JP6638031B2 - 基板をボンディングする装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1に記載した、第1基板のボンディング面と、第2基板のボンディング面との間の導電性の直接接合を形成する装置、および、請求項7に記載した対応する方法に関する。
特に、金属製または金属化された複数の基板、金属化された表面を有する複数の基板、複数の半導体基板または複数の化合物半導体基板をボンディングする際には、ボンディングすべき基板のボンディング面の酸化が重要な役割を果たす。なぜならば酸化によってボンディングプロセスが難しくなるからである。酸化物は、機械的および/または電気的に高品質の接触接続部の形成を阻止するかこれを低減する。これに付随するのは特に、長時間の高温加熱および冷却時間に起因してスループットが悪化することであり、また、ボンディング時の温度が高くなるかまたはこれを高くしなければならないのに伴い、温度差による膨張が、複数の基板の相互の配向ないしは位置調整精度に与える影響が大きくなることである。さらに例えば所定のMEMSおよび/または半導体デバイスでは、例えばマイクロチップまたはメモリチップなどでは、高いプロセス温度は使用できない。
従来技術では、上記の複数の基板上に形成されひいてはボンディングプロセスによる複数の基板の最適なボンディングを阻止するかまたは少なくともこれを困難にする酸化物を除去するため、特に湿式エッチングプロセスが使用されている。この湿式エッチングプロセスでは主にフッ酸またはフッ酸を含有する混合物が使用される。酸化物を還元した後、水素原子が終端をなす表面が発生する。この疎水性の表面は、いわゆるプレボンド(英語:pre-bond)を形成するのに好適である。しかしながら2つのウェハを永続的に互いに接合したい場合には、還元プロセスによって発生しかつ基板表面の終端をなす水素をボンディング境界面から除去し、2つの基板表面、例えばシリコン表面間の永続的な接合が得られるようにするため、温度を上げてウェハ積層体を熱処理する必要がある。この基板積層体は、表面を接触接続させた後、熱処理される。シリコンウェハは、このような永続的な接合を保証するため、例えば約700℃の温度で熱処理される。このタイプの方法は、特に多層の金属、半導体、ガラスまたはセラミック接合体を作製するのに使用される。特に重要な応用分野は、光起電力多層セルおよびフォトニック結晶、特にケイ素製のフォトニック結晶の作製である。
多層セルの作製における複数の主な制約のうちの1つは、個々の半導体材料の格子構造の大きさおよび形状が互換性を有してないことである。このことは、複数の層を上下に直接成長させることによって個々の層を作製する際に、結果的に得られる半導体層の欠陥に結び付く。これらの欠陥は、形成される層の品質を損ない、特に光を電気エネルギに変換するための達成可能な効率を損なう。この効率は、量子効率(英語:quantum efficiency)とも称され、太陽電池に対し、所定の波長の吸収される光子の個数に対する光プロセスによって使用可能な電荷担体の比を定める。ここから実践的に以下のパラメタについての制限が発生する。すなわち、
a) 構造体において実現可能な活性層の個数。これは、上で説明した問題に起因して今日2つないし最大で3つの層に制限される。
b) 最適な波長領域についての個々の層の最適化。今日、実践的に可能でないのは、波長領域およびこれに付随した光を電気エネルギに変換するための変換特性について、完全に自由に個々の層を最適化することである。なぜならば格子構造の互換性についてつねに妥協しなければならないからである。
c) より好都合な材料の使用。所定の波長に対して望ましいと考えられるのは、例えばケイ素またはゲルマニウムを使用することである。なぜならばこれらの材料により、効率とコストとの間の理想的な妥協が可能になるからである。しかしながらこれらの材料は使用できないことが多い。なぜならば格子構造が、セルに使用される他の複数の構造体と十分に互換性を有してないからである。
後続のボンディング過程の前の酸化物処理、特に酸化物除去はフッ酸によって行われることが多い。酸化物除去の後、表面のコンタミネーションおよび特に酸化物の再生が行われることがある。
これに関連した別の問題はまた、酸化物除去と、基板の後続処理との間の待機時間が異なると、ボンディングされる基板積層体のプロセス結果が異なってしまうことである。
従来の方法の別の欠点は、エッチングすべき酸化物にエッチングプロセスを合わせなければならないことである。したがって場合によっては、異なる半導体材料に対し、異なるエッチング化学物質も必要である。
さらに場合によっては、後続処理までの待機時間、プロセス周囲条件(例えばO2がないおよび場合によって水もない不活性の雰囲気)の種類についてのプロセス要求も材料に応じて異なる。このような理由から、種々異なる材料からなる異なる複数の基板をボンディングするボンディング装置は極めて複雑になってしまう可能性がある。付加的には、種々異なる材料に起因する種々異なる要求により、製造に新たな材料を導入しようとすれば、大きなプロセス開発コストも発生してしまい得る。
酸化物除去の別の可能性として、すでに上で挙げた化学プロセスの他に物理的なプロセスがある。酸化物除去のための最も重要な物理プロセスのうちの1つは、スパッタリングである。スパッタリングとは、イオン化されたスパッタリングガスの、イオン化されかつ電場および/または磁場によって加速された原子の衝突プロセスによって基板の表面の原子を除去することである。
しかしながらスパッタリングの際には、このプロセスによって内在的に粒子が形成されるという欠点がある。なぜならば、物理的なプロセスによって表面から材料を除去することがこのプロセスの性質であるからである。この材料は、プロセスチャンバの様々な箇所に堆積し、この箇所から昇華することにより、ボンディングすべき基板に堆積するかまたは直接、再度基板上で昇華するかのいずれかである。これらの粒子は、最適な、すなわちボイドのないボンディング結果の妨げになる。さらにスパッタリングプロセスに対しては、基板の表面から材料を除去できるようにするため、極めて大きなイオンエネルギが必要である。これにより、イオンの一部は基板に打ち込まれ、これによって表面の近傍で層が損傷されることになる。この損傷された層は一般に、数nmの厚さ、典型的には5ないし10nmの厚さにもなり得る。しかしながらこれらの損傷は、電気的および光学的なパラメタの特性についてボンディング接続部にマイナスに作用し得るため、これらの損傷は望ましくなく、実践的には問題である。
