JP6627433B2 - コールドリサイクル方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コールドリサイクル方法に関する。
高炉等で溶製された溶銑は、精錬処理コストの最小化を目的として、脱燐精錬処理及び脱炭精錬処理という2種類の精錬処理が施される。かかる脱燐精錬処理及び脱炭精錬処理は、同一の炉を用いて実施される場合もあり、脱燐精錬処理とは異なる炉を用いて脱炭精錬処理が実施される場合もある。
ここで、脱燐精錬処理における脱燐効率を向上させるために、下記の特許文献1には、溶銑を脱燐精錬処理する際に、転炉滓と酸化鉄とを主成分とする脱燐用フラックスを用いる技術が開示されている。かかる特許文献1によれば、スラグ滓化率を高めることで、脱燐効率を向上させることが可能であるとしている。
また、脱燐精錬処理における滓化性を促進させるための技術として、以下の特許文献2には、低燐転炉滓を脱燐炉で再使用するにあたり、低燐転炉滓を排滓する際に受滓鍋に予めホタル石又はホタル石+鉄鉱石を投入し、低燐転炉滓の滓化性を向上させる技術が開示されている。同様に、以下の特許文献3には、脱燐精錬処理や脱炭精錬処理で発生するスラグに対して事前に磁選処理を行い、スラグのうち鉄分の多い部分を脱燐精錬処理に活用することで、滓化性を促進させる技術が開示されている。
特開平9−59709号公報 特開平5−156338号公報 特開平10−245615号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術は、スラグ塩基度が1.2〜2.0という、融点の低いスラグを対象とした、脱燐精錬処理において用いられる技術であり、脱炭精錬処理にそのまま適用することはできない。
上記特許文献2及び特許文献3に開示されている技術についても、脱燐精錬処理において用いられる技術であり、脱炭精錬処理にそのまま適用することはできない。また、上記特許文献2及び特許文献3では、フッ素を含有するホタル石を用いているが、環境に与える負荷を考慮すると、フッ素を含有するホタル石を用いることは、好ましくない。
このように、脱炭精錬処理において精錬処理コストの最小化を実現する技術については未だ提供されておらず、かかる技術の確立が希求されている状況にある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、脱炭精錬処理における精錬コストを更に削減することが可能な、コールドリサイクル方法を提供することにある。
本発明者は、脱炭精錬処理における精錬コストの更なる削減を目的として、脱炭精錬処理について、脱燐精錬処理と比較しながら鋭意検討を行った。
通常、脱燐精錬処理におけるスラグ塩基度(CaOの濃度/SiOの濃度で規定されるスラグ塩基度)は1.2〜2.0程度であり、かつ、ケイ素を含有する溶銑を処理するために、スラグがフォーミング状態になりやすいという特徴がある。一方、本発明で着目する脱炭精錬処理は、スラグ塩基度が3.0〜4.5程度という高融点スラグを用いて処理が行われるものであり、また、溶銑に含有されているケイ素の濃度も極めて少ないため、スラグがフォーミング状態になりにくいという問題がある。
ここで、本発明者は、脱炭精錬処理におけるスラグフォーミングについて着目しながら、更なる検討を行った。その結果、トータルFeの値が高いスラグをコールドリサイクルすることで、かかるスラグが脱炭精錬処理におけるスラグ液相化の発生源となり、スラグフォーミング状態を引き起こせるとの知見を得ることができた。ここで、コールドリサイクルとは、スラグリサイクル技術の一種であり、転炉等で一度精錬を終えたスラグを炉外排出し、排出したスラグを冷却・破砕したものを再び転炉等で使用する手法である。スラグフォーミング状態を生じさせることで、装入時のスラグ−溶銑反応を抑制して炉内スラグを固化させることが可能となり、他の副原料を用いるよりも安価に、脱炭精錬処理を実施することが可能となる。
更に、炉内スラグを固化させることでスラグの厚みを増加させることが可能となるが、スラグの厚みが増すことで溶銑のカバーリング効果を得ることができ、精錬処理中の発生ダスト低減による歩留まり向上効果を得ることも可能となる。
