以下、本実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本実施の形態はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機、スロットマシン等のその他の遊技機であってもよく、変動表示を実行する変動表示部に特定表示結果が導出されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能な遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。
以下、本実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2はパチンコ機を示す背面図である。なお、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前面側、奥側を背面側として説明する。また、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100a(図2参照)と、外枠100aの内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球(遊技媒体)を貯留する余剰球受皿4、および、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5等が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取付けられている。遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打込まれた遊技球(遊技媒体)が流下可能な遊技領域7が形成されている。
余剰球受皿(下皿)4を形成する部材には、スティックコントローラ122が取付けられている。スティックコントローラ122には、所定の指示操作が可能なトリガボタン125(図3参照)が設けられ、内部には、トリガボタン125に対する指示操作を検知するトリガセンサ121(図3参照)が内蔵されている。スティックコントローラ122には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット123(図3参照)と、振動動作させるためのバイブレータ用モータ126(図3参照)とが内蔵されている。
打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、プッシュボタン120が設けられている。プッシュボタン120の設置位置における上皿の本体内部等には、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124(図3参照)が設けられている。
遊技領域7の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄を変動表示(可変表示ともいう)可能な変動表示部としての演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の右側方には、第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8bとが設けられている。
演出表示装置9は、液晶表示装置(LCD)で構成されており、表示画面において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄の変動表示を行なう演出図柄表示領域が設けられる。演出図柄表示領域には、たとえば左,中,右の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を変動表示する図柄表示エリアが形成される。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、主基板(遊技制御基板)に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴って演出表示装置9で演出表示が実行され、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴って演出表示装置9で演出表示が実行されるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
第1特別図柄表示器8aに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、または、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときには、演出表示装置9においても、特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄の組合せ)が導出表示される。このように変動表示の表示結果として特定表示結果が表示されたときには、遊技者にとって有利な価値(有利価値)が付与される有利状態としての特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御される。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器(変動表示部)と総称することがある。
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(たとえば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、変動表示の開始条件(たとえば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲート等の予め入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。したがって、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口14よりも、第1始動入賞口13に遊技球が入賞しやすい。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
第2特別図柄表示器8bの上方には、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器からなる第2特別図柄保留記憶表示器18bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器18bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
また、第2特別図柄保留記憶表示器18bのさらに上方には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる第1特別図柄保留記憶表示器18aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器18aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
遊技機には、遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行なわれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態が、ラウンドと呼ばれる。これにより、繰返し継続制御は、ラウンド制御とも呼ばれる。
演出表示装置9の左方には、各々を識別可能な普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10が設けられている。この実施の形態では、普通図柄表示器10は、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、普通図柄表示器10は、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、小型の表示器は、たとえば方形状に形成されている。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄。たとえば、図柄「7」。)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ遊技者にとって不利な閉状態から遊技者にとって有利な開状態に変化する。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6の下部には、入賞しなかった打球が取込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部および左右下部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。
次に、パチンコ遊技機1の背面(裏面)の構造について図2を参照して説明する。図2は、パチンコ機を示す背面図である。
図2に示すように、パチンコ遊技機1裏面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声出力回路70、LEDドライバ基板(図示省略)、および、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。
