素流路111から未反応水素等を排出させる水素出口部12bが設けられている。そして、水素入口部12aには、水素供給配管30が接続されている。また、水素出口部12bには、水素排出配管31が接続されている。
水素供給配管30の最上流部には、高圧水素が充填された高圧水素タンク32が設けられている。そして、水素供給配管30における高圧水素タンク32と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整する水素調圧弁33が設けられている。水素調圧弁33は、水素供給配管30のうち水素供給流路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。
また、水素排出配管31には、微量な未反応水素等を外部へ排出するための電磁弁34が設けられている。電磁弁34は、水素排出配管31のうち水素排出流路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。なお、本実施形態の空気調圧弁23、水素調圧弁33、各電磁弁24、34、および空気ポンプ22は、電池制御装置5の出力側に接続されており、電池制御装置5からの制御信号により制御される構成となっている。
ここで、本実施形態の燃料電池10には、燃料電池10の温度を調整する冷却系として、不凍液等で構成される冷却水が循環する冷却水循環回路4が接続されている。冷却水循環回路4には、冷却水を循環させる水ポンプ41、燃料電池10通過後の冷却水を外気と熱交換させて放熱する放熱器42が設けられている。放熱器42は、電動ファン43によって送風される外気により冷却水を冷却する。
また、冷却水循環回路4には、放熱器42をバイパスして水ポンプ41の入口と燃料電池10の水出口とを接続するバイパス流路44が設けられている。さらに、バイパス流路44および放熱器42の水出口のうちいずれか一方を水ポンプ41の入口に接続する三方弁45が設けられている。
さらに、冷却水循環回路4には、燃料電池10の冷却水出口部に温度センサ46が設けられている。この温度センサ46は、燃料電池10を通過した後の冷却水の温度を検出する。なお、燃料電池10を通過した後の冷却水の温度は、燃料電池10の温度と殆ど同様の温度となる。このため、温度センサ46の検出値を燃料電池10の温度と見なして、燃料電池10の温度を検出することが可能となっている。
次に、電池制御装置5について図4を参照して説明する。図4では、燃料電池10の内部構造を示すために、燃料電池10を構成するセル10aの一部を透視図で示している。
図4に示すように、電池制御装置5は、主たる構成要素として、診断制御部50、電流制御装置51、増幅回路53、およびセルモニタ54を備えている。
電流制御装置51は、前述の如く出力制御部51bを備える。出力制御部51bは、CPU、ROMおよびRAM等の記憶部51cを備えるマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。
出力制御部51bは、燃料電池10に要求される要求出力P(すなわち、要求発電量)を算出し、燃料電池10に要求される要求出力に応じて、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給量を調整する各種機器の作動を制御する。
具体的には、出力制御部51bは、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサ、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサ等の検出結果に応じて、燃料電池10に要求される要求出力Pを算出する。
本実施形態の出力制御部51bは、記憶部51cに記憶された燃料電池10のセル10aの電流電圧特性(IV特性)の推定ライン(電池性能推定曲線)が規定された出力用制御マップを参照して、要求出力Pが得られる出力電圧Vを算出する。そして、出力制御部51bは、算出した出力電圧Vを各セル10aの目標電圧とし、各セル10aの出力電圧が目標電圧に近づくようにDC−DCコンバータ51aを制御して、燃料電池10の出力電圧を制御する。
本実施形態では、出力制御部51bが、燃料電池10に要求される要求出力を満たす燃料電池10の動作点(出力電流、出力電圧)を決定する動作点決定部を構成している。なお、燃料電池10の動作点は、燃料電池10の出力電圧および出力電流により決まる動作点である。
ところで、燃料電池10の各セル10aにおける触媒電極層102a、102bは、電解質膜101側の一部が溶出して経時劣化する。触媒電極層102a、102bが劣化すると、燃料電池10の各セル10aにおける電流電圧特性が大きく変動する。
触媒電極層102a、102bが劣化すると、例えば、図6に示すように、触媒電極層102a、102bの劣化後における燃料電池10の動作点OP2が、触媒電極層102a、102bの劣化前における燃料電池10の動作点OP1に対して変化する。
具体的には、劣化する前の電流電圧特性(図6の破線参照)は、劣化する前の電流電圧特性を示す曲線(図6の実線参照)に対して、同じ出力電圧V1に対応する電流密度が小さくなる(I1→I2)。