上記のような知見に基づく本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)一度精錬を終えたスラグを炉外排出し、排出したスラグを冷却・破砕したものを再び処理に使用するコールドリサイクル方法において、所定の成分を有する溶銑を所定の炉を用いて脱炭精錬する際に、トータルFeの値が20%以上であるスラグを、前記炉の内部における全スラグ量に対して10質量%以上供給し、供給する前記スラグのスラグ塩基度が3.0〜4.5である、コールドリサイクル方法。
)前記スラグのトータルFeの値は、50%以下である、(1)に記載のコールドリサイクル方法。
)前記溶銑は、Siの含有量が0.05質量%以下である、(1)又は(2)に記載のコールドリサイクル方法。
)前記溶銑は、冷鉄源溶解プロセス又は還元鉄溶解プロセスを経て製造された溶銑である、(1)〜()の何れか1つに記載のコールドリサイクル方法。
)前記スラグは、前記溶銑に対する酸素の吹き込みが開始されてから5分経過するまでの間に10質量%が供給されるように、前記炉の内部に対して供給される、(1)〜()の何れか1つに記載のコールドリサイクル方法。
)前記スラグは、トータルFeが20%以上であり、かつ、CaO、MgO、MnO又はSiOの少なくとも何れかを更に含有する、(1)〜()の何れか1つに記載のコールドリサイクル方法。
)前記スラグの供給量は、100質量%以下である、(1)〜()の何れか1つに記載のコールドリサイクル方法。
)前記溶銑の温度は、1250℃以上である、(1)〜()の何れか1つに記載のコールドリサイクル方法。

以上説明したように本発明によれば、トータルFeの値が20%以上であるスラグを、炉の内部における全スラグ量に対して10質量%以上供給することで、脱炭精錬処理における精錬コストを更に削減することが可能となる。
実施例1の結果の一例を示したグラフ図である。 実施例1の結果の一例を示したグラフ図である。 実施例2の結果の一例を示したグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(溶銑について)
本発明の実施形態に係るコールドリサイクル方法について詳細に説明するに先立ち、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される溶銑について、説明する。
本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される溶銑は、Siの濃度が0.05質量%以下であり、かつ、残部がFe及び不純物である溶銑であることが好ましい。Siの濃度が0.05質量%超である場合には、含有しているSiそのものが発熱及び酸化することで、フォーミングが容易に発生するため、本実施形態に係るコールドリサイクル方法をあえて適用しなくともよい。そのため、本実施形態に係るコールドリサイクル方法を適用する溶銑は、Siの濃度が0.05質量%以下であるものが好ましい。溶銑中のSi濃度は、より好ましくは、0.01質量%以下である。また、溶銑中のSi濃度の下限値は、特に限定するものはなく、0%であってもよい。
なお、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される溶銑は、上記Si以外にも、C、Mn、P、S等といった諸成分を、残部のFeの一部に代えて含有していてもよく、各成分の含有量については、特に規定されるものではない。以下に、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される溶銑の化学成分の一例を記載するが、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される溶銑の化学成分が下記の例に限定されるものではない。
C:3.7〜4.5質量%
Si:0〜0.05質量%
Mn:0.2〜0.4質量%
P:0.05〜0.10質量%
S:0.001〜0.010質量%
残部:Fe及び不純物
また、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が手橋される溶銑には、上記のような成分以外にも、各種の任意添加元素を残部のFeの一部に代えて含有していてもよい。
