JP6639906B2 - 生物試料検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は生物試料中の標的細胞の検出方法に関しており、特に好適には体液、分散組織標本又は培養物のような細胞を含む試料から生きた細胞を効率的に分離し、保持孔へ捕捉後、細胞検出パラメータを用いて目的の細胞を高感度に検出する方法に関する。
体液や細胞培養液等の生物学的液体から、又は、組織や細胞を懸濁・分散した分散標本から目的の細胞を分離し、臨床診断や治療へ応用する研究が進められている。例えば、血中に存在する極微量の癌細胞、すなわち循環腫瘍癌細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)は、癌患者の原発腫瘍から血管中に浸潤した腫瘍細胞であり、血管内を流れるCTCが血管内壁に付着し血管外の臓器に浸潤することで癌の転移が起こると考えられている。従って、転移に関与する悪性腫瘍の早期発見の方法の一つとして、CTCを検出する方法が注目されている(非特許文献1)。
例えば、全血に対して抗上皮細胞接着分子(EpCAM)抗体を修飾した磁気微粒子によるCTCの濃縮を行い、免疫染色によりCTCと正常細胞(白血球)の標識を行った後、自動蛍光検出装置を用いてCTCの計数を行う方法が提案されている(CellSearch法、非特許文献3参照)。
また、血中の癌細胞が血球細胞である赤血球、血小板、白血球に比べてサイズが大きいことを利用し、血液をフィルトレーションすることによってサイズの小さい血球細胞を排出し、フィルター面上に血中の癌細胞を捕捉する手法を用いた検出方法(ISET法、例えば、非特許文献4、特許文献1参照)が提案されている。
CTCは癌患者の血液1mL(血球細胞数約50億個)に、数個〜数十個程度しか存在していない希少な細胞である(非特許文献2)。またCTCは転移の過程において、細胞表面タンパク質である上皮細胞接着分子(EpCAM)や細胞内骨格タンパク質であるサイトケラチンなどCTCの分離および検出のターゲットとなる分子が消失している例も報告されており、多様性に富んだ細胞であることが推測されている。さらに、多くのCTCはアポトーシス(細胞死)や免疫細胞の攻撃により死滅し、生き残った極わずかなCTCのみが遠隔転移を成立させることがCTCの検出およびCTCを用いた早期診断や転移診断を困難にしていた。
特開2011−163830号公報 国際公開第2014/192919号
Pantel K, et al. 2008. Detection, clinical relevance and specific biological properties of disseminating tumour cells. Nat Rev Cancer 8(5):329. Cristofanilli M, et. al. 2004. Circulating tumor cells, disease progression, and survival in metastatic breast cancer. N Engl J Med 351(8):781.13(3):920. Riethdorf S, et. al. 2007. Detection of circulating tumor cells in peripheral blood of patients with metastatic breast cancer: a validation study of the CellSearch system. Clin Cancer Res 13(3):920. Rostagno P, Moll JL, Bisconte JC, Caldani C. 1997. Detection of rare circulating breast cancer cells by filtration cytometry and identification by DNA content: sensitivity in an experimental model. Anticancer Res 17(4A):2481.
CTCの検出にあたり、CTCの保有する検出ターゲット(検出マーカー)に依存せずに分離、検出が可能であり、かつ血中で生存し転移を成立させるCTCを選択的に高感度検出する技術が求められている(非特許文献3)。
しかしながら、前述したCellSearch法はEpCAMが発現していないCTCは分離できず、また厳密に生きた細胞のみを選択的に検出することはできない。一方、ISET法は、CTC保有マーカーに依存しない細胞の大きさの違いを利用したCTC分離法を採用しているが、細胞の生死は区別することはできず、転移に関与する生きたCTCを検出するような質的評価が困難であるという課題があった。そこで本発明の目的は、生きた標的細胞を高感度に検出する方法を提供することにある。
前記目的に鑑みて完成された本発明は、生物試料から生細胞を濃縮した後、生細胞を基板上に展開し、展開された生きた標的細胞を検出することを特徴とする生物試料検出方法に関する。
本発明では、生細胞を濃縮する濃縮工程を行った後に、濃縮液を展開する工程、標的細胞を検出する工程を行うことで、生きた標的細胞を高感度に検出することができる。濃縮工程が、比重差に基づいて生細胞と死細胞を分離することで、生きた標的細胞を効率的に濃縮することができる。また、展開工程が、誘電泳動力により生きた細胞を基板上に備えた各保持孔に、概ね1個の細胞を捕捉することにより、細胞検出パラメータを用いて標的細胞を高感度に検出することができる。従って、細胞表面抗原や細胞の大きさで細胞分離する方法と比較して、生きた細胞をより選択的に分離、検出することができる。また標的細胞の標識マーカーが存在しなくても、不要な細胞を標識し、排除することで標的細胞を検出することができる。このような効果により、生きた癌細胞の検出による悪性腫瘍の早期発見や転移診断が可能となる。
本発明の分離濃縮構造体を説明するための図である。 本発明に用いる第1実施形態に係る構造体を説明するための図である。 本発明に用いる第2実施形態に係る構造体を説明するための図である。 本発明に用いる構造体及び生物試料検出装置を説明するための図である。 本発明の分離方法を説明するための図である。 本発明の分離方法を説明するための図である。 本発明の実施例4における誘電泳動周波数と癌細胞検出率を示す図である。 本発明の実施例6における乳癌患者検体のCTC数の検出結果を示す図である。 本発明の実施例7における異常細胞の検出フローを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、生物試料中において生きた標的細胞を検出する方法に関する。より具体的には、本発明の検出方法は、以下の工程:
