前記一対の歯車を備えた液圧装置には、当該歯車を適宜駆動モータによって回転させ、この歯車の回転動作により作動液体を加圧して吐出する液圧ポンプや、予め加圧した作動液体を導入して前記歯車を回転させ、その回転軸の回転力を動力として使用する液圧モータなどがある。
そして、従来、それぞれ一対の歯車を備えた第1液圧機構部及び第2液圧機構部を、その軸方向に並設、即ち、連設した液圧装置が知られている。この液圧装置では、例えば、これが液圧ポンプの場合には、前記第1液圧機構部は、これから吐出される作動液体が高圧となるように構成されるとともに、前記第2液圧機構部は、これから吐出される作動液体が前記第1液圧機構部から吐出される作動液体の圧力よりも低圧となるように構成される。そして、必要とされる作動液体の圧力に応じて、例えば、高圧の作動液体が必要な場合には、前記第1液圧機構のみが駆動され、低圧の作動液体が必要な場合には、前記第2液圧機構のみが駆動されるというように、必要な作動液体の圧力に応じて、前記第1液圧機構部及び第2液圧機構部が使い分けられる。
ところで、前記一対の歯車には、従来、各種形状のものが使用されており、その中に、はすば歯車を用いた液圧装置がある。このはすば歯車は、歯が斜めに傾斜した構造であるが故に、歯車の歯当たりが分散され、このため騒音が小さいという特性を有するものの、その一方で、これを液圧装置として用いた場合、歯の噛み合いによって軸方向のスラスト力(噛み合いスラスト力)を生じ、また、作動液体の圧力を歯面に受けることによって同様にスラスト力(受圧スラスト力)を生じるという特性を有する。
このスラスト力は歯車の回転によって周期的に変動するものであり、この周期的な変動により、歯車及び軸受部材が振動して騒音が発生する、或いは、振動によって歯車の端面と軸受部材の端面との間に隙間を生じ、この隙間を通じて高圧側から低圧側に向けたリークを生じるといった問題が引き起こされる。
そこで、このような問題を解決するために、歯車の回転軸に、前記スラスト力に対する反対方向の力(抗力)を作用させて、当該歯車の軸方向への変位を制止するように構成された液圧ポンプが提案されている(下記特許文献1参照)。
この液圧ポンプ装置は、一対のはすば歯車を有する第1及び第2液圧機構部を並設して構成される。そして、前記第1液圧機構部は、第1回転軸を有する第1はすば歯車と、第2回転軸を有し、前記第1はすば歯車と噛合する第2はすば歯車と、両端部が開口し、内部に前記第1及び第2はすば歯車が噛合状態で収納される第1液圧室を有する第1本体と、前記第1液圧室内において、前記第1及び第2回転軸を回転自在に支持する第1及び第2軸受部材とを備え、前記第1液圧室は、前記第1及び第2はすば歯車の噛合部を境に一方が低圧側、他方が高圧側に設定される。
また、前記第2液圧機構部は、第3回転軸を有する第3はすば歯車と、第4回転軸を有し、前記第3はすば歯車と噛合する第4はすば歯車と、両端部が開口し、内部に前記第3及び第4はすば歯車が噛合状態で収納される第2液圧室を有する第2本体と、前記第2液圧室内において、前記第3及び第4回転軸を回転自在に支持する第3及び第4軸受部材とを具備し、前記第2液圧室は、前記第3及び第4はすば歯車の噛合部を境に一方が低圧側、他方が高圧側に設定される。
また、前記第1及び第2液圧機構部は、その前記第1回転軸と第3回転軸とが同軸上に位置するように並設され、前記第1本体と第2本体との間には中間プレート(より具体的には、第1及び第2の中間プレートから構成される)が配設されて、該第1及び第2本体が該中間プレートに固設されるとともに、前記第1本体の他方の開口部たる前側の開口部は前部プレートによって封止され、前記第2本体の他方の開口部たる後側の開口部は後部プレートによって封止されている。
また、前記第1回転軸の前側の軸部は、前記前部プレートを貫通して外部に延出され、この第1回転軸の後側の軸端部及び前記第3回転軸の前側の軸端部は、それぞれ前記中間プレートに形成された貫通穴に挿通されるとともに、スプラインが形成されたカップリングによって、一体的に回転するように連結されている。
また、前記第1液圧機構部では、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第1回転軸及び第2回転軸に対してそれぞれ後方に向けて作用するとともに、前記第2液圧機構部では、第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第3回転軸及び第4回転軸に対し後方に向けて作用するように構成されている。
そして、前記後部プレートには、前記第3回転軸及び第4回転軸の各後端面と対向する部分に、それぞれシリンダ室となるシリンダ穴が形成されるとともに、各シリンダ穴に、第3回転軸及び第4回転軸の各後端面それぞれ当接可能にピストンが嵌挿され、更に、前記各シリンダ穴のシリンダ室と前記第2液圧室の高圧側とに通じる流路がそれぞれ形成されており、第2液圧室の高圧側の作動液体が各シリンダ室に供給されることで、前記各ピストンが前方に付勢され、当該各ピストンによってそれぞれ第3回転軸及び第4回転軸が前方に押圧される。
また、前記第1回転軸の後端部には、前側が大径部、後側が小径部となった段付き状の補償リングが外嵌され、また、前記中間プレートには、2つのシールによって前記大径部の後端面(背面)に付勢用の液圧室が形成されるとともに、この付勢用の液圧室と前記第1液圧室の高圧側とに通じる流路が形成されており、第1液圧室の高圧側の作動液体が前記大径部の背面に供給されることで、前記補償リングが前方に付勢され、当該補償リングによって第1回転軸が前方に押圧されるようになっている。
また、この中間プレートには、前記第2回転軸の後端面と対向する部分に、シリンダ室となるシリンダ穴が形成されるとともに、このシリンダ穴に、第2回転軸の後端面に当接可能にピストンが嵌挿され、更に、このシリンダ穴のシリンダ室と第1液圧室の高圧側とに通じる流路がそれぞれ形成されており、第1液圧室の高圧側の作動液体がこのシリンダ室に供給されることで、前記ピストンが前方に付勢され、当該ピストンによって第2回転軸が前方に押圧される。
斯くして、この液圧ポンプによれば、前記第1回転軸を電動モータなどによって駆動すると、これによって第1はすば歯車及びこれに噛合する第2はすば歯車が回転し、また、回転動力が第1回転軸を介してこれに連結される第3回転軸に伝達され、前記第3はすば歯車及びこれに噛合する第4はすば歯車が回転する。そして、前記第1液圧機構部の第1液圧室の低圧側に設定される空間に作動液体を供給すると、この作動液体が、前記第1はすば歯車及び第2はすば歯車の作用により高圧に加圧されて、高圧側から外部に吐出される。
その際、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第1回転軸及び第2回転軸に対してそれぞれ後方に向けて作用するが、第1回転軸の後端部に外嵌された補償リングの背面に第1液圧室の高圧の作動液体が供給されて、この補償リングにより前記第1回転軸が前方に押圧され、また、中間プレートに形成された前記シリンダ室に第1液圧室の高圧の作動液体が供給されて、これに嵌挿された前記ピストンによって前記第2回転軸が前方に押圧される。そして、前記補償リングによる押圧力によって、前記第1回転軸に作用するスラスト力が緩和され、また、前記ピストンによる押圧力によって、第2回転軸に作用するスラスト力が緩和される。
