JP6627951B1 - 温度制御方法及び温度制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】実体制御目的物に対する温度制御を安定的にかつ効率的に行いハンチング等を抑制する温度制御方法および温度制御装置を提供すること。【解決手段】実体制御目的物側の第1実体制御点、及び加温・冷却体側の第2実体制御点の位置やエネルギー指標のいずれか又はそれらの組合せに基づいて仮想制御点を定義するステップと、一定時間間隔で区切った制御区間毎に、第1実体制御点近傍と第2実体制御点近傍の各エネルギー指標と、仮想制御点と第1実体制御点間の距離と仮想制御点と第2実体制御点間の距離の比とに基づき、仮想制御点の現在のエネルギー指標を推計するステップと、実体制御目的物の目標値として設定されたエネルギー指標に対応するようなエネルギー指標に仮想制御点が到達して、その後安定してその目標値を継続できるようになるまで加温・冷却体の操作を制御区間毎に制御するステップと、からなる温度制御を行う。【選択図】図10

Description

加温・冷却体と実体制御目的物間の距離、測定されたエネルギー指標とその変化量のいずれかまたはその組合せに基づき、仮想的な制御点を想定し、この仮想的な制御点に対する温度制御を行うことにより、本体である実体制御目的物に対するハンチング、オーバーシュート、アンダーシュートの抑制を安定的にかつ効率的に行う温度制御方法および温度制御装置に関するものである。
温度制御装置、すなわち、制御される対象物が到達すべき目標値とセンサ等によって検知された現在値とを比較し、その偏差に応じて演算を行いペルチェ素子やヒータなどの加温・冷却手段の操作を制御する装置は、ハンチングやオーバーシュートやアンダーシュートを極力抑制するように温度制御を行わなければならない。
ハンチングとは、図12に示すように、制御される対象物の温度が設定された目標温度に対してオーバーシュートとアンダーシュートを繰り返し、安定して制御できない状態をいう。一時的に温度が一定になったとしてもまたハンチングを起こすこともあり、制御される対象物が直上にない場合や、エネルギー(温度)分布により仮想的な距離が存在している場合は、安定した温度制御が特に難しくなる。
このハンチングという現象は、一時的に安定したように見えても再び起きる場合があり、アンダーシュートとオーバーシュートが発生することは、例えば以下の分野で問題となる。
化学反応の分野では、ある一定の温度条件によってのみ反応を起こすプロセスがあり、結晶生成の分野では、ある一定の温度条件によってのみ結晶ができる。また、生物化学的反応の分野では、バイオリアクタ等の温度条件によってのみ反応がおき、オーバーシュートによって生物が死滅してしまいリアクタが破損することがある。生物分野では、ある条件でのみ生息できる生命体を維持したり、またある条件でのみその形態や副生成物を内部または外部に生成したりすることがある。また、生物センサの場合も、化学的センサの場合も、温度の安定がそのセンシングにもたらす影響が大きい。さらに、精密測定の分野では、電子回路を含む温度ステップやサイクル試験で、綺麗な温度勾配やサイクルを呈さなければ、回路や部品の性能などを測れない実験がある。
したがって、これらの分野で使用される機器においては、ハンチング等の発生は厳禁である。
ハンチングの抑制というテーマで、種々の特許出願がなされている。
特許文献1には、温調ブロック(検体と試薬を混合した反応液を収容する容器を保持するブロック)の温度変化量(現在周期の温度―前回周期の温度)を「大」から「無し」となるように熱源の操作量を制御することでハンチングを抑止する「核酸増幅装置、温度制御方法、及び温度制御装置」の発明が開示されている。
特許文献2には、エンジンの冷却水温度を制御する場合に、設定温度で安定した時のラジエータ放熱量を予測し、この予測値に応じて電子制御サーモスタットを制御することによりハンチングなどを発生させずに冷却水温度制御を行う「電子制御サーモスタットの制御方法」の発明が開示されている。
特許文献3には、冷却プレートの設定温度を基準温度Tからハンチング抑制温度Tに上げ、その後、所定の降温速度で基準温度Tまで降温させる「光学素子の成形方法及び成形装置」の発明が開示されている。
特開2014−131493号公報 特開2003−201844号公報 特開2015−105221号公報