多層セルを製造する際の別の基本的な問題は、多くのプロセスについて一般的な熱処理である。この熱処理は、100℃と700℃との間の温度で行われる。このような高い温度では、使用される原材料は機械的に大きな負荷がかかる。この機械的な負荷は、温度差が大きい場合、特に複数の熱応力によって特徴付けられる。これらの熱応力は、熱膨張係数および温度差に依存する。複数の原材料がボンディング境界面に沿って互いに溶接されているため、これらの原材料が互いに自由に膨張できない場合、熱膨張係数の差は、温度差がある場合、相応に大きな熱応力を発生させることになる。原材料の選択は、別の周囲条件によってなされることが極めて多いため、熱応力は、プロセスステップ内で温度差を可能な限りに小さくすることによってのみ回避することができる。
ここでさらに述べておきたいのは、異なる格子パラメタおよび/または異なる熱膨張係数を有する複数の材料の一体化を行おうとするために、ボンディングプロセスによって最大の利点を提供しようとしている材料組み合わせがまさに、熱処理プロセスと最も互換性がないことである。なぜならばまさにこの際には大抵、熱膨張の最大の相違が発生するからである。
したがって本発明の課題は、ボンディングプロセスを一層効率的かつ高品質に実行することができるボンディングのための装置および方法を提供することである。
この課題は、請求項1および7の特徴的構成によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。本発明には、明細書、特許請求の範囲および/または図面に示された複数の特徴的構成のうちの少なくとも2つの組み合わせからなるすべての組み合わせも含まれる。ここに示す値の範囲において、挙げられた境界内にある値も、境界値として開示されまた任意の組み合わせで請求できるものである。
本発明には、基板の酸化物層をプラズマ処理する装置および方法が記載されている。このプラズマ処理は、本発明において完全な除去、部分的な除去および/また酸化物層の化学量論の変化、および/または、全体層または少なくとも表面近傍の層の非晶質化のいずれかに結び付き得る。
本発明によって特に、プラズマチャンバにおける酸化層のin-situ加工が可能になり、このプラズマは、少なくとも1つの還元性ガス、特に水素からなる。
本発明による装置および本発明による方法により、酸化物の処理と、後続のボンディングプロセスとを完全に、雰囲気に対して密閉した作業チャンバにおいて、ないしは、作業チャンバに接続されたモジュールにおいて実行することができるため、酸化物を処理した後、表面が新たに酸化されることが阻止される。
本発明には、
(1) プラズマチャンバ内で還元性ガスを用いて、所期のように変化させた酸化物層を有する複数の基板を作製し、
(2) これらの基板を真空環境において、特に高真空環境においてボンディングモジュールに搬送し、
(3) これら基板をボンディングモジュールにおいて互いにボンディングできるようにする装置および方法が記載されている。
本発明において変化とは、
・ デポジット中および/またはデポジット後に酸化物の化学量論比を変化させること、および/または、
・ 所望の新しい酸化物層厚さまで、既存の酸化物層の所定の量を取り去ること、または、
・ 酸化物層を完全に除去すること、および/または
・ 酸化物層を非晶質化すること
と理解される。
これは、還元性ガスを含むプラズマに基板を曝すことの可能な装置によって実現される。ここでは特にH2が、少なくとも1つの第2の、特に不活性ガスとの混合物で使用される。有利な変形形態として判明しているのは、H2/Ar混合物の使用である。
ガス混合物H2/Arは、アルゴンと酸素との間の質量比によって最適である。酸素よりも若干重いアルゴン原子は、プラズマによってイオン化され、還元すべき酸化物に向かって加速され、この酸化物を運動エネルギによって物理的、特に機械的に砕く。これによって自由になった酸素はつぎに水素分子、水素イオンまたは水素ラジカルによって相応に捕捉される。これによって形成される熱力学的に比較的安定な水はつぎに、金属酸化物への逆反応を阻止するため、表面から取り除かれる。ヘリウムは、その質量が小さいことによって不適当である。ネオン原子は、酸素原子よりも質量が大きいが、ほんの違いはわずかである。クリプトンおよび別の希ガスは、コストがかかりすぎかつ希少すぎるため、酸化物の破砕には経済的に見合わない。
本発明による別の還元性ガスは、例えば、
・ 窒素酸化物、および/または、
・ 一酸化炭素、および/または、
・ メタン、および/または、
・ 水素、および/または、
・ 酢酸蒸気、および/または、
・ クエン酸蒸気
である。
不活性ガスとして、例えば、
・ キセノン、および/または、
・ アルゴン、および/または、
・ ヘリウム、および/または、
・ 窒素、および/または、
・ 二酸化炭素
が使用される。
基板は、プロセスチャンバにおいて、例えば真空中でプラズマに曝される。これによって酸化物層に変化が起こる。この変化は、酸化物の化学量論比の変化、および/または、所期かつ所望の値までの酸化物層厚さの除去、または、酸化物の完全な除去、または非晶質化のいずれかによって発生する。
プラズマのイオンエネルギは、1000eV未満、好適には500eV未満、より好適には250eV未満、さらにより好適には150eV未満であり、最も好適には30eVと150eVとの間である。
引き続き、上記の複数の基板は、同じボンディングモジュール内、または、有利には専用に構成された独自のボンディングモジュール内のいずれかで、互いに整列されて互いに接触接続される。ここでこれらの基板がボンディングされる。このボンディングは、オプションで力を加えることによってさらに促進され、これによってこれらの基板が全面にわたって確実に接触接続されることが保証される。ここでプラズマモジュールとボンディングモジュールとの間の搬送は、移動装置によって高真空環境において行われる。これらの基板は有利にはロボットによって搬送される。
本発明では、2つの基板のボンディングプロセスの前に、1つの基板の表面だけを処理するか、または、2つの基板の表面を処理するかのいずれかを行うことが可能である。
発明の利点
・ 高速である、
・ 種々異なる多くの基板材料および酸化物タイプに対して汎用的に使用可能である、
・ プロセス結果が再現性を有する、
・ 表面の汚染を阻止する高真空においてプロセスを実行することにより、生産物の品質が高い、
・ 環境負荷が小さい、
・ コスト的に有利である、
・ 廃棄処理しなければならない廃棄生産物がない、
・ 打ち込みに起因して基板表面が理想的には全く損傷しないか、もしくは、わずかだけ損傷するか、または、少なくとも正確に位置調整可能な損傷が基板に生じる。
