JP6623548B2 - 膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マーカーとキット - Google Patents

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Description

本発明は、膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マーカー、膵管内乳頭粘液性腫瘍診断剤、および膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マイクロアレイ等に関する。
詳しくは、本発明は、膵臓がんの大半を占める膵管腺がんの発症につながる、膵管内乳頭粘液性腫瘍の検出や診断を、リキッドバイオプシーにより行うための、上記マーカー、診断剤、およびマイクロアレイ等に関する。
従来、早期発見できる方法が求められている疾患に膵臓がんがある。膵臓がんの検査としては、各種の画像診断や、腫瘍マーカーを検出する血液検査などが用いられているが、画像診断は大規模な設備と高額な装置を必要とし、広く普及しているとはいえない。また、これまでに用いられている腫瘍マーカーは、感度及び特異性が十分とはいえず、いずれもある程度がんが進行しないと増加しないものが多いので早期発見には適していない。
膵臓がんは、初期症状がほとんどないため早期発見が困難であり、進行が早く予後も悪い難治性がんである。膵臓がんはステージが低いほど治癒の可能性は高くなるので、膵臓がんによる死亡率を低下させるために早期発見は非常に重要である。
膵癌診療ガイドラインによると、膵癌治療開始前の確定診断が望ましいとされる。なかでも、膵腫瘤に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検は、正診率85〜91%とされているが、約10%を正診できないことが課題となっている。また、本生検が施行可能な施設は限られており、現行の膵癌に対するバイオマーカーの正診率は70%程度と満足できるものではない。したがって、膵癌に対するサロゲートマーカーの開発が求められている。
膵臓がんの大半は、膵管腺がん(PDAC)という種類であり、膵管腺がんは「膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)」という腫瘍の悪性度が高まったものであると考えることが出来る。
しかしながら、IPMNが全て膵臓がんになるわけではなく、そのまま放っておいても大丈夫なものと、がんになるリスクが高く手術で摘出した方が良いものとがある。最近では、画像診断の進歩によりIPMNは偶然発見されることが多くなっているものの、その見極めは非常に難しい。そのような背景から、IPMNを早期に発見し膵臓がんに進展する前に見極めることは治療方針に大切な指標となる。
マイクロRNA(以下、「miRNA」と表す場合もある。)は、約22塩基で構成される細胞内のsmall non-coding RNAの一つであり、個体の発生や細胞分化の制御に必須の因子である。miRNAの機能異常は多くのヒト疾患で認められる。特に、がんにおけるmiRNAの発現異常はほとんどのがん種で認められ、miRNAの機能異常と発がんが強く連携していることが考えられる。近年、miRNAが細胞内膜小胞であるエクソソームに包埋された形で細胞外へと放出(分泌)されていることが明らかとなってきた。miRNAの研究は、がん発生の分子機構の解明に加えて、治療薬や診断薬への応用展開が期待されている。
数多くの研究グループにおいて、疾患の早期発見を目的にmiRNAの探索が行われている。ある研究グループでは、IPMNに由来するがんのリスクを見極めるためにmiRNAが使えないかと考え、解析を行っている。その結果によると、がんになるリスクが高いIPMNでは、6つのmiRNA(miR-100、miR-99b、miR-99a、miR-342-3p、miR-126、miR-130a)の量が少なくなっていたと報告されている(非特許文献1)。
この研究においては、合計28人から手術で摘出されたIPMNの組織を検査しているが、実際の手術により患者由来のサンプルを入手することは非常に困難であり同時に患者の負担も非常に大きい。そのような中、近年患者のがん分子の遺伝子変異状況などをこれまでの細胞組織検査に代わり、血液、唾液、尿等、採取に患者負担の少ない検体を用い、生検(Biopsy;バイオプシー)と同等の検査性能を実現させるLiquid Biopsy(リキッドバイオプシー)での評価手法が注目されている。リキッドバイオプシーでの評価では手術による組織摘出や生体検査を必要とせず、血液中の遺伝子検査によりがんに繋がるリスク評価や最適ながん治療薬の選択等を実現することができる。さらに、血液を用いた遺伝子検査は、がん組織の採取が困難な患者においても、繰り返し検査が可能になる。リキッドバイオプシーでの評価手法の中で、現在では特に侵襲性の低い血液サンプル中のmiRNAが注目され、疾患との関連性について多くの研究がなされている。
Permuth-Wey J et al., A Genome-Wide Investigation of MicroRNA Expression Identifies Biologically-Meaningful MicroRNAs That Distinguish between High-Risk and Low-Risk Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms of the Pancreas., PLoS One., 2015;10:e0116869.