上記のような溶銑の製造方法についても、特に限定されるものではなく、一般的な高炉等により製造された溶銑であってもよいし、冷鉄源溶解プロセス(Scrap Melting Process:SMP)又は還元鉄溶解プロセス(Direct reduced iron Smelting Process:DSP)を経て製造された溶銑であってもよい。ただ、冷鉄源溶解プロセス又は還元鉄溶解プロセスを経て製造された溶銑は、酸素を吹き込みながら溶銑が製造されるという特徴上、冷鉄源又は還元鉄中に含有されていたケイ素が酸化されてしまうため、溶銑中のSi濃度が極めてゼロに近くなることが多い。そのため、冷鉄源溶解プロセス又は還元鉄溶解プロセスを経て製造された溶銑は、スラグが特にフォーミング状態になりにくい溶銑であるといえ、本実施形態に係るコールドリサイクル方法による効果が得られやすい溶銑であるといえる。
また、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される溶銑は、上記のようなSi濃度を満足するものであれば、脱燐精錬処理が施された後の溶銑であってもよい。
(コールドリサイクル方法について)
次に、本実施形態に係るコールドリサイクル方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係るコールドリサイクル方法は、上記のような化学成分を有する溶銑に対して、転炉や脱炭炉等といった公知の炉を用いて、脱炭精錬処理を施す際に実施される方法である。
本実施形態に係るコールドリサイクル方法では、より詳細には、上記のような化学成分を有する溶銑を脱炭精錬する際に、トータルFeの値が20%以上であるスラグを、炉の内部における全スラグ量に対して10質量%以上となるように供給する。
<脱炭精錬処理について>
ここで、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される転炉や脱炭炉等の炉では、炉内に供給される溶銑の温度が1250℃以上であるように、脱炭精錬処理が制御されていることが好ましい。また、本実施形態に係るコールドリサイクル方法が適用される脱炭精錬処理では、溶銑に対して副原料として供給する全スラグ量を表すトータルCaO(以下、「T.CaO」と略記する。)の値が、例えば、溶銑1トンあたり20〜25kgとなるように、副原料の添加量が制御されていることが好ましい。
また、脱炭精錬処理において溶銑中に供給される副原料については、特に限定されるものではなく、公知の副原料を用いることが可能である。かかる副原料として、例えば、CaO、SiO、MgO、任意添加元素を含有するインゴット等を挙げることができる。このような各種の副原料を利用して、T.CaOが上記のような範囲となるように、その配合量を適宜決定すればよい。
また、脱炭精錬処理における炉中へのランスの挿入高さや、ランスからの酸素ガスの供給速度や、底吹きガス流量や、副原料投入タイミング等といった、各種の処理条件については、特に限定されるものではなく、過去の操業データ等を参考に適切な値に設定すればよい。
<供給するスラグについて>
本実施形態に係るコールドリサイクル方法では、上記のように、トータルFe(以下、「T.Fe」と略記する。)の値が20%以上であるスラグを利用する。T.Feは、スラグ中に含まれる元素としての鉄の合計含有量を表す値であり、スラグ中に含まれる鉄(Fe)や酸化鉄(FeO等)等の含有量を反映したものとなる。
ここで、スラグの融点を考える場合に、スラグ塩基度(CaOの濃度/SiOの濃度)の値が小さいほどスラグの融点は低くなる傾向にあり、同じスラグ塩基度のスラグを比較する場合には、T.Feの値が高いほどスラグの融点は低くなる傾向にある。従って、T.Feの値がスラグの全質量に対して20%未満である場合には、スラグの融点が充分に低くならず、溶銑に対してスラグを供給したとしても、溶銑の熱及び吹き込まれる酸素によってもスラグが液相化せず、炉中の全スラグをフォーミング状態とすることが困難となる。よって、供給するスラグのT.Feの値は、20%以上とする。一方、T.Feの値が50%超となるようなスラグは、一般的には製造することは困難である。従って、供給するスラグのT.Feの値は、50%以下とすることが好ましい。
なお、供給するスラグのT.Feの値は、好ましくは、25〜35%である。スラグのT.Feの値を上記のような好ましい範囲とすることで、溶銑中に供給された後適度なタイミングでスラグが液相化し、炉中に存在するスラグのフォーミングをより効果的に誘発させることが可能となる。