生物試料から生細胞を濃縮して濃縮液を得る濃縮工程と、
前記濃縮工程で得られた濃縮液を基板上に展開する展開工程と、
前記基板上に展開された生きた標的細胞を光学的に検出する光学検出工程と、
を含む。
本発明において、生物試料とは、細胞を含む試料であれば任意の試料のことをいい、生体から取得された生体試料並びに細胞培養や組織培養などで得られる培養試料を含む。生体試料としては、尿、血液、血漿、血清、唾液、***、糞便、痰、髄液、羊水、リンパ液、細胞の凝集物、腫瘍、リンパ節又は動脈といった器官や組織に由来する試料が挙げられる。培養試料としては、細胞培養物、組織培養物、又はそれらの培養液が挙げられる。これらの生物試料は、試料の種類に応じて、希釈、混合、分散、懸濁などの処理をおこなって、予め液体試料を調製することもできる。
本発明は、生物試料中の生きた目的の細胞(以下、標的細胞とも言う)を検出することを目的としている。本発明において検出される標的細胞は、実験に応じて任意の細胞、例えば赤血球、白血球やES細胞、iPS細胞に代表される幹細胞、内皮細胞、細菌、微生物等を標的とすることができるが、癌の早期診断や転移診断を行う観点では、主に癌細胞を標的とすることが好ましい。本発明で標的とされる癌細胞の中でも、血液やリンパ液などの循環器系を通じて遠隔転移する循環腫瘍癌細胞(CTC)を標的とすることが好ましい。このような癌細胞としては、例えば胃癌、大腸癌、食道癌、肝臓癌、肺癌、すい臓癌、膀胱癌、子宮癌(上皮性腫瘍)、血液細胞癌(リンパ腫、白血病)由来の細胞が例示できる。
濃縮工程
濃縮工程は、生物試料から生きた細胞を濃縮し、濃縮液を得る工程である。一般に、生細胞と死細胞とでは比重が異なっていることから、生物試料の比重差を利用することで生細胞を死細胞から分離して濃縮することができる。このような濃縮工程としては、具体的に密度勾配溶液を用いることで、生細胞を分離し濃縮することができる。このような濃縮工程では、生細胞を完全に分離することを意図するものではなく、生細胞の割合が増加しさえすれば濃縮工程としては十分である。生物試料中の死細胞の混入率によっても変化しうるが、濃縮工程後の死細胞の割合が、20%未満、好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満になることが好ましい。
濃縮工程は、生きた細胞を分離し濃縮する工程であるが、同時に標的細胞を濃縮することもできる。生物試料の中で、例えば血液試料中には、赤血球、白血球、及び血小板をはじめ様々な細胞が存在しているが、後の工程において標的細胞の検出を行うために、全細胞中の標的細胞の割合を増加させることが望ましい。濃縮工程は、密度勾配溶液に生物試料を重層し、遠心分離を行うことで行うことができる。生きた標的細胞が密度勾配溶液との境界から回収することができ、それにより生きた標的細胞を濃縮することができる。濃縮を達成できる遠心速度や密度勾配は当業者が適宜選択することができる。
濃縮工程を実施するための器具として、例えば図1の細胞分離濃縮構造体を用いることができる。分離濃縮構造体1は、2及び3の2つの筒状部材からなる。分離濃縮構造体の上部を構成する筒状部材2は開口を有し、筒状部材3は、一端が閉塞して底部5を形成している。筒状部材2及び3は、それぞれ開口又は底部の反対の端に連通開口6が設けられ、該両部材が連結された場合に両筒状部材の内部空間が連通し、全体として一つの分離濃縮構造体を形成する。
密度勾配溶液は、分離濃縮構造体1において、その底部(筒状部材3の閉塞端5)から分離部近傍まで注入する。より具体的には、分離濃縮構造体を静置した場合に、密度勾配溶液の液面高さが上側の筒状部材2の連通口端より高くなる(筒状部材2側になる)、すなわち、下側の筒状部材(筒状部材3)を分離した際に、遠心分離操作により密度勾配溶液を通過して筒状部材3の閉塞端5側に移動した成分を密度勾配溶液の大半とともに筒状部材3に、密度勾配溶液上に維持された目的成分(細胞)を筒状部材2に維持された状態で分離できる程度、好ましくは1mm程度、高くなるよう注入する。その後、生物試料溶液を密度勾配溶液の上に重層し、開口部をキャップ4で密閉し、遠心分離操作を行う。遠心分離操作は、一般には1000から2000×g程度の低速で実施すれば良いが、目的とする細胞の密度や使用する密度勾配溶液の密度を勘案し、密度勾配溶液の上に維持される条件を選択する。例えば目的とする細胞が生きた腫瘍細胞であり、上記のような遠心を行うのであれば、腫瘍細胞の種類に応じて密度勾配溶液の密度を1.060〜1.095g/mLの範囲で設定することができる。密度勾配溶液の密度は、標的細胞の濃縮率を高める観点から、1.075g/ml以上が好ましく、1.080g/ml以上がさらに好ましい。標的細胞の濃縮率を高める観点から、1.100g/ml以下が好ましく、1.096以下がより好ましく、1.093以下がさらに好ましい。より具体的には密度勾配溶液の密度は、1.082〜1.091g/mLの範囲とすることが好ましい。また生理学的浸透圧は200〜450mOsm/kgの範囲で設定することができる。死細胞の混入率を低くさせる観点から、280mOsm/kg以上が好ましく、300mOsm/kg以上がさらにより好ましい。標的細胞の濃縮率を高める観点では、300mOsm/kg以上が好ましく、350mOsm/kg以上がさらに好ましく、380mOsm/kg以上がさらにより好ましい。より具体的には密度勾配溶液の浸透圧は、300〜400mOsm/kgがより好ましい範囲である。溶液のpHは、細胞が損傷を受けない範囲で任意に選択することができ、例えば6.8〜7.8の範囲に調整することが例示できる。
遠心分離操作により、密度勾配溶液の密度より大きな密度を有する成分(例えば死滅した細胞など)は密度勾配溶液の勾配層を通過して下側の筒状部材(筒状部材3)中に移動する。一方、密度勾配溶液より小さな密度の目的とする細胞(例えば生きた腫瘍細胞など)は、上側の筒状部材(筒状部材2)内の密度勾配溶液の上に維持される。そこで開口部の密閉を維持したまま連結された筒状部材を図1で示した状態となるように分離すれば、上側の筒状部材(筒状部材2)中に目的とする細胞を含む分画を回収することができる。この分画は、例えばキャップ4を取り外すことによって密閉状態を開放することで下方へ滴下させる等すれば、特別の熟練を要することなく容易に回収できる。一方、下側の筒状部材(筒状部材3)中に移動した分画については、例えば当該筒状部材とともに廃棄等することができる。
回収した細胞の測定は、スライドへの塗布もしくはウェルへ捕捉した細胞を顕微鏡観察する手法やフローサイトメトリー法などを用いることができる。特に本発明で使用する誘電泳動力によって基板上に備えた複数の保持孔に1つずつ細胞を捕捉して測定する手法は、高感度かつ高精度に細胞を観察、解析できる点でより好ましい。