これらの特許文献に記載された発明では、温度制御を行う対象である温調ブロック(特許文献1)を、サーモスタット(特許文献2)を、冷却プレート(特許文献3)を、つまり温度制御対象そのものを直接的に制御しようとする。
しかし、これらの従来の制御方法では次のような問題がある。
すなわち、1台の装置に多数の温度制御系が存在している場合、制御対象に直接温度センサを取り付けて制御しても、加温・冷却体それぞれを制御しても、各点での制御では、統合的動的な制御点に対する制御ができない。また、多数の制御対象が存在し、それぞれに制御点が存在している場合、各点の平均では一点に対する制御になるため、無駄に制御用の加温・冷却体が多くなって効率的ではない。さらに、制御対象が1個であり、これに対し多数の加温・冷却体があっても一点を対象にした処理では、無駄のない効率的な制御はできない。
したがって、ハンチングを抑制し、且つ効率的な制御ができる温度制御方法が望まれるのである。
ところで、温度制御の用途で多用されるペルチェ素子には、冷却・加熱・温度制御が自由に行えるという特長がある。つまり、ソフトウェアによって自在な温度制御が容易なのである。それならば、制御対象である目的物そのものではなく、その目的物を間接的に温度制御することで、ハンチングなどの発生を抑制することも可能なはずである。
そこで、本発明は、ペルチェ素子の制御方法を工夫して、簡便にハンチング等を抑制することを課題とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る温度制御方法の発明は、
実体制御目的物側の第1実体制御点、及び加温・冷却体側の第2実体制御点の位置やエネルギー指標のいずれか又はそれらの組合せに基づいて仮想制御点を定義するステップと、
一定時間間隔で区切った制御区間毎に、前記第1実体制御点近傍と前記第2実体制御点近傍の各エネルギー指標と、前記仮想制御点と前記第1実体制御点間の距離と前記仮想制御点と前記第2実体制御点間の距離の比とに基づき、前記仮想制御点の現在のエネルギー指標を推計するステップと、
前記実体制御目的物の目標値として設定されたエネルギー指標に対応するようなエネルギー指標に前記仮想制御点が到達して、その後安定してその目標値を継続できるようになるまで前記加温・冷却体の操作を前記制御区間毎に制御するステップと
からなることを特徴とする。
このように、実体制御目的物と加温・冷却体のそれぞれの直上あるいは近傍にある実体制御点の示す指標だけを元に温度制御をするのではなく、実体制御目的物と加温・冷却体の位置関係やそれぞれのエネルギー指標から「仮想制御点」を定義し、これに対して温度制御を行うのである。仮想制御点のエネルギー指標を推計してこの推計値を元に、加温・冷却体の操作を制御(下記の実施形態ではPI制御またはPID制御を用いる)するので、ハンチングなどの不安定要素を可能な限り小さくできる。
ここで、実体制御目的物とは加温・冷却体によって加温もしくは冷却しようとする目的物(例えば、検体)をいう。
加温・冷却体とは下記の実施形態ではペルチェ素子であるが、ヒータでも空冷ファンでもなんでもよい。
第1、第2実体制御点とは、実体制御目的物と加温・冷却体のそれぞれの表面や近傍に設けた現在のエネルギー指標を計測するための点であり、センサ類が接続している。
エネルギー指標とは、温度が代表的であるが、電気抵抗や電圧や電流の値でもよい。仮想制御点の推計値を算出する際、エネルギー指標をそのまま使用しても、前回取得したエネルギー指標との変化量を使用してもいずれでもよい。
仮想制御点とは、物理的に存在するわけではなく、推計値を算出するために便宜上想定した点である。
請求項1に記載の温度制御方法は、前記加温・冷却体の操作を制御する過程において、前記仮想制御点が静的または動的に定義されることを特徴とする。
仮想制御点は、プログラムの実行時に生ずる仮想的な存在なので、制御処理開始時点で静的に定義されているだけでなく、温度変化等に応じて、任意の位置に定義することができる。
請求項1に記載の温度制御方法は、実体制御目的物と加温・冷却体はそれぞれ1個以上任意個数あってもよい。
これにより、実体制御目的物上あるいは近傍にある第1実体制御点、加温・冷却体上あるいは近傍にある第2実体制御点の関係が多対多であっても、多対1であっても、1対多であっても安定した温度制御が可能になる。
