JP6640584B2 - 医療用具およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用具およびその製造方法に関する。特に、本発明は、プライミング時の空気(気泡)除去性に優れる医療用具およびその製造方法に関する。
人工心肺、人工肺、血液透析などの体外循環回路において用いられる医療用具は、使用する際、回路内を生理食塩水等のプライミング液で満たすことで、回路内の空気を除去する操作(通常、「プライミング」とも呼ばれている)が行われる。人工肺を例にとると、リザーバ(貯血槽)、人工肺、脱血ライン、送血ライン及び吸引ラインが配置、固定されて、血液体外循環回路を構成する。この血液体外循環回路では、血液の体外循環を開始するのに先立って、回路内をプライミング液で満たすプライミングを行なう。プライミングをすることによって、生体管腔(特に血管)へ空気(気泡)が流入して生体管腔を塞栓するリスクを低減できる。
一方で、これらの合成高分子材料製の部材が用いられる医療用具は、生体にとって異物である合成高分子材料を生体組織や血液等の体液と接触させて使用することとなる。したがって、医療材料は、生体適合性を有することを要求される。医療材料に要求される生体適合性はその目的や使用方法によって異なるが、血液と接する材料として使用する医療材料には、血液凝固系の抑制、血小板の粘着・活性化の抑制、補体系の活性化の抑制という特性(抗血栓性)が求められる。通常、医療用具への抗血栓性の付与は、血液適合性コーティングを医療用具の血液接触面に施すことによって行われている。例えば、特許文献1では、特定の分子量分布を有するポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)等の生体適合性コーティングに用いられる材料が報告される。当該材料は、代謝されにくい高分子量分画が少ないため、生物学的安全性に優れることが記載される。また、特許文献2では、分子量が異なる2種の親水性高分子が併存する層を血液浄化膜に形成することが報告される。当該構成により、抗血栓性が高くなることが記載される。
特開2001−533号公報 特開2002−212333号公報
しかしながら、上記特許文献1や2に記載のコーティングを施した医療用具では、プライミング時に空気(気泡)を除去することが困難である場合があり、医療従事者の負担を大きくしてしまうといった課題があった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、プライミング時の空気(気泡)を容易に除去できる医療用具を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、血液適合性(抗血栓性)を長期間維持できる(耐久性に優れる)医療用具を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、基材上に、高分子量を有する抗血栓材料を含む層および低分子量を有する抗血栓材料を含む層を順次配置することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記諸目的は、疎水性高分子からなる基材と、前記基材に配置された第1抗血栓性高分子を含む第1血液適合性層と、前記第1血液適合性層に配置された第2抗血栓性高分子を含む第2血液適合性層と、を有し、前記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、それぞれ独立して、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであり、前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きい(Mw1>Mw2)、医療用具によって達成できる。
また、上記諸目的は、疎水性高分子からなる基材に第1抗血栓性高分子を含む第1溶液を塗布して第1血液適合性層を形成し、前記第1血液適合性層に第2抗血栓性高分子を含む第2溶液を塗布して第2血液適合性層を形成すること、を含み、前記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、それぞれ独立して、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであり、前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きい(Mw1>Mw2)、医療用具の製造方法によっても達成できる。
本発明の医療用具によれば、抗血栓性を確保しつつ、プライミング時の空気(気泡)を容易に除去できる。
本発明の第一の態様によると、疎水性高分子からなる基材と、前記基材に配置された第1抗血栓性高分子を含む第1血液適合性層と、前記第1血液適合性層に配置された第2抗血栓性高分子を含む第2血液適合性層と、を有し、前記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、それぞれ独立して、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであり、前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きい(Mw1>Mw2)、医療用具が提供される。
本発明の医療用具は、疎水性高分子からなる基材;前記基材の表面に配置された第1抗血栓性高分子としてポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む第1血液適合性層;および前記第1血液適合性層の表面に配置された第2抗血栓性高分子としてポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む第2血液適合性層を有する。この際、前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きい。すなわち、本発明は、基材側に配置される第1血液適合性層における第1抗血栓性高分子(ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート)の重量平均分子量(Mw1)が、表層側(体液接触側)の第2血液適合性層における第2抗血栓性高分子(ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート)の重量平均分子量(Mw2)より大きい(Mw1>Mw2)ことを特徴とする。
本明細書において、「第1血液適合性層に含まれる第1抗血栓性高分子」を単に「第1抗血栓性高分子」とも称する。同様にして、「第2血液適合性層に含まれる第2抗血栓性高分子」を単に「第2抗血栓性高分子」とも称する。また、本明細書では、「第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)」を単に「第1分子量」または「Mw1」とも称する。同様にして、「第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)」を単に「第2分子量」または「Mw2」とも称する。さらに、本明細書では、「重量平均分子量」を単に「分子量」または「Mw」とも称する。
当該構成により、医療用具は、優れた抗血栓性を発揮しつつ、医療用具内をプライミング液で満たす(プライミングを行なう)際に空気(気泡)を容易に(短時間で)除去できる。このため、プライミング時の医療従事者(施術者)の負担を軽減できる。同時に、患者の処置時間も短縮できるため、患者への負担をも軽減できる。加えて、当該構成を有する医療用具では、均一でかつ血流に対して耐久性があるコーティング層を構築できる。ゆえに、本発明の医療用具は、抗血栓性を長期間維持できる(耐久性に優れる)。