展開工程
展開工程は、濃縮工程を経て得られた濃縮液を基板上に展開することにより行われる。濃縮液を展開することで、濃縮液に含まれる細胞を検出に適した間隔で基板上に分布させることができる。非凝集状態で展開させることが好ましく、展開前に濃縮液を十分に懸濁しておくことが好ましい。展開工程は、細胞を検出に適した間隔で基板上に分布させることができれば任意の手法を用いることができ、単に濃縮液を基板上に適用するのみであってもよいが、必要に応じてさらなる処理を行ってもよい。一例として、濃縮液を基板上に適用後に、振動や誘導泳動力をあたえることにより、細胞を展開することもできる。細胞を均一に展開するために、基板上に保持孔があけられていることが好ましく、各保持孔につき、概ね一個の細胞を配置することで、その後の検出工程にて標的細胞の検出が容易になる。所望される細胞の展開密度に応じて、濃縮液中の細胞数を計数し、適切な細胞数が展開されるように希釈されてもよく、また展開に供する濃縮液を計量して展開することもできる。
本発明の展開工程に用いる器具として、例えば図2の生物試料検出構造体を使用することができる。本構造体は、後の検出工程において細胞の存在を示す物質により発せられる光を検出するために細胞をそれぞれ保持する複数の保持孔(貫通孔)7を有する構造体8であって、平板状の基板9上に配置されている。また、前記基板および上蓋基板10は透光性材料からなり、前記基板の前記保持孔側および上蓋基板の表面に設けられた電極はITOなどの透明電極であることが好ましい。これにより、保持孔から発せられる光を基板の上側もしくは下側から観察することが可能となる。保持孔は絶縁体膜11から構成されているが、遮光膜12を備えていてもよい。遮光膜を設けることにより、例えば絶縁体膜自体の自家蛍光に起因するバックグラウンドノイズや隣接する保持孔からの漏れ光に起因するクロストークノイズなどの光ノイズを低減することができ、各保持孔内の観察対象物質により発せられる光のみを高感度かつ高精度に検出することができる。
また、前記構造体は、前記保持孔の上に前記細胞を含む懸濁液を収容する収容部13を備えており、前記保持孔が前記収容部と連通するように設けられている。また収容部には細胞懸濁液を導入する導入口14、細胞懸濁液を排出する排出口15を備える。
保持孔内へ細胞を捕捉する方法としては、誘電泳動力を利用する。この誘電泳動力により、生きた細胞を数秒程度の極めて短い時間で多数の保持孔に捕捉することができる。誘電泳動力を細胞に作用させるには、収容部及び保持孔を懸濁液で満たした状態で、保持孔の部分に電気力線が集中するような交流電界をかければよい。かかる交流電界を印加するための構成として、図2の構造体の他に図3に示すように、前記基板の前記保持孔側の表面に、互いに異なる保持孔に対応する位置にそれぞれ配置される一対の電極(櫛状電極18)を構成する電極16、17が設けられ、前記保持孔は、前記保持孔の上表面から前記基板上の櫛状電極まで延在する、という構成を採用することができる。いずれの構成の場合も、保持孔の底部に電極を露出させ、2つの電極の間に所定の波形を有する交流電圧を印加することで、誘電泳動力により懸濁液中の細胞を保持孔内へ捕捉することが可能である。また保持孔をアレイ状に配置することで、電極間に印加した電圧によって生じる電界がすべての保持孔にほぼ均等に生じることになり、すべての保持孔に対して同じように細胞を誘導し捕捉することができる。
図4は本発明に用いる生物試料検出装置を示した図である。本発明に用いる生物試料検出装置の一例として、図2に示した基板9、上蓋基板10と、前記電極に誘電泳動力24を発生させるための交流電圧を印加する交流電源19と、前記交流電源からの電圧印加後に、前記構造体の保持孔に捕捉された細胞23の存在を示す物質により発せられる光20を検出する検出部21とを備える。検出部の一例としては蛍光顕微鏡を例示できる。
前記構造体一対の電極には、導電線22を介して交流電源が接続される。交流電源は、保持孔に細胞を移動させ、捕捉する誘電泳動力に必要な電界を発生させるのに十分な電圧を電極間に印加できればよい。具体的には、ピーク電圧が1Vから20V程度で、周波数10kHzから10MHz程度の正弦波、矩形波、三角波、台形波等の波形の交流電圧を印加できる電源が例示できる。特に生きた細胞を移動させ、1つの保持孔に1個の細胞のみを捕捉し得る周波数および波形として周波数100kHzから1MHzの矩形波を使用すること好ましく、3MHzから10MHzの矩形波を使用することが特に好ましい。かかる波形の交流電圧としては、矩形波は、波形が正弦波、三角波、台形波である場合に比べて、瞬時に設定したピーク電圧に到達するため、細胞を保持孔に向けて速やかに移動させることが可能となり、2個以上の細胞が重なるように保持孔に入る確率を低くできる(1つの保持孔に1個の細胞のみを捕捉し得る確率が高くなる)。細胞は電気的にコンデンサーと見なすことができるが、矩形波のピーク電圧が変化しない間は、保持孔に捕捉された細胞には電流が流れ難くなって電気力線が生じ難くなり、この結果、細胞を捕捉した保持孔には誘電泳動力が発生し難くなる。従って、一度保持孔に細胞が捕捉されると、別の細胞が同一の保持孔に捕捉される確率は低くなり、代わりに電気力線が生じ誘電泳動力が発生している他の保持孔(細胞が捕捉されていない、空の保持孔)に、順次、細胞が捕捉される。
なお、本発明に用いる生物試料検出装置では、直流成分を有しない交流電圧を発生する電源を採用することが好ましい。直流成分を有する交流電圧を印加すると、直流成分により発生した静電気力(電気泳動力)により細胞が特定の方向に偏った力を受けて移動し、誘電泳動力による細胞捕捉が困難になるからである。また直流成分を有する交流電圧を印加すると、細胞を含有する懸濁液に含まれるイオンが電極表面で電気反応を生じて発熱し、細胞が熱運動を起こすため誘電泳動力による動きを制御できなくなり、保持孔に移動させて捕捉することが困難になる。なお、直流成分を有する交流電圧とは、周波数デューティ比が50%でない電圧、オフセットを有する電圧、周期が極端に長い(例えば1秒以上)電圧などをいう。
また本発明は、前記保持孔に捕捉した生物試料に電圧を1回以上印加した後、生きた細胞を検出してもよい。電圧の印加方法に特に制限は無く、生物試料に電圧を印加できれば特に制限は無い。例えば本発明に用いる構造体に備えられた電極間に、電圧を印加することが例示できる。電圧は、直流電圧または交流電圧、もしくは直流電圧と交流電圧の両方を同時にまたは交互に印加してもよい。電圧の大きさ、印加時間等の条件は適宜設定することができ、生存活性の高い細胞も含め、ほとんどの細胞が死滅しなければ特に制限はない。例えば直流電圧の場合は、数V〜数十V、印加時間は数ナノ秒〜数ミリ秒程度が例示できる。直流電圧の電圧印時間は、例えば電圧が50V程度の場合に数分以上印加すると、生存活性の高い細胞も含め、ほとんどの細胞が死滅してしまうため、最大でも1ミリ秒程度の印加時間が好ましい。たとえば、本発明の構造体を用いた場合、50Vで30マイクロ秒を例示できる。
