JP6641683B2 - 樹脂フィルム、λ/4板、円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び製造方法 - Google Patents

樹脂フィルム、λ/4板、円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂フィルム、λ/4板、円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び前記樹脂フィルムの製造方法に関する。
位相差板は、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス(以下において「有機EL」と呼ぶことがある)表示装置等の表示装置の構成要素として、広く用いられている。表示装置に用いる位相差板は、表示のための全ての波長領域(通常は可視領域)において、λ/4、λ/2等の所望の位相差を一様に発現することにより、表示のための全ての波長領域においてその効果が発現することが求められる場合がある。
このような位相差板は、所望の幅を有する長尺のフィルムとして、製造ラインにおいて連続的に製造し、このような長尺の位相差板から、表示装置の矩形の表示面に適合した形状の矩形の位相差板を切り出すことができれば、効率的な製造が可能となる。さらに、長尺の位相差板の、長手方向及び幅手方向に平行な方向に近い方向に矩形の位相差板の辺が相当するように切り出しを行なうことが可能であれば、さらに効率的な製造が可能となる。
表示装置における位相差板としては、共に用いられる偏光板の透過軸に対して45°といった所定の角度に遅相軸を有するものが求められる場合がある。例えば、偏光板とλ/4位相差板とを組み合わせて反射防止機能を発現させる場合、位相差板は、偏光板の透過軸に対して45°の角度に遅相軸を有することが求められる。偏光板の偏光軸は、表示装置の矩形の表示面の縦横のいずれかの辺に平行な方向に透過軸を有する場合が多い。したがって、長尺の位相差板であって、その幅手方向に対して45°といった所定の角度に遅相軸を有するものを製造することができれば、表示装置用の位相差板の製造において非常に有利である。
位相差板を得るための方法の一つとして、液晶相を呈しうる化合物を、液晶相を呈した状態のまま固体のフィルムに成形する方法が知られている。そのような方法の例としては、重合性を有し且つ液晶相を呈しうる重合性液晶化合物を含む組成物を、適切な基材の表面に塗布して層とし、層内の重合性液晶化合物を配向させ、さらに配向させた状態を維持して重合させることにより、光学異方性を有するフィルムを形成する方法が挙げられる。このような方法を用いれば、位相差を面内で均一に発現させた位相差板を得ることが可能であり、また、重合性液晶化合物を適宜選択することにより、可視光波長域で一様な位相差を発生させる位相差板を得ることが可能である(例えば特許文献1)。
特開平11−52131号公報
このような液晶相を呈しうる化合物を配向させる方法としては、基材の表面に配向規制力を付与し、その上に液晶相を呈しうる化合物を含む組成物を塗布し、さらに配向に適した条件に置くことが一般的に行なわれる。基材の表面に配向規制力を付与する方法の例としては、ラビングによる方法、及び光配向による方法が挙げられる。しかしながらラビングを行なった場合、異物の発生により製品の品質が劣化しうる、といった問題点がある。また、長尺の基材に斜め方向のラビングを連続的に行なう場合、配向方向を厳密に制御することが非常に困難であるという問題点もある。一方、光配向による配向規制力の付与は、高コストであり、且つ処理速度が遅いという問題点がある。
従って、本発明の目的は、λ/4板等の位相差板として用いることができ、位相差が面内で均一に発現し、効率的に製造でき、且つ異物の発生による欠陥が少ない、硬化液晶分子を含む樹脂フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、効率的に製造でき、且つ異物の発生による欠陥が少ない、λ/4板、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することにある。
本発明者は前記の課題を解決するべく検討した結果、基材として、その幅手方向と異なる方向に遅相軸を付与したものを用いることを着想した。そして、そのような基材を用いて、基材の遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を有する硬化液晶分子を含む樹脂フィルムを形成した場合、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
〔1〕 長尺の基材上で形成されてなる、硬化液晶分子を含む樹脂フィルムであって、
前記基材は、その幅手方向と異なる方向に遅相軸を有し、
前記硬化液晶分子は、前記基材の前記遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を有する、樹脂フィルム。
〔2〕 〔1〕に記載の樹脂フィルムであって、
前記基材上での前記樹脂フィルムの形成が、
重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を、前記基材上に塗布し、液晶組成物の層を形成し、
前記層における前記重合性液晶化合物を、前記基材の前記遅相軸の方向と略同一方向に沿ってホモジニアス配向させ、
前記重合性液晶化合物を重合させ、前記硬化液晶分子を形成する
ことを含む、樹脂フィルム。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂フィルムであって、
前記基材の複屈折Δnが0.000050以上である、樹脂フィルム。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂フィルムであって、
逆波長分散特性を有する、樹脂フィルム。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の樹脂フィルムであって、
前記基材が、脂環式構造含有重合体を含む樹脂またはセルロースエステルのフィルムである、樹脂フィルム。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを備えるλ/4板。
〔7〕 〔6〕に記載のλ/4板であって、
前記基材をさらに備える、λ/4板。
〔8〕 〔6〕又は〔7〕に記載のλ/4板を備える円偏光板。
〔9〕 〔8〕に記載の円偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
〔10〕 硬化液晶分子を含む樹脂フィルムの製造方法であって、
重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を、基材上に塗布し、液晶組成物の層を形成し、
前記層における前記重合性液晶化合物を、前記基材の前記遅相軸の方向と略同一方向に沿ってホモジニアス配向させ、
前記重合性液晶化合物を重合させ、前記硬化液晶分子を形成する
ことを含み、
前記基材は、長尺の基材であり、且つその幅手方向と異なる方向に遅相軸を有し、
前記硬化液晶分子は、前記基材の前記遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を有する
製造方法。
本発明の樹脂フィルムは、λ/4板等の位相差板として用いることができ、位相差が面内で均一に発現し、効率的に製造でき、且つ異物の発生による欠陥が少ない樹脂フィルムとしうる。また、本発明の製造方法によれば、前記本発明の樹脂フィルムを効率的に製造しうる。
特に、基材として複屈折Δnが0.000050以上であるものを用いた場合、特に良好に配向規制力を発現することができる。さらに、硬化液晶分子の材料として、逆波長分散重合性液晶化合物を用い、逆波長分散特性を有する樹脂フィルムとすることにより、斜め延伸による製造の効率の高さ、遅相軸方向の設定の自由度の高さ、面内における特性の均一さ、異物による欠陥の少なさ、及び逆波長分散特性による有用性を高レベルで兼ね備えた樹脂フィルムとしうる。
本発明のλ/4板、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、均一な特性を有し、効率的に製造でき、且つ異物の発生による欠陥が少ない、λ/4板、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置としうる。
図1は、実施例7における、測定結果を示すグラフである。
以下、例示物及び実施形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
本願において、「偏光板」、「λ/4板」及び「位相差板」といった板状の形状を有する部材は、剛直な部材に限られるものではなく、フィルム状の、可撓性を有するものとしうる。
〔1.樹脂フィルム〕
本発明の樹脂フィルムは、長尺の基材上で形成されてなる、硬化液晶分子を含む樹脂フィルムである。本願においては、「硬化液晶分子」とは、液晶相を呈しうる化合物を、液晶相を呈した状態のまま固体とした際の当該化合物の分子を意味する。硬化液晶分子の例としては、重合性液晶化合物を重合させてなる重合体が挙げられる。また、以下の説明においては、「硬化液晶分子を含む樹脂フィルム」を「液晶樹脂フィルム」と略称することがある。
〔1.1.基材〕
本発明において用いる基材は、長尺の基材である。本願において「長尺」とは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。
本発明において用いる基材は、その幅手方向と異なる方向に遅相軸を有する。本願において、基材及び樹脂フィルムの遅相軸の方向とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸の方向をいう。遅相軸方向が幅手方向と「異なる」とは、遅相軸方向と幅手方向とがなす角が、5°以上であることをいう。遅相軸方向と幅手方向とがなす角の上限は、特に限定されないが、例えば90°以下としうる。遅相軸方向と幅手方向とがなす角は、液晶樹脂フィルムに求められる所望の性能に応じて適宜調整しうるが、具体的には例えば45°±3°、又は22.5°±3°といった角度としうる。基材が、かかる遅相軸を有することにより、その上で形成される樹脂フィルムに、遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を付与することができる。
基材の材質は、特に限定されず、複屈折性の付与によりその表面に配向規制力を付与しうる種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、各種の重合体を含む樹脂が挙げられる。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、UV透過アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を有する非晶性の重合体であり、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体及び側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
脂環式構造含有重合体は、具体的には、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
脂環式構造含有重合体は、そのガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。
ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体は、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
脂環式構造含有重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合にはトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。
重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