一方、前記第1及び第2はすば歯車、並びに第3及び第4はすば歯車が回転した状態で、前記第2液圧機構部の第2液圧室の低圧側に設定される空間に作動液体を供給すると、この作動液体が、前記第3はすば歯車及び第4はすば歯車の作用により高圧に加圧されて、高圧側から外部に吐出される。
その際、第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第3回転軸及び第4回転軸に対してそれぞれ後方に向けて作用するが、前記後部プレートに形成された各シリンダ穴に第2液圧室の高圧の作動液体が供給されて、各シリンダ穴に嵌挿された前記ピストンによってそれぞれ前記第3回転軸及び第4回転軸が前方に押圧され、各押圧力によって、前記第3回転軸に作用するスラスト力が緩和され、また、第4回転軸に作用するスラスト力が緩和される。
このように、この液圧ポンプによれば、第1液圧機構部及び第2液圧機構部のそれぞれを使用する際に、第1回転軸及び第2回転軸、並びに第3回転軸及び第4回転軸に対して、それぞれに作用するスラスト力に対する抗力を作用させて、当該スラスト力を緩和させるようにしているので、上述した振動の問題や、リークの問題が発生するのを抑制することができる。
ところが、上述した従来の液圧ポンプでは、スラスト力に対する抗力を第1回転軸に作用させるための構造として、付勢用の液圧室を形成するための2つのシール、並びに押圧力を作用させる補償リングを設けた構造を採用しているが、このような構造は複雑で、部品点数も多く、このため加工コスト及び組立コストを含めた製造コストが高くつくという問題があり、また、部品交換等のメンテナンス時には、分解及び再組み立てに時間を要するという問題があった。
また、上述したように、前記第1液圧機構部では、補償リングの背面に高圧の作動液体を作用させるための付勢用の液圧室を2つのシールによって形成しているが、補償リングは第1回転軸とともに回転する、即ち、補償リングと2つのシールとが摺接する構造となっており、このシールが回転の抵抗となるため、当該液圧ポンプは高速回転で使用する態様には不向きであった。
本発明は以上の実情に鑑みなされたもので、一対のはすば歯車を備えた2つの液圧機構部を軸方向に並設した液圧装置であって、従来に比べて、製造コストが安価で、しかもメンテナンスが容易であり、高速回転での使用にも耐え得る液圧装置の提供を、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、第1液圧機構部及び第2液圧機構部を並設した液圧装置に係る。そして、前記第1液圧機構部は、第1回転軸を有する第1はすば歯車と、第2回転軸を有し、前記第1はすば歯車と噛合する第2はすば歯車と、両端部が開口し、内部に前記第1及び第2はすば歯車が噛合状態で収納される第1液圧室を有する第1本体と、前記第1液圧室内において、前記第1及び第2回転軸を回転自在に支持する第1及び第2軸受部材とを具備し、前記第1液圧室は、前記第1及び第2はすば歯車の噛合部を境に一方が低圧側、他方が高圧側に設定される。
また、前記第2液圧機構部は、第3回転軸を有する第3はすば歯車と、第4回転軸を有し、前記第3はすば歯車と噛合する第4はすば歯車と、両端部が開口し、内部に前記第3及び第4はすば歯車が噛合状態で収納される第2液圧室を有する第2本体と、前記第2液圧室内において、前記第3及び第4回転軸を回転自在に支持する第3及び第4軸受部材とを具備し、前記第2液圧室は、前記第3及び第4はすば歯車の噛合部を境に一方が低圧側、他方が高圧側に設定される。
また、前記第1及び第2液圧機構部は、少なくとも前記第1回転軸と第3回転軸とが同軸上に位置するように並設され、前記第1本体と第2本体との間には中間プレートが配設されて、該第1及び第2本体が該中間プレートに固設されるとともに、前記第1本体の他方の開口部たる前側の開口部は前部プレートによって封止され、前記第2本体の他方の開口部たる後側の開口部は後部プレートによって封止される。
また、前記第1回転軸の前側の軸部は、前記前部プレートを貫通して外部に延出され、該第1回転軸の後側の軸端部、及び前記第3回転軸の前側の軸端部は、それぞれ前記中間プレートに形成された貫通穴に挿通されるとともに、一体的に回転し、且つその軸方向における移動も一体的となるように相互に連結され、
前記第1液圧機構部では、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第1回転軸に対し後方に向けて作用するとともに、前記第2液圧機構部では、第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第3回転軸に対し後方に向けて作用するように構成される。
また、前記後部プレートには、前記第3回転軸の後部端面と対向する部分に、前側が大径のシリンダ室、且つ後側が小径のシリンダ室となった段付き状の第1シリンダ穴が形成されるとともに、該第1シリンダ穴に、前側が大径且つ後側が小径となった段付き状の第1ピストンが、その前側の端面が前記第3回転軸の後部端面に当接可能に嵌挿され、
更に、前記第1液圧室の高圧側と前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の一方とに通じる第1流路が形成されるとともに、前記第2液圧室の高圧側と前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の他方とに通じる第2流路が形成される。
この液圧装置によれば、例えば、これが液圧ポンプの場合、前記第1回転軸を電動モータなどによって駆動すると、これによって第1はすば歯車及びこれに噛合する第2はすば歯車が回転し、また、この回転動力が第1回転軸を介してこれに連結される第3回転軸に伝達され、前記第3はすば歯車及びこれに噛合する第4はすば歯車が回転する。
そして、例えば、前記第1液圧機構部の第1液圧室の低圧側に設定される空間に作動液体を供給すると、この作動液体が、前記第1はすば歯車及び第2はすば歯車の作用により高圧に加圧されて、高圧側から外部に吐出される。
その際、前記第1液圧機構部では、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第1回転軸に対し後方に向けて作用するが、前記後部プレートに形成された前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の一方に、前記第1流路を通じて前記第1液圧室の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第1ピストンが前側に向けて付勢され、この第1ピストンによって前記第3回転軸が前方に押圧される。そして、この第1ピストンの押圧力が、前記第3回転軸を介して、この第3回転軸に軸方向に一体的に連結される第1回転軸に伝達され、当該第1回転軸に作用するスラスト力が第1ピストンの押圧力によって緩和される。
一方、同じく前記第1及び第2はすば歯車、並びに第3及び第4はすば歯車が回転した状態で、前記第2液圧機構部の第2液圧室の低圧側に設定される空間に作動液体を供給すると、この作動液体が、前記第3はすば歯車及び第4はすば歯車の作用により高圧に加圧されて、高圧側から外部に吐出される。
そして、その際、前記第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第3回転軸に対し後方に向けて作用するが、前記後部プレートに形成された前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の他方に、前記第2流路を通じて前記第2液圧室の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第1ピストンが前側に向けて付勢され、この第1ピストンによって前記第3回転軸が前方に押圧される。そして、この第1ピストンの押圧力によって、前記第3回転軸に作用するスラスト力が緩和される。
