JP6641908B2 - モータ制御装置、モータ制御方法、モータ制御プログラム、電動モータ、電動パワーステアリング装置及び車両 - Google Patents

モータ制御装置、モータ制御方法、モータ制御プログラム、電動モータ、電動パワーステアリング装置及び車両 Download PDF

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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に搭載された電動モータを駆動制御するモータ制御装置に関する。
電動パワーステアリング装置の電動モータを制御するモータ制御装置として、例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置(ECU)が開示されている。
特許文献1に記載された従来例にあっては、トルクセンサを構成する入力側回転角センサ及び出力側回転角センサの一方の異常が検出された場合に、残りの回転角センサの検出値に基づいて代替アシスト制御を行い、この代替アシスト制御において、モータ回転角センサの検出値の変化が、残りの回転角センサの検出値の変化よりも先行する場合には、アシスト力の付与を低減又は停止する。即ち、モータ回転角センサの検出値の変化が先行する場合は、過アシストによるセルフステアが発生していると判定できるので、その場合に、アシスト力の付与を低減又は停止している。
特許第5560754号公報
しかしながら、上記特許文献1の従来例では、トルクセンサの異常発生時の過剰アシストに言及しており、また、抑制制御のタイミングもトルクセンサに異常が発生した際の代替アシスト制御時としている。また、セルフステアが発生する程度の過アシスト状態に対して抑制制御を行っている。従って、トルクセンサ等の構成部品に異常とまでは診断されない中途故障が発生した場合の過アシスト状態や、中途故障によって発生するセルフステアが生じない程度の過アシスト状態には対応していない。ここで、中途故障は、経年劣化等によって、故障診断閾値を超えない程度に性能が劣化する半故障状態であり、各種センサの検出値や電源電圧等に誤差が生じる状態となる。即ち、この誤差によって、過アシスト状態が生じる場合がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、中途故障が発生した場合の過アシスト状態を抑制することが可能なモータ制御装置、モータ制御方法、モータ制御プログラム、電動モータ、電動パワーステアリング装置及び車両を提供することを目的としている。
上記目的を解決するために、本発明の第1の態様に係るモータ制御装置は、少なくとも、ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルクセンサで検出した前記トルクに基づき電流指令値を演算する電流指令値演算部と、ステアリングシャフトに操舵アシストトルクを付与する電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路と、前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御する駆動制御部と、前記電動モータに流れる実電流を検出する実電流検出部と、前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値と前記実電流検出部で検出した前記実電流の検出値である実電流検出値とに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する過剰アシスト判定部と、前記過剰アシスト判定部で過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、前記電流指令値と前記実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量を算出する過アシスト補正量算出部と、前記過アシスト補正量算出部で算出した前記過アシスト補正量に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正する指令値補正部と、を備える。
また、本発明の第2の態様に係るモータ制御方法は、電流指令値演算部、駆動制御部、実電流検出部、過剰アシスト判定部、過アシスト補正量算出部、及び指令値補正部を備えるモータ制御装置を用いたモータ制御方法であって、前記電流指令値演算部が、少なくとも、ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルクセンサで検出した前記トルクに基づき電流指令値を演算する電流指令値演算ステップと、前記駆動制御部が、前記電流指令値演算ステップで演算した前記電流指令値に基づき、ステアリングシャフトに操舵アシストトルクを付与する電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路を駆動制御する駆動制御ステップと、前記実電流検出部が、前記電動モータに流れる実電流を検出する実電流検出ステップと、前記過剰アシスト判定部が、前記電流指令値演算ステップで演算した前記電流指令値と前記実電流検出ステップで検出した前記実電流の検出値である実電流検出値とに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する過剰アシスト判定ステップと、前記過アシスト補正量算出部が、前記過剰アシスト判定ステップで過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、前記電流指令値と前記実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量を算出する過アシスト補正量算出ステップと、前記指令値補正部が、前記過アシスト補正量算出ステップで算出した前記過アシスト補正量に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正する指令値補正ステップとを含む。
また、本発明の第3の態様に係るモータ制御プログラムは、少なくとも、ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルクセンサで検出した前記トルクに基づき電流指令値を演算する電流指令値演算ステップ、前記電流指令値演算ステップで演算した前記電流指令値に基づき、ステアリングシャフトに操舵アシストトルクを付与する電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路を駆動制御する駆動制御ステップ、前記電動モータに流れる実電流を検出する実電流検出ステップ、前記電流指令値演算ステップで演算した前記電流指令値と前記実電流検出ステップで検出した前記実電流の検出値である実電流検出値とに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する過剰アシスト判定ステップ、前記過剰アシスト判定ステップで過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、前記電流指令値と前記実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量を算出する過アシスト補正量算出ステップ、及び前記過アシスト補正量算出ステップで算出した前記過アシスト補正量に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正する指令値補正ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを含む。
また、本発明の第4の態様に係る電動モータは、上記第1の態様に係るモータ制御装置を備える。
また、本発明の第5の態様に係る電動パワーステアリング装置は、上記第1の態様に係るモータ制御装置を備える。
さらに、本発明の第6の態様に係る車両は、上記第5の態様に係る電動パワーステアリング装置を備える。
本発明によれば、電流指令値と実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定し、過剰な操舵アシスト(以下、「過アシスト」と記載する場合がある)が発生している場合に、電流指令値と実電流検出値とに基づき過アシスト補正量を算出し、算出した過アシスト補正量に基づきモータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正するようにした。これにより、例えば、部品単位では検出できない中途故障が発生した場合の過剰な操舵アシストを検出することが可能となり、過アシスト状態が発生している場合に、それを即座に抑制することが可能となるので、過アシストによる操舵感が軽くなりすぎる状態やセルフステアの発生を未然に防ぐことが可能となる。
本発明の実施形態に係る車両の一構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係るトルクセンサを示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る3相電動モータの構成を示す断面図である。 図3の3相電動モータの巻線構造を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置の具体的構成を示す回路図である。 本発明の第1実施形態に係る第1の制御演算装置の具体的構成を示すブロック図である。 正常時の操舵トルクと操舵補助電流指令値との関係を示す特性線図である。 異常時の操舵トルクと操舵補助電流指令値との関係を示す特性線図である。 本発明の第1実施形態に係る第1の過アシスト抑制制御部の具体的構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る第1の過アシスト抑制制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る第2の制御演算装置の具体的構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る第2の過アシスト抑制制御部の具体的構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る第2の過アシスト抑制制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る第3の制御演算装置の具体的構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る第3の過アシスト抑制制御部の具体的構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る第3の過アシスト抑制制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第1〜第3の過アシスト抑制制御処理を適用した場合と適用していない場合の実施例を示す図である。
次に、図面に基づき、本発明の第1〜第3実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、寸法の関係や比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
また、以下に示す第1〜第3実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1実施形態)
(構成)
本発明の第1実施形態に係る車両1は、図1に示すように、左右の転舵輪となる前輪2FR及び2FLと後輪2RR及び2RLとを備えている。前輪2FR及び2FLは、電動パワーステアリング装置3によって転舵される。
電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール11を有し、このステアリングホイール11に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト12に伝達される。このステアリングシャフト12は、入力軸12aと出力軸12bとを有する。入力軸12aの一端はステアリングホイール11に連結され、他端は操舵トルクセンサ13を介して出力軸12bの一端に連結されている。
