JP6641999B2 - 折畳み保持性、低収縮性及び隠蔽性に優れたポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
1.エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が30MPa以上90MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)全光線透過率が20%以上50%以下
2.折畳み保持角度が15度以上45度以下であることを特徴とする上記1.に記載のポリエステルフィルム。
3.DSC昇温プロファイルにおける融解開始温度が100℃以上220℃以下であることを特徴とする上記1.又は2.に記載のポリエステルフィルム。
4.上記1.から3.いずれかのポリエステルフィルムを連続的に製造する方法であって、溶融押出され、冷却固化された未延伸シートを長手方向及び/又は幅方向に延伸後、ポリエステルの融解開始温度以上240℃以下の温度で熱処理することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
まず、本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が30MPa以上90MPa以下であることが好ましい。
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線より、ひずみ40%時の応力を40%伸張時の応力とした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。尚、ひずみが40%に到達する前にフィルムが破断した場合は、応力を0MPaとした。最終的には幅方向と長手方向、それぞれから得られた応力の平均値をひずみ40%時の応力として用いた。
28℃50%RH環境の恒温室でフィルムを24時間放置する。その後直ちに、各々のフィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした(2.5cm×2.5cmの正方形)。フィルムを折りたたむ際、最初の2つ折りで出来た長方形の短辺が縦方向になるようにした。その後 底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間、4つ折りのフィルムに乗せた。錘を外した後、4つ折りのフィルムを30分間放置した。その後、折られたフィルムが開いた角度(完全に折畳まれた状態を0度とした)を測定して求めた。また、フィルムを折りたたむときの縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値を折畳み保持角度とした。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、80±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式1にしたがって、それぞれ収縮率を求めた。
収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式1
JIS-K-7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って求めた。未延伸フィルム10mgを、−20℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って低温側の補外融解開始温度を求めた。まずフィルム10mgを20℃から300℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。昇温プロファイルにおいて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を融解開始温度として読み取った。
フィルムを長さ12m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルムの長手方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは10m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式2からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式2
フィルムを長さ40mm×幅1.2mの幅広な帯状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルム試料の幅方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは500mm)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、上式2からフィルムの幅方向の厚み斑を算出した。
合成例1
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件のもとで重縮合反応を行い、固有粘度0.75 dL/gのポリエステル1を得た。尚、ポリエステル1には副生成物のジエチレングリコール(DEG)が1%含まれている。組成を表1に示す。
合成例1と同様の方法により、表1に示すポリエステル2〜5を得た。なお、表中、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、EGはエチレングリコール、BDは1,4-ブタンジオール、NPGはネオペンチルグリコール、ε−CLはε−カプロラクトンである。各ポリエステルの固有粘度は、それぞれ、ポリエステル2:0.73 dL/g、ポリエステル3:0.80 dL/g、ポリエステル4:1.20dL/g、ポリエステル5:0.78dL/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
上記のポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比10:80:10で混合し、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステル混合物に対して50ppmとなるように添加してB層の原料とした。A層の原料は、ポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比10:80:10で混合するに際し、更にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300 富士チタン製)10重量%を加えて混合した。A層及びB層の原料をそれぞれ別々の2軸スクリュー押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合したものをT−ダイスより280℃で溶融押出しし、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ240μmでB/A/Bの積層構造を持つ未延伸フィルムを得た(層比率 B/A/B=1/2/1)。そして、上記の如く得られた厚み240μmの未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、ロールの回転速度差を利用して、縦方向に延伸した。すなわち、未延伸フィルムを、予熱ロール上でフィルム温度が85℃になるまで予備加熱した後に、表面温度85℃に設定された低速回転ロールと表面温度30℃に設定された高速回転ロールとの間で回転速度差を利用して3.5倍に縦延伸した。