斯くして、この液圧装置によれば、前記第1液圧機構部及び第2液圧機構部のそれぞれを使用する際に、第1回転軸及び第3回転軸に対して、それぞれに作用するスラスト力に対する抗力を前記第1ピストンにより作用させて、当該スラスト力を緩和させるようにしているので、上述した振動の問題や、リークの問題が発生するのを抑制することができる。
また、第1及び第3回転軸に抗力を付与する機構を、前記後部プレートに形成した段付き状の第1シリンダ穴、この第1シリンダ穴に嵌挿される第1ピストン、前記第1液圧室の高圧側と前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の一方とに通じる第1流路、並びに前記第2液圧室の高圧側と前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の他方とに通じる第2流路から構成しているので、上述した従来の補償リングを用いた機構に比べて、その構造が簡単で、部品点数も少なく、このため加工コスト及び組立コストを含めた製造コストを安価にすることができる。
また、この液圧装置は、部品交換等のメンテナンスを行う際には、後部プレートのみを分解及び再組み立てすれば良く、従来に比べて、容易にメンテナンスを行うことができる。また、従来のように、液圧室を形成するためにシール材などを用いていないので、当該液圧装置を高速回転で使用することができる。
尚、前記第1ピストンにより前記第1及び第3回転軸に付与される抗力は、第1及び第3回転軸にそれぞれ作用するスラスト力に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1及び第2液圧室の各高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記大径シリンダ室及び小径シリンダ室の有効径をそれぞれ適宜設定する。このようにすることで、上述した振動の問題やリークの問題が発生するのを、より効果的に防止することができる。
また、この液圧装置において、前記第1回転軸及び第3回転軸は、一つの軸体から構成されていても良い。
また、本発明に係る液圧装置では、前記第1液圧機構部において、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第2回転軸に対し後方に向けて作用するとともに、前記第2液圧機構部では、第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第4回転軸に対し後方に向けて作用する場合、
前記第1及び第2液圧機構部は、その前記第2回転軸と第4回転軸とが同軸上に位置するように並設され、
前記第2回転軸の後側の軸端部、及び前記第4回転軸の前側の軸端部が、それぞれ前記中間プレートに形成された貫通穴に挿通されるとともに、一体的に回転し且つその軸方向における移動も一体的となるように相互に連結され、
前記後部プレートの、前記第4回転軸の後部端面と対向する部分に、前側が大径のシリンダ室、且つ後側が小径のシリンダ室となった段付き状の第2シリンダ穴を形成するとともに、該第2シリンダ穴に、前側が大径且つ後側が小径となった段付き状の第2ピストンを、その前側の端面が前記第4回転軸の後部端面に当接可能に嵌挿し、
前記第1液圧室の高圧側と前記第2シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の一方とに通じる第3流路を形成するとともに、前記第2液圧室の高圧側と前記第2シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の他方とに通じる第4流路を形成した構成としても良い。
この構成によれば、前記第1液圧機構部に作動液体が供給される場合には、前記後部プレートに形成された前記第2シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の一方に、前記第3流路を通じて前記第1液圧室の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第2ピストンが前側に向けて付勢され、この第2ピストンによって前記第4回転軸が前方に押圧される。そして、この第2ピストンの押圧力が、前記第4回転軸を介して、この第4回転軸に軸方向に一体的に連結される第2回転軸に伝達され、当該第2回転軸に作用するスラスト力が第2ピストンの押圧力によって緩和される。
一方、前記第2液圧機構部に作動液体が供給される場合には、前記第2シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の他方に、前記第4流路を通じて前記第2液圧室の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第2ピストンが前側に向けて付勢され、この第2ピストンによって前記第4回転軸が前方に押圧される。そして、この第2ピストンの押圧力によって、前記第4回転軸に作用するスラスト力が緩和される。
斯くして、この液圧装置によれば、前記第1液圧機構部及び第2液圧機構部のそれぞれを使用する際に、第2回転軸及び第4回転軸に対して、それぞれに作用するスラスト力に対する抗力を前記第2ピストンにより作用させて、当該スラスト力を緩和させることができ、上述した振動の問題や、リークの問題が発生するのを抑制することができる。
尚、この場合も、前記第2ピストンにより前記第2及び第4回転軸に付与される抗力は、第2及び第4回転軸にそれぞれ作用するスラスト力に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1及び第2液圧室の各高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第2シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の有効径をそれぞれ適宜設定する。
また、本発明に係る液圧装置では、前記第1液圧機構部において、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第2回転軸に対し後方に向けて作用する場合、
前記中間プレートの、前記第2回転軸の後端面と対向する部分に、シリンダ室となる第3シリンダ穴を形成するとともに、該第3シリンダ穴に、前記第2回転軸の後端面に当接可能に第3ピストンを嵌挿し、更に、前記第3シリンダ穴のシリンダ室と前記第1液圧室の高圧側とに通じる第5流路を形成した構成としても良い。
このようにすれば、第1液圧室の高圧の作動液体が、前記第5流路を通じて前記第3シリンダ穴のシリンダ室に供給され、この作動液体によって第3ピストンが前方に向けて付勢され、この第3ピストンによって前記第2回転軸が前方に押圧される。そして、この第3ピストンの押圧力によって、前記第2回転軸に作用するスラスト力が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第3ピストンにより前記第2回転軸に付与される抗力は、当該第2回転軸に作用するスラスト力に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1液圧室の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第3シリンダ穴のシリンダ室の有効径を適宜設定する。