さらに、パチンコ遊技機1裏面側には、DC32V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板(図示略)が設けられている。電源基板910は、発射制御基板の背面側に取り付けられ、その背面側に払出制御基板37が重なっているが、払出制御基板37に重なることなく外部から視認可能に露出した露出部分には、パチンコ遊技機1における主基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチが設けられている。さらに、露出部分における電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、電気部品制御基板には、電気部品制御用マイクロコンピュータを含む電気部品制御手段が搭載されている。電気部品制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)にしたがってパチンコ遊技機1に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、LEDなどの発光体、スピーカ27a,27b等)を制御する。以下、主基板31を電気部品制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、電気部品制御基板に搭載される電気部品制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号にしたがってパチンコ遊技機1に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。
パチンコ遊技機1裏面において、中央付近には、主基板31からの各種情報をパチンコ遊技機1外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)36が設置されている。
図示しない遊技機設置島から供給される球を貯留可能な球タンク38に貯留されたパチンコ球は、タンクレールを通り、カーブ樋を経てケースカバーで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方の球経路761には、通路内に球がない旨を検出する遊技媒体切れ検出手段としての球切れ検出スイッチ167が設けられている。球切れ検出スイッチ167が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れ検出スイッチ167はパチンコ球通路内のパチンコ球の有無を検出するスイッチである。球切れ検出スイッチ167がパチンコ球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対してパチンコ球の補給が行なわれる。
入賞に基づく景品としてのパチンコ球や球貸し要求に基づくパチンコ球が多数払出されて上皿3が満杯になると、パチンコ球は溢れ球通路(図示略)を経て下皿4に導かれる。さらにパチンコ球が払出されると、スイッチ片(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。なお、満タンスイッチ19がオンした状態において、球払出装置の動作及び打球発射装置の駆動は必ずしも停止させなくてもよいし、あるいはオンした時点から所定時間経過後に停止させるようにしてもよい。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3では、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ROM54およびRAM55が内蔵された1チップマイクロコンピュータである。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
また、RAM55は、その一部または全部がバックアップ電源(図示せず)によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的には、CPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、I/Oポート部57には、入力ドライバ回路58,58aを介してスイッチやセンサなどの電子部品からの信号を主基板31に入力するための入力ポートや、主基板31からソレノイドなどの電子部品や演出制御基板80に信号を出力するための出力ポートが含まれている。なお、出力ポートは、単方向性回路を設けることで中継基板310から主基板31の内部に向かう信号が規制され、中継基板310からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ560側)に入り込まない。なお、出力ポートの外側(中継基板310側)に、さらに、単方向性回路である信号ドライバ回路が設けられていてもよい。
乱数回路503は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数回路503が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。
中継基板310は、主基板31と各種電子部品との接続を中継する基板である。具体的には、中継基板310は、入力ドライバ回路58aと、出力回路59と、ダミーLED312とを含む。
中継基板310には、ゲートスイッチ32a、カウントスイッチ23、開放センサ315の各々の電子部品からの信号が入力される入力ドライバ回路58aが設けられている。入力ドライバ回路58aは、これらの電子部品からの信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える。
遊技機の機種によって数や種類が異なる可能性が高い電子部品であるゲートスイッチ32a、カウントスイッチ23、開放センサ315からの入力は、中継基板310を介して主基板31に入力される。これにより、遊技機の機種によってこれらの電子部品の種類や数が異なる場合でも、その種類や数に対応するように中継基板310の入力ドライバ回路58aの構成を変更してやれば、主基板31の構成を変更する必要はなくなる。そのため、遊技機の機種によらず主基板31を共通化することができる。
これに対して、第1始動口スイッチ13aおよび第2始動口スイッチ14aといった電子部品(特定の検知手段)からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58は、中継基板310には設けられず、主基板31に設けられている。すなわち、遊技機の機種によらず設けられ、入賞に関わる電子部品である第1始動口スイッチ13aおよび第2始動口スイッチ14aからの検出信号は、中継基板310を介さずに主基板31(入力ドライバ回路58)に入力される。これにより、入賞に関わる電子部品からの信号の入力を受ける入力ドライバ回路58は、封止されたBOX内(主基板31内)に収められるため、不正な方法で出玉を獲得する不正行為(ゴト行為)を防止することができる。
ここでは、入賞に関わる電子部品として第1始動口スイッチ13aおよび第2始動口スイッチ14aについて説明したが、これに限られない。たとえば、入賞に関わる電子部品は、Vゾーンへの入賞検出用のスイッチや、賞球個数が所定値以上であることを検出するセンサなどであってもよい。また、特定の検知手段は、入賞に関わる電子部品に限定されず、遊技機の機種に依存せずに共通に設けられる電子部品(例えば不正検知センサなど)などであってもよい。
出力回路59は、遊技制御用マイクロコンピュータ560からの信号を電子部品に与える。具体的には、出力回路59は、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、および所定の可動体314(たとえば、第2種の一対の羽根部材)を同時に駆動する一対のソレノイド314a,314bを遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する。
中継基板310には、出力回路59からの信号を外部に出力するための複数の出力信号線が設けられている。複数の出力信号線のうち、電子部品への信号の出力に使用されない信号線は、ダミーLED312に接続される。そのため、ダミーLED312の発光の有無により遊技制御用マイクロコンピュータ560の起動状態を把握することができる。
出力回路59は、各々の電子部品(ソレノイド16、ソレノイド21、ソレノイド314a,314b)と所定数の出力ポートとの間に設けられている。出力回路59は、所定数の出力ポートから出力される信号を各々の電子部品を動作させる信号に変換する。そして、出力回路59は、出力信号線を介して、変換した信号を各々の電子部品に出力する。たとえば、出力回路59は、各々の電子部品について、所定数の出力ポートのうち当該電子部品用に設けられた出力ポートから出力された信号(電圧)を、当該電子部品を動作させる電圧に変換する。また、出力回路59は、一対のソレノイド314a,314b用に設けられた1つの出力ポートから出力された信号を分岐してソレノイド314aおよびソレノイド314bに出力する。これにより、ソレノイド314aとソレノイド314bとを同期させて動作させる場合に、ソレノイド314aとソレノイド314bとに出力される信号を同期させる同期回路などの複雑な構成を設ける必要がない。
なお、所定の可動体314を駆動する一対のソレノイド314a,314bを制御する駆動制御回路として機能する出力回路59は、中継基板310に設けられている。一方、ソレノイド314a,314bが駆動する所定の可動体314の可動を検出するセンサ313は、中継基板310ではなく主基板31に設けられている入力ドライバ回路313aに検出信号を入力する。なお、センサ313は、例えば発光部と受光部とを有する光学センサで、所定の可動体314が発光部からの光を受光部で受光できないように遮光することで所定の可動体314の駆動を検出する。所定の可動体314に対して駆動するソレノイド314a,314bとその駆動を検出するセンサ313とは一対の電子部品であるが、それぞれの接続先を同じ中継基板310とせずに、別々の基板に接続している。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、センサ313からの検出信号が入力ドライバ回路313aを介して入力され、ソレノイド314a,314bの駆動状態を監視することができる。