上記効果を奏する詳細なメカニズムは、以下のように考えられる。なお、以下のメカニズムは推測であり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。通常、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、重量平均分子量と、基材表面への吸着性およびポリマー自身の凝集力とが正の関係にある。このため、高分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む血液適合性層は、基材表面への吸着性が増し、かつポリマー自身の凝集力が増すため、より均一で、血流に対して耐久性がある。その一方で、高分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む血液適合性層は疎水性となる(水接触角が高くなる)ため、プライミング時に空気(気泡)が除去しにくく、医療従事者の負担を大きくしてしまう。逆に、低分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む血液適合性層は、高分子量のものに比べて親水性である(水接触角が小さい)ためプライミング時の空気(気泡)除去性には優れるものの、基材表面への吸着性が低く、かつポリマー自身の凝集力が小さいため、血流に対する耐久性に劣る。すなわち、耐久性とプライミング時の空気(気泡)除去性とはトレードオフの関係にある。本発明者は、上記トレードオフの関係にある耐久性とプライミング時の空気(気泡)除去性とをバランスよく両立できる方法について鋭意検討を行った。その結果、基材側に、高分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの層(第1血液適合性層)を配置した後、プライミング時の空気(気泡)除去性に優れる低分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの層(第2血液適合性層)をさらに配置することによって、耐久性とプライミング時の空気(気泡)除去性とをバランスよく両立できることを見出した。すなわち、第1血液適合性層は、高分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む層である。このため、基材表面に強固に吸着し、血流に対する耐久性に優れる。一方、使用時に体液(特に血液)と接する表層(第2血液適合性層)は低分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む親水性な(水接触角が小さい)層である。このため、医療用具内をプライミング液で満たす際には、濡れ性が良好であり、内部の空気(気泡)を容易に除去できる。人工心肺、人工肺などの体外循環回路を使用する手術は、一般的に施術時間が長い傾向にあるため、プライミング時間が長引くことは、医療従事者(施術者)のみならず、患者にかかる負担も大きくなってしまう。このため、プライミング時間の短縮は、医療従事者(施術者)のみならず、患者にかかる負担を軽減できる。また、血液透析などの体外循環回路の場合には、患者は頻繁に血液透析を受ける必要がある。このため、プライミング時間といえども患者にとっては実際の血液透析処置時間であり、1回の処置時間は短いほど患者にとっては好ましいことはいうまでもなく、プライミング時間の短縮は定期的に処置を受ける患者にとって非常に有益である。
ゆえに、本発明の医療用具は、優れた抗血栓性を発揮しつつ、医療用具内をプライミング液で満たす(プライミングを行なう)際に空気(気泡)を容易に(短時間で)除去できる。このため、プライミング時の医療従事者(施術者)の負担を軽減できる。同時に、患者の処置時間も短縮できるため、患者への負担をも軽減できる。加えて、当該構成を有する医療用具は、抗血栓性を長期間維持できる(耐久性に優れる)。
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
[医療用具]
本発明に係る医療用具としては、例えば、体内埋入型の人工器官や治療器具、体外循環型の人工臓器類、カテーテル、ガイドワイヤー等を例示できる。具体的には、;人工心臓システム、人工肺システム、人工心肺システム、人工腎臓システム、人工肝臓システム、免疫調節システム等の人工臓器システム(各システムに使用される部品を含む);留置針、IVHカテーテル、薬液投与用カテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーター若しくはイントロデューサー等の血管内に挿入若しくは留置されるカテーテル;または、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレットなどが例示できる。特に、人工肺システム、人工心肺システム、血液透析システム等の体外循環回路は、長時間連続して使用され、かつ、チューブの連結部等において複数のコネクター(接続部)を有している。そのため、本発明の医療用具として、大量の血液と接する人工肺システムまたは人工心肺システムまたは血液透析システムに使用される部品(例えば、チューブ、コネクター(嵌合部、貼合部))が好適に使用される。
[疎水性高分子からなる基材]
本発明の医療用具は、疎水性高分子からなる基材を有する。ここで、基材を構成する疎水性高分子は、疎水性を発揮するものであれば特に制限されない。上述したように、本発明の医療用具は、人工心肺、人工肺、血液透析などの体外循環回路の装置を連結するチューブやコネクターであることが好ましいため、これらの部品と同様の材料が使用できる。具体的には、ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンや変性ポリオレフィン;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の芳香族ポリエーテルケトン;ABS樹脂(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂);ポリカーボネート;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;シリコーンゴム等が例示できる。
基材の形状は、特に制限されず、通常、所望の用途(例えば、チューブ、コネクター)と同様の形状を有する。ゆえに、所望の用途に応じて、例えば、チューブ状、シート状、ロッド状、分岐状等の様々な形状をとりうる。また、基材の形態は、上記のような材料を単独で用いた成型体に限定されず、ブレンド成型物、アロイ化成型物、多層化成形物などでも使用可能である。基材は単層であっても、積層されていてもよい。この際、基材が積層されている場合には、第1血液適合性層との接触面が疎水性高分子からなる限り、各層の基材は同じものであっても、異なるものであってもよい。
基材の製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法が同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。または、市販の基材を使用してもよい。
[血液適合性層]
本発明の医療用具は、上記疎水性高分子からなる基材の表面に第1血液適合性層が、および前記第1血液適合性層の表面に第2血液適合性層が順次積層される構造を有する。本明細書において、「基材の表面」とは、基材と他の部材との接続部表面および生体組織や血液等の体液と対する基材面双方を包含する。血液適合性層を基材表面に形成することにより、基材表面の抗血栓性が向上する。本発明に係る医療用具においては、第1血液適合性層および第2血液適合性層は、基材全面に形成される必要はなく、生体組織や血液等の体液と対する基材面以外にも、血液適合性層が形成されることを妨げるものではない。ただし、第1血液適合性層および第2血液適合性層は基材全面に形成されることが好ましい。
上記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、双方ともポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートである。この際、第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、組成が同じポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであってもまたは組成が異なるポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであってもよい。しかし、第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きい(Mw1>Mw2)。第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)が第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)以下(Mw1≦Mw2)である場合には、耐久性には優れるがプライミング時の気泡除去性が低下し、プライミング操作時の医療従事者の負担が増えてしまう。ここで、Mw1およびMw2の大小関係は、Mw1>Mw2の関係を満たせば特に制限されない。耐久性とプライミング時の空気(気泡)除去性とのバランスをさらに良好にできるという点では、第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)に対する前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)の割合(Mw1/Mw2)は、好ましくは1を超えて20以下、より好ましくは3〜15、特に好ましくは5〜11である。
第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)より大きければ特に制限されない。好ましい実施形態によると、第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、好ましくは200,000〜2,000,000、より好ましくは300,000〜1,000,000、特に好ましくは400,000〜800,000である。このようなMw1を有する第1抗血栓性高分子で形成した第1血液適合性層は、基材表面とより強固に吸着・固定でき、また、第1抗血栓性高分子自体の凝集力をさらに向上できるため、より均一でかつ血流に対する耐久性をより向上できる。ゆえに、このような第1血液適合性層を有する医療用具は、抗血栓性をより長期間維持できる。