本発明の着想は、少なくとも表面近傍の領域において、酸化物を処理することにあり、例えば、プラズマ装置内の還元性ガスおよび/またはガス混合物により、酸化物の化学量論比を所期のように設定すること、および/または、酸化物を非晶質化することにある。したがって本発明では、原子ガスおよび/または分子ガスが使用される。
本発明は基本的に、プラズマの還元性雰囲気内で基板を処理することに基づいている。このために基本的には、ボンディング面に存在する酸化物の酸化物還元を生じさせるのに適した、少なくとも1つのガスからなるすべての雰囲気が考えられる。
入手可能性および魅力的なコストに起因して、本発明ではH2を使用するのが好適である。複数の酸化物が半導体基板上でH2によって還元できることが文献において公知である。しかしながらこのためには一般的に極めて高い温度(>600℃)が必要である。このことは多くの基板にとって、特に複合的な化合物半導体基板にとって受け入れることができない。なぜならば、最悪の場合、材料の分解(例えばGaAsは400℃で分解する)が生じるか、または、拡散プロセスによって少なくとも、層構造の変化が生じるからである。したがって本発明の重要な一様相は、酸化物還元が低い温度で、最善には200℃未満で、好適には150℃未満で、さらに有利には100℃未満で、最も有利には室温で行われ得るようにプロセスを構成することにある。
これを可能にするため、選択された雰囲気からプラズマを点火する。このプラズマ内に形成されかつ基板に衝突するイオンのイオンエネルギに起因して、十分なエネルギが供給されるかないしは利用可能になるため、上記の反応を極めて低い温度で、有利に室温で生じさせることができ、かつ/または、酸化物の非晶質化が行われる。これにより、熱負荷について、材料を大いにいたわって加工することができる。
パラメタ設定することにより、同じ基本着想によって、基礎となる化学を変更することなく、多数の種々異なる基板を加工することができる。有利には、プロセスチャンバ用のガス供給システムの一部であるガス混合システムを用いて、2つまたはそれ以上のガスからなるガス混合物を式に依存して調整し、種々異なる基板に適合させることができる。
基本的には上記プロセスを実行するため、あるゆるタイプのプラズマチャンバが考えられる。これには、CCPチャンバ(英語:"capacitively coupled plasma"、容量結合プラズマチャンバ)、ICPチャンバ(英語:"inductively coupled plasma"、誘導結合プラズマチャンバ)およびリモートプラズマチャンバが含まれる。
しかしながら本発明では、構造が簡単であることと生産性が高いことに起因してCCPチャンバが有利である。電極間の間隔は、2mmよりも大きく、有利には6mmよりも大きく、さらに好適には9mmよりも大きく、さらに一層好適には12mmよりも大きく、最も好適に16mmよりも大きい。本発明では特に、下側電極が同時に基板ホルダとして構成されるようにする。この基板ホルダは同時に真空試料ホルダとしても、択一的かつより有利には静電式試料ホルダとして構成することができる。さらに、基板の(緩やかな)温度変化を可能にする加熱および/または冷却素子を組み込むことも考えられる。
上側電極に印加される交流電圧の周波数は好適には、下側電極に印加される交流電圧の周波数よりも高い。これらの周波数間には有利には、少なくとも10倍の、さらに有利には少なくとも100倍の、さらに一層有利には少なくとも250倍の違いがある。これにより、これらの周波数の相互の影響を低減することができる。高い方の周波数は、例えば、13.56MHzまたは27MHzの値をとることができるのに対し、下側電極に供給することができる周波数は、例えば40kHz,100kHzまたは400kHzをとり得る。この装置において、高い方の周波数はもっぱら雰囲気のイオン化に結び付くの対し、低い方の周波数は、基板表面へのイオン加速に結び付く。これにより、プラズマの密度およびイオンが基板に衝突するイオンエネルギおよびを別々に設定することができる。これによってこのプロセスをより良好に制御できるため有利である。なぜならば本発明ではイオン密度およびイオンエネルギを別々にかつ互いに依存せずに調整可能できるからである。
Siウェハの酸化物を還元するための有利な一実施形態において、上側電極の交流電圧の周波数は、13.56MHzであり、下側電極の交流電圧の周波数は80kHz〜120kHzである。上側電極および下側電極に対する電力は、例えば50W〜500Wである。ガス混合物として有利にはH2/Arからなる混合物が使用され、その濃度値は、100%H2/0%Arと、0%H2/100%Arとの間にあり、特に1%を上回る、取るに足るような別の成分を有しない。上記の濃度は有利には80%H2を下回り、さらに有利には60%H2を下回り、さらに一層有利には40%H2を下回り、最も有利には20%H2を下回る。
均一なプロセス結果を保証するため、ガスの供給はプラズマチャンバの周囲にわたって均一に分散して行われる。同様にプラズマチャンバからのガスの吸い取りは、均一な形態で、特に周囲に分散された出口を通して行われる。プラズマ処理プロセス中、このチャンバには連続してガス混合物が通流し、これによって還元時に発生する反応生成物、特にH2Oがこのチャンバから搬出される。このことは重要である。なぜならば、一層良好な酸化物還元のために特に、H2OによるSiの新たな酸化よりも多くの還元反応が行われるようになるからである。ウェハにわたるこの反応の均一性を保証するため、特に、このプロセス中にチャンバ内で均一にガスが流れるようにし、この結果、プロセスガスの濃度の均一になるようにする。
粒子が基板表面に衝突するイオンエネルギは、下側電極によって主に制御される。このエネルギは、一方において基板表面における酸化物の処理を成功させるように、また、他方において基板表面およびこれに伴う損傷が最小になる最小の打ち込みだけが行われるように小さく選択される。
しかしながら他方では、機械的な頑強さの比較的弱い層を形成するため、基板表面の調整可能かつ制御された損傷を形成することが所望されることがあり得る。このようにすることよって好適にも、複数の基板を接触接続した後、高い押圧力に基づく圧縮によって表面間のナノ間隙を閉鎖することができる。表面に加わる圧力は、0.01MPa〜10MPaであり、好適には0.1MPa〜8Maであり、さらに有利には1MPa〜5MPaであり、最も有利には1.5MPa〜3MPaである。これらの値は、流通している200mm基板に対して、1kN〜320kNの力の印加におおよそ対応する。この制御された損傷により、本発明では有利にも、酸化物または少なくとも表面近傍の酸化物領域の非晶質化が行われる。表面の非晶質化は有利にはイオンエネルギを調整することによって行われる。この非晶質領域は、酸化物層全体を包囲することできるが、有利には表面近傍の領域に制限される。この非晶質層の厚さは特に、10nm未満であり、好適には5nm未満であり、さらに好適には1nm未満であり、最も好適には0.1nm未満である。