具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、中継基板310に対して不正行為が行われ、ソレノイド314a,314bが不正に駆動されても、主基板31に対して不正行為が行われていなければ入力ドライバ回路313aを介してセンサ313からの検出信号が入力されるので、ソレノイド314a,314bの不正駆動を把握することができる。
また、中継基板310には、主基板31に電力を供給している電源回路311の複数の電源(5V電源、12V電源、32V電源)のうち、主基板31に設けたCPU56に電力を供給する電源(5V電源)以外の電源(12V電源、32V電源)から電力が供給される。そのため、中継基板310に電力を供給している12V電源、32V電源が不正にショートされたとしても、CPU56に電力を供給している5V電源には影響がない。そのため、電源をショートさせることによりCPUやその他のICの誤動作を利用した「電源ショートゴト」と呼ばれる不正を防止することができる。なお、例えCPU56に電力を供給している5V電源と同じ電圧を供給する電源(5V電源等)であっても、別系統(別の電源IC)の電源であれば中継基板310に供給してもよい。
次に、演出制御側の構成について説明する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18bおよび普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう。
演出制御基板80は、演出制御用マイクロコンピュータ100、ROM102、RAM103、VDP109、および、I/Oポート部105等を搭載している。ROM102は、表示制御等の演出制御用のプログラムおよびデータ等を記憶する。RAM103は、ワークメモリとして使用される。ROM102およびRAM103は、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されてもよい。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行なう。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、主基板31から演出制御基板80の方向への一方向にのみ信号を通過させる中継基板77を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出表示装置9の変動表示制御を行なう他、ランプドライバ回路35を介して、枠側に設けられている枠LED28の表示制御を行なうとともに、音声出力回路70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行なう等、各種の演出制御を行なう。なお、詳細は後述するが、ランプドライバ回路35および音声出力回路70は、中継基板320に設けられている。
また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122のトリガボタン125に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ121から、I/Oポート部105の入力ポートを介して入力する。また、演出制御用CPU101は、プッシュボタン120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ124から、I/Oポート部105の入力ポートを介して入力する。また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122の操作桿に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット123から、I/Oポート部105の入力ポートを介して入力する。また、演出制御用CPU101は、I/Oポート部105の出力ポートを介してバイブレータ用モータ126に駆動信号を出力することにより、スティックコントローラ122を振動動作させる。
[スイッチの動作]
次に、電源回路311から供給される電圧が不安定となった場合(例えば、電源の入り切りを行う、電源回路311自体の出力低下など)に、当該電源回路311により駆動されている部品が誤動作するのを防止することができる構成について説明する。特に、入賞に関する第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品が誤動作した場合、遊技に与える影響が大きいため誤動作を防止する必要がある。具体的に、電源回路311から供給される電圧が不安定となった場合に、誤動作が生じる原因について説明する。図4は、電源を入れた場合の電源電圧の変化および遊技機の動作について説明するための図である。図5は、電源の入り切りを行った場合の電源電圧の変化および遊技機の動作について説明するための図である。
まず、図4を用いて、電源がオフ状態であったパチンコ遊技機1を通常に起動させた場合の電源電圧の変化および遊技機の動作について説明する。なお、電源回路311は、図4に示すようにDC32Vの出力電圧VSL、DC12Vの出力電圧VDDおよびDC5Vの出力電圧VCCの3つの出力電圧を出力することができる。そして、パチンコ遊技機1は、電源をオフ状態からオン状態にして通常に起動させる場合、まず電源回路311の出力電圧VSLが立ち上がる。電源回路311の出力電圧VSLの立ち上がりに遅れて、メインCPU(CPU56)のリセット判定部(図示せず)に供給される出力電圧VSL(リセット用)が立ち上がる。
また、電源回路311は、電源回路311の出力電圧VSLが5Vまで立ち上がると、DC5Vの出力電圧VCCの出力が開始され、電源回路311の出力電圧VSLが16Vまで立ち上がると、DC12Vの出力電圧VDDの出力が開始される。電源回路311の出力電圧VSLがさらに立ち上がり、電断閾値の20Vを以上になった時点で、電断判定回路が非電断状態となったと判定して出力する電断信号が検知から非検知に切り替わる。
出力電圧VDDの出力が開始されスイッチ閾値である7.5V以上となると、出力電圧VDDにより駆動しているカウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどのスイッチ信号が遊技球を検出している状態から非検出の状態に切り替わる。ここで、スイッチ閾値は、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品が遊技球を検出したか否かの検出の基準となる閾値電圧であり、当該部品に供給されている電圧より低い電圧に設定されている。出力電圧VDDがスイッチ閾値以上であれば、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品は、遊技球を検出したか否かにより、Lレベル(非検出状態)またはHレベル(検出状態)のスイッチ信号を出力する。しかし、出力電圧VDDが低下してスイッチ閾値未満になるとスイッチ信号が不安定となり、遊技球を検出していないにも関わらずHレベル(検出状態)のスイッチ信号を出力するなど、正常な動作を保証することができない。なお、閾値の関係を以下のようにしてもよい。例えば、出力電圧VDDがスイッチ閾値より大きければ、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品は、遊技球を検出したか否かにより、Lレベル(非検出状態)またはHレベル(検出状態)のスイッチ信号を出力するようにしてもよい。
さらに、出力電圧VSL(リセット用)がメインリセット閾値である16V以上となると、CPU56の状態が停止状態から動作状態に切り替わる。ここで、メインリセット閾値は、CPU56が動作を開始するために必要となる閾値電圧である。出力電圧VSL(リセット用)がメインリセット閾値以上となり、CPU56が動作を開始した時点では、出力電圧VDDが既にスイッチ閾値以上となり、スイッチ信号の出力がLレベル(非検出状態)となる。そのため、CPU56は、Lレベル(非検出状態)のスイッチ信号に基づき処理を行い、誤動作を生じることはない。
しかし、図5に示すように、電源回路311の電源をON状態からOFF状態、OFF状態からON状態のように入り切り動作を行うと、誤動作を生じる場合が考えられる。なお、図5では、電源回路311の電源をON状態からOFF状態に切り替え、さらにON状態にする動作を行った場合の出力電圧VSL、出力電圧VDDおよび出力電圧VCCの電圧変化が図示されている。
まず、電源回路311の電源をON状態からOFF状態に切り替えると、出力電圧VSLの電圧が低下を開始し電断閾値の20Vを下回った時点で、電断判定回路が電断を判定して出力する電断信号が非検知から検知に切り替わる。CPU56は、電断判定回路から電断を検知したことを示す電断信号が入力されると、所定のデータのバックアップ処理を行った後に、動作状態から停止状態に状態が切り替わる。なお、出力電圧VSL(リセット用)は、出力電圧VSLの低下に遅れて低下を始めるが、メインリセット閾値である16V未満にまで低下することがないため、CPU56の停止状態は、リセットを行うのではなく、処理がウェイト状態となる。また、出力電圧VSLは、OFF状態に切り替わった直後に電圧の低下が始まるが、出力電圧VDDおよび出力電圧VCCは、それぞれの電圧に変換する電圧変換部に接続してあるコンデンサなどの影響により出力電圧VSLに比べて遅れて低下が始まる。
出力電圧VDDによる駆動しているカウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品は、出力電圧VDDがスイッチ閾値である7.5V未満になると遊技球を検出した状態を示すスイッチ信号を出力することになる。例えば、カウントスイッチ23は、スイッチ閾値未満をLレベル(非検出状態)、スイッチ閾以上をHレベル(検出状態)となるように論理が設定されている場合に、出力電圧VDDが低下してスイッチ閾値未満になってしまうと、遊技球を検出したか否かに関わらず出力がHレベルとなり誤った出力となる。そして、CPU56は、出力電圧VDDがスイッチ閾値未満となった時点では、既に停止中となっているため、通常、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどからのスイッチ信号が誤った出力の検出状態(Hレベル)を受付けても入賞がカウントされることはない。