第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)は、第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)より小さければ特に制限されない。好ましい実施形態によると、第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)は、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは20,000〜100,000、特に好ましくは40,000〜90,000である。このようなMw2を有する第2抗血栓性高分子で形成した第2血液適合性層の水接触角をさらに低くし(濡れ性をさらに向上し)、医療用具のプライミング時の気泡除去性をさらに向上できる。ゆえに、プライミング操作時の医療従事者の負担をさらに低減できる。
本明細書において、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート(第1抗血栓性高分子、第2抗血栓性高分子)の重量平均分子量は、下記方法によって測定される。
(ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの重量平均分子量の測定方法)
ポリメトキシエチルアクリレートの重量平均分子量を、下記条件下で、装置(GPC LC−20series、SHIMADZU製)を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。
GPCの条件:
カラム:LF−804(Shodex社製)+LF−804(Shodex社製)
移動相:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
検量線:スタンダードポリスチレン(Agilent Technologies製、Easical PS−1調整済みポリスチレンキット)を用いて作成する。
本発明において、第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子(以下、一括して、「高分子」とも称する)は、双方ともポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートである。ここで、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの構造は特に制限されないが、抗血栓性などを考慮すると、下記式(I)で示される構成単位(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位)を有する高分子であることが好ましい。上記高分子は、抗血栓性および生体適合性に優れる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。すなわち、「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート」は、アルコキシアルキルアクリレートのみ、アルコキシアルキルメタアクリレートのみ、ならびにアルコキシアルキルアクリレートおよびアルコキシアルキルメタアクリレートすべての場合を包含する。
上記一般式1において、Rは、炭素原子数1〜4のアルキレン基を表わす。ここで、炭素原子数1〜4のアルキレン基は、特に制限されず、炭素数1〜4の環状、直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、シクロプロピレン基、テトラメチレン基、シクロブチレン基などが挙げられる。これらのうち、抗血栓性および生体適合性のさらなる向上効果を考慮すると、Rは、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基またはエチレン基であることがより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。ここで、炭素原子数1〜4のアルキル基は、特に制限されず、炭素数1〜4の環状、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基などが挙げられる。これらのうち、抗血栓性および生体適合性のさらなる向上効果を考慮すると、Rは、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
は、水素原子またはメチル基を表わす。好ましくは、Rは水素原子である。
なお、本発明に係る高分子が2種以上のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する場合には、各構成単位は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。
本発明に係る高分子は、上記式(I)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を形成する単量体(以下、「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート」とも称する)の重合反応によって得ることができる。
ここで、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート(MEA)、メトキシプロピルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシメチルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、プロポキシプロピルアクリレート、プロポキシブチルアクリレート、ブトキシメチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシプロピルアクリレート、ブトキシブチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、メトキシブチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、エトキシブチルメタクリレート、プロポキシメチルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、プロポキシプロピルメタクリレート、プロポキシブチルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシプロピルメタクリレート、ブトキシブチルメタクリレートが挙げられる。これらのうち、抗血栓性および生体適合性のさらなる向上効果の観点から、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート(MEA)、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレートが好ましく、入手が容易であるという観点から、より好ましくはメトキシエチル(メタ)アクリレートである。すなわち、本発明に係る高分子がポリメトキシエチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。これらの単量体を1種単独で、または2種以上を混合して用いることもできる。
本発明に係る高分子は、上記式(I)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を必須に有することが好ましい。この際、高分子は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の1種または2種以上から構成される重合体(単独重合体)であってもまたは1種または2種以上のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位および当該アルコキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合し得る1種または2種以上の単量体由来の構成単位(他の構成単位)から構成される重合体(共重合体)であってもよい。