このため、出力制御部51bが予め規定された出力用制御マップを参照して算出した出力電圧V1を各セル10aの目標電圧に設定すると、各セル10aにおける出力P2(=I2×V1)が要求出力P1(=I1×V1)に対して不足してしまう。燃料電池10からの出力が要求出力P1に対して不足すると、ユーザによるアクセルペダルの踏み込み量に応じた出力が得られないことで、ドライバビリティ等が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、電池制御装置5の診断制御部50にて燃料電池10の触媒電極層102a、102bの劣化を検出し、当該検出結果に基づいて実際の燃料電池10の出力特性(電流電圧特性)を推定する。
診断制御部50は、CPU、ROMおよびRAM等の記憶部500を備えるマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。本実施形態の診断制御部50は、図4に示すように、交流成分ΔI付加部510、ΔIn算出部540、Zn算出部520、劣化検出部530、性能低下量算出部550、出力推定部560を備える。
交流成分ΔI付加部510は、DC−DCコンバータ51aを介して、燃料電池10の出力電流に対して、所定の周波数域の交流電流(交流成分ΔI)を重畳させる交流重畳部である。
交流成分ΔI付加部510は、図7に示す波形を有する交流電流を燃料電池10の出力電流に重畳する。本実施形態の交流成分ΔI付加部510は、燃料電池10の出力電流に対して、異なる周波数域(第1の周波数域、第2の周波数域)の交流電流を重畳させることが可能となっている。
交流電流の周波数の詳細については後述する。なお、交流成分ΔI付加部510において重畳する交流電流は、燃料電池10の発電状態への影響を考慮して、燃料電池10の出力電流(発電電流)の10%以内とすることが望ましい。
ΔIn算出部540は、電流センサ52bの検出電流Iに基づいて、燃料電池10に流れる総電流Iのうち所定の周波数の交流成分ΔInを算出する。具体的には、ΔIn算出部540は、高速フーリエ変換等の手法によって交流成分ΔInを算出する。なお、電流センサ52bは、燃料電池10に流れる総電流を検出する電流検出部を構成する。総電流は、図5に示す燃料電池10の直流成分Iと、所定の周波数の交流成分ΔIとを含む電流である。
Zn算出部520は、交流成分ΔI付加部510により燃料電池10の出力電流に交流電流が重畳された状態で、セルモニタ54の検出値、および電流センサ52bの検出値に基づいて、セルのインピーダンスZnを算出する。
具体的には、Zn算出部520は、増幅回路53で増幅された出力電圧に基づいて、セル10aから出力されるセル電圧のうち、所定の周波数域の交流電圧である交流成分ΔVをセル10a毎に算出する。本実施形態のZn算出部520は、高速フーリエ変換等の手法により交流成分ΔVを算出する。
そして、本実施形態のZn算出部520は、交流成分ΔVをΔIn算出部540で算出された交流成分ΔInで除算して、交流電流に対するセル10aのインピーダンスZn(=ΔV/ΔIn)をセル10a毎に算出可能となっている。なお、Zn算出部520で算出するインピーダンスZnは、インピーダンスの絶対値である。以降、インピーダンスの絶対値を単にインピーダンスと略称する。
また、本実施形態のZn算出部520は、交流成分ΔI付加部510により異なる周波数域の交流電流が重畳された場合に、異なる周波数域毎のインピーダンスZnを算出することが可能となっている。本実施形態では、Zn算出部520がインピーダンス算出部を構成している。
続いて、増幅回路53は、セルモニタ54に接続され、セルモニタ54から出力される電圧を増幅して、Zn算出部520に出力する回路である。セルモニタ54は、セル10aから出力されるセル電圧をセル10a毎に検出するセル電圧検出部である。このため、増幅回路53では、各セル10aから出力されるセル電圧をそれぞれ増幅することになる。
ここで、本実施形態の電池制御装置5は、セルモニタ54以外にも、電流制御装置51の電圧センサ52aを有している。この電圧センサ52aは、燃料電池10全体、すなわち、複数のセル10aの積層体から出力される総電圧を検出する総電圧検出部を構成している。
続いて、劣化検出部530は、異なる周波数域における燃料電池10全体または各セル10aのインピーダンスに基づいて、燃料電池10の触媒電極層102a、102bの劣化との相関性を有する物理量を算出する物理量算出部である。
ここで、高周波数域、中間周波数域、および低周波数域といった異なる3つの周波数域における燃料電池10のインピーダンスに含まれる抵抗成分について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、まず、数kHz帯の高周波数域における燃料電池10のインピーダンスには、電解質膜101中を高速で移動する水素イオン(H)の移動抵抗が含まれており、その抵抗成分は、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmが支配的となる。