このように、任意個数に対応できるということは、温度制御中に実体制御目的物の個数の増減などがあっても対応しうることにもなり、温度制御中に発生する実体制御点におけるエネルギー指標の動的変化に対して、より迅速に対応して安定した制御を実現できる。
請求項4は、本発明の温度制御方法を適用した温度制御装置にかかる発明である。
温度制御を行う点を実体制御目的物1点に集中させないために状況に応じて最適な仮想制御点を定義し、この仮想制御点に対して一定の時間に分割した制御区間毎に温度制御を行うのでハンチングが問題とならず、実体制御目的物への安定した温度制御を行うことが可能となる。
加温・冷却体と実体制御目的物が各1個の場合を説明する図である。 仮想制御点を比喩的に説明するための3台の自動車走行の図である。 加温・冷却体と実体制御目的物が各1個の場合の仮想制御点における推計値の算出法を説明する図である。 加温・冷却体が2個、実体制御目的物が1個の場合の仮想制御点の定義を説明する図である。 加温・冷却体が1個、実体制御目的物が2個の場合の仮想制御点の定義を説明する図である。 加温・冷却体と実体制御目的物が各2個の場合の仮想制御点の定義を説明する図である。 加温・冷却体と実体制御目的物が直接的に接している場合の仮想制御点を説明する図である。 加温・冷却体あるいは実体制御目的物の少なくとも一方とその実体制御点とが離れている場合を説明する図である。 温度制御装置の機能ブロック図である。 温度制御装置の制御部による処理を説明するフロー図である。 多数の制御区間を設けてステップ的に温度制御を行い、直線的に温度が変化することを説明する図である。 ハンチング現象を説明する図である。
本発明の実施形態について、
(1)仮想制御点による温度制御方法
(2)仮想制御点の考え方を適用した温度制御装置
の順に説明する。
(1)仮想制御点による温度制御方法
(1−1)加温・冷却体―実体制御目的物間の距離と仮想制御点
温度制御において、制御される側(実体制御目的物)と制御する側(加温・冷却体)との位置関係を大別すると、直接接している場合と、物理的に距離が離れている場合の2通りがある。
図1(1)のように、実体制御目的物1と加温・冷却体2が直接的に接しているのであれば、原則として従来の装置で温度制御が可能である。つまり、物理的な距離が無いので、熱伝達の遅れに伴うハンチングなどが問題とならないのである。
ところが、図1(2)のように、物理的に距離が離れている場合、実体制御目的物1の実体制御点1xのエネルギー指標に基づいて制御しようとしても、当該実体制御目的物1に熱変化が到達し、その到達した指標を安定的に継続できるようになるまでに時間がかかる。そのため、オーバーシュート、アンダーシュート、ハンチングが発生する。これは、加温・冷却体2が実体制御目的物1から離れているので、実体制御目的物1の変化には不安定なタイムラグが発生し、正確な制御ができないからである。
このような実体制御目的物1と加温・冷却体2とが離れている場合に、図3に示すような仮想制御点3を直接の制御対象とするのが本実施形態の温度制御方法なのである。
(1−2)3台の車両の走行の比喩として仮想制御点の意義を説明
本実施形態の温度制御方法において、「仮想制御点」は最も特徴的な概念であるが、物理的に存在せず温度制御のアルゴリズム中でのみ存在する。そこで便宜上、自動車の安定的な走行に喩えて説明する。
図2に示すように、3台の車が連続して走行しているものとする。先頭車両は本実施形態の加温・冷却体の、後尾車両は実体制御目的物の、中間を走行している車両は仮想制御点のそれぞれ比喩である。
図2では、視界がよく前後の車両を十分に確認しながら走行できる状態にあり、この状態では、いずれの車両も等間隔で同じ速度で運転できるので、各車両の速度vの変化量(Δv)は等しい。
すなわち、本実施形態に即していえば、
Δ加温・冷却体の温度=Δ仮想制御点の温度=Δ実体制御目的物の温度
が成り立つ。
本実施形態では、先頭の車両(=加温・冷却体)が中間の車両(=仮想制御点)を制御対象とする。対象までの距離が短くなっているので、制御は短時間且つ正確である。つまり、ハンチングは起こりにくい。中間の車両と後尾の車両(=実体制御目的物)との間の距離も短いので短時間で追随する。結局、二つのサブシステム(1:仮想制御点に対する加温・冷却、2:仮想制御点から実体制御目的物への熱移動)の誤差を合計すると、効果は非線形であり本来の一つのシステム(実体制御目的物そのものを直接加温・冷却)で生じた誤差よりも小さくなるという現象が見られるのである。