ところが、出力電圧VDDがスイッチ閾値である7.5V未満になった後に、電源回路311の電源をON状態に切り替えると、出力電圧VSLの電圧がすぐに上昇を開始し電断閾値の20Vを上回った時点で、電断判定回路が電断でないと判定して出力する電断信号が電断検知から電断非検知に切り替わる。CPU56は、電断判定回路から電断非電断の電断信号が入力されると、バックアップ処理したデータを読み込み、停止状態から動作状態に状態が切り替わる。
出力電圧VDDおよび出力電圧VCCは、電圧変換部に接続されたコンデンサへの充電や、その他の電子部品への電力供給により出力電圧VSLに遅れて上昇が始まる。そのため、出力電圧VDDによる駆動しているカウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品は、ON状態に切り替え直後、出力電圧VDDがスイッチ閾値である7.5V未満のままであるので、遊技球を検出した状態を示すスイッチ信号を継続して出力することになる。この電源回路311の電源をON状態に切り替えた直後の誤動作期間(図5に示す斜線領域)はCPU56が既に動作中となっているため、CPU56は、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの部品から、遊技球を検出した状態を示すスイッチ信号が入力されると入賞をカウントして遊技球を払出す誤動作を起こすことになる。
そこで、本実施の形態に係るパチンコ遊技機1では、電源回路311の出力電圧が不安定になったとしても、誤動作を防止することかできる構成について説明する。図6は、カウントスイッチおよび入力回路の構成を説明するための回路図および出力信号を示す図である。図6(a)では、トランジスタが設けられている入力回路580aが、カウントスイッチ23に接続されている。カウントスイッチ23は、入力回路580aと接続される信号線がグランドに接地され、他の信号線が出力電圧VDDに接続されている。そして、カウントスイッチ23に遊技球が通過していない場合、カウントスイッチ23から入力回路580aへ出力する検出信号は、内蔵するトランジスタがON状態となり入力回路580aに接続される信号線がトランジスタを介して出力電圧VDDに接続されることで信号レベルがHレベルとなる。カウントスイッチ23に遊技球が通過した場合、カウントスイッチ23から入力回路580aへ出力する検出信号は、内蔵するトランジスタがOFF状態となり入力回路580aに接続される信号線がグランドに接地されることで信号レベルがLレベルとなる。ここで、カウントスイッチ23から出力される検出信号の信号レベルは、スイッチ閾値(7.5V)未満がLレベル、スイッチ閾値以上がHレベルとする。
入力回路580aは、内部にトランジスタTrが設けられており、検出信号の信号レベルがLレベルの場合トランジスタがOFF状態となる。入力回路580aから入力ポート63へ出力される出力信号は、入力ポート63と接続されている信号線が出力電圧VCCに接続されることで信号レベルがHレベル(第2検出信号)となる。入力回路580aは、検出信号の信号レベルがHレベルの場合トランジスタTrがON状態となる。入力回路580aから入力ポート63へ出力される出力信号は、入力ポート63と接続されている信号線がトランジスタTrを介してグランドに接地されることで信号レベルがLレベル(第1検出信号)となる。ここで、入力回路580aから出力される出力信号の信号レベルは、閾値(例えば3.5V(図示せず))未満がLレベル、閾値以上がHレベルとする。
ここで、出力電圧VDDの電圧が不安定になり、例えばスイッチ閾値(7.5V)未満になると、カウントスイッチ23に遊技球が通過していない場合、内蔵するトランジスタがON状態となり入力回路580aに接続される信号線がトランジスタを介して出力電圧VDDに接続されても検出信号レベルがHレベルとならずにLレベルとなる。そうすると、入力回路580aは、検出信号の信号レベルがLレベルの場合トランジスタがOFF状態となり、入力ポート63と接続されている信号線が出力電圧VCCに接続されているので信号レベルが、カウントスイッチ23に遊技球が通過した場合と同じHレベル(第2検出信号)となる。
つまり、図6(b)に示すように、入力回路580aから入力ポート63を介してCPU56に出力される出力信号は、カウントスイッチ23に遊技球が通過した場合と出力電圧VDDの電圧が不安定になる場合とで同じHレベルとなり、カウントスイッチ23に遊技球が通過しない場合はLレベルとなる。そのため、CPU56は、出力電圧VDDの電圧が不安定になる場合、カウントスイッチ23に遊技球が通過したと誤って認識して入賞をカウントして遊技球を払出したり、変動表示において当たりの抽選を行ったりするなどの誤動作を起こす。また、検出手段が第1始動口スイッチ13aであれば遊技球が通過したと判定して保留記憶を増加させたり、コイン投入口であればコインが通過したとしてクレジットを増加させたり、演出ボタンであれば押下されたとして演出が実行されたりするなどの誤動作を起こす。
そこで、本実施の形態では、カウントスイッチ23に遊技球が通過したか否かの判定を、図6(b)に示すように入力回路580aからの出力信号の論理を利用して判定するのではなく、図6(c)に示すようにCPU56で出力信号に基づいて設定されたスイッチ状態の変化により判定する。具体的に、CPU56は、Lレベルの出力信号(第1検出信号)が入力されるとLレベル(第1状態)を、Hレベルの出力信号(第2検出信号)が入力されるとHレベル(第2状態)をカウントスイッチ23のスイッチ状態としてそれぞれ設定する。そして、CPU56は、前回のスイッチ状態がLレベルで今回のスイッチ状態がHレベルとなる場合カウントスイッチ23に遊技球が通過したと判定し、前回のスイッチ状態がLレベルで今回のスイッチ状態もLレベルとなる場合カウントスイッチ23に遊技球が通過していないと判定する。
さらに、本実施の形態では、図5に示したように電源の入り切りを行った場合、CPU56の動作が開示された後もスイッチ信号が不安定となる期間(電源投入により出力電圧VDDの電圧がスイッチ閾値以上となり、スイッチ状態がLレベルとなるまでの期間)、カウントスイッチ23に遊技球が通過したか否かに依らずスイッチ状態をHレベルに設定する。これにより、電源投入時にスイッチ状態がLレベルにセットされ、当該期間に不安定な出力電圧VDDによりスイッチ状態がLレベルからHレベルへと変化し、CPU56が誤ってカウントスイッチ23に遊技球が通過したと判定する誤動作を防止することができる。本実施の形態では、電源投入時に、カウントスイッチ23に遊技球が通過したか否かに依らずスイッチ状態をHレベルに設定するので、CPU56は、図6(c)に示すように前回のスイッチ状態がHレベルで今回のスイッチ状態がHレベルとなる場合や、前回のスイッチ状態がHレベルで今回のスイッチ状態がLレベルとなる場合、出力電圧VDDの電圧が不安定であると判定する。
次に、CPU56でスイッチ状態がLレベルからHレベルへと変化する場合に、カウントスイッチ23などに遊技球が通過したと判定するスイッチの処理について、具体的に説明する。
[メイン処理]
まず、CPU56は、電源投入後に動作が開始されるとスイッチの初期設定を含むメイン処理が実行される。図7は、メイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する処理である。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになる。そして、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS(以下、単にSと呼ぶ)1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行なう。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(S1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(S2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(S3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化等)を行なった後(S4)、RAM55をアクセス可能状態に設定する(S5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。また、内蔵デバイスレジスタの設定処理(S4)では、入力ポート0の普通入賞口スイッチ1,2(図示せず)、およびカウントスイッチ1,2(カウントスイッチ23)の前回ポートバッファにHレベルのスイッチ状態(第2状態)を設定する。具体的には、CPU56は、後述する第1判定マスク値(例えば、66H)を前回ポートバッファ1にストアして、Hレベルのスイッチ状態(第2状態)を設定する。さらに、内蔵デバイスレジスタの設定処理(S4)では、入力ポート2のゲートスイッチ1(ゲートスイッチ32a)、および始動口スイッチ1,2(第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a)の前回ポートバッファにHレベルのスイッチ状態(第2状態)を設定する。具体的には、CPU56は、後述する第3判定マスク値(例えば、0BH)を前回ポートバッファ3にストアして、Hレベルのスイッチ状態(第2状態)を設定する。つまり、内蔵デバイスレジスタの設定処理(S4)により、電源投入により出力電圧VDDの電圧がスイッチ閾値以上となり、各々のスイッチ状態がLレベルとなるまでの期間(所定条件)、スイッチが検出対象を検出したか否かに依らずスイッチ状態をHレベル(第2状態)に設定することができる。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(たとえば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(S6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(S10〜S15)。