続いて、数百Hz帯の中間周波数域における燃料電池10のインピーダンスには、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmに加えて、触媒電極層102a、102b中を移動する水素イオン(H)の移動抵抗が含まれている。そして、中間周波数域における燃料電池10のインピーダンスは、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmおよび触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcが支配的となる。なお、触媒電極層102a、102b内部における水素イオンの移動速度は、電解質膜101内部における水素イオンの移動速度よりも遅くなる。このため、触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcは、高周波数域における燃料電池10のインピーダンスへの影響が小さい。
続いて、数十Hz帯の低周波数域における燃料電池10のインピーダンスには、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpm、触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcに加えて、酸素の拡散抵抗(酸化剤ガスの拡散抵抗)Rdが含まれている。なお、酸素の移動速度は、水素イオンよりも遅くなる。このため、酸素の拡散抵抗Rdは、高周波数域および中間周波数域における燃料電池10のインピーダンスへの影響が小さい。
そして、燃料電池10のインピーダンスに含まれる抵抗成分のうち、触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcは、他の抵抗成分に比べて、最も触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を有する。
これらを鑑みて、本実施形態の劣化検出部530は、燃料電池10の触媒電極層102a、102bの劣化との相関性を有する物理量として、触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcを含む抵抗成分を算出する。
ここで、前述の如く、中間周波数域の燃料電池10のインピーダンスRには、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmおよび触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcが含まれる。また、高周波数域の燃料電池10のインピーダンスRには、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmが含まれる。
このため、本実施形態の劣化検出部530は、中間周波数域の燃料電池10のインピーダンスRと高周波数域の燃料電池10のインピーダンスRとの差分(=R−R)から触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcを含む抵抗成分を算出する。
図4に戻り、診断制御部50の性能低下量算出部550は、劣化検出部530の算出結果に基づいて、触媒電極層102a、102bの劣化に伴う燃料電池10の性能低下量を算出する算出部である。
本実施形態の性能低下量算出部550は、劣化検出部530の算出結果に基づいて、触媒電極層102a、102bの劣化に相関性のある物理量と燃料電池10の性能低下量との関係を規定した評価用制御マップを参照して、燃料電池10の性能低下量を算出する。評価用制御マップには、触媒電極層102a、102bの劣化が進行する程、燃料電池10の性能低下量が大きくなる関係が規定されている。なお、評価用制御マップは、診断制御部50の記憶部500に予め記憶されている。
続いて、出力推定部560は、性能低下量算出部550の算出結果に基づいて、燃料電池10の実際の出力特性、すなわち、触媒電極層102a、102bの劣化に伴って変化した電流電圧特性を推定する推定部である。
本実施形態の出力推定部560は、性能低下量算出部550の算出結果に基づいて、電流制御装置51の記憶部51cに記憶された電流電圧特性(IV特性)の推定ラインが規定された出力用制御マップを補正する。出力推定部560は、例えば、性能低下量算出部550で算出された性能低下量が5%となる場合、電流制御装置51の記憶部51cに記憶された電流電圧特性から導かれる出力(=電流密度×出力電圧)が5%程度減るように、推定ラインを補正する。
次に、本実施形態の電池制御装置5が実行する触媒電極層102a、102bの劣化対応処理について、図9を参照して説明する。図9に示す制御ルーチンは、電池制御装置5により実行される。図9に示す制御ルーチンは、ドラバビリティへの影響を抑えるために、例えば、燃料電池10の起動処理または停止処理時に実行することが望ましい。なお、図9に示すフローチャートの各ステップは、電池制御装置5により実現されるものであり、各ステップで実現される機能それぞれを機能実現部として解釈することができる。
図9に示すように、電池制御装置5は、まず、交流成分ΔI付加部510により、高周波数域(例えば、1kHz)の交流電流、および中間周波数域(例えば、200Hz)の交流電流を、燃料電池10の出力電流に重畳させる(S10)。