ただし、図2の比喩は分かりやすさを優先したのであって、仮想制御点は必ずしも加温・冷却体と実体制御目的物の中間に定義されるものではない。例えば、すでに制御されるべき車両(=実体制御目的物)が先頭を走行していて、制御する車両(=加温・冷却体)と仮想制御点に相当する車両が、前方の車両(=実体制御目的物)を目指して走行する場合もある。
要は、第1実体制御点と第2実体制御点の固定位置に基づき、仮想制御点が静的に定義されるわけではなく、動的に定義されうるという点が重要なのである。
(1−3)仮想制御点の定義すなわち空間座標の決定、およびエネルギー指標の推計
以下、仮の数値を当てはめて、仮想制御点に関する説明を続ける。
実体制御目的物1の第1実体制御点1xが外的要因のために30度を示し、加温・冷却体2の第2実体制御点2xが25度であり、実体制御目的物1に対する最終目的温度が35度であるものとする。
この場合、第1実体制御点1x、第2実体制御点2xまたは仮想制御点3のいずれかを35度に設定し、制御をスタートする。このようなスタートをさせるのは、2種類の実体制御点1x、2xと仮想制御点3のいずれを先行させる必要があるかは外的要因によってケースバイケースであるからである。
ここで、仮想制御点3の位置座標が問題となるが、予備実験済みであって、第1・第2実体制御点1x、2xとの距離の比率(図3のS1:S2)として適切な値が判明していたならば、それを元に計算される値とすればよい。未だ実験されていなければ1:1すなわち2種類の実体制御点の中点の座標としてもよい。なお、本実施形態の温度制御方法を適用した装置を試作し、多数回実験を繰り返したところ、仮想制御点3を単純に中点に設定してもハンチング抑制の効果が得られた。
次に、仮想制御点3に対する制御方法は次のとおりである。
まず加温・冷却体側がPID制御またはPI制御(以下、「PID制御」)によって約33度まで到達したならば、定義済みの仮想制御点3を利用してPID制御を開始する。実体制御目的物1の温度状況を検知しながら、予備実験等でどの位置に定義された仮想制御点3の設定温度を何度にすればよいかがわかっている場合、仮想制御点3が設定された温度に到達するように加温・冷却体2の制御を続ける。この制御により仮想制御点3の温度が変化し、これに伴い実体制御目的物1が目標の温度に近づいていく。
この過程で、仮想制御点3と2つの実体制御点との距離S1,S2を変化させることもある。つまり仮想制御点3は動的に定義されるわけである。加温・冷却体2の操作を制御するコンピュータプログラムの実行過程において計算上でのみ存在するので、仮想制御点3はどのようにでも定義が可能なのである。勿論静的に一定比を保つ方が良い場合もある。
仮想制御点3は位置だけでなく、開始時点における温度の設定も自由である。例えば、実験開始時点において実体制御目的物1が10度、加温・冷却体2が25度、仮想制御点3がマイナス200度でスタートすることも可能である。仮想制御点3は計算上の存在だからであり、初期値が大幅に上回っていたり下回ったりしていた方が制御しやすい場合もあるからである。
次に、図3を参照しながら、温度制御処理を開始してからの仮想制御点3の温度変化量の推計方法の一例を説明する。
図3に示す例では、加温・冷却体2近傍の第2実体制御点2xの空間座標と実体制御目的物1近傍の第1実体制御点1xの空間座標とを両端とする線分上に仮想制御点3を定義する。
S1=加温・冷却体2の実体制御点2xと仮想制御点3との距離
S2=実体制御目的物1の実体制御点1xと仮想制御点3との距離
EI1=実体制御目的物1の実体制御点1xで計測されたエネルギー指標
EI2=加温・冷却体2の実体制御点2xで計測されたエネルギー指標
VCP=仮想制御点3のエネルギー指標(計算で導き出す推計値)
とする。
仮想制御点3におけるエネルギー指標の前回との変化量であるΔVCPは次の数式で推計する。
ΔVCP=((ΔEI1−ΔEI2)×S1/(S1+S2))+ΔEI2
なお、この式は直線補間であるが、温度分布が一様でない場合等は曲線補間であってもかまわない。このように、数式を用いて算出してもよいが、予備試験結果などに基づいて作成したルックアップテーブルを参照して取得したり、任意に推計値を当てはめたりする方法もある。
(1−4)仮想制御点のエネルギー指標が目標値に到達するように加温・冷却体の操作を制御