また交流電圧は、電圧の正負の値を数ナノ秒〜数百ミリ秒で繰り返す電圧であれば特に制限はない。例えばピーク電圧が1Vから20V程度で、周波数100kHzから3MHz程度の正弦波、矩形波、三角波、台形波等の波形の交流電圧を印加できる電源が例示できる。交流電圧の電圧印時間は、電圧が1Vから20V程度の場合、30分以下の印加時間が好ましく、15分以下の印加時間がさらに好ましい。
上記直流電圧または/かつ交流電圧を印加する繰り返し回数は1回以上であれば特に制限はないが、繰り返し回数が多いと生存活性の高い細胞も含め、ほとんどの細胞が死滅する。例えば、本発明の構造体を用いた場合、50Vで30マイクロ秒の直流電圧を印加する繰り返し回数、または、20V、1MHzの交流電圧を印加する繰り返し回数は、ともに3回程度を例示できる。
このような電圧(直流電圧または/かつ交流電圧)を印加することにより、細胞膜の破損しつつある生存活性の弱い細胞を死滅させ、より高い生存活性を有する生きた細胞を選別することができる。また生物試料に電圧を印加するための電源は、誘電泳動を発生させる交流電源を用いてもよい。
検出工程
検出工程は、基板上に展開された標的細胞を検出する工程である。本発明の生物試料検出方法は、前記分離濃縮構造体で濃縮された生細胞を含む濃縮液に含まれる細胞のうち、標的細胞を検出することができればよい。検出は、光学的に検出することが好ましく、顕微鏡下又は蛍光顕微鏡下で撮像し、明視野で撮影された画像、及び/又は標識物質を用いて撮影された画像を分析することで、標的細胞を検出することができる。例えば、明視野で撮影された画像から、細胞形態に関する情報を取得し、分析することで標的細胞を検出することができる。このような情報として、例えば、細胞の直径、細胞の面積、細胞の体積、細胞の周囲長、真円度などが例示できる。標識物質を用いた場合、標的細胞を直接標識してもよいし、標的細胞以外の細胞を標識することもできる。標的細胞以外の細胞を標識する場合、撮影された画像を、他の画像、例えば明視野撮影画像と比較することで、標的細胞を検出することができる。
本発明における標識物質は、標識する細胞の表面又は内部に特異的に存在する物質(以下、「特定物質」と記載する)と直接又は間接的に結合可能であり、識別が可能な物質のことをいう。標的細胞を標識する場合、標識する細胞に特異的に存在するとは、標識する細胞には存在し、かつ、標識する細胞以外には存在しないか、あるいは、標識する細胞以外の細胞よりも標識する細胞に多く存在することをいう。
特定物質の例としては、抗原、レセプター、糖鎖、酵素、核酸等が挙げられる。抗原としては、癌細胞上の抗原、主要組織適合抗原(MHC、ヒトの場合はHLA)等が挙げられる。癌細胞上の抗原としては、EpCAM、サイトケラチン(CK)等が挙げられる。レセプターとしては、ホルモンレセプター、Fcレセプター、ウイルスレセプター等が挙げられる。このほかにも、DNA及びRNAや、腫瘍マーカーのようなタンパク質であってもよい。
より具体的に、例えば細胞が種々の癌細胞であるならば、各種癌細胞に汎用性のある(共通の)マーカーが特定物質となり得る。また標的細胞が乳癌や肺癌であるならば、これらの癌に特異的に発現している抗原であるHER2、CK、EGFRが特定物質となり得る。
前記特定物質は、例えば特定物質に特異的に結合する物質を用いて標識することにより観察(検出)することができる。例えば、抗原には該抗原に対する抗体、レセプターにはそれに結合するリガンド、糖鎖にはレクチンが結合する。つまり、特定物質に特異的に結合する物質と光学的に検出可能なシグナルを発するシグナル物質とを結合して標識物質とすることができる。光学的に検出可能なシグナルとしては、蛍光、リン光、又は発光を挙げることができ、シグナル物質は、それ自体がこれらの光を発してもよいし、当該シグナル物質がリン光は発光などの反応を触媒する物質であってもよい。
本発明の特定物質を検出する標識物質は、標識する細胞が検出できれば特に制限はなく、細胞を構成する任意の成分の存在を示すことのできるあらゆる物質をさす。代表的な標識物質として、蛍光、リン光、もしくは発光の性質に基づいて検出可能なシグナル物質自体、或いはこれらのシグナル物質を前記した抗体、リガンド、レクチン等の特定物質と特異的に結合可能な物質とを結合したものが例示できる。蛍光を発するシグナル物質として、蛍光色素があげられ、蛍光色素であるFITC(フルオレセインイソシアネート)、PE(フィコエリスリン)、ローダミン等は特定物質結合可能な物質と結合して用いることができる一方で、蛍光物質であるDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)やPI(ヨウ化プロピジウム)などは、直接核を染色することができる。また、前記発光反応を触媒する物質としては、パーオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼ等が挙げられる。
また、蛍光、リン光、又は発光を阻害するクエンチャーと特定物質に特異的に結合する物質とを結合した標識物質の使用を例示することができる。この場合は、細胞を、蛍光、リン光又は発光する物質で染色しておき、当該標識物質を更に反応させると、特定物質を有する細胞が捕捉された保持孔からの蛍光、リン光又は発光がクエンチャーによって減少するため、この減少を検出すればよい。
標識物質は、前記した通り、それ自体が特定物質と結合又は反応するものであっても、特定物質に特異的に結合する物質と光学的に検出可能なシグナルを発する物質とを結合したものであってもよい。光学的に検出可能なシグナルを発する物質を特定物質と特異的に結合する物質と結合する場合は、両者を公知の化学的な方法等によって直接結合しても良いし、特定物質と特異的に結合する物質に対して結合する物質を介して間接的に結合しても良い。例えば、特定物質に特異的に結合する物質とビオチンを結合しておき、シグナルを発生する物質をアビジン又はストレプトアビジンと結合しておくことも例示できる。この場合、シグナルを発生する物質と結合したアビジン又はストレプトアビジンは、特定物質に特異的に結合した物質と結合されたビオチンと結合し、結果的に(特定物質)−(特定物質に特異的に結合する物質)−(ビオチン)−(アビジン又はストレプトアビジン)−(シグナルを発生する物質)という複合体を形成することにより、特定物質は間接的に標識される。このような間接的な場合もまた、本発明における特定物質に包含される。