そして、出力軸12bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント14を介してロアシャフト15に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント16を介してピニオンシャフト17に伝達される。このピニオンシャフト17に伝達された操舵力はステアリングギヤ18を介してタイロッド19に伝達され、転舵輪としての前輪2FR及び2FLを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ18は、ピニオンシャフト17に連結されたピニオン18aとこのピニオン18aに噛合するラック18bとを有するラックアンドピニオン形式に構成されている。したがって、ステアリングギヤ18は、ピニオン18aに伝達された回転運動をラック18bで車幅方向の直進運動に変換している。
ステアリングシャフト12の出力軸12bには、操舵アシストトルクを出力軸12bに伝達する操舵補助機構20が連結されている。この操舵補助機構20は、出力軸12bに連結した例えばウォームギヤ機構で構成される減速ギア21と、この減速ギア21に連結された操舵アシストトルクを発生する例えば3相ブラシレスモータで構成される多相電動モータとしての3相電動モータ22とを備えている。
操舵トルクセンサ13は、ステアリングホイール11に付与されて入力軸12aに伝達された操舵トルクを検出する。この操舵トルクセンサ13は、図2に示すように、操舵トルクを、入力軸12a及び出力軸12b間に介挿した図示しないトーションバー13aの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を入力軸12a側に配置した入力側回転角センサ13bと出力軸12b側に配置した出力側回転角センサ13cとの角度差に変換して検出するように構成されている。
また、3相電動モータ22は、図3に示すように、内周面に内方に突出形成されてスロットSLを形成する磁極となるティースTeを有するステータ22Sと、このステータ22Sの内周側にティースTeと対向して回転自在に配置された永久磁石PMを表面に配置した8極の表面磁石型のロータ22Rとを有するSPMモータの構成を有する。ここで、ステータ22SのティースTeの数を相数×2n(nは2以上の整数)で例えばn=2に設定して8極、12スロットの構成としている。
そして、ステータ22SのスロットSLに、図4に示す2系統で、その各々の同相の磁極がロータ磁石に対し同位相となる多相モータ巻線となる第1の3相モータ巻線L1と第2の3相モータ巻線L2とが巻装されている。第1の3相モータ巻線L1は、U相コイルL1u、V相コイルL1v及びW相コイルL1wの一端が互いに接続されてスター結線とされ、各相コイルL1u、L1v及びL1wの他端が第1のモータ制御装置25Aに接続されて個別にモータ駆動電流Id1u、Id1v及びId1wが供給されている。
各相コイルL1u、L1v及びL1wには、それぞれ2つのコイル部L1ua,L1ub、L1va,L1vb及びL1wa,L1wbが形成されている。これらコイル部L1ua,L1va及びL1waは、時計方向のティースTe1、Te2及びTe3に集中巻きで巻装されている。また、コイル部L1ub,L1vb及びL1wbはティースTe1、Te2及びTe3とはロータ22Rを挟んで対角となる時計方向のティースTe7、Te8及びTe9に集中巻きで巻装されている。
また、第2の3相モータ巻線L2は、U相コイルL2u、V相コイルL2v及びW相コイルL2wの一端が互いに接続されてスター結線とされ、各相コイルL2u、L2v及びL2wの他端が第1のモータ制御装置25Aに接続されて個別にモータ駆動電流Id2u、Id2v及びId2wが供給されている。
各相コイルL2u、L2v及びL2wには、それぞれ2つのコイル部L2ua,L2ub、L2va,L2vb及びL2wa,L2wbが形成されている。これらコイル部L2ua,L2va及びL2waは、時計方向のティースTe4、Te5及びTe6に集中巻きで巻装されている。また、コイル部L1ub,L1vb及びL1wbはティースTe4、Te5及びTe6とはロータ22Rを挟んで対角となる時計方向のティースTe10、Te11及びTe12に集中巻きで巻装されている。
そして、各相コイルL1u〜L1wのコイル部L1ua,L1ub、L1va,L1vb及びL1wa,L1wb及び各相コイルL2u〜L2wのコイル部L2ua,L2ub、L2va,L2vb及びL2wa,L2wbは各ティースTeを挟むスロットSLに通電電流の方向が同一方向となるように巻回されている。
このように第1の3相モータ巻線L1の各相コイルL1u〜L1wのコイル部L1ua,L1ub、L1va,L1vb及びL1wa,L1wbと、第2の3相モータ巻線L2の各相コイルL2u〜L2wのコイル部L2ua,L2ub、L2va,L2vb及びL2wa,L2wbとが互いに異なる12本のティースに巻装されている。すなわち、12本のティースTeに、順次第1系統となる相コイル部L1ua、L1va、L1waを時計方向に順に同一の巻回方向で巻装し、次いで、第2系統となる相コイル部L2ua、L2va及びL2waを時計方向に順に同一の巻回方向で巻装し、さらに第1系統となる相コイル部L1ub、L1vb、L1wbを時計方向に順に同一の巻回方向で巻装し、最後に、第2系統となる相コイル部L2ub、L2vb及びL2wbを時計方向に順に同一の巻回方向で巻装している。このため、第1の3相モータ巻線L1及び第2の3相モータ巻線L2の同相のコイル部がロータ22Rの各磁極の永久磁石PMで形成される同一の磁束に同時に鎖交することがないように巻装されている。したがって、第1の3相モータ巻線L1の各コイル部と第2の3相モータ巻線L2の各コイル部とで互いの磁気的な干渉を最小限に抑制する磁気回路を構成している。
さらに、3相電動モータ22は、図5に示すように、ロータの回転位置を検出するレゾルバから構成された回転位置センサ23aを備えている。この回転位置センサ23aからの検出値がモータ電気角検出回路23に供給されてこのモータ電気角検出回路23でモータ電気角θmを検出する。なお、回転位置センサ23aは、レゾルバに限らず、例えば、ロータリーエンコーダ等の他のセンサから構成してもよい。
第1のモータ制御装置25Aには、操舵トルクセンサ13で検出された操舵トルクT及び車速センサ26で検出された車速Vsが入力されるとともに、モータ電気角検出回路23から出力されるモータ電気角θmが入力される。
また、第1のモータ制御装置25Aには、直流電流源としてのバッテリー27から直流電流が入力されている。ここで、バッテリー27の負極は接地され、その正極はエンジン始動を行うイグニッションスイッチ28(以下、「IGNスイッチ28」と記載する場合がある)を介して第1のモータ制御装置25Aに接続されると共に、IGNスイッチ28を介さず直接、第1のモータ制御装置25Aに接続されている。
第1のモータ制御装置25Aの具体的構成は、図5に示すように構成されている。すなわち、第1のモータ制御装置25Aは、電圧指令値を演算する第1の制御演算装置31Aと、この第1の制御演算装置31Aから出力される電圧指令値が個別に入力される第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bとを備えている。
さらに、第1のモータ制御装置25Aは、ノイズフィルタ43と第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bとの間の電源供給ラインに介挿された第1及び第2の電源遮断回路44A及び44Bと、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bの出力側と3相電動モータ22の第1及び第2の3相モータ巻線L1及びL2との間に介挿された第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bとを備えている。
なおさらに、第1のモータ制御装置25Aは、後述するインバータ回路42Aおよび42Bから接地に流れるモータ電流を検出する第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bと、後述する第1及び第2の電解コンデンサCA及びCBの端子電圧を検出する第1及び第2のVR電圧検出回路35A及び35Bと、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bと第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bとの間に設けられた第1及び第2の電圧検出回路40A及び40Bとを備えている。
第1の制御演算装置31Aには、図5には図示を省略しているが、図1に示す操舵トルクセンサ13で検出した操舵トルクT及び車速センサ26で検出した車速Vsが入力されている。加えて、図5に示すように、モータ電気角検出回路23から出力されるモータ電気角θmが入力されている。さらに、第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bから出力される3相電動モータ22の第1の3相モータ巻線L1及び第2の3相モータ巻線L2の各相のコイルから出力されるモータ電流の検出値であるモータ電流検出値I1mu、I1mv及びI1mw、並びにI2mu、I2mv及びI2mwが入力されている。
以下、モータ電流検出値I1mu、I1mv及びI1mwを「モータ電流検出値I1m」、モータ電流検出値I2mu、I2mv及びI2mwを「モータ電流検出値I2m」と記載する場合がある。
また、モータ電流検出値I1mu、I1mv及びI1mw、並びにI2mu、I2mv及びI2mwを、単に「モータ電流検出値Im」と記載する場合がある。
また、第1の制御演算装置31Aには、図5に示すように、第1及び第2の電圧検出回路40A及び40Bで検出した各相のモータ電圧の検出値であるモータ電圧検出値V1mu、V1mv及びV1mw、並びにV2mu、V2mv及びV2mwが入力されている。
また、第1の制御演算装置31Aには、図5に示すように、第1及び第2のVR電圧検出回路35A及び35Bから出力される第1及び第2の電解コンデンサCA及びCBの端子電圧の検出値であるVR電圧検出値V1r及びV2rが入力されている。
以下、VR電圧検出値V1r及びV2rを、単に「VR電圧検出値Vr」と記載する場合がある。
第1の制御演算装置31Aは、図6に示すように、指令値演算部60と、指令値補償部61と、加算部62と、電流指令値演算部63と、電流制御部64と、第1の過アシスト抑制制御部65と、第1減算部66とを備えている。
指令値演算部60は、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bの正常時には操舵トルクT及び車速Vsをもとに予め設定された図7に示す正常時操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値I1及びI2を算出する。また、第1の制御演算装置31Aでは、第1及び第2のモータ駆動回路32A又は32Bの異常時には操舵トルクT及び車速Vsをもとに予め設定された図8に示す異常時操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値I1及びI2を算出する。
以下、操舵補助電流指令値I1及びI2を、単に「操舵補助電流指令値I」と記載する場合がある。
指令値補償部61は、例えば、モータ電気角θmを微分してなるモータ角速度ωeに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償値、モータ角速度ωeを微分してなるモータ角加速度αに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止するトルク補償値およびセルフアライニングトルク(SAT)を推定して補償するセルフアライニングトルク補償値を算出し、これらを足し合わせて指令値補償値Icomを算出する。
そして、指令値補償部61は、算出した指令値補償値Icomを加算部62に出力する。
加算部62は、操舵補助電流指令値I1及びI2に指令値補償値Icomを加算することにより、補償後操舵補助電流指令値I1’及びI2’を算出し、この補償後操舵補助電流指令値I1’及びI2’を電流指令値演算部63に出力する。
以下、補償後操舵補助電流指令値I1’及びI2’を、「補償後操舵補助電流指令値I’」と記載する場合がある。
電流指令値演算部63は、補償後操舵補助電流指令値I1’及びI2’とモータ角速度ωeとに基づいてd−q座標系の目標d軸電流指令値I1d及びI2d、並びに目標q軸電流指令値I1q及びI2qを算出する。さらに、算出したd軸電流指令値I1d及びI2d、並びにq軸電流指令値I1q及びI2qをdq相−3相変換してU相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1w、並びにU相電流指令値I2u、V相電流指令値I2v及びW相電流指令値I2wを算出する。