加温・冷却体2の操作を制御するソフトウェアあるいはハードウェアは、仮想制御点3の推計温度を参照しPID制御を行う。
PID制御は、仮想制御点3の現在の推計値と仮想制御点3の目標温度として設定された値との偏差を求め、これに比例した出力をする比例動作と積分した値に比例した出力をする積分動作と微分した値に比例した出力をする微分動作とによって偏差を解消する方向で加温・冷却体2に対する操作を制御する。
この実施形態では、一般的なPID制御を用いているが、入力値が仮想制御点3の現在推計値と目標値との偏差であるという点が特徴的である。PID制御によっても目標温度に近づくに従い、温度の変化量が緩やかとなってハンチングを低減する働きがあるが、それでもハンチング抑制には十分でない。この実施形態では、仮想制御点を設けたことによって、この弱点を補うものである。
(1−5)加温・冷却体と実体制御目的物の少なくとも一方の個数が複数の場合
加温・冷却体と実体制御目的物が各1個の場合を想定して説明してきたが、少なくとも一方が複数個あっても仮想制御点を利用した温度制御が可能である。以下、少なくとも一方が複数ある場合の簡単な仮想制御点の定義の仕方を説明する。
図4は、加温・冷却体2が2個と実体制御目的物1が1個の場合である。なお、加温・冷却体2は3個以上でも考え方は同様である。
一方の加温・冷却体2aと実体制御目的物1との距離をA,他方の加温・冷却体2bと実体制御目的物1との距離をB,加温・冷却体2a、2b同士の距離をCとする。A:B:Cの比率から仮想制御点3を定義する。この仮想制御点3を温度制御の示標とすることで実体制御目的物1自体を安定的に制御することが可能となる。
仮想制御点3の位置は、A,B,Cを3辺とする三角形の重心や外心に限らず、測定されたエネルギー指標等に基づき動的に決めればよい。
図5は、加温・冷却体2が1個と実体制御目的物1が2個の場合である。なお、実体制御目的物は3個以上でも考え方は同様である。
加温・冷却体2と一方の実体制御目的物1aとの距離をA,加温・冷却体2と他方の実体制御目的物1bとの距離をB,実体制御目的物1a、1b同士の距離をCとする。A:B:Cの比率から仮想制御点3の位置を決定する。この仮想制御点3を温度制御の対象とすることで実体制御目的物1a、1b自体を安定的に制御することが可能となる。
図6は、加温・冷却体2と実体制御目的物1が各2個の場合である。なお、2個に限らず3個以上でも考え方は同様である。
頂点Pを共有する2つの三角形を考え、一方の三角形の辺A:B:Cの比率などに基づき仮想点Pを求め、他方の三角形の辺D:E:Fの比率などに基づき仮想点Pを求める。この仮想点Pと仮想点Pとから仮想制御点3の位置を決定し、この点の温度制御を介して、2つの実体制御目的物1a,1bの温度制御を安定的に行う。なお、頂点Pが必ずしも仮想制御点3と一致するとは限らない。
(1−6)その他
実体制御目的物1と加温・冷却体2が物理的に離れている場合に仮想制御点3の考え方を適用する意味がある。したがって、直接的に接している場合は、仮想制御点の概念を取り入れるまでもない。しかし、実体制御目的物1と加温・冷却体2とエネルギー指標の差たとえば温度差が著しい等の特別な場合は、仮想制御点3を設けることに意義がある。この点について、図7を参照しながら説明する。
実体制御目的物1と加温・冷却体2が密接しているのでS1=S2=0であり、
ΔEI1=ΔVCP=ΔEI2となる。しかし、実体制御目的物1と加温・冷却体2が何らかの特殊なエネルギー分布を持ち、実体制御点1xと実体制御点2xの間に仮想的な空間が存在しても同然な状況の場合、S1とS2は現実の距離である必要はなく、エネルギー指標の差などを勘案して比を適宜当てはめることも可能である。
さらに、図8のように、実体制御点1xが実体制御目的物1に直接的に接触していなかったり、実体制御点2xが加温・冷却体2に直接的に接触していなかったりすることもある。このような場合であっても実体制御点1x、2xのエネルギー指標が実体制御目的物1と加温・冷却体2のそれぞれのエネルギー状態を反映しているのであれば問題がない。
例えば、実体制御目的物1が流体であって直接温度を計測できなくても、この流体を通す管上の1点において温度が計測できれば、この1点を実体制御点1xとすればよい。
(2)仮想制御点の考え方を適用した温度制御装置
図9の機能ブロックに従い、温度制御装置10について説明する。