脂環式構造含有重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、その分子量2,000以下の樹脂成分(すなわち、オリゴマー成分)の含有量が、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。
オリゴマー成分の量が前記範囲内にあると、表面における微細な凸部の発生が減少し、厚みむらが小さくなり面精度が向上する。
オリゴマー成分の量を低減するためには、重合触媒や水素化触媒の選択、重合、水素化等の反応条件、樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件、等を最適化すればよい。
オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる。
基材の材質として脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いた場合の、基材の厚みは特に制限されないが、生産性の向上、薄型化及び軽量化を容易にする観点から、その厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは30〜100μmである。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、脂環式構造含有重合体のみからなってもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含んでもよい。脂環式構造含有重合体を含む樹脂中の、脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420、1420R」を挙げうる。
セルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステル(例:セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネート)が代表的である。低級脂肪酸は、1分子あたりの炭素原子数6以下の脂肪酸を意味する。セルロースアセテートには、トリアセチルセルロース(TAC)やセルロースジアセテート(DAC)が含まれる。
セルロースアセテートの酢化度は、50〜70%が好ましく、特に55〜65%が好ましい。重量平均分子量70000〜120000が好ましく、特に80000〜100000が好ましい。また、上記セルロースアセテートは、酢酸だけでなく上記酢化度を満足する限り、一部プロピオン酸、酪酸等の脂肪酸でエステル化されていても良い。また、基材を構成する樹脂は、セルロースアセテートと、セルロースアセテート以外のセルロースエステル(セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート等)とを組み合わせて含んでも良い。その場合、これらのセルロースエステルの全体が、上記酢化度を満足することが好ましい。
基材として、トリアセチルセルロースのフィルムを用いる場合、かかるフィルムとしては、トリアセチルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調製されたトリアセチルセルロースドープを用いて作成されたトリアセチルセルロースフィルムが、環境保全の観点から特に好ましい。トリアセチルセルロースのフィルムは、共流延法により作製しうる。共流延法は、トリアセチルセルロースの原料フレークを溶媒に溶解し、これに必要に応じて任意の添加剤を添加し溶液(ドープ)を調製し、当該ドープをドープ供給手段(ダイ)から支持体の上に流延し、流延物をある程度乾燥して剛性が付与された時点でフィルムとして支持体から剥離し、当該フィルムをさらに乾燥して溶媒を除去することにより行いうる。原料フレークを溶解する溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等が挙げられる。ドープに添加する添加剤の例としては、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等が挙げられる。ドープを流延する支持体の例としては、水平式のエンドレスの金属ベルト、及び回転するドラムが挙げられる。流延に際しては、単一のドープを単層流延することもできるが、複数の層を共流延することもできる。複数の層を共流延する場合、例えば、低濃度のセルロースエステルドープの層と、そのおもて面及び裏面に接して設けられた高濃度のセルロースエステルドープの層が形成されるよう、複数のドープを順次流延しうる。フィルムを乾燥して溶媒を除去する手段の例としては、フィルムを搬送して、内部を乾燥に適した条件に設定した乾燥部を通過させる手段が挙げられる。
トリアセチルセルロースのフィルムの好ましい例としては、TAC−TD80U(富士写真フィルム(株)製)等の公知のもの、及び発明協会公開技報公技番号2001−1745号にて公開されたものが挙げられる。トリアセチルセルロースのフィルムの厚みは特に限定されないが、30〜150μmが好ましく、40〜130μmがより好ましく、70〜120μmが更に好ましい。
基材に、遅相軸を設ける方法としては、典型的には延伸する方法を採用しうる。具体的には、上記の材料からなるものなどのフィルムを延伸し、異方性を付与することにより、遅相軸を有する基材を調製しうる。延伸する方向は、液晶樹脂フィルムに求められる所望の配向方向に応じて適宜設定しうる。延伸は、斜め延伸のみでもよく、斜め延伸と、縦延伸(基材の長手方向への延伸)及び/又は横延伸(基材の幅手方向への延伸)とを組み合わせて行ってもよい。延伸倍率は、基材の複屈折Δnが所望の範囲となるよう適宜設定しうる。基材の複屈折Δnの下限は、好ましくは0.000050以上、より好ましくは0.000070以上であり、一方、基材の複屈折Δnの上限は好ましくは0.007500以下、より好ましくは0.007000以下である。特に、基材の材料として、上に述べた脂環式構造含有重合体を含む樹脂又はトリアセチルセルロースを含む樹脂を用い、当該下限以上の複屈折を付与することにより、良好な配向規制力を基材表面に与えることができる。また、前記上限以下とすることにより、基材を液晶樹脂フィルムから剥離しなくても、λ/4板等の各種の用途に用いうる。延伸は、テンター延伸機などの既知の延伸機を用いて行いうる。
〔1.2.基材上での液晶樹脂フィルムの形成〕
基材上での液晶樹脂フィルムの形成は、典型的には、
工程(i):重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を、基材上に塗布し、液晶組成物の層を形成する工程、
工程(ii):液晶組成物の層における重合性液晶化合物を、基材の遅相軸の方向と略同一方向に沿ってホモジニアス配向させる工程、及び
工程(iii):重合性液晶化合物を重合させ、硬化液晶分子を形成する工程
を含む方法により行いうる。
工程(i)は、連続的に搬送される基材の一方の面上に、液晶組成物を塗布することにより行いうる。塗布の方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗布される液晶組成物の層の厚みは、液晶樹脂フィルムに求められる所望の厚さに応じて適宜設定しうる。
工程(ii)は、塗布により直ちに達成される場合もあるが、必要に応じて、塗布の後に、加温などの配向処理を施すことにより達成される場合もある。配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適宜設定しうるが、例えば、50〜160℃の温度条件において30秒間〜5分間処理する条件としうる。用いる液晶組成物の組成及び処理条件を適宜設定することにより、基材の遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向を達成しうる。
工程(ii)の後直ちに工程(iii)を行ってもよいが、工程(ii)の後工程(iii)の前に、必要に応じて液晶組成物の層を乾燥させる工程を行なってもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
工程(iii)は、重合性化合物及び重合開始剤等の、液晶組成物の成分の性質に適合した方法を適宜選択しうる。例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び熱重合法が挙げられる。加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度(Tg)以下とすることが好ましい。通常、150℃以下、好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下の範囲である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線照射強度は、通常、0.1mW/cm〜1000mW/cmの範囲、好ましくは0.5mW/cm〜600mW/cmの範囲である。
〔1.3.液晶樹脂フィルム〕
本発明の樹脂フィルムにおいて、硬化液晶分子は、基材の遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を有する。ここで、「ホモジニアス配向規則性を有する」とは、硬化液晶分子のメソゲンの長軸方向が、フィルム面に水平なある一の方向に整列することをいう。さらに、ある所定の方向に「沿った」ホモジニアス配向規則性とは、当該整列方向が、所定の方向であることをいう。硬化液晶分子がホモジニアス配向規則性を有しているか否か、及びその整列方向は、AxoScan(Axometrics社製)に代表されるような位相差計を用いた遅相軸方向の測定と、遅相軸方向における入射角毎のリタデーション分布の測定とにより確認しうる。
ここで、硬化液晶分子が重合性液晶化合物を重合させてなるものである場合は、当該重合性液晶化合物のメソゲンの長軸方向が、硬化液晶分子のメソゲンの長軸方向となる。また、重合性液晶化合物として逆波長分散重合性液晶化合物(後述)を用いた場合のように、液晶樹脂フィルム中に、配向方向の異なる複数種類のメソゲンが存在する場合は、それらのうち最も長い種類のメソゲンが整列する方向が、当該整列方向となる。
さらに、基材の遅相軸の方向と「略」同一方向に沿った配向とは、基材の遅相軸の方向と、メソゲンの整列方向とがなす角が、5°以内であることをいう。当該角は、好ましくは3°以内であり、より好ましくは1°以内である。
基材として上に説明した所定の遅相軸を有するものを用い、さらに液晶樹脂フィルムの材料を適宜選択することにより、その上で形成される樹脂フィルムに、遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を付与することができ、その結果、このような所定の配向規則性を有する液晶樹脂フィルムを得ることができる。
液晶樹脂フィルムの厚さは、特に限定されず、リターデーションなどの特性を所望の範囲とできるよう適宜調整することができる。具体的には、厚さの下限は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、一方厚さの上限は10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましい。
液晶樹脂フィルムの形状並びに長さ及び幅は、特に限定されないが、基材と同様の長尺のフィルム状の形状とすることができ、これを、必要に応じて所望の用途に適合した矩形などの形状に裁断することができる。
本発明の樹脂フィルムは、逆波長分散性を有することが好ましい。即ち、本発明の樹脂フィルムは、短波長より長波長の透過光について高い面内位相差を示す波長分散を有することが好ましい。本発明の樹脂フィルムは、少なくとも可視光の帯域の一部、好ましくは全部においてそのような逆波長分散性を有することが好ましい。液晶樹脂フィルムが逆波長分散性を有することにより、λ/4板又はλ/2板といった光学用途において、広い帯域において均一に機能を発現しうる。
〔1.4.液晶組成物〕
本発明の樹脂フィルムの製造に用いうる、重合性液晶化合物を含有する液晶組成物(以下において、当該組成物を、「組成物(A)」と略称する場合がある。)について説明する。