本発明が解決しようとする課題は、膵臓がんの大半を占める膵管腺がんの発症につながる、膵管内乳頭粘液性腫瘍の検出や診断を、リキッドバイオプシーにより行うための評価手段を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)患者由来の血清エクソソームmiRNAのプロファイルと他の膵臓疾患患者のmiRNAのプロファイルを作成し、IPMN患者に特異的な血清中のmiRNAを見出した。また、臨床血液検体を用いて、健常人のプロファイルと異なることを確認し、hsa-miR-30e-3pがIPMN患者の血液試料から特異的に検出されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マーカー。
(2)miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍診断剤。
(3)miR-30e-3pに結合可能なプローブおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍診断剤。
(4)miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブが搭載された、膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マイクロアレイ。
(5)miR-30e-3pに結合可能なプローブおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブが搭載された、膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マイクロアレイ。
(6)単体に固定された、miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブ、miR-30e-3pに結合可能なプローブ、並びにmiR-451aに結合可能なプローブの少なくとも1種のプローブを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断用または検出用キット。
(7)生体から採取した試料中のmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを検出し、その検出結果に基づいて膵管内乳頭粘液性腫瘍の有無を判断する、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断を補助する方法。
(8)被験動物におけるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの検出結果を指標とする、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断方法。
(9)膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断におけるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの使用。
本発明によれば、被検者のリキッドバイオプシー中の特定のmiRNAを測定することにより、膵臓がん(その大半を占める膵管腺がん)のリスクとなる膵管内乳頭粘液性腫瘍を、簡便に検出または診断すること等が可能となる。
図1−1は、コントロール検体と各膵臓疾患検体とのマイクロRNAプロファイルを比較した結果をスキャッタープロットに示したものである。
図1−2は、図1−1と同様、コントロール検体と各膵臓疾患検体とのマイクロRNAプロファイルを比較した結果をスキャッタープロットに示したものである。
図2は、後述する実施例中の表1中の各データをヒストグラムにし、特異的に発現しているマイクロRNAを示した図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定させるものではない。
なお、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マーカー
本発明にかかる膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)検出用マーカーは、前述した通り、miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを含むものである。
ここで、miR-30e-3pおよびmiR-451aは、いずれも、IPMN患者に特異的な血清中のmiRNAである。「miR-30e-3p」は、miRBase(the microRNA database;http://www.mirbase.org/ )において、Accession number: MIMAT0000693、ID: hsa-miR-30e-3p として公開されており、具体的には、配列番号1で表わされる塩基配列(cuuucagucggauguuuacagc)からなる22塩基のRNAである。同様に、「miR-451a」は、miRBaseにおいて、Accession number: MIMAT0001631、ID: hsa-miR-451a として公開されており、具体的には、配列番号2で表わされる塩基配列(aaaccguuaccauuacugaguu)からなる22塩基のRNAである。
