JP6627636B2 - 振動異常検知装置およびエレベータ制御システム - Google Patents

振動異常検知装置およびエレベータ制御システム Download PDF

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Description

本発明は、エレベータにおける異常状態を振動から検知する振動異常検知装置およびエレベータ制御システムに関する。
エレベータの乗車中の防犯等のために、エレベータのかご内で乗客が暴れている異常状態を検知する技術が提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1は、エレベータの乗客の異常行動の検知精度を向上させることを目的とするエレベータの異常監視装置を開示している。特許文献1の異常監視装置は、エレベータの乗りかご内を撮影する撮影装置と、乗りかごの床の異常振動を検知する振動検知装置とを備えている。異常監視装置は、振動検知装置により異常振動が検知されたときに、撮影装置により撮影した映像中の乗客の画像認識により、乗客の異常行動を検知している。特許文献1の異常監視装置によると、映像中で検知された異常行動の連続検知時間が所定期間を超えた場合に、異常行動の防止に係る処理が行われている。
特開2014−073907号公報
特許文献1の異常監視装置では、振動センサによって所定値以上の振動が検出された後に、撮影装置によって撮影された映像を解析することにより、乗客の異常行動を検知している。このため、撮影装置の映像解析を用いなければ乗客の異常行動を高精度に検知することができなかった。
本発明は、エレベータにおける振動から乗客が暴れている異常状態を精度良く検知することができる振動異常検知装置およびエレベータ制御システムを提供する。
本発明の一態様に係る振動異常検知装置は、振動検出部と、演算処理部とを備える。振動検出部は、所定方向におけるエレベータかごの振動を検出して検出信号を生成する。演算処理部は、検出信号に基づいて、所定の演算処理を行う。演算処理部は、検出信号から、所定の第1のカットオフ周波数よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、第1のカットオフ周波数以上の第2のカットオフ周波数よりも低い周波数成分が遮断された高周波成分とをそれぞれ抽出する。演算処理部は、抽出した低周波成分及び高周波成分のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、エレベータの異常状態を検知する。
本発明の別の態様に係る振動異常検知装置において、演算処理部は、検出信号における信号波形に基づく包絡線を演算し、演算した包絡線に基づいてエレベータの異常状態を検知する。
本発明の一態様に係るエレベータ制御システムは、振動異常検知装置と、制御部とを備える。制御部は、振動異常検知装置の検知結果に基づいて、エレベータかごを制御する。
本発明に係る振動異常検知装置およびエレベータ制御システムによると、エレベータにおける振動から乗客が暴れている異常状態を精度良く検知することができる。
本発明の実施形態1に係るエレベータ制御システムの構成を示す図 エレベータ制御システムにおける振動異常検知装置の構成を示すブロック図 エレベータの乗客の暴れ行動を説明するための図 エレベータにおける暴れ行動と振動との関係を説明するための図 実施形態1の振動異常検知装置における演算器の機能を示す機能ブロック図 鉛直方向の振動の検出信号に対するフィルタリング特性を示す図 水平方向の振動の検出信号に対するフィルタリング特性を示す図 低周波信号及び衝撃波信号の信号波形を例示する波形図 低周波信号及び衝撃波信号に基づく包絡線データを例示する波形図 振動異常検知装置の演算器による判定処理を説明するためのフローチャート 実施形態2の振動異常検知装置における演算器の機能を示す機能ブロック図
本発明の実施形態に係る振動異常検知装置およびエレベータ制御システムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(実施形態1)
1.構成
実施形態1に係る振動異常検知装置およびエレベータ制御システムの構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る振動異常検知装置を備えたエレベータの構成を示す図である。
本実施形態に係るエレベータ制御システムは、例えばロープ式のエレベータ1を制御するシステムである。図1に示すように、エレベータ1は、エレベータかご10と、制御盤3と、ロープ4の巻上機40と、釣合い重り41とを備える。エレベータかご10は、例えば複数の階床を有する建物等における昇降路5に設置される。制御盤3及び巻上機40は、例えば建物の屋上等で昇降路5の端部に設けられた機械室50に設置される。
エレベータかご10は、図1に示すように、かご室11と、振動異常検知装置12とを備える。エレベータかご10は、昇降路5に設けられたレールに係合するローラガイド等を有し、昇降路5において階床間を昇降するように走行する。以下、昇降路5においてエレベータかご10が昇降する方向(例えば鉛直方向)を「Z方向」とする。
かご室11は、ドアパネル、カーパネル及び床板などを備え、エレベータ1の乗客が乗り込む部屋を形成する。かご室11は、例えば床面が水平面となるように設置される。以下、水平面におけるドアの開閉方向を「X方向」とし、X,Z方向と直交する方向を「Y方向」とする(図3参照)。
振動異常検知装置12は、エレベータかご10のかご室11で生じた振動からエレベータ1の異常状態を検出する装置である。本実施形態では、振動異常検知装置12により、エレベータ1の乗客が暴れている異常状態を検知する。振動異常検知装置12の構成の詳細については後述する。振動異常検知装置12と、制御盤3とは、本実施形態に係るエレベータ制御システムを構成する。