続いて、電池制御装置5は、各種センサの検出信号を読み込む(S20)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS20の処理にて、電圧センサ52a、電流センサ52b、セルモニタ54の検出信号を読み込む。
続いて、電池制御装置5は、ステップS20の処理にて読み込んだ各種センサの検出値から、燃料電池10のインピーダンスを算出する(S30)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS30の処理にて、中間周波数域(例えば、200Hz)に対応するインピーダンスR、および高周波数域(例えば、1kHz)に対応するインピーダンスRを区別して算出する。
続いて、電池制御装置5は、中間周波数域に対応するインピーダンスR、および高周波数域に対応するインピーダンスRの差分(=R−R)に基づいて、燃料電池10の性能低下量を算出する(S40)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS40の処理にて、図10に示すように、各インピーダンスR、Rの差分と性能低下量との関係が規定された評価用制御マップを参照して燃料電池10の性能低下量を算出する。
続いて、電池制御装置5は、ステップS40の処理にて算出した燃料電池10の性能低下量に基づいて、燃料電池10の実際の出力特性、すなわち、触媒電極層102a、102bの劣化に伴って変化した電流電圧特性(IV特性)を推定する(S50)。
具体的には、電池制御装置5は、性能低下量算出部550で算出された性能低下量に応じて、電流制御装置51の記憶部51cに記憶された電流電圧特性(IV特性)の推定ラインが規定された出力用制御マップを補正する。電池制御装置5は、例えば、性能低下量が5%となる場合、電流制御装置51の記憶部51cに記憶された電流電圧特性から導かれる出力(=電流密度×出力電圧)が5%程度減るように、推定ラインを補正する。
本実施形態の電流制御装置51の出力制御部51bは、図10のステップS50の処理で推定された燃料電池10の出力特性(電流電圧特性)に基づいて、燃料電池10に要求される要求出力を満たす燃料電池10の動作点を決定する。
ここで、図11は、推定した電流電圧特性を利用して、燃料電池10の各セル10aの動作点OPを決定する方法を説明するための説明図である。図11では、触媒電極層102a、102bが劣化する前の電流電圧特性の推定ラインを実線で示し、劣化後の電流電圧特性の推定ラインを破線で示している。なお、図11の破線で示す推定ラインは、図10のステップS50における電流電圧特性(IV特性)の推定結果である。
本実施形態の出力制御部51bは、図11に示すように、図10のステップS50にて推定した電流電圧特性(IV特性)の推定ライン(図11の破線参照)上において、要求出力P1を満たす出力P3が得られる燃料電池10の動作点OP3を決定する。
具体的には、出力制御部51bは、まず、記憶部51cに記憶された電流電圧特性の推定ライン(図11の実線参照)における要求出力P1を満たす出力電圧V1を算出する。続いて、出力制御部51bは、出力電圧V1以下の電圧範囲において、図10のステップS50にて推定した電流電圧特性の推定ライン上において、要求出力P1を満たす電圧V3および電流密度V3を燃料電池10の動作点OP3として決定する。そして、出力制御部51bは、燃料電池10の動作点OP3における出力電圧V3を各セル10aの目標電圧とし、各セル10aの出力電圧が目標電圧に近づくようにDC−DCコンバータ51aを制御して、燃料電池10の出力電圧を制御する。
以上説明した本実施形態の燃料電池システム1は、異なる周波数域の燃料電池10のインピーダンスに基づいて、触媒電極層102a、102bの劣化に相関する物理量を算出する構成としている。
加えて、本実施形態の燃料電池システム1では、触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を有する物理量に基づいて、燃料電池10の性能低下量の算出、および燃料電池10の出力特性の推定を行う構成となっている。
このため、本実施形態の燃料電池システム1では、触媒電極層102a、102bの劣化を検出するための専用の追加部品を抑えつつ、触媒電極層102a、102bの劣化に応じた燃料電池の出力特性を推定することができる。なお、本実施形態の燃料電池システム1における燃料電池10のインピーダンスを算出する構成は、燃料電池10の内部の水分状態、発電状態を把握するためにも利用されるものであり、触媒電極層102a、102bの劣化を検出するための専用の追加部品ではない。
また、本実施形態の燃料電池システム1は、出力推定部560にて推定された燃料電池10の出力特性に基づいて、燃料電池10に要求される要求出力を満たす燃料電池10の動作点を決定する構成となっている。このように、触媒電極層102a、102bの劣化を加味して燃料電池10を作動させる構成では、燃料電池10に要求される要求出力に見合った電気エネルギを出力することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池システム1は、記憶部51cに記憶された触媒電極層102a、102bの水素イオン抵抗と燃料電池10の性能低下量との関係を規定した制御マップを参照して、燃料電池10の性能低下量を算出する構成となっている。これによれば、燃料電池10の性能低下量の算出を電池制御装置5の内部構成にて行うことができるので、専用の追加部品の増加を抑えることができる。