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(たとえばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行なわれたか否か確認する(S7)。そのような保護処理が行なわれていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、たとえば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行なわれたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行なう(S8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行なう。よって、S8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(S41〜S43の処理)を行なう。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(S41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(S42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。S41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、たとえば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグ等)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分等である。
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンド(停電復旧1指定コマンド)を演出制御基板80に送信する(S43)。そして、S14に移行する。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行なう(S10)。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(S11)、初期化時設定テーブルの内容を順次RAM55における作業領域に設定する(S12)。
S11およびS12の処理によって、特別図柄プロセスフラグ等制御状態に応じて選択的に処理を行なうためのフラグに初期値が設定される。
また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)を演出制御基板80に送信する(S13)。たとえば、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行なう。なお、初期化処理において、CPU56は、客待ちデモンストレーション指定(デモ指定)コマンドも送信する。
また、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(S14)。CPU56は、たとえば、乱数回路設定プログラムにしたがって処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行なう。
そして、CPU56は、所定時間(たとえば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう(S15)。すなわち、初期値としてたとえば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかる。
初期化処理の実行(S10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(S17)および初期値用乱数更新処理(S18)を繰返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(S16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(S19)。この実施の形態では、表示用乱数とは、変動パターン等を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施の形態では、初期値用乱数とは、普通図柄の当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、遊技機に設けられている変動表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ等のカウント値が1周(乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
[タイマ割込処理]
図8は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生すると、CPU56は、図8に示すS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(S20)。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号を入力し、それらの状態判定を行なう(スイッチ処理:S21)。スイッチ処理については、後段でさらに詳しい説明をする。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう表示制御処理を実行する(S22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、S32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数および大当り種別判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行なう(判定用乱数更新処理:S23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行なう(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:S24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行なう(S26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行なう(S27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行なう(演出制御コマンド制御処理:S28)。さらに、CPU56は、たとえばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行なう(S29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号に基づく賞球個数の設定等を行なう賞球処理を実行する(S30)。
この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(S31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行なうための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行なう(S32)。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行なうための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行なう(S33)。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、S22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(S34)、処理を終了する。以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は所定時間毎に起動されることになる。
[スイッチ処理]
図9は、スイッチ処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生しスイッチ処理が実行されると、CPU56は、図9に示すS210〜S232の処理を実行する。スイッチ処理は、入力ポート0の普通入賞口スイッチ1,2(図示せず)、およびカウントスイッチ1,2(カウントスイッチ23)、入力ポート1の他のスイッチ1〜3(例えば、開放センサ315)、入賞確認スイッチ1,2(図示せず)、およびセンサ信号(例えば、磁石センサ)、入力ポート2のゲートスイッチ1(ゲートスイッチ32a)、および始動口スイッチ1,2(第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a)の状態判定を行なう。なお、入力ポート0の処理をS210〜S215で、入力ポート1の処理をS216〜S219,S215で、入力ポート0の処理をS220〜S232で、それぞれ行う。