好適には、プロセス経過中、まず酸化物還元に最適なガス混合物によってこのプロセスを開始し、酸化物還元が成功した後、このガス混合物を変化させ、表面を所期のように損傷させるのに最適な混合物に置き換えることが考えられる。これは、上記のプロセスの間に動的に行うことができ、特にソフトウェアで支援された制御装置によって行うことができる。
ガス混合物の上記の交換は、下側および/または上側電極に対する周波数発生の設定の適合化を伴うことも可能である。これによって好適にも、下側および/または上側の周波数発生器の電力を適合化し、これらの発生器に対する電圧および電流境界値を変更し、周波数を変化させることができる。ここでもこれを上記の制御装置によって動的に行うことができる。これらのパラメタを用い、損傷される層の厚さ、損傷の密度、および場合によって打ち込まれるイオンの種ないしは調量を設定することができる。
したがって上記の損傷には多くの場合、表面近傍領域の非晶質化も伴うのである。
酸化物が除去されるのが半導体基板である場合、上記の還元によって一般的に、その下にある単結晶または少なくとも結晶質の(MO CVDによって欠陥、例えば成長欠陥の少ない)半導体ウェハが露出する。
したがって一般的なプロセスフローは、複数のボンディング層のうちの少なくとも1つの変化のために、例えば酸化物還元のためにプラズマチャンバに基板をセットすることと、酸化物還元プロセスと、基板の最も上の層を所期のように変化/損傷させるためのオプションのプロセスとから構成される。
複数の基板はさらに高真空環境の作業空間においてボンディングチャンバに搬送され、そこで互いに機械的および/または光学的に位置合わせされて接触接続させられる。オプションではこれらに(大きな)力が加えられて互いに圧縮される。引き続いてこれらの基板を取り出すことができる。本発明においてこのボンディングチャンバは、上記のプラズマチャンバと同じものすることが可能であり、すなわち、ボンディングプラズマチャンバとすることが可能である。
本発明において上記の高真空環境は、特に1×10-5mbar、より有利には5×10-6mbar,さらにより有利には1×10-6mbar,極めて有利には5×10-7mbar,最も有利には9×10-8mbar未満の圧力を有する。
別の実施形態において本発明による還元プロセスは、酸化物の完全な除去に使用されるのではなく、この酸化物の正しい化学量論比を調整するのに使用される。これによって特に、酸素に結合する1つまたは複数の元素を過剰に有する層を形成することができる。例えば、酸化ケイ素は、化学量論的に正しい形態のSiO2ではなく、化学量論的でないSiO2-xになっている。したがって一般的には、例えば、化学量論的でない組成SiO2-xが生じるのであり、ここでxは0〜2である。類似の考察は別の酸化物にも当てはまる。この非化学量論性は結晶物理学的には結晶格子において酸素原子がその位置にないことであると理解することできる。酸素原子がないことにより、原子空孔密度が高くなる。原子空孔それ自体は、あらゆるタイプの輸送過程に重要な意味を持つ。
別の実施形態では、酸化物を完全に除去するために本発明による還元プロセスを使用するのではなく、所定の層厚の酸化物層を作製するために使用する。ここでは、本発明による還元プロセスにより、すでに存在する酸化物層を所望の層厚まで除去する。このようにして形成された層はつぎに、例えば国際公開第2012/100786号(PCT/EP2011/000299),国際公開第2012/136267号(PCT/EP2011/055470),国際公開第2012/136266号(PCT/EP2011/055469),国際公開第2012/136268号(PCT/EP2011/055471)に開示されたプロセスに使用することができる。本発明では、酸化物は、除去プロセスの前、1nmより大きく、好適には100nmより大きく、さらに好適には10μmよりも大きく、さらに一層好適には100μmよりも大きく、最も好適には1000μmよりも大きい。除去プロセスの後、この酸化物は、好適には100μmよりも小さく、より好適には10μmよりも小さく、さらに一層好適には100nmよりも小さく、極めて好適には10nmよりも小さく、最も好適には1nmよりも小さい。
酸化物層の所期の変化は特に、より最適なハイブリッドボンディングを作製するためにも使用される。ハイブリッドボンディングは、ここでも導電性領域および非導電性領域からなる2つの表面間の接合である。導電性領域とは主に金属からなる領域、特に銅からなる領域のことであり、これに対して非導電性領域とは主に酸化ケイ素のような誘電体からなる領域のことである。誘電性領域および電気的な領域は特に、同じレベルにまで研磨されるため、複数の電気的な領域は、1つの誘電体によって完全に包囲され、ひいては周囲から絶縁される。このような2つのハイブリッド表面の配向、接触接続およびボンディングにより、ハイブリッドボンディングが形成され、したがって有利には導電性領域と非導電性領域が互いにボンディングされる2つの基板間の接続が形成される。
本発明の基板は特に、ボンディング面にCu−CuボンディングがあるSi基板であり、このような複数のSi基板が、プロセスのさらに別の工程においてボンディングされる。本発明では択一的に、例えばAu,W,Ni,Pd,Pt,Snなどからなる別の金属層、または、複数の金属からなる組み合わせを使用することができる。このような例は、AlでコーティングしたSiウェハ、CuおよびSnでコーティングしたSiウェハ、TiでコーティングしたSiウェハ、または、Cuと、産業的には一般的である、Cuの下にありかつ例えばTi,Ta,W,TiN,TaN,TiWなどからなる当業者には公知の障壁層とによってコーティングされたSi基板が使用され、ここでこの障壁層は、SiへのCuの注入拡散を阻止しようとするものである。このような拡散バリアは、この分野の当業者には公知である。