制御盤3は、例えばCPUを備え、エレベータ1の全体動作を制御する。例えば、制御盤3は、巻上機40を駆動して、昇降路5におけるエレベータかご10の走行を制御する。また、制御盤3は、振動異常検知装置12の検知結果に基づいて、例えばエレベータかご10の走行制御を管制運転に切り替えたり、エレベータかご10内のスピーカ(不図示)から所定のアナウンス又はブザー音等を出力したりする。制御盤3は、本システムにおいてエレベータかご10を制御する制御部の一例である。
また、制御盤3は、所定のインタフェース回路を介して、外部の管理端末等と無線又は有線通信を行ってもよい。また、本システムにおける制御部は、エレベータ1の調速機を含む種々の安全装置(不図示)に関する制御を行ってもよい。調速機は、例えば機械室50に設けられる。
巻上機40は、モータ等を備える電動駆動機である。巻上機40は、ロープ4を巻き上げるように回転駆動する。ロープ4の一端は、昇降路5においてエレベータかご10を吊すように、エレベータかご10のかご室11を支持するかご枠等に接続される。ロープ4の他端は、釣合い重り41に接続される。エレベータかご10は、巻上機40によるロープ4の巻き上げ駆動により、昇降路5において走行する。
1−1.振動異常検知装置の構成
本実施形態に係る振動異常検知装置12の構成の詳細について、図1及び図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るエレベータ制御システムにおける振動異常検知装置12の構成を示すブロック図である。
本システムにおいて、振動異常検知装置12は、図2に示すように、振動センサ2と、演算器20とを備える。
振動センサ2は、例えば3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサで構成される。振動センサ2を構成する加速度センサは、例えば静電容量型、圧電型及びピエゾ抵抗型などの種々の方式の加速度センサであってもよい。振動センサ2は、本実施形態に係る振動異常検知装置12の振動検出部の一例である。
振動センサ2は、図1に示すように、エレベータかご10においてかご室11の近傍に設置される。エレベータかご10において、振動センサ2は、検出対象の3軸方向が、それぞれX,Y,Z方向となるように配置される。振動センサ2は、X方向の振動(例えば、加速度)の検出結果を示す検出信号Ax,Y方向の振動の検出結果を示す検出信号Ay及びZ方向の振動の検出結果を示す検出信号Azを生成する。
図2において、振動センサ2は、演算器20のアナログ入力端子に接続されている。振動センサ2は、例えばアナログ値においてX,Y,Z方向の振動の検出信号Ax,Ay,Azを演算器20に出力する。
演算器20は、例えばソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPUを備えた演算処理装置である。演算器20は、例えばフラッシュメモリなどの内部メモリを備え、内部メモリに種々のデータ及びプログラムを格納する。演算器20は、内部メモリに格納したデータ及びプログラムを読み出して種々の演算処理を行い、各種の機能を実現する。
例えば、演算器20は、後述するフィルタ処理部、包絡線処理部および判定処理部としての機能を実現する(図5参照)。これにより、演算器20は、振動センサ2からの検出信号Ax,Ay,Azに基づき、エレベータかご10が異常な振動をしている場合に異常信号Sabを制御盤3に出力する。演算器20は、本実施形態に係る振動異常検知装置12の演算処理部の一例である。
演算器20は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路であってもよい。演算器20は、CPU,MPU,マイコン、DSP、FPGA、ASIC等の種々の半導体集積回路で構成されてもよい。演算器20は、A/D(アナログ/デジタル)変換器及びフィルタ回路などを備えてもよい。
2.動作
以下、本実施形態に係るエレベータ制御システムおよび振動異常検知装置12の動作について説明する。
2−1.動作の概要
本システムの動作の概要について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、エレベータの乗客の暴れ行動を説明するための図である。図4は、エレベータにおける暴れ行動と振動との関係を説明するための図である。
本システムにおいて、振動異常検知装置12は、図3に示すように、エレベータかご10において乗客が暴れている異常状態を検知するために、エレベータかご10の振動を検出する。本システムは、振動異常検知装置12によってエレベータ1の異常状態が検知された場合には、例えば制御盤3の制御により注意アナウンスや防犯管制運転、警備会社への発報等を行う。以下、エレベータ1のかご室11内部で乗客が暴れる行動を「暴れ行動」という。
乗客の暴れ行動には、種々の行動が想定される。本発明者は、鋭意検討の結果、様々な暴れ行動の種類に応じて、エレベータかご10の振動の仕方が異なることに着目した。図4(a),(b)を用いて、暴れ行動と振動との関係について説明する。
図4(a)は、エレベータかご10のZ方向(鉛直方向)の振動の仕方と、暴れ行動との関係を示している。図4(b)は、エレベータかご10のXY方向(水平方向)の振動の仕方と、暴れ行動との関係を示している。図4(a),(b)において、横軸は振動の周波数を示し、縦軸は振動の大きさ(加速度)を示している。