以下、d軸電流指令値I1d及びI2dを「d軸電流指令値Id」、q軸電流指令値I1q及びI2qを「q軸電流指令値Iq」と記載する場合がある。
また、U相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1wを「電流指令値I1ref」、U相電流指令値I2u、V相電流指令値I2v及びW相電流指令値I2wを「電流指令値I2ref」と記載する場合がある。
また、電流指令値I1ref及びI2refを、単に「電流指令値Iref」と記載する場合がある。
そして、電流指令値演算部63は、算出した電流指令値Irefを電流制御部64に出力し、算出したd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを第1の過アシスト抑制制御部65に出力する。
ここで、電流制御部64には、第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bで検出したモータ電流検出値I1m及びI2mと、第1及び第2のVR電圧検出回路35A及び35Bで検出したVR電圧検出値V1r及びV2rとが入力されている。
電流制御部64は、電流指令値I1refの各相の値からモータ電流検出値I1mの同じ相の値を減算し、電流指令値I2refの各相の値からモータ電流検出値I2mの同じ相の値を減算して、電流偏差ΔI1u、ΔI1v及びΔI1w、並びにΔI2u、ΔI2v及びΔI2wを算出する。さらに、電流偏差ΔI1u、ΔI1v及びΔI1w、並びにΔI2u、ΔI2v及びΔI2wについて例えばPI制御演算又はPID制御演算を行う。そして、この演算結果とVR電圧検出値V1r及びV2rとに基づき第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに対する3相の電圧指令値V1u、V1v及びV1w、並びにV2u、V2v及びV2wを算出する。
以下、電圧指令値V1u、V1v及びV1wを「電圧指令値V1」、電圧指令値V2u、V2v及びV2wを「電圧指令値V2」と記載する場合がある。
また、電圧指令値V1及び電圧指令値V2を、単に「電圧指令値V」と記載する場合がある。
また、電流偏差ΔI1u、ΔI1v及びΔI1wを「電流偏差ΔI1」、電流偏差ΔI2u、ΔI2v及びΔI2wを「電流偏差ΔI2」と記載する場合がある。
そして、電流制御部64は、算出した電圧指令値V1及びV2を第1減算部66に出力する。
第1の過アシスト抑制制御部65は、q軸電流指令値I1q及びI2qと、モータ電流検出値I1m及びI2mと、モータ角速度ωeと、VR電圧検出値V1r及びV2rとに基づき、過アシスト状態が発生している場合に、過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcを算出する。そして、算出した過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcを第1減算部66に出力する。
一方、第1の過アシスト抑制制御部65は、過アシスト状態が発生していない場合は、過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcとして「0」を第1減算部66に出力する。
以下、過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcを、区別しない場合に「過アシスト補正量Vc」と記載する場合がある。
第1減算部66は、電流制御部64からの電圧指令値Vの各相の値から第1の過アシスト抑制制御部65からの過アシスト補正量Vcの同じ相の値を減算して、補正後電圧指令値V1u’、V1v’及びV1w’、並びにV2u’、V2v’及びV2w’を算出する。
以下、補正後電圧指令値V1u’、V1v’及びV1w’を「補正後電圧指令値V1’」、補正後電圧指令値V2u’、V2v’及びV2w’を「補正後電圧指令値V2’」と記載する場合がある。
また、補正後電圧指令値V1’及びV2’を、区別しない場合に「補正後電圧指令値V’」と記載する場合がある。
そして、第1減算部66は、算出した補正後電圧指令値V1’及びV2’を、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに出力する。
また、図5に示すように、第1の制御演算装置31Aは、モータ電流検出値I1m及びI2mと自身が算出した電流指令値I1ref及びI2refとを比較して後述する第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bを構成するスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6のオープン故障及びショート故障を検出する異常検出部31aを備えている。
この異常検出部31aでは、第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bを構成する電界効果トランジスタ(FET)のオープン故障又はショート故障を検出したときに、異常を検出した第1のモータ駆動回路32Aの第1のゲート駆動回路41A又は異常を検出した第2のモータ駆動回路32Bの第2のゲート駆動回路41Bに対して論理値"1"の異常検出信号SAa又はSAbを出力する。
第1のモータ駆動回路32Aは、第1の制御演算装置31Aから出力される3相の電圧指令値V1’が入力されてゲート信号を形成する第1のゲート駆動回路41Aを備え、第2のモータ駆動回路32Bは、第1の制御演算装置31Aから出力される3相の電圧指令値V2’が入力されてゲート信号を形成する第2のゲート駆動回路41Bを備えている。これら第1及び第2のゲート駆動回路41A及び41Bのそれぞれは、異常時に第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bを制御する異常時電流制御部41aを備えている。
第1のゲート駆動回路41Aは、第1の制御演算装置31Aから電圧指令値V1’が入力されると、電圧指令値V1’と三角波のキャリア信号Scとをもとにパルス幅変調(PWM)した6つのゲート信号を形成し、これらゲート信号を第1のインバータ回路42Aに出力する。
第2のゲート駆動回路41Bは、第1の制御演算装置31Aから電圧指令値V2’が入力されると、電圧指令値V2’と三角波のキャリア信号Scとをもとにパルス幅変調(PWM)した6つのゲート信号を形成し、これらゲート信号を第2のインバータ回路42Bに出力する。
また、第1のゲート駆動回路41Aは、第1の制御演算装置31Aから入力される異常検出信号SAaが論理値"0"(正常)であるときには、第1のモータ電流遮断回路33Aに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力するとともに、第1の電源遮断回路44Aに対してハイレベルの2つのゲート信号を出力する。さらに、第1のゲート駆動回路41Aは、異常検出信号SAaが論理値"1"(異常)であるときには、異常時電流制御部41aで、第1のモータ電流遮断回路33Aに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ電流を遮断するとともに、第1の電源遮断回路44Aに対してローレベルの2つのゲート信号を同時に出力し、バッテリー電力を遮断する。
同様に、第2のゲート駆動回路41Bは、第1の制御演算装置31Aから入力される異常検出信号SAbが論理値"0"(正常)であるときには、第2のモータ電流遮断回路33Bに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力するとともに、第2の電源遮断回路44Bに対してハイレベルの2つのゲート信号を出力する。さらに、第2のゲート駆動回路41Bは、異常検出信号SAbが論理値"1"(異常)であるときには、異常時電流制御部41aで、第2のモータ電流遮断回路33Bに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ電流を遮断するとともに、第2の電源遮断回路44Bに対してローレベルの2つのゲート信号を同時に出力し、バッテリー電力を遮断する。
第1のインバータ回路42Aは、ノイズフィルタ43、第1の電源遮断回路44Aを介してバッテリー27のバッテリー電流が入力され、入力側に平滑用の第1の電解コンデンサCAが接続され、第2のインバータ回路42Bは、ノイズフィルタ43、第2の電源遮断回路44Bを介してバッテリー27のバッテリー電流が入力され、入力側に平滑用の第2の電解コンデンサCBが接続されている。
これら第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bは、6個のスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6を有し、2つの電界効果トランジスタを直列に接続した3つのスイッチングアームSAu、SAv及びSAwを並列に接続した構成を有する。そして、各電界効果トランジスタQ1〜Q6のゲートに第1及び第2のゲート駆動回路41A及び41Bから出力されるゲート信号が入力されることにより、各スイッチングアームSAu、SAv及びSAwの電界効果トランジスタ間からU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bを介して3相電動モータ22の第1及び第2の3相モータ巻線L1及びL2に出力される。
また、図示しないが第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bの各スイッチングアームSAu、SAv及びSAwと接地との間に介挿されたシャント抵抗の両端電圧が第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bに入力され、これら第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bでモータ電流I1mu、I1mv及びI1mw、並びにI2mu、I2mv及びI2mwが検出される。
また、第1のモータ電流遮断回路33Aは、3つの電流遮断用の電界効果トランジスタQA1、QA2及びQA3を有する。電界効果トランジスタQA1のソースが第1のインバータ回路42AのスイッチングアームSAuのトランジスタQ1及びQ2の接続点に接続され、ドレインが第1の3相モータ巻線L1のU相コイルL1uに接続されている。また、電界効果トランジスタQA2のソースが第1のインバータ回路42AのスイッチングアームSAvのトランジスタQ3及びQ4の接続点に接続され、ドレインが第1の3相モータ巻線L1のV相コイルL1vに接続されている。さらに、電界効果トランジスタQA3のソースが第1のインバータ回路42AのスイッチングアームSAwのトランジスタQ5及びQ6の接続点に接続され、ドレインが第1の3相モータ巻線L1のW相コイルL1wに接続されている。
また、第2のモータ電流遮断回路33Bは、3つの電流遮断用の電界効果トランジスタQB1、QB2及びQB3を有する。電界効果トランジスタQB1のソースが第2のインバータ回路42BのスイッチングアームSBuのトランジスタQ1及びQ2の接続点に接続され、ドレインが第2の3相モータ巻線L2のU相コイルL2uに接続されている。また、電界効果トランジスタQB2のソースが第2のインバータ回路42BのスイッチングアームSBvのトランジスタQ3及びQ4の接続点に接続され、ドレインが第2の3相モータ巻線L2のV相コイルL2vに接続されている。さらに、電界効果トランジスタQB3のソースが第2のインバータ回路42BのスイッチングアームSBwのトランジスタQ5及びQ6の接続点に接続され、ドレインが第2の3相モータ巻線L2のW相コイルL2wに接続されている。
そして、第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bの電界効果トランジスタQA1〜QA3及びQB1〜QB3がそれぞれの寄生ダイオードDのカソードを第1及び第2のインバータ回路42A及び42B側として各々が同一向きに接続されている。