これによれば、本発明において重要であるのは、周囲から、すなわち、酸化性雰囲気から、特に密閉した有利には気密に閉鎖可能な作業空間と、対応してこれに接続される複数のモジュールとを設け、これらのモジュールにおいて、ボンディング面上、有利に基板全体上に場合によって存在する酸化物層の還元も、ボンディングも共に実行できるようにすることである。これにより、本発明では、還元とボンディングプロセスとの間でボンディング面の新たな酸化が行われることを阻止することができる。基板の性質、特に基板上に存在する金属コーティングの性質に応じて、雰囲気の種々異なる成分が酸化的に作用し得る。しかしながら多くの場合、酸素および酸素を含有する化合物は、酸化性の作用を有し得る。したがって特に作業空間では、還元性の媒体組成を使用するのに加えて、酸素および水/水蒸気の濃度を大きく低減するかまたは近似的にゼロにする。作業空間は複数のモジュールを接続しているため、基板を再び雰囲気に曝すことなく、モジュールグループの複数のモジュール間で基板を搬送することができる。作業空間にただ1つのモジュールしか接続されていないが、このモジュールが本発明にしたがって必要なすべての作業を実行することができる実施形態も考えられる。この場合、この作業空間は、ロードおよび取り出し作業だけに使用される。
本発明において特に考えることができるのは、さらにプロセスを最適化するため、付加的なモジュールを作業空間に接続することであり、これは、特に作業空間においてボンディングすべき基板の前および/または後処理、および/または、物理および/または化学的な特性を測定するために行われる。重要なステップは、加熱、還元、配向(アラインメント)、冷却、層厚測定、ボンディング強度測定などとすることが可能である。
作業空間の周りに、特に移動装置を含んで、特に還元モジュールおよびボンディングモジュールのような本発明による別の複数のモジュールが配置されている場合、特に有利にも本発明によって上記を実行することができ、これらのモジュールは、特に作業空間にドッキングすることができる。この移動装置は、好適には、対応するエンドエフェクタを有する市販の産業ロボットである。ここではこれらのモジュールは特に、中央モジュールの周りに星形またはクラスタ形に配置されるかまたは配置することができる。
最も理想的なケースでは、還元モジュールおよびボンディングモジュールを構成して、上記のプロセスステップについて全体装置のスループットが最大化されるようにする。
特に有利な実施形態では、ボンディングモジュールの前に少なくとも2つのモジュールを配置する。これらのうちの少なくとも1つは還元モジュールであり、第2のモジュールは一種の貯蔵モジュールである。ボンディングチャックは、載置されたウェハと共に還元モジュールにロードされて処理される。その後、このボンディングチャックは、貯蔵モジュールに一時的に貯蔵されて、いつでもボンディングに直ちに使用することができる状態になる。特別な実施形態では、貯蔵モジュールを還元モジュールとして構成することも可能である。この還元モジュールは有利には、複数のボンディングチャックおよび/または複数の基板を同時に収容できるように構成される。
本発明の特に独自な様相は、どのようにしてこれらの層を導電性かつ光学的に透過な形態で、同時にコストに有利なプロセスによって積層できるかにある。さらに、これに必要な基板の準備を説明する。
ここで説明する方法は好適には、多層太陽電池を積層するのに適している。しかしながら択一的にこの方法は、任意の(特に光学的な)材料、特に半導体材料、ガラスおよびセラミック間の光学的に透過でありかつ導電性の複数の接続が必要な、任意の別の構造およびコンポーネントを形成するために使用することができる。このような部門では、照明、通信、材料加工のような多くの適用分野において、LEDおよびレーザのような固体光源が重要度が大きく増しているのに起因して、ますます多くの応用が増大している。ディスプレイ製造の部門においても新たな、革新的な製造技術がその重要度を増している。なぜならば、接触検出(タッチスクリーンの領域におけるフィードバックなど)の付加的な機能をディスプレイに組み込みたいからである。
本発明の利点は特に、
・ 導電性、光学的に透過なボンディング境界面ないしは接続層、
・ 極めて薄く、頑強かつ長時間安定なボンディング境界面または(複数の)層、
・ 温度耐性のあるボンディング境界面ないしは(複数の)層、
・ 高効率(製造が高速かつコスト的に有利である)
である。
本発明の中心的な、特に独自の様相は、基板間に導電性かつ光学的に透過な接続層を作製するために透明かつ導電性の酸化物を利用することである。上記の接続は、特にウェハボンディングにより、有利には直接接合法により、さらに有利にはプラズマ活性を伴う直接接合法によって作製される。
(英語では"Transparent Conductive Oxid"または略して"TCO"とも称される)透明酸化物導電体として、特に(英語:"Indium-tin-oxid"または略して"ITO"とも称される)酸化インジウムすずが使用される。ここでは以下、酸化インジウムすずに略称ITOを使用する。ITOは、光学的に透過な導電体が使用されるLCDディスプレイの製造において広く使用されている。択一的には以下の材料が使用される。すなわち、
・ ドーピングされた酸化亜鉛、特にアルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(英語:"Aluminium doped Zinc Oxide",略して"AZO")、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(英語:"Gallium doped Zinc Oxide",略して"GZO"),
・ フッ素がドーピングされた酸化亜鉛(英語:"Fluorine Tin Oxide"、略して"FTO")、および、
・ アンチモン酸化すず(英語:"Antimony Tin Oxide",略して"ATO")が使用される。基本的には、酸化可能であり、かつ、特に所望の特性、特に導電性および光学的な透過性を備えた、対応するドーピングを有する任意の材料を使用することができる。
本発明では、この関連において、材料が10e1 S/cmよりも大きい、有利には10e2 S/cmよりも大きい、さらに有利には10e3 S/cmより大きい(300Kの温度について半導体技術において一般的である4探針法によって測定した)導電率を有する場合に、導電性があるという。一般的な使用において層を通過する所定の波長領域の光のパーセンテージとして定義される光学的な透過度(透過率)は、一般的に使用される厚さの薄膜を通して、少なくとも80%よりも大きく、好適には87%よりも大きく、さらに好適には93%よりも大きく、さらに一層好適には96%よりも大きくなる。