本願において、組成物(A)の成分としての液晶化合物とは、組成物(A)に配合し配向させた際に、液晶相を呈しうる化合物である。重合性液晶化合物とは、かかる液晶相を呈した状態で組成物(A)中で重合し、液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶化合物である。さらに、逆波長分散重合性液晶化合物とは、そのように重合体とした場合、得られた重合体が逆波長分散を示す重合性液晶化合物である。
また、本願において、組成物(A)の成分であって、重合性を有する化合物(重合性液晶化合物及びその他の重合性を有する化合物等)を総称して単に「重合性化合物」ということがある。
〔1.4.1.重合性液晶化合物〕
重合性液晶化合物としては、重合性基を有する液晶化合物、側鎖型液晶ポリマーを形成しうる化合物などが挙げられる。重合性基を有する液晶化合物としては、例えば、特開平11−513360号公報、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶化合物などが挙げられる。また、側鎖型液晶ポリマー化合物としては、例えば、特開2003−177242号公報などに記載の側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。また、好ましい液晶化合物の例を製品名で挙げると、BASF社製「LC242」等が挙げられる。これらの液晶化合物及び以下に説明する逆波長分散重合性液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔1.4.2.逆波長分散重合性液晶化合物〕
重合性液晶化合物の一部又は全部として、逆波長分散重合性液晶化合物を用いうる。逆波長分散重合性液晶化合物を用いることにより、逆波長分散性を有する液晶樹脂フィルムを容易に得ることができる。
逆波長分散重合性液晶化合物の例としては、その分子中に主鎖メソゲンと、主鎖メソゲンに結合した側鎖メソゲンとを有する化合物が挙げられる。このような逆波長分散重合性液晶化合物が配向した状態において、側鎖メソゲンは、主鎖メソゲンと異なる方向に配向しうる。したがって、液晶樹脂フィルムにおいて、主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンは異なる方向に配向しうる。そのような配向により、液晶樹脂フィルムが逆波長分散特性を呈しうる。
〔1.4.2.1.化合物(I)〕
逆波長分散重合性液晶化合物の例としては、下記式(I)で示される化合物(以下において「化合物(I)」という場合がある。)を挙げることができる。
Figure 0006641683
逆波長分散重合性液晶化合物が化合物(I)である場合、基−Y−A−Y−A−Y−A−Y−A−Y−A−Y−が主鎖メソゲンとなり、一方基>A−C(Q)=N−N(A)Aが側鎖メソゲンとなり、基Aは、主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンの両方の性質に影響する。
式中、Y〜Yはそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。
ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられる。
としては、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
化合物(I)においては、Y〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−O−C(=O)−O−であるのが好ましい。
、Gはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。
炭素数1〜20の二価の脂肪族基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状構造を有する二価の脂肪族基;炭素数3〜20のシクロアルカンジイル基、炭素数4〜20のシクロアルケンジイル基、炭素数10〜30の二価の脂環式縮合環基等の二価の脂肪族基;等が挙げられる。
、Gの二価の脂肪族基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。なかでも、フッ素原子、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、前記脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、前記Rと同様の、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記脂肪族基に介在する基としては、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−が好ましい。
これらの基が介在する脂肪族基の具体例としては、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−S−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−CH−、−CH−O−C(=O)−O−CH−CH−、−CH−CH−NR−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−NR−CH−、−CH−NR−CH−CH−、−CH−C(=O)−CH−等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、G、Gは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状構造を有する二価の脂肪族基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基〔−(CH10−〕等の、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、テトラメチレン基〔−(CH−〕、ヘキサメチレン基〔−(CH−〕、オクタメチレン基〔−(CH−〕、及び、デカメチレン基〔−(CH10−〕が特に好ましい。
、Zはそれぞれ独立して、無置換又はハロゲン原子で置換された炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
該アルケニル基の炭素数としては、2〜6が好ましい。Z及びZのアルケニル基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
及びZの炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=CH−CH−、CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、CH=C(CH)−CH−CH−、(CHC=CH−CH−、(CHC=CH−CH−CH−、CH=C(Cl)−、CH=C(CH)−CH−、CH−CH=CH−CH−等が挙げられる。
なかでも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、Z及びZとしては、それぞれ独立して、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、又は、CH=C(CH)−CH−CH−であるのが好ましく、CH=CH−、CH=C(CH)−、又は、CH=C(Cl)−であるのがより好ましく、CH=CH−であるのが特に好ましい。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
本発明において、「芳香環」は、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、及びチオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示すものを意味する。
の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基は、芳香環を複数個有するものであってもよく、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を有するものであってもよい。
前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。前記芳香族複素環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環等の単環の芳香族複素環;ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、フタラジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チアゾロピリジン環、オキサゾロピリジン環、チアゾロピラジン環、オキサゾロピラジン環、チアゾロピリダジン環、オキサゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、オキサゾロピリミジン環等の縮合環の芳香族複素環;等が挙げられる。
が有する芳香環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−SO;等が挙げられる。ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は、炭素数3〜12のシクロアルキル基を表し、Rは後述するRと同様の、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。
また、Aが有する芳香環は、同一又は相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は単環であっても、縮合多環であってもよく、不飽和環であっても、飽和環であってもよい。
なお、Aの炭素数2〜30の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する(後述するAにて同じである。)。
の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基としては、芳香族炭化水素環基;芳香族複素環基;芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜30のアルキル基;芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜30のアルケニル基;芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜30のアルキニル基;等が挙げられる。
の好ましい具体例を以下に示す。但し、本発明においては、Aは以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「−」は環の任意の位置からのびる結合手を表す(以下にて同じである。)。
(1)芳香族炭化水素環基
Figure 0006641683
Figure 0006641683
(2)芳香族複素環基
Figure 0006641683
Figure 0006641683
上記式中、Eは、NR6a、酸素原子又は硫黄原子を表す。ここで、R6aは、水素原子;又は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 0006641683
上記式中、X、Y、Zは、それぞれ独立して、NR、酸素原子、硫黄原子、−SO−、又は、−SO−を表す(ただし、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−が、それぞれ隣接する場合を除く。)。Rは、前記R6aと同様の、水素原子;又は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 0006641683
(上記式中、Xは前記と同じ意味を表す。)
(3)芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキル基
Figure 0006641683
(4)芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルケニル基
Figure 0006641683
(5)芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキニル基
Figure 0006641683