図4(a),(b)に示すように、足踏みやパネル111(図3)を叩く、蹴るなどの暴れ行動は、かご室11に衝撃を与えることにより、屈伸などの体操やシャドウボクシング等の暴れ行動よりも高い周波数の振動を生じる。また、故意にエレベータかご10を揺らす暴れ行動は、エレベータかご10の共振周波数を含む振動を生じる。また、ジャンプしたり、パネル111に体当たりしたりする暴れ行動は、暴れる者の重心移動を伴うことから、衝撃による高い周波数だけでなく、より低い周波数(上記の共振周波数近傍など)も含んだ振動を生じる。これらの暴れ行動は、通常の乗車時よりも大きい加速度の振動を生じる。
以上のような暴れ行動において、かご室11に衝撃を与えるような暴れ行動は、乗客への暴力やかご室11の破損のおそれがあり、被害を最小限に抑える観点からエレベータ1が異常状態であることの判定基準を設定することが望ましい。一方、重心移動を伴い故意又は不意にエレベータかご10を揺らすような暴れ行動は、落下事故対策等の安全装置の誤作動を招く可能性があり、誤作動による乗客の閉じ込めを回避する観点から異常状態の判定基準を設定することが望ましい。
そこで、本実施形態に係る振動異常検知装置12では、振動センサ2による振動の検出信号Ax,Ay,Azから、エレベータかご10を揺らし得る低周波成分と、衝撃に伴う高周波成分(衝撃波成分)とをそれぞれ抽出し、それぞれの成分に基づく異常状態の判定を行う。低周波成分に基づく判定では、エレベータかご10を揺らすような暴れ行動によって安全装置の誤作動を招き得る状態(第1の異常状態)であるか否かを判定する。衝撃波成分に基づく判定では、かご室11に衝撃を与えるような暴れ行動により、乗客等への危害が懸念される状態(第2の異常状態)であるか否かを判定する。以上の判定により、種々の暴れ行動の周波数帯に応じてエレベータ1の異常状態を精度良く検知することができる。
2−2.動作の詳細
本実施形態に係るエレベータ制御システム及び振動異常検知装置12の動作の詳細について、図5〜図9を参照して説明する。
図5は、振動異常検知装置12における演算器20の機能を示す機能ブロック図である。図6は、Z方向振動の検出信号Azに対するフィルタリング特性を示す図である。図7は、X,Y方向振動の検出信号Ax,Ayに対するフィルタリング特性を示す図である。図8は、低周波信号及び衝撃波信号の信号波形を例示する波形図である。図9は、低周波信号及び衝撃波信号に基づく包絡線データを例示する波形図である。
演算器20は、図5に示すように、演算処理機能としてフィルタ処理部21,22,23と、包絡線処理部241〜246と、判定処理部25とを含む。
演算器20は、振動センサ2から3軸方向それぞれの振動の検出信号Az,Ax,Ayを受信すると、適宜、A/D変換等を行い、例えばデジタル値の各検出信号Az,Ax,Ayをそれぞれフィルタ処理部21,22,23に入力する。フィルタ処理部21,22,23は、それぞれ低周波通過フィルタ部21a,22a,23a及び衝撃波通過フィルタ部21b,22b,23bを含む。
Z方向振動の検出信号Azに対して、フィルタ処理部21は、低周波通過フィルタ部21a及び衝撃波通過フィルタ部21bにより、検出信号Azに含まれる2つの周波数成分(低周波成分及び衝撃波成分)を別々に抽出する。図6(a),(b)に、Z方向の低周波通過フィルタ部21a及び衝撃波通過フィルタ部21bのそれぞれのフィルタリング特性を示す。
低周波通過フィルタ部21aは、図6(a)に示すように2つのカットオフ周波数f0,f1(f0<f1)による通過帯域を有し、バンドパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f0は、エレベータかご10(図1)の走行による加速度の変動を遮断するように、0Hzよりも大きい周波数に設定される(例えば0.1Hz以上)。カットオフ周波数f1は、例えばロープ4の伸縮等によるエレベータかご10の共振周波数よりも大きく、且つ足踏み等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(図4(a)参照)。
低周波通過フィルタ部21aは、図6(a)に示すフィルタリング特性に基づき、検出信号Azにおいてカットオフ周波数f0,f1間の周波数成分を示す低周波信号Azaを出力する。低周波信号Azaが示す周波数成分は、Z方向振動の検出信号Azの周波数成分において、ロープ4の伸縮等によるエレベータかご10の縦揺れの共振周波数近傍を含む低周波成分である。上記のフィルタリング特性(図6(a))により、低周波信号Azaでは、足踏み等の重心移動を伴わない衝撃、及びエレベータかご10の走行による影響が除去されている。
衝撃波通過フィルタ部21bは、図6(b)に示すように、2つのカットオフ周波数f2,f3(f2<f3)による通過帯域を有し、バンドパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f2は、低周波通過フィルタ部21aのカットオフ周波数f1以上であって、且つ足踏み等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(例えばf2=f1)。カットオフ周波数f3は、上記の衝撃による振動の周波数よりも大きい周波数に設定される。カットオフ周波数f3は、枠部材及び梁部材等のエレベータかご10を構成する部材の(ビビリの)固有振動数よりも小さくなるように設定されてもよい。
衝撃波通過フィルタ部21bは、図6(b)に示すフィルタリング特性に基づき、検出信号Azにおいてカットオフ周波数f2,f3間の周波数成分を示す衝撃波信号Azbを出力する。衝撃波信号Azbが示す周波数成分は、暴力行為等の暴れ行動によって生じる衝撃に伴う振動を含む衝撃波成分であり、本実施形態における検出信号Azの高周波成分の一例である。