本発明では、300nm〜1800nmに及ぶ波長領域が有利にも光起電力応用に使用される。すなわち、関連する波長領域はいずれにせよ、人間の眼に見える波長領域よりも広いのである。これによって保証しようとしているのは、光のUV成分および光のIR成分も電気エネルギに変換できることである。多層太陽電池では、最も上の層はすでにこのスペクトルの一部分を処理し、ひいては電気エネルギに変換するため、上記のボンディング接続部が、透過が可能になる波長領域がやや狭い場合であってもこれを受け入れることができる。したがって特に上記の透過値は、少なくとも、600nmよりも長い、好適には500nmよりも長い、さらに好適には400nmよりも長い、最も好適には350nmよりも長い波長に当てはまるようにする。さらにこれらの透過値は特に、最小波長から出発して、最大で1300nmまでの、好適には最大1500nmまでの、さらに好適には最大1700nmまでの、最も好適には最大1800nmまでの全体波長領域に当てはまるようにする。
上記の酸化物は、本発明では特に以下の方法を用いて、接続すべき基板上に被着される。すなわち、
・ MO CVD,有機金属分子線デポジット、
・ 噴霧熱分解、パルスレーザ堆積法(PLD)または
・ スパッタリング
を用いて被着されるのである。
層の所望の特性を保証するため、本発明においてクリティカルであるのは、正確な混合比を保証することである。特に酸素の割合は、上記の酸化物のいくつかにおいて光学的な透過率を改善することができ、この際に保証しなければならないのは、酸素の割合が高くなり過ぎないようにすることである。なぜならばそうでないと、導電率が低下してしまうからである。
一般的にはボンディング接続部(接続層、ボンディング境界面とも称される)が作製され、ここでこれは、ボンディングすべき基板上に前駆体層構造体をデポジットすることによって行われる。引き続いて特に室温において、層をプラズマ活性化して接合し、これによってプリボンディング(一時的なボンディング)が得られる。これに続く熱処理プロセス(アニーリング)中、前駆体層構造体が、透明酸化物導電体からなる層に変換され、同時に上記のボンディング接続部が強化される。特に有利にも少なくとも表面領域に存在する非晶質層は、ボンディングプロセスに作用し得る。対応する力を加えることにより、表面近傍の領域を成形することができ、この成形により、マイクロおよび/またはナノポアの最適な閉鎖が保証される。
フォーミングガスを使用する際には特に、スパッタリングおよび酸化物還元に基づく1つのプロセスによって酸化物層を本発明にしたがって変化させ、特に完全に除去することできる。
この手段とは択一的にまたは付加的に、本発明において有利であるのは、酸化物層の変化と、接触接続との間の時間を最短化することであり、特に2時間未満、有利には30分未満、さらに有利には15分未満、理想的には5分未満に最短化する。これにより、酸化物層を所期のように調整した後に発生する、不所望かつ変化性の酸化物成長を最小化することができる。
真空チャンバにおいて所定の圧力を設定することにより、プラズマイオンに対する平均自由経路長の変更ないしは調整を本発明によって行うことができる。
容量結合の場合、2つの電極をプラズマチャンバ内に配置すると有利である。
ここでは、2つの電極の(種々異なる)周波数、振幅、一方の、特に有利には第2の電極に加わるバイアス電圧だけ、および、チャンバ圧力のパラメタを設定することにより、2つのコンタクト面の最適な衝突が行われる。
容量結合の2重周波数プラズマ設備として上記プラズマ活性装置を構成することによって好適にも、イオン密度およびウェハ表面に向かうイオンの加速度を別々に設定することができる。これによって1つの幅の広い窓内で、達成可能なプロセス結果を設定し、応用の要求に最適に適合させることができる。
上記のバイアス電圧は特に、第2の、殊に下側の電極の基礎電圧の形態で、第2電極上に収容される基板の接触接続面への電極の衝突(速度)に影響を及ぼすため、特に減衰または加速するために使用される。
上記のパラメタにより、特に非晶質層の品質が調整可能であり、以下では特に有利な実施形態を説明する。
誘導結合のプラズマ源において、容量結合の交流電圧についての対応する類似の考察を、磁場を形成するために利用される複数の交流電流に取り入れることができる。本発明では、誘導結合のプラズマ源のプラズマを、異なる強度および/または周波数の交流電流ないしは交番磁場によって操作して、このプラズマが、対応する本発明の特性を有するようにすることも考えられる。
リモートプラズマでは、実際に使用されるプラズマは、外部のプラズマ源において形成され、試料室に導入される。特にこのプラズマの成分、特にイオンはこの試料室に搬送される。プラズマ源から基板室に至るプラズマの移行は、スルースゲート、加速器、磁気および/または電子レンズ、絞りなどのような種々異なる部材によって保証することができる。電場および/または磁場の周波数および/または強度についての、容量および/または誘導結合式プラズマに当てはまるすべての考察は、形成および/またはプラズマ源から基板チャンバへのプラズマの移行を保証するすべての部材に対して当てはまるはずである。例えば、本発明のパラメタによる容量または誘導結合によってプラズマ源室においてプラズマが形成され、その後、上で示した部材を介して基板室に進入することが考えられる。
本発明の別の有利な実施形態では、一般的には300℃未満の、好適には200℃未満の、より好適には150℃未満の、さらに好適には100℃未満の温度において、最も好適には室温において、特に最大12日、より有利には最大1日、さらにより有利には最大1時間、最も有利には最大15分の間、非可逆的なボンディングの形成が行われるようにする。別の有利な熱処理法は、マイクロ波による誘電加熱である。
ここで特に有利であるのは、この非可逆的なボンディングが、1.5J/m2よりも大きい、特に2J/m2よりも大きい、有利には2.5J/m2よりも大きい接合強度を有する場合である。
光起電力設備を用いた太陽エネルギの利用は、ますますその重要性を増している。なぜならば化石エネルギキャリアは、中期的にかろうじて足りている状態であり、さらに産出および利用において、特に温室効果への影響によって大きな環境問題になっているからである。純粋に経済的な見地から光起電力の競争力を高めるために必要なのは、同じコストまたは最大でもほどほどのコスト上昇で、光の変換効率を改善することである。しかしながら、達成可能な効率には限界がある。これらの限界は主に、個々の半導体材料により、限定された波長領域の光だけしか処理されず、電気エネルギに変換することができないという制限に起因している。