被験者の生体試料(特に血液)中におけるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの量が、健常者(上記腫瘍の病態を示さない者)の生体試料(特に血液)中におけるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの量に比べて有意に多く又は少なく検出される場合、当該被験者はIPMN、ひいては膵臓がんを、発症している又は発症する可能性が高いと判断することができる。詳しくは、miR-30e-3pは、他の4種類の膵臓疾患(膵臓癌(PC)、膵内分泌腫瘍(P-NET)、慢性膵炎(CP)、自己免疫性膵炎(AIP))と異なり、IPMN患者の血清検体において、コントロールとなる健常人と比べて有意に高い値で検出される。他方、miR-451aは、上記の他の4種類の膵臓疾患と異なり、IPMN患者の血清検体において、コントロールとなる健常人と比べて低い値で検出される。
IPMN検出用マーカーとなるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの検出対象試料は、実質的には、生体試料の中でも特に血液・血清であるため、本発明のIPMN検出用マーカーは、血中マーカーであることが好ましい。なお、本発明のIPMN検出用マーカーは、IPMN診断用マーカーとしても用いることができる。
本発明のマーカーを用いて検出または診断する対象となるものは、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)であるが、前述の通り、IPMNは、膵臓がんの大半を占める膵管腺がんの発症につながるものである。よって、本発明におけるIPMNの検出・診断は、膵管腺がんの検出・診断や、ひいては膵臓がんの検出・診断に置き換えることもでき、さらには、膵管腺がんのリスクの検出・評価や、ひいては膵臓がんの検出・評価に置き換えることもできるが、特に限定はされない。
2.膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用もしくは診断用のプローブまたはプローブセット
プローブとは、一般に、検体(被験試料)中の標的とする核酸(miRNAの他、mRNA若しくはcDNA又はcRNA、あるいはこれらのアンチセンス鎖(aRNA又はaDNA))をハイブリダイゼーションにより捕捉し、当該標的核酸を検出するために使用されるものをいう。当該プローブは、通常、核酸プローブであるが、プローブを構成する「核酸」としては、一般に、DNA、RNA、PNAなどを使用することができ、なかでもDNAが好ましい。
本発明において、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断や検出に用いるためのプローブ(又はプローブセット)としては、例えば、以下の(a)〜(d)の核酸若しくは(a)〜(d)それぞれの塩基配列の一部を含むものが挙げられる。
(a)miR-30e-3pを構成する塩基配列および/またはmiR-451aを構成する塩基配列(配列番号1で表わされる塩基配列および/または配列番号2で表わされる塩基配列)に対し相補的な塩基配列からなる核酸
(b)前記(a)の核酸(すなわちRNA)の塩基配列中、ウラシル(U)をチミン(T)に置換した塩基配列からなる核酸(すなわちDNA)
(c)前記(a)または(b)の核酸に対し相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを検出することができる核酸
(d)前記(a)または(b)の核酸と塩基配列の同一性(相同性)が80%以上である塩基配列からなり、かつ、miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを検出することができる核酸
ここで、上記(c)の核酸において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸」とは、例えば、前記(a)または(b)の核酸の塩基配列と相補的な塩基配列からなる核酸の、全部又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られる核酸をいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えば、“Sambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol. 3, Cold Spring Harbor, Laboratory Press 2001”、“Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1987-1997”などに記載されている方法を利用することができる。

また、「ストリンジェントな条件」とは、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件が挙げられる。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件が挙げられる。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件が挙げられる。なお、本発明においては、具体的には、「ストリンジェントな条件」は、例えば、0.24M TNT bufferや0.12M TNT buffer、1×SSC溶液(1×SSCは0.15M NaCl、15mM クエン酸ナトリウム)中において45〜65℃で洗浄する条件が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ストリンジェンシーは塩濃度(イオン強度)、温度等によって制御することができる。ストリンジェンシーがより高い条件、即ち塩濃度がより低く、温度がより高い条件では、洗浄により非特異的なハイブリダイゼーションによるバックグラウンドが除去され、特異的にハイブリダイズした核酸のみが残る。当業者であれば、温度や塩濃度を調整する。または、WO2006/083040号パンフレットに示されるような多段階の洗浄によって、ストリンジェントな条件を適宜選択することができる。