また、第1及び第2の電源遮断回路44A及び44Bのそれぞれは、2つの電界効果トランジスタ(FET)QC1,QC2及びQD1,QD2がドレイン同士を接続して寄生ダイオードが逆向きとなる直列回路構成を有する。そして、電界効果トランジスタQC1及びQD1のソースが互いに接続されてノイズフィルタ43の出力側に接続され、電界効果トランジスタQC2及びQD2のソースが第1及び第2のインバータ回路42B及び42Bの各電界効果トランジスタQ1,Q2及びQ3のソースに接続されている。
(第1の過アシスト抑制制御部65)
次に、第1実施形態に係る第1の過アシスト抑制制御部65の具体的な構成を説明する。
第1の過アシスト抑制制御部65は、図9に示すように、第1絶対値演算部650と、3相dq相変換部651と、第2絶対値演算部652と、符号判定部653と、第2減算部654と、第1乗算部655と、第1の過アシスト補正量算出部656とを備えている。
さらに、第1の過アシスト補正量算出部656は、図9に示すように、PI制御部657と、dq相3相変換部658と、補正量算出部659とを備えている。
第1絶対値演算部650は、電流指令値演算部63からのq軸電流指令値I1q及びI2qの絶対値であるq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|を算出し、算出したq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|を第2減算部654に出力する。
3相dq相変換部651は、第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bで検出されたモータ電流検出値I1m及びI2mとモータ角速度ωeとに基づいてd−q座標系のd軸電流検出値I1d及びI2d並びにq軸電流検出値I1q及びI2qを算出する。そして、算出したd軸電流検出値I1d及びI2d並びにq軸電流検出値I1q及びI2qを、第2絶対値演算部652に出力する。
第2絶対値演算部652は、3相dq相変換部651からのq軸電流検出値I1q及びI2qの絶対値であるq軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|を算出し、算出したq軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|を第2減算部654に出力する。
符号判定部653は、まず、第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bで検出されたモータ電流検出値I1m及びI2mとモータ角速度ωeとに基づいてd−q座標系のd軸電流検出値I1d及びI2d並びにq軸電流検出値I1q及びI2qを算出する。
さらに、符号判定部653は、電流指令値演算部63からのq軸電流指令値I1qと、算出したq軸電流検出値I1qとの符号を判定し、電流指令値演算部63からのq軸電流指令値I2qと、q軸電流検出値I2qとの符号を判定する。そして、q軸電流指令値I1qとq軸電流検出値I1qとの符号の判定結果M1と、q軸電流指令値I2qとq軸電流検出値I2qとの符号の判定結果M2とを第1乗算部655に出力する。以下、判定結果M1及びM2を、単に「判定結果M」と記載する場合がある。
具体的に、符号判定部653は、q軸電流指令値Iqとq軸電流検出値Iqとの符号が両方ともプラスであると判定した場合に判定結果Mとして「1」を第1乗算部655に出力し、両方ともプラスではないと判定した場合に判定結果Mとして「0」を第1乗算部655に出力する。
第2減算部654は、第2絶対値演算部652からのq軸電流絶対値|I1q|と、第1絶対値演算部650からのq軸電流指令絶対値|I1q|とに基づき、下式(1)に従って、過アシスト量Iovを算出する。
Iov=|Iq|−|Iq|・・・(1)
即ち、上式(1)に従って、q軸電流絶対値|I1q|からq軸電流指令絶対値|I1q|を減算して第1のモータ駆動回路32Aに対する過アシスト量Iov(以下、「過アシスト量Iov1」と記載する場合がある)を算出し、算出した過アシスト量Iov1を第1乗算部655に出力する。加えて、q軸電流絶対値|I2q|からq軸電流指令絶対値|I2q|を減算して第2のモータ駆動回路32Bに対する過アシスト量Iov(以下、「過アシスト量Iov2」と記載する場合がある)を算出し、算出した過アシスト量Iov2を第1乗算部655に出力する。以下、過アシスト量Iov1及びIov2を、単に「過アシスト量Iov」と記載する場合がある。
第1乗算部655は、第2減算部654からの過アシスト量Iov1と符号判定部653からの判定結果M1とを乗算し、この乗算結果M1・Iov1をPI制御部657に出力する。加えて、第2減算部654からの過アシスト量Iov2と符号判定部653からの判定結果M2とを乗算し、この乗算結果M・Iov2をPI制御部657に出力する。
即ち、q軸電流指令値I1qの符号とq軸電流検出値Iqの符号とがプラスで一致する場合は、過アシスト量IovがそのままPI制御部657に入力され、一方、符号がプラスで一致しない場合は、「0」がPI制御部657に入力される。
PI制御部657は、乗算結果M・Iovが「0」よりも大きいか否かを判定し、「0」よりも大きいと判定すると、乗算結果M・Iov(即ち、過アシスト量Iov)が「0」となるようにPI制御演算を行う。そして、この演算結果を進角したq軸電流指令値Iq及びd軸電流指令値Id(d軸電流指令値Id=0[A])にゲインとして乗算して、抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcを算出する。そして、算出した抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcをdq相3相変換部658に出力する。
一方、PI制御部657は、乗算結果M・Iovが「0」よりも大きくないと判定すると、過アシスト補正なしを示す「0」をdq相3相変換部658に出力する。
ここで、上式(1)で演算される過アシスト量Iovは、過アシスト状態が発生している場合にプラスの値となる。しかし、q軸電流指令値I1qの符号とq軸電流検出値Iqの符号との組合せは、q軸電流指令値I1qのプラスとマイナスと、q軸電流検出値Iqのプラスとマイナスとの組合せとなるため全4種類の組合せとなる。
そして、想定される過アシスト状態は、q軸電流指令値I1qの符号とq軸電流検出値Iqの符号とがプラスで一致し、なおかつ過アシスト量Iovがプラスとなる状態となる。しかし、上式(1)で演算される過アシスト量Iovは、q軸電流指令値I1qの符号とq軸電流検出値Iqの符号とがマイナスで一致している場合も過アシスト量Iovがプラスとなる。したがって、過アシスト量Iovに判定結果Mを乗算するとともに、乗算結果が「0」よりも大きくなるか否かを判定することで、プラスで一致する以外の組合せを除外している。これにより、アシスト量が不足している場合の誤判定を防いでいる。
dq相3相変換部658は、PI制御部657からの抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcをdq相−3相変換して、抑制電流指令値I1uc、I1vc及びI1wc、並びにI2uc、I2vc及びI2wcを算出する。
そして、算出した抑制電流指令値I1uc、I1vc及びI1wc、並びにI2uc、I2vc及びI2wcを、補正量算出部659に出力する。
以下、抑制電流指令値I1uc、I1vc及びI1wcを、「抑制電流指令値I1c」、抑制電流指令値I2uc、I2vc及びI2wcを、「抑制電流指令値I2c」と記載する場合がある。
一方、dq相3相変換部658は、PI制御部657から過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、「0」を補正量算出部659に出力する。
補正量算出部659は、dq相3相変換部658からの抑制電流指令値I1c及びI2cを電流−電圧変換し、さらに、変換した電圧値にVR電圧検出値V1r及びV2rを乗算する。これにより、過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcを算出する。そして、算出した過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcを第1減算部66に出力する。
一方、補正量算出部659は、過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、過アシスト補正量V1uc、V1vc及びV1wc、並びにV2uc、V2vc及びV2wcとして「0」を第1減算部66に出力する。
(第1の過アシスト抑制制御処理)
次に、図10に基づき、第1の過アシスト抑制制御処理の処理手順について説明する。
第1の制御演算装置31Aにおいて、第1の過アシスト抑制制御処理が開始されると、図10に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、第1絶対値演算部650において、電流指令値演算部63で算出されたq軸電流指令値I1q及びI2qの絶対値であるq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|を算出する。そして、算出したq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|を第2減算部654に出力して、ステップS102に移行する。
ステップS102では、3相dq相変換部651において、第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bで検出された3相のモータ電流検出値I1m及びI2mとモータ角速度ωeとに基づいて3相−dq相変換してd軸電流検出値I1d及びI2d、並びにq軸電流検出値I1q及びI2qを算出する。そして、算出したd軸電流検出値I1d及びI2d、並びにq軸電流検出値I1q及びI2qを第2絶対値演算部652に出力して、ステップS104に移行する。
ステップS104では、第2絶対値演算部652において、q軸電流検出値I1q及びI2qの絶対値であるq軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|を算出し、算出したq軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|を第2減算部654に出力して、ステップS106に移行する。
ステップS106では、第2減算部654において、q軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|からq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|を減算して過アシスト量Iov1及びIov2を算出し、算出した過アシスト量Iov1及びIov2を第1乗算部655に出力して、ステップS108に移行する。
ステップS108では、符号判定部653において、第1及び第2の電流検出回路34A及び34Bで検出された3相のモータ電流検出値I1m及びI2mを3相−dq相変換して、d軸電流検出値I1d及びI2d、並びにq軸電流検出値I1q及びI2qを算出する。さらに、q軸電流検出値I1q及びI2qの符号と電流指令値演算部63で算出されたq軸電流指令値I1q及びI2qの符号とがプラスで一致するか否かを判定する。そして、q軸電流指令値I1q及びq軸電流検出値I1qについて、一致すると判定した場合は判定結果M1として「1」を、一致しないと判定した場合は判定結果M1として「0」を第1乗算部655に出力する。さらに、q軸電流指令値I2q及びq軸電流検出値I2qについて、一致すると判定した場合は判定結果M2として「1」を、一致しないと判定した場合は判定結果M2として「0」を第1乗算部655に出力する。その後、ステップS110に移行する。
ステップS110では、第1乗算部655において、過アシスト量Iov1と判定結果M1とを乗算し、過アシスト量Iov2と判定結果M2とを乗算する。そして、乗算結果M1・Iov1と、乗算結果M2・Iov2とをPI制御部657に出力して、ステップS112に移行する。