多層太陽電池、または、一層もしくは英語の表現において広く知られている「マルチジャンクションソーラセル」を製造するために本発明を使用することは特に有利である。
ここでは個々の層は、太陽電池において垂直方向に上下に積層される。入射光はまず、所定の第1波長領域の光を電気エネルギに変換するように最適化された最も上の層に当たる。この層では十分に処理することができない波長領域の光は、この第1層を貫通して、その下にありかつ第2波長領域を処理して電気エネルギを形成するように最適化された第2層に当たる。オプションでは、この多層太陽電池において、この第2層でも十分に処理できない波長領域の光が、その下にある第3層に当たるようにすることが可能であり、ここでこの第3層は、第3波長の光を処理して電気エネルギに変換するように最適化されている。純粋に理論的に見ると、多数のこのような層が可能であることを想像することができる。実践的にはこのような電池は、入射光が最初に進入する最も上の層が、波長の最も短いる波長領域を処理するように構成される。第2層は、つぎに短い波長領域を処理する等々である。本発明では、2層の構造だけが考えられるのではなく、3つまたはそれ以上の層を具現化することができる。その際には複数の層は、垂直方向に導電性を有し、すなわち、可能な限りに抵抗が小さく、かつ、光学的に透過に互いに接続されるようにする。これらの層のデポジットは、特にいわゆる"Metalorganic Chemical Vapor Deposition",略して"MO CVD"プロセスによって行われ、多重セルの2つの活性層のデポジットは、特に"in-situ"で行われる。すなわち、これらの基板が、複数のデポジットプロセス間に、通常の周囲雰囲気に曝されることなくデポジットされるのである。好適には複数の活性層間に障壁層(第2または第4の酸化物層)および/またはバッファ層(第2または第4の酸化物層)を入れ、これらの層によって、結果的に得られるセルの品質を改善する。
ここまで、および/または、これに続く図面の説明において、装置の複数の特徴的構成が開示されているが、これらは、方法の特徴としても開示されておりかつ当てはまり、またその逆も成り立つはずである。
本発明の別の利点、特徴的構成および詳細は、複数の図面に基づくならびに有利な実施例の以下の説明から得られる。
酸化物層を有する基板の断面図である。 本発明の第1実施形態にしたがい、プラズマによって変化された酸化物層を有する、図1aの基板を示す図である。 本発明の第2実施形態にしたがい、プラズマによって厚さが低減された酸化物層を有する、図1aの基板を示す図である。 本発明の第3実施形態にしたがい、プラズマによって完全に除去された酸化物層を有する、図1aの基板を示す図である。 共に作業チャンバに接続されたボンディングチャンバおよびここから空間的に離隔れたプラズマチャンバを含む、本発明による装置の第1実施形態の概略図である。 作業チャンバに配置されたボンディングプラズマチャンバを含む、本発明による装置の第2実施形態の概略図である。 複数のプラズマチャンバおよびボンディングチャンバを含む、本発明による装置の第3実施形態の概略図である。 本発明によるプラズマチャンバの概略図である。 本発明によるボンディングチャンバの概略図である。
これらの図において本発明の利点および特徴的構成は、本発明の複数の実施形態にしたがい、それぞれ識別的な参照符号によって特徴付けられている。同じ機能または同じ作用を及ぼす機能を備えたコンポーネントないしは特徴は、同じ参照符号で特徴付けられている。
図2に示した第1実施形態において、プラズマチャンバ4およびボンディングチャンバ5はモジュールグループ3の独立した2つのモジュールであり、これらのモジュールは、真空化可能な、作業チャンバ7によって定められる作業空間22に特に気密に接続されている。作業チャンバ7は、特にソフトウェアに支援された制御装置によって制御されて、高真空に真空化することができる。作業チャンバ7内では、特に搬送のために設けられたロボット6が、貯蔵モジュール8と、プラズマチャンバ4と、ボンディングチャンバ5との間で基板1を搬送する。
本発明の第2実施形態では、プラズマチャンバ4およびボンディングチャンバ5は、ただ1つのモジュールに、すなわちボンディングプラズマチャンバ20にまとめられている。ロボット6は、貯蔵部8からボンディングプラズマチャンバ20に基板1を搬送する。
本発明の第3実施形態では、モジュールグループ3の1つまたは複数のプラズマモジュール4またはボンディングモジュール5またはボンディングプラズマモジュール20が、作業チャンバ7に取り付けられ、かつ、この作業チャンバを構成しており、特に一緒に作業空間22を構成している。ロボット6は、貯蔵部8からプラズマモジュール4および/またはボンディングモジュール5および/またはボンディングプラズマモジュール20に基板1を搬送し、特にこれらの間でも基板1を搬送する。ここでは、本発明により、複数のプラズマモジュール4および/または複数のボンディングモジュール5および/または複数のボンディングプラズマモジュール20が使用されるため、比較的高いスループットが得られる。この過程は制御装置によって制御される。
本発明の第1プロセスにおいて、ボンディング面1o上に形成された酸化物層2(図1a)を有する基板1は、ロボット6によって貯蔵部8から取り出される。
基板1は、移動式試料ホルダに取り付けることができ、これによってプラズマモジュール4および/またはボンディングモジュール5および/またはボンディングプラズマモジュール20間で相互に搬送することができる。しかしながら基板1の搬送は、移動式試料ホルダがなくても可能である。この場合に基板1は試料ホルダ15に載置され、この試料ホルダはすでに、プラズマモジュール4および/またはボンディングモジュール5および/またはボンディングプラズマモジュール20にあり、特にそこに固定に組み込まれている。
ロボット6はまず、プラズマモジュール4に基板1を搬送する。プラズマモジュール4は、特に上側の周囲に分散された複数の開口部を有するガス供給部11と、特に下側の周囲に分散された複数の開口部を有する排気部12とを有する。ガス供給部11を介し、還元ガスを有する本発明のガス混合物がプラズマチャンバ4に導入される。
引き続いてプラズマの点火および/または維持は、下側電極9と上側電極10との間で行われる。基板1は好適には電極上に直接載置される。基板1を試料ホルダ15に載置する場合、試料ホルダ15は本発明では電極9として形成しなければならない。
還元生成物は、好適には排気部12を介し、特に連続してプラズマチャンバ4から除去される。これにより、プラズマモジュール4において、本発明による酸化物層2の複数の加工のうちの1つが行われる。