図5に戻り、演算器20において、Z方向振動の検出信号Azからフィルタ処理部21によって抽出された低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbは、それぞれ包絡線処理部241,242に出力される。図8(a),(b)に、低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbの信号波形の例を示す。
図8(a),(b)において、横軸は時間(秒単位)であり、縦軸は加速度(Gal単位)である。図8(a),(b)に示すように、低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbの信号波形は、それぞれ特定の周波数帯において振動しながら、各信号波形の振幅が変動する。図8(a),(b)の例では、低周波信号Azaの振幅には2回の起伏があり、衝撃波信号Azbの振幅には5回の起伏がある。このことから、図8(a),(b)の例において、乗客の暴れ行動は5回、起きており、その内の2回は重心移動を伴う暴れ行動であると考えられる。
上述のように、エレベータかご10の振動の検出信号Azから抽出した各信号Aza,Azbの振幅の変動における起伏の数が、乗客の暴れ行動の回数に対応していると考えられる。そこで、本実施形態では、包絡線処理部241,242により、抽出した各信号Aza,Azbの信号波形のピークに接する曲線であって信号波形の起伏に応じた包絡線を解析する。
包絡線処理部241は、例えばフィルタ処理部21から随時、低周波信号Azaを受信し、内部メモリ等に過去10秒などの所定期間分の低周波信号Azaの信号波形を保持する(図8(a))。包絡線処理部241は、包絡線解析のための所定の演算処理等によって低周波信号Azaの信号波形に基づく包絡線を演算し、演算結果の包絡線を示す包絡線データEzaを生成する。図9(a)に、図8(a)の低周波信号Azaに基づく包絡線データEzaの波形例を示す。
また、包絡線処理部242は、フィルタ処理部21からの衝撃波信号Azbに対して、包絡線処理部241と同様に包絡線の解析を行い、包絡線データEzbを生成する。図9(b)に、図8(b)の衝撃波信号Azbに基づく包絡線データEzbの波形例を示す。
図8(a),(b)に示すように、図8(a)の低周波信号Azaに基づく包絡線データEzaの包絡線は2回の起伏を有し、図8(b)の衝撃波信号Azbに基づく包絡線データEzbの包絡線は5回の起伏を有する。このように、検出信号Azから抽出した各周波数成分の信号波形(Aza,Azb)に対する包絡線を解析することにより、暴れ行動の回数を適切に計測可能なデータ(Eza,Ezb)が得られ、暴れ行動の検出精度を向上することができる。
図5に戻り、演算器20における判定処理部25は、生成された包絡線データEza,Ezbに基づき、暴れ行動によるエレベータ1の異常状態を判定する。本実施形態において、判定処理部25は、しきい値判定処理部251〜256とORゲート257とを含む。
しきい値判定処理部251は、Z方向振動の低周波成分の包絡線データEzaとしきい値Gzaとを比較し、比較結果に基づき(第1の)異常状態を判定する判定処理を行う。本判定処理の詳細については後述する。しきい値判定処理部251は、低周波成分の包絡線データEzaに基づき第1の異常状態を判定する。第1の異常状態とは、エレベータかご10を揺らすような暴れ行動によって安全装置の誤作動を招き得る状態である。包絡線データEzaに対するしきい値Gzaは、エレベータ1の調速機などの安全装置が誤作動し得る加速度の大きさを考慮して、例えば調速機が作動しない加速度の上限値の1/2などに設定される。
しきい値判定処理部252は、Z方向振動の衝撃波成分の包絡線データEzbとしきい値Gzbとを比較し、しきい値判定処理部251と同様の判定処理を行って、第2の異常状態を判定する。第2の異常状態とは、かご室11に衝撃を与えるような暴れ行動により、乗客等への危害が懸念される状態である。衝撃波成分の包絡線データEzbに対するしきい値Gzbは、例えば乗客が危険だと想定される暴れ行動によりかご室11の床に加わる衝撃を予め計測し、計測結果に基づいて設定される。
しきい値判定処理部251,252の少なくとも一方により異常状態と判定されると、判定処理部25は、ORゲート257による論理和に基づき、エレベータ1が異常状態であることを示す異常信号Sabを制御盤3(図2)に出力する。
また、本実施形態では、X,Y方向の振動の検出信号Ax,Ayに対しても、フィルタ処理部22,23,包絡線処理部243〜246及びしきい判定処理部253〜256により、上記のZ方向振動の検出信号Azに対する処理と同様の処理を行う。図7(a),(b)は、X,Y方向のフィルタ処理部22,23の低周波通過フィルタ部22a,23aと衝撃波通過フィルタ部22b,23bとのフィルタリング特性を示す。
X,Y方向の低周波通過フィルタ部22a,23aは、図7(a)に示すように1つのカットオフ周波数f11を有し(例えばf11=f1)、ローパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f11は、エレベータかご10のローラガイドの伸縮等による共振周波数よりも大きく、且つパネル111(図3)を叩く等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(図4(b)参照)。これにより、X,Y方向振動の検出信号Ax,Ayから、エレベータかご10の横揺れを起こし得る低周波成分を示す低周波信号Axa,Ayaが抽出される。