また、本発明に係る液圧装置では、前記第2液圧機構部において、第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第4回転軸に対し後方に向けて作用する場合、
前記後部プレートの、前記第4回転軸の後端面と対向する部分に、シリンダ室となる第4シリンダ穴を形成するとともに、該第4シリンダ穴に、前記第4回転軸の後端面に当接可能に第4ピストンを嵌挿し、更に、前記第4シリンダ穴のシリンダ室と前記第2液圧室の高圧側とに通じる第6流路を形成した構成としても良い。
このようにすれば、第2液圧室の高圧の作動液体が、前記第6流路を通じて前記第4シリンダ穴のシリンダ室に供給され、この作動液体によって第4ピストンが前方に向けて付勢され、この第4ピストンによって前記第4回転軸が前方に押圧される。そして、この第4ピストンの押圧力によって、前記第4回転軸に作用するスラスト力が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第4ピストンにより前記第4回転軸に付与される抗力は、当該第4回転軸に作用するスラスト力に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第2液圧室の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第4シリンダ穴のシリンダ室の有効径を適宜設定する。
また、本発明に係る液圧装置では、前記第1液圧機構部において、第1及び第2はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第2回転軸に対し前方に向けて作用する場合、
前記前部プレートの、前記第2回転軸の前端面と対向する部分に、シリンダ室となる第5シリンダ穴を形成するとともに、該第5シリンダ穴に、前記第2回転軸の前端面に当接可能に第5ピストンを嵌挿し、更に、前記第5シリンダ穴のシリンダ室と前記第1液圧室の高圧側とに通じる第7流路を形成した構成としても良い。
このようにすれば、第1液圧室の高圧の作動液体が、前記第7流路を通じて前記第5シリンダ穴のシリンダ室に供給され、この作動液体によって第5ピストンが後方に向けて付勢され、この第5ピストンによって前記第2回転軸が後方に押圧される。そして、この第5ピストンの押圧力によって、前記第2回転軸に作用するスラスト力が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第5ピストンにより前記第2回転軸に付与される抗力は、当該第2回転軸に作用するスラスト力に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1液圧室の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第5シリンダ穴のシリンダ室の有効径を適宜設定する。
また、本発明に係る液圧装置では、前記第2液圧機構部において、第3及び第4はすば歯車の噛合によるスラスト力及びその高圧側の作動液体によるスラスト力の合力が、前記第4回転軸に対し前方に向けて作用する場合、
前記中間プレートの、前記第4回転軸の前端面と対向する部分に、シリンダ室となる第6シリンダ穴を形成するとともに、該第6シリンダ穴に、前記第4回転軸の前端面に当接可能に第6ピストンを嵌挿し、更に、前記第6シリンダ穴のシリンダ室と前記第2液圧室の高圧側とに通じる第8流路を形成した構成としても良い。
このようにすれば、第2液圧室の高圧の作動液体が、前記第8流路を通じて前記第6シリンダ穴のシリンダ室に供給され、この作動液体によって第6ピストンが後方に向けて付勢され、この第6ピストンによって前記第4回転軸が後方に押圧される。そして、この第6ピストンの押圧力によって、前記第4回転軸に作用するスラスト力が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第6ピストンにより前記第4回転軸に付与される抗力は、当該第4回転軸に作用するスラスト力に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第2液圧室の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第6シリンダ穴のシリンダ室の有効径を適宜設定する。
以上のように、本発明に係る液圧装置によれば、前記第1液圧機構部及び第2液圧機構部のそれぞれを使用する際に、第1回転軸及び第3回転軸に対して、それぞれに作用するスラスト力に対する抗力を前記第1ピストンにより作用させて、当該スラスト力を緩和させるようにしているので、上述した振動の問題や、リークの問題が発生するのを抑制することができる。
また、第1及び第3回転軸に抗力を付与する機構を、前記後部プレートに形成した段付き状の第1シリンダ穴、この第1シリンダ穴に嵌挿される第1ピストン、前記第1液圧室の高圧側と前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の一方とに通じる第1流路、並びに前記第2液圧室の高圧側と前記第1シリンダ穴の大径シリンダ室及び小径シリンダ室の他方とに通じる第2流路から構成しているので、上述した従来の補償リングを用いた機構に比べて、その構造が簡単で、部品点数も少なく、このため加工コスト及び組立コストを含めた製造コストを安価にすることができる。
また、この液圧装置は、部品交換等のメンテナンスを行う際には、後部プレートのみを分解及び再組み立てすれば良く、従来に比べて、容易にメンテナンスを行うことができる。また、従来のように、液圧室を形成するためにシール材などを用いていないので、当該液圧装置を高速回転で使用することができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態に係る液圧装置について、図1に基づき説明する。この液圧装置1は油圧ポンプであり、図1に示すように、第1液圧機構部2、第2液圧機構部15、前部プレート40、中間プレート45及び後部プレート55などを備えて構成される。
前記第1液圧機構部2は、第1本体7、第1はすば歯車3(以下、第1歯車3という)、第2はすば歯車5(以下、第2歯車5という)、第1軸受部材9及び第2軸受部材11、第1側板10及び第2側板12などから構成される。
前記第1歯車3は、その歯車部の両端面から外方に延出するように設けられた第1回転軸4,4を有し、同様に、前記第2歯車5は、その歯車部の両端面から外方に延出するように設けられた第2回転軸6,6を有する。また、前記第1本体7は、断面形状が略8の字状を有し、両端部が開口するように形成された空間である第1液圧室8を備え、この第1液圧室8内に、前記第1歯車3及び第2歯車5が相互に噛合した状態で収納されている。
また、前記第1側板10、第2側板12、第1軸受部材9及び第2軸受部材11はそれぞれ断面形状が略8の字状をした部材であり、第1側板10及び第2側板12は前記第1歯車3及び第2歯車5を挟むようにその両側に配設され、また、その外側に前記第1軸受部材9及び第2軸受部材11がそれぞれ配設され、これら第1軸受部材9及び第2軸受部材11によって、第1回転軸4,4及び第2回転軸6,6が回転自在に支持されている。