ここで、本発明に係る高分子がアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位に加えて他の構成単位を有する場合の、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合し得る単量体(他の単量体または共重合性単量体)としては、特に制限されにない。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタアクリレート、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノイソプロピルアクリレート、ジアミノメチルアクリレート、ジアミノエチルアクリレート、ジアミノブチルアクリレート、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアミノメチルメタクリレート、ジアミノエチルメタクリレート、カルボキシベタイン(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミド、スルホベタイン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。ここで、共重合体の全構成単位中、共重合性単量体に由来する構成単位の割合は、特に制限されないが、抗血栓性および生体適合性などを考慮すると、共重合性単量体に由来する構成単位(他の構成単位)が、共重合体の全構成単位中、例えば0モル%を超えて、15モル%以下であり、好ましくは0モル%を超えて、13モル%以下である(前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位および共重合性単量体に由来する繰り返し単位の合計量が100モル%である)。共重合体におけるこれらの繰り返し単位の割合は、重合の際に用いる単量体の割合を変更することで、任意に調整できる。
本発明に係る高分子の末端は特に制限されず、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。本発明に係る高分子が共重合体である場合、共重合体の構造も特に制限されず、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
本発明に係る高分子の重合方法は、公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。具体的には、下記式(II):
で示されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、および必要であれば上記アルコキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合し得る単量体(他の単量体または共重合性単量体)の一種または二種以上とを重合溶媒中で重合開始剤と混合して、単量体溶液を調製し、上記単量体溶液を加熱することにより、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び任意に添加されうる共重合性単量体を(共)重合させる方法が好ましく使用される。なお、上記式(II)において、置換基R、R及びRは、上記式(I)の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、高分子の分子量は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートの添加量、重合開始剤、重合条件などによって適切に調節できる。
上記単量体溶液の調製で使用できる重合溶媒は、用いられる上記式(II)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び必要であれば共重合性単量体を溶解できるものであれば特に制限されない。例えば、水、トルエン、キシレン、テトラリン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン供与性溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類;ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒などが挙げられる。これらのうち、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートの溶解しやすさ、上記したような重量平均分子量の高分子の得やすさなどを考慮すると、トルエン、メタノールが好ましい。上記溶媒は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、単量体溶液中の単量体濃度は、特に制限されないが、濃度を比較的高く設定することによって、得られる高分子の重量平均分子量を大きくすることができる。このため、第1抗血栓性高分子を製造する場合には、上記したような重量平均分子量の高分子の得やすさなどを考慮すると、単量体溶液中の単量体濃度は、好ましくは35重量%を超えて70重量%以下であり、より好ましくは37〜60重量%であり、特に好ましくは40〜50重量%である。また、第2抗血栓性高分子を製造する場合には、上記したような重量平均分子量の高分子の得やすさなどを考慮すると、単量体溶液中の単量体濃度は、好ましくは5重量%以上40重量%未満であり、より好ましくは5〜35重量%であり、特に好ましくは10〜20重量%である。なお、上記単量体濃度は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び共重合性単量体を使用する場合には、これらの単量体の合計濃度を意味する。
重合開始剤は特に制限されず、公知のものを使用すればよい。好ましくは、重合安定性に優れる点で、ラジカル重合開始剤であり、具体的には、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)]ハイドレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネート、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物が挙げられる。また、例えば、上記ラジカル重合開始剤に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
重合開始剤の配合量は、重合単量体の重合反応が進行すれば特に制限されないが、単量体(複数種の単量体を用いる場合は、その合計量)(1モル)に対して、0.0001〜1モルが好ましい。このような重合開始剤の配合量であれば、所望の重量平均分子量を有する高分子がより効率よく製造できる。
上記重合開始剤は、単量体(アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び共重合性単量体;以下、同様)及び重合溶媒とそのまま混合されてもよいが、予め他の溶媒に溶解した溶液の形態で単量体及び重合溶媒とそのまま混合されてもよい。後者の場合、他の溶媒としては、重合開始剤を溶解できるものであれば特に制限されないが、上記重合溶媒と同様の溶媒が例示できる。また、他の溶媒は、上記重合溶媒と同じであってもまたは異なってもよいが、重合の制御のしやすさなどを考慮すると、上記重合溶媒と同じ溶媒であることが好ましい。また、この場合の他の溶媒における重合開始剤の濃度は、特に制限されないが、混合のしやすさなどを考慮すると、重合開始剤の添加量が、他の溶媒100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
また、重合開始剤を溶液の形態で使用する場合には、単量体(アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び共重合性単量体)を重合溶媒に溶解した溶液を、重合開始剤溶液の添加前に予め脱気処理を行ってもよい。脱気処理は、例えば、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスにて、重合単量体を添加した重合溶媒をバブリングすればよい。ここで、脱気処理時間は特に制限されないが、0.5〜5時間程度でありうる。脱気処理の際は、重合単量体を添加した重合溶媒を40℃〜120℃程度、好ましくは重合工程における重合温度に調温しても良い。
次に、上記単量体溶液を加熱することにより、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び他の単量体を(共)重合する。ここで、重合方法は、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの公知の重合方法が採用でき、好ましくは製造が容易なラジカル重合を使用する。
重合条件は、上記単量体(アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び共重合性単量体)が重合できる条件であれば特に制限されない。具体的には、重合温度は、好ましくは30〜120℃であり、より好ましくは40〜100℃である。また、重合時間は、好ましくは1〜24時間であり、好ましくは3〜10時間である。上記したような条件であれば、所望の分子量の重合体がより効率的に製造できる。また、重合工程におけるゲル化を有効に抑制・防止すると共に、高い製造効率を達成できる。
さらに、必要に応じて、連鎖移動剤、重合速度調整剤、界面活性剤、およびその他の添加剤を、重合の際に適宜使用してもよい。
重合反応を行う雰囲気は特に制限されるものではなく、大気雰囲気下、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等で行うこともできる。また、重合反応中は、反応液を攪拌しても良い。