このような「ストリンジェントな条件」においては、温度を上げるほど、高い同一性(相同性)を有する核酸を効率的に得ることができる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、反応時間、イオン強度、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションにおいて、市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズした核酸を検出することができる。
上記以外にハイブリダイズ可能な核酸としては、例えば、前記(d)の核酸が挙げられ、FASTA及びBLASTなどの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメーターを用いて計算したときに、前記(a)または(b)の核酸の塩基配列と、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上又は99.9%以上の同一性(相同性)を有する塩基配列からなる核酸を挙げることができる。
なお、塩基配列の同一性(相同性)は、カーリン及びアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 87, p. 2264-2268, 1990; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 90, p. 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al., J. Mol. Biol., vol. 215, p. 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、word length=12とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
前記(c)および(d)の核酸としては、例えば、前記(a)または(b)の核酸の塩基配列において、1個または2個の塩基が欠失、付加または置換したものも含まれる。欠失、付加または置換される部位は、前記(a)または(b)の核酸の5’末端または3’末端でもよいし、末端以外の部分であってもよい。 前記(d)および(e)の核酸において、「miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを検出することができる」とは、前記(a)または(b)の核酸の塩基配列をハイブリダイゼーションにより捕捉することができることであることを意味する。
前記(c)および(d)の核酸の長さは、特に限定はされないが、好ましくは、例えば、15〜30塩基長、17〜25塩基長、18〜22塩基長である。
前記(a)〜(d)の核酸は、当該核酸の全長に限らず、その一部をプローブとして使用することもできる。
本明細書において記載したプローブ又はプローブセットに用いる各種核酸の入手方法は、特に限定はされず、公知の遺伝子工学的手法や公知の合成手法によって取得することが可能であり、例えば、市販のDNA合成機などを用いて得ることもできる。
また、プローブ又はプローブセットに用いる各種核酸は、適宜、修飾されたものであってもよく、例えば、末端ビニル化(アクリロイル化、メタクリロイル化)又は末端アミノ化がなされたものや、リンカーとなる塩基(ポリTなど)で修飾されたもの等が挙げられる。また、各種核酸の塩基配列の一部へ別の塩基を挿入したり、当該塩基配列の一部の塩基を欠失させたり、又は別の塩基に置換したり、あるいは塩基以外の物質に置換して、使用することもできる。ここで、塩基以外の物質としては、例えば、色素(蛍光色素、インターカレーター)、消光基、塩基架橋剤が挙げられる。
3.膵管内乳頭粘液性腫瘍診断剤
本発明にかかる膵管内乳頭粘液性腫瘍診断剤は、前述の通り、miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブ、あるいは、miR-30e-3pに結合可能なプローブおよび/またはmiR-451aに結合可能なプローブを含むものである。すなわち、当該診断剤は、miR-30e-3pおよびmiR-451aの両方に結合可能なプローブを含むものであってもよいし、miR-30e-3pおよびmiR-451aのいずれか一方に結合可能なプローブを含むものであってもよいし、また、miR-30e-3pに結合可能なプローブとmiR-451aに結合可能なプローブの組合せを含むものであってもよく、特に限定はされない。より詳しくは、前記2.項で述べた各種プローブおよびプローブセットも、本発明の診断剤に用いることができる。
また、本発明は、当該各種プローブを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断用キットまたは検出用キットも提供され得る。
本発明の診断剤や各種キットにおいて、上記各種プローブは、安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮して、粉末の状態又は溶液の状態(純水、バッファー、生理食塩水などに溶かした状態)で、冷蔵又は冷凍(-30℃〜-80℃)の条件下で保存することが好ましい。また、本発明の診断剤や各種キットは、上記各種プローブの他に、他の構成要素を含んでいてもよく、他の構成要素としては、例えば、発色基質等を挙げることができる。