上記したAの中でも、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、又は炭素数4〜30の芳香族複素環基であることが好ましく、下記に示すいずれかの基であることがより好ましく、
Figure 0006641683
Figure 0006641683
下記に示すいずれかの基であることが更に好ましい。
Figure 0006641683
が有する環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−SO;等が挙げられる。ここでRは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は、フェニル基等の炭素数6〜14のアリール基;を表す。なかでも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
また、Aが有する環は、同一又は相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は単環であっても、縮合多環であってもよい。
なお、Aの炭素数2〜30の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する(後述するAにて同じである。)。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12の芳香族炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の炭素数2〜20のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルコキシ基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−C(=O)−R7a;−C(=O)−OR7a;−SO8a;−SR10;−SR10で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。ここで、R7a及びR10はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、R8aは前記Rと同様の、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;−C(=O)−R7a;−C(=O)−OR7a;−SO8a;水酸基;等が挙げられる。ここでR7a、R8aは前記と同じ意味を表す。
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の置換基と同様な置換基が挙げられる。
の、−C(=O)−Rで表される基において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12の芳香族炭化水素基を表す。これらの具体例は、前記Aの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の例として列記したものと同様のものが挙げられる。
の、−SO−Rで表される基において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。
の、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数2〜20のアルケニル基の具体例は、前記Aの、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基の例として列記したものと同様のものが挙げられる。
の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基としては、前記Aで例示したのと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Aとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基で表される基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、−C(=O)−R、−SO−Rで表される基が更に好ましい。ここで、R、Rは前記と同じ意味を表す。
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、ベンゾイル基、−SR10が好ましい。ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基の置換基としては、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基が好ましい。
また、AとAは一緒になって、環を形成していてもよい。かかる環としては、置換基を有していてもよい、炭素数4〜30の不飽和複素環、炭素数6〜30の不飽和炭素環が挙げられる。
前記炭素数4〜30の不飽和複素環、炭素数6〜30の不飽和炭素環としては、特に制約はなく、芳香族性を有していても有していなくてもよい。例えば、下記に示す環が挙げられる。なお、下記に示す環は、式(I)中の
Figure 0006641683
として表される部分を示すものである。
Figure 0006641683
Figure 0006641683
Figure 0006641683
(式中、X、Y、Zは、前記と同じ意味を表す。)
また、これらの環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、Aが有する芳香環の置換基として例示したのと同様のものが挙げられる。
とAに含まれるπ電子の総数は、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、4以上24以下であるのが好ましく、6以上20以下であるのがより好ましく、6以上18以下であるのが更により好ましい。
とAの好ましい組み合わせとしては、
(α)Aが炭素数4〜30の、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、Aが水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル基、(ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、若しくは炭素数3〜8のシクロアルキル基)を置換基として有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、当該置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゾイル基、−SR10のいずれかである組み合わせ、及び、
(β)AとAが一緒になって不飽和複素環又は不飽和炭素環を形成しているもの、
が挙げられる。ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
とAのより好ましい組み合わせとしては、
(γ)Aが下記構造を有する基のいずれかであり、Aが水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル基、(ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、若しくは炭素数3〜8のシクロアルキル基)を置換基として有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、当該置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゾイル基、−SR10のいずれかである組み合わせである。ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
Figure 0006641683
Figure 0006641683
(式中、X、Yは、前記と同じ意味を表す。)
とAの特に好ましい組み合わせとしては、
(δ)Aが下記構造を有する基のいずれかであり、Aが水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル基、(ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、若しくは炭素数3〜8のシクロアルキル基)を置換基として有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、当該置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゾイル基、−SR10のいずれかである組合せである。下記式中、Xは前記と同じ意味を表す。ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
Figure 0006641683
は置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。三価の芳香族基としては、三価の炭素環式芳香族基であっても、三価の複素環式芳香族基であってもよい。本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、三価の炭素環式芳香族基が好ましく、三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基がより好ましく、下記式に示す三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基がさらに好ましい。
なお、下記式においては、結合状態をより明確にすべく、置換基Y、Yを便宜上記載している(Y、Yは、前記と同じ意味を表す。以下にて同じ。)。
Figure 0006641683
これらの中でも、Aとしては、下記に示す式(A11)〜(A25)で表される基がより好ましく、式(A11)、(A13)、(A15)、(A19)、(A23)で表される基がさらに好ましく、式(A11)、(A23)で表される基が特に好ましい。
Figure 0006641683
の、三価の芳香族基が有していてもよい置換基としては、前記Aの芳香族基の置換基として例示したのと同様のものが挙げられる。Aとしては、置換基を有さないものが好ましい。
、Aはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜30のシクロアルカンジイル基、炭素数10〜30の二価の脂環式縮合環基等が挙げられる。
炭素数3〜30のシクロアルカンジイル基としては、シクロプロパンジイル基;シクロブタン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基等のシクロブタンジイル基;シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基等のシクロペンタンジイル基;シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基等のシクロへキサンジイル基;シクロヘプタン−1,2−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基等のシクロへプタンジイル基;シクロオクタン−1,2−ジイル基、シクロオクタン−1,3−ジイル基、シクロオクタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロオクタンジイル基;シクロデカン−1,2−ジイル基、シクロデカン−1,3−ジイル基、シクロデカン−1,4−ジイル基、シクロデカン−1,5−ジイル基等のシクロデカンジイル基;シクロドデカン−1,2−ジイル基、シクロドデカン−1,3−ジイル基、シクロドデカン−1,4−ジイル基、シクロドデカン−1,5−ジイル基等のシクロドデカンジイル基;シクロテトラデカン−1,2−ジイル基、シクロテトラデカン−1,3−ジイル基、シクロテトラデカン−1,4−ジイル基、シクロテトラデカン−1,5−ジイル基、シクロテトラデカン−1,7−ジイル基等のシクロテトラデカンジイル基;シクロエイコサン−1,2−ジイル基、シクロエイコサン−1,10−ジイル基等のシクロエイコサンジイル基;等が挙げられる。