上記重合により得られた本発明に係る高分子は、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法など一般的な精製法により精製することができる。
精製後の高分子は、凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、または加熱乾燥等、任意の方法によって乾燥することもできるが、重合体の物性に与える影響が小さいという観点から、凍結乾燥または減圧乾燥が好ましい。
本発明に係る高分子の組成(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位、または他の単量体に由来する繰り返し単位の割合)は、NMR法や、赤外線スペクトル解析等により確認すればよい。例えば、本発明に係る高分子がアルコキシアルキル(メタ)アクリレートと他の単量体との共重合体である場合には、HNMR測定における積分比によって共重合体における、これらの単量体に由来する繰り返し単位との割合を解析できる。また、H−NMRの測定においてピークが重なる場合は、13C−NMRを用いて算出することができる。
得られた(共)重合体に含まれる、未反応の重合単量体は、共重合体全体に対して0.01重量%以下であることが好ましい。未反応の重合単量体は少ないほど好ましいので、下限は特段制限されないが、例えば0重量%である。残留単量体の含量は、例えば高速液体クロマトグラフィーなど、当業者に知られた方法により測定できる。
[医療用具の製造方法]
本発明の医療用具は、疎水性高分子からなる基材上に、第1血液適合性層および第2血液適合性層が順次積層される構造を有する。ここで、本発明の医療用具の製造方法は特に制限されないが、基材の表面に、第1抗血栓性高分子を含む第1溶液を塗布して第1血液適合性層を形成した(工程1)後、前記第1血液適合性層の表面に第2抗血栓性高分子を含む第2溶液を塗布して第2血液適合性層を形成する(工程2)ことが好ましい。すなわち、好ましい形態によると、本発明は、疎水性高分子からなる基材に第1抗血栓性高分子を含む第1溶液を塗布して第1血液適合性層を形成し、前記第1血液適合性層に第2抗血栓性高分子を含む第2溶液を塗布して第2血液適合性層を形成すること、を含み、前記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、それぞれ独立して、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであり、前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きい、医療用具の製造方法を提供する。
以下、上記好ましい方法を説明する。なお、基材、第1抗血栓性高分子および第2抗血栓性高分子は上記と同様の定義であるため、ここでは説明は省略する。
(工程1)
本工程では、疎水性高分子からなる基材の表面に第1抗血栓性高分子を含む第1溶液を塗布して第1血液適合性層を形成する。
ここで、第1溶液を調製するための溶媒は、第1抗血栓性高分子を溶解できるものであれば特に制限されない。具体的には、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコールが挙げられる。なお、上記溶媒は、1種単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。これらのうち、第1抗血栓性高分子の溶解しやすさなどを考慮すると、第1溶液を調製するための溶媒は、水、低級アルコール(炭素原子数1〜3のアルコール)であることが好ましく、低級アルコール(炭素原子数1〜3のアルコール)であることがより好ましい。すなわち、好ましい形態によると、第1抗血栓性高分子を水および/または炭素原子数1〜3のアルコールと混合して第1溶液を調製し、この第1溶液を疎水性高分子からなる多孔質の基材の表面に塗布する。また、より好ましい形態によると、第1抗血栓性高分子を炭素原子数1〜3のアルコールと混合して第1溶液を調製し、この第1溶液を疎水性高分子からなる多孔質の基材の表面に塗布する。ここで、低級アルコールは、炭素原子数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)であるが、メタノール、エタノールが好ましく、メタノールがより好ましい。また、第1溶液を調製するための溶媒が水と炭素原子数1〜3のアルコールとの混合溶液である場合の、アルコール濃度は、特に制限されないが、例えば、50〜99体積%である。
第1溶液中の第1抗血栓性高分子の濃度は、特に制限されない。被覆の形成しやすさ、耐久性のさらなる向上効果などを考慮すると、好ましくは0.01〜5.0重量%、より好ましくは0.05〜1.0重量%である。
基材への第1溶液の塗布方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。具体的には、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコートなどが挙げられる。
また、第1血液適合性層の形成条件は、特に制限されない。例えば、第1溶液と基材との塗布(接触)時間は、塗膜の形成しやすさ、耐久性のさらなる向上効果などを考慮すると、1秒〜5分が好ましく、5秒〜1分がより好ましく、5〜10秒間が特に好ましい。また、第1溶液と基材との塗布(接触)温度は、塗膜の形成しやすさ、耐久性のさらなる向上効果などを考慮すると、5〜40℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。
このようにして基材に第1溶液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることによって、第1血液適合性層を基材表面に形成する。ここで、乾燥条件は、塗膜を十分乾燥して第1血液適合性層を形成できる条件であれば特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、5〜50℃が好ましく、15〜40℃がより好ましい。また、乾燥時間は、1〜15時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。
第1溶液の塗布量(ゆえに、第1血液適合性層の厚さ(乾燥膜厚))は、医療用具の用途によって適宜調整すればよく、特に制限されるものではないが、例えば、第1血液適合性層の厚さ(乾燥膜厚)が0.1μm以下となるような量でありうる。
(工程2)
本工程では、上記工程1にて形成した第1血液適合性層の表面に、第2抗血栓性高分子を含む第2溶液を塗布して第2血液適合性層を形成する。
ここで、第2溶液を調製するための溶媒は、第2抗血栓性高分子を溶解できるものであれば特に制限されない。具体的には、上記第1溶液を調製するための溶媒が例示できる。なお、上記溶媒は、1種単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。これらのうち、第2抗血栓性高分子の溶解しやすさなどを考慮すると、第2溶液を調製するための溶媒は、水、低級アルコール(炭素原子数1〜3のアルコール)であることが好ましく、水と低級アルコール(炭素原子数1〜3のアルコール)との混合溶媒であることが好ましい。すなわち、好ましい形態によると、第2抗血栓性高分子を水および/または炭素原子数1〜3のアルコールと混合して第2溶液を調製し、この第2溶液を第1血液適合性層に塗布する。また、より好ましい形態によると、第2抗血栓性高分子を水および炭素原子数1〜3のアルコールと混合して第2溶液を調製し、この第2溶液を第1血液適合性層に塗布する。ここで、低級アルコールは、炭素原子数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)であるが、メタノール、エタノールが好ましく、メタノールがより好ましい。また、上記より好ましい形態にいて、水と炭素原子数1〜3のアルコールとの混合比は、第2抗血栓性高分子を溶解できる限り特に制限されない。具体的には、水と炭素原子数1〜3のアルコールとの混合比(水:炭素原子数1〜3のアルコールの混合比(体積比))は、好ましくは1:0.1〜10であり、より好ましくは1:0.5〜5である。
第1溶液および第2溶液が水および/または炭素原子数1〜3のアルコールを含む場合において、各溶液中のアルコール濃度は同じであってもまたは異なってもよい。第2溶液を第1血液適合性層に塗布する際の第1血液適合性層の溶出を抑制・防止するという観点からは、第1溶液中のアルコール濃度が、第2溶液中のアルコール濃度より高いことが好ましい。すなわち、好ましい形態によると、第1溶液および第2溶液は低級アルコール(炭素原子数1〜3のアルコール)を含み、第1溶液における低級アルコールの割合が第2溶液における低級アルコールの割合より多い(第1溶液における低級アルコールの割合>第2溶液における低級アルコールの割合)。このような関係であれば、第2溶液を第1血液適合性層に塗布しても、第1血液適合性層の溶出をより有効に抑制・防止できる。