さらにまた、本実施形態の燃料電池システム1では、中間周波数域および高周波数域における燃料電池10のインピーダンスの差分から触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を有する触媒電極層102a、102bの水素イオン抵抗を含む抵抗成分を算出する構成となっている。これによれば、触媒電極層102a、102bの水素イオン抵抗を含む抵抗成分を算出することができるので、触媒電極層102a、102bの劣化を適切に検出することができる。この結果、燃料電池10の出力特性を精度良く推定することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図12を参照して説明する。本実施形態では、触媒電極層102a、102bの劣化を検出する際に燃料電池10の出力電流に重畳させる交流電流の周波数域が第1実施形態と相違している。
第1実施形態で説明したように、中間周波数域の燃料電池10のインピーダンスRには、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmおよび触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcが含まれる。また、低周波数域の燃料電池10のインピーダンスRには、電解質膜101および触媒電極層102a、102bの内部の水素イオン抵抗Rpm、Rpcに加えて、酸素の拡散抵抗Rdが含まれる。
ここで、触媒電極層102a、102bに劣化が生ずると、燃料電池10内部における酸素の拡散が阻害されることで、触媒電極層102a、102bの水素イオン抵抗だけでなく、酸素の拡散抵抗Rdも増加する傾向がある。すなわち、酸素の拡散抵抗Rdは、触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を物理量となる。
このため、本実施形態の劣化検出部530は、低周波数域の燃料電池10のインピーダンスRと中間周波数域の燃料電池10のインピーダンスRとの差分(=R−R)から酸素の拡散抵抗Rdを含む抵抗成分を算出する。
また、本実施形態の性能低下量算出部550は、劣化検出部530の算出結果に基づいて、触媒電極層102a、102bの劣化に相関性のある物理量と燃料電池10の性能低下量との関係を規定した評価用制御マップを参照して、燃料電池10の性能低下量を算出する。なお、評価用制御マップには、低周波数域の燃料電池10のインピーダンスRと中間周波数域の燃料電池10のインピーダンスRとの差分が大きくなる程、燃料電池10の性能低下量が大きくなる関係が規定されている。
次に、本実施形態の電池制御装置5が実行する触媒電極層102a、102bの劣化対応処理について、図12を参照して説明する。図12は、第1実施形態で説明した図9に対応するフローチャートである。なお、図12に示す制御ルーチンは、燃料電池10の起動または停止する際に、電池制御装置5により実行される。
図12に示すように、電池制御装置5は、まず、交流成分ΔI付加部510により、低周波数域(例えば、20Hz)の交流電流、および中間周波数域(例えば、200Hz)の交流電流を、燃料電池10の出力電流に重畳させる(S10A)。その後、電池制御装置5は、各種センサの検出信号を読み込む(S20)。
続いて、電池制御装置5は、ステップS20の処理にて読み込んだ各種センサの検出値から、燃料電池10のインピーダンスを算出する(S30A)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS30の処理にて、低周波数域(例えば、20Hz)に対応するインピーダンスR、および中間周波数域(例えば、200Hz)に対応するインピーダンスRを区別して算出する。
続いて、電池制御装置5は、低周波数域に対応するインピーダンスR、および中間周波数域に対応するインピーダンスRの差分(=R−R)に基づいて、燃料電池10の性能低下量を算出する(S40A)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS40の処理にて、各インピーダンスR、Rの差分と性能低下量との関係が規定された評価用制御マップを参照して燃料電池10の性能低下量を算出する。
続いて、電池制御装置5は、ステップS40Aの処理にて算出した燃料電池10の性能低下量に基づいて、燃料電池10の実際の出力特性、すなわち、触媒電極層102a、102bの劣化に伴って変化した電流電圧特性(IV特性)を推定する(S50)。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と同様の構成を含んでいる。このため、本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と同様の構成により得られる構成によって得られる作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