炭素数10〜30の二価の脂環式縮合環基としては、デカリン−2,5−ジイル基、デカリン−2,7-ジイル基等のデカリンジイル基;アダマンタン−1,2−ジイル基、アダマンタン−1,3−ジイル基等のアダマンタンジイル基;ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,6−ジイル基等のビシクロ[2.2.1]へプタンジイル基;等が挙げられる。
これらの二価の脂環式炭化水素基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、前記Aの芳香族基の置換基として例示したのと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、A、Aとしては、炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基がより好ましく、下記式(A31)〜(A34)
Figure 0006641683
で表される基がさらに好ましく、前記式(A32)で表される基が特に好ましい。
前記炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基は、Y、Y(又はY、Y)と結合する炭素原子の立体配置の相違に基づく、シス型、トランス型の立体異性体が存在し得る。例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイル基の場合には、下記に示すように、シス型の異性体(A32a)とトランス型の異性体(A32b)が存在し得る。
Figure 0006641683
本発明においては、シス型であってもトランス型であっても、あるいはシス型とトランス型の異性体混合物であってもよいが、配向性が良好であることから、トランス型あるいはシス型であるのが好ましく、トランス型がより好ましい。
、Aはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
、Aの芳香族基は単環のものであっても、多環のものであってもよい。
、Aの好ましい具体例としては、下記のものが挙げられる。
Figure 0006641683
上記A、Aの二価の芳香族基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、−C(=O)−OR8b基;等が挙げられる。ここでR8bは、炭素数1〜6のアルキル基である。なかでも、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基が好ましい。また、ハロゲン原子としてはフッ素原子が、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
これらの中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、A、Aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、下記式(A41)、(A42)及び(A43)で表される基がより好ましく、置換基を有していてもよい式(A41)で表される基が特に好ましい。
Figure 0006641683
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。
置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、前記Aで例示したのと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Qは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
化合物(I)は、例えば、下記に示す反応により製造することができる。
Figure 0006641683
(式中、Y〜Y、G、G、Z、Z、A、A、A〜A、Qは、前記と同じ意味を表す。)
すなわち、式(3)で表されるヒドラジン化合物(ヒドラジン化合物(3))を、式(4)で表されるカルボニル化合物(カルボニル化合物(4))と、〔ヒドラジン化合物(3):カルボニル化合物(4)〕のモル比で、1:2〜2:1、好ましくは1:1.5〜1.5:1の割合で反応させることにより、高選択的かつ高収率で目的とする本発明の式(I)で示される重合性化合物を製造することができる。
この場合、(±)−10−カンファースルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸等の無機酸;等の酸触媒を添加して反応を行うことができる。酸触媒を添加することで反応時間が短縮され、収率が向上する場合がある。酸触媒の添加量は、カルボニル化合物(4)1モルに対して、通常0.001〜1モルである。また、酸触媒はそのまま添加してもよいし、適当な溶液に溶解させた溶液として添加してもよい。
この反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、及びアルコール系溶媒とエーテル系溶媒の混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、ヒドラジン化合物(3)1gに対し、通常1〜100gである。
反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。各反応の反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
ヒドラジン化合物(3)は、次のようにして製造することができる。
Figure 0006641683
(式中、A、Aは前記と同じ意味を表す。Xは、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(2a)で表される化合物とヒドラジン(1)を、適当な溶媒中、(化合物(2a):ヒドラジン(1))のモル比で、1:1〜1:20、好ましくは1:2〜1:10で反応させて、対応するヒドラジン化合物(3a)を得ることができ、さらに、ヒドラジン化合物(3a)と式(2b)で表される化合物を反応させることで、ヒドラジン化合物(3)を得ることができる。
ヒドラジン(1)としては、通常1水和物のものを用いる。ヒドラジン(1)は、市販品をそのまま使用することができる。
この反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、及びアルコール系溶媒とエーテル系溶媒の混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、ヒドラジン1gに対し、通常1〜100gである。
反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。各反応の反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
また、ヒドラジン化合物(3)は、次のように、従来公知の方法を用いて、ジアゾニウム塩(5)を還元することによって製造することもできる。
Figure 0006641683
式(5)中、A、Aは、前記と同じ意味を表す。Xは、ジアゾニウムに対する対イオンである陰イオンを示す。Xとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン等の無機陰イオン;ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン等の有機陰イオン;等が挙げられる。
上記反応に用いる還元剤としては、金属塩還元剤が挙げられる。
金属塩還元剤とは、一般に低原子価金属を含む化合物、もしくは金属イオンとヒドリド源からなる化合物である(「有機合成実験法ハンドブック」1990年社団法人有機合成化学協会編 丸善株式会社発行810ページを参照)。
金属塩還元剤としては、NaAlH、NaAlH(Or)(p、qはそれぞれ独立して1〜3の整数を表し、p+q=4である。rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、LiAlH、iBuAlH、LiBH、NaBH、SnCl、CrCl、TiCl等が挙げられる。
還元反応においては公知の反応条件を採用することができる。例えば、特開2005−336103号公報、新実験化学講座 1978年 丸善株式会社発行 14巻、実験化学講座 1992年 丸善株式会社発行 20巻、等の文献に記載の条件で反応を行うことができる。
また、ジアゾニウム塩(5)は、アニリン等の化合物から常法により製造することができる。
カルボニル化合物(4)は、典型的には、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)及びアミド結合(−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−)の形成反応を任意に組み合わせて、所望の構造を有する複数の公知化合物を適宜結合・修飾することにより製造することができる。
エーテル結合の形成は、以下のようにして行うことができる。
(i)式:D1−hal(halはハロゲン原子を表す。以下にて同じ。)で表される化合物と、式:D2−OMet(Metはアルカリ金属(主にナトリウム)を表す。以下にて同じ。)で表される化合物とを混合して縮合させる(ウイリアムソン合成)。なお、式中、D1及びD2は任意の有機基を表す(以下にて同じ。)。
(ii)式:D1−halで表される化合物と、式:D2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iii)式:D1−J(Jはエポキシ基を表す。)で表される化合物と、式:D2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iv)式:D1−OFN(OFNは不飽和結合を有する基を表す。)で表される化合物と、式:D2−OMetで表される化合物を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して付加反応させる。
(v)式:D1−halで表される化合物と、式:D2−OMetで表される化合物とを、銅あるいは塩化第一銅存在下、混合して縮合させる(ウルマン縮合)。
エステル結合及びアミド結合の形成は、以下のようにして行うことができる。
(vi)式:D1−COOHで表される化合物と、式:D2−OH又はD2−NHで表される化合物とを、脱水縮合剤(N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等)の存在下に脱水縮合させる。
(vii)式:D1−COOHで表される化合物にハロゲン化剤を作用させることにより、式:D1−CO−halで表される化合物を得、このものと式:D2−OH又はD2−NHで表される化合物とを、塩基の存在下に反応させる。
(viii)式:D1−COOHで表される化合物に酸無水物を作用させることにより、混合酸無水物を得た後、このものに、式:D2−OH又はD2−NHで表される化合物を反応させる。
(ix)式:D1−COOHで表される化合物と、式:D2−OH又はD2−NHで表される化合物とを、酸触媒あるいは塩基触媒の存在下に脱水縮合させる。
本発明のカルボニル化合物(4)は、より具体的には、下記反応式に示す方法により製造することができる。
Figure 0006641683
(式中、Y〜Y、G、G、Z、Z、A〜A、及びQは、前記と同じ意味を表す。L、Lは、水酸基、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。−Y1aは、−Lと反応して、−Y−となる基を表し、−Y2aは、−Lと反応して、−Y−となる基を表す。)
すなわち、従来公知の、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)、又は、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)の形成反応を用いることにより、式(6d)で表される化合物に、式(7a)で表される化合物、次いで、式(7b)で表される化合物を反応させて、本発明のカルボニル化合物(4)を製造することができる。
より具体的に、Yが、Y11−C(=O)−O−で表される基であり、式:Z−Y−G−Y−A−Y−A−Y−で表される基が、式:Z−Y−G−Y−A−Y−A−Y−で表される基と同一である、化合物(4’)の製造方法を以下に示す。
Figure 0006641683