標識物質は、標的細胞を標識する物質であってもよいし、標的細胞以外の細胞を標識する物質、又はその両者を標識する物質であってもよい。複数の標識物質を用いることで、標的細胞の検出感度が高くなる。濃縮工程により濃縮された細胞懸濁液には、標的細胞の他に、多数の白血球、赤血球、及び血小板が含まれることから、これらの細胞と標的細胞とを区別する標識物質を用いることが有用である。例えば、核を染色するDAPIやPIを標識物質として用いると、核を有さない赤血球とその他の細胞とを区別することが可能になる。また、白血球をその他の細胞と区別するためには、白血球マーカー、例えばCD2、CD3、CD16、CD19、CD36、CD45、CD56、CD66b等に対する標識物質を使用することができ、特に全ての白血球において発現されていると考えられているCD45に対する標識物質を使用するとすることが好ましい。さらに、血液中には有核細胞として白血球以外にも血管内皮細胞が極少数存在することがあるため、CD105、CD146などに対する標識物質を使用するとより精度の高い標的細胞の検出が可能となる。
本発明の検出工程は、光学検出された検出画像から、標的細胞の細胞サイズ及び細胞核サイズを観察することで、標的細胞を検出することができる。この検出方法は、1又は複数の標識物質に応じた光学的検出法により撮影した1又は複数の画像を観察することにより標的細胞を検出することができる。
特にCTC検出として例えば、FITCやPEで標識された抗CK抗体等の上皮性マーカー結合抗体を用いて蛍光標識した後、蛍光顕微鏡等により検出することが挙げられる。代表的なCTCの検出方法を図9に沿って説明する。上皮性マーカー、例えばCK等、及び白血球マーカー、例えばCD45等を認識する蛍光標識抗体、並びに核を染色する核マーカー、例えばDAPIを用いて蛍光染色して撮影された検出画像において、DAPI陽性/CK陽性/CD45陰性をCTCとして検出する。さらに、DAPI陽性/CK陰性/CD45陰性の細胞についても、白血球より大きい、すなわち10μm〜30μmのサイズを有する細胞もCTCとして検出することができる。さらにDAPI陽性/CK陰性/CD45陰性の細胞についても細胞核サイズを参照し、DAPIの輝度領域が白血球より大きいものをCTCとして検出することができる。
DAPI波長(UV励起及び青色の発光)における蛍光観察により、有核細胞を同定し、CK陽性およびCD45陰性の腫瘍細胞と、DAPI陽性、CK陰性、CD45陽性の白血球と、ゴミなどに代表されるノイズシグナル(DAPI陽性、CK陽性およびCD45陽性もしくはDAPI陰性、CK陽性)との区別を可能にする。またDAPI陽性、CK陰性およびCD45陰性の細胞は、明視野観察において、赤血球や白血球等の正常細胞と細胞形態や大きさを比較する、もしくはパパニコロウ染色やギムザ染色を実施することで細胞内の核、細胞質等の形態的特徴によりCTCを特定することができる。
生物試料を、前記基板上の保持孔に捕捉して検出できればよい。また本発明の生物試料検出装置は、前記基板と、基板の観察領域に光を照射し、発生する光学シグナルを検出する光学検出手段を備えることにより、生物試料を観察可能な装置である。光源には、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルはライドランプ、レーザー、LED等を用いることができ、光源からの光は、必要に応じて光学フィルターやミラー、レンズ等によって構成される光学手段により観察領域に導光されればよい。
光学シグナル情報として、広い波長域での透過光、反射光による光強度分布から構成される像(明視野)や、蛍光物質が発する蛍光から検出した蛍光強度、蛍光強度のピーク値、蛍光強度の最小値、蛍光強度の平均値、蛍光強度の積分値などの蛍光強度から算出された数値などが例示できる。明視野情報は、細胞形態に関する情報が取得可能であれば、特に制限されない。例えば、細胞の直径、細胞の面積、細胞の体積、細胞の周囲長、真円度などが例示できる。
本発明の生物試料検出装置は、観察の対象としている基板の位置を特定するための手段を備えていてもよい。基板上の保持孔に捕捉された生物試料の位置情報と、生物試料に由来する光学シグナルに関する情報とを統合すると、どの保持孔に標的細胞が存在するかを正確に特定することができる。
蛍光標識を全く使わない/または最小限の蛍光標識における生物試料検出方法として、明視野画像での細胞の形状や模様を解析することにより標的細胞の検出に応用することが可能である。ここで言う明視野とは蛍光標識により特異的に標識され、蛍光を発する光強度を基にしない画像を指し、偏光、位相差、波長による吸光度、反射度により得られる画像をいう。
また、標的細胞をさらに大きさにより検出してもよい。癌細胞の多くは赤血球、白血球と比較してサイズが大きいことが知られており(非特許文献:Rostagno P.et al.,Anticancer Res.,17(4A),2481−2485(1997))、当該細胞を赤血球および白血球と比較してサイズが大きな細胞で抽出することにより、上皮間葉転移を起こした腫瘍組織由来の間葉系細胞を精度よく検出することが可能となる。赤血球のサイズは、直径7〜8μm、厚さが2μm程度の円盤形であり、白血球は、種類に応じてサイズは異なるもののおよそ直径6〜15μm程度の球状である。一方で、癌細胞、特にCTCは、10〜30μm程度の大きさを有することから、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上の大きさの標的細胞として検出することができる。
また、本発明は、前記保持孔に捕捉した生物試料を加熱した後、生きた細胞を検出してもよい。生物試料を加熱する方法に特に制限はなく、生物試料の温度を上げることができれば特に制限はない。例えば細胞を検出する構造体自体をヒーター等により加熱する、または構造体の周囲の温度をヒーター等によって昇温してもよい。更には生物試料にレーザーを照射や電磁波を印加するなどして、個々の生物試料を加熱してもよい。例えば電磁波としては、周波数の高いものから順に、ガンマ線(周波数3×1018Hz)、X線(周波数3×1016Hz)などの放射線、紫外線(周波数3×1015Hz)、可視光線(周波数3×1013Hz)、赤外線(周波数3×1012Hz)などの光、マイクロ波(周波数3×1011Hz)、ミリ波(周波数3×1010Hz)、センチ波(周波数3×109Hz)、極超短波(周波数3×108Hz)、超短波(周波数3×107Hz)、短波(周波数3×106Hz)、中波(周波数3×105Hz)、長波(周波数3×104Hz)、超長波(周波数3×103Hz)、超低周波(周波数50〜60Hz)が例示できる。