ここで、本実施形態の燃料電池システム1は、低周波数域および中間周波数域における燃料電池10のインピーダンスの差分から触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を有する酸素の拡散抵抗Rdを含む抵抗成分を算出する構成となっている。これによれば、触媒電極層の劣化に相関性を有する酸素の拡散抵抗Rdを含む抵抗成分によって、触媒電極層102a、102bの劣化を検出することができる。
ここで、数kHzの高周波数域の交流信号を取り扱う場合、サンプリング周波数が低下することで、電池制御装置5における処理系(交流成分ΔI付加部510、Zn算出部520等)が大型化したり、複雑化したりすることが懸念される。このことは、移動体である車両等への搭載を妨げる要因となってしまう。
これに対して、本実施形態の燃料電池システム1では、高周波数域よりも低い周波数に対応する燃料電池10のインピーダンスにより触媒電極層102a、102bの劣化を検出することができる。このため、電池制御装置5における処理系(交流成分ΔI付加部510、Zn算出部520等)の大型化および複雑化を抑えることができる。本実施形態の燃料電池システム1は、機器の搭載制約がある車両等の移動体に好適である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態では、触媒電極層102a、102bの劣化を検出する際に燃料電池10の出力電流に重畳させる交流電流の周波数域が第1、第2実施形態と相違している。
第1、第2実施形態で説明したように、高周波数域の燃料電池10のインピーダンスRには、電解質膜101内部の水素イオン抵抗Rpmが含まれる。また、低周波数域の燃料電池10のインピーダンスRには、電解質膜101および触媒電極層102a、102bの内部の水素イオン抵抗Rpm、Rpcに加えて、酸素の拡散抵抗Rdが含まれる。
ここで、触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpc、および酸素の拡散抵抗Rdは、触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を物理量となる。
このため、本実施形態の劣化検出部530は、低周波数域の燃料電池10のインピーダンスRと高周波数域の燃料電池10のインピーダンスRとの差分(=R−R)から触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpc、および酸素の拡散抵抗Rdを含む抵抗成分を算出する。
また、本実施形態の性能低下量算出部550は、劣化検出部530の算出結果に基づいて、触媒電極層102a、102bの劣化に相関性のある物理量と燃料電池10の性能低下量との関係を規定した評価用制御マップを参照して、燃料電池10の性能低下量を算出する。なお、評価用制御マップには、低周波数域の燃料電池10のインピーダンスRと高周波数域の燃料電池10のインピーダンスRとの差分が大きくなる程、燃料電池10の性能低下量が大きくなる関係が規定されている。
次に、本実施形態の電池制御装置5が実行する触媒電極層102a、102bの劣化対応処理について、図13を参照して説明する。図13は、第1実施形態で説明した図9、および第2実施形態で説明した図12に対応するフローチャートである。なお、図13に示す制御ルーチンは、燃料電池10の起動または停止する際に、電池制御装置5により実行される。
図13に示すように、電池制御装置5は、まず、交流成分ΔI付加部510により、低周波数域(例えば、20Hz)の交流電流、および高周波数域(例えば、1kHz)の交流電流を、燃料電池10の出力電流に重畳させる(S10B)。その後、電池制御装置5は、各種センサの検出信号を読み込む(S20)。
続いて、電池制御装置5は、ステップS20の処理にて読み込んだ各種センサの検出値から、燃料電池10のインピーダンスを算出する(S30B)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS30の処理にて、低周波数域(例えば、20Hz)に対応するインピーダンスR、および高周波数域(例えば、1kHz)に対応するインピーダンスRを区別して算出する。
続いて、電池制御装置5は、低周波数域に対応するインピーダンスR、および高周波数域に対応するインピーダンスRの差分(=R−R)に基づいて、燃料電池10の性能低下量を算出する(S40B)。具体的には、電池制御装置5は、ステップS40の処理にて、各インピーダンスR、Rの差分と性能低下量との関係が規定された評価用制御マップを参照して燃料電池10の性能低下量を算出する。
続いて、電池制御装置5は、ステップS40Bの処理にて算出した燃料電池10の性能低下量に基づいて、燃料電池10の実際の出力特性、すなわち、触媒電極層102a、102bの劣化に伴って変化した電流電圧特性(IV特性)を推定する(S50)。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と同様の構成を含んでいる。このため、本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と同様の構成により得られる構成によって得られる作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