(式中、Y、Y、Y、G、Z、A、A、A、Q、及びLは前記と同じ意味を表す。Y11は、Y11−C(=O)−O−がYとなる基を表す。Yは前記と同じ意味を表す。)
上記反応においては、式(6)で表されるジヒドロキシ化合物(化合物(6))と式(7)で表される化合物(化合物(7))とを、(化合物(6):化合物(7))のモル比で、1:2〜1:4、好ましくは1:2〜1:3の割合で反応させることにより、高選択的かつ高収率で目的とする化合物(4’)を得ることができる。
化合物(7)が、式(7)中、Lが水酸基の化合物(カルボン酸)である場合には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下に反応させることにより、目的物を得ることができる。
脱水縮合剤の使用量は、化合物(7)1モルに対し、通常1〜3モルである。
また、化合物(7)が、式(7)中、Lが水酸基の化合物(カルボン酸)である場合には、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等のスルホニルハライド、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基の存在下に反応させることによっても、目的物を得ることができる。
スルホニルハライドの使用量は、化合物(7)1モルに対し、通常1〜3モルである。
塩基の使用量は、化合物(7)1モルに対し、通常1〜3モルである。
この場合、前記式(7)中、Lがスルホニルオキシ基の化合物(混合酸無水物)を単離して次の反応を行ってもよい。
さらに、化合物(7)が、式(7)中、Lがハロゲン原子の化合物(酸ハライド)である場合には、塩基の存在下に反応させることにより、目的物を得ることができる。
用いる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(7)1モルに対し、通常1〜3モルである。
上記反応に用いる溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、ヒドロキシ化合物(6)1gに対し、通常1〜50gである。
化合物(6)の多くは公知物質であり、公知の方法により製造することができる。
例えば、下記反応式に示す方法により製造することができる(WO2009/042544号、及び、The Journal of Organic Chemistry,2011,76,8082−8087等参照。)。化合物(6)として市販されているものを、所望により精製して用いることもできる。
Figure 0006641683
(式中、A、Qは前記と同じ意味を表し、A1aは、ホルミル化又はアシル化されることによりAになる2価の芳香族基を表し、R’は、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、メトキシメチル基等の炭素数2〜6のアルコキシアルキル基等の水酸基の保護基を表す。)
すなわち、式(6a)で表されるジヒドロキシ化合物(1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシナフタレン等)の水酸基をアルキル化して、式(6b)で表される化合物を得た後、OR’基のオルト位を、公知の方法により、ホルミル化又はアシル化することにより、式(6c)で表される化合物を得、このものを脱保護(脱アルキル化)することにより、目的とする化合物(6)を得ることができる。
また、化合物(6)として、市販されているものをそのまま、又は所望により精製して用いることもできる。
化合物(7)の多くは公知化合物であり、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)及びアミド結合(−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−)の形成反応を任意に組み合わせて、所望の構造を有する複数の公知化合物を適宜結合・修飾することにより製造することができる。
例えば、化合物(7)が、下記式(7’)で表される化合物(化合物(7’))である場合には、式(9’)で表されるジカルボン酸(化合物(9’))を用いて、下記のようにして製造することができる。
Figure 0006641683
(式中、Y、Y、G、Z、A、A、Y11は、前記と同じ意味を表す。Y12は、−O−C(=O)−Y12がYとなる基を表す。Rは、メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基、p−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;を表す。)
先ず、化合物(9’)に、式(10)で表されるスルホニルクロライドを、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基存在下で反応させる。
次いで、反応混合物に、化合物(8)と、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基を加えて反応を行う。
スルホニルクロライドの使用量は、化合物(9’)1当量に対して、通常0.5〜0.7当量である。
化合物(8)の使用量は、化合物(9’)1当量に対して、通常0.5〜0.6当量である。
塩基の使用量は、化合物(3)1当量に対して、通常0.5〜0.7当量である。
反応温度は、20〜30℃であり、反応時間は反応規模等にもよるが、数分から数時間である。
上記反応に用いる溶媒としては、前記化合物(4’)を製造する際に用いることができる溶媒として例示したものが挙げられる。なかでも、エーテル類が好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(9’)1gに対し、通常1〜50gである。
いずれの反応においても、反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、カラムクロマトグラフィー、再結晶法、蒸留法等の公知の分離・精製手段を施すことにより、目的物を単離することができる。
目的とする化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
〔1.4.3.重合性モノマー〕
組成物(A)は、任意の成分として、重合性モノマーを含有しうる。本願において、「重合性モノマー」とは、重合能を有しモノマーとして働きうる化合物のうち、特に、逆波長分散重合性液晶化合物以外の化合物をいう。
重合性モノマーとしては、例えば、1分子当たり1以上の重合性基を有するものを用いうる。そのような重合性基を有することにより、液晶樹脂フィルムの形成に際し重合を達成することができる。重合性モノマーが1分子当たり2以上の重合性基を有する架橋性モノマーである場合、架橋的な重合を達成することができる。かかる重合性基の例としては、化合物(I)中の基Z−Y−及びZ−Y−と同様の基を挙げることができ、より具体的には例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基を挙げることができる。
重合性モノマーは、それ自体が液晶性のものであってもよく、非液晶性のものであってもよい。ここで、それ自体が「非液晶性」であるとは、当該重合性モノマーそのものを、室温から200℃のいずれの温度に置いた場合にも、配向処理をした基材上で配向を示さないものをいう。配向を示すかどうかは、偏光顕微鏡のクロスニコル透過観察にてラビング方向を面相で回転させた場合に、明暗のコントラストがあるかどうかで判断する。
組成物(A)において、重合性モノマーの配合割合は、逆波長分散重合性液晶化合物100重量部に対し、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。当該範囲内で、重合性モノマーの配合割合を、所望の逆波長分散特性を示すように適宜調整することにより、逆波長分散特性の精密な制御が容易となる。
重合性モノマーは、既知の製造方法により製造することができる。または、化合物(I)と類似の構造を持つものについては、化合物(I)の製造方法に準じて製造することができる。
〔1.4.4.組成物(A)のその他の成分〕
組成物(A)は、重合性液晶化合物及び重合性モノマーに加えて、必要に応じて、以下に例示するもの等の任意の成分を含みうる。
組成物(A)は、重合開始剤を含みうる。重合開始剤としては、組成物(A)中の、重合性液晶化合物、重合性モノマー及びその他の重合性化合物が有する重合性基の種類に応じて適宜選択しうる。例えば、重合性基がラジカル重合性であればラジカル重合開始剤を、アニオン重合性の基であればアニオン重合開始剤を、カチオン重合性の基であればカチオン重合開始剤を、それぞれ使用しうる。
ラジカル重合開始剤としては、加熱することにより、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である熱ラジカル発生剤;及び可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の露光光の露光により、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である光ラジカル発生剤;のいずれも使用可能であるが、光ラジカル発生剤を使用するのが好適である。
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、露光によって活性ラジカルまたは活性酸、あるいは活性ラジカルと活性酸の両方を発生する成分である。光ラジカル発生剤は、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルフォリノブチロフェノン等を挙げることができる。
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
メルカプタン系化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。アミン系化合物としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−ヘプタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(ベンゾイル)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン 1−(O−アセチルオキシム)、1−[9−エチル−6−(3−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン 1−(O−アセチルオキシム)、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−エタノン 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)ベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
光ラジカル発生剤としては、市販品をそのまま用いることもできる。具体例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、品名:Irgacure651、品名:Irgacure819、品名:Irgacure907、品名:Irgacure379、及び商品名:Irgacure OXE02、ADEKA社製の、商品名:アデカオプトマーN1919等が挙げられる。
前記アニオン重合開始剤としては、例えば、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレン等の、モノリチウム塩又はモノナトリウム塩;ジリチウム塩やトリリチウム塩等の多官能性開始剤;等が挙げられる。
また、前記カチオン重合開始剤としては、例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸;芳香族オニウム塩又は芳香族オニウム塩と、還元剤との併用系;が挙げられる。
これらの重合開始剤は一種単独で、又は二種以上を組合わせて用いることができる。
組成物(A)において、重合開始剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