本発明の診断剤や各種キットは、構成要素として、少なくとも上記各種プローブを備えているものであればよい。従って、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断や検出に必須となる構成要素の全てを、上記各種プローブと共に備えているものであってもよいし、そうでなくてもよく、限定はされない。
4.膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マイクロアレイ
核酸マイクロアレイとは、担体上に多数の核酸プローブを高密度にそれぞれ独立に固定化したものである。核酸マイクロアレイは、複数の核酸塩基配列に関する発現量や、特定の核酸塩基配列の配列自体を網羅的に解析するために利用されるシステムである。
本発明にかかる膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マイクロアレイ(膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用の核酸マイクロアレイ)は、前記2.項や3.項で述べた本発明の各種プローブ(又はプローブセット)が搭載されたものである。本発明のマイクロアレイは、支持体上に、上記各種プローブが固定されたものであれば、特に限定はされない。
核酸マイクロアレイについて、その支持体の形態は特には限定されず、平板、棒状、ビーズ等のいずれの形態も使用できる。支持体として、平板を使用する場合は、その平板上に、所定の間隔をもって、所定のプローブを種類毎に固定することができる(スポッティング法等;Science,270,467−470(1995)等参照)。また、平板上の特定の位置で、所定のプローブを種類毎に逐次合成していくこともできる(フォトリソグラフィー法等;Science,251,767−773(1991)等参照)。
他の好ましい支持体の形態としては、中空繊維を使用するものが挙げられる。支持体として中空繊維を使用する場合は、プローブを種類毎に各中空繊維に固定し、すべての中空繊維を集束させ固定した後、繊維の長手方向で切断を繰り返すことにより得られる核酸マイクロアレイが好ましく例示できる。この核酸マイクロアレイは、貫通孔基板にプローブを固定化したタイプのものと説明することができ、いわゆる「貫通孔型マイクロアレイ」とも言われる(特許第3510882号公報等)。
支持体へのプローブの固定化方法は特には限定されず、どのような結合様式でもよい。また、支持体に直接固定化することに限定はされず、例えば、予め支持体をポリリジン等のポリマーでコーティング処理し、処理後の支持体にプローブを固定することもできる。さらに、支持体として中空繊維等の管状体を使用する場合は、管状体にゲル状物を保持させ、そのゲル状物にプローブを固定化することもできる。
以下、中空繊維による貫通孔型核酸マイクロアレイについて、詳細に説明する。このマイクロアレイは、例えば、下記(工程i)〜(工程iv)の工程を経て作製することができる。
(工程i)複数本の中空繊維を、中空繊維の長手方向が同一方向となるように3次元に配列して配列体を製造する工程
(工程ii)前記配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程
(工程iii)プローブを含むゲル前駆体重合性溶液を前記ブロック体の各中空繊維の中空部に導入して重合反応を行い、プローブを含むゲル状物を中空部に保持させる工程
(工程iv)中空繊維の長手方向と交差する方向で切断して、ブロック体を薄片化する工程
中空繊維に使用される材料としては、限定はされないが、例えば、特開2004−163211号公報等に記載の材料が好ましく挙げられる。
中空繊維は、その長手方向の長さが同一となるように3次元に配列される(工程i)。配列方法としては、例えば、粘着シート等のシート状物に複数本の中空繊維を所定の間隔をもって平行に配置し、シート状とした後、このシートを螺旋状に巻き取る方法(特開平11−108928号公報を参照)や、複数の孔が所定の間隔をもって設けられた多孔板2枚を孔部が一致するように重ね合わせ、それらの孔部に中空繊維を通過させ、その後2枚の多孔板の間隔を開いて仮固定し、2枚の多孔板間における中空繊維の周辺に硬化性樹脂原料を充満させて硬化させる方法(特開2001−133453号公報を参照)等が挙げられる。
製造された配列体はその配列が乱れないように包埋される(工程ii)。包埋の方法としては、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂等を繊維間の隙間に流し込む方法のほか、繊維どうしを熱融着により接着する方法等が好ましく挙げられる。
包埋された配列体には、各中空繊維の中空部に、プローブを含むゲル前駆体重合性溶液(ゲル形成溶液)を充填し、中空部内で重合反応を行う(工程iii)。これにより、各中空繊維の中空部に、プローブが固定されたゲル状物を保持させることができる。
ゲル前駆体重合性溶液とは、ゲル形成重合性モノマー等の反応性物質を含有する溶液であって、該モノマー等を重合、架橋させることにより該溶液がゲル状物となることが可能な溶液をいう。そのようなモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。この場合溶液には重合開始剤等が含まれていてもよい。中空繊維内にプローブを固定した後、中空繊維の長手方向と交差する方向(好ましくは直交する方向)で、ブロック体を切断して薄片化する(工程iv)。このようにして得られた薄片は、核酸マイクロアレイとして使用できる。当該アレイの厚みは、0.01mm〜1mm程度であることが好ましい。ブロック体の切断は、例えば、ミクロトーム及びレーザー等により行うことができる。当該貫通孔型マイクロアレイとしては、例えば、三菱レイヨン社製の核酸マイクロアレイ(GenopalTM(ジェノパール(登録商標)))等が好ましく挙げられる。