また、溶銑中に供給するスラグのスラグ塩基度は、3.0〜4.5とすることが好ましい。スラグのスラグ塩基度が3.0未満である場合には、過剰フォーミングによりスロッピングが発生するため、好ましくない。一方、スラグ塩基度が4.5超である場合には、供給するスラグ自体の融点が高くなりすぎ、溶銑中に供給されたとしても、スラグの液相化が進行しづらくなるため、好ましくない。供給するスラグのスラグ塩基度は、より好ましくは、3.4〜4.2である。
なお、溶銑中に供給されるスラグの成分については、特に限定されるものではなく、上記のようなT.Feの値を有しており、好ましくは上記のようなスラグ塩基度が実現されるものであれば、任意の成分が含有されていてもよい。溶銑中に供給されるスラグの成分としては、例えば、CaO、MgO、MnO又はSiOの少なくとも何れかを挙げることができる。
上記のようなスラグの成分の含有量の具体的な例については、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような値を挙げることができる。なお、以下に示すスラグの成分及び含有量は、あくまでも一例に過ぎず、本実施形態に係るコールドリサイクル方法で利用されるスラグの成分及び含有量が下記の値に限定されるものではない。
CaO:36〜40質量%
MgO:9〜11質量%
MnO:4〜6質量%
SiO:9〜12質量%
なお、上記のようなT.Feに関する条件を満足するスラグであれば、本実施形態に係るコールドリサイクル方法に利用可能であるが、このようなスラグとして、例えば、溶銑に対して脱炭精錬処理を施すことで得られる脱炭精錬スラグを挙げることができる。
ここで、上記のようなスラグの成分及び含有量は、例えば蛍光X線分析法などの公知の分析方法により測定することが可能である。スラグに含まれる成分及び含有量を特定することで、T.FeやT.CaO等の値を算出することが可能となる。また、T.FeやT.CaOの値は、例えばガス分析法などの公知の分析方法により測定することも可能である。
なお、上記のようなスラグの粒径については、特に限定されるものではないが、スラグの粒径が小さいほど、供給されたスラグは素早く液相化すると考えられるため、供給するスラグの粒径は、脱炭精錬処理に影響を与えない範囲でなるべく小さくすることが好ましい。
<スラグの供給量について>
本実施形態に係るコールドリサイクル方法において、上記のようなT.Feの値を有するスラグの供給量は、炉の内部における全スラグ量に対して、10質量%以上とする。供給されるスラグの量が、炉内部における全スラグ量の10質量%未満である場合には、炉内に供給された副原料の全体に対して、液相化を伝搬させることが困難となり、炉内に存在するスラグの全体をフォーミング状態とすることができない。スラグの供給量を、炉内部における全スラグ量の10質量%以上とすることで、供給されたスラグの液相化が進み、やがて周囲に存在する副原料の全体に液相化が伝搬して、スラグ全体をフォーミング状態とすることが可能となる。
一方、スラグの供給量の上限値は、特に限定されるものではなく、大きければ大きいほど良く、全スラグ量に対して100質量%であってもよい。従って、本実施形態に係るコールドリサイクル方法において、スラグの供給量は、全スラグ量に対して100質量%以下とすることが好ましい。従って、スラグの供給量は、炉内部の全スラグ量に対して、10〜100質量%であることが好ましい。
以上のようにしてスラグフォーミング状態を生じさせることで、装入時のスラグ−溶銑反応を抑制して炉内スラグを固化させることが可能となり、他の副原料を用いるよりも安価に、脱炭精錬処理を実施することが可能となる。
また、炉内スラグを固化させることでスラグの厚みを増加させることが可能となるが、スラグの厚みが増すことで溶銑のカバーリング効果を得ることができ、精錬処理中の発生ダスト低減による歩留まり向上効果を得ることも可能となる。
<スラグの供給位置について>
ここで、本実施形態に係るコールドリサイクル方法において、上記のようなスラグの炉内での供給位置については、特に限定されるものではなく、スラグを投入しやすい位置から任意の位置へと供給すればよい。ただ、炉内において酸素ガスが供給されている位置である火点の付近は、温度が1700〜2400℃にまで達しているため、上記のようなスラグを火点の付近に向けて供給することで、より簡便にスラグの液相化を実現することが可能となり、好ましい。
<スラグの供給タイミングについて>