組成物(A)は、表面張力を調整するための、界面活性剤を含みうる。当該界面活性剤としては、特に限定はないが、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましい。当該ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いうる。例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤、例えば、セイミケミカル(株)製KH−40等が挙げられる。組成物(A)において、界面活性剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
組成物(A)は、有機溶媒等の溶媒を含みうる。かかる有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、60〜250℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。溶媒の使用量は、重合性化合物100重量部に対し、通常、100〜1000重量部である。
組成物(A)は、さらに、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等の任意の添加剤を含みうる。本発明の重合性組成物において、かかる任意の添加剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、各々0.1〜20重量部である。
組成物(A)は、通常、上に述べた成分を混合することにより、調製することができる。
〔2.λ/4板〕
本発明の樹脂フィルムは、位相差板などの光学用途に用いることができ、特に、λ/4板、λ/2板等の波長板として用いうる。
本発明のλ/4板は、本発明の樹脂フィルムを備える。本発明のλ/4板は、本発明の樹脂フィルムのみからなっていてもよい。即ち、基材フィルム上で形成された液晶樹脂フィルムを基材から剥離し、矩形などの用途に応じた所望の形状に裁断し、それを本発明のλ/4板として用いうる。
または、本発明のλ/4板は、本発明の樹脂フィルムに加えて、基材をさらに備えていてもよい。即ち、基材フィルム上で形成された液晶樹脂フィルムを基材から剥離せず、基材及び液晶樹脂フィルムの積層体をそのまま、本発明のλ/4板として用いてもよい。本発明に用いる基材は、脂環式構造含有重合体又はセルロースエステル等の好ましい材質を選択することにより、延伸により付与された高い配向規制力を有しながら光学異方性が小さいものとしうる。したがって、このような基材を備える積層体をそのまま、本発明のλ/4板として用いうる。
本発明のλ/4板は、必要に応じてその他の任意の層を有していてもよい。任意の層の例としては、他の部材と接着するための接着層、フィルムの滑り性を良くするマット層、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、反射防止層、防汚層等が挙げられる。
〔3.円偏光板〕
本発明の円偏光板は、本発明のλ/4板を備える。本発明の円偏光板は、本発明のλ/4板に加えて、直線偏光子とを備えうる。
直線偏光子としては、液晶表示装置等の装置に用いられている公知の偏光子を用いうる。直線偏光子の例としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるもの、及びポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものが挙げられる。直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうちポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
本発明に用いる偏光子に自然光を入射させると一方の偏光だけが透過する。本発明に用いる偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは好ましくは5〜80μmである。
本発明のλ/4板を本発明の円偏光板において用いる場合、その波長550nmにおける位相差は、137.5nmかそれに近い値、具体的には100〜150nmであることが好ましい。また、本発明の円偏光板において、λ/4板の遅相軸と直線偏光子の透過軸とがなす角は、45°またはそれに近い角度、具体的には40〜50°であることが好ましい。かかる位相差及び角度を有することにより、液晶表示装置の構成要素などの用途に有用に用いうる円偏光板としうる。
このような構成を有する円偏光板の用途の一つとして、有機EL素子を有する表示装置の反射防止フィルムとしての用途が挙げられる。即ち、表示装置の表面に、このような構成を有する円偏光板を、直線偏光子側の面が視認側に向くように設けることにより、装置外部から入射した光が装置内で反射して装置外部へ出射することを抑制することができ、その結果、表示装置の表示面のぎらつきなどの不所望な減少を抑制しうる。具体的には、装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれがλ/4板を通過することにより円偏光となる。円偏光は、装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子中の反射電極等)により反射され、再びλ/4板を通過することにより、入射した直線偏光の偏光軸と直交する方向に偏光軸を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。これにより、反射防止の機能が達成される。
本発明の円偏光板も、本発明のλ/4板が備えうるものと同様の、任意の構成要素を有しうる。
〔4.表示装置〕
本発明のλ/4板及び本発明の円偏光板は、液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置の構成要素として用いうる。特に、好ましい態様として、本発明の有機EL表示装置は、前記本発明の円偏光板を備える。具体的には、本発明の有機EL表示装置は、表示素子の有機EL素子を有する表示装置において、上で説明した通り、反射防止フィルムとして本発明の円偏光板を備えうる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
<測定方法>
<1.液晶樹脂フィルム配向方向と基材遅相軸方向とのズレ>
基材に液晶組成物を塗布する前に、基材の、液晶組成物塗布面と反対の面に基準線を描いた。液晶樹脂フィルムの層を形成した後、液晶樹脂フィルムの面に、基材の基準面と重なる位置に、基準線を描いた。その後、液晶樹脂フィルムを、粘着剤を介してガラス板に転写し、基材から剥離した。その後、基材の遅相軸及び液晶樹脂フィルムの配向方向のそれぞれを、AxoScan(Axometrics社製)を用いて測定し、基材の遅相軸と基材上の基準線とがなす角度、及び液晶樹脂フィルムの配向方向と液晶樹脂フィルム上の基準線とがなす角度を求めた。これらの角度から、液晶樹脂フィルム配向方向と基材遅相軸方向とのズレを求めた。
<2.液晶樹脂フィルムの配向度>
ガラス板に転写した液晶樹脂フィルムを偏光子及び検光子の間に置き、クロスニコル透過率を、日本分光社製V7200及びVAP−7070Sを用いて測定し、下記の基準で評価した。
優:ボトムとなる波長におけるクロスニコル透過率が0.010%以下
良:ボトムとなる波長におけるクロスニコル透過率が0.010%超0.020%以下
可:ボトムとなる波長におけるクロスニコル透過率が0.020%超0.030%以下
<3.異物量>
液晶樹脂フィルムを目視により観察し、1平方メートル当りの異物の量を計数し、下記の基準で評価した。
良:1平方メートル当り5個以下
不良:1平方メートル当り6個以上
〔実施例1〕
(工程(1−1):脂環式構造を有する樹脂の延伸前基材の調製)
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)を90℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させ、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出し、冷却し、巻取り、厚み80μm、幅1490mmの延伸前基材のロールを得た。
(工程(1−2):脂環式構造を有する樹脂の延伸基材の調製)
工程(1−1)で得た延伸前基材を、ロールから引き出し、テンター延伸機に供給し、フィルムの配向角が巻き取り方向に対して45°となるように延伸を行い、さらにフィルム幅手方向の両端をトリミングし、巻取り、幅1350mmの、長尺の延伸基材のロールを得た。得られた延伸基材のReは69.3nm、膜厚は75μmであり、(Re(nm))/(膜厚(μm)x1000)で計算されるΔnの値は0.000923であった。
(工程(1−3):液晶組成物の調製)
下記式(E1)で表される逆波長分散重合性液晶化合物21.25部、界面活性剤(商品名「サーフロンS420」、AGCセイミケミカル社製)0.11部、重合開始剤(商品名「IRGACURE379」、BASF社製)0.64部、及び溶媒(シクロペンタノン、日本ゼオン株式会社製)78.00部を混合し、液晶組成物を調製した。
Figure 0006641683
(工程(1−4):液晶樹脂フィルムの形成)
工程(1−2)で調製した延伸基材を、ロールから引き出して搬送し、その一方の表面に、工程(1−3)で調製した液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、N雰囲気化で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmの、ホモジニアス配向した硬化液晶分子を含む液晶樹脂フィルムの層を得た。なお、ホモジニアス配向の確認にはAxoScan(Axometrics社製)を用いた。まず、液晶樹脂フィルム層の遅相軸方向を測定し、次に遅相軸方向における入射角毎のReを入射角−70°〜70°の範囲について10°毎に測定した。測定波長は550nmを用いた。入射角0°を中心にマイナス入射角のReとプラス入射角のReとが概ね対称となっていればホモジニアス配向しているといえる。得られた液晶樹脂フィルムは、入射角毎のReが0°を中心に対称となっており、ホモジニアス配向していることが確認できた。
(工程(1−5):評価)
工程(1−4)で得られた液晶樹脂フィルム配向方向と基材遅相軸方向とのズレは1°未満であった。また、得られた液晶樹脂フィルムの配向度及び異物量を評価した。結果を表2に示す。
〔実施例2〜3〕
液晶組成物を構成する成分の種類及び割合を、表1に示す通り変更し、延伸前基材を延伸する際の条件を変更しΔnの値及び遅相軸方向が異なる延伸基材を用いた他は、実施例1と同様にし、延伸基材、液晶組成物、及び液晶樹脂フィルムを得て評価した。結果を表2に示す。いずれの実施例においても、液晶樹脂フィルム配向方向と基材遅相軸方向とのズレは1°未満であった。
〔実施例4〕
(工程(4−1):トリアセチルセルロース延伸基材の調製)
長尺のトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ製、厚み80μm、幅1490mm)のロールを用意し、延伸前基材として用いた。延伸前基材を、ロールから引き出し、テンター延伸機に供給し、フィルムの配向角が巻き取り方向に対して45°となるように、延伸温度155℃、延伸倍率1.01倍で延伸を行い、さらにフィルム幅手方向の両端をトリミングし、巻取り、幅1350mmの、長尺の延伸基材のロールを得た。得られた延伸基材のReは14nm、膜厚は79μmであり、(Re(nm))/(膜厚(μm)x1000)で計算されるΔnの値は0.000078であった。
(工程(4−2):液晶組成物の調製)
重合性液晶化合物(商品名「LC242」BASF社製、下記式(E2)で示される化合物)24.15部、界面活性剤(商品名「フタージェントFTX−209F」、ネオス社製)0.12部、重合開始剤(商品名「IRGACURE379」、BASF社製)0.73部、及び溶媒(シクロペンチルメチルエーテル、日本ゼオン株式会社製)75.00部を混合し、液晶組成物を調製した。
Figure 0006641683
(工程(4−3):液晶樹脂フィルムの形成)