特に好ましい形態によると、前記工程1において、第1抗血栓性高分子を炭素原子数1〜3のアルコールと混合して第1溶液を調製し、この第1溶液を疎水性高分子からなる多孔質の基材の表面に塗布し、前記工程2において、第2抗血栓性高分子を水および炭素原子数1〜3のアルコールと混合して第2溶液を調製し、この第2溶液を上記第1血液適合性層の表面に塗布する。
第2溶液中の第2抗血栓性高分子の濃度は、特に制限されない。被覆の形成しやすさ、耐久性のさらなる向上効果などを考慮すると、好ましくは0.01〜5.0重量%、より好ましくは0.05〜1.0重量%である。
基材への第2溶液の塗布方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。具体的には、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコートなどが挙げられる。
また、第2血液適合性層の形成条件は、特に制限されない。例えば、第2溶液と基材との塗布(接触)時間は、塗膜の形成しやすさ、耐久性のさらなる向上効果などを考慮すると、1秒〜5分が好ましく、5秒〜1分がより好ましく、5〜10秒間が特に好ましい。また、第2溶液と基材との塗布(接触)温度は、塗膜の形成しやすさ、耐久性のさらなる向上効果などを考慮すると、5〜40℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。
このようにして基材に第2溶液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることによって、第2血液適合性層を基材表面に形成する。ここで、乾燥条件は、塗膜を十分乾燥して第2血液適合性層を形成できる条件であれば特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、5〜50℃が好ましく、15〜40℃がより好ましい。また、乾燥時間は、1〜15時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。
第2溶液の塗布量(ゆえに、第2血液適合性層の厚さ(乾燥膜厚))は、医療用具の用途によって適宜調整すればよく、特に制限されるものではないが、例えば、第2血液適合性層の厚さ(乾燥膜厚)が0.1μm以下となるような量でありうる。また、第2血液適合性層の厚さ(乾燥膜厚)は、第1血液適合性層の厚さ(乾燥膜厚)より薄いことが好ましい。これにより、プライミング処置時には内部の気泡を容易にでき、かつ使用時には血液適合性(抗血栓性)を有効に発揮できる。なお、第1および第2血液適合性層の厚さは、塗布液(第1溶液および第2溶液)の粘度、各抗血栓性高分子の重量平均分子量、塗布条件などによって適宜調節できる。
上記または上記方法によって製造される本発明の医療用具は、基材上に高分子量のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含む第1血液適合性層を有する。ゆえに、第1血液適合性層の基材表面への吸着性が増し、かつ第1血液適合性層中のポリマー自身の凝集力が増すため、より均一で、血流に対して耐久性がある。ゆえに、第1血液適合性層により、抗血栓性を長期間維持できる(耐久性に優れる)。また、医療用具の表面には第2血液適合性層が配置され、当該第2血液適合性層は親水性である(水接触角が小さい)。ゆえに、本発明の医療用具内をプライミング液で満たす(プライミングを行なう)際に空気(気泡)を容易に(短時間で)除去できる。このため、プライミング時の医療従事者(施術者)の負担を軽減できる。同時に、患者の処置時間も短縮できるため、患者への負担をも軽減できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
製造例1:重量平均分子量4万のPMEAの合成
2−メトキシエチルアクリレート(MEA)10g(0.08mol)をトルエン85gに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、80℃でNバブリングを1時間行い、モノマー溶液(1)を調製した。別途、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬工業(株)製)0.01gをトルエン5gに溶解して、重合開始剤溶液(1)を調製した。次に、この重合開始剤溶液(1)をモノマー溶液(1)に添加し、80℃で5時間重合反応を行った。所定時間重合後、重合溶液をエタノールに滴下し、析出した重合体(PMEA(1))を回収した。なお、回収した重合体(PMEA(1))の重量平均分子量を測定したところ、40,000であった。
製造例2:重量平均分子量8.5万のPMEAの合成
2−メトキシエチルアクリレート(MEA)20g(0.15mol)をトルエン75gに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、80℃でNバブリングを1時間行い、モノマー溶液(2)を調製した。別途、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬工業(株)製)0.02gをトルエン5gに溶解して、重合開始剤溶液(2)を調製した。次に、この重合開始剤溶液(2)をモノマー溶液(2)に添加し、80℃で5時間重合反応を行った。所定時間重合後、重合溶液をエタノールに滴下し、析出した重合体(PMEA(2))を回収した。なお、回収した重合体(PMEA(2))の重量平均分子量を測定したところ、85,000であった。
製造例3:重量平均分子量42万のPMEAの合成
2−メトキシエチルアクリレート(MEA)80g(0.61mol)をメタノール115gに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、50℃でNバブリングを1時間行い、モノマー溶液(3)を調製した。別途、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)0.08gをメタノール5gに溶解して、重合開始剤溶液(3)を調製した。次に、この重合開始剤溶液(3)をモノマー溶液(3)に添加し、50℃で5時間重合反応を行った。所定時間重合後、重合溶液をエタノールに滴下し、析出した重合体(PMEA(3))を回収した。なお、回収した重合体(PMEA(3))の重量平均分子量を測定したところ、420,000であった。
製造例4:重量平均分子量80万のPMEAの合成
2−メトキシエチルアクリレート(MEA)100g(0.77mol)をメタノール95gに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、50℃でNバブリングを1時間行い、モノマー溶液(4)を調製した。別途、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)0.1gをメタノール5gに溶解して、重合開始剤溶液(4)を調製した。次に、この重合開始剤溶液(4)をモノマー溶液(4)に添加し、50℃で5時間重合反応を行った。所定時間重合後、重合溶液をエタノールに滴下し、析出した重合体(PMEA(4))を回収した。なお、回収した重合体(PMEA(4))の重量平均分子量を測定したところ、800,000であった。
実施例1:医療用具(1)の製造
上記製造例3にて製造したPMEA(3)(重量平均分子量=42万)0.5gを、全量が100gとなるように、メタノールに溶解し、0.5重量%溶液 100gを調製した(ベースコート液(1))。
別途、水/メタノール混合溶媒(水とメタノールとの混合比=1:1(体積比))を、全量が100gとなるように、上記製造例2にて製造したPMEA(2)(重量平均分子量=8.5万)0.5gに加え、0.5重量%溶液 100gを調製した(トップコート液(1))。
厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(1)をポリカーボネイト平板上に形成した(ベースコート板(1))。次に、このベースコート板(1)を上記にて調製したトップコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(1)をベースコート層(1)上に形成した(医療用具(1))。
実施例2:医療用具(2)の製造
実施例1と同様にしてベースコート液(1)を調製した。
別途、水/メタノール混合溶媒(水とメタノールとの混合比=1:1(体積比))を、全量が100gとなるように、上記製造例1にて製造したPMEA(1)(重量平均分子量=4万)0.5gに加え、0.5重量%溶液 100gを調製した(トップコート液(2))。
厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(1)をポリカーボネイト平板上に形成した(ベースコート板(1))。次に、このベースコート板(1)を上記にて調製したトップコート液(2)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(2)をベースコート層(1)上に形成した(医療用具(2))。