本実施形態に係るコールドリサイクル方法において、上記のようなスラグの供給タイミングは、炉内へ溶銑及び副原料が供給された後であれば、特に限定されるものではなく、任意のタイミングで供給を開始すればよい。
ここで、一般的な脱炭精錬処理において、溶銑に対する酸素の吹き込みが開示されてから5〜10分が経過するまでに、スラグ全体がフォーミング状態となることが好ましい。そのため、本実施形態に係るコールドリサイクル方法においても、溶銑に対する酸素の吹き込みが開始されてから5分経過するまでの間に10質量%が供給されるように、スラグが炉の内部に対して供給されることが好ましい。
なお、全スラグ量に対して10質量%以上のスラグを供給し終えるタイミングについては、特に限定するものではない。
以上、本実施形態に係るコールドリサイクル方法について、詳細に説明した。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係るコールドリサイクル方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係るコールドリサイクル方法のあくまでも一例であって、本発明に係るコールドリサイクル方法が下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
転炉に、100〜110tの溶銑([Si]=0.01〜0.03質量%、[C]=3.7〜4.4質量%、[Mn]=0.2〜0.4質量%、[P]=0.05〜0.10質量%、[S]=0.001〜0.008質量%、残部Fe及び不純物)及び10〜14tの鋼屑を装入し、副原料は、T.CaOが20〜25kg/tとなるように設計して、脱炭精錬処理を実施した。なお、溶銑の温度は、約1350〜1450℃であった。この際、以下の表1に示すように、転炉に供給するスラグのT.Fe及び供給量を変化させて、スラグの供給がスラグフォーミングに与える影響を検証した。
なお、ランス高さ、底吹きガス流量、送酸速度、副原料の投入タイミングの吹錬条件は、以下の表1に示した各条件において、それぞれ一定とした。また、スラグは、副原料が投入し終わった後に、直ちに転炉内へと供給することとした。
ここで、転炉に供給するコールドスラグのT.Fe及びスラグ塩基度は、事前にロット毎にガス分析法による分析を実施することで、それぞれ特定した。
スラグフォーミングが生じたか否かの判定は、転炉の近傍に予め設置されているサウンドメーターを用いることで実施した。すなわち、スラグフォーミングが発生してスラグ高さが高くなってくると、ある段階で、ランスの先端がスラグに覆われるようになる。ランスの先端からは酸素ガスが勢いよく噴射されているため、かかる酸素ガスの噴射に伴うジェット音が観測される。従って、スラグフォーミングが発生してランスの先端部がスラグに覆われると、サウンドメーターで観測されるサウンドレベルは低下するようになる。本実施例1では、60dB以下のサウンドレベル値が1分以上継続した場合に、スラグがフォーミング状態になったと判定して、滓化評価は良好(○)であるとし、60dB以下のサウンドレベル値が1分以上継続しなかった場合には、スラグはフォーミング状態にはなっていないと判定して、滓化評価は不可(×)であるとした。
得られた結果を、以下の表1にまとめて示した。
なお、以下の表1では、酸素吹き込み開始5分経過以降のサウンドレベル値の最低値を併せて記載するとともに、吹錬後の炉内スラグ塩基度を波長分散型蛍光X線分析装置により測定して、得られた結果を併せて記載している。
Figure 0006627433
上記表1から明らかなように、供給するスラグ(コールドスラグ)のT.Feが20%以上であり、かつ、スラグの供給量が炉内の全スラグ量に対して10質量%以上である場合には、炉内のスラグがフォーミング状態となっていることがわかる。一方、スラグのT.Feが20%未満、又は、スラグの供給量が10質量%未満である場合には、炉内のスラグがフォーミング状態となっていないことがわかる。このように、供給するスラグのT.Feを20%以上とし、かつ、スラグの供給量を炉内の全スラグ量に対して10質量%以上とすることで、他の副原料を用いるよりも安価に脱炭精錬処理を実施することが可能となることが明らかとなった。
図1は、本発明に係るコールドリサイクル方法を実施しない場合(表1における試験例1)と、本発明に係るコールドリサイクル方法を実施した場合(表1における試験例17)の双方について、サウンドレベル値の推移の様子をグラフ化したものである。図1において、横軸は吹錬時間(単位:分)であり、縦軸はサウンドレベル値(単位:dB)である。