前記第1本体7の図示左側、即ち前側の開口部は、前記前部プレート40によって封止されており、前記第1回転軸4の前側の軸部は、この前部プレート40に形成された貫通穴41を貫通してその前端部4bが外部に延出されており、この前端部4bに電動モータ(図示せず)が接続されて当該第1回転軸4が回転される。尚、前記貫通穴41は前側が大径、後側が小径となった段付き穴であり、大径部に嵌合されたオイルシール42によって第1回転軸4がシールされている。
前記第1歯車3は、その歯部が右ねじれとなり、前記第2歯車5は、その歯部が左ねじれとなっており、前記第1液圧室8は、これら第1歯車3及び第2歯車5の噛合部を境に一方が低圧側、他方が高圧側に二分され、前記第1本体7には、その一方の側面に前記第1液圧室8の低圧側に通じる取入れ穴(図示せず)が形成されるとともに、これと相対する他方の側面に、前記第1液圧室8の高圧側に通じる吐出し穴(図示せず)が形成されている。
前記第2液圧機構部15は、第2本体20、第3はすば歯車16(以下、第3歯車16という)、第4はすば歯車18(以下、第4歯車18という)、第3軸受部材22及び第4軸受部材24、第3側板23及び第4側板25などから構成される。
前記第3歯車16は、その歯車部の両端面から外方に延出するように設けられた第3回転軸17,17を有し、同様に、前記第4歯車18は、その歯車部の両端面から外方に延出するように設けられた第4回転軸19,19を有する。また、前記第2本体20は、断面形状が略8の字状を有し、両端部が開口するように形成された空間である第2液圧室21を備え、この第2液圧室21内に、前記第3歯車16及び第4歯車18が相互に噛合した状態で収納されている。
また、前記第3側板23、第4側板25、第3軸受部材22及び第4軸受部材24はそれぞれ断面形状が略8の字状をした部材であり、第3側板23及び第4側板25は前記第3歯車16及び第4歯車18を挟むようにその両側に配設され、また、その外側に前記第3軸受部材22及び第4軸受部材24がそれぞれ配設されており、これら第3軸受部材22及び第4軸受部材24によって、第31回転軸17,17及び第4回転軸19,19が回転自在に支持されている。
前記第3歯車16は、その歯部が右ねじれとなり、前記第4歯車18は、その歯部が左ねじれとなっており、前記第2液圧室21は、これら第3歯車16及び第4歯車18の噛合部を境に一方が低圧側、他方が高圧側に二分され、前記第2本体20には、その一方の側面に前記第2液圧室21の低圧側に通じる取入れ穴(図示せず)が形成されるとともに、これと相対する他方の側面に、前記第2液圧室21の高圧側に通じる吐出し穴(図示せず)が形成されている。
前記第1液圧機構部2及び第2液圧機構部15は、前記第1回転軸4と第3回転軸17とが同軸上に位置するとともに、前記第2回転軸6と第4回転軸19とが同軸上に位置するように前後に並設され、更に、前記第1本体7及び第2本体20の相互に対向する開口部間に中間プレート45が配設されており、第1本体7及び第2本体20は当該中間プレート45にそれぞれ固設されている。
そして、前記第1回転軸4の後側の軸端部4a、及び前記第3回転軸17の前側の軸端部17aは、それぞれ前記中間プレート45に形成された貫通穴46に挿入され、更に、この貫通穴46内でスリーブ30に挿入されている。同様に、前記第2回転軸6の後側の軸端部6a、及び前記第4回転軸19の前側の軸端部19aは、それぞれ前記中間プレート45に形成された貫通穴49に挿入され、更に、この貫通穴49内でスリーブ33に挿入されている。
これら第1回転軸4の軸端部4a、第2回転軸6の軸端部6a、第3回転軸17の軸端部17a及び第4回転軸19の軸端部19aの外周面には、それぞれ軸方向にスプラインが形成され、一方、スリーブ30,33の内周面にもその軸方向にスプラインが形成されている。そして、第1回転軸4の軸端部4a及び第3回転軸17の軸端部17aがそれぞれスリーブ30に挿入されてスプライン同士が噛合することにより、第1回転軸4と第3回転軸17とが回転方向に一体的に回転するように連結される。同様に、第2回転軸6の軸端部6a及び第4回転軸19の軸端部19aがスリーブ33に挿入されてスプライン同士が噛合することにより、第2回転軸6と第4回転軸19とが回転方向に一体的に回転するように連結される。
また、第1回転軸4の軸端部4a及び第3回転軸17の軸端部17aは、それぞれスリーブ30に挿入された状態で、中間プレート45に形成されたドレン穴47,48を介してテーパピン31,32が打ち込まれており、第1回転軸4及び第3回転軸17は、このテーパピン31,32及びスリーブ30の作用によって、その軸方向における移動が一体的となるように相互に連結されている。同様に、第2回転軸6の軸端部6a及び第4回転軸19の軸端部19aは、それぞれスリーブ33に挿入された状態で、中間プレート45に形成されたドレン穴50,51を介してテーパピン34,35が打ち込まれており、第2回転軸6及び第4回転軸19は、このテーパピン34,35及びスリーブ33の作用によって、その軸方向における移動が一体的となるように相互に連結されている。
また、前記第2本体20の後端面には後部プレート55が固設され、当該第2本体20の後側の開口部がこの後部プレート55によって封止されている。そして、この後部プレート55には、前記第3回転軸17の後部端面と対向する部分に、前側が大径シリンダ室57、且つ後側が小径シリンダ室58となった段付き状の第1シリンダ穴56が形成されるとともに、この第1シリンダ穴56に、前側が大径且つ後側が小径となった段付き状の第1ピストン59が嵌挿され、その前側の端面が前記第3回転軸17の後部端面に当接可能になっている。また、後部プレート55に形成されたドレン穴68を介して、大径シリンダ室57及び小径シリンダ室58から漏れた作動液体が適宜排出される。
同様に、前記後部プレート55の、前記第4回転軸19の後部端面と対向する部分には、前側が大径シリンダ室63、且つ後側が小径シリンダ室64となった段付き状の第2シリンダ穴62が形成されるとともに、この第2シリンダ穴62に、前側が大径且つ後側が小径となった段付き状の第2ピストン65が嵌挿され、その前側の端面が前記第4回転軸19の後部端面に当接可能になっている。また、後部プレート55に形成されたドレン穴69を介して、大径シリンダ室63及び小径シリンダ室64から漏れた作動液体が適宜排出される。
そして、前記第1液圧室8の高圧側と前記第1シリンダ穴56の大径シリンダ室57に通じる第1流路60が形成され、前記第2液圧室21の高圧側と前記第1シリンダ穴56の小径シリンダ室58とに通じる第2流路61が形成されている。また、前記第1液圧室8の高圧側と前記第2シリンダ穴62の大径シリンダ室63に通じる第3流路66が形成され、前記第2液圧室21の高圧側と前記第2シリンダ穴62の小径シリンダ室64とに通じる第4流路67が形成されている。
以上の構成を備えた本例の液圧装置1によれば、前記第1回転軸4の前端部4bに電動モータを接続してこれを駆動すると、これによって第1歯車3及びこれに噛合する第2歯車5が回転し、また、この回転動力が第1回転軸4を介してこれに連結される第3回転軸17に伝達され、これにより前記第3歯車16及びこれに噛合する第4歯車18が回転する。
そして、前記第1液圧機構部2を使用すべく、その第1液圧室8の低圧側に前記取入れ穴(図示せず)から作動液体を供給すると、この作動液体が前記第1歯車3及び第2歯車5の作用により高圧に加圧されて、高圧側から吐出し穴(図示せず)を通じて外部に吐出される。