実施例3:医療用具(3)の製造
上記製造例4にて製造したPMEA(4)(重量平均分子量=80万)0.5gを、全量が100gとなるように、メタノールに溶解し、0.5重量%溶液 100gを調製した(ベースコート液(2))。
実施例1と同様にしてトップコート液(1)を調製した。
厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(2)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(2)をポリカーボネイト平板上に形成した(ベースコート板(2))。次に、このベースコート板(2)を上記にて調製したトップコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(1)をベースコート層(2)上に形成した(医療用具(3))。
比較例1:比較医療用具(1)の製造
実施例1において、トップコート層(1)をベースコート層(1)上に形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較医療用具(1)を製造した。
詳細には、実施例1と同様にしてベースコート液(1)を調製した。厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(1)をポリカーボネイト平板上に形成した(比較医療用具(1))。
比較例2:比較医療用具(2)の製造
実施例3において、トップコート層(1)をベースコート層(2)上に形成しなかった以外は、実施例3と同様にして、比較医療用具(2)を製造した。
詳細には、実施例3と同様にしてベースコート液(2)を調製した。厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(2)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(2)をポリカーボネイト平板上に形成した(比較医療用具(2))。
比較例3:比較医療用具(3)の製造
上記製造例4にて製造したPMEA(4)(重量平均分子量=80万)0.25gおよび上記製造例2にて製造したPMEA(2)(重量平均分子量=8.5万)0.25gを、全量が100gとなるように、メタノールに溶解し、0.5重量%溶液 100gを調製した(ベースコート液(3))。
厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(3)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(3)をポリカーボネイト平板上に形成した(比較医療用具(3))。
比較例4:比較医療用具(4)の製造
上記製造例4にて製造したPMEA(4)(重量平均分子量=80万)0.25gおよび上記製造例2にて製造したPMEA(2)(重量平均分子量=8.5万)0.5gを、全量が150gとなるように、メタノールに溶解し、0.5重量%溶液 150gを調製した(ベースコート液(4))。
厚みが0.5mmで2cm×5cmの長方形状のポリカーボネイト平板(基材)を、上記にて調製したベースコート液(4)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(4)をポリカーボネイト平板上に形成した(比較医療用具(4))。
[静的接触角試験]
上記実施例1〜3で製造した医療用具(1)〜(3)および比較例1〜4で製造した比較医療用具(1)〜(4)について、下記方法に従って、静的接触角を測定した。すなわち、各医療用具を接触角測定器(エルマゴニオメータ式接触角測定器、エルマ光学株式会社製)に設置し、27ゲージの注射針を付けたプラスチックシリンジを介して水滴を静かに滴下し、静的接触角(°)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記表1の結果から、実施例1〜3の医療用具(1)〜(3)は、比較例1〜4の比較医療用具(1)〜(4)に比して、静的接触角が有意に低いことがわかる。
上記結果から、本発明の医療用具は濡れ性が向上し、医療用具に液体を充填する(プライミング)時に気泡をより容易に除去でき、医療従事者の負担を軽減できると考察される。以下の方法により、上記考察を確認した。
実施例4:医療用具(4)の製造
実施例1と同様にしてベースコート液(1)を調製した。
別途、実施例1と同様にしてトップコート液(1)を調製した。
ポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)を、上記にて調製したベースコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(1)をコネクター内面に形成した(ベースコート済みコネクター(1))。次に、このベースコート済みコネクター(1)を上記にて調製したトップコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(1)をベースコート層(1)上に形成した(医療用具(4))。
実施例5:医療用具(5)の製造
実施例1と同様にしてベースコート液(1)を調製した。
別途、実施例2と同様にしてトップコート液(2)を調製した。
ポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)を、上記にて調製したベースコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(1)をコネクター内面に形成した(ベースコート済みコネクター(2))。次に、このベースコート済みコネクター(2)を上記にて調製したトップコート液(2)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(2)をベースコート層(1)上に形成した(医療用具(5))。
実施例6:医療用具(6)の製造
実施例3と同様にしてベースコート液(2)を調製した。
別途、実施例1と同様にしてトップコート液(1)を調製した。
ポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)を、上記にて調製したベースコート液(2)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(2)をコネクター内面に形成した(ベースコート済みコネクター(3))。次に、このベースコート済みコネクター(3)を上記にて調製したトップコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(1)をベースコート層(2)上に形成した(医療用具(6))。
比較例5:比較医療用具(5)の製造
実施例4において、トップコート層(1)をベースコート層(1)上に形成しなかった以外は、実施例4と同様にして、比較医療用具(5)を製造した。
詳細には、実施例1と同様にしてベースコート液(1)を調製した。ポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)を、上記にて調製したベースコート液(1)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で、静置乾燥し、ベースコート層(1)をコネクター内面に形成した(比較医療用具(5))。
比較例6:比較医療用具(6)の製造
実施例6において、トップコート層(1)をベースコート層(2)上に形成しなかった以外は、実施例6と同様にして、比較医療用具(6)を製造した。
詳細には、実施例3と同様にしてベースコート液(2)を調製した。ポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)を、上記にて調製したベースコート液(2)に10秒間浸漬した(ディップ)後、引き上げ、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(2)をコネクター内面に形成した(比較医療用具(6))。
[気泡除去性能試験]
上記実施例4〜6で製造した医療用具(4)〜(6)および比較例5〜6で製造した比較医療用具(5)〜(6)について、下記方法に従って、気泡除去性能を評価した。すなわち、各医療用具(コネクター)を、それぞれ、ポリ塩化ビニル製チューブ(φ(直径)=9.5mm、長さ=15cm)を介して5個連結して、試験装置(回路チューブ)を作製した。この試験装置(回路チューブ)に生理食塩水を落差で充填した後、ポンプにより500ml/minの流速で生理食塩水を循環した。コネクターに付着している気泡を除くべく、試験装置全体を20cmの高さから実験台に落下させ衝撃を与えた。目視で気泡が全て消失するのに要した落下回数を計測した。結果を下記表2に示す。