また、X,Y方向の衝撃波通過フィルタ部22b,23bは、図7(b)に示すように、2つのカットオフ周波数f12,f13(f12<f13)による通過帯域を有し、バンドパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f12は、低周波通過フィルタ部22a,23aのカットオフ周波数f11以上であって、且つパネル111を叩く等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(例えばf12=f11)。カットオフ周波数f13は、上記の衝撃による振動の周波数よりも大きい周波数に設定される(例えばf13=f3)。これにより、検出信号Ax,Ayから、エレベータかご10の水平方向の衝撃に基づく衝撃波成分を示す衝撃波信号Axb,Aybが抽出される。カットオフ周波数f13は、エレベータかご10を構成する部材の(ビビリの)固有振動数よりも小さくなるように設定されてもよい。
抽出された各信号Axa,Axb,Aya,Aybに基づき、包絡線処理部243〜246は、各信号波形に対する包絡線を示す包絡線データExa,Exb,Eya,Eybを生成する。しきい値判定処理部253〜256は、それぞれに設定されたしきい値と、包絡線データExa,Exb,Eya,Eybとを比較し、しきい値判定処理部251,252と同様の判定処理を行う。
本実施形態において、各しきい値判定処理部253〜256のしきい値は、Z方向振動に対するしきい値Gza,Gzbとは別途、設定される。X,Y方向振動の低周波成分に対するしきい値判定処理部253,255のしきい値は、例えばエレベータかご10の横揺れにより昇降路5内の種々の機器との接触が起こり得る加速度の大きさを考慮して設定される。X,Y方向振動の衝撃波成分に対するしきい値判定処理部254,256のしきい値は、例えば危険だと想定される暴れ行動によるパネル111への衝撃を考慮して設定される。
本実施形態において判定処理部25は、X,Y,Z方向の各しきい値判定処理部251〜256の少なくともいずれか1つにより異常状態と判定されると、異常信号Sabを出力する。これにより、しきい値判定処理部251〜256のそれぞれに設定されたしきい値を用いて、種々の暴れ行動に対する異常状態の判定を適切に行うことができる。
以上の処理により、振動センサ2からの3軸方向の振動の検出信号Az,Ax,Ayに基づき、種々の暴れ行動に対する異常状態を精度良く検出することができる。
以上の処理において、X,Y方向振動の低周波成分に対するしきい値判定処理部253,255のしきい値は、同一に設定されてもよいし、別個に設定されてもよい。また、X,Y方向振動の衝撃波成分に対するしきい値判定処理部254,256のしきい値についても、同一に設定されてもよいし、別個に設定されてもよい。例えば、ドア側から進入した乗客の暴れ行動のパターンや、エレベータかご10を構成する部材の固有振動の方向に基づき、X,Y方向間でしきい値を異ならせてもよい。
また、以上の説明では、Z,X,Y方向の各包絡線データEza,Ezb,Exa,Exb,Eya,Eybに基づくしきい値判定処理部251〜256の判定結果のいずれかで異常状態と判定されると、異常信号Sabが出力された。異常状態の判定方法はこれに限らず、例えば包絡線データEza,Ezb,Exa,Exb,Eya,Eybを組み合わせて異常状態の判定を行ってもよい。また、各包絡線データEza,Ezb,Exa,Exb,Eya,Eybの判定結果を別々に示す信号が制御盤3に出力されてもよい。
2−2−1.判定処理について
本実施形態に係る振動異常検知装置12の演算器20による判定処理の詳細について、図10を参照して説明する。図10は、振動異常検知装置12の演算器20による判定処理を説明するためのフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、演算器20が、判定処理部25のしきい値判定処理部251〜256の内の1つとして、所定の制御周期(例えば1秒)において実行する。以下では、演算器20がしきい値判定処理部251として、Z方向振動の低周波成分の包絡線データEzaに対する判定処理を行う例について説明する。
まず、演算器20はしきい値判定処理部251として、過去10秒間等の所定期間分の包絡線データEza(図9(a))において、包絡線がしきい値Gzaを越えたときがあるか否かを判断する(S1)。演算器20は、包絡線がしきい値Gzaを越えたときがないと判断した場合(S1でNO)、本処理を終了する。
一方、演算器20は、包絡線がしきい値Gzaを越えたときがあると判断した場合(S1でYES)、包絡線データEza中で包絡線がしきい値Gzaを超えた回数を算出する(S2)。例えば、図9(a)の例では、演算器20は、包絡線がしきい値Gzaを超えた回数として、「2回」を算出する。
次に、演算器20は、計算した回数が、所定の設定回数(例えば5回)以上であるか否かを判断する(S3)。演算器20は、算出した回数が設定回数以上であると判断した場合(S3でYES)、異常信号Sabを生成する(S6)。設定回数は、例えばしきい値Gzaを越える暴れ行動が繰り返されることによる危険性を考慮して、予め設定される。これにより、エレベータかご10内で暴れ行動が繰り返される異常状態を検知することができる。
一方、演算器20は、算出した回数が設定回数以上でないと判断した場合(S3でNO)、包絡線がしきい値Gzaを越え続けた期間を算出する(S4)。包絡線データEza上で複数回、包絡線がしきい値Gzaを越えている場合、演算器20は、各回においてしきい値Gzaを越え続けた期間を計算し、計算した期間の内の最長の期間を算出する。
次に、演算器20は、しきい値Gzaを越え続けた期間が所定の設定期間(例えば5秒)以上か否かを判断する(S5)。設定期間は、例えばしきい値Gzaを越える暴れ行動が継続されることによる危険性を考慮して、予め設定される。
演算器20は、しきい値Gzaを越え続けた期間が設定期間以上でないと判断した場合(S5でNO)、異常信号Sabを出力することなく、本処理を終了する。