本発明の第1変形形態では、酸化物層2は、プラズマ13によって酸化物層2’に変化し、この酸化物層2’は、酸化物層2とは化学量論比が異なるのが特徴である(図1b)。この異なる化学量論比は、酸化物をデポジットする際にすでに、酸素欠乏によって作製することができる。そうでなければ、プロセスパラメタを所期のように選択することにより、化学量論比をプラズマによって設定し、かつ/または、少なくとも変化させることができる。
第2変形形態では、出発状態層厚dを有する酸化物層2が、プラズマ13内の還元性ガスにより、最終状態層厚さd’を有する酸化物層2''まで薄くされる(図1c)。
第3変形形態では、酸化物層2が完全に除去される(図1d)。
酸化物2,2’,2''の状態の制御は好適には、照射源18および検出器19を有する照射源検出器システムによって行われ、この照射源検出システムにより、酸化物層2,2’,2''の表面2oを好適にはin-situで検査することができる。照射源18および/または検出器19は、プラズマチャンバ4の内部および/または外部に設けることができる。これらが外部に設けられる場合、これらは好適にはフランジ17を介してプラズマチャンバ4に真空気密に接続される。照射源検出器システムとしては、酸化物層2,2’,2''の状態についてのデータを得るのに適した任意の公知の物理的な測定原理を使用することができる。これに属するのは、厚さ、多孔率、したがって酸化物層2,2’,2''の密度および反射率である。
有利には楕円偏光計または回折計を使用し、特別なケースでは反射率計を使用する。
このように加工した第1基板1は、特に作業空間22内に配置された(図示しない)貯蔵部に貯蔵される。
特にボンディング面も本発明のプロセスによって同様に加工される本発明の第2基板14は、準備された第1基板1と共にまたはこれに対してボンディングチャンバ5に搬送される。ボンディングチャンバ5では、第1基板1のボンディング面と、第2基板14のボンディング面との間のボンディングプロセスが実行される。ボンダは当業者には公知である。このような装置がどのように組み立てられているか、どのように試料ホルダ15および/または圧力プレート16が構成されているか、2つの基板を互いにどのように接近させるか、2つの基板1,14をボンディングするためにどのように力を加えるか、排気部21を介してどのようにボンディングチャンバ5の真空化を行うかは当業者には公知である。試料ホルダ15は、静電式試料ホルダおよび/または加熱式試料ホルダおよび/または冷却式試料ホルダとして構成することができる。有利にはプラズマチャンバ4からの搬送のために試料ホルダ15を使用する。試料ホルダ15は有利には、試料ホルダ15における基板1の良好な熱膨張を保証するため、静電式試料ホルダとする。機械式のクランプまたは真空によるクランプでは、静電式試料ホルダ15と同程度の基板1の自由な熱膨張は可能にならない。極めて有利な実施形態において、試料ホルダ15は、前面および/または後面からHeで洗い流され、特に試料ホルダ15に組み込まれた洗浄装置によって洗い流され、これによって熱結合が保証されるかまたはこれが改善される。
ボンディングプロセスが成功した後、ロボット6は、2つの基板1,14からボンディングによって形成されたボンディング積層体を取り出し、好適には貯蔵部8にこれを貯蔵する。
1 基板、 1o 基板表面、 2,2’,2'' 酸化物層、 2o 酸化物層表面、 3 モジュールグループ、 4 プラズマチャンバ、 5 ボンディングチャンバ、 6 ロボット、 7 作業チャンバ、 8 貯蔵部、 9 下側電極、 10 上側電極、 11 ガス供給部、 12 排気部、 13 プラズマガス、 14 第2基板、 15 試料ホルダ、 16 圧力プレート、 17 フランジ、 18 照射源、 19 検出器、 20 ボンディングプラズマチャンバ、 21 排出部、 22 作業空間、 d,d’ 酸化物層の厚さ

Claims (7)

  1. 第1基板(1)のボンディング面と、第2基板(14)のボンディング面との間に直接接合を形成する方法であって、
    試料室(4)内に前記第1基板(1)と前記第2基板(14)とをセットし、
    外部のプラズマ源において形成したプラズマの成分、特にイオンを、前記試料室(4)に導入し、
    前記試料室(4)内で、イオン化されたスパッタリングガスの、イオン化されかつ電場および/または磁場によって加速された原子の衝突プロセスによって基板の表面の原子を除去することによって、複数の前記ボンディング面のうち少なくとも1つの上の酸化物層(2)の化学量論比を変化させ、
    ボンディングチャンバ(5)内で、前記第1基板(1)のボンディング面と前記第2基板(14)のボンディング面とのボンディングを行う
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記試料室(4)において、イオン密度および基板表面に向かうイオンの加速度を別々に設定することができる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ボンディング面に、1000eV未満のイオンエネルギを供給し、
    前記イオンエネルギは、前記試料室(4)の上側電極(10)と下側電極(9)との間に印加される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記下側電極(9)に印加される交流電圧の周波数よりも高い周波数を有する交流電圧を前記上側電極(10)に供給することを含み、低い方の周波数は、基板表面へのイオン加速に結び付く、請求項に記載の方法。
  5. 前記試料室(4)と前記ボンディングチャンバ(5)とが、ただ1つのボンディングプラズマチャンバ(20)にまとめられている、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記変化のため、還元性ガスとして、窒素酸化物、一酸化炭素、メタン、水素、酢酸蒸気、およびクエン酸蒸気のうちの1つまたは複数を前記試料室(4)に導入する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記還元性ガスと、以下に示す不活性ガス、すなわち、キセノン、アルゴン、ヘリウム、窒素または二酸化炭素のうちの1つまたは複数とを混合することをさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
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