加熱温度の測定は、一般の温度計や熱伝対等の既知の手段で保持孔内の温度、構造体の温度、もしくは構造体周辺の温度を測定できれば特に制限はない。加熱する温度と時間は、適宜設定することができ、生存活性の高い細胞も含め、ほとんどの細胞が死滅しなければ特に制限はない。例えば加熱する温度としては、一般に40℃を超える温度にすると、生存活性の高い細胞も含め、ほとんどの細胞が死滅することから、25℃〜40℃の範囲を例示できるが、さらには30℃〜35℃が好ましい。また加熱時間は、30℃〜35℃程度に加熱にした場合、1〜3時間程度を例示できる。このように生物試料を加熱することにより、細胞膜が破損しつつある生存活性の弱い細胞を死滅させ、より高い生存活性を有する生きた細胞を選別することができる。
癌診断方法
本発明の生体試料中の標的細胞の検出方法は、標的細胞として、CTCを検出することにより、癌の診断方法、又は癌転移の診断方法、並びに癌の予後予測方法に用いることができる。健康診断などの被験者の生体試料中にCTCが検出できた場合、その被験者が癌を患っていると診断することができる。このように癌を患っていると診断された場合、被験者は、癌の部位を特定するために更なる診断を受けることができるし、抗癌剤の投与、放射線治療、手術などにより治療されてもよい。被験者が既に癌を患っているか、癌の治療後である場合、本発明の検出方法でCTCを検出できた場合、転移癌を発症する恐れがあると診断することができる。その場合、診断後にさらに転移癌を治療するため、抗癌剤の投与を継続することができる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:生きた癌細胞の濃縮工程 図1に示した態様の分離濃縮構造体を使用して、生きた癌細胞の分離濃縮を行った。分離濃縮構造体は、詳細には、筒状部材2は内径Φ18mm、縦70mm、容量15mLの円筒状のポリプロピレン製部材である。また筒状部材2の先細り形状の部分の傾斜角度は30°であり、筒状部材2との連通開口はΦ2mmである。筒状部材3は、内径Φ10mm、縦54mm、容量2mLのポリプロピレン製部材である。
図5に模式的に示したように、分離濃縮構造体の下側の筒状部材3に、表1に示した各種の密度勾配溶液25を2mL注入した(図中下部の白抜き部分が密度勾配溶液で満たした部分である)。詳しくは密度勾配溶液の液面高さが、上側の筒状部材2の連通開口6よりも約1mm高くなるように(従って液面は、上側筒状部材の内部に位置する)注入した。続いて密度勾配溶液の上に、3mLの血液試料と3mLの生理食塩水と75μLの結合剤(商標RosetteSep、StemCell Technologies Inc)の混合液26を重層した(図中、黒塗部分が重層した混合液の部分である)。なお血液試料は、インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液に過酸化水素処理により細胞死を誘導した約30個のヒト乳癌細胞(SKBR3)をモデル死細胞として懸濁した懸濁液である。添加する当該癌細胞はあらかじめ蛍光染色試薬(株式会社同仁化学研究所製、商品名PI)で標識している。なお、当該癌細胞は、細胞密度が約2×105個/cm2になるように静置培養後、0.25%トリプシン/1mM EDTAにより細胞をディッシュから剥離し、限界希釈により調製したものである。
試料注入後、分離濃縮構造体の開口をキャップ4(ポリプロピレン製)で密閉し、2000×gで10分間、室温にて遠心分離した。遠心分離操作により、図6左に示したように、密度勾配溶液と試料の界面27に細胞は維持された。キャップを取り外すことなく分離濃縮構造体を構成する筒状部材2及び3を分離部で分離した後、図6右に示したようにキャップをはずして密閉を開放することで、上側の筒状部材2の連通開口6より密度勾配溶液の一部とその上に維持された細胞を流出させ、下方に設置した50mLチューブで回収するとともに、上側筒状部材の内壁を洗浄し、壁に付着した細胞も同時に回収した。
回収した細胞の懸濁液に塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液を添加して30mLまでメスアップし、300×gで10分間室温にて遠心分離した。遠心分離後、ペレットの頂部の液体をピペットで取り出し、ペレット中の細胞を300mMのマンニトール溶液30mLに再懸濁し、300×gで5分間室温にて遠心分離した。この遠心分離操作は、細胞破片及び血小板を除去し、標的細胞を濃縮するためのものである。なお、癌細胞とともに混入する正常白血球は30〜50万個であり、結合剤で標的外の細胞(赤血球、白血球)を互いに結合することで密度を高くし、標的細胞(癌細胞)との密度差を大きくしたうえで、本発明の分離濃縮構造体を用いた分離を行うことにより、高い回収率と選択性をもって標的とする細胞を分離できる。
回収した細胞の測定は、スライドへの塗布もしくはウェルへ捕捉した細胞を顕微鏡観察する手法やフローサイトメトリー法などを用いることができる。本実施例1では、分離した細胞を誘電泳動力によって基板上に備えた孔径Φ30μm、深さ40μmの保持孔(約30万個)に捕捉して測定する手法を採用した。
図4に示した装置を使用して、回収された細胞懸濁液に混入する死んだ癌細胞の割合を測定した。分離された細胞懸濁液を、構造体の収容部に供して保持孔に捕捉した細胞を検出部21(蛍光顕微鏡)で観察した。密度勾配溶液の浸透圧と死細胞の混入率を表1右欄に示す。浸透圧が200〜400mOsm/kgの範囲において上側の回収画分に混入する死細胞は10%未満であり、生きた細胞を選択的に回収することができた。特に浸透圧が300〜400mOsm/kgの条件では、死細胞の混入が5%未満であり、生きた癌細胞をより選択的に回収できた。
実施例2:濃縮工程における比重の検討
実施例1と同様の分離濃縮構造体を利用して、あらかじめ蛍光染色試薬(株式会社同仁化学研究所製、商品名CalceinAM)で標識した約30個の生きたヒト乳癌細胞(SKBR3)を健常者血液に混合させた試料、生理食塩水、結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離、回収操作を実施した。なお、密度差分離における遠心は2000×g、10分間、回収における遠心は300×g、10分間室温にて実施した。実施例2では、分離濃縮構造体の下側の筒状部材3に、表2に示す密度勾配溶液を2mL注入した。
図4に示した装置を使用して、実施例1と同様に、回収された癌細胞数を測定した。表2に密度勾配溶液の密度と癌細胞回収率の結果を示した。密度勾配溶液の密度の上昇に伴い、癌細胞回収率は向上したが、密度が1.091g/mL、浸透圧300mOsm/kgでは赤血球が十分に沈降せず上部構造体に混入し、分離不良となった。一方、密度1.091g/mL、浸透圧380〜400mOsm/kgの範囲においては、赤血球(一部の白血球)と癌細胞を良好に分離することができ、回収率は88.2〜95.3%であった。