一方、演算器20は、しきい値Gzaを越え続けた期間が設定期間以上であると判断した場合(S5でYES)、異常信号Sabを出力して(S6)、本処理を終了する。これにより、包絡線データEza(図9(a))において振動の起伏1回当たりの継続期間が長いような暴れ行動であっても、異常状態として検知することができる。
以上の処理により、包絡線データの包絡線がしきい値を超えた回数及び期間に基づき、エレベータの異常状態を判定することができる。
以上の説明では、1つの包絡線データEzaに対して1つのしきい値Gzaを設定したが、1つの包絡線データEzaに対して、複数のしきい値を設定してもよい。例えば、演算器20は、しきい値Gzaよりも大きいしきい値と包絡線データEzaの包絡線とを比較し、包絡線が当該しきい値を超えたときがある場合には回数及び期間に関わらず異常信号Sabを生成してもよい。これにより、暴れ行動における振動の大きさに応じて、過度に強い暴れ行動があれば即時、異常状態と判定することができる。
また、以上の説明では、演算器20は、例えば1秒間毎などの各制御周期において、取得した過去10秒間などの包絡線データEzaにおいて包絡線がしきい値Gzaを越えた回数を計算し(S2)、計算した回数と設定回数とを比較した(S3)。ステップS3の処理では、過去の制御周期の計算結果を用いてもよい。例えば、演算器20は、内部メモリ等にステップS2で計算した回数を保持し、所定サイクル分の計算した回数を加算して、ステップS3の判断に用いてもよい。ステップS5の処理についても同様に、過去の制御周期のステップS4の計算結果を用いてもよい。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係る振動異常検知装置12は、振動センサ2と、演算器20とを備える。振動センサ2は、Z方向(第1の方向)におけるエレベータかご10の振動を検出して(第1の)検出信号Azを生成する。演算器20は、検出信号Azに基づいて、所定の演算処理を行う。演算器20は、検出信号Azから、(第1の)カットオフ周波数f1よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、カットオフ周波数f1以上の(第2の)カットオフ周波数f2よりも低い周波数成分が遮断された衝撃波成分とをそれぞれ抽出する(21a,21b)。演算器20は、抽出した低周波成分を示す低周波信号Aza及び衝撃波成分を示す衝撃波信号Azbのうちの少なくともいずれか一つに基づいて、エレベータ1の異常状態を検知する。
また、本実施形態に係るエレベータ制御システムは、振動異常検知装置12と、振動異常検知装置12の検知結果に基づいて、エレベータかご10を制御する制御盤3とを備える。
以上の振動異常検知装置12及びエレベータ制御システムによると、振動センサ2によって検出された検出信号Azでは重畳している低周波成分と衝撃波成分とを別個に抽出し、エレベータ1の異常状態の検知に用いる。これにより、乗客の暴れ行動特有の周波数帯の振動に応じて、エレベータにおける振動から乗客が暴れている異常状態を精度良く検知することができる。
また、本実施形態において、衝撃波成分は、カットオフ周波数f2以上であってカットオフ周波数f3以下の範囲の周波数帯を有する。これにより、エレベータかご10に衝撃を与える暴れ行動特有の周波数帯を有する衝撃波成分を用いて、乗客が暴れている異常状態の検知精度を向上することができる。また、衝撃波成分は、エレベータかご10においてかご室11をかご枠等に固定する防振ゴム等の弾性部材の固有振動周波数を含むように設定されてもよい。
また、本実施形態において、Z方向は、エレベータかご10が昇降する方向である。低周波信号Azaの低周波成分は、カットオフ周波数f1以下であってカットオフ周波数f0以上の範囲の周波数帯を有する。これにより、エレベータかご10が走行することによる影響を除去して、精度良く異常状態を検知することができる。
また、本実施形態において、演算器20は、検出信号Azから抽出した低周波成分及び衝撃波成分を、別々のしきい値Gza,Gzbと比較し、それぞれの比較結果に基づいて異常状態を検知する。別々のしきい値Gza,Gzbを用いることにより、低周波成分及び衝撃波成分の振動に応じた異常状態の判定基準を簡単に設定することができ、異常状態の検知精度を向上できる。
また、本実施形態において、演算器20は、低周波成分の信号波形及び高周波成分の信号波形の信号波形に基づく包絡線を演算する(241,242)。これにより、演算した包絡線を用いて、検出信号Azにおける振動振幅の起伏に応じてエレベータ1の異常状態を精度良く検知することができる。なお、演算器20は、包絡線の演算を行わずに、低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbの信号波形を解析することにより、エレベータ1の異常状態を検知してもよい。
また、本実施形態において、振動センサ2は、Z方向と交差するX,Y方向(第2の方向)におけるエレベータかご10の振動を検出して(第2の)検出信号Ax,Ayを生成する。演算器20は、検出信号Ax,Ayから、(第3の)カットオフ周波数f11よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、カットオフ周波数f11以上の(第4の)カットオフ周波数f12よりも低い周波数成分が遮断された衝撃波成分とをそれぞれ抽出する(22,23)。演算器20は、検出信号Ax,Ay,Azから抽出したそれぞれの低周波成分及び衝撃波成分のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、エレベータ1の異常状態を検知する。これにより、暴れ行動による振動を各方向にわたって解析し、暴れ行動による異常状態を高精度に検知することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、振動センサ2による振動の検出信号から2つの周波数成分を抽出して、それぞれの信号波形に基づくそれぞれの包絡線を演算した。実施形態2では、振動の検出信号から2つの周波数成分を抽出せずに包絡線を演算する振動異常検知装置について説明する。