まず、CPU56は、入力ポート0のアドレスを入力ポートアドレスにセットする(S210)。次に、CPU56は、第1判定マスク値(例えば、66H)をスイッチ入力マスク値にセットする(S212)。次に、CPU56は、第1論理整合値(例えば、00H)をスイッチ論理整合値にセットする(S213)。さらに、CPU56は、前回ポートバッファ1のアドレスを処理ポインタにセットする(S214)。CPU56は、S210〜S214でセットした情報に基づいて、入力ポート0の入力データに対してスイッチ設定処理(S215)を行う。
図10は、スイッチ設定処理を示すフローチャートである。まず、CPU56は、S210でセットした入力ポートアドレスから入力ポート0のデータを入力する。図11は、スイッチ処理およびスイッチ設定処理で行う各入力ポートの演算結果を示す図である(S250)。入力ポート0のデータは、図11に示すようにすべてのスイッチがオフ状態であれば「00000000」(00H)、すべてのスイッチがオン状態であれば「01100110」(66H)である。
次に、CPU56は、S250で入力したデータ(入力データ)とS213でセットしたスイッチ論理整合値(第1論理整合値)との排他的論理和を演算する(S251)。演算結果は、図11の「第1論理整合値とのXOR」の欄に示すようにすべてのスイッチがオフ状態であれば「00000000」(00H)、すべてのスイッチがオン状態であれば「01100110」(66H)である。CPU56は、ウェイト処理(S252)を行なった後にS251の演算結果をポートバッファにセットする(S253)。
次に、CPU56は、S252のウェイト処理後に、S210でセットした入力ポートアドレスから入力ポート0のデータを入力する(S254)。CPU56は、S254で入力したデータ(入力データ)とS213でセットしたスイッチ論理整合値(第1論理整合値)との排他的論理和を演算する(S255)。さらに、CPU56は、S253でポートバッファにセットしたウェイト処理前の演算結果と、S255の演算結果との論理積を演算する(S256)。ここで、ウェイト処理前の演算結果と、ウェイト処理後の演算結果との論理積を演算することで、ウェイト処理前後でスイッチ状態に変化がない場合のみの演算結果を抽出することができる。つまり、CPU56は、同じタイマ割込み処理内の微小な時間において変動するスイッチ状態をノイズと捉え、S256の演算で当該ノイズを削除している。
次に、CPU56は、S256の演算結果と、S212でセットしたスイッチ入力マスク値(第1判定マスク値)との論理積を演算する(S257)。演算結果は、図11の「第1判定マスク値とのAND」の欄に示すようにすべてのスイッチがオフ状態であれば「00000000」(00H)、すべてのスイッチがオン状態であれば「01100110」(66H)である。つまり、CPU56は、演算結果とスイッチ入力マスク値(第1判定マスク値)との論理積を演算することで、普通入賞口スイッチ1,2(図示せず)、およびカウントスイッチ1,2(カウントスイッチ23)のスイッチ状態の情報のみを抽出している。CPU56は、S257の演算を行なった後にS257の演算結果をポートバッファにセットする(S258)。ポートバッファには、今回のタイマ割込み処理で入力された普通入賞口スイッチ1,2(図示せず)、およびカウントスイッチ1,2(カウントスイッチ23)のスイッチ状態の情報のみがセットされる。
次に、CPU56は、前回ポートバッファのデータをロードする(S259)。ここで、CPU56は、電源投入後、内蔵デバイスレジスタの設定処理(S4)で第1判定マスク値(例えば、66H)を前回ポートバッファ1にストアすることで、電源投入時にスイッチ状態をHレベルに設定することができる。CPU56は、前回ポートバッファのデータを読み出した後、前回ポートバッファにS257の演算結果をストアして前回ポートバッファのデータを更新する(S260)。
次に、CPU56は、S258でセットした演算結果と、読み出した前回ポートバッファのデータとの排他的論理和を演算する(S261)。演算結果は、図11の「前回とのXOR」の欄に示すように前回からのスイッチ状態が変化していれば「01100110」(66H)、前回からのスイッチ状態が変化していなければ「00000000」(00H)である。つまり、CPU56は、S261の処理で異なるタイマ割込み処理での演算結果が変化しているか否かの情報を抽出しており、スイッチ状態がHレベル(オン状態)からLレベル(オフ状態)への変化、またはLレベル(オフ状態)からHレベル(オン状態)への変化の有無の情報を演算して抽出している。
次に、CPU56は、S261の演算結果と、S258でセットした演算結果との論理積を演算する(S262)。CPU56は、ポインタを1加算(S263)して、演算結果を、スイッチオンバッファにストアする(S264)。演算結果は、図11の「スイッチオンバッファにストアされる演算結果」の欄に示すようにスイッチ状態が前回のオフ状態から今回のオン状態に変化していれば「01100110」(66H)、それ以外は「00000000」(00H)である。つまり、CPU56は、S262の演算を行うことで、スイッチ状態が変化した情報(S261の演算結果)の中からLレベル(オフ状態)からHレベル(オン状態)への変化の有無の情報を演算して抽出している。以上の処理によって、CPU56は、入力ポート0の普通入賞口スイッチ1,2、およびカウントスイッチ1,2(カウントスイッチ23)のスイッチ状態がLレベル(オフ状態)からHレベル(オン状態)へ変化したか否かを判定することができる。
図9に示すスイッチ処理に戻って、CPU56は、入力ポート1のアドレスを入力ポートアドレスにセットする(S216)。次に、CPU56は、第2判定マスク値(例えば、18H)をスイッチ入力マスク値にセットする(S217)。次に、CPU56は、第2論理整合値(例えば、18H)をスイッチ論理整合値にセットする(S218)。さらに、CPU56は、前回ポートバッファ1のアドレスを処理ポインタにセットする(S219)。CPU56は、S216〜S219でセットした情報に基づいて、入力ポート1の入力データに対して前述のスイッチ設定処理(S215)を行う。なお、入力ポート1のデータおよびそれぞれの演算結果は、入力ポート0の場合と同様に図11に示す。
次に、CPU56は、入力ポート2のアドレスをスイッチポインタにセットし(S220)、スイッチポインタにセットしたアドレスから入力ポート2のデータを入力する(S221)。なお、入力ポート2のデータおよびそれぞれの演算結果は、入力ポート0の場合と同様に図11に示す。
次に、CPU56は、ウェイト処理(S222)を行なった後に、S221で入力した入力ポート2のデータとウェイト処理後の入力ポート2のデータとの論理積を演算する(S223)。ここで、ウェイト処理前の入力ポート2のデータと、ウェイト処理後の入力ポート2のデータとの論理積を演算することで、ウェイト処理前後でスイッチ状態に変化がない場合のみの入力ポート2のデータを抽出することができる。つまり、CPU56は、同じタイマ割込み処理内の微小な時間において変動するスイッチ状態をノイズと捉え、S223の演算で当該ノイズを削除している。
次に、CPU56は、S223の演算結果と、第3判定マスク値(例えば、0BH)との論理積を演算する(S224)。CPU56は、演算結果と第3判定マスク値との論理積を演算することで、ゲートスイッチ1(ゲートスイッチ32a)、および始動口スイッチ1,2(第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a)のスイッチ状態の情報のみを抽出している。CPU56は、S224の演算を行なった後にS224の演算結果をポートバッファにセットする(S225)。ポートバッファには、今回のタイマ割込み処理で入力されたゲートスイッチ1(ゲートスイッチ32a)、および始動口スイッチ1,2(第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a)のスイッチ状態の情報のみがセットされる。
次に、CPU56は、前回ポートバッファ3のアドレスをポインタにセットし(S226)、前回ポートバッファ3のデータをロードする(S227)。ここで、CPU56は、電源投入後、内蔵デバイスレジスタの設定処理(S4)で第3判定マスク値(例えば、0BH)を前回ポートバッファ3にストアする(S228)ことで、電源投入時にスイッチ状態をHレベルに設定することができる。
次に、CPU56は、S225でセットした演算結果と、読み出した前回ポートバッファ3のデータとの排他的論理和を演算する(S229)。CPU56は、S229の処理で異なるタイマ割込み処理での演算結果が変化しているか否かの情報を抽出しており、スイッチ状態がHレベル(オン状態)からLレベル(オフ状態)への変化、またはLレベル(オフ状態)からHレベル(オン状態)への変化の有無の情報を演算して抽出している。
次に、CPU56は、S229の演算結果と、S225でセットした演算結果との論理積を演算する(S230)。CPU56は、ポインタを1加算(S231)して、演算結果を、スイッチオンバッファ3にストアする(S232)。CPU56は、S230の演算を行うことで、スイッチ状態が変化した情報(S229の演算結果)の中からLレベル(オフ状態)からHレベル(オン状態)への変化の有無の情報を演算して抽出している。以上の処理によって、CPU56は、入力ポート3のゲートスイッチ1(ゲートスイッチ32a)、および始動口スイッチ1,2(第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a)のスイッチ状態がLレベル(オフ状態)からHレベル(オン状態)へ変化したか否かを判定することができる。
[変形例]