実施例3:濃縮工程における遠心条件の検討
実施例2と同様にして、健常者血液に約30個のヒト乳癌細胞(SKBR3)を混合させた試料、生理食塩水、結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離、回収操作を実施した。なお、密度差分離における遠心条件は2000×g、5〜20分間、室温にて実施した。実施例3では、分離濃縮構造体の下側の筒状部材3に、密度が1.091g/mL、浸透圧380mOsm/kgを2mL注入した。
図4に示した装置を使用して、実施例1と同様に、分離された細胞が目的とする乳癌細胞であることを確認した。表3に密度勾配溶液の密度と癌細胞回収率の結果を示した。密度差分離での遠心条件は、2000×g、10〜15分間で最大95.8%に達した。
実施例4:展開工程及び検出工程
実施例2と同様にして、健常者血液に約30個のヒト乳癌細胞(SKBR3)を混合させた試料、生理食塩水、結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離、回収操作を行うことで濃縮工程を実施し、濃縮液を得た。なお、密度差分離における遠心条件は2000×g、10分間、室温にて実施した。実施例4では、分離濃縮構造体の下側の筒状部材3に、密度が1.091g/mL、浸透圧380mOsm/kgを2mL注入した。遠心分離後、実施例1と同様にして、細胞の回収、洗浄を行い、生きた癌細胞が濃縮された濃縮液を得た。
図2に示した構造体の収容部に細胞懸濁液を導入し、基板間に交流電圧(電圧20Vpp、周波数10kHz〜10MHz、矩形波)を印加し、誘電泳動力により細胞を保持孔に捕捉した。
前記交流電圧を印加しながら、1個の保持孔に概ね1個の細胞が捕捉された収容部に0.01%ポリ−L−リジンを含む300mMマンニトール水溶液を導入し、3分静置後、前記交流電圧の印加を停止し、収容部の溶液を吸引除去した。なお、ポリ−L−リジンの作用により、細胞は保持部に静電気的に結合しているため、誘電泳動力がなくても洗浄により保持部から脱離することはない。
続いて、収容部へ50%エタノールと1%ホルムアルデヒドを含む水溶液(以下細胞膜透過試薬と呼ぶことがある)を導入し、10分静置することで細胞膜を透過させた。その後、収容部の溶液を吸引除去し、PBSを導入し、収容部内に残留した細胞膜透過試薬を洗浄した。
次に収容部へ800μLの細胞染色液(FITC標識抗CK抗体(Miltenyi Biotec)、PE標識抗CD45抗体(Beckman−Coulter)、DAPI(0.5μg/mL)を混合した細胞染色液)を送液し、細胞標識を行った後(25℃、30分)、マンニトール水溶液にて洗浄し、癌細胞を検出した。癌細胞および正常な白血球細胞はともに核を有しているためDAPIで染色され、赤血球や死細胞片などの核を有していないものは検出ソフトで排除した。癌細胞はCKを発現しているが、CD45を発現していないため、FITC標識抗CK抗体でのみ標識された。一方、正常な白血球細胞はCD45を発現しているが、CKを発現していないため、PE標識抗CD45抗体で標識された。
複数の保持孔に捕捉した全ての細胞を観察するために保持部全体の撮像を行った。これにはコンピューター制御式電動ステージ、電子増倍型冷却CCDカメラ(EMCCD;FLOVEL, ADT-100)を装備した蛍光顕微鏡(IX71; Olympus)を用いた。画像取得及び解析ソフトウェアにはLabVIEW(National Instruments)を用いた。処理後に保持孔に捕捉された正常白血球数は約30万個ほどであったが、癌細胞の検出に際しては妨げにならない量であった。また、癌細胞に関しては保持孔に捕捉されているため、保持部のスキャニングで全細胞数をカウントできた。血液中の癌細胞の検出率は、図7に示すように周波数100kHz〜3MHzの条件において、約90%検出できることが示された。
実施例5:展開工程における生細胞分離
蛍光標識試薬(株式会社同仁化学研究所製、商品名CFSE)で標識したヒト乳癌細胞(SKBR3)を4%ホルムアルデヒド水溶液より固定処理した後、PI標識した細胞懸濁液を図2に示した構造体の収容部に導入し、基板間に交流電圧(電圧20Vpp、周波数100kHz〜10MHz、矩形波)を印加することで誘電泳動力によるPI非標識細胞(生細胞モデル)とPI標識細胞(死細胞モデル)の捕捉率を比較した。その結果、PI非標識細胞(生細胞モデル)は周波数100kHz〜10MHzにおいて保持孔への捕捉率98%以上を維持した。一方、PI標識細胞(死細胞モデル)は、100kHzで99%の捕捉率であったが、1MHzで92%、3MHzで59%、10MHzで6%と周波数の上昇に伴い、捕捉率が低下したことから周波数3MHz〜10MHzにおいてより生きた癌細胞を選択的に捕捉することができる。
実施例6:国立癌研究センターでの乳癌臨床測定データ,CK陽性および陰性細胞のカウント、予後との相関
実施例1と同様にして、ステージIVの乳癌患者血液、生理食塩水、結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離、回収操作を実施し、生きた癌細胞を濃縮した。なお、密度差分離における遠心条件は2000×g、10分間、室温にて実施した。実施例5では、分離濃縮構造体の下側の筒状部材3に、密度が1.091g/mL、浸透圧380mOsm/kgを2mL注入した。遠心分離後、実施例1と同様にして、細胞の回収、洗浄を行い、癌細胞が濃縮された細胞懸濁液を得た。
図2に示した構造体の収容部に細胞懸濁液を導入し、基板間に交流電圧(電圧20Vpp、周波数1MHz、矩形波)を印加し、誘電泳動力により細胞を保持孔に捕捉した。
前記交流電圧を印加しながら、1個の保持孔に概ね1個の細胞が捕捉された収容部に0.01%ポリ−L−リジンを含む300mMマンニトール水溶液を導入し、3分静置後、前記交流電圧の印加を停止し、収容部の溶液を吸引除去した。続いて、収容部へ細胞膜透過試薬を導入し、10分静置することで細胞膜を透過させた。その後、収容部の溶液を吸引除去し、PBSを導入し、収容部内に残留した細胞膜透過試薬を洗浄した。