ステップS112では、PI制御部657において、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2が「0」よりも大きいか否かを判定する。そして、「0」よりも大きいと判定した場合に、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2、即ち過アシスト量Iov1及びIov2が「0」となるようにPI制御演算処理を行う。さらに、この演算結果を進角したq軸電流指令値Iq及びd軸電流指令値Id(d軸電流指令値Id=0[A])に乗算して、抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcを算出する。さらに、算出した抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcをdq相3相変換部658に出力して、ステップS114に移行する。一方、PI制御部657において、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2が「0」よりも大きくないと判定した場合に、過アシスト補正なしを示す「0」をdq相3相変換部658に出力して、ステップS114に移行する。
ここで、PI制御演算で用いるP(比例)ゲイン及びI(積分)ゲインについては、目標の応答性を達成可能なPゲイン及びIゲインを予め実験等によって求めておく。なお、Pゲイン及びIゲインを学習によって最適化する構成としてもよい。
ステップS114では、dq相3相変換部658において、PI制御部657から抑制q軸電流指令値Iqc及び抑制d軸電流指令値Idcが入力された場合は、これらd軸及びq軸電流指令値Iqc及びIdcをdq相−3相変換して、3相の抑制電流指令値I1c及びI2cに変換する。そして、変換後の3相の抑制電流指令値I1c及びI2cを補正量算出部659に出力して、ステップS116に移行する。一方、dq相3相変換部658において、PI制御部657から過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、「0」を補正量算出部659に出力して、ステップS116に移行する。
ステップS116では、補正量算出部659において、dq相3相変換部658から3相の抑制電流指令値I1c及びI2cが入力された場合は、入力された抑制電流指令値I1c及びI2cを電流−電圧変換する。さらに、変換した電圧値に対してVR電圧検出値V1r及びV2rを乗算して、3相の過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する。そして、算出した3相の過アシスト補正量V1c及びV2cを第1減算部66に出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。一方、補正量算出部659において、dq相3相変換部658から過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、3相の過アシスト補正量V1c及びV2cとして「0」を第1減算部66に出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
(動作)
次に、第1実施形態の動作を説明する。
IGNスイッチ28がオフ状態であって車両1が停止していると共に、操舵アシスト制御も停止している作動停止状態であるときには、第1のモータ制御装置25Aの第1の制御演算装置31Aが非作動状態となっている。
このため、第1の制御演算装置31Aで実行される各種処理は停止されている。この状態では、3相電動モータ22は作動を停止しており、ステアリング機構への操舵アシストトルクの出力を停止している。
この作動停止状態からIGNスイッチ28をオン状態とすると、各種センサや第1のモータ制御装置25Aが作動状態となり、操舵アシスト制御等の各種制御が開始される。
ここでは、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bの第1及び第2のゲート駆動回路41A及び41Bに対して論理値"0"(異常なし)の異常検出信号SAa及びSAbが入力されていることとする。
この場合に、第1の制御演算装置31Aでは、指令値演算部60において、操舵トルクセンサ13で検出した操舵トルクT及び車速センサ26で検出した車速Vsに基づいて図7に示す正常時操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値I1及びI2が算出される。また、指令値補償部61において、指令値補償値Icomが算出され、加算部62において、操舵補助電流指令値I及びI2に指令値補償値Icomが加算され、補償後操舵補助電流指令値I1’及びI2’が算出される。
引き続き、電流指令値演算部63において、補償後操舵補助電流指令値I1’及びI2’とモータ角速度ωeとに基づいてd軸電流指令値I1d及びI2d、並びにq軸電流指令値I1q及びI2qが算出される。そして、算出されたd軸電流指令値I1d及びI2d、並びにq軸電流指令値I1q及びI2qがdq相−3相変換されて電流指令値I1ref及びI2refが算出される。そして、算出された電流指令値I1ref及びI2refが電流制御部64に出力され、算出されたd軸電流指令値I1d及びI2d、並びにq軸電流指令値I1q及びI2qが第1の過アシスト抑制制御部65に出力される。
続いて、電流制御部64において、電流指令値演算部63からの電流指令値Irefの各相の値からモータ電流検出値Imの同じ相の値が減算されて、電流偏差ΔImu、ΔImv及びΔImwが算出される。そして、電流偏差ΔImu、ΔImv及びΔImwについて例えばPI制御演算又はPID制御演算を行い、この演算結果とVR電圧検出値V1r及びV2rとに基づき第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに対する3相の電圧指令値V1及びV2が算出される。そして、算出された電圧指令値V1及びV2が第1減算部66に出力される。
一方、第1の過アシスト抑制制御部65では、第1絶対値演算部650において、電流指令値演算部63からのq軸電流指令値I1q及びI2qの絶対値であるq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|が算出され、算出されたq軸電流指令絶対値|I1q|及び|I2q|が第2減算部654に出力される。
また、3相dq相変換部651において、3相のモータ電流検出値I1m及びI2mとモータ角速度ωeとに基づいてd軸電流検出値I1d及びI2d、並びにq軸電流検出値I1q及びI2qが算出され、算出されたq軸電流検出値I1q及びI2qが第2絶対値演算部652に出力される。
引き続き、第2絶対値演算部652において、q軸電流検出値I1q及びI2qの絶対値であるq軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|が算出され、算出されたq軸電流絶対値|I1q|及び|I2q|が第2減算部654に出力される。引き続き、第2減算部674において、q軸電流指令絶対値|I1q|からq軸電流絶対値|I1q|が減算されて過アシスト量Iov1が算出されるとともに、q軸電流指令絶対値|I2q|からq軸電流絶対値|I2q|が減算されて過アシスト量Iov2が算出される。そして、算出された過アシスト量Iov1及びIov2が第1乗算部655に出力される。
また、符号判定部653において、3相のモータ電流検出値I1m及びI2mとモータ角速度ωeとに基づいてd軸電流検出値I1d及びI2d、並びにq軸電流検出値I1q及びI2qが算出される。さらに、電流指令値演算部63から入力されたq軸電流指令値I1q及びI2qと、算出したq軸電流検出値I1q及びI2qとの符号が判定され、判定結果M1及びM2が第1乗算部655に出力される。そして、第1乗算部655において、過アシスト量Iov1と判定結果M1とが乗算され、過アシスト量Iov2と判定結果M2とが乗算され、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2がPI制御部657に出力される。
このとき、判定結果M1及びM2が「1」となり、かつ中途故障によって過アシスト状態が発生している場合は、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2が「0」よりも大きな値となる。
ここで、中途故障の対象部品としては、例えば、AD基準電圧に係る部品(AD変換器等)、VR基準電圧に係る部品(第1及び第2の電解コンデンサCA及びCB、第1及び第2のVR電圧検出回路等)、クロックに係る部品(水晶振動子等)、インバータのACライン抵抗に係る部品(FET等)、モータコイル、バッテリー電圧に係る部品(バッテリー本体、電圧センサ等)などがある。
具体的に、上記対象部品の中途故障によって、システムに故障と診断されない程度に、AD変換後の検出電流値、VR電圧の検出値及びバッテリー電圧に誤差が生じる状態となる。また、インバータのACライン抵抗、モータコイルの抵抗、インダクタンス及びEMFに温度変動による誤差が生じたり、これらの製品バラツキによる誤差が生じたりする状態となる。これらの誤差は、故障診断閾値を超えない程度の誤差となるため部品単位の故障として検出することができない。
ここでは、例えば、中途故障の発生によって、VR電圧検出値Vrに例えば「−20%」の誤差が発生し、過アシスト状態が発生しているとする。
この場合は、PI制御部657において、乗算結果M・Iovが「0」よりも大きいと判定されるため、過アシスト量Iovが0となるようにPI制御演算が行われる。さらに、この演算結果が進角したq軸電流指令値Iq及びd軸電流指令値Idにゲインとして乗算されて、抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcが算出される。続いて、dq相3相変換部658において、抑制q軸電流指令値Iqc及び抑制d軸電流指令値Idcがdq相−3相変換されて、3相の抑制電流指令値I1c及びI2cが算出される。
そして、補正量算出部659において、抑制電流指令値I1c及びI2cが電圧値に変換され、この電圧値に対してVR電圧検出値V1r及びV2rが乗算されて3相の過アシスト補正量V1c及びV2cが算出される。そして、算出された過アシスト補正量V1c及びV2cが第1減算部66に出力される。
続いて、第1減算部66において、電圧指令値V1から相毎に過アシスト補正量V1cが減算され、電圧指令値V2から相毎に過アシスト補正量V2cが減算されて、補正後電圧指令値V1’及びV2’が算出される。そして、算出された補正後電圧指令値V1’が第1のゲート駆動回路41Aに出力され、補正後電圧指令値V2’が第2のゲート駆動回路41Bに出力される。
これにより、第1のゲート駆動回路41Aでは補正後電圧指令値V1’に基づき6つのゲート信号が形成され、これら6つのゲート信号が第1のインバータ回路42Aに供給される。これにより、第1のインバータ回路42Aが駆動して3相電動モータ22の第1の3相モータ巻線L1に3相の駆動電圧が印加される。また、第2のゲート駆動回路41Bでは補正後電圧指令値V2’に基づき6つのゲート信号が形成され、これら6つのゲート信号が第2のインバータ回路42Bに供給される。これにより、第2のインバータ回路42Bが駆動して3相電動モータ22の第2の3相モータ巻線L2に3相の駆動電圧が印加される。
各モータ巻線に印加される駆動電圧は、第1の制御演算装置31Aの指令値の最終出力段である第1減算部66において、過アシスト状態を発生する電圧指令値V1及びV2から過アシスト補正量V1c及びV2cが減算された電圧指令値(V1’及びV2’)に基づくものとなる。そのため、中途故障による超過分が低減された駆動電流が流れて、過アシスト状態を抑制することが可能となる。
第1実施形態において、電流指令値演算部63が電流指令値演算部に対応し、操舵トルクセンサ13がトルクセンサに対応し、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bがモータ駆動回路に対応し、電流指令値演算部63及び電流制御部64が駆動制御部に対応する。
また、第1実施形態において、3相dq相変換部651が実電流検出部に対応し、PI制御部657が過剰アシスト判定部に対応し、第1の過アシスト補正量算出部656が過アシスト補正量算出部に対応し、第1減算部66が指令値補正部に対応する。
また、第1実施形態において、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqが電流指令値に対応する。
また、第1実施形態において、電流指令値演算部63においてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを演算する処理が電流指令値演算ステップに対応し、電流指令値演算部63及び電流制御部64においてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに基づいて第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御する処理が駆動制御ステップに対応する。