前述の構成では、CPU56において、スイッチ状態がLレベルからHレベルへと変化する場合に、カウントスイッチ23などに遊技球が通過したと判定するソフトウェア処理について説明したが、ハードウェア処理として図5に示したように電源の入り切りを行った場合に誤動作を防止することもできる。
図12は、電源回路311に接続されるカウントスイッチ23および入力ドライバ回路58aなどの構成を説明するためのブロック図である。まず、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aに接続される入力ドライバ回路58aは、入力回路580を含んでいる。入力回路580は、電源回路311から供給される電圧を検知する電圧検知回路581と、電圧検知回路581で検知した電圧が所定の電圧値(例えば、スイッチ閾値(7.5V))以上である場合に、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどから出力される検出信号に基づきカウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの検出状態を特定可能にする信号検知回路582とを含んでいる。なお、電圧検知回路581が、検知した電圧が所定の電圧値(例えば、スイッチ閾値(7.5V))より大きい場合に、入力回路580の信号検知回路582がカウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどから出力される検出信号に基づきカウントスイッチ23やゲートスイッチ32aなどの検出状態を特定可能にしてもよい。
電源回路311は、カウントスイッチ23やゲートスイッチ32aを駆動するために出力電圧VDDを供給し、入力ドライバ回路58aおよびCPU56を駆動するために出力電圧VCCを供給している。さらに、電源回路311は、図3に示すソレノイド16などを駆動するために出力電圧VSLを供給するとともに、パチンコ遊技機1の電断を判定するための電断判定回路585に出力電圧VSLを供給している。
電圧検知回路581および信号検知回路582からの出力信号は、入力ポート63を介してCPU56に入力される。電断判定回路585からの出力もCPU56に入力される。
次に、電圧検知回路581と信号検知回路582とを含む入力回路の動作について説明する。図13は、カウントスイッチおよび入力回路の構成を説明するための回路図および出力信号を示す図である。図14は、入力回路の回路構成を説明するための回路図である。
一方、本実施の形態に係る入力回路58では、電圧検知回路581と信号検知回路582とを含むので、以下に説明する動作となり誤動作を防止することができる。まず、図13(a)では、電圧検知回路581と信号検知回路582とを1つのパッケージに集積された入力回路580が、カウントスイッチ23に接続されている。もちろん、電圧検知回路581と信号検知回路582とは1つのパッケージに集積されていなくてもよい。
カウントスイッチ23は、入力回路580と接続される信号線が出力電圧VDDに接続され、他の信号線がグランドに接地されている。そして、カウントスイッチ23に遊技球が通過していない場合、内蔵するトランジスタがON状態となり入力回路580に接続される信号線がトランジスタを介してグランドに接地されることで信号レベルがLレベルとなる。カウントスイッチ23に遊技球が通過した場合、内蔵するトランジスタがOFF状態となり入力回路580に接続される信号線が出力電圧VDDに接続されることで信号レベルがHレベルとなる。ここで、カウントスイッチ23から出力される検出信号の信号レベルは、スイッチ閾値(7.5V)未満がLレベル、スイッチ閾値以上がHレベルとする。
入力回路580は、電圧検知回路581で出力電圧VDDの電圧レベルを監視し、所定の電圧値(例えば、スイッチ閾値(7.5V))以上の場合、カウントスイッチ23に遊技球が通過したか、通過していないかの検出状態を特定することができる。つまり、入力回路580は、出力電圧VDDの電圧レベルが所定の電圧値以上の場合、カウントスイッチ23に遊技球が通過していなければ、信号検知出力の出力信号レベルがLレベルで、カウントスイッチ23に遊技球が通過していれば、信号検知出力の出力信号レベルがHレベルとなる。また、入力回路580は、出力電圧VDDの電圧レベルが所定の電圧値(例えば、スイッチ閾値(7.5V))以上の場合、電圧検知出力の電圧異常信号レベルがLレベルで、所定の電圧値未満の場合、電圧検知出力の電圧異常信号レベルがHレベルとなる。
次に、入力回路580の回路構成をさらに詳しく説明する。入力回路580は、図14に示すように検出信号を閾値と比較する比較回路5821、比較回路5821の出力により駆動するトランジスタ5822とを含む信号検知回路582と、出力電圧VDDの電圧レベルを監視する電源監視回路5811と、電源監視回路5811の出力により駆動するトランジスタ5812とを含む電圧検知回路581とで構成されている。カウントスイッチ23からの検出信号が入力回路580に入力されると、まず、検出信号が比較回路5821に入力される。比較回路5821は、検出信号の信号レベルがHレベルの場合、閾値より大きくなるためLレベルの信号を出力し、検出信号の信号レベルがLレベルの場合、閾値未満となるためHレベルの信号を出力する。比較回路5821が出力した信号は、トランジスタ5822に入力される。トランジスタ5822は、比較回路5821が出力した信号がHレベルの場合にON状態となり、比較回路5821が出力した信号がLレベルの場合にOFF状態となる。トランジスタ5822がOFF状態になると、出力信号の信号線が出力電圧VCCに接続されることで出力信号の信号レベルがHレベルとなる。一方、トランジスタ5822がON状態になると、出力信号の信号線がトランジスタ5822を介してグランドに接地されることで出力信号の信号レベルがLレベルとなる。ここで、入力回路580から出力される出力信号の信号レベルは、閾値(3.5V)未満がLレベル、閾値以上がHレベルとする。
入力回路580には、出力電圧VDDの電源監視回路5811が設けられている。電源監視回路5811は、出力電圧VDDの電圧レベルが所定の電圧値(例えば、スイッチ閾値(7.5V))以上の場合にLレベルの信号を出力し、所定の電圧値未満の場合にHレベルの信号を出力する。電源監視回路5811が出力した信号は、トランジスタ5812に入力されるとともに、出力電圧VDDの電圧レベルの論理を表す電圧異常信号として入力回路580から出力される。トランジスタ5812は、電源監視回路5811が出力した信号がHレベルの場合にON状態となり、電源監視回路5811が出力した信号がLレベルの場合にOFF状態となる。トランジスタ5812がOFF状態になると、出力信号の信号線が出力電圧VCCに接続されることで出力信号の信号レベルがHレベルとなる。一方、トランジスタ5812がON状態になると、出力信号の信号線がトランジスタ5812を介してグランドに接地されることで出力信号の信号レベルがLレベルとなる。つまり、入力回路580は、図14に示すようにトランジスタ5812とトランジスタ5822とを組み合わせることで、検出信号の論理と出力電圧VDDの電圧レベルの論理とをAND演算で合成して出力信号として出力する回路として機能し、検出信号がHレベルで、かつ出力電圧VDDの電圧レベルが所定の電圧値以上の場合のみ出力信号がHレベルとなる。そのため、出力電圧VDDの電圧が不安定な場合(Lレベル)には、入力回路580の出力信号は、必ずLレベルとなる。よって、出力電圧VDDの電圧が不安定になった場合でも、入力回路580は、電圧検知回路581を含んでいるので、出力信号の信号レベルをカウントスイッチ23に遊技球が通過した場合と同じHレベルとならないように制御することができる。
図13(b)に示すように、入力回路580から入力ポート63を介してCPU56に出力される出力信号は、カウントスイッチ23に遊技球が通過した場合、信号レベルがHレベルとなり、カウントスイッチ23に遊技球が通過しない場合と出力電圧VDDの電圧が不安定になる場合とで同じLレベルとなる。そのため、CPU56は、出力電圧VDDの電圧が不安定になる場合、カウントスイッチ23に遊技球が通過したと誤って認識して入賞をカウントして遊技球を払出す誤動作を防止することができる。
[その他]
(1) 前述した実施の形態では、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出す遊技機を説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式の遊技機を採用してもよい。封入式の遊技機には、遊技媒体の一例となる複数の玉を遊技機内で循環させる循環経路が形成されているとともに、遊技点を記憶する記憶部が設けられており、玉貸操作に応じて遊技点が記憶部に加算され、玉の発射操作に応じて遊技点が記憶部から減算され、入賞の発生に応じて遊技点が記憶部に加算される。また、遊技機は、発射装置および玉払出装置を備えた遊技枠に遊技球が打ち込まれる遊技領域を形成する遊技盤を取付けた構成としたが、これに限らず、発射装置は玉払出装置などの基本的な機能を共通化し、遊技の特長的構成である遊技盤のみを流通させるようにしてもよい。この場合、遊技の特長的構成であるところの遊技盤を遊技機と称する。
また、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を例に挙げて説明したが、本実施の形態はスロットマシンに適用することも可能である。この場合、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを採用してもよく、あるいは、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筺体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。