上記ジェノパール(登録商標)の場合、各対応配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブは、高密度に固定化されており、生体試料由来のRNAからT7 オリゴdTプライマーを使用して2本鎖cDNA合成を行った後、in vitro TranscriptionによりaRNAを合成する。aRNA合成の際にビオチンを取り込み、サンプルを標識する。ビオチン標識aRNAを断片化してDNAアレイにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後に蛍光色素を修飾したストレプトアビジンなどによりaRNAを検出する。蛍光検出機で蛍光を読み取り、得られたアレイイメージを数値化し、各遺伝子の発現量を比較・定量することができる。また、使用する核酸マイクロアレイは上述の方法に限るものではなく、当業者が入手可能な複数種の核酸マイクロアレイを用いて同様の解析が可能である。
5.膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断方法または検出方法等
本発明においては、被験動物におけるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの検出結果を指標とする、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断方法または当該腫瘍の検出方法が提供され得る。
また、本発明においては、生体から採取した試料中のmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを検出し、その検出結果に基づいて膵管内乳頭粘液性腫瘍の有無を判断する、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断を補助する方法も、提供され得る。
さらに、本発明は、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断または検出におけるmiR-30e-3pおよび/またはmiR-451aの使用も提供され得る。
これら本発明の方法においては、被験動物(哺乳動物、特にヒト(被験者))由来の生体試料(血液試料、特に血清または血漿)中の、miR-30e-3pおよび/またはmiR-451aを検出し、当該被験動物におけるmiR-30e-3pの検出量が健常者の検出量より有意に多い場合、および/または、当該被験動物におけるmiR-451aの検出量が健常者の検出量より有意に少ない場合に、当該被験動物が膵管内乳頭粘液性腫瘍を有している、または有している可能性が高いと判断することができる。さらには、上記のような場合に、当該被験動物が膵管腺がん、ひいては膵臓がんを発症するリスクが高いと判断する、あるいは、当該被験動物が膵管腺がん、ひいては膵臓がん既に発症している可能性が高いと判断することができる。
生体試料中のmiRNA(miR-30e-3p、miR-451a)を測定する方法は特に限定されず、試料中から特定の塩基配列のRNAを検出・測定できるあらゆる方法を用いることができる。かかる方法としては、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、RNaseプロテクションアッセイ法、RT-PCR法やリアルタイムPCR法などの定量PCR法、DNAマイクロアレイを用いた方法などが挙げられる。
本発明の診断方法および検出方法では、miR-30e-3pおよびmiR-451aのうちの少なくとも一方のmiRNAの量を測定すればよい。すなわち、どちらか一方のmiRNAを測定して行ってもよいし、両方のmiRNAを測定して行ってもよい。
本明細書において、標的miRNA(miR-30e-3p、miR-451a)を検出する(存在量を測定する)こととは、生体由来の試料中のmiRNAの濃度を正確に測定することであってもよいし、生体試料中の濃度が健常人のレベルよりも有意に高いか又は低いことが確認できる限り、正確に濃度を測定しなくてもよい。
また、miRNAの検出においては、標的となる各miRNA(miR-30e-3p、miR-451a)の濃度をそれぞれ求めてもよいし、生体試料中に含まれる複数のmiRNAの発現プロファイル(発現パターン)と、健常人における当該miRNAの発現プロファイルとを全体として比較し、その類似性を評価することによって行ってもよい。
ノーザンハイブリダイゼーション法は、抽出したmiRNAをアガロース電気泳動などの電気泳動によってゲル上に展開し、ニトロセルロース膜やナイロン膜などのメンブレンに転写した後、標的miRNA(miR-30e-3p、miR-451a)とハイブリダイズするプローブを用いて当該miRNAを検出する方法である。プローブの標識には、32Pなどの放射性同位元素、ジゴキシゲニン(DIG)と抗体などを用いることができる。
RNaseプロテクションアッセイ法は、放射性同位元素やDIGなどで標識したRNAプローブと標的miRNA(miR-30e-3p、miR-451a)をハイブリダイズさせた後、一本鎖に特異的なRNaseを用いて標的miRNAとハイブリダイズしなかったプローブの領域を消化した後、ハイブリダイゼーションによって保護されたプローブ部分を電気泳動などで検出する方法である。