その際、前記第1液圧機構部2では、第1歯車3及び第2歯車5は、その噛み合いによって相互に噛み合いスラスト力を受けるとともに、作動液体の圧力を歯面が受けることによって受圧スラスト力を受ける。これらのスラスト力の内、受圧スラスト力は、第1歯車3及び第2歯車5の歯面に同様に作用することから、第1歯車3及び第2歯車5に対して同じ方向に作用する。一方、噛み合いスラスト力は、歯部の噛み合いによって生じ、相互に反力として作用するものであるから、第1歯車3及び第2歯車5に対して正反対の方向に作用する。本例では、共に後方に向けた受圧スラスト力[Fpa1]及び噛み合いスラスト力[Fma1]の合力[Fpa1+Fma1]が第1歯車3に作用し、一方、第2歯車5には、後方に向けた受圧スラスト力[Fpa1]と前方に向けた噛み合いスラスト力[−Fma1]との合力[Fpa1−Fma1]が後方に向けて作用するものとする。
そして、本例の液圧装置1では、前記後部プレート55に形成された前記第1シリンダ穴56の大径シリンダ室57に、前記第1流路60を通じて前記第1液圧室8の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第1ピストン59が前側に向けて付勢され、この第1ピストン59によって前記第3回転軸17が前方に押圧される。
上述したように、前記第1回転軸4と第3回転軸17とは、前記テーパピン31,32及びスリーブ30の作用によって、その回転方向に一体的に回転するとともに、その軸方向に一体的に移動するように相互に連結されている。したがって、前記第1ピストン59の押圧力は、前記第3回転軸17を介して前記第1回転軸4に伝達され、当該第1回転軸4に作用する受圧スラスト力[Fpa1]及び噛み合いスラスト力[Fma1]の合力[Fpa1+Fma1]が第1ピストン59の押圧力(抗力)によって緩和される。
尚、この第1ピストン59により前記第1及び第3回転軸4,17に付与される抗力は、第1回転軸4に作用する受圧スラスト力[Fpa1]及び噛み合いスラスト力[Fma1]の合力[Fpa1+Fma1]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1液圧室8の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記大径シリンダ室57の有効径を適宜設定する。
一方、同じく前記後部プレート55に形成された第2シリンダ穴62の大径シリンダ室63には、前記第3流路66を通じて前記第1液圧室8の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第2ピストン65が前側に向けて付勢され、この第2ピストン65によって前記第4回転軸19が前方に押圧される。
上述したように、前記第2回転軸6と第4回転軸19とは、前記テーパピン34,35及びスリーブ33の作用によって、その回転方向に一体的に回転するとともに、その軸方向に一体的に移動するように相互に連結されている。したがって、前記第2ピストン65の押圧力は、前記第4回転軸19を介して前記第2回転軸6に伝達され、当該第2回転軸6に作用する受圧スラスト力[Fpa1]及び噛み合いスラスト力[−Fma1]の後方に向けた合力[Fpa1−Fma1]が第2ピストン65の押圧力(抗力)によって緩和される。
尚、この第2ピストン65により前記第2及び第4回転軸6,19に付与される抗力は、第2回転軸6に作用する受圧スラスト力[Fpa1]及び噛み合いスラスト力[−Fma1]の合力[Fpa1−Fma1]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1液圧室8の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記大径シリンダ室63の有効径を適宜設定する。
他方、同じく前記第1及び第2歯車3,5、並びに第3及び第4歯車16,18が回転した状態で、前記第2液圧機構部15を使用すべく、その第2液圧室21の低圧側にその取入れ穴(図示せず)から作動液体を供給すると、供給された作動液体が前記第3歯車16及び第4歯車18の作用により高圧に加圧されて、高圧側から吐出し穴(図示せず)を通じて外部に吐出される。
その際、前記第2液圧機構部15では、同様にして、前記第3歯車16及び第4歯車18は、その噛み合いによって相互に噛み合いスラスト力を受けるとともに、作動液体の圧力を歯面が受けることによって受圧スラスト力を受ける。本例では、共に後方に向けた受圧スラスト力[Fpa2]及び噛み合いスラスト力[Fma2]の合力[Fpa2+Fma2]が第3歯車16に作用し、一方、第4歯車18には、後方に向けた受圧スラスト力[Fpa2]と前方に向けた噛み合いスラスト力[−Fma2]との合力[Fpa2−Fma2]が後方に向けて作用するものとする。
そして、本例の液圧装置1では、前記後部プレート55に形成された前記第1シリンダ穴56の小径シリンダ室58に、前記第2流路61を通じて前記第2液圧室21の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第1ピストン59が前側に向けて付勢され、この第1ピストン59によって前記第3回転軸17が前方に押圧される。斯くして、第3回転軸17に作用する受圧スラスト力[Fpa2]及び噛み合いスラスト力[Fma2]の合力[Fpa2+Fma2]が第1ピストン59の押圧力(抗力)によって緩和される。
尚、この第1ピストン59により第3回転軸17に付与される抗力は、第3回転軸17に作用する受圧スラスト力[Fpa2]及び噛み合いスラスト力[Fma2]の合力[Fpa2+Fma2]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第2液圧室21の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記小径シリンダ室58の有効径を適宜設定する。
一方、同じく前記後部プレート55に形成された第2シリンダ穴62の小径シリンダ室64には、前記第4流路67を通じて前記第2液圧室21の高圧の作動液体が供給され、これにより、前記第2ピストン65が前側に向けて付勢され、この第2ピストン65によって前記第4回転軸19が前方に押圧される。斯くして、第4回転軸19に作用する受圧スラスト力[Fpa2]及び噛み合いスラスト力[−Fma2]の後方に向けた合力[Fpa1−Fma1]が第2ピストン65の押圧力(抗力)によって緩和される。
尚、この第2ピストン65により第4回転軸19に付与される抗力は、第4回転軸19に作用する受圧スラスト力[Fpa2]及び噛み合いスラスト力[Fma2]の合力[Fpa1−Fma1]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第2液圧室21の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記小径シリンダ室64の有効径を適宜設定する。
以上のように、この液圧装置1によれば、前記第1液圧機構部2及び第2液圧機構部15のそれぞれを使用する際に、第1回転軸4及び第3回転軸17に対して、それぞれに作用するスラスト力に対する抗力を前記第1ピストン59により作用させて、そのスラスト力を緩和させるとともに、第2回転軸6及び第4回転軸19に対して、それぞれに作用するスラスト力に対する抗力を前記第2ピストン65により作用させて、そのスラスト力を緩和させるようにしているので、上述した振動の問題や、リークの問題が発生するのを抑制することができる。