また、第1実施形態において、PI制御部657において、過アシスト状態が発生しているか否かを判定する処理が過剰アシスト判定ステップに対応し、第1の過アシスト補正量算出部656において過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する処理が過アシスト補正量算出ステップに対応する。
また、第1実施形態において、第1減算部66において、電圧指令値V1及びV2から過アシスト補正量V1c及びV2cを減算して、補正後電圧指令値V1’及びV2’を算出する処理が指令値補正ステップに対応する。
(第1実施形態の効果)
(1)第1実施形態に係る第1のモータ制御装置25Aは、電流指令値演算部63が、少なくとも、ステアリング機構に伝達される操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ13で検出した操舵トルクTに基づきd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを演算する。第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bが、ステアリングシャフト12に操舵アシストトルクを付与する3相電動モータ22に駆動電流を供給する。電流指令値演算部63及び電流制御部64が、電流指令値演算部63で演算したd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに基づき第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御する。3相dq相変換部651が、3相電動モータ22に流れる実電流(q軸電流検出値Iq)を検出する。PI制御部657が、電流指令値演算部63で演算したq軸電流指令値Iqと3相dq相変換部651で検出したq軸電流検出値Iqとに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する。第1の過アシスト補正量算出部656が、PI制御部657で過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、q軸電流指令値Iqとq軸電流検出値Iqとに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する。第1減算部66が、第1の過アシスト補正量算出部656で算出した過アシスト補正量V1c及びV2cに基づき第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御するための指令値(電圧指令値V1及びV2)を補正する。
この構成であれば、q軸電流指令値Iqとq軸電流検出値Iqとに基づき過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定することが可能となる。さらに、過アシスト状態が発生している場合に、q軸電流指令値Iqとq軸電流検出値Iqとに基づきに過アシスト補正量V1c及びV2cを算出し、算出した過アシスト補正量V1c及びV2cに基づき第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御するための電圧指令値V1及びV2を補正することが可能となる。
これによって、例えば、部品単位では検出できない中途故障が発生した場合の過アシスト状態を検出することが可能となり、過アシスト状態が発生している場合に、それを即座に抑制することが可能となる。その結果、過アシストによる操舵感が軽くなりすぎる状態やセルフステアの発生を未然に防ぐことが可能となる。
(2)上記PI制御部657が、q軸電流検出値Iqの絶対値であるq軸電流絶対値|I1q|からq軸電流指令値Iqの絶対値であるq軸電流指令絶対値|Iq|を減算した減算結果が正値であり、かつ、q軸電流検出値Iq及びq軸電流指令値Iqが正値であるときに過剰な操舵アシストが発生していると判定する。
この構成であれば、過アシスト分の電流値を正確に求めて過アシスト状態が発生しているか否かを適切に判定することが可能になる。加えて、q軸電流検出値Iq及びq軸電流指令値Iqが負値となる場合を除外することが可能となるので、アシスト不足時の誤判定を回避することが可能となる。
(3)上記第1の過アシスト補正量算出部656が、q軸電流絶対値|I1q|からq軸電流指令絶対値|Iq|を減算し、この減算結果(過アシスト量Iov)が0となるようにPI制御演算を行い、この演算結果に基づき過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する。上記第1減算部66が、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御する指令値(電圧指令値V1及びV2)の最終出力段において、この指令値から過アシスト補正量V1c及びV2cを減算することで指令値を補正する。
この構成であれば、q軸電流指令値Iqに対する実電流の超過分である過アシスト量Iovに対して「0」を目標値としたPI制御演算を行い、この演算結果に基づき過アシスト補正量V1c及びV2cを算出することが可能となる。加えて、指令値の最終出力段において、この指令値から過アシスト補正量V1c及びV2cを減算することで指令値を補正することが可能となる。
これによって、過アシスト状態を抑制するのに適切な補正量を算出することが可能になると共に、操舵者が違和感を感じない程度の応答性で過アシスト状態を抑制することが可能となる。
(4)第1実施形態に係る3相電動モータ22は、第1のモータ制御装置25Aを備える。
この構成であれば、上記(1)〜(3)に記載の第1のモータ制御装置25Aと同等の作用及び効果が得られる。
(5)第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置3は、第1のモータ制御装置25Aを備える。
この構成であれば、上記(1)〜(3)に記載の第1のモータ制御装置25Aと同等の作用及び効果が得られると共に、中途故障による過アシスト状態の発生時も過アシスト状態を抑制することが可能となるので電動パワーステアリング装置3の信頼性を向上することが可能となる。
(6)第1実施形態に係る車両1は、第1のモータ制御装置25Aを備えた電動パワーステアリング装置3を備える。
この構成であれば、上記(1)〜(3)に記載の第1のモータ制御装置25Aと同等の作用及び効果が得られると共に、中途故障による過アシスト状態の発生時も過アシスト状態を抑制することが可能となるので車両1の信頼性を向上することが可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る第2のモータ制御装置25B(図示省略)は、上記第1実施形態の第1のモータ制御装置25Aにおける第1の制御演算装置31Aに代えて第2の制御演算装置31Bを備える点以外は、第1のモータ制御装置25Aと同様の構成となる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
(第2の制御演算装置31B)
第2実施形態の第2の制御演算装置31Bは、図11に示すように、上記第1実施形態の第1の制御演算装置31Aにおける第1の過アシスト抑制制御部65に代えて第2の過アシスト抑制制御部67を備える点以外は、第1の制御演算装置31Aと同様の構成となる。
(第2の過アシスト抑制制御部67)
第2の過アシスト抑制制御部67は、図12に示すように、上記第1実施形態の第1の過アシスト補正量算出部656に代えて、第2の過アシスト補正量算出部670を備える点以外は、第1の過アシスト補正量算出部656と同様の構成となる。
第2の過アシスト補正量算出部670は、図12に示すように、P制御部671と、dq相3相変換部658と、補正量算出部659とを備えている。
P制御部671は、第1乗算部655からの乗算結果M・Iovが「0」よりも大きいか否かを判定し、「0」よりも大きいと判定すると、乗算結果M・Iov(即ち、過アシスト量Iov)が「0」となるようにP制御演算を行う。そして、この演算結果を進角したq軸電流指令値Iq及びd軸電流指令値Id(d軸電流指令値Id=0[A])にゲインとして乗算して、抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcを算出する。そして、算出した抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcをdq相3相変換部658に出力する。
一方、P制御部671は、第1乗算部655からの乗算結果M・Iovが「0」よりも大きくないと判定すると、過アシスト補正なしを示す「0」をdq相3相変換部658に出力する。
dq相3相変換部658は、P制御部671からの抑制q軸電流指令値Iqc及び抑制d軸電流指令値Idcをdq相−3相変換して、3相の抑制電流指令値I1c及びI2cを算出する。そして、算出した抑制電流指令値I1c及びI2cを、補正量算出部659に出力する。
一方、dq相3相変換部658は、P制御部671から過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、「0」を補正量算出部659に出力する。
(第2の過アシスト抑制制御処理)
次に、図13に基づき、第2の過アシスト抑制制御処理の処理手順について説明する。
第2の制御演算装置31Bにおいて、第2の過アシスト抑制制御処理が開始されると、図13に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ここで、ステップS200〜S210までの処理は、上記第1実施形態のステップS100〜S110までの処理と同様となるので説明を省略する。
ステップS212では、P制御部671において、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2が「0」よりも大きいか否かを判定する。そして、「0」よりも大きいと判定した場合に、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2、即ち過アシスト量Iov1及びIov2が「0」となるようにP制御演算処理を行う。さらに、この演算結果を進角したq軸電流指令値Iq及びd軸電流指令値Id(d軸電流指令値Id=0[A])に乗算して、抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcを算出する。さらに、算出した抑制q軸電流指令値I1qc及びI2qc、並びに抑制d軸電流指令値I1dc及びI2dcをdq相3相変換部658に出力して、ステップS114に移行する。一方、P制御部671において、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2が「0」よりも大きくないと判定した場合に、過アシスト補正なしを示す「0」をdq相3相変換部658に出力して、ステップS114に移行する。
ここで、P制御演算で用いるP(比例)ゲインについては、目標の応答性を達成可能なPゲインを予め実験等によって求めておく。なお、Pゲインを学習によって最適化する構成としてもよい。
ステップS214では、dq相3相変換部658において、P制御部671から抑制q軸電流指令値Iqc及び抑制d軸電流指令値Idcが入力された場合は、これらq軸及びd軸電流指令値Iqc及びIdcをdq相−3相変換して、3相の抑制電流指令値I1c及びI2cに変換する。そして、変換後の3相の抑制電流指令値I1c及びI2cを補正量算出部659に出力して、ステップS216に移行する。一方、dq相3相変換部658において、P制御部671から過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、「0」を補正量算出部659に出力して、ステップS216に移行する。
ステップS216では、補正量算出部659において、dq相3相変換部658から3相の抑制電流指令値I1c及びI2cが入力された場合は、入力された抑制電流指令値I1c及びI2cを電流−電圧変換する。さらに、変換した電圧値に対してVR電圧検出値V1r及びV2rを乗算して、3相の過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する。そして、算出した3相の過アシスト補正量V1c及びV2cを第1減算部66に出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。一方、補正量算出部659において、dq相3相変換部658から過アシスト補正なしを示す「0」が入力された場合は、3相の過アシスト補正量V1c及びV2cとして「0」を第1減算部66に出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