RT-PCR法は、生体試料中のmiRNAから逆転写酵素でcDNAを得て、このcDNAを鋳型にして適当なプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を電気泳動などで定量して、試料中のRNA量を求める方法である。
リアルタイムPCR法は、PCR増幅産物を検出する方法である。SYBR Greenに代表される二本鎖核酸に特異的に挿入する蛍光標識を用いるインターカレート法と、TaqManプローブに代表される蛍光標識した配列特異的なプローブを用いる方法がある。リアルタイムPCR法を用いる場合も、試料中のmiRNAから逆転写酵素でcDNAを得て、これを鋳型とすることができる。
DNAマイクロアレイ(核酸マイクロアレイ)を用いる方法は、標的miRNA(miR-30e-3p、miR-451a)の全部または一部とハイブリダイズするDNAプローブを固相担体に固定して試料と接触させ、プローブにハイブリダイズした標的miRNAを検出する方法である。生体試料中のmiRNAの発現プロファイル(発現量プロファイル)を網羅的に測定するのに適している。固相担体に固定されたプローブに、miRNAの一部がハイブリダイズするように設計し、miRNAの残りの部分が標識された第二のDNAプローブとハイブリダイズするようにして標的miRNAを検出することもできる。なお、発現プロファイルとは、例えば、採取された生体試料中の各種miRNA量を測定し、測定された各miRNAの発現量を、絶対値及び/又は相対値で示すことである。
本発明の診断方法や検出方法等では、被験動物(被検者)に由来する試料、すなわち生体から採取した試料としては、特に限定されないが、血液試料、特に血清または血漿とすることが好ましい。比較するための健常人のコントロール検体としては、健常人由来の血清または血漿を用いたり、購入した健常人由来の血清または血漿を用いることもできる。
また、miRNAの検出や測定を行う前に、血清または血漿からエクソソーム画分の濃縮を行ってもよい。濃縮する方法は、超遠心法に限らず、膜で調製する方法、抗体で調製する方法、エクソソームを特異的に濃縮する試薬による方法により行うこともできる。さらに、エクソソーム画分からmiRNAの抽出を行ってもよい。これらの工程は、当業者が常法に従って行うことができる。
本明細書においては、「膵臓がん」、「膵管腺がん(PDAC)」および「膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)」は、通常の意味で用いられ、病理学的な分類、形態、深達度、進行で示される病期等によらず、あらゆる状態の膵臓がん、膵管腺がん、膵管内乳頭状粘液性腫瘍を含む。
本明細書において「検出」は、診断に必要な情報を得るために、被検者から採取した試料を調べることを意味する。また、本発明において、「検出」は、膵管内乳頭粘液性腫瘍に罹患しているか否かを確認することにより、膵管腺がん、ひいては膵臓がんのリスクを調べること、症状が現れない段階で膵管腺がん、ひいては膵臓がんの発症の可能性をスクリーニングすることを含んでいる。
なお、本発明の診断方法や検出方法等においては、従来公知の検査に用いられている腫瘍マーカーによる検査方法や画像診断などと組み合わせて行ってもよい。
本明細書において「有意」であるとは、「統計学的に有意」であることであり、例えば、コントロール検体と比較した場合の発現量の変化を示す値が、平均値を中心として標準偏差の3倍以上の変化を示す方法があげられる。その他の統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定されない。例えば、スチューデントt検定法、多重比較検定法を用いることができる。
6.膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断用または検出用キット
本発明は、上述した本発明の診断方法や検出方法、あるいは診断を補助する方法を行うためのキットも包含する。
本発明のキットの一態様としては、所定のmiRNA(miR-30e-3p、miR-451a)とハイブリダイズし得るDNA(プローブ)が固定された担体を含む。当該担体は、プローブDNAを固定できる担体であれば特に限定はされず、ガラス製、金属性、樹脂製等のマイクロタイタープレート、基板、ビーズ、ゲル、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレン、PVDFメンブレン等が挙げられる。プローブDNAは、これらの担体に公知の方法で固定することが可能である。当該キットは、例えば、各種反応・検出用試薬、緩衝液、取扱説明書等をさらに備えていてもよい。
本発明のキットの他の一態様としては、所定のmiRNA(miR-30e-3p、miR-451a)またはこれに相補的な塩基配列からなる核酸を、PCR法で増幅するのに必要なプライマーセットも含む。生体試料中の標的miRNA(miR-30e-3p、miR-451a)の量をPCR法で測定する方法では、まず逆転写酵素でcDNAを作製することが一般的である。したがって、本発明のキットは、標的miRNAまたはこれに相補的な塩基配列からなるDNAを増幅することができるプライマーセットを備えていてもよい。そのようなプライマーセットは、標的miRNAの配列に基づいて当業者が適宜設計することができる。
本発明のキットにおいて、DNAマイクロアレイ(核酸マイクロアレイ)を含む場合は、標的miRNAを直接標識する試薬を備えておいてもよい。標識試薬としては、蛍光物質、ビオチン、32Pなどの放射性同位元素、ジゴキシゲニンなど当業者に一般的な技術を用いることができる。このようなキットは、例えば、逆転写酵素、各種反応・検出試薬、緩衝液、取扱説明書等をさらに備えていてもよいが、特に限定はされない。