工程(4−1)で調製した延伸基材を、ロールから引き出して搬送し、その一方の表面に、工程(4−2)で調製した液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、N雰囲気化で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmのホモジニアス配向した液晶樹脂フィルムの層を得た。ホモジニアス配向していることは、実施例1の工程(1−4)における確認方法と同じ方法により確認した。
(工程(4−4):評価)
工程(4−3)で得られた液晶樹脂フィルム配向方向と基材遅相軸方向とのズレは1°未満であった。また、得られた液晶樹脂フィルムの配向度及び異物量を評価した。結果を表2に示す。
〔実施例5〜6〕
液晶組成物を構成する成分の種類及び割合を、表1に示す通り変更し、延伸前基材を延伸する際の条件を、表2に示すΔn及び遅相軸方向が得られるよう変更した他は、実施例4と同様にし、延伸基材、液晶組成物、及び液晶樹脂フィルムを得て評価した。結果を表2に示す。いずれの実施例においても、液晶樹脂フィルム配向方向と基材遅相軸方向とのズレは1°未満であった。
〔比較例1〕
実施例1の工程(1−1)で得た延伸前基材を、ロールから引き出し、MD方向にラビング処理した。この一方の表面に、実施例2で使用したものと同じ組成の液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、N雰囲気化で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmのホモジニアス配向した液晶樹脂フィルムの層を得た。ホモジニアス配向していることは、実施例1の工程(1−4)における確認方法と同じ方法により確認した。得られた液晶樹脂フィルム配向方向はラビング方向と略平行であった。また、得られた液晶樹脂フィルムの配向度及び異物量を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006641683
Figure 0006641683
表1及び表2中の略語の意味は、以下の通りである。
逆波長:前記式(E1)で表される逆波長分散重合性液晶化合物
LC242:重合性液晶化合物(商品名「LC242」BASF社製、前記式(E2)で示される化合物)
S420:界面活性剤(商品名「サーフロンS420」、AGCセイミケミカル社製)
209F:界面活性剤(商品名「フタージェントFTX−209F」、ネオス社製)
Irg379:重合開始剤(商品名「IRGACURE379」、BASF社製)
CPN:シクロペンタノン、日本ゼオン株式会社製
CPME:シクロペンチルメチルエーテル、日本ゼオン株式会社製
COP:脂環式構造を有する樹脂(熱可塑性ノルボルネン樹脂、日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)
TAC:トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ製)
表1及び表2の結果から明らかな通り、実施例1〜6の液晶樹脂フィルムでは、斜め方向の良好な配向を得ながら、且つ比較例1に比べて異物の量の少ない良質なフィルムとすることができた。
〔実施例7〕円偏光板(転写)
(工程(7−1):λ/4板の製造)
下記の点を変更した他は、実施例1の工程(1−1)〜(1−4)と同様にして、延伸基材上に液晶樹脂フィルムを形成し、(λ/4板)/(延伸基材)の層構成を有する複層フィルムを得た。
・工程(1−2)の、延伸前基材を延伸する際の条件を変更し、Δnが0.001607で遅相軸方向が45°の延伸基材(実施例2で作製したものと同じ)を得て、これを工程(1−4)において用いた。
・工程(1−4)における液晶組成物の塗布の厚さを変更し、液晶樹脂フィルムの層の乾燥膜厚を2.15μmとした。
得られた複層フィルムの液晶樹脂フィルム層を延伸基材より粘着剤を介してガラス基板上に転写し、延伸基材から剥離した。転写した液晶樹脂フィルム層をAxoScan(Axometrics社製)を用いて、測定波長550nmで測定したところ、面内レタデーションは137nm、遅相軸方向は45°であり、λ/4板として良好な特性を持つことが確認された。
(工程(7−2):円偏光板の製造)
工程(7−1)で得た液晶樹脂フィルムをλ/4板として円偏光板を製造した。
まず、長尺状の直線偏光子として、偏光フィルム(サンリッツ社製、商品名「HLC2−5618S」、厚さ180μm(幅手方向に透過軸を有する)を用意した。この一方の面と、工程(7−1)で得た複層フィルムの液晶樹脂フィルム(即ちλ/4板)側の面とを貼合した。貼合は粘着剤層(日東電工製、商品名「CS9621」)を介して行った。これにより、(偏光子)/(粘着剤層)/(λ/4板)/(延伸基材)の層構成を有する積層体(7−o)を得た。
次に、積層体(7−o)から、延伸基材を剥離し、(偏光子)/(粘着剤層)/(λ/4板)の層構成を有する円偏光板(7−i)を得た。
これらの貼合及び剥離の操作は、いずれもロールツーロールにて連続的に行った。したがって、貼合の操作は、いずれも長尺状のフィルムの長手方向を揃えた状態で行った。
得られた円偏光板(7−i)の構成要素の光学軸は、下記の角度関係を有していた。即ち、偏光子側の面から円偏光板(7−i)を観察した場合において、λ/4板の遅相軸と、偏光板の透過軸とは45°の角度をなしていた。
(7−3.評価)
(7−2)で得た長尺状の円偏光板(7−i)を適当な大きさに裁断し、目視観察して評価した。
さらに、円偏光板(7−i)のλ/4板側の面と、反射板(商品名「メタルミーTS50」、東レ社製、アルミニウム蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)の反射面とを貼合した。貼合は粘着剤層(日東電工製、商品名「CS9621」)を介して行った。これにより、(偏光子)/(粘着剤層)/(λ/4板)/(粘着剤層)/(反射板)の層構成を有する、評価用積層体(7−v)を得た。
得られた評価用積層体(7−v)について、偏光子側の面に入射した光の反射率を測定した。測定には、分光光度計V7200と絶対反射率ユニットVAR7020(日本分光株式会社製)とを用いた。測定に際して、極角は5°〜60°の範囲で様々に変化させた。また、方位角は、偏光子側の面から円偏光板を観察した場合において、偏光板の透過軸の方向から時計周りに0°、45°、90°、及び135°とした。結果を図1に示す。
〔実施例8〕円偏光板(基材込)
(工程(8−1):λ/4板の製造)
工程(1−4)における液晶組成物の塗布の厚さを変更し、液晶樹脂フィルムの層の乾燥膜厚を1.0μmとした他は、実施例5と同様にして、延伸基材上に液晶樹脂フィルムを形成し、(λ/4板)/(延伸基材)の層構成を有する複層フィルムを得た。複層フィルムをAxoScan(Axometrics社製)を用いて、測定波長550nmで測定したところ、面内レタデーションは146nm、遅相軸方向は45°であり、λ/4板として良好な特性を持つことが確認された。
(工程(8−2):円偏光板の製造)
下記の点を変更した他は、実施例7の工程(7−2)と同様にして、円偏光板(8−i)を得た。
・複層フィルムとして、工程(7−1)で得たものに代えて、工程(8−1)で得たものを用いた。
・延伸基材を剥離する工程を行わなかった。
得られた円偏光板(8−i)は、(偏光子)/(粘着剤層)/(液晶樹脂フィルム)/(延伸基材)の層構成を有していた。この円偏光板(8−i)では、液晶樹脂フィルム及び延伸基材が、λ/4板として機能する。
得られた円偏光板(8−i)の構成要素の光学軸は、偏光子側の面から円偏光板(8−i)を観察した場合において、λ/4板の遅相軸と、偏光板の透過軸とは45°の角度をなしていた。
(8−3.評価)
(8−2)で得た長尺状の円偏光板(8−i)を適当な大きさに裁断し、目視観察して評価した。
さらに、円偏光板(8−i)のλ/4板(即ち(液晶樹脂フィルム)/(延伸基材))側の面と、反射板(商品名「メタルミーTS50」、東レ社製、アルミニウム蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)の反射面とを貼合した。貼合は粘着剤層(日東電工製、商品名「CS9621」)を介して行った。これにより、(偏光子)/(粘着剤層)/(液晶樹脂フィルム)/(延伸基材)/(粘着剤層)/(反射板)の層構成を有する、評価用積層体(8−v)を得た。
(実施例7及び8の評価基準)
評価用積層体(7−v)と(8−v)における目視観察の評価結果を表3に示す。なお評価項目の「正面反射」は正面から見た際の光の反射量を目視観察により評価した結果であり、反射量が少ないほど反射色が黒くなり優れていることを示す。ここでは、反射色が特に黒い場合を「優」、黒い場合を「良」、暗いがわずかに着色している場合を「可」、明るく着色も目立つ場合を「不可」とした。また、「視野角特性」は各方位における斜め45°方向から見た際の光の反射量つまり明るさと色味の変化量とを目視観察により評価した結果であり、正面から見た際の光の反射量に対する明るさと色味の変化量とがそれぞれ少ないほど優れていることを示す。ここでは、明るさと色味の変化量が特に小さい場合を「優」、明るさの変化は特に小さいがと色味にわずかの変化が確認できる場合を「良」、明るさと色味にわずかの変化が確認される場合を「可」、明るさと色味の変化が大きい場合を「不可」とした。
Figure 0006641683
表3の結果より、本願実施例においては、異物の発生による欠陥が少ない複層フィルムを製造することができ、さらにそれを用いて良好な性能を有する円偏光板が製造できたことがわかる。
〔実施例9〕(有機EL実装 逆波長分散液晶)
実施例7で得られた円偏光板(7−i)を有機ELパネルに実装し目視観察して評価した。
スマートフォン(三星電子社製、商品名「GalaxyS4」)のカバーガラス、UV硬化粘着層、円偏光板とを取り除き、有機ELパネルのみを取り出した。取り出した有機ELパネルに実施例7で得た円偏光板(7−i)を粘着剤(日東電工社製CS9621T)を介して貼合した。貼合は、有機ELパネルの表示面側の面と、円偏光板(7−i)のλ/4板側の面が向き合うよう行った。これにより実装評価用有機ELパネル(9−v)を得、これを目視観察して評価した。
〔実施例10〕(有機EL実装 LC242+基材)
実施例8で得られた円偏光板(8−i)を有機ELパネルに実装し目視観察して評価した。
実施例7で得られた円偏光板(7−i)に代えて、実施例8で得られた円偏光板(8−i)を用い、貼合を、有機ELパネルの表示面側の面と、円偏光板(8−i)の延伸基材側の面が向き合うよう行った他は、実施例9と同様にして、実装評価用有機ELパネル(10−v)を得、これを目視観察して評価した。
実装評価用有機ELパネル(9−v)と(10−v)における評価結果を表4に示す。なお、「正面反射」及び「視野角特性」の評価の基準は、上に述べた(実施例7及び8の評価基準)における基準と同様である。
Figure 0006641683
表4の結果より、本願実施例においては、本発明による円偏光板を用いることで表面反射を抑え、視野角特性も良好な有機ELパネルを製造できることがわかる。

Claims (1)

  1. 円偏光板の製造方法であって、
    前記円偏光板はλ/4板を備え、
    重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を、遅相軸を有する基材上に塗布し、液晶組成物の層を形成し、
    前記層における前記重合性液晶化合物を、前記基材の前記遅相軸の方向と略同一方向に沿ってホモジニアス配向させ、
    前記重合性液晶化合物を重合させ、硬化液晶分子を形成して、前記基材上に前記硬化液晶分子を含む液晶樹脂フィルムの層が形成された複層フィルムを得る工程1と、
    前記複層フィルムの前記液晶樹脂フィルムの層をλ/4板とし、
    前記複層フィルムの前記液晶樹脂フィルムの層と、直線偏光子とを、粘着剤層を介して貼合して、積層体を得る工程2と、
    前記積層体から前記基材を剥離する工程3と、を含み、
    前記基材は、長尺の斜め延伸基材であり、且つその幅手方向と異なる方向に遅相軸を有し、前記遅相軸と前記幅手方向とがなす角は、45°±3°又は22.5°±3°であり、
    前記硬化液晶分子は、前記基材の前記遅相軸の方向と略同一方向に沿ったホモジニアス配向規則性を有する、円偏光板の製造方法。
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