本実施形態に係る振動異常検知装置について、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係る振動異常検知装置における演算器20Aの機能を示す機能ブロック図である。
本実施形態に係る振動異常検知装置は、実施形態1に係る振動異常検知装置12と同様の構成を備える(図2)。本実施形態では、演算器20Aが、実施形態1における演算器20の機能(図5)に代えて、図11に示す機能を実現する。
実施形態1における演算器20は、振動センサ2による振動の検出信号Az,Ax,Ayから低周波信号Aza,Axa,Aya及び衝撃波信号Azb,Axb,Aybを抽出し、それぞれの信号波形に基づくそれぞれの包絡線を演算した(図5)。実施形態2における演算器2Aは、特に特定の周波数成分を抽出することなく、図5に示すように、包絡線処理部241〜243によって振動センサ2からの検出信号Az,Ax,Ayの信号波形に基づくそれぞれの包絡線を演算する。
演算器20Aにおいて、包絡線処理部241〜243は、それぞれ検出信号Az,Ax,Ayの信号波形の包絡線を示す包絡線データEz,Ex,Eyを生成する。判定処理部25は、包絡線データEz,Ex,Eyに基づき、実施形態1と同様の判定処理を行い、それぞれの包絡線がしきい値と比較される。判定処理部25は、それぞれの比較結果に基づき、実施形態1と同様に異常信号Sabを制御盤3に出力する。
以上の処理によると、検出信号Az,Ax,Ayの信号波形の起伏に応じた包絡線としきい値とが比較される。このため、振動を繰り返す検出信号Az,Ax,Ayの信号波形自体としきい値とを比較する場合のように、しきい値を越える回数を数え過ぎることなく、精度良くエレベータ1の異常状態を検知することができる。
また、以上の処理では、検出信号Az,Ax,Ayの信号波形に基づく包絡線が演算されたが、これに限らず、例えば検出信号Az,Ax,Ayからそれぞれ1つずつ特定の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分の信号波形に基づく包絡線を演算してもよい。また、検出信号Az,Ax,Ay毎に3つ以上の周波数成分を抽出して、それぞれの包絡線を演算してもよい。これらの場合、演算器20Aは、適宜、特定の通過帯域を有する複数のフィルタ処理部を含む。以上のように、検出信号Az,Ax,Ayに含まれる信号波形の包絡線に基づき判定処理を行うことで、エレベータ1の異常状態の検知精度を向上することができる。
以上のように、本実施形態において、演算器20Aは、振動センサ2からの検出信号Az,Ax,Ayにおける信号波形に基づく包絡線を演算し、演算した包絡線に基づいて、エレベータ1の異常状態を検知する。これにより、エレベータ1における振動から乗客が暴れている異常状態を精度良く検知することができる。
(他の実施形態)
上記の各実施形態では、振動センサ2は3軸方向の振動を検出可能であった。本実施形態における振動検出部は、3軸方向の振動を検出可能でなくてもよく、例えば1軸方向又は2軸方向のみの振動を検出可能であってもよい。この場合、振動検出部は、1軸方向又は2軸方向の加速度を検出可能な加速度センサなどで構成される。また、検出対象の1軸方向又は2軸方向は、X,Y,Z方向のいずれか一つ又は二つの方向であってもよいし、X,Y,Z方向から適宜、傾斜した方向であってもよい。
また、上記の各実施形態では、振動センサ2が加速度センサで構成される例について説明したが、本システム及び振動異常検知装置における振動検出部は加速度センサに限らず、例えば速度センサまたは変位センサで構成されてもよい。例えば、演算器20は、速度センサまたは変位センサによる速度又は変位の検出結果を示す検出信号に対して、フィルタ処理部21,22,23、包絡線処理部241〜246及び判定処理部25(図5〜図9)と同様の各種演算処理を行ってもよい。また、演算器20は、速度センサまたは変位センサによる検出信号に対して、一階又は二階微分を演算する演算処理を行って加速度を算出してから、図5〜図9に示す各種演算処理を行ってもよい。
上記各実施形態において、衝撃波通過フィルタ部21b,22b,23bはバンドパスフィルタであったが、これに代えて、例えばカットオフ周波数f2,f12に基づくハイパスフィルタを用いてもよい。これによっても、振動センサ2の検出信号Ax,Ay,Azから、衝撃を伴う暴れ行動による振動の高周波成分を抽出することができる。
また、上記の各実施形態における振動異常検知装置の振動センサ2と演算器20,20Aとは別体で構成されたが、振動検出部と演算処理部とは一体的に構成されてもよい。
また、上記の各実施形態において、演算器20,20Aが行った各処理は、制御盤3によって行われてもよい。
また、本システムは、振動異常検知装置12と共に、例えばエレベータ1のかご室11内を撮像する監視カメラなどの撮像部を備えてもよい。この場合、本システムは、例えば振動異常検知装置12を用いて特定の暴れ行動に応じた振動を検出し、監視カメラの撮像動作を開始させてもよい。
また、上記の各実施形態において、エレベータ制御システムが制御するエレベータ1は機械室50が設けられたロープ式のエレベータであった。本実施形態におけるエレベータ制御システムは、特にロープ式のエレベータに限らず、例えば油圧式、水圧式、リニアモータ式のエレベータを制御してもよい。また、特に機械室が設けられなくてもよく、本システムにおける制御部は、昇降路内に設けられた制御盤であってもよい。