以下に、実施例により本発明をより具体例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<マイクロRNA用マイクロアレイと標識したマイクロRNAの準備>
マイクロRNA解析には、ジェノパールMICH14を用いた。マイクロRNA検出用の搭載プローブは所定のURL(https://www.mrc.co.jp/genome/products/micro_rna.html)に記載されている。
検体は血清検体を用いた。膵臓癌(PC)、膵内分泌腫瘍(P-NET)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、慢性膵炎(CP)、自己免疫性膵炎(AIP)の患者各5名からの血漿検体を等量プールした後、900μLを分けとり、exoRNeasy Serum/Plasma Midi Kit(キアゲン社)を用いてエキソソームの精製を行った。同様に、健常人サンプルとしては、正常ヒト血漿(コージンバイオ株式会社)を用いてエキソソームの精製を行った。
その後、ジェノパールMICH14解析用の外部コントロールを1μL添加し、続いてmiRNeasy Serum/ Plasma Kit(キアゲン社)のプロトコール通りに操作しマイクロRNA溶液を得た。
得られたマイクロRNA溶液16μLとNucleic Acid Labeling Kit, PlatinumBright647 Infrared(クレアテック社)キットのバッファー液2μL、標識試薬2μLを混合して20μLとした後、85℃ で 30 分間インキュベートした。その後キット付属のカラムを使用して精製し、蛍光標識したマイクロRNA溶液約20μLを得た。その後、得られた溶液1μLをAgilent RNA 6000 Pico Kit(アジレントテクノロジー株)を用いて電気泳動を行い、短鎖のRNAが抽出されていることを確認した。
<ハイブリダイゼーション>
標識したマイクロRNAを、最終濃度が0.24M TNT溶液、溶液量が200μLとなるように調製した。miRNAアレイ(ジェノパールMICH14)を用いてハイブリダイゼーションに供した。ハイブリダイゼーションは、50℃、遮光条件下で16時間行った。
洗浄は、0.24M TNT溶液、50℃で40分間洗浄後、0.24M TN溶液、50℃で10分間洗浄した。
検出は、冷却CCDカメラ方式の蛍光検出装置を用いて、ハイブリダイゼーション後のマイクロアレイの各プローブスポットを画像化及び数値化した。
検出したマイクロアレイから得られた各スポットの蛍光強度データから、ブランクスポットの蛍光強度データを減算し、さらに、外部コントロールを基準として補正した。これをシグナル強度と呼ぶこととした。その結果得られたスキャッタープロットを図1−1および図1−2に示した。
解析には、検出されたコントロール検体とのシグナル強度との比率をもとに(下記表1参照;なお、便宜上、表1−1〜表1−4に分けて記載しているが、これらを合わせて表1とする。)、特異的に検出されたマイクロRNAを抽出した。表1は、コントロール検体と各膵臓疾患検体とのマイクロRNAの発現比(比率を底が2のLogで変換した値)を示すものである。
表1に示した5種類の膵臓疾患の比率のすべてのデータを、図2に示すようにヒストグラムにして表した。これらデータの平均値と標準偏差を3倍した値を算出したところ、平均値:-0.37、3×S.D.:2.31であった。コントロール検体と比較し、特異的に変化している閾値について、発現量が増加している方向については平均値+3×S.D.=1.94、発現量が低下している方向については平均値−3×S.D.=-2.68とした。
これらの閾値を超えて変化しているデータを表1から抽出したところ、以下の4つのデータが抽出された。
(1) IPMN plasma hsa-miR-30e-3p 4.52
(2) IPMN plasma hsa-miR-451 -3.06
(3) PC plasma hsa-miR-301 3.96
(4) PC plasma hsa-miR-521 3.07
以上の結果により、膵管内乳頭粘液性腫瘍患者由来エクソソームmiRNAのうち、hsa-miR-30e-3pとhsa-miR-451の変化は他の4種類の疾患とは異なり、特異的に検出され得ることが示された。

Claims (4)

  1. miR-30e-3pに結合可能なプローブを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍診断剤。
  2. miR-30e-3pに結合可能なプローブが搭載された、膵管内乳頭粘液性腫瘍検出用マイクロアレイ。
  3. 担体に固定された、miR-30e-3pに結合可能なプローブを含む、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断用または検出用キット。
  4. miR-30e-3pに結合可能なプローブを用いて、被験動物由来の生体試料中のmiR-30e-3pを検出し、当該被験動物におけるmiR-30e-3pの検出量が健常者の検出量より有意に多い場合、当該被験動物が膵管内乳頭粘液性腫瘍を有している、または有している可能性が高いと判断する、膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断を補助する方法。
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