また、第1及び第3回転軸4,17に抗力を付与する機構を、前記後部プレート55に形成した段付き状の第1シリンダ穴56、この第1シリンダ穴56に嵌挿される第1ピストン59、前記第1液圧室8の高圧側と前記第1シリンダ穴56の大径シリンダ室57とに通じる第1流路60、並びに前記第2液圧室21の高圧側と前記第1シリンダ穴56の小径シリンダ室58とに通じる第2流路61から構成しているので、上述した従来の補償リングを用いた機構に比べて、その構造が簡単で、部品点数も少なく、このため加工コスト及び組立コストを含めた製造コストを安価にすることができる。
また、この液圧装置1では、上述した抗力を付与するための機構について、その部品交換等のメンテナンスを行う際には、後部プレート55のみを分解して再組み立てすれば良く、従来に比べて、容易にメンテナンスを行うことができる。また、従来のように、液圧室を形成するためにシール材などを用いていないので、当該液圧装置を高速回転で使用することができる。
尚、この第1の実施形態において、前記第1流路60は第1シリンダ穴56の大径シリンダ室57と第2液圧室21の高圧側とに通じるように形成され、前記第2流路61は第1シリンダ穴56の小径シリンダ室58と第1液圧室8の高圧側とに通じるように形成され、前記第3流路66は第2シリンダ穴62の大径シリンダ室63と第2液圧室21の高圧側とに通じるように形成され、前記第4流路67は第2シリンダ穴62の小径シリンダ室64と第1液圧室8の高圧側とに通じるように形成されていても良い。このような態様によっても、第1の実施形態の液圧装置と同様の作用、効果が奏される。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る液圧装置について、図2に基づいて説明する。尚、この液圧装置70は上述した第1の実施形態に係る液圧装置1を変形したものである。したがって、図2において、第1の実施形態に係る液圧装置1と同じ構成部分については同じ符号を付して、以下では、その詳しい説明を省略する。
図2に示すように、本例の液圧装置70は、第1液圧機構部2’に設けられる第2歯車5’の第2回転軸6’と、第2液圧機構部15’に設けられる第4歯車18’の第4回転軸19’とが連結されていない態様のものである。
そして、この液圧装置70では、中間プレート45’の、第2回転軸6’の後端面と対向する部分に、シリンダ室72となる第3シリンダ穴71が形成されるとともに、この第3シリンダ穴71に、前記第2回転軸6’の後端面に当接可能に第3ピストン73が嵌挿され、更に、前記シリンダ室72と前記第1液圧室8の高圧側とに通じる第5流路74が形成されている。
また、後部プレート55’には、前記第4回転軸19’の後端面と対向する部分に、シリンダ室76となる第4シリンダ穴75が形成されるとともに、この第4シリンダ穴75に、前記第4回転軸19’の後端面に当接可能に第4ピストン77が嵌挿され、更に、前記シリンダ室76と前記第2液圧室21の高圧側とに通じる第6流路78が形成されている。
斯くして、この液圧装置70によれば、前記第1液圧機構部2’を使用する際には、第1液圧室8の高圧の作動液体が、前記第5流路74を通じて前記第3シリンダ穴71のシリンダ室72に供給され、この作動液体によって第3ピストン73が前方に向けて付勢され、この第3ピストン73によって前記第2回転軸6’が前方に押圧される。そして、この第3ピストン3の押圧力によって、前記第2回転軸6’に後方に向けて作用するスラスト力(受圧スラスト力[Fpa1]と噛み合いスラスト力[−Fma1]の合力[Fpa1−Fma1])が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第3ピストン73により前記第2回転軸6’に付与される抗力は、当該第2回転軸6’に作用するスラスト力[Fpa1−Fma1]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1液圧室8の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第3シリンダ穴71のシリンダ室72の有効径を適宜設定する。
一方、前記第2液圧機構部15’を使用する際には、第2液圧室21の高圧の作動液体が、前記第6流路78を通じて前記第4シリンダ穴75のシリンダ室76に供給され、この作動液体によって第4ピストン77が前方に向けて付勢され、この第4ピストン77によって前記第4回転軸19’が前方に押圧される。そして、この第4ピストン77の押圧力によって、前記第4回転軸19’に作用するスラスト力(受圧スラスト力[Fpa2]と噛み合いスラスト力[−Fma2]の合力[Fpa2−Fma2])が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第4ピストン77により前記第4回転軸19’に付与される抗力は、当該第4回転軸19’に作用するスラスト力[Fpa1−Fma1]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第2液圧室21の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第4シリンダ穴75のシリンダ室76の有効径を適宜設定する。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る液圧装置について、図3に基づいて説明する。尚、この液圧装置80は上述した第2の実施形態に係る液圧装置70を更に変形したものである。したがって、図3において、第1の実施形態に係る液圧装置1、及び第2の実施形態に係る液圧装置70と同じ構成部分については同じ符号を付して、以下では、その詳しい説明を省略する。
第2歯車5’及び第4歯車18’に作用するスラスト力は、受圧スラスト力及び噛み合いスラスト力の大きさによって、前方に作用する場合と、後方に作用する場合とがある。例えば、Fpa1>Fma1の場合には、第2歯車5’には後方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用し、Fpa1<Fma1の場合には、第2歯車5’には前方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する。同様に、Fpa2>Fma2の場合には、第4歯車18’には後方に向けたスラスト力[Fpa2−Fma2]が作用し、Fpa2<Fma2の場合には、第4歯車18’には前方に向けたスラスト力[Fpa2−Fma2]が作用する。
上述した第1の実施形態に係る液圧装置1及び第2の実施形態に係る液圧装置70は、第2歯車5,5’及び第4歯車18,18’に後方に向けたスラスト力が作用する場合に対応したものであるが、本例の液圧装置80は、前記第2歯車5’及び第4歯車18’に前方に向けたスラスト力が作用する場合に対応している。
図3に示すように、この液圧装置80は、前部プレート40’の、第2回転軸6’の前端面と対向する部分に、シリンダ室82となる第5シリンダ穴81が形成されるとともに、この第5シリンダ穴81に、前記第2回転軸6’の前端面に当接可能に第5ピストン83が嵌挿され、更に、前記第5シリンダ穴81のシリンダ室82と前記第1液圧室8の高圧側とに通じる第7流路84が形成されている。
また、中間プレート45”には、第4回転軸19’の前端面と対向する部分に、シリンダ室86となる第6シリンダ穴85が形成されるとともに、この第6シリンダ穴85に、第4回転軸19’の前端面に当接可能に第6ピストン87が嵌挿され、更に、第6シリンダ穴85のシリンダ室86と第2液圧室21の高圧側とに通じる第8流路88が形成されている。