温度制御装置10は、入出力部101と記憶部102と制御部103と制御I/F部104と検出I/F部105と通信I/F部106を備える。
入出力部101は、キーボード、マウス、タッチパネル、ディスプレイ画面などであって、温度制御装置10の使用者は、入出力部101を介して設定温度を入力したり、温度制御結果を取得したりする。なお、入出力部101は、温度制御装置10に内蔵されていたり、直接接続されていたりしなくても、通信I/F部106を介して接続する外部のサーバの入出力装置やクラウドサービスの操作画面でもよい。
制御部103は、図示しないCPUが記憶部102に格納されているコンピュータプログラムをメモリ上に読み込み、これを実行することにより一連の温度制御処理を制御する。またマクロ言語処理機能があるならば、温度制御装置10はそのマクロ言語処理機能を利用することで、起動直後に自動的に温度制御処理を開始したり定型的な作業を自動化したりすることも可能である。
記憶部102は、マクロ言語処理機能を含むコンピュータプログラムのほかに、処理途中の演算結果なども記憶する。
制御I/F部104は、制御部103の演算処理結果によって加温・冷却体2の操作を制御するためのインターフェースである。
検出I/F部105は、加温・冷却体2上または近傍の実体制御点2xに設けられた検出部2yと、実体制御目的物1上または近傍の実体制御点1xに設けられた検出部1yとから得られたエネルギー指標を制御部103にフィードバックするときのインターフェースである。
通信I/F部106は、他装置とデータの授受などの連携をするときのインターフェースである。他装置には、ファンやヒータなどの周辺機器、測定機器、エッジ処理を行うコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラなどが含まれる。また、通信I/F部106は、有線通信だけではなくWiFi(登録商標)等の無線通信によっても他装置と接続可能である。つまり、WiFi等を通してスマートフォンやパソコンなどから容易に監視や操作ができるのである。また温度制御装置10にはWEBサーバ機能が含まれていてもよい。
なお、図9において、太線で表した双方向矢印は熱が双方向に移動しうることを示している。
次に、制御部103を中心とした処理について、図10を参照しながら説明する。
温度制御装置10あるいはこれに接続している装置の所定箇所に実体制御目的物1を収容する(ステップS10)。入出力部101を操作したり或は通信I/F部106を介してWEBサーバや周辺機器などに接続したり、さらにはスタートアップマクロの自動設定機能により、仮想制御点3における目標エネルギー指標を設定する(ステップS11)。その目標エネルギー指標は実体制御目的物1に対する値そのものに限らず、その実体制御目的物1に対する値と逸脱していても、この設定値で実体制御目的物1が目的の温度になることをあらかじめ実験等で検証した結果の値であればそれでよい。
ところで、温度制御装置10は、ハンチング抑制のために一定の時間間隔で制御を行うが、この点について簡単に説明する。
加温・冷却体2としてペルチェ素子が適しているが、このペルチェの性質として温度Taから温度Tbへ変化させる上で、2次曲線の様に温度が降下するのが通常である。これに対し、時間軸上に多数の区間を設け、区間毎にあたかも直線的に温度降下させる制御をする場合がある。この実施形態ではスタート時点tから時間k(単位はミリ秒、秒など)毎に多数の区間(t〜t+k、t+k〜t+2k、t+2k〜t+3k、・・・)を設け、これらを温度制御装置10による温度制御のための制御区間とする。1つの制御区間について以下のステップS12〜ステップS16の処理を繰り返す。細かく分割された制御区間あたりの制御は、図11に示すように直線的であってほとんどハンチングは問題にはならない。しかしこの場合も、より目的の温度に近く制御するために仮想制御点を使用することで、より目的に近い直線で制御することが可能となる。
検出部2yと検出部1yによって検出されるエネルギー指標のウェイト値を予め設定する(ステップS12)。またはいずれかの検出部によるエネルギー指標を基準としたパーセンテージ値を設定してもよい。例えば、検出部1yと検出部2yがエネルギー指標としてEとEを検出したとする。検出部1yと検出部2yのエネルギー指標の重みを1:2とすると、各検出部のウェイト値は1*Eと2*Eになる。検出部2yを基準とした場合パーセンテージ値が60%であればE+(E−E)×0.6と設定してもよい。