図1から明らかなように、本発明に係るコールドリサイクル方法を実施していない試験例1では、脱炭精錬処理の間一貫してサウンドレベル値が60〜65dBの間でほぼ一定であり、スラグフォーミングが生じていないことがわかる。一方、約1000kg(炉内の全スラグ量に対して、13.7%に相当)のスラグ(T.Fe=25.6%)を供給した試験例17では、吹錬開始直後からサウンドレベル値の低下が観測され、吹錬開始から7分経過後に、サウンドレベル値が60dB以下となっていることがわかる。この結果は、試験例17では、炉内の全スラグがフォーミング状態となったことを示している。
なお、図1の試験例17において、吹錬開始から10分経過後に、再度サウンドレベル値が上昇しているが、これは、操業上、スラグフォーミング状態を維持したままであると、スラグが炉外へと溢れだすスロッピングと呼ばれる現象の発生が懸念されたため、スラグフォーミングを抑制させる鎮静剤を炉内へ添加したためである。
また、表1の試験例1及び試験例17については、脱炭精錬処理中に2分間隔で集塵水トラフの水を採取し、水分を蒸発させて残渣を取りだすことにより含有ダスト量を測定することで、発生ダスト量の検証を実施した。得られた結果を図2に示した。図2において、横軸は吹錬時間(単位:分)であり、縦軸はダスト発生速度(単位:kg/分)である。
図2から明らかなように、図1に示したサウンドレベル値が低下しているタイミングではダスト発生速度も低減していることから、スラグフォーミングによってダストの発生が抑制されていることが明らかとなった。
(実施例2)
市販の熱力学計算アプリケーションであるsolgasmixを用いて、スラグ塩基度が4.0で同一であり、T.Feがそれぞれ15%、20%、25%、30%である4種類のスラグについて、温度別液相率を算出した。得られた計算結果を、図3に示した。図3において、横軸は、温度(単位:℃)であり、縦軸は、液相率(単位:%)である。
図3に示した結果は、1400〜1700℃の範囲で、各温度のスラグにおいて液相の占める割合を液相率として示したものである。図3から明らかなように、スラグ塩基度が同一である場合、T.Feの値が高くなるほど、同一温度でのスラグの液相率が高まることが確認できた。特に、上記実施例1において、スラグフォーミングが発生した精錬初期段階は、鋼浴温度が約1400℃〜1500℃であり、この温度範囲での液相率差は顕著であることが明らかとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (8)

  1. 一度精錬を終えたスラグを炉外排出し、排出したスラグを冷却・破砕したものを再び処理に使用するコールドリサイクル方法において、
    所定の成分を有する溶銑を所定の炉を用いて脱炭精錬する際に、トータルFeの値が20%以上であるスラグを、前記炉の内部における全スラグ量に対して10質量%以上供給し、
    供給する前記スラグのスラグ塩基度が3.0〜4.5である、コールドリサイクル方法。
  2. 前記スラグのトータルFeの値は、50%以下である、請求項に記載のコールドリサイクル方法。
  3. 前記溶銑は、Siの含有量が0.05質量%以下である、請求項1又は2に記載のコールドリサイクル方法。
  4. 前記溶銑は、冷鉄源溶解プロセス又は還元鉄溶解プロセスを経て製造された溶銑である、請求項1〜の何れか1項に記載のコールドリサイクル方法。
  5. 前記スラグは、前記溶銑に対する酸素の吹き込みが開始されてから5分経過するまでの間に10質量%が供給されるように、前記炉の内部に対して供給される、請求項1〜の何れか1項に記載のコールドリサイクル方法。
  6. 前記スラグは、トータルFeが20%以上であり、かつ、CaO、MgO、MnO又はSiOの少なくとも何れかを更に含有する、請求項1〜の何れか1項に記載のコールドリサイクル方法。
  7. 前記スラグの供給量は、100質量%以下である、請求項1〜の何れか1項に記載のコールドリサイクル方法。
  8. 前記溶銑の温度は、1250℃以上である、請求項1〜の何れか1項に記載のコールドリサイクル方法。
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