第2実施形態において、電流指令値演算部63が電流指令値演算部に対応し、操舵トルクセンサ13がトルクセンサに対応し、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bがモータ駆動回路に対応し、電流指令値演算部63及び電流制御部64が駆動制御部に対応する。
また、第2実施形態において、3相dq相変換部651が実電流検出部に対応し、P制御部671が過剰アシスト判定部に対応し、第2の過アシスト補正量算出部670が過アシスト補正量算出部に対応し、第1減算部66が指令値補正部に対応する。
また、第2実施形態において、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqが電流指令値に対応する。
また、第2実施形態において、電流指令値演算部63においてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを演算する処理が電流指令値演算ステップに対応し、電流指令値演算部63及び電流制御部64においてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに基づいて第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御する処理が駆動制御ステップに対応する。
また、第2実施形態において、P制御部671において、過アシスト状態が発生しているか否かを判定する処理が過剰アシスト判定ステップに対応し、第2の過アシスト補正量算出部670において過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する処理が過アシスト補正量算出ステップに対応する。
また、第2実施形態において、第1減算部66において、電圧指令値V1及びV2から過アシスト補正量V1c及びV2cを減算して、補正後電圧指令値V1’及びV2’を算出する処理が指令値補正ステップに対応する。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態は、上記第1実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
(1)第2実施形態に係る第1のモータ制御装置25Aは、上記第2の過アシスト補正量算出部670が、q軸電流絶対値|I1q|からq軸電流指令絶対値|Iq|を減算し、この減算結果(過アシスト量Iov)が0となるようにP制御演算を行い、この演算結果に基づき過アシスト補正量V1c及びV2cを算出する。第1減算部66が、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御する指令値(電圧指令値V1及びV2)の最終出力段において、この指令値から過アシスト補正量V1c及びV2cを減算することで指令値を補正する。
この構成であれば、q軸電流指令値Iqに対する実電流の超過分である過アシスト量Iovに対して「0」を目標値としたP制御演算を行い、この演算結果に基づき過アシスト補正量V1c及びV2cを算出することが可能となる。加えて、指令値の最終出力段において、この指令値から過アシスト補正量V1c及びV2cを減算することで指令値を補正することが可能となる。
これによって、過アシスト状態を抑制するのに適切な補正量を算出することが可能になると共に、操舵者が違和感を感じない程度の応答性で過アシスト状態を抑制することが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る第3のモータ制御装置25C(図示省略)は、上記第1実施形態の第1のモータ制御装置25Aにおける第1の制御演算装置31Aに代えて第3の制御演算装置31Cを備える点以外は、第1のモータ制御装置25Aと同様の構成となる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
(第3の制御演算装置31C)
第3実施形態の第3の制御演算装置31Cは、図14に示すように、上記第1実施形態の第1の制御演算装置31Aにおける第1の過アシスト抑制制御部65及び第1減算部66に代えて第3の過アシスト抑制制御部68及び第2乗算部69を備える点以外は、上記第1実施形態の第1の制御演算装置31Aと同様の構成となる。
第3の過アシスト抑制制御部68は、q軸電流指令値I1q及びI2qと、モータ電流検出値I1m及びI2mと、モータ角速度ωeと、VR電圧検出値V1r及びV2rとに基づき、過アシスト補正量Rrを算出する。
具体的に、過アシスト状態が発生している場合に、q軸電流指令値I1qとq軸電流検出値I1qとの比の逆数である「I1q/I1q」を過アシスト補正量R1rとして算出する。加えて、q軸電流指令値I2qとq軸電流検出値I2qとの比の逆数である「I2q/I2q」を過アシスト補正量R2rとして算出する。そして、算出した過アシスト補正量R1r及びR2rを第2乗算部69に出力する。
以下、過アシスト補正量R1r及びR2rを、単に「過アシスト補正量Rr」と記載する場合がある。
一方、第3の過アシスト抑制制御部68は、過アシスト状態が発生していない場合は、過アシスト補正量R1r及びR2rとして「1」を第2乗算部69に出力する。
第2乗算部69は、電流制御部64からの電圧指令値Vの各相の値に対して第3の過アシスト抑制制御部68からの過アシスト補正量Rrを乗算して、補正後電圧指令値V1’及びV2’を算出する。
そして、第2乗算部69は、算出した補正後電圧指令値V1’及びV2’を、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに出力する。
(第3の過アシスト抑制制御部68)
第3実施形態の第3の過アシスト抑制制御部68は、図15に示すように、上記第1実施形態の第1の過アシスト補正量算出部656に代えて、第3の過アシスト補正量算出部680を備える点以外は、上記第1実施形態の第1の過アシスト補正量算出部656と同様の構成となる。
(第3の過アシスト補正量算出部680)
第3の過アシスト補正量算出部680には、図15に示すように、電流指令値演算部63からのd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqと、符号判定部653からのq軸電流検出値Iqが入力されている。即ち、第3実施形態の符号判定部653は、算出したq軸電流検出値Iqを第3の過アシスト補正量算出部680に出力する。
第3の過アシスト補正量算出部680は、第1乗算部655からの乗算結果M・Iovが「0」よりも大きいか否かを判定し、「0」よりも大きいと判定すると、過アシスト補正量Rrとして、q軸電流指令値Iqとq軸電流検出値Iqとの比「Iq/Iq」の逆数「Iq/Iq」を算出する。そして、算出した過アシスト補正量Rrを第2乗算部69に出力する。
一方、第3の過アシスト補正量算出部680は、乗算結果M・Iovが「0」よりも大きくないと判定すると、過アシスト補正量Rrとして「1」を第2乗算部69に出力する。
(第3の過アシスト抑制制御処理)
次に、図16に基づき、第3実施形態の第3の過アシスト抑制制御処理の処理手順について説明する。
第3の制御演算装置31Cにおいて、第3の過アシスト抑制制御処理が開始されると、図16に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ここで、ステップS300〜S310までの処理は、上記第1実施形態のステップS100〜S110までの処理と同様となるので説明を省略する。
ステップS312では、第3の過アシスト補正量算出部680において、乗算結果M1・Iov1及びM2・Iov2が「0」よりも大きいか否かを判定する。そして、「0」よりも大きいと判定した場合(Yes)は、ステップS314に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS316に移行する。
ステップS314に移行した場合は、第3の過アシスト補正量算出部680において、電流指令値演算部63からのq軸電流指令値I1qと、符号判定部653からのq軸電流検出値I1qとの比「I1q/I1q」の逆数「I1q/I1q」を算出する。加えて、電流指令値演算部63からのq軸電流指令値I2qと、符号判定部653からのq軸電流検出値I2qとの比「I2q/I2q」の逆数「I2q/I2q」を算出する。そして、算出した「I1q/I1q」及び「I2q/I2q」を、過アシスト補正量R1r及びR2rとして第2乗算部69に出力する。その後、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS316に移行した場合は、第3の過アシスト補正量算出部680において、過アシスト補正量R1r及びR2rとして「1」を第2乗算部69に出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
第3実施形態において、電流指令値演算部63が電流指令値演算部に対応し、操舵トルクセンサ13がトルクセンサに対応し、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bがモータ駆動回路に対応し、電流指令値演算部63及び電流制御部64が駆動制御部に対応する。
また、第3実施形態において、3相dq相変換部651が実電流検出部に対応し、第3の過アシスト補正量算出部680が過剰アシスト判定部及び過アシスト補正量算出部に対応し、第2乗算部69が指令値補正部に対応する。
また、第3実施形態において、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqが電流指令値に対応する。
また、第3実施形態において、電流指令値演算部63においてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを演算する処理が電流指令値演算ステップに対応し、電流指令値演算部63及び電流制御部64においてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに基づいて第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bを駆動制御する処理が駆動制御ステップに対応する。
また、第3実施形態において、第3の過アシスト補正量算出部680において、過アシスト状態が発生しているか否かを判定する処理が過剰アシスト判定ステップに対応し、第3の過アシスト補正量算出部680において過アシスト補正量R1r及びR2rを算出する処理が過アシスト補正量算出ステップに対応する。
また、第3実施形態において、第2乗算部69において、電圧指令値V1及びV2に対して過アシスト補正量R1r及びR2rを乗算して、補正後電圧指令値V1’及びV2’を算出する処理が指令値補正ステップに対応する。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態は、上記第1及び第2実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
(1)第3の実施形態に係る第3のモータ制御装置25Cは、第3の過アシスト補正量算出部680が、過アシスト補正量R1r及びR2rとして、q軸電流指令値I1q及びI2qとq軸電流検出値I1q及びI2qとの比の逆数「I1q/I1q」及び「I2q/I2q」を算出する。第2乗算部69が、q軸電流指令値とq軸電流検出値との比の逆数「I1q/I1q」及び「I2q/I2q」を、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bへの最終出力段の指令値(電圧指令値V1及びV2)に乗算することで該指令値を補正する。
この構成であれば、簡易な演算処理で過アシスト補正量R1r及びR2rを算出することが可能となる。加えて、指令値の最終出力段において、この指令値に対して過アシスト補正量R1r及びR2rを乗算することで指令値を補正することが可能となる。
これによって、過アシスト状態を抑制するのに適切な補正量をq軸電流指令値とq軸電流検出値との逆比を求めるといった簡易な演算処理で算出することが可能になると共に、操舵者が違和感を感じない程度の応答性で過アシスト状態を抑制することが可能となる。