区間毎に検出I/F部105 を介して検出部1yおよび検出部2yが計測したエネルギー指標を取得する(ステップS13)。その計測値と上記の設定されたウェイト値あるいはパーセンテージ値を元に、区間毎に仮想制御点3のエネルギー指標を計算し導き出す(ステップS14)。
PID制御を行うための計算式に仮想制御点3の計算されたエネルギー指標値を代入し、代入によって得られた解を制御値として制御I/F部104を介して加温・冷却体2に対し、加温・停止(エネルギー供給停止)・冷却が起きるようにエネルギーを印加する(ステップS15)。
制御区間毎に、仮想制御点3のエネルギー指標の計算、および加温・冷却体2の操作の制御を繰り返し、設定済みの目標エネルギー値へ到達し、且つその状態が安定的に継続されるまで(ステップS16でNo)は、ステップS12〜S15までの処理を繰り返す。目標エネルギー値に到達してもその後ハンチングを起こすことがあるので、安定してその目標エネルギー値を継続するために温度制御を続けるのである。なお、ステップS16でNoの場合、ステップS13の処理に戻ることとし、ステップS12の処理は、区間毎の制御を開始する前に予め実行してもよい。図10のフローは例示にすぎず、よりよい結果が得られればケースバイケースでよいのである。
もし、目標エネルギー値へ到達し、且つその状態が安定的に継続されるに至ったならば(ステップS16でYes)、入出力部101等を介して、またはあらかじめ設定しておいたマクロ言語処理機能によって選択された目的の状態(停止、次の目的値の再設定など)に移行する(ステップS17)。
本発明は、ハンチングなどを簡単に抑制できることから、厳しい温度条件が課される装置への適用が期待できる。
1:実体制御目的物
2:加温・冷却体
3:仮想制御点
10:温度制御装置

Claims (4)

  1. 実体制御目的物側の第1実体制御点、及び加温・冷却体側の第2実体制御点の位置やエネルギー指標のいずれか又はそれらの組合せに基づいて仮想制御点を定義するステップと、
    一定時間間隔で区切った制御区間毎に、前記第1実体制御点近傍と前記第2実体制御点近傍の各エネルギー指標と、前記仮想制御点と前記第1実体制御点間の距離と前記仮想制御点と前記第2実体制御点間の距離の比とに基づいて、前記仮想制御点の現在のエネルギー指標を推計するステップと、
    前記実体制御目的物の目標値として設定されたエネルギー指標に対応するようなエネルギー指標に前記仮想制御点が到達して、その後安定してその目標値を継続できるようになるまで前記加温・冷却体の操作を前記制御区間毎に制御するステップと
    からなる
    ことを特徴とする温度制御方法。
  2. 前記加温・冷却体の操作を制御する過程において、前記仮想制御点が静的または動的に定義されることを特徴とする請求項1に記載の温度制御方法。
  3. 前記実体制御目的物と前記加温・冷却体はそれぞれ1個以上任意個数あることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の温度制御方法。
  4. 実体制御目的物のエネルギー指標が目標値に到達するように温度制御を行う温度制御装置であって、
    制御部と、加温・冷却体の操作を制御する制御インターフェース部と、加温・冷却体および実体制御目的物から検出されたエネルギー指標を取得する検出インターフェース部を備え、
    前記制御部は、前記実体制御目的物側の第1実体制御点、及び前記加温・冷却体側の第2実体制御点の位置やエネルギー指標のいずれか又はそれらの組合せに基づいて仮想制御点を定義し、一定時間間隔で区切った制御区間毎に、前記第1実体制御点近傍と前記第2実体制御点近傍の各エネルギー指標と、前記仮想制御点と前記第1実体制御点間の距離と前記仮想制御点と前記第2実体制御点間の距離の比とに基づき、前記仮想制御点の現在のエネルギー指標を推計し、前記実体制御目的物の目標値として設定されたエネルギー指標に対応するようなエネルギー指標に前記仮想制御点が到達して、その後安定してその目標値を継続できるようになるまで前記加温・冷却体の操作を前記制御区間毎に制御する
    ことを特徴とする温度制御装置。

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