この液圧装置80によれば、第1液圧機構部2’を使用する際には、第1液圧室8の高圧の作動液体が、前記第7流路84を通じて前記第5シリンダ穴81のシリンダ室82に供給され、この作動液体によって第5ピストン83が後方に向けて付勢され、この第5ピストン83によって第2回転軸6’が後方に押圧される。そして、この第5ピストン83の押圧力によって、第2回転軸6’に作用するスラスト力[Fpa1−Fma1]が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、前記第5ピストン83により第2回転軸6’に付与される抗力は、当該第2回転軸6’に作用するスラスト力[Fpa1−Fma1]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第1液圧室8の高圧側の作動液体の圧力に応じて、前記第5シリンダ穴81のシリンダ室82の有効径を適宜設定する。
一方、第2液圧機構部15’を使用する際には、第2液圧室21の高圧の作動液体が、第8流路88を通じて第6シリンダ穴85のシリンダ室86に供給され、この作動液体によって第6ピストン87が後方に向けて付勢され、この第6ピストン87によって第4回転軸19’が後方に押圧される。そして、この第6ピストン87の押圧力によって、第4回転軸19’に作用するスラスト力[Fpa2−Fma2]が緩和され、これにより、当該スラスト力に起因した振動の問題や、リークの問題が抑制される。尚、この場合においても、第6ピストン87により第4回転軸19’に付与される抗力は、当該第4回転軸19’に作用するスラスト力[Fpa2−Fma2]に釣り合うものであるのが好ましく、このような抗力となるように、前記第2液圧室21の高圧側の作動液体の圧力に応じて、第6シリンダ穴85のシリンダ室86の有効径を適宜設定する。
尚、この液圧装置80において、第2歯車5’に後方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する場合、前部プレート40’に設けた第5シリンダ穴81、第5ピストン83及び第7流路84に代えて、上述した液圧装置70のように、第3シリンダ穴71、第3ピストン73及び第5流路74を中間プレート45’に設けた構成にすると良い。
また、第4歯車18’に後方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する場合には、中間プレート45”に設けた第6シリンダ穴85、第6ピストン87及び第8流路88に代えて、上述した液圧装置70のように、第4シリンダ穴75、第4ピストン77及び第6流路78を後部プレート55”に設けた構成にすると良い。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る液圧装置について、図4に基づいて説明する。尚、この液圧装置90は上述した第2の実施形態に係る液圧装置70を更に変形したものである。したがって、図4において、第1の実施形態に係る液圧装置1、及び第2の実施形態に係る液圧装置70と同じ構成部分については同じ符号を付して、以下では、その詳しい説明を省略する。
図4に示すように、本例の液圧装置90は、第2の実施形態に係る液圧装置70とは、第1歯車3’の第1回転軸4’と第3歯車16の第3回転軸17とを直接連結した点において、その構造が異なる。
即ち、図4に示すように、本例の液圧装置90では、後側の第1回転軸4’の後端部にスプライン穴を形成し、このスプライン穴が形成された後端部を、中間プレート91に穿設した貫通穴92内に挿入するとともに、その反対側から、第3回転軸17の前端部17aを前記スプライン穴に挿入した構成としている。また、第1回転軸4’の後端部と第3回転軸17の前端部17aとは、ドレン穴93を介して打ちこまれるテーパピン32’によって連結され、これにより当該第1回転軸4’と第3回転軸17とは、回転方向に一体的に回転し、軸方向に一体的に移動するように相互に連結される。
このように構成された液圧装置90は、上述した液圧装置70と同様の作用、効果を奏する。
尚、この液圧装置90において、第2歯車5’に前方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する場合には、中間プレート90に設けた第3シリンダ穴71、第3ピストン73及び第5流路74に代えて、上述した液圧装置80のように、第5シリンダ穴81、第5ピストン83及び第7流路84を前部プレート40に設けた構成にすると良い。
また、第4歯車18’に前方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する場合には、後部プレート55’に設けた第4シリンダ穴75、第4ピストン77及び第6流路78に代えて、上述した液圧装置80のように、第6シリンダ穴85、第6ピストン87及び第8流路88を中間プレート90に設けた構成にすると良い。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る液圧装置について、図5に基づいて説明する。尚、この液圧装置100は上述した第2の実施形態に係る液圧装置70を更に変形したものである。したがって、図5において、第2の実施形態に係る液圧装置70と同じ構成部分については同じ符号を付して、以下では、その詳しい説明を省略する。
図5に示すように、この液圧装置100は、第1歯車3”の回転軸と第3歯車16’の回転軸とを一つの軸体から形成して、同一の回転軸4”とした点が、前記液圧装置70とその構成が大きく異なる。他の構成については、寸法的な相違であるものの、基本的な構成に大きな相違点は無い。
図中、符号101は中間プレートであり、この中間プレート101に穿設された貫通穴102に前記回転軸4”の中間部が挿通されている。尚、符号18”は第4歯車、符号19”は第4回転軸、符号20’は第2本体、符号21’は第2液圧室である。また、符号22’は第3軸受部材、符号24’は第4軸受部材、符号23’は第3側板、符号25’は第4側板であり、符号55’’’は後部プレートである。
このように構成された液圧装置100は、上述した液圧装置70と同様の作用、効果を奏する。
尚、この液圧装置100において、第2歯車5’に前方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する場合には、中間プレート101に設けた第3シリンダ穴71、第3ピストン73及び第5流路74に代えて、上述した液圧装置80のように、第5シリンダ穴81、第5ピストン83及び第7流路84を前部プレート40に設けた構成にすると良い。
また、第4歯車18”に前方に向けたスラスト力[Fpa1−Fma1]が作用する場合には、後部プレート55’’’に設けた第4シリンダ穴75、第4ピストン77及び第6流路78に代えて、上述した液圧装置80のように、第6シリンダ穴85、第6ピストン87及び第8流路88を中間プレート101に設けた構成にすると良い。
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何らこれに限定されるものではない。
一例を挙げれば、上述した各実施形態の液圧装置1,70,80,90,100は、これらをそれぞれ液圧ポンプとしたが、本発明に係る液圧装置はこれに限られるものではなく、液圧モータとしての態様を採ることができる。