次に収容部へ800μLの細胞染色液(FITC標識抗CK抗体(Miltenyi Biotec)、PE標識抗CD45抗体(Beckman−Coulter)、DAPI(0.5μg/mL)を混合した細胞染色液)を送液し、細胞標識を行った後(25℃、30分)、マンニトール水溶液にて洗浄し、CTCを検出した。CTCおよび正常な白血球細胞はともに核を有しているためDAPIで染色され、赤血球や死細胞片などの核を有していないものは検出ソフトで排除した。また、CTCはCD45を発現していないが、CKを発現している細胞、発現していない細胞が存在するため、DAPI陽性、CD45陰性、CK陽性および陰性の細胞を画像処理により抽出した。正常な白血球細胞はCD45を発現しているが、CKを発現していないため、DAPI陽性、CK陰性、CD45陽性細胞を検出することでCTCと識別した。
複数の保持孔に捕捉した全ての細胞を観察するために保持部全体の撮像を行った。これにはコンピューター制御式電動ステージ、電子増倍型冷却CCDカメラ(EMCCD;FLOVEL, ADT-100)を装備した蛍光顕微鏡(IX71; Olympus)を用いた。画像取得及び解析ソフトウェアにはLabVIEW(National Instruments)を用いた。処理後に保持孔に捕捉された正常白血球数は10〜50万個ほどであったが、CTCの検出に際しては妨げにならない量であった。また、CTCは保持孔に捕捉されているため、保持部のスキャニングで全細胞数をカウントできた。乳癌患者検体(15症例)のCTC数を図8に示した。
なお、検出CTC数については先行技術であるCellSearchシステム(Janssen Diagnostics)との比較を行った。その結果、CellSearchシステムでは全15症例中5例でCTCが検出できなかったのに対し(陽性率:66.7%、診断閾値:>2個/7.5mL血液)、本発明方法では全症例でCTCsを検出できた(陽性率100%、診断閾値:>1個/3mL血液)。
実施例7 CK陽性および陰性細胞のカウント方法
実施例1と同様にして、ステージIVの乳癌患者血液、生理食塩水、結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離、回収操作を実施した。なお、密度差分離における遠心条件は2000×g、10分間、室温にて実施した。実施例6では、分離濃縮構造体の下側の筒状部材3に、密度が1.091g/mL、浸透圧380mOsm/kgを2mL注入した。遠心分離後、実施例1と同様にして、細胞の回収、洗浄を行い、癌細胞が濃縮された細胞懸濁液を得た。
図2に示した構造体の収容部細胞懸濁液を導入し、基板間に交流電圧(電圧20Vpp、周波数1MHz、矩形波)を印加し、誘電泳動力により細胞を保持孔に捕捉した。
前記交流電圧を印加しながら、1個の保持孔に概ね1個の細胞が捕捉された収容部に0.01%ポリ−L−リジンを含む300mMマンニトール水溶液を導入し、3分静置後、前記交流電圧の印加を停止し、収容部の溶液を吸引除去した。続いて、収容部へ細胞膜透過試薬を導入し、10分静置することで細胞膜を透過させた。その後、収容部の溶液を吸引除去し、PBSを導入し、収容部内に残留した細胞膜透過試薬を洗浄した。
次に収容部へ800μLの細胞染色液(FITC標識抗CK抗体、PE標識抗CD45抗体、DAPI(0.5μg/mL)を混合した細胞染色液)を送液し、細胞標識を行った後(25℃、30分)、マンニトール水溶液にて洗浄し、CTCを検出した。CTCおよび正常な白血球細胞はともに核を有しているためDAPIで染色され、赤血球や死細胞片などの核を有していないものは検出ソフトで排除した。また、CTCはCD45を発現していないが、CKを発現しているCTC(CK陽性CTC)、発現していないCTC(CK陰性CTC)が存在するため、DAPI陽性、CD45陰性、CK陽性および陰性の細胞を画像処理により抽出した。正常な白血球細胞はCD45を発現しているが、CKを発現していないため、DAPI陽性、CK陰性、CD45陽性細胞を検出することでCTCと識別した。
なお、複数の保持孔に捕捉した全ての細胞を観察するために保持部全体の撮像を行った。これにはコンピューター制御式電動ステージ、電子増倍型冷却CCDカメラ(EMCCD;FLOVEL, ADT-100)を装備した蛍光顕微鏡(IX71; Olympus)を用いた。画像取得及び解析ソフトウェアにはLabVIEW(National Instruments)を用いた。
また、処理後に保持孔に捕捉された正常白血球数は10〜50万個ほどであったが、CTCの検出に際しては妨げにならない量であった。上記手法にてCTC数のカウントを実施したが、一部の細胞においてDAPI陽性及びCD45陰性、CK陰性の細胞(白血球でない異常細胞であり、CKを発現していないCK陰性CTCと判断)が存在することを確認した。
以上、白血球でない異常細胞を含む、CTCの一連の検出フローを図9に示した。
1 分離濃縮構造体
2 筒状部材(上側)
3 筒状部材(下側)
4 キャップ
5 底部
6 連通開口端(分離部)
7 保持孔(貫通孔)
8 構造体
9 基板
10 上蓋基板
11 絶縁膜
12 遮光膜
13 収容部
14 導入口
15 排出口
16 電極(+)
17 電極(−)
18 櫛状電極
19 交流電源
20 光
21 検出部
22 導電線
23 細胞
24 誘電泳動力
25 密度勾配溶液
26 混合液
27 界面

Claims (6)

  1. 血液中の生きた腫瘍細胞の検出方法であって、
    血液試料から生きた腫瘍細胞を、
    比重が、1.091 〜1.093g/mL、かつ浸透圧が、380 〜 400mOsm/kgの範囲である密度勾配溶液、または
    比重が、1.077〜1.084g/mL、浸透圧が、300mOsm/kg の範囲である密度勾配溶液
    を用いて濃縮液を得る第1工程と、
    前記第1工程で得られた濃縮液を基板上に展開する第2工程と、
    前記基板上に展開された標的細胞を検出する第3工程と、
    を備えることを特徴とする血液中の腫瘍細胞の検出方法。
  2. 前記密度勾配溶液の比重が、1.091 /mL、かつ浸透圧が、380 〜 400mOsm/kgの範囲である、請求項1に記載の生物試料検出方法。
  3. 第1工程が、生物試料中の生細胞と死細胞との間の比重差を用いて濃縮する工程である、請求項1又は2に記載の生物試料検出方法。
  4. 第1工程が、一端は閉塞して底部を形成し、他端は開口した筒状の構造体と、開口を密閉するキャップからなり、前記構造体は2以上の筒状部材より構成され、分離部にて分離可能である構造体を用いて生物試料から生細胞を濃縮する、請求項に記載の生物試料検出方法。
  5. 前記基板上に複数の保持孔が設けられており、
    前記濃縮液に含まれる生物試料細胞を誘電泳動力により基板上に展開する、請求項1〜のいずれか一項に記載の生物試料検出方法。
  6. 前記標的細胞が、循環腫瘍癌細胞(CTC)である、請求項1〜のいずれか一項に記載の生物試料検出方法。
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