(実施例)
以下、上記第1〜第3実施形態に係る第1〜第3のモータ制御装置25A〜25Cを用いて、第1〜第3の過アシスト抑制制御処理のシミュレーションを実施した実施例を説明する。
シミュレーションの条件としては、いずれも負荷なしとし、上記2系統の第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに対して、q軸電流指令値Iqを1系統ごとに10[A]とし、モータ回転数信号を1000[rpm]とした。
また、中途故障の模擬として、0.3[s]後にVR電圧検出値V1r及びV2rが両方とも80%(検出誤差−20%)となるようにした。
このシミュレーション結果は、図17に示すようになった。
図17において、横軸は時間[s]、縦軸は電流[A]であり、破線(太)で示す直線P1は過アシスト状態の検出ラインとなるq軸電流指令値Iq(10[A])を示し、実線(太)で示す特性曲線P2は、過アシスト抑制制御処理を実施しなかった場合のq軸電流検出値Iqの時間変化を示す。
また、図17において、実線(細)で示す特性曲線P3は第1の過アシスト抑制制御処理(PI制御)を実施した場合のq軸電流検出値Iqの時間変化を示し、実線(中太)で示す特性曲線P4は第2の過アシスト抑制制御処理(P制御)を実施した場合のq軸電流検出値Iqの時間変化を示す。
また、図17において、一点鎖線で示す特性曲線P5は第3の過アシスト抑制制御処理(逆電流比)を実施した場合のq軸電流検出値Iqの時間変化を示す。
特性曲線P2に示すように、過アシスト抑制制御処理を実施しなかった場合は、0.3秒後の中途故障の発生に伴ってq軸電流検出値Iqが瞬間的に21[A]を超え、その後も約20[A]で一定となって大きな過アシスト状態が発生し続けた。
一方、特性曲線P3に示すように、PI制御を用いた第1の過アシスト抑制制御処理を実施した場合は、中途故障の発生直後は瞬間的に小さな過アシスト状態が発生するが極短時間で略正常値(q軸電流指令値Iq)へと収束しており、第1〜第3の過アシスト抑制制御処理の中では最良の抑制効果が得られた。
また、特性曲線P4に示すように、P制御を用いた第2の過アシスト抑制制御処理を実施した場合は、中途故障の発生直後は瞬間的に約12[A]の過アシスト状態が生じ、その後は、約1[A]の比較的小さな過アシスト状態で一定となり、2番目に良い抑制効果が得られた。
また、特性曲線P5に示すように、逆電流比を用いた第3の過アシスト抑制制御処理を実施した場合は、中途故障の発生直後に、約14.5[A]の過アシスト状態が発生し、その後は、抑制無しの場合よりは低い約14[A]の過アシスト状態で一定となり、3番目に良い抑制効果が得られた。
抑制無しの場合は中途故障の発生時に瞬間的に21[A]を超えているのに対して、第1〜第3の過アシスト抑制制御処理を実施した場合は、いずれも中途故障の発生直後から抑制効果が働いており、抑制制御無しの場合と比較して過アシストを半分以下に抑制することができた。
(変形例)
(1)上記各実施形態においては、第1の制御演算装置31Aの操舵補助制御処理で、操舵補助電流指令値に基づいてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを算出し、これらをdq相−3相変換してU相電流指令値Iu、V相電流指令値Iv及びW相電流指令値Iwを算出し、これらとモータ電流検出値Imとの相毎の電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwを算出する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、モータ電流検出値Imをdq軸変換し、これらとd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqとの偏差ΔId及びΔIqを算出し、偏差ΔId及びΔIqをdq相−3相変換するようにしてもよい。
(2)上記各実施形態においては、本発明をコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用した例を説明したが、この構成に限らず、例えば、ラックアシスト式又はピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用する構成としてもよい。
1…車両、3…電動パワーステアリング装置、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…操舵トルクセンサ、18…ステアリングギヤ、20…操舵補助機構、22…3相電動モータ、23…モータ電気角検出回路、25A〜25C…第1〜第3のモータ制御装置、26…車速センサ、27…バッテリー、28…IGNスイッチ、31A〜31C…第1〜第3の制御演算装置、32A,32B…第1,第2のモータ駆動回路、33A,33B…第1,第2のモータ電流遮断回路、34A,34B…第1,第2の電流検出回路、35A,35B…第1,第2のVR電圧検出回路、41A,41B…第1,第2のゲート駆動回路、42A,42B…第1,第2のインバータ回路、43…ノイズフィルタ、44A,44B…第1,第2の電源遮断回路、63…電流指令値演算部、64…電流制御部、65,67,68…第1,第2,第3の過アシスト抑制制御部、650,652…第1,第2絶対値演算部、651…3相dq相変換部、653…符号判定部、654…第2減算部、655…第1乗算部、656,670,680…第1,第2,第3の過アシスト補正量算出部、657…PI制御部、658…dq相3相変換部、659…補正量算出部

Claims (7)

  1. 少なくとも、ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルクセンサで検出した前記トルクに基づき電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
    ステアリングシャフトに操舵アシストトルクを付与する電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路と、
    前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御する駆動制御部と、
    前記電動モータに流れる実電流を検出する実電流検出部と、
    前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値と前記実電流検出部で検出した前記実電流の検出値である実電流検出値とに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する過剰アシスト判定部と、
    前記過剰アシスト判定部で過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、前記電流指令値と前記実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量を算出する過アシスト補正量算出部と、
    前記過アシスト補正量算出部で算出した前記過アシスト補正量に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正する指令値補正部と、を備え
    前記過アシスト補正量算出部は、前記実電流検出値の絶対値から前記電流指令値の絶対値を減算した減算結果が0となるようにPI(Proportional Integral)制御演算を行い、該PI制御演算結果に基づき前記過アシスト補正量を算出し、
    前記指令値補正部は、前記指令値の前記モータ駆動回路への最終出力段において、前記指令値から前記過アシスト補正量を減算することで該指令値を補正するモータ制御装置。
  2. 少なくとも、ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルクセンサで検出した前記トルクに基づき電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
    ステアリングシャフトに操舵アシストトルクを付与する電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路と、
    前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御する駆動制御部と、
    前記電動モータに流れる実電流を検出する実電流検出部と、
    前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値と前記実電流検出部で検出した前記実電流の検出値である実電流検出値とに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する過剰アシスト判定部と、
    前記過剰アシスト判定部で過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、前記電流指令値と前記実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量を算出する過アシスト補正量算出部と、
    前記過アシスト補正量算出部で算出した前記過アシスト補正量に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正する指令値補正部と、を備え、
    前記過アシスト補正量算出部は、前記実電流検出値の絶対値から前記電流指令値の絶対値を減算した減算結果が0となるようにP(Proportional)制御演算を行い、該P制御演算結果に基づき前記過アシスト補正量を算出し、
    前記指令値補正部は、前記指令値の前記モータ駆動回路への最終出力段において、前記指令値から前記過アシスト補正量を減算することで該指令値を補正するモータ制御装置。
  3. 少なくとも、ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルクセンサで検出した前記トルクに基づき電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
    ステアリングシャフトに操舵アシストトルクを付与する電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路と、
    前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御する駆動制御部と、
    前記電動モータに流れる実電流を検出する実電流検出部と、
    前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値と前記実電流検出部で検出した前記実電流の検出値である実電流検出値とに基づき、過剰な操舵アシストが発生しているか否かを判定する過剰アシスト判定部と、
    前記過剰アシスト判定部で過剰な操舵アシストが発生していると判定すると、前記電流指令値と前記実電流検出値とに基づき過剰な操舵アシストを抑制するための補正量である過アシスト補正量を算出する過アシスト補正量算出部と、
    前記過アシスト補正量算出部で算出した前記過アシスト補正量に基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するための指令値を補正する指令値補正部と、を備え、
    前記過アシスト補正量算出部は、前記過アシスト補正量として、前記電流指令値と前記実電流検出値との比の逆数を算出し、
    前記指令値補正部は、前記電流指令値と前記実電流検出値との比の逆数を前記モータ駆動回路への最終出力段の指令値に乗算することで該指令値を補正するモータ制御装置。
  4. 前記過剰アシスト判定部は、前記実電流検出値の絶対値から前記電流指令値の絶対値を減算した減算結果が正値であり、かつ、前記実電流検出値及び前記電流指令値が同符号であるときに過剰な操舵アシストが発生していると判定する請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた電動モータ。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。
  7. 請求項に記載の電動パワーステアリング装置を備えた車両。
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