上記表2の結果から、実施例4〜6のコネクター(医療用具(4)〜(6))を介して連結した試験装置(回路チューブ)は、比較例5〜6のコネクター(比較医療用具(5)〜(6))を介して連結した試験装置(回路チューブ)に比して、有意に少ない回数で気泡を除去できることがわかる。上記結果から、本発明の医療用具によれば、医療用具に液体を充填する(プライミング)時に気泡をより容易に除去でき、医療従事者の負担を軽減できることが期待される。
実施例7:医療用具(7)の製造
実施例1と同様にしてベースコート液(1)を調製した。
別途、実施例1と同様にしてトップコート液(1)を調製した。
5個のポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)の重量をあらかじめ測定した(W10(g))。これらのコネクターの内面に、それぞれ、上記にて調製したベースコート液(1)を10秒間満たした。次に、コネクターからベースコート液(1)を除き、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(1)をコネクター内面に作製した(ベースコート済みコネクター(4))。さらに、このベースコート済みコネクター(4)にそれぞれ上記にて調製したトップコート液(1)を10秒間満たした後、トップコート液(1)を除き、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、トップコート層(1)をベースコート層(1)上に形成した(医療用具(7))。得られた医療用具(7)の重量を測定した(W11(g))。それぞれの医療用具について、コート乾燥後の重量(W11(g))からコート前重量(W10(g))を差し引いて、コート量(W11(g)−W10(g))を算出し、その合計量(5個分の総重量)を求めた。コート量(総重量)は2.5mgであった。
比較例7:比較医療用具(7)の製造
上記製造例2にて製造したPMEA(2)(重量平均分子量=8.5万)0.5gを、全量が100gとなるように、メタノールに溶解し、0.5重量%溶液 100gを調製した(ベースコート液(5))。
5個のポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)の重量をあらかじめ測定した(W20(g))。これらのコネクターの内面に、それぞれ、上記にて調製したベースコート液(5)を10秒間満たした。次に、コネクターからベースコート液(5)を除き、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(5)をコネクター内面に作製した(比較医療用具(7))。得られた比較医療用具(7)の重量を測定した(W21(g))。それぞれの医療用具について、コート乾燥後の重量(W21(g))からコート前重量(W20(g))を差し引いて、コート量(W21(g)−W20(g))を算出し、その合計量(5個分の総重量)を求めた。コート量(総重量)は2.3mgであった。
比較例8:比較医療用具(8)の製造
比較例4と同様にして、ベースコート液(4)を調製した。
5個のポリカーボネイト製ストレートコネクター(φ(直径)=9.5mm、血液回路(コネクター)、テルモ(株)製)(基材)の重量をあらかじめ測定した(W30(g))。これらのコネクターの内面に、それぞれ、上記にて調製したベースコート液(4)を10秒間満たした。次に、コネクターからベースコート液(4)を除き、室温(25℃)で5時間、静置乾燥し、ベースコート層(4)をコネクター内面に作製した(比較医療用具(8))。得られた比較医療用具(8)の重量を測定した(W31(g))。それぞれの医療用具について、コート乾燥後の重量(W31(g))からコート前重量(W30(g))を差し引いて、コート量(W31(g)−W30(g))を算出し、その合計量(5個分の総重量)を求めた。コート量(総重量)は2.4mgであった。
[コート耐久性試験]
上記実施例7で製造した医療用具(7)および比較例7〜8で製造した比較医療用具(7)〜(8)について、下記方法に従って、コート層の耐久性(コート耐久性)を評価した。すなわち、各医療用具(コネクター)を、それぞれ、5個ずつ用意し、これらの重量をあらかじめ測定した(W(g))。各医療用具(コネクター)を、それぞれ、ポリ塩化ビニル製チューブ(φ(直径)=9.5mm、長さ=15cm)を介して5個連結して、試験装置(回路チューブ)を作製した。この試験装置(回路チューブ)に生理食塩水を落差で充填した後、2000ml/minの流速で生理食塩水を循環した。この循環を室温(25℃)で7日間継続させた後、生理食塩水を除去した後、試験装置内を洗浄、乾燥して、各医療用具(コネクター)の重量を測定した(W(g))。循環前の重量(W(g))に対する循環後の重量(W(g))の割合(%)[=((W(g)/(W(g))×100)]を算出し、コート層残存率(%)を求めた。このコート層残存率(%)の平均を求め、結果を下記表3に示す。
上記表3の結果から、実施例7の医療用具(7)は、比較例7〜8の比較医療用具(7)〜(8)に比して、コート層中のPMEAの残存率が有意に高く、耐久性が向上できることが示される。
上記表1〜3の結果から、比較的高分子量なポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートで第1血液適合性層(ベースコート層)を構築した後、その上に比較的低分子量なポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの第2血液適合性層(トップコート層)を構築することによって、プライミング時の医療従事者の負担を軽減でき、かつ血流に対して耐久性を有する均一な血液適合性コーティングを有する医療用具を提供することが可能になると考察される。

Claims (5)

  1. 疎水性高分子からなる基材と、
    前記基材に配置された第1抗血栓性高分子を含む第1血液適合性層と、
    前記第1血液適合性層に配置された第2抗血栓性高分子を含む第2血液適合性層と、
    を有し、
    前記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、それぞれ独立して、下記式(I):
    ただし、R は、水素原子またはメチル基を表わし、R は、炭素数1〜4のアルキレン基を表わし、R は、炭素数1〜4のアルキル基を表わす、
    で示される構成単位を有するポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであり、
    前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きく、
    前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)が10,000〜100,000である、医療用具。
  2. 前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)に対する前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)の割合(Mw1/Mw2)は、1を超えて20以下である、請求項1に記載の医療用具。
  3. 疎水性高分子からなる基材に第1抗血栓性高分子を含む第1溶液を塗布して第1血液適合性層を形成し、前記第1血液適合性層に第2抗血栓性高分子を含む第2溶液を塗布して第2血液適合性層を形成すること、を含み、
    前記第1抗血栓高分子及び前記第2抗血栓性高分子は、それぞれ独立して、下記式(I):
    ただし、R は、水素原子またはメチル基を表わし、R は、炭素数1〜4のアルキレン基を表わし、R は、炭素数1〜4のアルキル基を表わす、
    で示される構成単位を有するポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであり、
    前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)は、前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)よりも大きく、
    前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)が10,000〜100,000である、医療用具の製造方法。
  4. 前記第1溶液および第2溶液は炭素原子数1〜3のアルコールを含み、前記第1溶液における炭素原子数1〜3のアルコールの割合が前記第2溶液における炭素原子数1〜3のアルコールの割合より多い、請求項に記載の製造方法。
  5. 前記第2抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw2)に対する前記第1抗血栓性高分子の重量平均分子量(Mw1)の割合(Mw1/Mw2)は、1を超えて20以下である、請求項またはに記載の製造方法。
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