1…エレベータ
10…エレベータかご
11…かご室
12…振動異常検知装置
2…振動センサ
20…演算器
3…制御盤

Claims (9)

  1. 所定の第1の方向におけるエレベータかごの振動を検出して第1の検出信号を生成する振動検出部と、
    前記第1の検出信号に基づいて、所定の演算処理を行う演算処理部とを備え、
    前記演算処理部は、
    前記第1の検出信号から、所定の第1のカットオフ周波数よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、前記第1のカットオフ周波数以上の第2のカットオフ周波数よりも低い周波数成分が遮断された高周波成分とをそれぞれ抽出し、
    抽出した低周波成分及び高周波成分のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、エレベータの異常状態を検知し、
    前記第1のカットオフ周波数は、前記エレベータかごが吊されたロープによる共振周波数と、前記エレベータかごのローラガイドによる共振周波数との少なくとも一方の周波数以下であり、
    前記第2のカットオフ周波数は、前記エレベータかごにおける弾性部材の固有振動周波数以上、及び/又は、前記エレベータかごを構成する部材のびびり振動の周波数以下である
    振動異常検知装置。
  2. 前記高周波成分は、前記第2のカットオフ周波数以上の所定範囲の周波数帯を有する
    請求項1に記載の振動異常検知装置。
  3. 前記第1の方向は、前記エレベータかごが昇降する方向であり、
    前記低周波成分は、前記第1のカットオフ周波数以下の所定範囲の周波数帯を有する
    請求項1又は2に記載の振動異常検知装置。
  4. 前記演算処理部は、前記第1の検出信号から抽出した低周波成分及び高周波成分を、別々のしきい値と比較し、それぞれの比較結果に基づいて前記異常状態を検知する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動異常検知装置。
  5. 所定の第1の方向におけるエレベータかごの振動を検出して第1の検出信号を生成する振動検出部と、
    前記第1の検出信号に基づいて、所定の演算処理を行う演算処理部とを備え、
    前記演算処理部は、
    前記第1の検出信号から、所定の第1のカットオフ周波数よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、前記第1のカットオフ周波数以上の第2のカットオフ周波数よりも低い周波数成分が遮断された高周波成分とをそれぞれ抽出し、
    抽出した低周波成分及び高周波成分のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、エレベータの異常状態を検知し、
    前記演算処理部は、前記低周波成分の信号波形及び前記高周波成分の信号波形のうちの少なくともいずれか一つの信号波形に基づく包絡線を演算す
    動異常検知装置。
  6. 所定の第1の方向におけるエレベータかごの振動を検出して第1の検出信号を生成する振動検出部と、
    前記第1の検出信号に基づいて、所定の演算処理を行う演算処理部とを備え、
    前記演算処理部は、
    前記第1の検出信号から、所定の第1のカットオフ周波数よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、前記第1のカットオフ周波数以上の第2のカットオフ周波数よりも低い周波数成分が遮断された高周波成分とをそれぞれ抽出し、
    抽出した低周波成分及び高周波成分のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、エレベータの異常状態を検知し、
    前記振動検出部は、前記第1の方向と交差する第2の方向における前記エレベータかごの振動を検出して第2の検出信号を生成し、
    前記演算処理部は、
    前記第2の検出信号から、所定の第3のカットオフ周波数よりも高い周波数成分が遮断された低周波成分と、前記第3のカットオフ周波数以上の第4のカットオフ周波数よりも低い周波数成分が遮断された高周波成分とをそれぞれ抽出し、
    前記第1及び第2の検出信号から抽出したそれぞれの低周波成分及び高周波成分のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、前記エレベータの異常状態を検知す
    動異常検知装置。
  7. 前記振動検出部は、前記エレベータかごの加速度を検出する加速度センサで構成される
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動異常検知装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動異常検知装置と、
    前記振動異常検知装置の検知結果に基づいて、前記エレベータかごを制御する制御部と
    を備えるエレベータ制御システム。
  9. 所定方向におけるエレベータかごの振動を検出して検出信号を生成する振動検出部と、
    前記検出信号に基づいて、所定の演算処理を行う演算処理部とを備え、
    前記演算処理部は、前記検出信号における信号波形に基づく包絡線を演算し、演算した包絡線に基づいてエレベータの異常状態を検知する
    振動異常検知装置。
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