得られたフィルムの特性は、上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
得られた二軸延伸フィルムは、折り畳み角度、温湯収縮率、全光線透過率の低いフィルムとなり、総合的に大変好ましいものであった。
実施例1と同じポリエステル原料を、未延伸シートの厚みが280μm(層比率 B/A/B=1/2/1)となるように実施例1と同様に溶融押し出しし、延伸倍率を4.0とした以外は実施例1と同様の方法で縦方向の延伸を行い、その後、実施例1と同様の条件で製膜することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1と同じポリエステル原料を、実施例1と同様に溶融押し出しし、実施例1と同様の方法で縦延伸と横延伸を行った。横延伸後のフィルムを180℃で熱処理した以外は実施例1と同様の条件で製膜することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1において、A層の原料に添加したポリスチレン樹脂10重量%に代えて結晶性ポリプロピレン樹脂(FO−50F グランドポリマー製)10重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1において押出機に投入するA層及びB層の原料ポリエステル3をポリエステル4に代え、重量比は実施例1と同じとした以外は実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記のポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル5を重量比20:50:10:20で混合し、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステル混合物に対して50ppmとなるように添加してB層の原料とした。A層の原料樹脂はポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル5を重量比20:50:10:20で混合するに際し、更にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300 富士チタン製)10重量%を加えて混合した。その後は実施例1と同様の方法によってフィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記のポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比30:60:10で混合し、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステル混合物に対して50ppmとなるように添加してB層の原料とした。A層の原料樹脂はポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比30:60:10で混合するに際し、更にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300 富士チタン製)10重量%を加えて混合した。その後は実施例1と同様の方法によってフィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
層A、Bともに、上記したポリエステル1のみを原料として用い、B層には滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステルに対して50ppmとなるように添加した。A層及びB層の原料は、実施例1と同様の方法で押し出し後に急冷することにより、厚さ180μmでB/A/Bの積層構造を持つ未延伸フィルムを得た(層比率 B/A/B=1/2/1)。そして、上記の如く得られた厚み180μmの未延伸フィルムを、延伸温度を94℃、延伸倍率を3.0倍とした以外は実施例1と同様の方法で縦延伸した。
しかる後、予備加熱温度と延伸温度を100℃、延伸倍率を3.0倍とした以外は実施例1と同様の方法で横延伸した。その後の熱処理ゾーンの温度は室温に設定し、熱処理を施さないままゾーンを通過させた。しかる後、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は、上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。得られた二軸延伸フィルムは、温湯収縮率、全光線透過率が高く、本発明としては好ましくないフィルムが得られた。
上記のポリエステル1に滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステル混合物に対して50ppmとなるように添加してB層の原料とした。A層の原料はポリエステル1に、ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)20重量%及び二酸化チタン(TA−300 富士チタン製)20重量%を加えて混合した。A層及びB層の原料は、実施例1と同様の方法で押し出し後に急冷することにより、厚さ180μmでB/A/Bの積層構造を持つ未延伸フィルムを得た(層比率 B/A/B=1/2/1)。そして、上記の如く得られた厚み190μmの未延伸フィルムを、延伸温度を90℃とした以外は実施例1と同様の方法で縦延伸した。
得られたフィルムの特性は、上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
得られた二軸延伸フィルムは、折り畳み角度を評価する際にフィルムが割れてしまって測定できなかったため、本発明としては好ましくないフィルムが得られた。
実施例1と同じポリエステル原料を、実施例1と同様に溶融押し出しし、実施例1と同様の方法で縦延伸と横延伸を行った。横延伸後のフィルムを120℃で熱処理した以外は実施例1と同様の条件で製膜することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。得られたフィルムは温湯収縮率が高く、本発明としては好ましくないフィルムが得られた。
2・・・融点開始温度
Claims (4)
- エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、空洞含有層を有するとともに、下記要件(1)から(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が30MPa以上90MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)全光線透過率が20%以上50%以下 - 折畳み保持角度が15度以上45度以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- DSC昇温プロファイルにおける融解開始温度が100℃以上220℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
- 請求項1から3いずれかのポリエステルフィルムを連続的に製造する方法であって、溶融押出され、冷却固化された未延伸シートを長手方向及び/又は幅方向に延伸後、ポリエステルの融解開始温度以上240℃以下の温度で熱処理することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
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