ここで、本実施形態の燃料電池システム1は、低周波数域および高周波数域における燃料電池10のインピーダンスの差分から触媒電極層102a、102bの劣化に相関性を有する触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpcおよび酸素の拡散抵抗Rdを含む抵抗成分を算出する構成となっている。これによれば、触媒電極層の劣化に相関性を有する触媒電極層102a、102b内部の水素イオン抵抗Rpc、および酸素の拡散抵抗Rdを含む抵抗成分によって、触媒電極層102a、102bの劣化を検出することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、燃料電池自動車に対して本発明の燃料電池システム1を適用する例について説明したが、これに限定されない。例えば、定置型の装置やシステムに本発明の燃料電池システム1を適用してもよい。
上述の各実施形態では、出力推定部560にて推定された燃料電池10の出力特性に基づいて、燃料電池10に要求される要求出力を満たす燃料電池10の動作点を決定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、出力推定部560にて推定された燃料電池10の出力特性に基づいて、ユーザ側に燃料電池10が出力不足となる要因を報知するようにしてもよい。
上述の各実施形態では、記憶部51cに記憶された触媒電極層102a、102bの水素イオン抵抗と燃料電池10の性能低下量との関係を規定した制御マップを参照して、燃料電池10の性能低下量を算出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、触媒電極層102a、102bの水素イオン抵抗と燃料電池10の性能低下量との関係を数式化して、当該数式を用いて燃料電池10の性能低下量を算出してもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
10 燃料電池
10a セル
100 膜電極接合体
101 電解質膜
102a、102b 触媒電極層
510 交流成分ΔI付加部(交流重畳部)
520 Zn算出部(インピーダンス算出部)
530 劣化検出部(物理量算出部)
550 性能低下量算出部
560 出力推定部

Claims (3)

  1. 酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池システムであって、
    電解質膜(101)および前記電解質膜の両側に配置された触媒電極層(102a、102b)で構成される膜電極接合体(100)を有する複数のセル(10a)で構成された固体高分子形の燃料電池(10)と、
    前記燃料電池に対して所定の周波数の交流信号を重畳させる交流重畳部(510)と、
    前記交流重畳部にて前記交流信号が重畳された際の前記燃料電池のインピーダンスを算出するインピーダンス算出部(520)と、
    第1の周波数域における前記燃料電池のインピーダンス、および前記第1の周波数域よりも高い第2の周波数域における前記燃料電池のインピーダンスに基づいて、前記触媒電極層の劣化に相関性を有する物理量を算出する物理量算出部(530)と、
    前記物理量算出部の算出結果に基づいて、前記燃料電池の性能低下量を算出する性能低下量算出部(550)と、
    前記性能低下量算出部の算出結果に基づいて、前記燃料電池の出力特性を推定する出力推定部(560)と、を備え、
    前記第1の周波数域は、前記酸化剤ガスの拡散抵抗の影響を受ける低周波数域に設定されており、
    前記第2の周波数域は、前記低周波数域よりも高く、且つ、前記電解質膜内部の水素イオン抵抗の影響が支配的となる高周波数域よりも低い中間周波数域に設定されており、
    前記物理量算出部は、前記低周波数域における前記燃料電池のインピーダンスと前記中間周波数域における前記燃料電池のインピーダンスとの差分から前記触媒電極層の劣化に相関性を有する前記酸化剤ガスの拡散抵抗を含む抵抗成分を算出する燃料電池システム。
  2. 前記出力推定部にて推定された前記燃料電池の出力特性に基づいて、前記燃料電池に要求される要求出力を満たす前記燃料電池の動作点を決定する動作点決定部(51b)を備える請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記触媒電極層の劣化に相関性を有する物理量と前記燃料電池の性能低下量との関係を規定した制御マップが予め記憶された記憶部(51c)を備え、
    前記性能低下量算出部は、前記物理量算出部の算出結果に基づき、前記記憶部に記憶された前記制御マップを参照して前記性能低下量を算出する請求項1または2に記載の燃料電池システム。
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