このような封入式の遊技機には、遊技点を計数した上で、計数結果を記録媒体処理装置(遊技用装置)の一例となるカードユニットに送信する機能を設けてもよい。この場合、遊技点の計数を指示するための計数操作手段(計数ボタン)を封入式の遊技機に設けることが望ましい。たとえば、遊技点の計数結果は“持点”に変換されて、カードユニットに挿入されている(受付けられている)カードまたは端末などの「遊技者によって携帯される記録媒体」に直接記録される。あるいは、カードユニットに接続された点数管理用サーバで記録媒体に記録されているカードIDを管理し、計数結果をカードユニットから点数管理用サーバに送信することによって、点数管理用サーバがカードID毎に遊技者の持点を記憶するようにしてもよい。
(2) 前述した実施の形態では、「割合(比率、確率)」として、0%を越える所定の値を具体例に挙げて説明した。しかしながら、「割合(比率、確率)」としては、0%であってもよい。たとえば、所定の遊技期間における所定の遊技状態1の発生割合と他の遊技状態2との発生割合とを比較して、「一方の発生割合が他方の発生割合よりも高い」とした場合には、一方の遊技状態の発生割合が0%の場合も含んでいる。
(3) 上記実施の形態では、カウントスイッチ23を駆動するDC12Vの出力電圧VDDは、パチンコ遊技機1の電断判定に用いるDC32Vの出力電圧VSLより低い構成を説明した。しかし、これに限定されるものではなく、カウントスイッチ23などの検出回路を駆動する出力電圧とパチンコ遊技機1の電断判定に用いる出力電圧とは異なる電圧値でも同じ電圧値でもよい。
(4) 上記実施の形態に係る入力回路580では、電圧検知回路581で検知した電圧が所定の電圧値以上である場合に、信号検知回路582が検出回路から出力される検出信号を検知可能となる構成を説明した。しかし、これに限定されるものではなく、信号検知回路582からの出力信号と、電圧検知回路581からの電圧異常信号(図13参照)とを用いてCPU56で検出回路から出力される検出信号を判定してもよい。つまり、CPU56は、図13(a)に示す入力回路580から供給される電圧異常信号がLレベルの場合に、信号検知回路582からの出力信号に基づいて検出回路であるカウントスイッチ23から出力される検出信号を判定する。例えば、信号検知回路582からの出力信号がHレベルならば、カウントスイッチ23に遊技球が通過したと判定し、Lレベルならば、カウントスイッチ23に遊技球が通過していないと判定する。
(5) 上記実施の形態に係る入力回路580では、信号検知回路582からの出力信号と、電圧検知回路581からの電圧異常信号との合成信号(例えば、AND演算、OR演算などを行なった後の信号)を出力してもよい。CPU56は、入力回路580から出力された合成信号に基づいて検出回路から出力される検出信号を判定してもよい。
(6) 上記実施の形態に係るCPU56は、電圧検知回路581からの電圧異常信号に基づき、電源回路311の出力電圧が不安定になったと判定した場合、演出表示装置9などの表示装置、スピーカ27R,27Lなど音声装置、ホール管理用コンピュータなどと通信する通信装置などを用いてエラー報知を行ってもよい。
(7) 上記実施の形態に係る入力回路580では、主基板31に接続されたカウントスイッチ23などの検出回路からの信号を処理する場合について説明したが、演出制御基板80に接続されるLEDやモータなどからの信号を処理する場合についても適用してもよい。さらに、電源回路311は、主基板31に接続されたカウントスイッチ23や他の装置(LEDやモータなど)に対して区別なく同じタイミングで起動して出力電圧VDDを供給している。しかし、これに限定されるもではなく、主基板31が他の装置を起動するタイミングを、誤動作を防止したいカウントスイッチ23などの検出回路を起動するタイミングに比べて遅らせるようにパチンコ遊技機1の構成部の起動順を制御して、カウントスイッチ23などの検出回路に出力電圧VDDを供給する電源回路311の負担を軽減してもよい。また、演出制御基板80は、接続されるLEDやモータに対しても、誤動作の防止を行う必要のない装置を起動するタイミングを、誤動作を防止したい装置を起動するタイミングに比べて遅らせるようにパチンコ遊技機1の構成部の起動順を制御して、誤動作を防止したい装置に出力電圧VDDを供給する電源回路311の負担を軽減してもよい。
(8) 上記実施の形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取付けられている。遊技盤6にはカウントスイッチ23などの検出回路を設け、遊技枠には電源回路311を設けてある。そして、遊技盤6を遊技枠5aに取付けた場合に、検出回路は、ドロワコネクタを介して電源回路311と接続される構成でもよい。
具体的に、遊技盤6を遊技枠5aに取付けた場合に、検出回路は、ドロワコネクタを介して電源回路311と接続される構成について図を用いて説明する。図15は、遊技盤6が遊技枠5aに取付けられる前と取付けられた後の様子を示す図である。図15に示すように遊技枠5aの裏面には、取付機構34a、34bがそれぞれヒンジ35a、35bを中心に開閉自在に設けられている。取付機構34a、34bは、コの時型をしており、遊技盤6に対応した幅の底を持つ。遊技盤6を遊技枠5aに対して図15(b)の矢印方向に押し込むことで、図15(a)に示すように遊技盤6が取付機構34a、34bにより固定される。遊技盤6が取付機構34a、34bにより固定されるときに、遊技盤6側に設けた凸型ドロワコネクタ33aが遊技枠5a側に設けた凹型ドロワコネクタ33と結合する。ここで、凸型ドロワコネクタ33aおよび凹型ドロワコネクタ33は、位置ずれに対してフレキシブル性を有するフローティングコネクタである。
また、遊技盤6を遊技枠5aに設置する際に、凸型ドロワコネクタ33aが凹型ドロワコネクタ33と結合することで、遊技盤6側の主基板31と、遊技枠5a側の払出制御基板37とが接続され、また遊技盤6側の主基板31と、遊技枠5a側の電源回路311(図3参照)とが接続されることになる。さらに、遊技盤6は決まった位置に固定されるとともに、凸型ドロワコネクタ33aおよび凹型ドロワコネクタ33はある程度の位置ずれに対してフレキシブル性を有しているので、凸型ドロワコネクタ33aと凹型ドロワコネクタ33との位置関係を意識することなくこれらが結合することができる。なお、取付機構34a、34bを設けず、凸型ドロワコネクタ33aおよび凹型ドロワコネクタ33のみで、遊技盤6を遊技枠5aに設置する構成であっても、凸型ドロワコネクタ33aおよび凹型ドロワコネクタ33自体がフレキシブル性を有するフローティングコネクタであるため、遊技盤6と遊技枠5aとの位置関係を意識することなくこれらが結合することができる。ここで、凸型ドロワコネクタ33aは、遊技盤6の内部配線(図示せず)を介して主基板31に接続され、凹型ドロワコネクタ33は、信号ケーブル36aを介して、払出制御基板37に接続されている。前述のように、ドロワコネクタを用いることで、遊技場に設置された遊技枠5aから交換対象の遊技盤6の電気的な接続を外して、新たな遊技盤6と電気的な接続を行うことが容易になる。しかし、ドロワコネクタにおいて接続、取り外しを繰り返すことで接点が磨耗したり、接点にごみが付着したりするなどが起こり、遊技枠5aと遊技盤6との電気的な接続不良が生じて、出力電圧VDDが不安定となることが考えられる。そこで、カウントスイッチ23などの検出回路に対して上記実施の形態に係る入力回路580を用いることで、接続不良が生じて出力電圧VDDが不安定となったとしても誤動作を防止することができる。
(9) 上記実施の形態では、パチンコ遊技機1に設けるカウントスイッチ23などの検出回路を対象として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、パチンコ遊技機1に限らず、パチンコ遊技機1の周辺に設けられる遊技用装置が備える検出回路に対して、上記実施の形態で説明した構成を適用してもよい。遊技用装置としては、例えば、パチンコ遊技機1の台間に設けられる各台計数装置のカウントスイッチなどの検出回路、複数の遊技機が連なって設置された遊技島に設けられる検出回路など、遊技店の中に設けられる計数装置に設けられる検出回路といったものが挙げられ、その他、パチンコ遊技機1の周辺に設けられる全ての遊技用装置が備える検出回路(例えば、呼び出しランプや情報表示装置に設けられているボタン操作を検出するスイッチなど)に対して上記実施の形態で説明した構成を適用することができる。また、検出回路は、遊技球やコインなどの遊技媒体を検出する回路に限定されず、挿入されるカードやハンドル操作などを検出する検出回路であってもよい。さらに、スロットマシンのリールに設けられているセンサ、ストップスイッチやベットスイッチなどの検出回路に対して、上記実施の形態で説明した構成を適用してもよい。
(10) 上記実施の形態では、図5を用いて電源の入り切りを行った場合の電源電圧の変化および遊技機の動作について説明した。図5では、単純に電源に入り切りした場合について説明したが、例えば主基板31に供給されている出力電力VCCが閾値(例えば4.2V)未満になると遅延時間経過後にリセットする遅延回路を設けたパチンコ遊技機1に対しても有効である。具体的に、人手により電源の入り切りを行う場合、スイッチングの切換え速度には限界があるため、出力電圧VDDおよび出力電圧VCCの電圧変換部に設けたコンデンサの容量を小さくして出力電圧VSLの電圧変化に対して出力電圧VDDおよび出力電圧VCCの電圧の変化を小さくすることができれば図5に示す斜線領域が生じない可能性がある。しかし、当該遅延回路を設けることにより主基板31の起動が遅延し、人手により電源の入り切りを行う場合でも図5に示す斜線領域が生じる可能性があり、このような場合に対して、前述した本実施の形態に係る入力回路580の構成が有効になる。
(11) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。